麻薬取締法
法令番号: 法律第百二十三号
公布年月日: 昭和23年7月10日
法令の形式: 法律
麻藥取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百二十三号
麻藥取締法
第一章 総則
第一條 この法律で「麻藥」とは、左に掲げるものをいう。
一 阿片及びコカ葉(アルカロイドを抽出したコカ葉を除く。)
二 阿片又はコカ葉から抽出される一切のアルカロイド及びその誘導体並びにこれらの塩類
三 阿片又は前号に掲げるものと同樣のらん用の虞があり、且つ、同樣の害毒作用を引き起こす化学的合成品で厚生大臣が指定するもの
四 前三号に掲げるものを含有するもの
第二條 この法律で「麻藥取扱者」とは、麻藥輸入業者、麻藥製造業者、麻藥製剤業者、麻藥小分業者、麻藥元卸賣業者、麻藥卸賣業者、麻藥小賣業者、麻藥施用者、麻藥管理者、麻藥研究者及び家庭麻藥小賣業者をいう。
2 この法律で「麻藥輸入業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥を輸入することを業とする者をいう。
3 この法律で「麻藥製造業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥を製造(化学的方法により変形し、又は精製することをいう。以下同じ。)することを業とする者をいう。
4 この法律で「麻藥製剤業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥を製剤(化学的変化を伴わない加工であつて精製以外のものをいう。以下同じ。)することを業とする者をいう。
5 この法律で「麻藥小分業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥を小分することを業とする者をいう。
6 この法律で「麻藥元卸賣業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥卸賣業者に麻藥を讓り渡すことを業とする者をいう。
7 この法律で「麻藥卸賣業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥小賣業者、麻藥施用者、麻藥管理者又は麻藥研究者に麻藥を讓り渡すことを業とする者をいう。
8 この法律で「麻藥小賣業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻藥施用者の処方した処方せんに基き調剤した麻藥を讓り渡すことを業とする者をいう。
9 この法律で「麻藥施用者」とは、医師、歯科医師又は獸医師であつて厚生大臣の免許を受け、他人又は家畜に対し治療の目的で麻藥を施用し、施用のため交付し、又は麻藥を記載した処方せんを交付する者をいう。
10 この法律で「麻藥管理者」とは、病院又は診療所において、厚生大臣の免許を受けてその病院又は診療所で施用し、又は施用のため交付する麻藥の讓受及び管理の責に任ずる者をいう。
11 この法律で「麻藥研究者」とは、厚生大臣の免許を受けて学術研究のため麻藥を使用する者をいう。
12 この法律で「家庭麻藥小賣業者」とは、厚生大臣の免許を受けて千分中四分以下の阿片、万分中五分以下のモルヒネ若しくはその塩類又は千分中二分以下のコデイン、ヒドロコデイン若しくはこれらの塩類が檢出され、これら以外の麻藥が檢出されない麻藥(以下家庭麻藥という。)を麻藥取扱者以外の者に讓り渡すことを業とする者をいう。
第三條 麻藥取扱者でなければ麻藥を所持し、輸入し、製造し、製剤し、小分し、施用のため交付し、讓り受け、讓り渡し、又は研究のため使用し、若しくは麻藥を記載した処方せんを交付してはならない。但し、この法律の規定により麻藥を麻藥施用者から施用のため交付を受け、又は麻藥小賣業者若しくは家庭麻藥小賣業者から讓り受け、若しくは讓り受けた者が、その麻藥を所持することは、この限りでない。
2 麻藥取扱者は、その業務の目的以外のために前項本文に規定する行爲をしてはならない。
3 この法律の規定により麻藥を所持する者は、麻藥をその所持の目的以外の目的に使用してはならない。
第四條 何人も、左に掲げる行爲をしてはならない。
一 麻藥原料植物の栽培
二 麻藥の輸出
三 ヂアセチルモルヒネ及びその塩類並びにこれらを含有する一切のものの所持、輸入、製造、製剤、小分、施用、施用のための交付、讓受又は讓渡
四 麻藥中毒のため公安をみだし、又は麻藥中毒のため自制心を失うこと。
第二章 免許
第五條 厚生大臣が麻藥取扱者免許を與えることができる者は、左に掲げる資格者であつて、且つ、厚生大臣が適当と認めた者とする。
一 麻藥輸入業者については、本人が藥剤師である医藥品輸入販賣業者又は藥剤師を使用する医藥品輸入販賣業者
二 麻藥製造業者、麻藥製剤業者又は麻藥小分業者については、本人が藥剤師である医藥品製造業者又は藥剤師を使用する医藥品製造業者
三 麻藥元卸賣業者及び麻藥卸賣業者については、本人が藥剤師である医藥品販賣業者又は藥剤師を使用する医藥品販賣業者
四 麻藥小賣業者については、藥局開設者
五 麻藥施用者については、医師、歯科医師又は獸医師
六 麻藥管理者については、医師、歯科医師又は藥剤師
七 麻藥研究者については、麻藥に関し相当な知識技能を持つものであると厚生大臣が認めた学術研究者
八 家庭麻藥小賣業者については、医藥品販賣業者
第六條 厚生省に麻藥取扱者名簿を備え、麻藥取扱者免許に関する事項を登録する。
2 前項の規定により登録すべき事項は、省令でこれを定める。
第七條 厚生大臣は、麻藥取扱者免許を與えるときは、麻藥取扱者名簿に登録し、麻藥取扱者免許証を交付する。
2 前項の免許証は、これを讓り渡し、又は貸與してはならない。
第八條 麻藥取扱者免許の有効期間は、免許の日からその年の十二月三十一日までとする。
第九條 第七條の規定により麻藥取扱者名簿に登録される者は、左の区別にしたがつて登録手数料を國庫に納めなければならない。
麻藥輸入業者、麻藥製造業者、麻藥製剤業者、麻藥小分業者又は麻藥元卸賣業者
千円
麻藥卸賣業者
七百円
麻藥小賣業者、麻藥施用者、麻藥管理者又は家庭麻藥小賣業者
百円
麻藥研究者
五十円
第十條 麻藥取扱者は、免許の取消を受けようとするときは、省令の定めるところにより厚生大臣に申請しなければならない。
2 麻藥取扱者が死亡又は解散したときは、相続人(相続人のあることが明らかでないときは、相続財産の管理人。以下同じ。)又は清算人は、省令の定めるところによりその旨を厚生大臣に届け出なければならない。
3 厚生大臣は、第一項の申請又は前項の届出があつたときは、麻藥取扱者名簿の登録をまつ消する。
第十一條 前五條に定めるものの外麻藥取扱者名簿の登録の変更、免許証の再交付又は返納その他麻藥取扱者名簿及び麻藥取扱者免許証に関して必要な事項は、省令でこれを定める。
2 麻藥取扱者名簿の登録の変更又は麻藥取扱者免許証の再交付をするときは、登録の変更又は免許証の再交付を申請した者は手数料として十円を國庫に納めなければならない。
第三章 麻藥取扱者
第十二條 麻藥取扱者は、麻藥取扱者でない者から麻藥を讓り受けてはならない。但し、第十七條本文又は第四十三條第三項の場合は、この限りではない。
第十三條 麻藥取扱者が家庭麻藥以外の麻藥を麻藥取扱者から讓り受け又は他の麻藥取扱者に讓り渡そうとするときは、政府発行の讓受証又は讓渡証の用紙に必要事項を記載し、且つ、これに記名し印を押して相手方に交付しなければならない。
2 前項の規定により讓受証又は讓渡証の交付を受けた者は、二年間これを保存しなければならない。
第十四條 麻藥取扱者は、業務所ごとに帳簿を備え、輸入し、製造し、製剤し、小分し、讓り受け、讓り渡し、又は施用し、若しくは施用のため交付した麻藥の品名及び数量、輸入、製造、製剤、小分、讓受、讓渡又は施用若しくは交付の年月日並びに讓受又は讓渡の相手方の住所及び氏名をこれに記入しなければならない。
2 麻藥管理者のある病院又は診療所の麻藥施用者が当該病院又は診療所において施用し、又は施用のため交付した麻藥については、当該麻藥管理者がその麻藥の品名、数量及び施用又は交付の年月日を記入しなければならない。この場合、前項の規定は、当該病院又は診療所の麻藥施用者については、これを適用しない。
3 第一項の規定による帳簿は、二年間これを保存しなければならない。
第十五條 麻藥取扱者は、その所持する麻藥を喪失し、盗み取られ、若しくはその所在が不明となつたとき、又はその所持する麻藥について省令で定める事故があつたときは、当該麻藥の品名及び数量その他必要な事項を速やかに業務所所在地を管轄する都道府縣知事に届け出なければならない。
第十六條 麻藥取扱者は、その所持する麻藥を他の医藥品と区別して、鍵をかけた堅固な場所に貯藏しなければならない。
第十七條 麻藥取扱者(麻藥管理者を除く。)が第十條又は第四十八條の規定により麻藥取扱者名簿の登録をまつ消され、若しくは麻藥取扱者免許がその効力を失つたことにより麻藥取扱者でなくなつたときは、麻藥取扱者であつた者、相続人又は清算人若しくは合併後存続する会社又は合併により設立された会社は、遅滯なく当該麻藥取扱者が所持していた麻藥の品名及び数量を厚生大臣に報告し、その麻藥を厚生大臣の許可を受けた麻藥取扱者に讓り渡さなければならない。但し、当該相続人又は会社が麻藥取扱者である場合において厚生大臣の許可を受けたときは、讓り渡すことを要しない。
第十八條 この法律の規定による麻藥輸入業者でなければ麻藥を輸入してはならない。
第十九條 麻藥輸入業者は、麻藥を輸入しようとするときは、その都度輸入しようとする麻藥の品名及び数量その他省令で定める事項について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十條 麻藥輸入業者は、麻藥を麻藥製造業者、麻藥製剤業者、麻藥小分業者及び麻藥元卸賣業者以外の者に讓り渡してはならない。
第二十一條 麻藥輸入業者は、翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻藥の品名及び数量並びに麻藥の容器に納められた容器一個あたりの量(以下容器の容量という。)及びその容器の数
二 その月中に輸入した麻藥の品名及び数量、容器の容量並びに輸入の年月日
三 その月中に讓り渡した麻藥の品名及び数量、容器の容量及び数並びに讓渡の年月日及び相手方
四 月末に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
五 その他省令で定める事項
第二十二條 この法律の規定による麻藥製造業者でなければ、麻藥を製造してはならない。
第二十三條 麻藥製造業者は、麻藥を製造しようとするときは、各業務所につき一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、製造しようとする麻藥の品名及び数量並びにその製造のために使用する麻藥の品名及び数量について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十四條 麻藥製造業者は、麻藥を麻藥製造業者、麻藥製剤業者、麻藥小分業者及び麻藥元卸賣業者以外の者に讓り渡してはならない。
第二十五條 麻藥製造業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に製造のために使用した麻藥の品名及び数量
三 その月中に製造した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その月中に讓り受け、又は讓り渡した麻藥の品名及び数量並びに讓受又は讓渡の年月日及び相手方
五 月末に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
六 その他省令で定める事項
2 麻藥製造業者は、各業務所につき一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、その期間満了後十日以内に左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 製造のために使用した麻藥の品名及び数量
二 製造した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その他省令で定める事項
第二十六條 この法律の規定による麻藥製剤業者でなければ、麻藥を製剤してはならない。
2 麻藥小分業者でなければ、麻藥を小分してはならない。
第二十七條 麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、麻藥を製剤し、又は小分しようとするときは、各業務所につき、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、製剤又は小分に供しようとする麻藥の品名及び数量並びに製剤し、又は小分しようとする麻藥の品名及び数量について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十八條 麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、麻藥を麻藥元卸賣業者以外の者に讓り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて讓り渡し、又は家庭麻藥を麻藥卸賣業者若しくは家庭麻藥小賣業者に讓り渡すことは、この限りでない。
第二十九條 麻藥輸入業者、麻藥製造業者、麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、その輸入し、製造し、製剤し、又は小分した麻藥を容器に納め、且つ政府発行の証紙で封を施さなければならない。但し、家庭麻藥については、政府発行の証紙で封を施すことを要しない。
2 麻藥取扱者は、前項の封を施した麻藥でなければ他の麻藥取扱者から讓り受け、又は他の麻藥取扱者に讓り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて讓り受け、若しくは讓り渡し又は家庭麻藥を讓り受け若しくは讓り渡すことは、この限りでない。
第三十條 麻藥輸入業者、麻藥製造業者、麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、その輸入し、製造し、製剤し、又は小分した麻藥を納めた容器又はその被包に省令の定めるところにより一定の事項を記載しなければならない。
第三十一條 麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に製剤又は小分に供した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その月中に製剤し、又は小分した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その月中に讓り受け、又は讓り渡した麻藥の品名及び数量、容器の容量及び数並びに讓受又は讓渡の年月日及び相手方
五 月末に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
六 その他省令で定める事項
2 麻藥製剤業者又は麻藥小分業者は、各業務所につき、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、その期間満了後十日以内に左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 製剤又は小分に供した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 製剤し、又は小分した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その他省令で定める事項
第三十二條 麻藥元卸賣業者又は麻藥卸賣業者は、第二十九條第一項の規定により封を施した麻藥であつて封のき損したものを讓り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて讓り渡すことは、この限りでない。
第三十三條 麻藥元卸賣業者は、麻藥卸賣業者以外の者に麻藥を讓り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて讓り渡し、又は家庭麻藥を家庭麻藥小賣業者に讓り渡すことは、この限りでない。
第三十四條 麻藥卸賣業者は、各業務所につき、当該業務所のある都道府縣内の麻藥小賣業者、麻藥施用者、麻藥管理者又は麻藥研究者以外の者に麻藥を讓り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて讓り渡し又は家庭麻藥を家庭麻藥小賣業者に讓り渡すことは、この限りでない。
第三十五條 麻藥元卸賣業者又は麻藥卸賣業者は、各業務所につき、翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に讓り受け、又は讓り渡した麻藥の品名及び数量、容器の容量及び数並びに讓受又は讓渡の年月日及び相手方
三 月末に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その他省令で定める事項
第三十六條 この法律の規定による麻藥小賣業者でなければ、麻藥施用者の麻藥を記載した処方せんに基き調剤した麻藥を讓り渡してはならない。但し、麻藥施用者が自己の処方せんに基き調剤した麻藥を施用のため交付することは、この限りでない。
2 麻藥小賣業者は、麻藥施用者の処方せんに基き、第二十九條第一項の規定により施した封を開いて容器から取り出して調剤した麻藥でなければ、これを讓り渡してはならない。
3 麻藥小賣業者は、その調剤した麻藥の処方せんを二年間保存しなければならない。
第三十七條 この法律の規定による麻藥施用者でなければ、麻藥を記載した処方せんを交付してはならない。
第三十八條 麻藥施用者は、他人又は家畜の疾病の治療以外の目的に麻藥を施用し、施用のため交付し、又は麻藥を記載した処方せんを交付してはならない。
2 麻藥施用者は、第二十九條第一項の規定により封を施した麻藥の封を開いて容器から取り出した麻藥でなければ、これを施用し、又は施用のため交付してはならない。
第三十九條 麻藥施用者は、麻藥の中毒者に対し、その中毒症状を緩和するため、又は中毒を治療するため麻藥を施用し、施用のため交付し、又は麻藥を記載した処方せんを交付してはならない。
第四十條 麻藥施用者は、麻藥を記載した処方せんを交付するときは、当該処方せんにその麻藥施用者の住所、氏名及び麻藥取扱者登録番号並びに処方せんの交付を受けた患者の住所、氏名、病名及び処方せんを交付した日附を記載しなければならない。
第四十一條 麻藥施用者は、麻藥に中毒していると診断したときは、速かにその中毒患者の住所、氏名、年齢、性別及び中毒している麻藥の品名を業務所所在地を管轄する都道府縣知事に届け出なければならない。
第四十二條 麻藥施用者は、麻藥を施用し、又は施用のため交付した患者の住所及び氏名(家畜のときはその種類並びに所有者の住所、氏名。)年齢、病名、主要症状、麻藥の施用量又は施用のための交付量及び施用又は施用のための交付年月日に関する記録を作らなければならない。
2 麻藥施用者は、前項の記録を二年間保存しなければならない。但し、麻藥管理者のある病院又は診療所にあつては、麻藥管理者がこれを保存しなければならない。
第四十三條 二人以上の麻藥施用者が診療に從事する病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所ごとに麻藥管理者一人を置かなければならない。
2 前項の病院又は診療所においては、麻藥管理者がその病院又は診療所で施用又は交付するため讓り受け、且つ管理する麻藥でなければ、これを施用し、又は施用のため交付してはならない。
3 病院又は診療所の麻藥管理者がその病院又は診療所の麻藥管理者でなくなつたときは、麻藥管理者であつた者(死亡の場合においてはその病院又は診療所の開設者。)は、遅滯なく当該麻藥管理者が所持していた麻藥を、引き続き麻藥管理者となつた者に引き渡し、且つその麻藥の品名及び数量を厚生大臣に報告しなければならない。但し、第一項の規定による麻藥管理者を置くことができないときは、麻藥管理者の管理していた麻藥を厚生大臣の許可を受けて麻藥取扱者に讓り渡さなければならない。
第四十四條 この法律の規定による家庭麻藥小賣業者でなければ、家庭麻藥を小賣してはならない。
第四十五條 家庭麻藥小賣業者は、帳簿を備え、讓受人をして、これに品名、数量、使用目的、年月日及び住所を書かせ、記名して印を押させないでは家庭麻藥を讓り渡してはならない。
2 前項の帳簿は、二年間これを保存しなければならない。
第四十六條 この法律の規定による麻藥研究者でなければ、麻藥を研究のため使用してはならない。
第四十七條 麻藥小賣業者、麻藥施用者、麻藥管理者及び麻藥研究者は、麻藥取扱者の免許がその効力を失つた後引き続いて免許の申請をするときは、左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 当該効力を失つた免許の申請をした日に所持した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 当該効力を失つた免許の申請をした日から免許の申請をする日までの間に讓り受け、讓り渡し、施用し、施用のため交付し、又は研究のため使用した麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 引き続いて免許の申請をする日に所持する麻藥の品名及び数量並びに容器の容量及び数
2 前項の場合において、麻藥管理者のある病院又は診療所の麻藥施用者が当該病院又は診療所において、施用し、又は施用のため交付した麻藥については、当該麻藥管理者が前項各号に掲げる事項を報告しなければならない。この場合、前項の規定は、当該病院又は診療所の麻藥施用者については、これを適用しない。
第四章 監督
第四十八條 麻藥取扱者がその業務に関し犯罪行爲をしたときは、厚生大臣は、麻藥取扱者名簿の登録をまつ消することができる。
2 麻藥取扱者がその業務に関し、不正の行爲をしたときは、厚生大臣又は都道府縣知事は、期間を限つて業務を停止することができる。
第四十九條 厚生大臣又は都道府縣知事は、麻藥取締のため特に必要があると認めたときは、麻藥取扱者に対し麻藥の輸入、製造、製剤、小分、讓受、讓渡、施用、施用のための交付又は処方せんの交付若しくは研究に関し必要な事項を命ずることができる。
第五十條 厚生大臣は、麻藥取扱者に対し、その業務について必要な事項を報告させることができる。
第五十一條 厚生大臣は、この法律の規定に違反して所持され、栽培され、輸入され、製造され、製剤され、小分され、讓り受けられ、讓り渡され、施用され、施用のため交付され、又は研究のため使用された麻藥について必要な処分をすることができる。
第五十二條 厚生大臣又は都道府縣知事は、麻藥取締のため特に必要があると認めたときは、当該官吏又は吏員に工場、店舗、倉庫、藥局、調剤所その他麻藥に関係ある場所に立ち入りその構造、設備、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を檢査させ、又は試驗のため必要な分量に限り麻藥を無償で収去させることができる。
2 当該官吏又は吏員が前項の規定により立入檢査又は収去をする場合には、その身分を証明する証票を携帶し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第五十三條 麻藥統制主事は、麻藥に関する違反の搜査にあたり厚生大臣の許可を受けてこの法律の規定に拘らず何人からも麻藥を讓り受けることができる。
第五章 雜則
第五十四條 この法律中、麻藥の讓渡又は讓受に関する規定は、同一人の麻藥取扱者の業務所相互間にもこれを準用する。
第五十五條 厚生大臣は、法令の規定により没収された麻藥について大藏大臣と協議の上必要な処分をすることができる。
第五十六條 厚生大臣は、この法律施行のため必要な命令を定めることができる。
第六章 罰則
第五十七條 第三條各項、第四條第一号、第二号若しくは第三号、第十二條、第十八條、第二十二條、第二十六條第一項若しくは第二項、第三十六條第一項、第三十七條、第三十八條第一項、第三十九條、第四十四條又は第四十六條の規定に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第五十八條 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第十九條、第二十條、第二十三條、第二十四條、第二十七條、第二十八條、第三十三條、第三十四條、第三十六條第二項又は第三十八條第二項の規定に違反した者
二 麻藥取扱者であつて、第二十條、第二十四條、第二十八條又は第三十四條の違反行爲の相手方となつた者
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第五十九條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第七條第二項、第十三條第一項若しくは第二項、第十四條各項、第十六條、第二十九條第一項若しくは第二項、第三十條、第三十六條第三項、第四十二條第一項若しくは第二項、第四十三條第二項又は第四十五條第一項若しくは第二項の規定に違反した者
二 第十三條第一項の規定による讓受証又は讓渡証、第十四條第一項の規定による帳簿、第四十條の規定による処方せん又は第四十二條第一項の規定による記録に虚僞の記載をした者
三 第十七條、第二十一條、第二十五條、第三十一條、第三十五條、第四十三條第三項、第四十七條第一項若しくは第二項又は第五十條の規定による報告をせず、若しくは虚僞の報告をした者
四 第十五條の規定による届出をせず、若しくは虚僞の届出をした者又は第四十一條の規定による届出をしなかつた者
五 第四十八條第二項の規定による業務の停止中にその業務をした者
六 第四十九條の規定に基く命令に違反した者
七 第五十一條の規定に基く処分又は第五十二條第一項の規定による当該官吏又は吏員の立入檢査若しくは収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
八 第十七條又は第四十三條第三項の規定に違反して厚生大臣の許可を受けた麻藥取扱者に麻藥を讓り渡さなかつた者
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第六十條 第四條第四号の規定に違反した者は、これを六月以上一年以下の懲役に処する。
第六十一條 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第十條第二項の規定による届出をしなかつた者
二 第十一條第一項の規定に基く免許証の返納をしなかつた者
三 第三十二條の規定に違反した者
第六十二條 第三條各項、第四條第一号、第二号若しくは第三号、第十二條、第十八條、第二十二條、第二十六條第一項若しくは第二項、第二十八條、第三十三條、第三十六條第一項、第三十七條、第三十八條第一項、第三十九條、第四十四條又は第四十六條の未遂罪は、これを罰する。
第六十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第五十七條から第五十九條まで、第六十一條又は前條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外その法人又は人に対しても各本條の罰金刑を科する。
附 則
第六十四條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第六十五條 阿片法(明治三十年法律第二十七号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く塩酸ヂアセチルモルヒネ及其の製剤の所有等の禁止及没収に関する件(昭和二十年厚生省令第四十四号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く麻藥原料植物の栽培、麻藥の製造、輸入及輸出等禁止に関する件(昭和二十年厚生省令第四十六号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く特殊物件中の麻藥の保管及受拂に関する件(昭和二十一年厚生省令第八号)及び昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く麻藥取締規則(昭和二十一年厚生省令第二十五号)は、これを廃止する。
第六十六條 この法律施行の際現に麻藥取締規則の規定により麻藥取扱者名簿に登録されている者は、これをこの法律の規定により登録された者とみなす。
第六十七條 この法律施行の際現に昭和二十年厚生省令第四十六号の規定により麻藥の製造の許可を受けている者は、これをこの法律の規定により許可されたものとみなす。
第六十八條 この法律施行の際現に麻藥取締規則の規定により麻藥の製剤又は小分の許可を受けている者は、これをこの法律の規定により許可されたものとみなす。
第六十九條 この法律施行の際現に麻藥取締規則の規定により容器又は被包に封を施した麻藥は、これをこの法律の規定により封を施した麻藥とみなす。
第七十條 この法律施行の際現に麻藥取締規則により麻藥取扱者の業務の停止の処分を受けている者は、これをこの法律の規定により受けたものとみなす。
2 この場合においては、停止の期間はなお從前の例による。
第七十一條 麻藥を納めた容器又は被包の記載事項は、この法律施行の日から一年を限りなお從前の例による。
第七十二條 二人以上の麻藥施用者が診療に從事する病院又は診療所においては、この法律施行の日から二月を限り從前の例により麻藥を施用し、又は施用のため交付することができる。
第七十三條 麻藥取締規則の規定による麻藥取扱者免許証はこの法律の規定による麻藥取扱者免許証とみなす。
第七十四條 第六十五條に掲げる法令廃止前にした行爲に対する罰則の適用については、同條に掲げる法令は、その廃止後もなおその効力を有する。
第七十五條 麻藥取締規則の規定による帳簿、文書又は記録はこの法律の規定による帳簿、記録、讓受証又は讓渡証とみなす。
大藏大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
内閣総理大臣 芦田均
麻薬取締法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月十日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百二十三号
麻薬取締法
第一章 総則
第一条 この法律で「麻薬」とは、左に掲げるものをいう。
一 阿片及びコカ葉(アルカロイドを抽出したコカ葉を除く。)
二 阿片又はコカ葉から抽出される一切のアルカロイド及びその誘導体並びにこれらの塩類
三 阿片又は前号に掲げるものと同様のらん用の虞があり、且つ、同様の害毒作用を引き起こす化学的合成品で厚生大臣が指定するもの
四 前三号に掲げるものを含有するもの
第二条 この法律で「麻薬取扱者」とは、麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬小分業者、麻薬元卸売業者、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者、麻薬研究者及び家庭麻薬小売業者をいう。
2 この法律で「麻薬輸入業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬を輸入することを業とする者をいう。
3 この法律で「麻薬製造業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬を製造(化学的方法により変形し、又は精製することをいう。以下同じ。)することを業とする者をいう。
4 この法律で「麻薬製剤業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬を製剤(化学的変化を伴わない加工であつて精製以外のものをいう。以下同じ。)することを業とする者をいう。
5 この法律で「麻薬小分業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬を小分することを業とする者をいう。
6 この法律で「麻薬元卸売業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬卸売業者に麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
7 この法律で「麻薬卸売業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者に麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
8 この法律で「麻薬小売業者」とは、厚生大臣の免許を受けて麻薬施用者の処方した処方せんに基き調剤した麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
9 この法律で「麻薬施用者」とは、医師、歯科医師又は獣医師であつて厚生大臣の免許を受け、他人又は家畜に対し治療の目的で麻薬を施用し、施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付する者をいう。
10 この法律で「麻薬管理者」とは、病院又は診療所において、厚生大臣の免許を受けてその病院又は診療所で施用し、又は施用のため交付する麻薬の譲受及び管理の責に任ずる者をいう。
11 この法律で「麻薬研究者」とは、厚生大臣の免許を受けて学術研究のため麻薬を使用する者をいう。
12 この法律で「家庭麻薬小売業者」とは、厚生大臣の免許を受けて千分中四分以下の阿片、万分中五分以下のモルヒネ若しくはその塩類又は千分中二分以下のコデイン、ヒドロコデイン若しくはこれらの塩類が検出され、これら以外の麻薬が検出されない麻薬(以下家庭麻薬という。)を麻薬取扱者以外の者に譲り渡すことを業とする者をいう。
第三条 麻薬取扱者でなければ麻薬を所持し、輸入し、製造し、製剤し、小分し、施用のため交付し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用し、若しくは麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。但し、この法律の規定により麻薬を麻薬施用者から施用のため交付を受け、又は麻薬小売業者若しくは家庭麻薬小売業者から譲り受け、若しくは譲り受けた者が、その麻薬を所持することは、この限りでない。
2 麻薬取扱者は、その業務の目的以外のために前項本文に規定する行為をしてはならない。
3 この法律の規定により麻薬を所持する者は、麻薬をその所持の目的以外の目的に使用してはならない。
第四条 何人も、左に掲げる行為をしてはならない。
一 麻薬原料植物の栽培
二 麻薬の輸出
三 ヂアセチルモルヒネ及びその塩類並びにこれらを含有する一切のものの所持、輸入、製造、製剤、小分、施用、施用のための交付、譲受又は譲渡
四 麻薬中毒のため公安をみだし、又は麻薬中毒のため自制心を失うこと。
第二章 免許
第五条 厚生大臣が麻薬取扱者免許を与えることができる者は、左に掲げる資格者であつて、且つ、厚生大臣が適当と認めた者とする。
一 麻薬輸入業者については、本人が薬剤師である医薬品輸入販売業者又は薬剤師を使用する医薬品輸入販売業者
二 麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は麻薬小分業者については、本人が薬剤師である医薬品製造業者又は薬剤師を使用する医薬品製造業者
三 麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者については、本人が薬剤師である医薬品販売業者又は薬剤師を使用する医薬品販売業者
四 麻薬小売業者については、薬局開設者
五 麻薬施用者については、医師、歯科医師又は獣医師
六 麻薬管理者については、医師、歯科医師又は薬剤師
七 麻薬研究者については、麻薬に関し相当な知識技能を持つものであると厚生大臣が認めた学術研究者
八 家庭麻薬小売業者については、医薬品販売業者
第六条 厚生省に麻薬取扱者名簿を備え、麻薬取扱者免許に関する事項を登録する。
2 前項の規定により登録すべき事項は、省令でこれを定める。
第七条 厚生大臣は、麻薬取扱者免許を与えるときは、麻薬取扱者名簿に登録し、麻薬取扱者免許証を交付する。
2 前項の免許証は、これを譲り渡し、又は貸与してはならない。
第八条 麻薬取扱者免許の有効期間は、免許の日からその年の十二月三十一日までとする。
第九条 第七条の規定により麻薬取扱者名簿に登録される者は、左の区別にしたがつて登録手数料を国庫に納めなければならない。
麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬小分業者又は麻薬元卸売業者
千円
麻薬卸売業者
七百円
麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は家庭麻薬小売業者
百円
麻薬研究者
五十円
第十条 麻薬取扱者は、免許の取消を受けようとするときは、省令の定めるところにより厚生大臣に申請しなければならない。
2 麻薬取扱者が死亡又は解散したときは、相続人(相続人のあることが明らかでないときは、相続財産の管理人。以下同じ。)又は清算人は、省令の定めるところによりその旨を厚生大臣に届け出なければならない。
3 厚生大臣は、第一項の申請又は前項の届出があつたときは、麻薬取扱者名簿の登録をまつ消する。
第十一条 前五条に定めるものの外麻薬取扱者名簿の登録の変更、免許証の再交付又は返納その他麻薬取扱者名簿及び麻薬取扱者免許証に関して必要な事項は、省令でこれを定める。
2 麻薬取扱者名簿の登録の変更又は麻薬取扱者免許証の再交付をするときは、登録の変更又は免許証の再交付を申請した者は手数料として十円を国庫に納めなければならない。
第三章 麻薬取扱者
第十二条 麻薬取扱者は、麻薬取扱者でない者から麻薬を譲り受けてはならない。但し、第十七条本文又は第四十三条第三項の場合は、この限りではない。
第十三条 麻薬取扱者が家庭麻薬以外の麻薬を麻薬取扱者から譲り受け又は他の麻薬取扱者に譲り渡そうとするときは、政府発行の譲受証又は譲渡証の用紙に必要事項を記載し、且つ、これに記名し印を押して相手方に交付しなければならない。
2 前項の規定により譲受証又は譲渡証の交付を受けた者は、二年間これを保存しなければならない。
第十四条 麻薬取扱者は、業務所ごとに帳簿を備え、輸入し、製造し、製剤し、小分し、譲り受け、譲り渡し、又は施用し、若しくは施用のため交付した麻薬の品名及び数量、輸入、製造、製剤、小分、譲受、譲渡又は施用若しくは交付の年月日並びに譲受又は譲渡の相手方の住所及び氏名をこれに記入しなければならない。
2 麻薬管理者のある病院又は診療所の麻薬施用者が当該病院又は診療所において施用し、又は施用のため交付した麻薬については、当該麻薬管理者がその麻薬の品名、数量及び施用又は交付の年月日を記入しなければならない。この場合、前項の規定は、当該病院又は診療所の麻薬施用者については、これを適用しない。
3 第一項の規定による帳簿は、二年間これを保存しなければならない。
第十五条 麻薬取扱者は、その所持する麻薬を喪失し、盗み取られ、若しくはその所在が不明となつたとき、又はその所持する麻薬について省令で定める事故があつたときは、当該麻薬の品名及び数量その他必要な事項を速やかに業務所所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
第十六条 麻薬取扱者は、その所持する麻薬を他の医薬品と区別して、鍵をかけた堅固な場所に貯蔵しなければならない。
第十七条 麻薬取扱者(麻薬管理者を除く。)が第十条又は第四十八条の規定により麻薬取扱者名簿の登録をまつ消され、若しくは麻薬取扱者免許がその効力を失つたことにより麻薬取扱者でなくなつたときは、麻薬取扱者であつた者、相続人又は清算人若しくは合併後存続する会社又は合併により設立された会社は、遅滞なく当該麻薬取扱者が所持していた麻薬の品名及び数量を厚生大臣に報告し、その麻薬を厚生大臣の許可を受けた麻薬取扱者に譲り渡さなければならない。但し、当該相続人又は会社が麻薬取扱者である場合において厚生大臣の許可を受けたときは、譲り渡すことを要しない。
第十八条 この法律の規定による麻薬輸入業者でなければ麻薬を輸入してはならない。
第十九条 麻薬輸入業者は、麻薬を輸入しようとするときは、その都度輸入しようとする麻薬の品名及び数量その他省令で定める事項について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十条 麻薬輸入業者は、麻薬を麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬小分業者及び麻薬元卸売業者以外の者に譲り渡してはならない。
第二十一条 麻薬輸入業者は、翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻薬の品名及び数量並びに麻薬の容器に納められた容器一個あたりの量(以下容器の容量という。)及びその容器の数
二 その月中に輸入した麻薬の品名及び数量、容器の容量並びに輸入の年月日
三 その月中に譲り渡した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲渡の年月日及び相手方
四 月末に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
五 その他省令で定める事項
第二十二条 この法律の規定による麻薬製造業者でなければ、麻薬を製造してはならない。
第二十三条 麻薬製造業者は、麻薬を製造しようとするときは、各業務所につき一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、製造しようとする麻薬の品名及び数量並びにその製造のために使用する麻薬の品名及び数量について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十四条 麻薬製造業者は、麻薬を麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬小分業者及び麻薬元卸売業者以外の者に譲り渡してはならない。
第二十五条 麻薬製造業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に製造のために使用した麻薬の品名及び数量
三 その月中に製造した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その月中に譲り受け、又は譲り渡した麻薬の品名及び数量並びに譲受又は譲渡の年月日及び相手方
五 月末に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
六 その他省令で定める事項
2 麻薬製造業者は、各業務所につき一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、その期間満了後十日以内に左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 製造のために使用した麻薬の品名及び数量
二 製造した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その他省令で定める事項
第二十六条 この法律の規定による麻薬製剤業者でなければ、麻薬を製剤してはならない。
2 麻薬小分業者でなければ、麻薬を小分してはならない。
第二十七条 麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、麻薬を製剤し、又は小分しようとするときは、各業務所につき、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、製剤又は小分に供しようとする麻薬の品名及び数量並びに製剤し、又は小分しようとする麻薬の品名及び数量について厚生大臣の許可を受けなければならない。
第二十八条 麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、麻薬を麻薬元卸売業者以外の者に譲り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて譲り渡し、又は家庭麻薬を麻薬卸売業者若しくは家庭麻薬小売業者に譲り渡すことは、この限りでない。
第二十九条 麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、その輸入し、製造し、製剤し、又は小分した麻薬を容器に納め、且つ政府発行の証紙で封を施さなければならない。但し、家庭麻薬については、政府発行の証紙で封を施すことを要しない。
2 麻薬取扱者は、前項の封を施した麻薬でなければ他の麻薬取扱者から譲り受け、又は他の麻薬取扱者に譲り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて譲り受け、若しくは譲り渡し又は家庭麻薬を譲り受け若しくは譲り渡すことは、この限りでない。
第三十条 麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、その輸入し、製造し、製剤し、又は小分した麻薬を納めた容器又はその被包に省令の定めるところにより一定の事項を記載しなければならない。
第三十一条 麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、各業務所につき翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に製剤又は小分に供した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その月中に製剤し、又は小分した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その月中に譲り受け、又は譲り渡した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲受又は譲渡の年月日及び相手方
五 月末に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
六 その他省令で定める事項
2 麻薬製剤業者又は麻薬小分業者は、各業務所につき、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、その期間満了後十日以内に左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 製剤又は小分に供した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 製剤し、又は小分した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 その他省令で定める事項
第三十二条 麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者は、第二十九条第一項の規定により封を施した麻薬であつて封のき損したものを譲り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて譲り渡すことは、この限りでない。
第三十三条 麻薬元卸売業者は、麻薬卸売業者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて譲り渡し、又は家庭麻薬を家庭麻薬小売業者に譲り渡すことは、この限りでない。
第三十四条 麻薬卸売業者は、各業務所につき、当該業務所のある都道府県内の麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。但し、厚生大臣の許可を受けて譲り渡し又は家庭麻薬を家庭麻薬小売業者に譲り渡すことは、この限りでない。
第三十五条 麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者は、各業務所につき、翌月十日までに左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 月初に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 その月中に譲り受け、又は譲り渡した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲受又は譲渡の年月日及び相手方
三 月末に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
四 その他省令で定める事項
第三十六条 この法律の規定による麻薬小売業者でなければ、麻薬施用者の麻薬を記載した処方せんに基き調剤した麻薬を譲り渡してはならない。但し、麻薬施用者が自己の処方せんに基き調剤した麻薬を施用のため交付することは、この限りでない。
2 麻薬小売業者は、麻薬施用者の処方せんに基き、第二十九条第一項の規定により施した封を開いて容器から取り出して調剤した麻薬でなければ、これを譲り渡してはならない。
3 麻薬小売業者は、その調剤した麻薬の処方せんを二年間保存しなければならない。
第三十七条 この法律の規定による麻薬施用者でなければ、麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。
第三十八条 麻薬施用者は、他人又は家畜の疾病の治療以外の目的に麻薬を施用し、施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。
2 麻薬施用者は、第二十九条第一項の規定により封を施した麻薬の封を開いて容器から取り出した麻薬でなければ、これを施用し、又は施用のため交付してはならない。
第三十九条 麻薬施用者は、麻薬の中毒者に対し、その中毒症状を緩和するため、又は中毒を治療するため麻薬を施用し、施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。
第四十条 麻薬施用者は、麻薬を記載した処方せんを交付するときは、当該処方せんにその麻薬施用者の住所、氏名及び麻薬取扱者登録番号並びに処方せんの交付を受けた患者の住所、氏名、病名及び処方せんを交付した日附を記載しなければならない。
第四十一条 麻薬施用者は、麻薬に中毒していると診断したときは、速かにその中毒患者の住所、氏名、年齢、性別及び中毒している麻薬の品名を業務所所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
第四十二条 麻薬施用者は、麻薬を施用し、又は施用のため交付した患者の住所及び氏名(家畜のときはその種類並びに所有者の住所、氏名。)年齢、病名、主要症状、麻薬の施用量又は施用のための交付量及び施用又は施用のための交付年月日に関する記録を作らなければならない。
2 麻薬施用者は、前項の記録を二年間保存しなければならない。但し、麻薬管理者のある病院又は診療所にあつては、麻薬管理者がこれを保存しなければならない。
第四十三条 二人以上の麻薬施用者が診療に従事する病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所ごとに麻薬管理者一人を置かなければならない。
2 前項の病院又は診療所においては、麻薬管理者がその病院又は診療所で施用又は交付するため譲り受け、且つ管理する麻薬でなければ、これを施用し、又は施用のため交付してはならない。
3 病院又は診療所の麻薬管理者がその病院又は診療所の麻薬管理者でなくなつたときは、麻薬管理者であつた者(死亡の場合においてはその病院又は診療所の開設者。)は、遅滞なく当該麻薬管理者が所持していた麻薬を、引き続き麻薬管理者となつた者に引き渡し、且つその麻薬の品名及び数量を厚生大臣に報告しなければならない。但し、第一項の規定による麻薬管理者を置くことができないときは、麻薬管理者の管理していた麻薬を厚生大臣の許可を受けて麻薬取扱者に譲り渡さなければならない。
第四十四条 この法律の規定による家庭麻薬小売業者でなければ、家庭麻薬を小売してはならない。
第四十五条 家庭麻薬小売業者は、帳簿を備え、譲受人をして、これに品名、数量、使用目的、年月日及び住所を書かせ、記名して印を押させないでは家庭麻薬を譲り渡してはならない。
2 前項の帳簿は、二年間これを保存しなければならない。
第四十六条 この法律の規定による麻薬研究者でなければ、麻薬を研究のため使用してはならない。
第四十七条 麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者及び麻薬研究者は、麻薬取扱者の免許がその効力を失つた後引き続いて免許の申請をするときは、左に掲げる事項を厚生大臣に報告しなければならない。
一 当該効力を失つた免許の申請をした日に所持した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
二 当該効力を失つた免許の申請をした日から免許の申請をする日までの間に譲り受け、譲り渡し、施用し、施用のため交付し、又は研究のため使用した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
三 引き続いて免許の申請をする日に所持する麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
2 前項の場合において、麻薬管理者のある病院又は診療所の麻薬施用者が当該病院又は診療所において、施用し、又は施用のため交付した麻薬については、当該麻薬管理者が前項各号に掲げる事項を報告しなければならない。この場合、前項の規定は、当該病院又は診療所の麻薬施用者については、これを適用しない。
第四章 監督
第四十八条 麻薬取扱者がその業務に関し犯罪行為をしたときは、厚生大臣は、麻薬取扱者名簿の登録をまつ消することができる。
2 麻薬取扱者がその業務に関し、不正の行為をしたときは、厚生大臣又は都道府県知事は、期間を限つて業務を停止することができる。
第四十九条 厚生大臣又は都道府県知事は、麻薬取締のため特に必要があると認めたときは、麻薬取扱者に対し麻薬の輸入、製造、製剤、小分、譲受、譲渡、施用、施用のための交付又は処方せんの交付若しくは研究に関し必要な事項を命ずることができる。
第五十条 厚生大臣は、麻薬取扱者に対し、その業務について必要な事項を報告させることができる。
第五十一条 厚生大臣は、この法律の規定に違反して所持され、栽培され、輸入され、製造され、製剤され、小分され、譲り受けられ、譲り渡され、施用され、施用のため交付され、又は研究のため使用された麻薬について必要な処分をすることができる。
第五十二条 厚生大臣又は都道府県知事は、麻薬取締のため特に必要があると認めたときは、当該官吏又は吏員に工場、店舗、倉庫、薬局、調剤所その他麻薬に関係ある場所に立ち入りその構造、設備、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験のため必要な分量に限り麻薬を無償で収去させることができる。
2 当該官吏又は吏員が前項の規定により立入検査又は収去をする場合には、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第五十三条 麻薬統制主事は、麻薬に関する違反の捜査にあたり厚生大臣の許可を受けてこの法律の規定に拘らず何人からも麻薬を譲り受けることができる。
第五章 雑則
第五十四条 この法律中、麻薬の譲渡又は譲受に関する規定は、同一人の麻薬取扱者の業務所相互間にもこれを準用する。
第五十五条 厚生大臣は、法令の規定により没収された麻薬について大蔵大臣と協議の上必要な処分をすることができる。
第五十六条 厚生大臣は、この法律施行のため必要な命令を定めることができる。
第六章 罰則
第五十七条 第三条各項、第四条第一号、第二号若しくは第三号、第十二条、第十八条、第二十二条、第二十六条第一項若しくは第二項、第三十六条第一項、第三十七条、第三十八条第一項、第三十九条、第四十四条又は第四十六条の規定に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第五十八条 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第十九条、第二十条、第二十三条、第二十四条、第二十七条、第二十八条、第三十三条、第三十四条、第三十六条第二項又は第三十八条第二項の規定に違反した者
二 麻薬取扱者であつて、第二十条、第二十四条、第二十八条又は第三十四条の違反行為の相手方となつた者
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第五十九条 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第七条第二項、第十三条第一項若しくは第二項、第十四条各項、第十六条、第二十九条第一項若しくは第二項、第三十条、第三十六条第三項、第四十二条第一項若しくは第二項、第四十三条第二項又は第四十五条第一項若しくは第二項の規定に違反した者
二 第十三条第一項の規定による譲受証又は譲渡証、第十四条第一項の規定による帳簿、第四十条の規定による処方せん又は第四十二条第一項の規定による記録に虚偽の記載をした者
三 第十七条、第二十一条、第二十五条、第三十一条、第三十五条、第四十三条第三項、第四十七条第一項若しくは第二項又は第五十条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
四 第十五条の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をした者又は第四十一条の規定による届出をしなかつた者
五 第四十八条第二項の規定による業務の停止中にその業務をした者
六 第四十九条の規定に基く命令に違反した者
七 第五十一条の規定に基く処分又は第五十二条第一項の規定による当該官吏又は吏員の立入検査若しくは収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
八 第十七条又は第四十三条第三項の規定に違反して厚生大臣の許可を受けた麻薬取扱者に麻薬を譲り渡さなかつた者
2 前項の刑は、情状により、これを併科することができる。
第六十条 第四条第四号の規定に違反した者は、これを六月以上一年以下の懲役に処する。
第六十一条 左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
一 第十条第二項の規定による届出をしなかつた者
二 第十一条第一項の規定に基く免許証の返納をしなかつた者
三 第三十二条の規定に違反した者
第六十二条 第三条各項、第四条第一号、第二号若しくは第三号、第十二条、第十八条、第二十二条、第二十六条第一項若しくは第二項、第二十八条、第三十三条、第三十六条第一項、第三十七条、第三十八条第一項、第三十九条、第四十四条又は第四十六条の未遂罪は、これを罰する。
第六十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第五十七条から第五十九条まで、第六十一条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
第六十四条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第六十五条 阿片法(明治三十年法律第二十七号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く塩酸ヂアセチルモルヒネ及其の製剤の所有等の禁止及没収に関する件(昭和二十年厚生省令第四十四号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く麻薬原料植物の栽培、麻薬の製造、輸入及輸出等禁止に関する件(昭和二十年厚生省令第四十六号)、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く特殊物件中の麻薬の保管及受払に関する件(昭和二十一年厚生省令第八号)及び昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く麻薬取締規則(昭和二十一年厚生省令第二十五号)は、これを廃止する。
第六十六条 この法律施行の際現に麻薬取締規則の規定により麻薬取扱者名簿に登録されている者は、これをこの法律の規定により登録された者とみなす。
第六十七条 この法律施行の際現に昭和二十年厚生省令第四十六号の規定により麻薬の製造の許可を受けている者は、これをこの法律の規定により許可されたものとみなす。
第六十八条 この法律施行の際現に麻薬取締規則の規定により麻薬の製剤又は小分の許可を受けている者は、これをこの法律の規定により許可されたものとみなす。
第六十九条 この法律施行の際現に麻薬取締規則の規定により容器又は被包に封を施した麻薬は、これをこの法律の規定により封を施した麻薬とみなす。
第七十条 この法律施行の際現に麻薬取締規則により麻薬取扱者の業務の停止の処分を受けている者は、これをこの法律の規定により受けたものとみなす。
2 この場合においては、停止の期間はなお従前の例による。
第七十一条 麻薬を納めた容器又は被包の記載事項は、この法律施行の日から一年を限りなお従前の例による。
第七十二条 二人以上の麻薬施用者が診療に従事する病院又は診療所においては、この法律施行の日から二月を限り従前の例により麻薬を施用し、又は施用のため交付することができる。
第七十三条 麻薬取締規則の規定による麻薬取扱者免許証はこの法律の規定による麻薬取扱者免許証とみなす。
第七十四条 第六十五条に掲げる法令廃止前にした行為に対する罰則の適用については、同条に掲げる法令は、その廃止後もなおその効力を有する。
第七十五条 麻薬取締規則の規定による帳簿、文書又は記録はこの法律の規定による帳簿、記録、譲受証又は譲渡証とみなす。
大蔵大臣 北村徳太郎
厚生大臣 竹田儀一
内閣総理大臣 芦田均