予算決算及び会計令
法令番号: 勅令第百六十五号
公布年月日: 昭和22年4月30日
法令の形式: 勅令
  • 改正: 昭和22年10月20日 政令第220号
  • 改正: 昭和22年12月24日 政令第281号
  • 改正: 昭和22年12月29日 政令第315号
  • 改正: 昭和23年6月28日 政令第141号
  • 改正: 昭和23年7月1日 政令第146号
  • 改正: 昭和23年9月22日 政令第297号
  • 改正: 昭和23年11月13日 政令第334号
  • 改正: 昭和24年4月18日 政令第69号
  • 改正: 昭和24年4月30日 政令第81号
  • 改正: 昭和24年5月31日 政令第127号
  • 改正: 昭和24年5月31日 政令第149号
  • 改正: 昭和24年5月31日 政令第179号
  • 改正: 昭和24年10月28日 政令第356号
  • 改正: 昭和25年3月31日 政令第62号
  • 改正: 昭和25年4月28日 政令第99号
  • 改正: 昭和25年5月20日 政令第149号
  • 改正: 昭和25年9月20日 政令第291号
  • 改正: 昭和26年3月31日 政令第77号
  • 改正: 昭和26年3月31日 政令第82号
  • 改正: 昭和26年4月11日 政令第101号
  • 改正: 昭和26年5月28日 政令第163号
  • 改正: 昭和27年1月22日 政令第7号
  • 改正: 昭和27年3月31日 政令第76号
  • 改正: 昭和27年7月2日 政令第222号
  • 改正: 昭和27年7月31日 政令第288号
  • 改正: 昭和27年7月31日 政令第305号
  • 改正: 昭和27年11月12日 政令第456号
  • 改正: 昭和27年12月25日 政令第496号
  • 改正: 昭和28年2月17日 政令第20号
  • 改正: 昭和28年3月18日 政令第32号
  • 改正: 昭和28年8月8日 政令第175号
  • 改正: 昭和28年12月18日 政令第393号
  • 改正: 昭和29年3月31日 政令第51号
  • 改正: 昭和29年6月28日 政令第171号
  • 改正: 昭和30年4月1日 政令第53号
  • 改正: 昭和30年5月19日 政令第76号
  • 改正: 昭和30年7月29日 政令第140号
  • 改正: 昭和30年8月20日 政令第187号
  • 改正: 昭和31年5月11日 政令第129号
  • 改正: 昭和31年6月15日 政令第186号
  • 改正: 昭和31年8月21日 政令第265号
  • 改正: 昭和31年11月10日 政令第337号
  • 改正: 昭和31年11月10日 政令第339号
  • 改正: 昭和32年3月26日 政令第28号
  • 改正: 昭和32年4月27日 政令第78号
  • 改正: 昭和32年4月27日 政令第79号
  • 改正: 昭和32年11月8日 政令第315号
  • 改正: 昭和33年6月30日 政令第204号
  • 改正: 昭和33年7月25日 政令第230号
  • 改正: 昭和34年4月13日 政令第122号
  • 改正: 昭和34年7月20日 政令第258号
  • 改正: 昭和34年12月26日 政令第383号
  • 改正: 昭和35年6月16日 政令第160号
  • 改正: 昭和37年4月2日 政令第136号
  • 改正: 昭和37年6月4日 政令第237号
  • 改正: 昭和37年7月31日 政令第314号
  • 改正: 昭和38年4月30日 政令第152号
  • 改正: 昭和39年10月12日 政令第333号
  • 改正: 昭和40年4月1日 政令第111号
  • 改正: 昭和40年4月12日 政令第124号
  • 改正: 昭和40年6月15日 政令第206号
  • 改正: 昭和41年4月11日 政令第114号
  • 改正: 昭和41年6月13日 政令第187号
  • 改正: 昭和41年9月30日 政令第339号
  • 改正: 昭和42年8月31日 政令第273号
  • 改正: 昭和43年7月29日 政令第262号
  • 改正: 昭和43年10月7日 政令第301号
  • 改正: 昭和44年3月15日 政令第23号
  • 改正: 昭和44年3月31日 政令第48号
  • 改正: 昭和44年12月17日 政令第298号
  • 改正: 昭和45年7月13日 政令第220号
  • 改正: 昭和45年8月3日 政令第230号
  • 改正: 昭和45年10月9日 政令第300号
  • 改正: 昭和46年6月25日 政令第210号
  • 改正: 昭和46年11月26日 政令第350号
  • 改正: 昭和47年3月31日 政令第47号
  • 改正: 昭和47年5月13日 政令第186号
  • 改正: 昭和47年7月24日 政令第287号
  • 改正: 昭和47年11月9日 政令第395号
  • 改正: 昭和48年7月10日 政令第193号
  • 改正: 昭和49年5月18日 政令第169号
  • 改正: 昭和49年7月16日 政令第267号
  • 改正: 昭和51年3月30日 政令第40号
  • 改正: 昭和51年6月29日 政令第176号
  • 改正: 昭和52年3月31日 政令第45号
  • 改正: 昭和52年5月4日 政令第137号
  • 改正: 昭和53年3月31日 政令第66号
  • 改正: 昭和53年6月20日 政令第243号
  • 改正: 昭和53年12月28日 政令第406号
  • 改正: 昭和54年3月30日 政令第50号
  • 改正: 昭和55年3月28日 政令第25号
  • 改正: 昭和55年8月30日 政令第233号
  • 改正: 昭和56年3月20日 政令第29号
  • 改正: 昭和56年3月27日 政令第45号
  • 改正: 昭和56年10月27日 政令第310号
  • 改正: 昭和57年3月30日 政令第60号
  • 改正: 昭和58年3月31日 政令第47号
  • 改正: 昭和58年6月10日 政令第126号
  • 改正: 昭和59年3月30日 政令第53号
  • 改正: 昭和59年9月7日 政令第268号
  • 改正: 昭和59年9月21日 政令第273号
  • 改正: 昭和60年3月5日 政令第24号
  • 改正: 昭和60年3月15日 政令第31号
  • 改正: 昭和60年3月26日 政令第44号
  • 改正: 昭和60年7月16日 政令第233号
  • 改正: 昭和60年10月4日 政令第281号
  • 改正: 昭和61年3月28日 政令第42号
  • 改正: 昭和61年3月28日 政令第53号
  • 改正: 昭和61年6月3日 政令第200号
  • 改正: 昭和62年3月20日 政令第54号
  • 改正: 昭和62年3月27日 政令第72号
  • 改正: 昭和63年3月29日 政令第58号
  • 改正: 昭和63年6月21日 政令第214号
  • 改正: 昭和63年12月23日 政令第350号
  • 改正: 平成1年3月29日 政令第79号
  • 改正: 平成2年3月28日 政令第55号
  • 改正: 平成2年7月10日 政令第207号
  • 改正: 平成2年9月28日 政令第290号
  • 改正: 平成3年3月15日 政令第31号
  • 改正: 平成5年6月30日 政令第236号
  • 改正: 平成6年12月26日 政令第411号
  • 改正: 平成7年3月31日 政令第156号
  • 改正: 平成7年6月16日 政令第246号
  • 改正: 平成7年10月18日 政令第359号
  • 改正: 平成8年3月25日 政令第42号
  • 改正: 平成8年3月27日 政令第61号
  • 改正: 平成9年2月19日 政令第17号
  • 改正: 平成9年3月28日 政令第91号
  • 改正: 平成9年11月19日 政令第333号
  • 改正: 平成9年11月27日 政令第337号
  • 改正: 平成9年12月5日 政令第349号
  • 改正: 平成10年3月25日 政令第61号
  • 改正: 平成10年6月26日 政令第241号
  • 改正: 平成11年1月14日 政令第9号
  • 改正: 平成11年2月26日 政令第31号
  • 改正: 平成11年3月17日 政令第45号
  • 改正: 平成11年9月16日 政令第267号
  • 改正: 平成11年9月20日 政令第272号
  • 改正: 平成11年12月27日 政令第431号
  • 改正: 平成12年2月14日 政令第32号
  • 改正: 平成12年2月16日 政令第37号
  • 改正: 平成12年3月29日 政令第126号
  • 改正: 平成12年6月7日 政令第307号
  • 改正: 平成12年6月23日 政令第361号
  • 改正: 平成12年9月6日 政令第419号
  • 改正: 平成13年3月28日 政令第67号
  • 改正: 平成14年3月29日 政令第81号
  • 改正: 平成14年8月30日 政令第282号
  • 改正: 平成14年12月18日 政令第385号
  • 改正: 平成15年1月31日 政令第28号
  • 改正: 平成15年3月28日 政令第102号
  • 改正: 平成15年6月27日 政令第285号
  • 改正: 平成15年12月3日 政令第476号
  • 改正: 平成16年3月26日 政令第74号
  • 改正: 平成16年4月1日 政令第156号
  • 改正: 平成16年10月20日 政令第318号
  • 改正: 平成17年1月4日 政令第1号
  • 改正: 平成17年2月18日 政令第24号
  • 改正: 平成17年3月24日 政令第62号
  • 改正: 平成18年3月23日 政令第50号
  • 改正: 平成18年5月8日 政令第193号
  • 改正: 平成18年11月22日 政令第361号
  • 改正: 平成18年12月15日 政令第382号
  • 改正: 平成18年12月20日 政令第389号
  • 改正: 平成19年1月4日 政令第3号
  • 改正: 平成19年3月22日 政令第54号
  • 改正: 平成19年3月31日 政令第124号
  • 改正: 平成19年5月25日 政令第168号
  • 改正: 平成19年8月3日 政令第235号
  • 改正: 平成20年2月14日 政令第26号
  • 改正: 平成20年2月29日 政令第40号
  • 改正: 平成20年3月28日 政令第78号
  • 改正: 平成20年4月23日 政令第146号
  • 改正: 平成20年5月13日 政令第176号
  • 改正: 平成20年5月21日 政令第180号
  • 改正: 平成20年7月25日 政令第237号
  • 改正: 平成20年9月12日 政令第283号
  • 改正: 平成20年9月19日 政令第297号
  • 改正: 平成21年3月27日 政令第60号
  • 改正: 平成21年4月30日 政令第130号
  • 改正: 平成21年12月24日 政令第296号
  • 改正: 平成22年3月31日 政令第72号
  • 改正: 平成22年3月31日 政令第75号
  • 改正: 平成23年3月30日 政令第47号
  • 改正: 平成23年3月31日 政令第92号
  • 改正: 平成23年9月30日 政令第308号
  • 改正: 平成24年3月28日 政令第67号
  • 改正: 平成24年3月31日 政令第99号
  • 改正: 平成24年3月31日 政令第113号
  • 改正: 平成24年7月19日 政令第197号
  • 改正: 平成24年7月25日 政令第202号
  • 改正: 平成25年3月13日 政令第54号
  • 改正: 平成25年3月29日 政令第98号
  • 改正: 平成25年6月26日 政令第192号
  • 改正: 平成26年6月25日 政令第223号
  • 改正: 平成26年9月30日 政令第316号
  • 改正: 平成27年3月25日 政令第93号
  • 改正附則への改正: 平成27年3月31日 政令第161号
  • 改正: 平成27年3月31日 政令第162号
  • 改正: 平成27年3月31日 政令第166号
  • 改正: 平成27年7月1日 政令第263号
  • 改正: 平成28年2月17日 政令第43号
  • 改正: 平成28年4月27日 政令第209号
  • 改正: 平成28年11月28日 政令第360号
  • 改正: 平成29年3月23日 政令第40号
  • 改正: 平成30年6月6日 政令第183号
  • 改正附則への改正: 令和1年6月21日 政令第32号
  • 改正附則への改正: 令和1年6月28日 政令第44号
  • 改正: 令和2年12月23日 政令第360号
  • 改正: 令和3年4月23日 政令第146号
  • 改正: 令和3年6月18日 政令第172号
朕は、会計規則を改正する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月二十八日
內閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
國務大臣 齋藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
國務大臣 星島二郞
厚生大臣 河合良成
內務大臣 植原悅二郞
大藏大臣 石橋湛山
國務大臣 金森德次郞
運輸大臣 增田甲子七
商工大臣 石井光次郞
文部大臣 高橋誠一郞
農林大臣 木村小左衞門
國務大臣 田中萬逸
國務大臣 高瀨莊太郞
勅令第百六十五号
予算決算及び会計令目次
第一章
総則
第一節
会計年度所属区分
第二節
出納整理期限
第二章
予算
第一節
予算の作成
第二節
予算の執行
第三章
決算
第四章
予算繰越
第五章
收入
第一節
徵收
第二節
收納
第三節
返納金の戾入
第四節
報吿
第六章
支出及び債務の負担
第一節
債務の負担
第二節
支出総則
第三節
小切手等の振出
第四節
支出の特例
第五節
支拂
第六節
報吿
第七章
契約
第一節
総則
第二節
一般競爭契約
第三節
指名競爭契約
第四節
随意契約
第八章
國庫金及び有價証券
第一節
保管金及び有價証券
第二節
國庫金の出納
第三節
日本銀行の計算報吿及び出納証明
第九章
出納官吏
第一節
総則
第二節
責任
第三節
檢査及び証明
第十章
帳簿
第十一章
雜則
予算決算及び会計令
第一章 総則
第一節 会計年度所属区分
第一條 歲入の会計年度所属は、左の区分による。
一 納期の一定している收入はその納期末日の属する年度
二 随時の收入で納入吿知書を発するものは納入吿知書を発した日の属する年度
三 随時の收入で納入吿知書を発しないものは領收した日の属する年度
四 課稅標準の申吿をなすべき租稅收入で納期の一定していないものはその申吿をした日の属する年度
前項第一号の收入で納入吿知書を発すべきものについて、納期所属の会計年度において納入吿知書を発しなかつたときは、当該收入は納入吿知書を発した日の属する会計年度の歲入に組み入れるものとする。
第二條 歲出の会計年度所属は、左の区分による。
一 國債の元利、年金、恩給の類は支拂期日の属する年度
二 諸拂戾金、欠損補塡金、償還金の類はその決定をした日の属する年度
三 給與、旅費、手数料の類はその支給すべき事実の生じた時の属する年度
四 使用料、保管料、電燈電力料の類はその支拂の原因たる事実の存した期間の属する年度
五 工事製造費、物件の購入代價、運賃の類及び補助費の類で相手方の行爲の完了があつた後交付するものはその支拂をなすべき日の属する年度
六 前各号に該当しない費用で繰替拂をなしたものはその繰替拂をした日の属する年度、その他のものは小切手を振り出し又は國庫金振替書を発した日の属する年度
第二節 出納整理期限
第三條 出納官吏又は出納員において每会計年度所属の歲入金を收納するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第四條 支出官において每会計年度に属する経費を精算して支出するのは、翌年度の四月三十日限りとする。但し、國庫內における移換のためにする支出又は会計法第二十條第一項の規定により歲出金に繰替使用した現金の補塡のためにする支出については、翌年度の五月三十一日まで、小切手を振り出し又は國庫金振替書を発することができる。
第五條 出納官吏又は出納員において每会計年度所属の歲出金を支拂うのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第六條 会計法第九條但書の規定により支出済となつた歲出金の返納金を、支拂つた歲出の金額に戾入するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第七條 日本銀行において每会計年度所属の歲入金を受け入れるのは、翌年度の四月三十日限りとする。但し、左に揭げる場合においては、翌年度の五月三十一日まで、これが受入をすることができる。
一 出納官吏からその收納した歲入金の拂込があつたとき
二 市町村又はこれに準ずべきものからその領收した歲入金の送付があつたとき
三 國庫內において移換による歲入金の受入をするとき
日本銀行において每会計年度所属の歲出金を支拂うのは、翌年度の五月三十一日限りとする。
第二章 予算
第一節 予算の作成
第八條 財政法第十七條第一項の規定により、內閣に送付すべき書類は、大藏大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを內閣に送付しなければならない。
內閣は、前項の書類の送付を受けたときは、これを遅滯なく大藏大臣に回付しなければならない。
財政法第十七條第二項の規定により、大藏大臣に送付すべき書類は、大藏大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第九條 大藏大臣は、財政法第十八條第一項の規定により歲入、歲出及び國庫債務負担行爲の槪算について閣議の決定を経たときは、これを各省各廳の長に通知しなければならない。
第十條 財政法第二十條第一項の規定による歲入予算明細書は、部局等ごとに歲入の金額を分ち、部局等のうちにおいてはこれを部款項に区分し、更に、各項の金額を各自に区分し、見積の事由及び計算の基くところを示さなければならない。
第十一條 財政法第二十條第二項の規定による予定経費要求書は、部局等ごとに歲出の金額を分ち、部局等のうちにおいてはこれを部款項目に区分し、更に、各自の金額を節に細分し、経費所要の理由及び計算の基くところを示さなければならない。
財政法第二十條第二項の規定による國庫債務負担行爲要求書は、國庫債務負担行爲について部局等ごとの区分を設け、更に事項ごとにその必要の理由を明らかにし、且つ行爲をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにし、又、必要に應じて行爲に基いて支出をなすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
予定経費要求書及び國庫債務負担行爲要求書は、前年度の十月三十一日までに、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十二條 予定経費要求書の部局等の区分及び目節の区分並びに國庫債務負担行爲要求書の部局等の区分は、各省各廳の長が大藏大臣に協議してこれを定める。
第十三條 予定経費要求書には、各省各廳の所掌する経費全体に関する說明及び部局等ごとに各款各項の說明を附さなければならない。
第十四條 歲入歲出予算の部款項の区分は、大藏大臣がこれを定める。
第十五條 各省各廳の長は、財政法第二十五條の規定により、歲出予算のうち、翌年度に繰り越して使用する必要があるものについては、その旨を予定経費要求書のうちに明示しなければならない。
第二節 予算の執行
第十六條 大藏大臣は、予算が成立したときは、直ちに、國会の議決したところに從い、各省各廳の長の執行すべき歲入歲出予算及び國庫債務負担行爲を作製し、これを內閣に送付しなければならない。
第十七條 財政法第三十三條第一項但書の規定により、各省各廳內の部局等の間において流用することができる場合は、大藏大臣の承認を経て同一名称の項に属する同一名称の目の金額相互の間において流用する場合に限る。
前項の規定により流用した経費の金額は、これを他の経費の金額に流用することができない。
部局等內の歲費、官吏給(職員給を含む。)、給料、手当及び給與、旅費、渡切費、補助負担金及び交付金、交際費、報償費及び大藏大臣の指定する経費については、大藏大臣の承認を経なければ、同一項のうちで、これに他の経費の金額を流用し又はその経費の金額を他の経費に流用することができない。
各省各廳の長は、前項に規定する場合を除く外、同一項のうちで目又は節の金額を彼此流用することができる。
各省各廳の長は、前項の規定により目又は節の金額の流用をした場合においては、遅滯なく理由並びに流用した科目、流用先の科目及び流用の金額を大藏大臣に通知しなければならない。
第十八條 財政法第十五條第二項の規定によりなした國庫債務負担行爲については、各省各廳の長は、その調書を作製して、次の國会の常会の開会後、直ちに、これを大藏大臣に送付しなければならない。
大藏大臣は、前項の調書に基いて國庫債務負担行爲の総調書を作製して、國会に報吿する手続をしなければならない。
第三章 決算
第十九條 財政法第六條に規定する剩余金は、当該年度においてあらたに生じた剩余金から当該年度の翌年度に繰り越した歲出予算の財源に充てるべき金額を控除してこれを計算する。
第二十條 財政法第三十七條第一項の規定による歲入及び歲出の決算報吿書並びに國の債務に関する計算書は、翌年度の七月三十一日までに、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第二十一條 歲入徵收官は、会計檢査院に証明のため、歲入徵收額計算書を作製し、証拠書類を添え、当該歲入に関する事務を管理する各省各廳の長に送付し、各省各廳の長は、これを会計檢査院に送付しなければならない。
第二十二條 支出官は、会計檢査院に証明のため、支出計算書を作製し、証拠書類を添え、当該支出に関する事務を管理する各省各廳の長に送付し、各省各廳の長は、これを会計檢査院に送付しなければならない。
第二十三條 前二條に規定する計算書は、各省各廳の長から特に委任を受けた官吏をして、直ちに、これを会計檢査院に送付せしめることができる。
第四章 予算繰越
第二十四條 財政法第四十三條第一項の規定により、繰越についての大藏大臣の承認を経るため繰越計算書を送付するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
繰越計算書は、財政法第三十一條第一項の規定により配賦された歲出予算と同一の区分により作製し、且つ、これに左の事項を示さなければならない。
一 繰越を必要とする項の経費の金額
二 前号の経費の金額のうち支出済となつた額及び当該年度所属として支出すべき額
三 第一号の経費の金額のうち翌年度に繰越を必要とする額
四 第一号の経費の金額のうち不用となるべき額
第二十五條 財政法第四十二條但書の規定により、年度內に契約等をなし避け難い事故のため年度內に支出を終らなかつた経費の金額について繰越をする場合は、繰越計算書に契約書の写その他の参照書類を添附しなければならない。
第五章 收入
第一節 徵收
第二十六條 歲入徵收官は、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、各省各廳の長の指定する各廳の長(衆議院、参議院及び会計檢査院における事務総局の長並びに最高裁判所の事務局の長を含む。以下本項中同じ。)を以てこれに充てる。但し、各省各廳の長が必要があると認めるときは、大藏大臣に協議して各廳の長以外の官吏を歲入徵收官に指定することができる。
各省各廳の長は、必要があると認めるときは、歲入徵收官以外の官吏をして歲入徵收官の事務の一部を分掌せしめることができる。
各省各廳の長は、前二項の規定により歲入徵收官及び歲入徵收官の事務の一部を分掌する官吏を置いたときは、その旨を大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第二十七條 支出済となつた歲出の返納金を歲入に組み入れる場合においては、当該経費を支出した支出官が歲入徵收官として徵收の手続をしなければならない。
第二十八條 歲入徵收官は、租稅その他の歲入を調査決定しようとするときは、当該歲入について法令に違反していないか、所属年度及び歲入科目を誤ることがないかを調査しなければならない。
第二十九條 会計法第六條の規定による納入の吿知は、債務者に対し歲入科目、納付すべき金額、期限及び場所を記載した書面を以てこれをしなければならない。但し、出納官吏又は出納員に卽納せしめる場合は、口頭を以てこれをなすことができる。
第三十條 会計法第八條但書の規定により、稅務署長、地方專賣局の出張所長及び営林署長については、歲入徵收の職務と現金出納の職務とを相兼ねしめることができるものとする。
第二節 收納
第三十一條 出納官吏又は出納員は、租稅その他の歲入金の收納をしたときは、領收証書を納入者に交付しなければならない。この場合においては、出納官吏は、收納済の旨を歲入徵收官に報吿しなければならない。
第三十二條 日本銀行において、歲入金を收納し又は歲入金の拂込を受けたときは、領收証書を納入者又は拂込者に交付し、領收済の旨を歲入徵收官に報吿しなければならない。
日本銀行において、國庫金振替書により歲入金に移換の請求を受けたときは、振替済書を請求者に交付し、振替済の旨を歲入徵收官に報吿しなければならない。
第三節 返納金の戾入
第三十三條 支出済となつた歲出の返納金は、その支拂つた歲出の金額にこれを戾入することができる。但し、重大な過失に因り誤拂過渡となつた金額についてはこの限りでない。
第三十四條 支出官は、前條の規定により支拂つた歲出の金額に戾入をしようとするときは、返納者をしてその金額を返納せしめなければならない。
第三十五條 日本銀行において、前條の返納金を領收したときは、これに相当する金額について支拂計画の金額に戾入の記帳をなし、その旨を支出官に通知しなければならない。
第四節 報吿
第三十六條 歲入徵收官は、每月、徵收報吿書を作製し、参照書類を添え、これを当該歲入に関する事務を管理する各省各廳の長に送付しなければならない。
第三十七條 各省各廳の長は、徵收報吿書により、每月、徵收総報吿書を作製し、参照書類を添え、その翌月中にこれを大藏大臣に送付しなければならない。
第六章 支出及び債務の負担
第一節 債務の負担
第三十八條 各省各廳の長は、会計法第十三條の規定により他の官吏に契約等の事務を委任したときは、その旨を大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第三十九條 各省各廳の長は、会計法第十三條の規定により契約等の事務を委任した官吏をして、契約等を行わしめようとするときは、財政法第三十四條第一項の規定に基いて大藏大臣の承認を経た契約等の計画を当該官吏に示達しなければならない。
第二節 支出総則
第四十條 各省各廳の長は、会計法第二十四條の規定により他の官吏に歲出の支出の事務を委任したとき又は第四十二條の規定により他の官吏をして支出官の事務を代理せしめたときは、その旨を大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第四十一條 各省各廳の長は、会計法第二十四條の規定により歲出の支出の事務を委任した官吏をして歲出を支出せしめようとするときは、財政法第三十四條第一項の規定に基いて大藏大臣の承認を経た支拂計画を当該官吏に示達しなければならない。
第四十二條 支出官に事故があるときは、各省各廳の長は、臨時に他の官吏をしてその事務を代理せしめることができる。
第四十三條 本章の規定は、小切手法の適用を妨げない。
第三節 小切手等の振出
第四十四條 支出官は、小切手の振出前その経費の支出は、予算の目的に違反することがないかを調査し当該経費の金額を算定し、且つ、当該経費は支拂計画の金額に超過することがないか、所属年度及び歲出科目を誤ることがないかを調査しなければならない。
第四十五條 支出官は、その振り出す小切手に受取人の氏名、金額、年度、歲出科目、番号その他必要な事項を記載しなければならない。但し、受取人の氏名の記載は、大藏大臣の特に定める場合を除く外、その記載を省略することができる。
第四十六條 小切手は、一項ごとに、これを振り出さなければならない。
第四十七條 第四十四條、第四十五條本文及び前條の規定は、支出官が、國庫金振替書を発する場合に、これを準用する。
第四十八條 支出官の振り出す小切手は、これを第四十五條但書の場合は持参人拂式、大藏大臣の特に定める場合は記名式、その他の場合は記名式持参人拂とする。
第四十九條 支出官は、隔地の債権者に支拂をなす必要があるときは、支拂場所を指定し、日本銀行に必要な資金を交付し送金の手続をなさしめ、その旨を債権者に通知しなければならない。
前項の規定は、大藏大臣の指定する隔地の出納官吏に資金を交付する場合に、これを準用する。
第五十條 支出官は、小切手を振り出したときは、その都度、これを日本銀行に通知しなければならない。
第四節 支出の特例
第五十一條 会計法第十七條の規定により主任の官吏をして現金支拂をなさしめるため、その資金を当該官吏に前渡することができるのは、左に揭げる経費に限る。
一 船舶に属する経費
二 外國で支拂う経費
三 交通通信の不便な地方で支拂う経費
四 廳中常用の雜費及び旅費 但し、当該経費に充てる資金を主任の官吏において手持することができる金額は、三万円を限度とする。
五 場所の一定しない事務所の経費
六 支出官の設置のない官署又は事務所の職員に支給する給與
七 各廳直営の工事、製造又は造林に必要な経費 但し、当該経費に充てる資金を主任の官吏において手持することができる金額は、二十万円を限度とする。
八 諸拂戾金
九 監獄作業賞與金
十 囚人及び刑事被吿人護送費並びに釈放せられる者に給與する帰住旅費
十一 証人、鑑定人、通事、参考人、調定委員、調定補助者、勧解者、鑑定委員、飜訳人又は計算人に支給する旅費その他の給與
第五十二條 前條の規定により資金を前渡する限度額については、左の各号の定めるところによる。
一 常時の費用に係るものは、每一月分以內の金額を予定して交付しなければならない。但し、外國で支拂う経費、交通通信の不便な地方で支拂う経費又は支拂場所の一定しない経費は、事務の必要により六月分以內を交付することができる。
二 随時の費用に係るものは、所要の金額を予定し、事務上差支のない限りなるべく分割して交付しなければならない。
第五十三條 会計法第十八條第一項の規定により会計年度開始前に主任の官吏に対し資金を交付することができる経費は、左に揭げるものに限る。
一 船舶に属する経費
二 外國で支拂う経費
三 交通通信の不便な地方で支拂う経費
第五十四條 各省各廳の長は、会計法第十八條第一項の規定により会計年度開始前において、主任の官吏に対し資金を交付しようとするときは、その前渡を要する経費の金額を定め計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第五十五條 各省各廳の長は、左に揭げる経費の支拂をなさしめるため、出納官吏をしてその保管に係る前渡の資金を繰り替え使用せしめることができる。
一 旅費
二 埋葬費
前項の規定による前渡の資金の繰替使用に関する手続は、各省各廳の長が大藏大臣に協議してこれを定める。
第五十六條 運輸大臣及び逓信大臣は、左に揭げる官署の出納官吏又は出納員をしてその取扱に係る歲入金、歲出金及び歲入歲出外現金を交互に繰り替え使用せしめることができる。
一 鉄道官署
二 逓信官署
前項の規定による現金の繰替使用に関する手続は、運輸大臣又は逓信大臣が大藏大臣に協議してこれを定める。
第五十七條 会計法第二十二條の規定により前金拂をなすことができるのは、左に揭げる経費に限る。但し、第八号乃至第十一号に揭げる経費について前金拂をする場合においては、各省各廳の長は、大藏大臣に協議することを要する。
一 外國から直接購入する機械、図書、標本又は実驗用材料の代價
二 定期刊行物の代價
三 土地又は家屋の借料
四 運賃
五 國の買收又は收用に係る土地の上に存する物件の移轉料
六 官公署に対し支拂う経費
七 外國で研究又は調査に從事する者に支給する学資金その他の給與
八 試驗、研究又は調査の受託者に対し支拂う経費
九 交通至難の場所に勤務する者又は船舶乘組の者に支給する給與
十 補助金
十一 諸謝金
第五十八條 会計法第二十二條の規定により槪算拂をなすことができるのは、左に揭げる経費に限る。但し、第三号に揭げる経費について槪算拂をする場合においては、各省各廳の長は、大藏大臣に協議することを要する。
一 旅費
二 官公署に対し支拂う経費
三 補助金
第五十九條 会計法第二十三條の規定により事務費の全部又は一部を主任の官吏に対し渡切を以て支給することができるのは、左に揭げる官署の経費に限る。
一 逓信官署
二 登記所
前項の官署の範囲、渡切とすべき歲出科目及び支給方法は、逓信大臣又は司法大臣が大藏大臣に協議してこれを定める。
第六十條 会計法第二十七條但書に規定する每項金額は、部局等における每項金額とする。
第五節 支拂
第六十一條 日本銀行は、小切手の呈示があつたときは、その小切手が法令に違反することがないか、券面金額が支拂計画の金額の残高に超過することがないかを調査し、その支拂をしなければならない。
前項の規定は、日本銀行が國庫金振替書の交付を受けた場合に、これを準用する。
第六十二條 第四十九條の規定により交付を受けた資金のうち、資金交付の日から一年を経過しまだ支拂を終らない金額に相当するものは、日本銀行においてその送金を取り消し、これをその取り消した日の属する年度の歲入に納付しなければならない。
每会計年度の小切手振出済金額のうち、翌年度の五月三十一日までに、支拂を終らない金額に相当する資金は、財政法第四十一條の決算上の剩余金に組み入れずこれを繰越整理しなければならない。
前項の規定により繰り越した資金のうち、小切手の振出日附から一年を経過しまだ支拂を終らない金額に相当するものは、これをその期間満了の日の属する年度の歲入に組み入れなければならない。
第六十三條 支出官が、小切手の所持人から償還の請求を受けた場合においては、これを調査し償還すべきものと認めるときは、その償還をなすものとする。
前項の規定は、支出官が会計法第二十八條第二項の場合において、その支拂を受けない債権者又は出納官吏から更に請求を受けた場合に、これを準用する。
第六節 報吿
第六十四條 会計法第十三條の規定により契約等を行うことを委任された官吏は、每月、契約等報吿書を作製し、これを当該契約等に関する事務を管理する各省各廳の長に送付しなければならない。
第六十五條 各省各廳の長は、契約等報吿書及び各省各廳の長のなした契約等により、每月、契約等総報吿書を作製し、契約等報吿書を添え、その翌月中にこれを大藏大臣に送付しなければならない。
第六十六條 支出官は、每月、支出済額報吿書を作製し、これを当該歲出に関する事務を管理する各省各廳の長に送付しなければならない。
第六十七條 各省各廳の長は、支出済額報吿書により、每月、支出総報吿書を作製し、支出済額報吿書を添え、その翌月中にこれを大藏大臣に送付しなければならない。
第七章 契約
第一節 総則
第六十八條 各省各廳の長又はその委任を受けた官吏が契約をしようとするときは、契約の目的、履行期限、保証金額、契約違反の場合における保証金の処分、危險の負担その他必要な事項を詳細に記載した契約書を作製しなければならない。
第六十九條 契約書には、当該官吏が記名して印をおすことを必要とする。
第七十條 各省各廳の長は、左に揭げる場合においては、第六十八條に規定する契約書の作製を省略することができる。但し、第五号の場合においては大藏大臣に協議することを要する。
一 五万円を超えない指名競爭契約又は随意契約をなすとき
二 外國で七万円を超えない指名競爭契約又は随意契約をなすとき
三 せり賣に付するとき
四 物品賣拂の場合において買受人が直ちに代金を納付してその物品を引き取るとき
五 第一号及び第二号以外の随意契約について各省各廳の長が契約書を作製する必要がないと認めるとき
大藏大臣は、前項の協議が調つたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
第七十一條 國と契約を結ぶ者は、現金又は國債を以て契約金額の百分の十以上の保証金を納めなければならない。
指名競爭に付し又は随意契約による場合においては、各省各廳の長は、保証金の全部又は一部の納付を免除することができる。前條第三号及び第四号の場合も、また同樣とする。
第七十二條 契約者がその義務を履行しないときは、契約に別段の定がある場合の外は、保証金は國庫に帰属する。
第七十三條 國に属する財產を賣り拂うときは、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、その引渡の時まで又は移轉の登記若しくは登錄の時までに、その代金を完納せしめなければならない。
第七十四條 財產の貸付料は、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、これを前納せしめなければならない。但し、貸付期間の六箇月以上に亙るものについては、定期にこれを納付せしめることができる。
第七十五條 各省各廳の長は、工事若しくは製造又は物件の買入でその代價が五万円を超えるものについては、当該工事若しくは製造の完了又は物件の完納の後、監督又は檢査した官吏又は技術者をしてその調書を作製せしめなければならない。
契約により工事若しくは製造の旣済部分又は物件の旣納部分に対し、完済前又は完納前に代價の一部分を支拂おうとするときは、各省各廳の長は、特に檢査のために官吏又は技術者に命じて調書を作製せしめなければならない。
前二項の場合における支拂は、前二項の規定による調書に基かなければ支拂をなすことができない。
第七十六條 前條第二項の場合における支拂金額は、工事又は製造についてはその旣済部分に対する代價の十分の九、物件の買入についてはその旣納部分に対する代價を超えることができない。但し、性質上可分の工事又は製造における完済部分に対しては、その代價の全額までを支拂うことができる。
第七十七條 前二條の規定は、工事又は製造以外の請負契約の全部又は一部の履行に対し支拂をする場合に、これを準用する。
第二節 一般競爭契約
第七十八條 一般の競爭に加わろうとする者に必要な資格は、大藏大臣の定めるところによる。
第七十九條 各省各廳の長は、左の各号の一に該当すると認める者を、その後二年間競爭に加わらしめないことができる。これを代理人、支配人その他の使用人として使用する者についても、また同樣とする。
一 契約の履行に際し故意に工事若しくは製造を粗雜にし又は物件の品質数量に関し不正の行爲があつた者
二 競爭に際し不当に價格をせり上げ又はせり下げる目的を以て連合をなした者
三 競爭加入を妨害し又は競落者が契約を結ぶこと若しくは履行することを妨害した者
四 檢査監督に際し係員の職務執行を妨げた者
五 正当の理由がなくして契約を履行しなかつた者
六 前各号の一に該当する事実があつた後二年を経過しない者を契約に際し代理人、支配人その他の使用人として使用する者
第八十條 各省各廳の長は、前條の規定に該当する者を入札代理人として使用する者を競爭に加わらしめないことができる。
第八十一條 競爭に加わろうとする者は、現金又は國債を以て見積金額の百分の五以上の保証金を納めなければならない。
第八十二條 競落者が契約を結ばないときは、保証金は國庫に帰属する。
第八十三條 競爭は、第九十一條に規定する場合の外は、すべて入札の方法を以てこれを行わなければならない。
第八十四條 入札の方法により競爭に付しようとするときは、その入札期日の前日から起算し、少くとも十日前に官報、新聞紙、揭示その他の方法を以て公吿しなければならない。但し、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。
第八十五條 前條の規定による公吿は、左に揭げる事項についてこれをなすものとする。
一 競爭入札に付する事項
二 契約條項を示す場所
三 競爭執行の場所及び日時
四 入札の保証金額に関する事項
第八十六條 各省各廳の長又はその委任を受けた官吏は、その競爭入札に付する事項の價格を予定し、その予定價格を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。
第八十七條 開札は、公吿に示した場所及び日時に入札者の面前においてこれを行わなければならない。但し、入札者で出席しない者があるときは、入札事務に関係のない官吏をして開札に立ち会わしめなければならない。
入札者は、一旦提出した入札書の引換、変更又は取消をなすことができない。
第七十八條の規定による競爭加入の資格がない者のなした入札又は入札に関する條件に違反した入札は無効とする。
第八十八條 開札の場合において各人の入札のうち、第八十六條の規定により予定した價格の制限に達したものがないときは、直ちに、再度の入札をなすことができる。
第八十九條 落札となるべき同價の入札をした者が二人以上あるときは、直ちに、くじで落札者を定めなければならない。
前項の場合において、当該入札者のうち出席しない者は又はくじを引かない者があるときは、入札事務に関係のない官吏をして、これに代りくじを引かせることができる。
第九十條 入札者若しくは落札者がない場合又は落札者が契約を結ばない場合において、更に、入札に付しようとするときは、第八十四條の期間は五日までに、これを短縮することができる。
第九十一條 各省各廳の長は、動產の賣拂について特別の事由に因り必要があると認める場合においては、大藏大臣に協議して、本節の規定に準じ、せり賣に付することができる。
第三節 指名競爭契約
第九十二條 会計法第二十九條但書の規定により、一般の競爭に付することを不利と認める場合の外、左に揭げる場合においては、指名競爭に付することができる。
一 契約の性質又は目的により競爭に加わるべき者が小数で一般の競爭に付する必要がないとき
二 予定價格が十五万円を超えない工事若しくは製造をなさしめ又は予定代價が七万円を超えない財產の買入をなすとき
三 予定賃借料の年額又は総額が五万円を超えない物件の借入をなすとき
四 予定賃貸料の年額又は総額が二万円を超えない物件の貸付をなすとき
五 予定代價が三万円を超えない財產の賣拂をなすとき
六 工事若しくは製造の請負、財產の賣買又は物件の貸借以外の契約でその予定價格が五万円を超えないとき
随意契約によることができる場合においては、指名競爭に付することを妨げない。
第九十三條 指名競爭に付しようとするときは、なるべく五人以上の入札者を指定しなければならない。
前項の場合においては、第八十五條に規定する事項を各入札者に通知しなければならない。
第九十四條 各省各廳の長は、一般の競爭に付することを不利と認め指名競爭に付して契約を結んだときは、事由を明らかにし、直ちに、これを会計檢査院に通知しなければならない。
第九十五條 第七十九條乃至第八十三條、第八十六條乃至第八十九條の規定は、指名競爭契約の場合に、これを準用する。
各省各廳の長は、前項において準用する第八十一條の規定による保証金の納付の必要がないと認める場合においては、その納付を免除することができる。
第四節 随意契約
第九十六條 会計法第二十九條但書の規定により、一般の競爭に付することを不利と認める場合の外、左に揭げる場合においては、随意契約によることができる。
一 契約の性質又は目的が競爭を許さないとき
二 急迫の際競爭に付する暇がないとき
三 國の行爲を祕密にする必要があるとき
四 予定價格が七万円を超えない工事若しくは製造をなさしめ又は予定代價が五万円を超えない財產の買入をなすとき
五 予定賃借料の年額又は総額が二万五千円を超えない物件の借入をなすとき
六 予定賃貸料の年額又は総額が一万円を超えない物件の貸付をなすとき
七 予定代價が二万円を超えない財產の賣拂をなすとき
八 工事若しくは製造の請負、財產の賣買又は物件の貸借以外の契約でその予定價格が三万円を超えないとき
九 労力の供給を請負わしめるとき
十 運送又は保管をなさしめるとき
十一 各省各廳の組織相互の間で契約をなすとき
十二 農場、工場、学校、試驗所、監獄その他これに準ずべきものの生產に係る物品の賣拂をなすとき
十三 國の需要する物品の製造、修理、加工又は納入に使用せしめるためこれに必要な物品の賣拂をなすとき
十四 法律の規定により財產の讓與又は無償貸付をなし得る者にその財產の賣拂又は有償貸付をなすとき
十五 非常災害があつた場合において罹災者に國の生產に係る建築材料の賣拂をなすとき
十六 外國で契約をなすとき
十七 都道府縣市町村その他の公法人、公益法人、產業組合又は慈善のために設立した救済施設から直接に物件の買入又は借入をなすとき
十八 開拓地域內における土木工事をその入植者の共同請負に付するとき
十九 学術又は技藝の保護奬励のためこれに必要な物件の賣拂又は貸付をなすとき
二十 產業又は開拓事業の保護奬励のためこれに必要な物件の賣拂若しくは貸付をなすとき又は生產者から直接にその生產に係る物品の買入をなすとき
二十一 公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共團体又は起業者に賣拂又は貸付をなすとき
二十二 土地、建物又は林野若しくはその產物をこれに特別の緣故がある者に賣拂又は貸付をなすとき
二十三 事業経営上特に必要な物品の買入をなし若しくは製造をなさしめ又は土地建物の借入をなすとき
二十四 法律又は政令の規定により問屋業者に販賣を委託するとき又はこれをして販賣をなさしめるとき
第九十七條 競爭に付しても入札者がないとき又は再度の入札に付しても落札者がないときは、随意契約によることができる。但し、保証金及び期限を除く外、最初競爭に付するとき定めた價格その他の條件を変更することができない。
第九十八條 落札者が契約を結ばないときは、その落札金額の制限內で随意契約によることができる。但し、期限を除く外、最初競爭に付するとき定めた條件を変更することができない。
第九十九條 前二條の場合においては、予定價格又は落札金額を分割計算することができる場合に限り、当該價格又は金額の制限內で数人に分割して契約をなすことを妨げない。
第百條 随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上から見積書を徵さなければならない。
第百一條 各省各廳の長は、一般の競爭に付することを不利と認め随意契約によつた場合においては、事由を明らかにし、直ちに、これを会計檢査院に通知しなければならない。
第百二條 各省各廳の長は、指名競爭に付し又は随意契約によろうとする場合は、予め、大藏大臣に協議しなければならない。
大藏大臣は、前項の協議が調つたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
第八章 國庫金及び有價証券
第一節 保管金及び有價証券
第百三條 各省各廳の長の保管に係る現金は、大藏大臣の定めるところにより、これを大藏省預金部に預け入れなければならない。
第百四條 國の所有に係る有價証券又は各省各廳の長の保管に係る有價証券は、大藏大臣の定めるところにより、日本銀行をしてその取扱をなさしめる。
第百五條 各省各廳の長の保管に係る現金若しくは有價証券又は國の所有に係る有價証券の取扱手続に関しては、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、大藏大臣がこれを定める。
第二節 國庫金の出納
第百六條 日本銀行は、この勅令の規定による外、大藏大臣の定めるところにより、國庫金出納の事務を取り扱わなければならない。
日本銀行で受け入れた國庫金は、國の預金とし、その種別及び受拂に関する事項は、大藏大臣がこれを定める。
第百七條 日本銀行は、國の預金については、大藏大臣の特に定めるものに限り、その定めるところにより相当の利子を附さなければならない。
第三節 日本銀行の計算報吿及び出納証明
第百八條 日本銀行は、大藏大臣の定めるところにより、國庫金の出納報吿書を大藏大臣に提出しなければならない。
第百九條 日本銀行は、会計檢査院の檢査を受けるため、國庫金の出納計算書を作製し、証拠書類を添え、これを大藏大臣に送付しなければならない。
日本銀行は、大藏大臣の定めるところにより、國債の発行により收入金、國債元利拂資金及び隔地者拂資金の收支を整理し、これを前項の計算書に揭記しなければならない。
大藏大臣は、第一項の計算書を調査し、これを会計檢査院に送付しなければならない。
第百十條 日本銀行は、会計檢査院の檢査を受けるため、國の所有又は保管に係る有價証券受拂計算書を作製し、証拠書類を添え、これを大藏大臣に送付しなければならない。
大藏大臣は、前項の計算書を調査し、これを会計檢査院に送付しなければならない。
第九章 出納官吏
第一節 総則
第百十一條 運輸大臣及び逓信大臣は、会計法第四十條第一項の規定により、左に揭げる官署の事務員を出納員となすことができる。
一 鉄道官署
二 逓信官署
前項に規定するものの外、特別の必要がある場合においては、各省各廳の長は、大藏大臣に協議してその廳の事務員を出納員にすることができる。
第百十二條 出納員は、主任出納官吏又は分任出納官吏に所属して出納の事務を取り扱わなければならない。
第百十三條 出納員の領收した現金は、これを所属の出納官吏に拂い込まなければならない。但し、各省各廳の長において、必要があると認めるときは、他の出納官吏又は出納員に交付せしめることができる。
第百十四條 出納官吏及び出納員は、この勅令に定めるものの外、大藏大臣の定めるところにより、現金の出納保管をしなければならない。
第二節 責任
第百十五條 会計法第四十三條第一項(同法第四十五條において準用する場合を含む。)の場合において、弁償を命ぜられた出納官吏又は出納員は、その責を免がれるべき理由があると信ずるときは、その理由を明らかにする書類及び計算書を作製し、証拠書類を添え、各省各廳の長を経由してこれを会計檢査院に送付し、その檢定を求めることができる。
各省各廳の長は、前項の場合においても、その命じた弁償を猶予しない。
第三節 檢査及び証明
第百十六條 各省各廳の長は、每年三月三十一日又は出納官吏の轉免、死亡その他異動があつたときは、檢査員を命じて、当該出納官吏の帳簿金庫を檢査せしめなければならない。
但し、臨時に資金の前渡を受けた官吏の帳簿金庫については、定時の檢査を必要としない。
大藏大臣又は各省各廳の長は、必要があると認めるときは、臨時に檢査員を命じて、出納官吏又は出納員の帳簿金庫を檢査せしめるものとする。
第百十七條 前條の檢査を執行するにあたつて、当該出納官吏又は出納員が事故に因り自ら檢査に立ち会うことができないときは、その代理者又は特に各省各廳の長の命じた官吏が立会をしなければならない。
第百十八條 檢査員は、出納官吏又は出納員の帳簿金庫を檢査したときは、檢査書二通を作製し、一通を当該出納官吏、出納員又は立会人に交付し、他の一通を各省各廳の長に提出しなければならない。
前項の檢査書には、檢査員及び当該出納官吏、出納員又は立会人がこれに記名して印をおすものとする。
第百十九條 出納官吏又は出納員において他の公金の出納を兼掌するときは、檢査員は、併せて、他の公金の檢査を行わなければならない。
第百二十條 租稅その他の歲入金の收納を掌る官吏は、会計檢査院の檢査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、歲入徵收官を経由してこれを会計檢査院に提出しなければならない。
第百二十一條 資金の前渡を受けた官吏は、会計檢査院の檢査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、支出官を経由してこれを会計檢査院に提出しなければならない。
第百二十二條 歲入歲出外現金の出納を掌る官吏は、会計檢査院の檢査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、その所属の各省各廳の長又はその指定する官吏を経由してこれを会計檢査院に提出しなければならない。
第百二十三條 第五十六條の規定により現金の繰替使用をなす官吏は、会計檢査院の檢査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、その所属の各省各廳の長又はその指定する官吏を経由してこれを会計檢査院に提出しなければならない。
第百二十四條 分任出納官吏の出納は、すべて主任出納官吏の計算とし、又、出納員の出納はすべて所属の出納官吏の計算として取り扱い、その出納に関する報吿書及び計算書は、各別にこれを提出することを必要としない。但し、その所属の各省各廳の長又は会計檢査院において特に必要があると認めるときは、別に分任出納官吏又は出納員をしてその出納の報吿書又は計算書を提出せしめることがあるものとする。
第百二十五條 出納官吏の交替があつたときは、前任出納官吏は、その在職期間において執行した出納のうち、まだ第百二十條乃至第百二十三條の手続をしていない分については、当該各條に定める手続をしなければならない。
第百二十六條 出納官吏又は出納員の死亡その他の事故に因りその者が計算書を作製することができないときは、各省各廳の長は、他の官吏に命じて、これを作製せしめなければならない。
出納官吏又は出納員が提出期限內に計算書を提出しないときは、各省各廳の長は、他の官吏に命じて、これを作製せしめなければならない。
前二項の規定により作製した計算書は、これを出納官吏又は出納員が自ら作製したものとみなす。
第百二十七條 出納官吏又は出納員の計算書は、提出の後は、これを修正変更することができない。
第十章 帳簿
第百二十八條 大藏省は、日記簿、原簿及び補助簿を備え、國庫金の出納を登記しなければならない。
第百二十九條 大藏省は、契約等の総括簿及び歲入歲出の主計簿を備え、契約等の総括簿には、契約等権能額、契約等締結額及び残額を登記し、歲入主計簿には、歲入の予算額、徵收決定済額、收納済額、不納欠損額及び收納未済額を登記し、歲出主計簿には、歲出の予算額、前年度繰越額、予備費使用額、流用等增減額、支出済額、翌年度繰越額及び残額を登記しなければならない。
第百三十條 歲入徵收官は、徵收簿を備え、歲入の徵收決定済額、收納済額、不納欠損額及び收納未済額を登記しなければならない。
第百三十一條 各省各廳は、歲入簿を備え、歲入の予算額、徵收決定済額、收納済額、不納欠損額及び收納未済額を登記しなければならない。
第百三十二條 各省各廳の長及び契約等を行うことを委任された官吏は、契約等原簿を備え、契約等計画額、契約等締結額及び残額を登記しなければならない。
第百三十三條 各省各廳は、契約等集計簿を備え、契約等権能額、契約等締結額及び残額を登記しなければならない。
第百三十四條 支出官は、支出簿を備え、歲出の支拂計画額、支出済額及び残額を登記しなければならない。
第百三十五條 各省各廳は、歲出簿を備え、歲出の予算額、前年度繰越額、予備費使用額、流用等增減額、支出済額、翌年度繰越額及び残額を登記しなければならない。
第百三十六條 出納官吏及び出納員は、現金出納簿を備え、現金の出納を登記しなければならない。
第百三十七條 前九條に規定する帳簿の樣式及び記入の方法は、大藏大臣がこれを定める。
第百三十八條 日本銀行は、左に揭げる帳簿を備え、國のために取り扱う現金の出納又は有價証券の受拂を登記しなければならない。
一 國庫金の出納を登記すべき帳簿
二 支拂計画額及び支拂済額を登記すべき帳簿
三 國債の発行及び償還に関する出納を登記すべき帳簿
四 國債利拂資金の出納を登記すべき帳簿
五 隔地者拂資金の收支を登記すべき帳簿
六 有價証券の受拂を登記すべき帳簿
前項の帳簿の樣式及び記入の方法は、大藏大臣の認可を経て、日本銀行がこれを定める。
第百三十九條 大藏大臣は、会計檢査院の長の指定する会計檢査官その他の官吏の立会の上、每年七月三十一日において、前年度の歲入歲出の主計簿を締め切らなければならない。
第十一章 雜則
第百四十條 各省各廳の長は、会計法第四十八條の規定により、都道府縣の吏員をして國の歲入、歲出及び契約等に関する事務を取り扱わしめる場合は、予め、都道府縣の長の同意を経た上大藏大臣に協議しなければならない。
大藏大臣は、前項の協議が調つたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
この勅令中、歲入徵收官、支出官及び契約等を行うことを委任された官吏並びに出納官吏に関する規定は、都道府縣の吏員が國の歲入、歲出及び契約等に関する事務を取り扱ふ場合に、これを準用する。
第百四十一條 この勅令により会計檢査院に提出する計算証明書類の樣式及び堤出期限については、会計檢査院の定めるところによらなければならない。
第百四十二條 前條の計算証明書類を除く外、この勅令に規定する書類の樣式は、大藏大臣がこれを定める。
第百四十三條 この勅令により記名して印をおす必要がある場合においては、外國にあつては、署名を以てこれに代えることができる。
第百四十四條 この勅令に定めるものの外、收入、支出その他國の会計経理に関し必要な規定は、大藏大臣がこれを定める。
附 則
第一條 この勅令は、公布の日から、これを施行する。但し、第八條第一項、第二項及び第十六條の改正規定、第二十六條の改正規定中衆議院、参議院、最高裁判所及び会計檢査院に関する部分、第百十一條乃至第百十五條及び第百四十條の改正規定並びに附則第五條の会計規則臨時特例の一部を改正する規定中各省大臣又は所管大臣を各省各廳の長に改める部分は、目本國憲法施行の日から、第二條第六号及び第四條の改正規定中國庫金振替書に関する部分、第三十二條第二項及び第四十七條の改正規定並びに第六十一條第二項の改正規定は、会計法中國庫金振替書に関する規定施行の日から、第三十八條、第三十九條、第四十一條、第六十四條及び第六十五條の改正規定、第百二十九條の改正規定中契約等総括簿に関する部分並びに第百三十二條及び第百三十三條の改正規定は、財政法第三十四條の規定施行の日から、これを施行する。
第八條第三項、第九條乃至第十五條、第十七條、第十八條及び第二十條乃至第二十三條の改正規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の予算及び決算について、これを適用する。
第百二十九條の改正規定中歲入歲出の主計簿に関する部分、第百三十條、第百三十一條、第百三十四條及び第百三十五條の改正規定並びに第百三十八條第一項第三号及び第四号の改正規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の帳簿について、これを適用する。
第一項但書及び前二項に揭げる規定以外の規定は、昭和二十二年四月一日から、これを適用する。
第二條 この勅令中「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを「勅令」と読み替えるものとする。
第二十四條第二項中「財政法第三十一條第一項の規定により配賦された歲出予算」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを「歲出予算」と読み替えるものとする。
第三十五條、第四十四條、第六十一條第一項、第百三十四條及び第百三十八條第一項第二号中「支拂計画」とあるのは、財政法第三十四條の規定施行の日までは、これを「支拂予算」と読み替えるものとする。
第三條 從前の会計規則第十七條、第二十一條乃至第二十三條、第二十六條、第二十七條、第百二十四條乃至第百三十五條の規定は、日本國憲法施行の日まで、從前の会計規則第十四條、第十六條及び第四十一條の規定は、財政法第三十四條の規定施行の日まで、なお、その効力を有する。但し、第二十一條及び第二十三條中「第二予備金」とあるのは、これを「予備費」と読み替え、第二十六條中「会計法第十一條第一項」とあるのは、これを「財政法第十五條第二項」と読み替えるものとする。
從前の会計規則第六十八條乃至第七十七條の規定は、昭和二十年度及び同二十一年度の決算については、なお、その効力を有する。
從前の会計規則第七十八條乃至第八十條の規定は、昭和二十一年度の予算中、翌年度に繰り越して使用することについて特に明許されたものの定額の繰越に関しては、なお、その効力を有する。
從前の会計規則第百五十三條乃至第百五十七條の規定並びに第百六十條第一項第三号及び第四号の規定は、昭和二十一年度分の帳簿については、なお、その効力を有する。
第四條 昭和二十一年度所属の歲入歲出に関する出納整理の期限は、第三條乃至第七條の規定にかかわらず、大藏大臣の定めるところにより、これを延長することができる。
第五條 会計規則臨時特例の一部を次のように改正する。
題名を「予算決算及び会計令臨時特例」に改める。
第一條第一項中「各省大臣」を「各省各廳の長」に、同條第二項中「会計規則第五十七條第四号但書」を「予算決算及び会計令第五十一條第四号但書」に、同條第三項中「会計規則第五十八條」を「予算決算及び会計令第五十二條」に改める。
第二條及び第三條中「各省大臣」を「各省各廳の長」に、「第二十一條」を「第二十二條」に改める。
第四條第一項中「所管大臣」を「各省各廳の長」に改める。
第五條第一項中「各省大臣」を「各省各廳の長」に改め、同條第二項中「第四号及び第五号」を削り、「所管大臣」を「各省各廳の長」に改める。
第六條 大正十二年勅令第三百五号(大藏大臣の承認を経なければ他の費途の金額を流用することができない費途に関する勅令)は、これを廃止する。但し、昭和二十一年度の予算については、なお、その効力を有する。
朕は、会計規則を改正する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月二十八日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
国務大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 木村篤太郎
国務大臣 斎藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
国務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
国務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衛門
国務大臣 田中万逸
国務大臣 高瀬荘太郎
勅令第百六十五号
予算決算及び会計令目次
第一章
総則
第一節
会計年度所属区分
第二節
出納整理期限
第二章
予算
第一節
予算の作成
第二節
予算の執行
第三章
決算
第四章
予算繰越
第五章
収入
第一節
徴収
第二節
収納
第三節
返納金の戻入
第四節
報告
第六章
支出及び債務の負担
第一節
債務の負担
第二節
支出総則
第三節
小切手等の振出
第四節
支出の特例
第五節
支払
第六節
報告
第七章
契約
第一節
総則
第二節
一般競争契約
第三節
指名競争契約
第四節
随意契約
第八章
国庫金及び有価証券
第一節
保管金及び有価証券
第二節
国庫金の出納
第三節
日本銀行の計算報告及び出納証明
第九章
出納官吏
第一節
総則
第二節
責任
第三節
検査及び証明
第十章
帳簿
第十一章
雑則
予算決算及び会計令
第一章 総則
第一節 会計年度所属区分
第一条 歳入の会計年度所属は、左の区分による。
一 納期の一定している収入はその納期末日の属する年度
二 随時の収入で納入告知書を発するものは納入告知書を発した日の属する年度
三 随時の収入で納入告知書を発しないものは領収した日の属する年度
四 課税標準の申告をなすべき租税収入で納期の一定していないものはその申告をした日の属する年度
前項第一号の収入で納入告知書を発すべきものについて、納期所属の会計年度において納入告知書を発しなかつたときは、当該収入は納入告知書を発した日の属する会計年度の歳入に組み入れるものとする。
第二条 歳出の会計年度所属は、左の区分による。
一 国債の元利、年金、恩給の類は支払期日の属する年度
二 諸払戻金、欠損補填金、償還金の類はその決定をした日の属する年度
三 給与、旅費、手数料の類はその支給すべき事実の生じた時の属する年度
四 使用料、保管料、電灯電力料の類はその支払の原因たる事実の存した期間の属する年度
五 工事製造費、物件の購入代価、運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があつた後交付するものはその支払をなすべき日の属する年度
六 前各号に該当しない費用で繰替払をなしたものはその繰替払をした日の属する年度、その他のものは小切手を振り出し又は国庫金振替書を発した日の属する年度
第二節 出納整理期限
第三条 出納官吏又は出納員において毎会計年度所属の歳入金を収納するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第四条 支出官において毎会計年度に属する経費を精算して支出するのは、翌年度の四月三十日限りとする。但し、国庫内における移換のためにする支出又は会計法第二十条第一項の規定により歳出金に繰替使用した現金の補填のためにする支出については、翌年度の五月三十一日まで、小切手を振り出し又は国庫金振替書を発することができる。
第五条 出納官吏又は出納員において毎会計年度所属の歳出金を支払うのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第六条 会計法第九条但書の規定により支出済となつた歳出金の返納金を、支払つた歳出の金額に戻入するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
第七条 日本銀行において毎会計年度所属の歳入金を受け入れるのは、翌年度の四月三十日限りとする。但し、左に掲げる場合においては、翌年度の五月三十一日まで、これが受入をすることができる。
一 出納官吏からその収納した歳入金の払込があつたとき
二 市町村又はこれに準ずべきものからその領収した歳入金の送付があつたとき
三 国庫内において移換による歳入金の受入をするとき
日本銀行において毎会計年度所属の歳出金を支払うのは、翌年度の五月三十一日限りとする。
第二章 予算
第一節 予算の作成
第八条 財政法第十七条第一項の規定により、内閣に送付すべき書類は、大蔵大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを内閣に送付しなければならない。
内閣は、前項の書類の送付を受けたときは、これを遅滞なく大蔵大臣に回付しなければならない。
財政法第十七条第二項の規定により、大蔵大臣に送付すべき書類は、大蔵大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第九条 大蔵大臣は、財政法第十八条第一項の規定により歳入、歳出及び国庫債務負担行為の概算について閣議の決定を経たときは、これを各省各庁の長に通知しなければならない。
第十条 財政法第二十条第一項の規定による歳入予算明細書は、部局等ごとに歳入の金額を分ち、部局等のうちにおいてはこれを部款項に区分し、更に、各項の金額を各自に区分し、見積の事由及び計算の基くところを示さなければならない。
第十一条 財政法第二十条第二項の規定による予定経費要求書は、部局等ごとに歳出の金額を分ち、部局等のうちにおいてはこれを部款項目に区分し、更に、各自の金額を節に細分し、経費所要の理由及び計算の基くところを示さなければならない。
財政法第二十条第二項の規定による国庫債務負担行為要求書は、国庫債務負担行為について部局等ごとの区分を設け、更に事項ごとにその必要の理由を明らかにし、且つ行為をなす年度及び債務負担の限度額を明らかにし、又、必要に応じて行為に基いて支出をなすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
予定経費要求書及び国庫債務負担行為要求書は、前年度の十月三十一日までに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十二条 予定経費要求書の部局等の区分及び目節の区分並びに国庫債務負担行為要求書の部局等の区分は、各省各庁の長が大蔵大臣に協議してこれを定める。
第十三条 予定経費要求書には、各省各庁の所掌する経費全体に関する説明及び部局等ごとに各款各項の説明を附さなければならない。
第十四条 歳入歳出予算の部款項の区分は、大蔵大臣がこれを定める。
第十五条 各省各庁の長は、財政法第二十五条の規定により、歳出予算のうち、翌年度に繰り越して使用する必要があるものについては、その旨を予定経費要求書のうちに明示しなければならない。
第二節 予算の執行
第十六条 大蔵大臣は、予算が成立したときは、直ちに、国会の議決したところに従い、各省各庁の長の執行すべき歳入歳出予算及び国庫債務負担行為を作製し、これを内閣に送付しなければならない。
第十七条 財政法第三十三条第一項但書の規定により、各省各庁内の部局等の間において流用することができる場合は、大蔵大臣の承認を経て同一名称の項に属する同一名称の目の金額相互の間において流用する場合に限る。
前項の規定により流用した経費の金額は、これを他の経費の金額に流用することができない。
部局等内の歳費、官吏給(職員給を含む。)、給料、手当及び給与、旅費、渡切費、補助負担金及び交付金、交際費、報償費及び大蔵大臣の指定する経費については、大蔵大臣の承認を経なければ、同一項のうちで、これに他の経費の金額を流用し又はその経費の金額を他の経費に流用することができない。
各省各庁の長は、前項に規定する場合を除く外、同一項のうちで目又は節の金額を彼此流用することができる。
各省各庁の長は、前項の規定により目又は節の金額の流用をした場合においては、遅滞なく理由並びに流用した科目、流用先の科目及び流用の金額を大蔵大臣に通知しなければならない。
第十八条 財政法第十五条第二項の規定によりなした国庫債務負担行為については、各省各庁の長は、その調書を作製して、次の国会の常会の開会後、直ちに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
大蔵大臣は、前項の調書に基いて国庫債務負担行為の総調書を作製して、国会に報告する手続をしなければならない。
第三章 決算
第十九条 財政法第六条に規定する剰余金は、当該年度においてあらたに生じた剰余金から当該年度の翌年度に繰り越した歳出予算の財源に充てるべき金額を控除してこれを計算する。
第二十条 財政法第三十七条第一項の規定による歳入及び歳出の決算報告書並びに国の債務に関する計算書は、翌年度の七月三十一日までに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第二十一条 歳入徴収官は、会計検査院に証明のため、歳入徴収額計算書を作製し、証拠書類を添え、当該歳入に関する事務を管理する各省各庁の長に送付し、各省各庁の長は、これを会計検査院に送付しなければならない。
第二十二条 支出官は、会計検査院に証明のため、支出計算書を作製し、証拠書類を添え、当該支出に関する事務を管理する各省各庁の長に送付し、各省各庁の長は、これを会計検査院に送付しなければならない。
第二十三条 前二条に規定する計算書は、各省各庁の長から特に委任を受けた官吏をして、直ちに、これを会計検査院に送付せしめることができる。
第四章 予算繰越
第二十四条 財政法第四十三条第一項の規定により、繰越についての大蔵大臣の承認を経るため繰越計算書を送付するのは、翌年度の四月三十日限りとする。
繰越計算書は、財政法第三十一条第一項の規定により配賦された歳出予算と同一の区分により作製し、且つ、これに左の事項を示さなければならない。
一 繰越を必要とする項の経費の金額
二 前号の経費の金額のうち支出済となつた額及び当該年度所属として支出すべき額
三 第一号の経費の金額のうち翌年度に繰越を必要とする額
四 第一号の経費の金額のうち不用となるべき額
第二十五条 財政法第四十二条但書の規定により、年度内に契約等をなし避け難い事故のため年度内に支出を終らなかつた経費の金額について繰越をする場合は、繰越計算書に契約書の写その他の参照書類を添附しなければならない。
第五章 収入
第一節 徴収
第二十六条 歳入徴収官は、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、各省各庁の長の指定する各庁の長(衆議院、参議院及び会計検査院における事務総局の長並びに最高裁判所の事務局の長を含む。以下本項中同じ。)を以てこれに充てる。但し、各省各庁の長が必要があると認めるときは、大蔵大臣に協議して各庁の長以外の官吏を歳入徴収官に指定することができる。
各省各庁の長は、必要があると認めるときは、歳入徴収官以外の官吏をして歳入徴収官の事務の一部を分掌せしめることができる。
各省各庁の長は、前二項の規定により歳入徴収官及び歳入徴収官の事務の一部を分掌する官吏を置いたときは、その旨を大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第二十七条 支出済となつた歳出の返納金を歳入に組み入れる場合においては、当該経費を支出した支出官が歳入徴収官として徴収の手続をしなければならない。
第二十八条 歳入徴収官は、租税その他の歳入を調査決定しようとするときは、当該歳入について法令に違反していないか、所属年度及び歳入科目を誤ることがないかを調査しなければならない。
第二十九条 会計法第六条の規定による納入の告知は、債務者に対し歳入科目、納付すべき金額、期限及び場所を記載した書面を以てこれをしなければならない。但し、出納官吏又は出納員に即納せしめる場合は、口頭を以てこれをなすことができる。
第三十条 会計法第八条但書の規定により、税務署長、地方専売局の出張所長及び営林署長については、歳入徴収の職務と現金出納の職務とを相兼ねしめることができるものとする。
第二節 収納
第三十一条 出納官吏又は出納員は、租税その他の歳入金の収納をしたときは、領収証書を納入者に交付しなければならない。この場合においては、出納官吏は、収納済の旨を歳入徴収官に報告しなければならない。
第三十二条 日本銀行において、歳入金を収納し又は歳入金の払込を受けたときは、領収証書を納入者又は払込者に交付し、領収済の旨を歳入徴収官に報告しなければならない。
日本銀行において、国庫金振替書により歳入金に移換の請求を受けたときは、振替済書を請求者に交付し、振替済の旨を歳入徴収官に報告しなければならない。
第三節 返納金の戻入
第三十三条 支出済となつた歳出の返納金は、その支払つた歳出の金額にこれを戻入することができる。但し、重大な過失に因り誤払過渡となつた金額についてはこの限りでない。
第三十四条 支出官は、前条の規定により支払つた歳出の金額に戻入をしようとするときは、返納者をしてその金額を返納せしめなければならない。
第三十五条 日本銀行において、前条の返納金を領収したときは、これに相当する金額について支払計画の金額に戻入の記帳をなし、その旨を支出官に通知しなければならない。
第四節 報告
第三十六条 歳入徴収官は、毎月、徴収報告書を作製し、参照書類を添え、これを当該歳入に関する事務を管理する各省各庁の長に送付しなければならない。
第三十七条 各省各庁の長は、徴収報告書により、毎月、徴収総報告書を作製し、参照書類を添え、その翌月中にこれを大蔵大臣に送付しなければならない。
第六章 支出及び債務の負担
第一節 債務の負担
第三十八条 各省各庁の長は、会計法第十三条の規定により他の官吏に契約等の事務を委任したときは、その旨を大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第三十九条 各省各庁の長は、会計法第十三条の規定により契約等の事務を委任した官吏をして、契約等を行わしめようとするときは、財政法第三十四条第一項の規定に基いて大蔵大臣の承認を経た契約等の計画を当該官吏に示達しなければならない。
第二節 支出総則
第四十条 各省各庁の長は、会計法第二十四条の規定により他の官吏に歳出の支出の事務を委任したとき又は第四十二条の規定により他の官吏をして支出官の事務を代理せしめたときは、その旨を大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。
第四十一条 各省各庁の長は、会計法第二十四条の規定により歳出の支出の事務を委任した官吏をして歳出を支出せしめようとするときは、財政法第三十四条第一項の規定に基いて大蔵大臣の承認を経た支払計画を当該官吏に示達しなければならない。
第四十二条 支出官に事故があるときは、各省各庁の長は、臨時に他の官吏をしてその事務を代理せしめることができる。
第四十三条 本章の規定は、小切手法の適用を妨げない。
第三節 小切手等の振出
第四十四条 支出官は、小切手の振出前その経費の支出は、予算の目的に違反することがないかを調査し当該経費の金額を算定し、且つ、当該経費は支払計画の金額に超過することがないか、所属年度及び歳出科目を誤ることがないかを調査しなければならない。
第四十五条 支出官は、その振り出す小切手に受取人の氏名、金額、年度、歳出科目、番号その他必要な事項を記載しなければならない。但し、受取人の氏名の記載は、大蔵大臣の特に定める場合を除く外、その記載を省略することができる。
第四十六条 小切手は、一項ごとに、これを振り出さなければならない。
第四十七条 第四十四条、第四十五条本文及び前条の規定は、支出官が、国庫金振替書を発する場合に、これを準用する。
第四十八条 支出官の振り出す小切手は、これを第四十五条但書の場合は持参人払式、大蔵大臣の特に定める場合は記名式、その他の場合は記名式持参人払とする。
第四十九条 支出官は、隔地の債権者に支払をなす必要があるときは、支払場所を指定し、日本銀行に必要な資金を交付し送金の手続をなさしめ、その旨を債権者に通知しなければならない。
前項の規定は、大蔵大臣の指定する隔地の出納官吏に資金を交付する場合に、これを準用する。
第五十条 支出官は、小切手を振り出したときは、その都度、これを日本銀行に通知しなければならない。
第四節 支出の特例
第五十一条 会計法第十七条の規定により主任の官吏をして現金支払をなさしめるため、その資金を当該官吏に前渡することができるのは、左に掲げる経費に限る。
一 船舶に属する経費
二 外国で支払う経費
三 交通通信の不便な地方で支払う経費
四 庁中常用の雑費及び旅費 但し、当該経費に充てる資金を主任の官吏において手持することができる金額は、三万円を限度とする。
五 場所の一定しない事務所の経費
六 支出官の設置のない官署又は事務所の職員に支給する給与
七 各庁直営の工事、製造又は造林に必要な経費 但し、当該経費に充てる資金を主任の官吏において手持することができる金額は、二十万円を限度とする。
八 諸払戻金
九 監獄作業賞与金
十 囚人及び刑事被告人護送費並びに釈放せられる者に給与する帰住旅費
十一 証人、鑑定人、通事、参考人、調定委員、調定補助者、勧解者、鑑定委員、翻訳人又は計算人に支給する旅費その他の給与
第五十二条 前条の規定により資金を前渡する限度額については、左の各号の定めるところによる。
一 常時の費用に係るものは、毎一月分以内の金額を予定して交付しなければならない。但し、外国で支払う経費、交通通信の不便な地方で支払う経費又は支払場所の一定しない経費は、事務の必要により六月分以内を交付することができる。
二 随時の費用に係るものは、所要の金額を予定し、事務上差支のない限りなるべく分割して交付しなければならない。
第五十三条 会計法第十八条第一項の規定により会計年度開始前に主任の官吏に対し資金を交付することができる経費は、左に掲げるものに限る。
一 船舶に属する経費
二 外国で支払う経費
三 交通通信の不便な地方で支払う経費
第五十四条 各省各庁の長は、会計法第十八条第一項の規定により会計年度開始前において、主任の官吏に対し資金を交付しようとするときは、その前渡を要する経費の金額を定め計算書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第五十五条 各省各庁の長は、左に掲げる経費の支払をなさしめるため、出納官吏をしてその保管に係る前渡の資金を繰り替え使用せしめることができる。
一 旅費
二 埋葬費
前項の規定による前渡の資金の繰替使用に関する手続は、各省各庁の長が大蔵大臣に協議してこれを定める。
第五十六条 運輸大臣及び逓信大臣は、左に掲げる官署の出納官吏又は出納員をしてその取扱に係る歳入金、歳出金及び歳入歳出外現金を交互に繰り替え使用せしめることができる。
一 鉄道官署
二 逓信官署
前項の規定による現金の繰替使用に関する手続は、運輸大臣又は逓信大臣が大蔵大臣に協議してこれを定める。
第五十七条 会計法第二十二条の規定により前金払をなすことができるのは、左に掲げる経費に限る。但し、第八号乃至第十一号に掲げる経費について前金払をする場合においては、各省各庁の長は、大蔵大臣に協議することを要する。
一 外国から直接購入する機械、図書、標本又は実験用材料の代価
二 定期刊行物の代価
三 土地又は家屋の借料
四 運賃
五 国の買収又は収用に係る土地の上に存する物件の移転料
六 官公署に対し支払う経費
七 外国で研究又は調査に従事する者に支給する学資金その他の給与
八 試験、研究又は調査の受託者に対し支払う経費
九 交通至難の場所に勤務する者又は船舶乗組の者に支給する給与
十 補助金
十一 諸謝金
第五十八条 会計法第二十二条の規定により概算払をなすことができるのは、左に掲げる経費に限る。但し、第三号に掲げる経費について概算払をする場合においては、各省各庁の長は、大蔵大臣に協議することを要する。
一 旅費
二 官公署に対し支払う経費
三 補助金
第五十九条 会計法第二十三条の規定により事務費の全部又は一部を主任の官吏に対し渡切を以て支給することができるのは、左に掲げる官署の経費に限る。
一 逓信官署
二 登記所
前項の官署の範囲、渡切とすべき歳出科目及び支給方法は、逓信大臣又は司法大臣が大蔵大臣に協議してこれを定める。
第六十条 会計法第二十七条但書に規定する毎項金額は、部局等における毎項金額とする。
第五節 支払
第六十一条 日本銀行は、小切手の呈示があつたときは、その小切手が法令に違反することがないか、券面金額が支払計画の金額の残高に超過することがないかを調査し、その支払をしなければならない。
前項の規定は、日本銀行が国庫金振替書の交付を受けた場合に、これを準用する。
第六十二条 第四十九条の規定により交付を受けた資金のうち、資金交付の日から一年を経過しまだ支払を終らない金額に相当するものは、日本銀行においてその送金を取り消し、これをその取り消した日の属する年度の歳入に納付しなければならない。
毎会計年度の小切手振出済金額のうち、翌年度の五月三十一日までに、支払を終らない金額に相当する資金は、財政法第四十一条の決算上の剰余金に組み入れずこれを繰越整理しなければならない。
前項の規定により繰り越した資金のうち、小切手の振出日附から一年を経過しまだ支払を終らない金額に相当するものは、これをその期間満了の日の属する年度の歳入に組み入れなければならない。
第六十三条 支出官が、小切手の所持人から償還の請求を受けた場合においては、これを調査し償還すべきものと認めるときは、その償還をなすものとする。
前項の規定は、支出官が会計法第二十八条第二項の場合において、その支払を受けない債権者又は出納官吏から更に請求を受けた場合に、これを準用する。
第六節 報告
第六十四条 会計法第十三条の規定により契約等を行うことを委任された官吏は、毎月、契約等報告書を作製し、これを当該契約等に関する事務を管理する各省各庁の長に送付しなければならない。
第六十五条 各省各庁の長は、契約等報告書及び各省各庁の長のなした契約等により、毎月、契約等総報告書を作製し、契約等報告書を添え、その翌月中にこれを大蔵大臣に送付しなければならない。
第六十六条 支出官は、毎月、支出済額報告書を作製し、これを当該歳出に関する事務を管理する各省各庁の長に送付しなければならない。
第六十七条 各省各庁の長は、支出済額報告書により、毎月、支出総報告書を作製し、支出済額報告書を添え、その翌月中にこれを大蔵大臣に送付しなければならない。
第七章 契約
第一節 総則
第六十八条 各省各庁の長又はその委任を受けた官吏が契約をしようとするときは、契約の目的、履行期限、保証金額、契約違反の場合における保証金の処分、危険の負担その他必要な事項を詳細に記載した契約書を作製しなければならない。
第六十九条 契約書には、当該官吏が記名して印をおすことを必要とする。
第七十条 各省各庁の長は、左に掲げる場合においては、第六十八条に規定する契約書の作製を省略することができる。但し、第五号の場合においては大蔵大臣に協議することを要する。
一 五万円を超えない指名競争契約又は随意契約をなすとき
二 外国で七万円を超えない指名競争契約又は随意契約をなすとき
三 せり売に付するとき
四 物品売払の場合において買受人が直ちに代金を納付してその物品を引き取るとき
五 第一号及び第二号以外の随意契約について各省各庁の長が契約書を作製する必要がないと認めるとき
大蔵大臣は、前項の協議が調つたときは、会計検査院に通知しなければならない。
第七十一条 国と契約を結ぶ者は、現金又は国債を以て契約金額の百分の十以上の保証金を納めなければならない。
指名競争に付し又は随意契約による場合においては、各省各庁の長は、保証金の全部又は一部の納付を免除することができる。前条第三号及び第四号の場合も、また同様とする。
第七十二条 契約者がその義務を履行しないときは、契約に別段の定がある場合の外は、保証金は国庫に帰属する。
第七十三条 国に属する財産を売り払うときは、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、その引渡の時まで又は移転の登記若しくは登録の時までに、その代金を完納せしめなければならない。
第七十四条 財産の貸付料は、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、これを前納せしめなければならない。但し、貸付期間の六箇月以上に亘るものについては、定期にこれを納付せしめることができる。
第七十五条 各省各庁の長は、工事若しくは製造又は物件の買入でその代価が五万円を超えるものについては、当該工事若しくは製造の完了又は物件の完納の後、監督又は検査した官吏又は技術者をしてその調書を作製せしめなければならない。
契約により工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分に対し、完済前又は完納前に代価の一部分を支払おうとするときは、各省各庁の長は、特に検査のために官吏又は技術者に命じて調書を作製せしめなければならない。
前二項の場合における支払は、前二項の規定による調書に基かなければ支払をなすことができない。
第七十六条 前条第二項の場合における支払金額は、工事又は製造についてはその既済部分に対する代価の十分の九、物件の買入についてはその既納部分に対する代価を超えることができない。但し、性質上可分の工事又は製造における完済部分に対しては、その代価の全額までを支払うことができる。
第七十七条 前二条の規定は、工事又は製造以外の請負契約の全部又は一部の履行に対し支払をする場合に、これを準用する。
第二節 一般競争契約
第七十八条 一般の競争に加わろうとする者に必要な資格は、大蔵大臣の定めるところによる。
第七十九条 各省各庁の長は、左の各号の一に該当すると認める者を、その後二年間競争に加わらしめないことができる。これを代理人、支配人その他の使用人として使用する者についても、また同様とする。
一 契約の履行に際し故意に工事若しくは製造を粗雑にし又は物件の品質数量に関し不正の行為があつた者
二 競争に際し不当に価格をせり上げ又はせり下げる目的を以て連合をなした者
三 競争加入を妨害し又は競落者が契約を結ぶこと若しくは履行することを妨害した者
四 検査監督に際し係員の職務執行を妨げた者
五 正当の理由がなくして契約を履行しなかつた者
六 前各号の一に該当する事実があつた後二年を経過しない者を契約に際し代理人、支配人その他の使用人として使用する者
第八十条 各省各庁の長は、前条の規定に該当する者を入札代理人として使用する者を競争に加わらしめないことができる。
第八十一条 競争に加わろうとする者は、現金又は国債を以て見積金額の百分の五以上の保証金を納めなければならない。
第八十二条 競落者が契約を結ばないときは、保証金は国庫に帰属する。
第八十三条 競争は、第九十一条に規定する場合の外は、すべて入札の方法を以てこれを行わなければならない。
第八十四条 入札の方法により競争に付しようとするときは、その入札期日の前日から起算し、少くとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法を以て公告しなければならない。但し、急を要する場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。
第八十五条 前条の規定による公告は、左に掲げる事項についてこれをなすものとする。
一 競争入札に付する事項
二 契約条項を示す場所
三 競争執行の場所及び日時
四 入札の保証金額に関する事項
第八十六条 各省各庁の長又はその委任を受けた官吏は、その競争入札に付する事項の価格を予定し、その予定価格を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。
第八十七条 開札は、公告に示した場所及び日時に入札者の面前においてこれを行わなければならない。但し、入札者で出席しない者があるときは、入札事務に関係のない官吏をして開札に立ち会わしめなければならない。
入札者は、一旦提出した入札書の引換、変更又は取消をなすことができない。
第七十八条の規定による競争加入の資格がない者のなした入札又は入札に関する条件に違反した入札は無効とする。
第八十八条 開札の場合において各人の入札のうち、第八十六条の規定により予定した価格の制限に達したものがないときは、直ちに、再度の入札をなすことができる。
第八十九条 落札となるべき同価の入札をした者が二人以上あるときは、直ちに、くじで落札者を定めなければならない。
前項の場合において、当該入札者のうち出席しない者は又はくじを引かない者があるときは、入札事務に関係のない官吏をして、これに代りくじを引かせることができる。
第九十条 入札者若しくは落札者がない場合又は落札者が契約を結ばない場合において、更に、入札に付しようとするときは、第八十四条の期間は五日までに、これを短縮することができる。
第九十一条 各省各庁の長は、動産の売払について特別の事由に因り必要があると認める場合においては、大蔵大臣に協議して、本節の規定に準じ、せり売に付することができる。
第三節 指名競争契約
第九十二条 会計法第二十九条但書の規定により、一般の競争に付することを不利と認める場合の外、左に掲げる場合においては、指名競争に付することができる。
一 契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が小数で一般の競争に付する必要がないとき
二 予定価格が十五万円を超えない工事若しくは製造をなさしめ又は予定代価が七万円を超えない財産の買入をなすとき
三 予定賃借料の年額又は総額が五万円を超えない物件の借入をなすとき
四 予定賃貸料の年額又は総額が二万円を超えない物件の貸付をなすとき
五 予定代価が三万円を超えない財産の売払をなすとき
六 工事若しくは製造の請負、財産の売買又は物件の貸借以外の契約でその予定価格が五万円を超えないとき
随意契約によることができる場合においては、指名競争に付することを妨げない。
第九十三条 指名競争に付しようとするときは、なるべく五人以上の入札者を指定しなければならない。
前項の場合においては、第八十五条に規定する事項を各入札者に通知しなければならない。
第九十四条 各省各庁の長は、一般の競争に付することを不利と認め指名競争に付して契約を結んだときは、事由を明らかにし、直ちに、これを会計検査院に通知しなければならない。
第九十五条 第七十九条乃至第八十三条、第八十六条乃至第八十九条の規定は、指名競争契約の場合に、これを準用する。
各省各庁の長は、前項において準用する第八十一条の規定による保証金の納付の必要がないと認める場合においては、その納付を免除することができる。
第四節 随意契約
第九十六条 会計法第二十九条但書の規定により、一般の競争に付することを不利と認める場合の外、左に掲げる場合においては、随意契約によることができる。
一 契約の性質又は目的が競争を許さないとき
二 急迫の際競争に付する暇がないとき
三 国の行為を秘密にする必要があるとき
四 予定価格が七万円を超えない工事若しくは製造をなさしめ又は予定代価が五万円を超えない財産の買入をなすとき
五 予定賃借料の年額又は総額が二万五千円を超えない物件の借入をなすとき
六 予定賃貸料の年額又は総額が一万円を超えない物件の貸付をなすとき
七 予定代価が二万円を超えない財産の売払をなすとき
八 工事若しくは製造の請負、財産の売買又は物件の貸借以外の契約でその予定価格が三万円を超えないとき
九 労力の供給を請負わしめるとき
十 運送又は保管をなさしめるとき
十一 各省各庁の組織相互の間で契約をなすとき
十二 農場、工場、学校、試験所、監獄その他これに準ずべきものの生産に係る物品の売払をなすとき
十三 国の需要する物品の製造、修理、加工又は納入に使用せしめるためこれに必要な物品の売払をなすとき
十四 法律の規定により財産の譲与又は無償貸付をなし得る者にその財産の売払又は有償貸付をなすとき
十五 非常災害があつた場合において罹災者に国の生産に係る建築材料の売払をなすとき
十六 外国で契約をなすとき
十七 都道府県市町村その他の公法人、公益法人、産業組合又は慈善のために設立した救済施設から直接に物件の買入又は借入をなすとき
十八 開拓地域内における土木工事をその入植者の共同請負に付するとき
十九 学術又は技芸の保護奨励のためこれに必要な物件の売払又は貸付をなすとき
二十 産業又は開拓事業の保護奨励のためこれに必要な物件の売払若しくは貸付をなすとき又は生産者から直接にその生産に係る物品の買入をなすとき
二十一 公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は起業者に売払又は貸付をなすとき
二十二 土地、建物又は林野若しくはその産物をこれに特別の縁故がある者に売払又は貸付をなすとき
二十三 事業経営上特に必要な物品の買入をなし若しくは製造をなさしめ又は土地建物の借入をなすとき
二十四 法律又は政令の規定により問屋業者に販売を委託するとき又はこれをして販売をなさしめるとき
第九十七条 競争に付しても入札者がないとき又は再度の入札に付しても落札者がないときは、随意契約によることができる。但し、保証金及び期限を除く外、最初競争に付するとき定めた価格その他の条件を変更することができない。
第九十八条 落札者が契約を結ばないときは、その落札金額の制限内で随意契約によることができる。但し、期限を除く外、最初競争に付するとき定めた条件を変更することができない。
第九十九条 前二条の場合においては、予定価格又は落札金額を分割計算することができる場合に限り、当該価格又は金額の制限内で数人に分割して契約をなすことを妨げない。
第百条 随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上から見積書を徴さなければならない。
第百一条 各省各庁の長は、一般の競争に付することを不利と認め随意契約によつた場合においては、事由を明らかにし、直ちに、これを会計検査院に通知しなければならない。
第百二条 各省各庁の長は、指名競争に付し又は随意契約によろうとする場合は、予め、大蔵大臣に協議しなければならない。
大蔵大臣は、前項の協議が調つたときは、会計検査院に通知しなければならない。
第八章 国庫金及び有価証券
第一節 保管金及び有価証券
第百三条 各省各庁の長の保管に係る現金は、大蔵大臣の定めるところにより、これを大蔵省預金部に預け入れなければならない。
第百四条 国の所有に係る有価証券又は各省各庁の長の保管に係る有価証券は、大蔵大臣の定めるところにより、日本銀行をしてその取扱をなさしめる。
第百五条 各省各庁の長の保管に係る現金若しくは有価証券又は国の所有に係る有価証券の取扱手続に関しては、法律又は政令に特別の規定がある場合の外は、大蔵大臣がこれを定める。
第二節 国庫金の出納
第百六条 日本銀行は、この勅令の規定による外、大蔵大臣の定めるところにより、国庫金出納の事務を取り扱わなければならない。
日本銀行で受け入れた国庫金は、国の預金とし、その種別及び受払に関する事項は、大蔵大臣がこれを定める。
第百七条 日本銀行は、国の預金については、大蔵大臣の特に定めるものに限り、その定めるところにより相当の利子を附さなければならない。
第三節 日本銀行の計算報告及び出納証明
第百八条 日本銀行は、大蔵大臣の定めるところにより、国庫金の出納報告書を大蔵大臣に提出しなければならない。
第百九条 日本銀行は、会計検査院の検査を受けるため、国庫金の出納計算書を作製し、証拠書類を添え、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
日本銀行は、大蔵大臣の定めるところにより、国債の発行により収入金、国債元利払資金及び隔地者払資金の収支を整理し、これを前項の計算書に掲記しなければならない。
大蔵大臣は、第一項の計算書を調査し、これを会計検査院に送付しなければならない。
第百十条 日本銀行は、会計検査院の検査を受けるため、国の所有又は保管に係る有価証券受払計算書を作製し、証拠書類を添え、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
大蔵大臣は、前項の計算書を調査し、これを会計検査院に送付しなければならない。
第九章 出納官吏
第一節 総則
第百十一条 運輸大臣及び逓信大臣は、会計法第四十条第一項の規定により、左に掲げる官署の事務員を出納員となすことができる。
一 鉄道官署
二 逓信官署
前項に規定するものの外、特別の必要がある場合においては、各省各庁の長は、大蔵大臣に協議してその庁の事務員を出納員にすることができる。
第百十二条 出納員は、主任出納官吏又は分任出納官吏に所属して出納の事務を取り扱わなければならない。
第百十三条 出納員の領収した現金は、これを所属の出納官吏に払い込まなければならない。但し、各省各庁の長において、必要があると認めるときは、他の出納官吏又は出納員に交付せしめることができる。
第百十四条 出納官吏及び出納員は、この勅令に定めるものの外、大蔵大臣の定めるところにより、現金の出納保管をしなければならない。
第二節 責任
第百十五条 会計法第四十三条第一項(同法第四十五条において準用する場合を含む。)の場合において、弁償を命ぜられた出納官吏又は出納員は、その責を免がれるべき理由があると信ずるときは、その理由を明らかにする書類及び計算書を作製し、証拠書類を添え、各省各庁の長を経由してこれを会計検査院に送付し、その検定を求めることができる。
各省各庁の長は、前項の場合においても、その命じた弁償を猶予しない。
第三節 検査及び証明
第百十六条 各省各庁の長は、毎年三月三十一日又は出納官吏の転免、死亡その他異動があつたときは、検査員を命じて、当該出納官吏の帳簿金庫を検査せしめなければならない。
但し、臨時に資金の前渡を受けた官吏の帳簿金庫については、定時の検査を必要としない。
大蔵大臣又は各省各庁の長は、必要があると認めるときは、臨時に検査員を命じて、出納官吏又は出納員の帳簿金庫を検査せしめるものとする。
第百十七条 前条の検査を執行するにあたつて、当該出納官吏又は出納員が事故に因り自ら検査に立ち会うことができないときは、その代理者又は特に各省各庁の長の命じた官吏が立会をしなければならない。
第百十八条 検査員は、出納官吏又は出納員の帳簿金庫を検査したときは、検査書二通を作製し、一通を当該出納官吏、出納員又は立会人に交付し、他の一通を各省各庁の長に提出しなければならない。
前項の検査書には、検査員及び当該出納官吏、出納員又は立会人がこれに記名して印をおすものとする。
第百十九条 出納官吏又は出納員において他の公金の出納を兼掌するときは、検査員は、併せて、他の公金の検査を行わなければならない。
第百二十条 租税その他の歳入金の収納を掌る官吏は、会計検査院の検査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、歳入徴収官を経由してこれを会計検査院に提出しなければならない。
第百二十一条 資金の前渡を受けた官吏は、会計検査院の検査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、支出官を経由してこれを会計検査院に提出しなければならない。
第百二十二条 歳入歳出外現金の出納を掌る官吏は、会計検査院の検査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、その所属の各省各庁の長又はその指定する官吏を経由してこれを会計検査院に提出しなければならない。
第百二十三条 第五十六条の規定により現金の繰替使用をなす官吏は、会計検査院の検査を受けるため、出納計算書を作製し、証拠書類を添え、その所属の各省各庁の長又はその指定する官吏を経由してこれを会計検査院に提出しなければならない。
第百二十四条 分任出納官吏の出納は、すべて主任出納官吏の計算とし、又、出納員の出納はすべて所属の出納官吏の計算として取り扱い、その出納に関する報告書及び計算書は、各別にこれを提出することを必要としない。但し、その所属の各省各庁の長又は会計検査院において特に必要があると認めるときは、別に分任出納官吏又は出納員をしてその出納の報告書又は計算書を提出せしめることがあるものとする。
第百二十五条 出納官吏の交替があつたときは、前任出納官吏は、その在職期間において執行した出納のうち、まだ第百二十条乃至第百二十三条の手続をしていない分については、当該各条に定める手続をしなければならない。
第百二十六条 出納官吏又は出納員の死亡その他の事故に因りその者が計算書を作製することができないときは、各省各庁の長は、他の官吏に命じて、これを作製せしめなければならない。
出納官吏又は出納員が提出期限内に計算書を提出しないときは、各省各庁の長は、他の官吏に命じて、これを作製せしめなければならない。
前二項の規定により作製した計算書は、これを出納官吏又は出納員が自ら作製したものとみなす。
第百二十七条 出納官吏又は出納員の計算書は、提出の後は、これを修正変更することができない。
第十章 帳簿
第百二十八条 大蔵省は、日記簿、原簿及び補助簿を備え、国庫金の出納を登記しなければならない。
第百二十九条 大蔵省は、契約等の総括簿及び歳入歳出の主計簿を備え、契約等の総括簿には、契約等権能額、契約等締結額及び残額を登記し、歳入主計簿には、歳入の予算額、徴収決定済額、収納済額、不納欠損額及び収納未済額を登記し、歳出主計簿には、歳出の予算額、前年度繰越額、予備費使用額、流用等増減額、支出済額、翌年度繰越額及び残額を登記しなければならない。
第百三十条 歳入徴収官は、徴収簿を備え、歳入の徴収決定済額、収納済額、不納欠損額及び収納未済額を登記しなければならない。
第百三十一条 各省各庁は、歳入簿を備え、歳入の予算額、徴収決定済額、収納済額、不納欠損額及び収納未済額を登記しなければならない。
第百三十二条 各省各庁の長及び契約等を行うことを委任された官吏は、契約等原簿を備え、契約等計画額、契約等締結額及び残額を登記しなければならない。
第百三十三条 各省各庁は、契約等集計簿を備え、契約等権能額、契約等締結額及び残額を登記しなければならない。
第百三十四条 支出官は、支出簿を備え、歳出の支払計画額、支出済額及び残額を登記しなければならない。
第百三十五条 各省各庁は、歳出簿を備え、歳出の予算額、前年度繰越額、予備費使用額、流用等増減額、支出済額、翌年度繰越額及び残額を登記しなければならない。
第百三十六条 出納官吏及び出納員は、現金出納簿を備え、現金の出納を登記しなければならない。
第百三十七条 前九条に規定する帳簿の様式及び記入の方法は、大蔵大臣がこれを定める。
第百三十八条 日本銀行は、左に掲げる帳簿を備え、国のために取り扱う現金の出納又は有価証券の受払を登記しなければならない。
一 国庫金の出納を登記すべき帳簿
二 支払計画額及び支払済額を登記すべき帳簿
三 国債の発行及び償還に関する出納を登記すべき帳簿
四 国債利払資金の出納を登記すべき帳簿
五 隔地者払資金の収支を登記すべき帳簿
六 有価証券の受払を登記すべき帳簿
前項の帳簿の様式及び記入の方法は、大蔵大臣の認可を経て、日本銀行がこれを定める。
第百三十九条 大蔵大臣は、会計検査院の長の指定する会計検査官その他の官吏の立会の上、毎年七月三十一日において、前年度の歳入歳出の主計簿を締め切らなければならない。
第十一章 雑則
第百四十条 各省各庁の長は、会計法第四十八条の規定により、都道府県の吏員をして国の歳入、歳出及び契約等に関する事務を取り扱わしめる場合は、予め、都道府県の長の同意を経た上大蔵大臣に協議しなければならない。
大蔵大臣は、前項の協議が調つたときは、会計検査院に通知しなければならない。
この勅令中、歳入徴収官、支出官及び契約等を行うことを委任された官吏並びに出納官吏に関する規定は、都道府県の吏員が国の歳入、歳出及び契約等に関する事務を取り扱ふ場合に、これを準用する。
第百四十一条 この勅令により会計検査院に提出する計算証明書類の様式及び堤出期限については、会計検査院の定めるところによらなければならない。
第百四十二条 前条の計算証明書類を除く外、この勅令に規定する書類の様式は、大蔵大臣がこれを定める。
第百四十三条 この勅令により記名して印をおす必要がある場合においては、外国にあつては、署名を以てこれに代えることができる。
第百四十四条 この勅令に定めるものの外、収入、支出その他国の会計経理に関し必要な規定は、大蔵大臣がこれを定める。
附 則
第一条 この勅令は、公布の日から、これを施行する。但し、第八条第一項、第二項及び第十六条の改正規定、第二十六条の改正規定中衆議院、参議院、最高裁判所及び会計検査院に関する部分、第百十一条乃至第百十五条及び第百四十条の改正規定並びに附則第五条の会計規則臨時特例の一部を改正する規定中各省大臣又は所管大臣を各省各庁の長に改める部分は、目本国憲法施行の日から、第二条第六号及び第四条の改正規定中国庫金振替書に関する部分、第三十二条第二項及び第四十七条の改正規定並びに第六十一条第二項の改正規定は、会計法中国庫金振替書に関する規定施行の日から、第三十八条、第三十九条、第四十一条、第六十四条及び第六十五条の改正規定、第百二十九条の改正規定中契約等総括簿に関する部分並びに第百三十二条及び第百三十三条の改正規定は、財政法第三十四条の規定施行の日から、これを施行する。
第八条第三項、第九条乃至第十五条、第十七条、第十八条及び第二十条乃至第二十三条の改正規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の予算及び決算について、これを適用する。
第百二十九条の改正規定中歳入歳出の主計簿に関する部分、第百三十条、第百三十一条、第百三十四条及び第百三十五条の改正規定並びに第百三十八条第一項第三号及び第四号の改正規定は、昭和二十二年度以後の会計年度の帳簿について、これを適用する。
第一項但書及び前二項に掲げる規定以外の規定は、昭和二十二年四月一日から、これを適用する。
第二条 この勅令中「政令」とあるのは、日本国憲法施行の日までは、これを「勅令」と読み替えるものとする。
第二十四条第二項中「財政法第三十一条第一項の規定により配賦された歳出予算」とあるのは、日本国憲法施行の日までは、これを「歳出予算」と読み替えるものとする。
第三十五条、第四十四条、第六十一条第一項、第百三十四条及び第百三十八条第一項第二号中「支払計画」とあるのは、財政法第三十四条の規定施行の日までは、これを「支払予算」と読み替えるものとする。
第三条 従前の会計規則第十七条、第二十一条乃至第二十三条、第二十六条、第二十七条、第百二十四条乃至第百三十五条の規定は、日本国憲法施行の日まで、従前の会計規則第十四条、第十六条及び第四十一条の規定は、財政法第三十四条の規定施行の日まで、なお、その効力を有する。但し、第二十一条及び第二十三条中「第二予備金」とあるのは、これを「予備費」と読み替え、第二十六条中「会計法第十一条第一項」とあるのは、これを「財政法第十五条第二項」と読み替えるものとする。
従前の会計規則第六十八条乃至第七十七条の規定は、昭和二十年度及び同二十一年度の決算については、なお、その効力を有する。
従前の会計規則第七十八条乃至第八十条の規定は、昭和二十一年度の予算中、翌年度に繰り越して使用することについて特に明許されたものの定額の繰越に関しては、なお、その効力を有する。
従前の会計規則第百五十三条乃至第百五十七条の規定並びに第百六十条第一項第三号及び第四号の規定は、昭和二十一年度分の帳簿については、なお、その効力を有する。
第四条 昭和二十一年度所属の歳入歳出に関する出納整理の期限は、第三条乃至第七条の規定にかかわらず、大蔵大臣の定めるところにより、これを延長することができる。
第五条 会計規則臨時特例の一部を次のように改正する。
題名を「予算決算及び会計令臨時特例」に改める。
第一条第一項中「各省大臣」を「各省各庁の長」に、同条第二項中「会計規則第五十七条第四号但書」を「予算決算及び会計令第五十一条第四号但書」に、同条第三項中「会計規則第五十八条」を「予算決算及び会計令第五十二条」に改める。
第二条及び第三条中「各省大臣」を「各省各庁の長」に、「第二十一条」を「第二十二条」に改める。
第四条第一項中「所管大臣」を「各省各庁の長」に改める。
第五条第一項中「各省大臣」を「各省各庁の長」に改め、同条第二項中「第四号及び第五号」を削り、「所管大臣」を「各省各庁の長」に改める。
第六条 大正十二年勅令第三百五号(大蔵大臣の承認を経なければ他の費途の金額を流用することができない費途に関する勅令)は、これを廃止する。但し、昭和二十一年度の予算については、なお、その効力を有する。