(食糧管理法の一部を改正する法律)
法令番号: 法律第二百四十七号
公布年月日: 昭和22年12月30日
法令の形式: 法律
食糧管理法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月三十日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百四十七号
食糧管理法の一部を次のように改正する。
「勅令」を「政令」に改める。
第二條中「小麥」の下に「、甘藷(其ノ加工品タル食糧ヲ含ム以下同ジ)、馬鈴薯(其ノ加工品タル食糧ヲ含ム以下同ジ)、雜穀」を加える。
第三條第一項中「又ハ小麥(以下米麥ト稱ス)」を「小麥、甘藷、馬鈴薯又ハ雜穀(以下米麥等ト總稱ス)」に改め、「又ハ土地ニ付權利ヲ有シ小作料トシテ之ヲ受クル者」を削り、「其ノ生産シ又ハ小作料トシテ受ケタル米麥」を「其ノ生産シタル米麥等」に改める。
第四條第一項中「米麥」を「米麥等」に、「食糧營團」を「食糧配給公團」に改める。
第五條第一項及び第八條第一項中「米麥」を「米麥等」に改める。
第十一條第一項及び第二項中「米麥」を「米穀、大麥、裸麥又ハ小麥」に、同條第四項中「米麥」を「米穀、大麥、裸麥及小麥」に改める。
第十三條に次の一項を加える。
前項ノ規定ニ依ル當該官吏又ハ吏員ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十四條 食糧配給公團ハ經濟安定本部總務長官ノ定ムル食糧配給ニ關スル基本計畫ニ基キ農林大臣ノ定ムル實施計畫ニ從ヒ主要食糧ノ適正ナル配給ヲ行フコトヲ目的トス
食糧配給公團ハ法人トス
第十五條 食糧配給公團ハ主タル事務所ヲ東京都ニ、從タル事務所ヲ都道府縣ニ置ク
第十六條 食糧配給公團ノ基本金ハ八千萬圓トス
前項ノ基本金ハ政府ニ於テ全額之ヲ出資ス
食糧配給公團ノ運營資金ハ必要ニ應ジ復興金融金庫ヨリ之ヲ借入ルモノトス
第十七條 食糧配給公團ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 基本金額ニ關スル事項
五 役員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 會計ニ關スル事項
八 公告ノ方法
定款ハ農林大臣及經濟安定本部總務長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第十八條 食糧配給公團ハ政令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十九條 食糧配給公團ニハ所得税及法人税ヲ課セズ
都道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズルモノハ食糧配給公團ノ事業ニ對シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十條 食糧配給公團ハ昭和二十四年三月三十一日又ハ經濟安定本部總務長官ノ命令アリタル日ニ解散ス
前項ニ定ムルモノノ外食糧配給公團ノ解散及清算ニ關シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條 食糧配給公團ニ非ザル者ハ食糧配給公團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第二十二條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手続法第三十五條第一項ノ規定ハ食糧配給公團ニ之ヲ準用ス
第二十三條 食糧配給公團ニ役員トシテ總裁、副總裁各一人、理事二人以上及監事一人以上ヲ置ク
總裁ハ食糧配給公團ヲ代表シ第二十八條ノ規定ニ基キ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公團ヲ代表シ總裁ヲ補佐シテ食糧配給公團ノ業務ヲ掌理シ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公團ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ補佐シテ食糧配給公團ノ業務ヲ掌理シ總裁及副總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ食糧配給公團ノ業務ヲ監査ス
第二十四條 總裁、副總裁、理事及監事ハ農林大臣之ヲ命ズ
第二十五條 總裁、副總裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公團ノ職員ノ中ヨリ主タル事務所又ハ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第二十六條 食糧配給公團ノ役員及職員ハ主要食糧ノ保管、加工若ハ輸送ヲ業トスル會社ノ株式ヲ所有シ又ハ此等ノ會社其ノ他ノ企業ノ業務ニ從事シ若ハ其ノ營業ニ付一切ノ利害關係ヲ有スルコトヲ得ズ
第二十七條 食糧配給公團ノ役員及職員ハ官吏其ノ他ノ政府職員トス
總裁タル者ハ農林次官ト同級又ハ同格トシ其ノ他ノ役員タル者ハ一級又ハ之ト同格トシ職員タル者ハ一級、二級若ハ三級又ハ此等ト同格トシ此等ノ定員ハ農林大臣之ヲ定ム
食糧配給公團ノ役員及職員ハ官吏ニ關スル一般ノ法令ニ從フモノトス但シ農林大臣經濟安定本部總務長官ノ承認ヲ受ケ給與、服務其ノ他必要ナル事項ニ關シ特例ヲ定メタルトキハ之ニ依ルモノトス
第二十八條 食糧配給公團ハ經濟安定本部總務長官ノ定ムル食糧配給ニ關スル基本計畫ニ基キ農林大臣ノ定ムル實施計畫ニ從ヒ其ノ監督下ニ左ノ業務ヲ行フ
一 主要食糧ノ買入及賣渡
二 主要食糧ノ保管、加工又ハ輸送
三 前二号ノ事業ニ附帶スル業務
農林大臣ハ前項ニ規定スル權限ニシテ必要ナルモノヲ都道府縣知事ニ委任スルコトヲ得
第二十九條 食糧配給公團ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ經濟安定本部總務長官ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
經濟安定本部總務長官前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ農林大臣及大藏大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ經濟安定本部總務長官ニ在ルモノトス
第三十條 食糧配給公團ハ毎事業年度ノ前期及後期ノ開始ニ當リ六箇月毎ノ事業計畫及資金計畫ヲ定メ經濟安定本部總務長官ニ提出シ其ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
經濟安定本部總務長官前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ農林大臣及大藏大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ經濟安定本部總務長官ニ在ルモノトス
第三十條ノ二 食糧配給公團ノ事業年度ハ毎年四月一日ヨリ翌年三月三十一日迄トシ之ヲ前期及後期ニ分ツ
第三十條ノ三 食糧配給公團ハ前條ノ各期毎ニ財産目録、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ毎期経過後二箇月以内ニ之ヲ經濟安定本部總務長官ニ提出シテ其ノ承認ヲ受クベシ
經濟安定本部總務長官前項ノ承認ヲ爲サントスルトキハ農林大臣及大藏大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ承認ノ最終責任ハ經濟安定本部總務長官ニ在ルモノトス
食糧配給公團第一項ノ規定ニ依ル經濟安定本部總務長官ノ承認ヲ受ケタルトキハ其ノ財産目録、貸借對照表及損益計算書ヲ公告シ且之ヲ定款ト共ニ各事務所ニ備置クベシ
前項ノ財産目録、貸借對照表及損益計算書ニ付テハ會計檢査院ノ檢査ヲ受ケ其ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
食糧配給公團ハ經濟安定本部總務長官ノ承認ヲ受ケ命令ノ定ムル所ニ依リ剩餘金ヲ國庫ニ納付スベシ
食糧配給公團ハ帳簿書類其ノ他一切ノ記録ヲ整然且明瞭ニ記載シ會計檢査院、經濟安定本部及主務官廳ノ檢査ヲ受ケ得ル如ク整備シ置クベシ
第三十條ノ四 經濟安定本部總務長官又ハ農林大臣主要食糧ノ適正ナル配給ヲ確保スル爲必要アリト認ムルトキハ食糧配給公團ニ對シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
經濟安定本部總務長官又ハ農林大臣必要アリト認ムルトキハ食糧配給公團ヲシテ報告ヲ爲サシメ又ハ當該官吏ヲシテ業務ノ状況、帳簿書類其ノ他必要ナル事項ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十三條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ第二十八條第二項ノ規定ニ依リ權限ノ委任ヲ受ケタル都道府縣知事ニ之ヲ準用ス但シ第二項中當該官吏トアルハ當該吏員トス
第三十條ノ五 食糧配給公團其ノ役員及職員ニ對シ特別ノ報酬ヲ與フル必要アルトキハ其ノ報酬規程ヲ定メ經濟安定本部總務長官ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
經濟安定本部總務長官前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ農林大臣及大藏大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ經濟安定本部總務長官ニ在ルモノトス
第三十條ノ六 農林大臣ハ食糧配給公團ノ役員ガ法令、定款又ハ本法ニ基キテ爲ス命令ニ違反シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
經濟安定本部總務長官ハ食糧配給公團ノ役員ガ食糧配給公團ノ目的及業務ニ關シ其ノ任ニ適セズ又ハ其ノ職務ヲ適切ニ遂行セズト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十條ノ七 農林大臣食糧配給公團ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ地方食糧營團又ハ日本甘藷馬鈴薯株式會社若ハ日本澱粉株式會社ノ清算人ニ對シ當該營團又ハ會社ノ所有ニ属スル施設ノ全部又ハ一部ヲ食糧配給公團ニ貸與スベキコトヲ命ズルコトヲ得
農林大臣食糧配給公團ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ其ノ業務ニ必要ナル施設ノ所有者、占有者又ハ大藏大臣ヲ含ム管理者ニ對シ當該施設ヲ食糧配給公團ニ貸與スベキコトヲ命ジ又ハ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル施設ノ使用料ハ經濟安定本部總務長官豫メ定ムル方針ニ基キ適正ニ之ヲ定ムルモノトス
農林大臣食糧配給公團ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ地方食糧營團又ハ日本甘藷馬鈴薯株式會社若ハ日本澱粉株式會社ノ清算人ニ對シ當該營團又ハ會社ノ所有シ又ハ占有スル資材ノ全部又ハ一部ヲ食糧配給公團ニ讓渡シ又ハ引渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令アリタルトキハ食糧配給公團ハ同項ノ資材ノ讓渡又ハ引渡ノ日ヨリ一箇月以内ニ關係者ニ對シ正當ナル補償ヲ支拂フコトヲ要ス
農林大臣ハ經濟安定本部總務長官ノ承認ヲ受ケ前項ノ補償ニ關シ必要ナル規程ヲ定メタル後ニ非ザレバ第四項ノ規定ニ依ル命令ヲ爲スコトヲ得ズ
農林大臣ハ食糧配給公團ノ賃借シタル施設ヲ管理シ又ハ必要アリト認ムルトキハ保險ヲ附スル等ノ措置ヲ食糧配給公團ヲシテ採ラシムルニ付監督ヲ怠ラザル責任ヲ負フモノトス
農林大臣ハ前各項ノ規定ノ實施ニ關シ食糧配給公團又ハ關係各省大臣ヲ含ム關係者ニ對シ必要ナル措置ヲ命ジ又ハ求ムルコトヲ得
第三十一條中「五萬圓」を「十萬圓」に改める。
第三十一條ノ二 第三十條ノ七第一項、第二項又ハ第四項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條ノ三 左ノ場合ニ於テハ其ノ違反行爲ヲ爲シタル食糧配給公團ノ役員又ハ職員ハ五年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二十八條第一項ニ規定スル業務以外ノ業務ヲ行ヒタル場合
二 第三十條ノ四第一項(同條第四項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル場合
第三十二條中「一萬圓」を「三萬圓」に改める。
第三十三條 本法ノ規定ニ依ル報告ヲ怠リ若ハ虚僞ノ報告ヲ爲シ又ハ本法ノ規定ニ依ル當該官吏若ハ吏員ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十三條ノ二 第十三條第一項ノ規定ニ依ル調査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ職務ニ關シ知得シタル人又ハ法人ノ祕密ヲ他ニ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ六箇月以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス虚僞ノ風説ヲ流布シ又ハ僞計若ハ威力ヲ用ヒテ同項ノ規定ニ依ル調査ヲ妨ゲタル者亦同ジ
第三十四條 第三十一條乃至第三十三條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第三十五條中「千圓」を「一萬圓」に改め、第三号を削る。
第三十六條 削除
第三十七條中「第三十二條、第三十四條」を「第三十一條ノ二、第三十二條、第三十三條」に改める。
第三十八條乃至第四十一條 削除
第四十二條中「第十四條第三項」を「第二十一條」に、「食糧營團」を「食糧配給公團」に、「千圓」を「一萬圓」に改める。
第四十三條 削除
附 則
第一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第二條 この法律施行前(附則第六條第一項の規定により存続する地方食糧營團については、同條第二項の規定により効力を有する改正前の規定の失効前)にした行爲に對する罰則の適用竝びに食糧營團の解散及び清算に關しては、改正前の規定は、この法律施行後(附則第六條第一項の規定により存続する地方食糧營團については、同條第二項の規定により効力を有する改正前の規定の失効後)も、なおその効力を有する。
第三條 農林大臣は、設立委員を命じて、食糧配給公團の設立に關する事務を處理させる。
第四條 設立委員は、定款を作成して、農林大臣及び經濟安定本部總務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときは、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第五條 基本金の拂込があつたときは、設立委員は、遅滯なくその事務を食糧配給公團の總裁に引き継がなければならない。
總裁が前項の事務の引継を受けたときは、總裁、副總裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
食糧配給公團は、設立の登記をすることに因つて成立する。
第六條 この法律施行の際現に存する地方食糧營團は、この法律施行後も、なお會存続する。
前項の規定により存続する地方食糧營團について、改正前の第四條、第十四條、第二十五條乃至第二十八條、第二十九條において準用する第十五條第三項、第十七條、第十九條第三項、第二十條、第二十一條及び第二十三條竝びに第三十條の規定は、この法律施行後も、なおその効力を有する。
第七條 食糧配給公團が成立したときは、前條第一項の規定により存続する地方食糧營團は、その成立の日に解散する。
地方食糧營團は、清算の目的の範囲内においては、その清算の結了するまでなお存続するものとみなす。
第八條 食糧配給公團が成立したときは、日本甘藷馬鈴薯株式會社及び日本澱粉株式會社は、その成立の日に解散する。
第九條 大藏大臣及び農林大臣は、食糧配給公團の業務開始の日に、地方食糧營團、日本甘藷馬鈴薯株式會社及び日本澱粉株式會社を閉鎖機關令による閉鎖機關に指定しなければならない。
第十條 日本甘藷馬鈴薯株式會社は、政令の定めるところにより、その解散の際における剩餘金を食糧配給公團に納付しなければならない。
前項の規定による納付金は、法人税法による所得の計算上これを益金に算入しない。
第十一條 食糧配給公團でない者でこの法律施行の際現に食糧配給公團又はこれに類似の名稱を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第四十二條の規定を適用しない。
内閣総理大臣 片山哲
大藏大臣 栗栖赳夫
農林大臣 波多野鼎
食糧管理法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月三十日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百四十七号
食糧管理法の一部を次のように改正する。
「勅令」を「政令」に改める。
第二条中「小麦」の下に「、甘藷(其ノ加工品タル食糧ヲ含ム以下同ジ)、馬鈴薯(其ノ加工品タル食糧ヲ含ム以下同ジ)、雑穀」を加える。
第三条第一項中「又ハ小麦(以下米麦ト称ス)」を「小麦、甘藷、馬鈴薯又ハ雑穀(以下米麦等ト総称ス)」に改め、「又ハ土地ニ付権利ヲ有シ小作料トシテ之ヲ受クル者」を削り、「其ノ生産シ又ハ小作料トシテ受ケタル米麦」を「其ノ生産シタル米麦等」に改める。
第四条第一項中「米麦」を「米麦等」に、「食糧営団」を「食糧配給公団」に改める。
第五条第一項及び第八条第一項中「米麦」を「米麦等」に改める。
第十一条第一項及び第二項中「米麦」を「米穀、大麦、裸麦又ハ小麦」に、同条第四項中「米麦」を「米穀、大麦、裸麦及小麦」に改める。
第十三条に次の一項を加える。
前項ノ規定ニ依ル当該官吏又ハ吏員ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十四条 食糧配給公団ハ経済安定本部総務長官ノ定ムル食糧配給ニ関スル基本計画ニ基キ農林大臣ノ定ムル実施計画ニ従ヒ主要食糧ノ適正ナル配給ヲ行フコトヲ目的トス
食糧配給公団ハ法人トス
第十五条 食糧配給公団ハ主タル事務所ヲ東京都ニ、従タル事務所ヲ都道府県ニ置ク
第十六条 食糧配給公団ノ基本金ハ八千万円トス
前項ノ基本金ハ政府ニ於テ全額之ヲ出資ス
食糧配給公団ノ運営資金ハ必要ニ応ジ復興金融金庫ヨリ之ヲ借入ルモノトス
第十七条 食糧配給公団ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 基本金額ニ関スル事項
五 役員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 会計ニ関スル事項
八 公告ノ方法
定款ハ農林大臣及経済安定本部総務長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ変更スルコトヲ得
第十八条 食糧配給公団ハ政令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十九条 食糧配給公団ニハ所得税及法人税ヲ課セズ
都道府県、市町村其ノ他之ニ準ズルモノハ食糧配給公団ノ事業ニ対シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十条 食糧配給公団ハ昭和二十四年三月三十一日又ハ経済安定本部総務長官ノ命令アリタル日ニ解散ス
前項ニ定ムルモノノ外食糧配給公団ノ解散及清算ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一条 食糧配給公団ニ非ザル者ハ食糧配給公団又ハ之ニ類似スル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第二十二条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ食糧配給公団ニ之ヲ準用ス
第二十三条 食糧配給公団ニ役員トシテ総裁、副総裁各一人、理事二人以上及監事一人以上ヲ置ク
総裁ハ食糧配給公団ヲ代表シ第二十八条ノ規定ニ基キ其ノ業務ヲ総理ス
副総裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公団ヲ代表シ総裁ヲ補佐シテ食糧配給公団ノ業務ヲ掌理シ総裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公団ヲ代表シ総裁及副総裁ヲ補佐シテ食糧配給公団ノ業務ヲ掌理シ総裁及副総裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ総裁及副総裁共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ食糧配給公団ノ業務ヲ監査ス
第二十四条 総裁、副総裁、理事及監事ハ農林大臣之ヲ命ズ
第二十五条 総裁、副総裁及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ食糧配給公団ノ職員ノ中ヨリ主タル事務所又ハ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第二十六条 食糧配給公団ノ役員及職員ハ主要食糧ノ保管、加工若ハ輸送ヲ業トスル会社ノ株式ヲ所有シ又ハ此等ノ会社其ノ他ノ企業ノ業務ニ従事シ若ハ其ノ営業ニ付一切ノ利害関係ヲ有スルコトヲ得ズ
第二十七条 食糧配給公団ノ役員及職員ハ官吏其ノ他ノ政府職員トス
総裁タル者ハ農林次官ト同級又ハ同格トシ其ノ他ノ役員タル者ハ一級又ハ之ト同格トシ職員タル者ハ一級、二級若ハ三級又ハ此等ト同格トシ此等ノ定員ハ農林大臣之ヲ定ム
食糧配給公団ノ役員及職員ハ官吏ニ関スル一般ノ法令ニ従フモノトス但シ農林大臣経済安定本部総務長官ノ承認ヲ受ケ給与、服務其ノ他必要ナル事項ニ関シ特例ヲ定メタルトキハ之ニ依ルモノトス
第二十八条 食糧配給公団ハ経済安定本部総務長官ノ定ムル食糧配給ニ関スル基本計画ニ基キ農林大臣ノ定ムル実施計画ニ従ヒ其ノ監督下ニ左ノ業務ヲ行フ
一 主要食糧ノ買入及売渡
二 主要食糧ノ保管、加工又ハ輸送
三 前二号ノ事業ニ附帯スル業務
農林大臣ハ前項ニ規定スル権限ニシテ必要ナルモノヲ都道府県知事ニ委任スルコトヲ得
第二十九条 食糧配給公団ハ業務開始ノ際業務ノ方法ヲ定メ経済安定本部総務長官ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
経済安定本部総務長官前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ農林大臣及大蔵大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ経済安定本部総務長官ニ在ルモノトス
第三十条 食糧配給公団ハ毎事業年度ノ前期及後期ノ開始ニ当リ六箇月毎ノ事業計画及資金計画ヲ定メ経済安定本部総務長官ニ提出シ其ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
経済安定本部総務長官前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ農林大臣及大蔵大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ経済安定本部総務長官ニ在ルモノトス
第三十条ノ二 食糧配給公団ノ事業年度ハ毎年四月一日ヨリ翌年三月三十一日迄トシ之ヲ前期及後期ニ分ツ
第三十条ノ三 食糧配給公団ハ前条ノ各期毎ニ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ毎期経過後二箇月以内ニ之ヲ経済安定本部総務長官ニ提出シテ其ノ承認ヲ受クベシ
経済安定本部総務長官前項ノ承認ヲ為サントスルトキハ農林大臣及大蔵大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ承認ノ最終責任ハ経済安定本部総務長官ニ在ルモノトス
食糧配給公団第一項ノ規定ニ依ル経済安定本部総務長官ノ承認ヲ受ケタルトキハ其ノ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ公告シ且之ヲ定款ト共ニ各事務所ニ備置クベシ
前項ノ財産目録、貸借対照表及損益計算書ニ付テハ会計検査院ノ検査ヲ受ケ其ノ承認ヲ受クルコトヲ要ス
食糧配給公団ハ経済安定本部総務長官ノ承認ヲ受ケ命令ノ定ムル所ニ依リ剰余金ヲ国庫ニ納付スベシ
食糧配給公団ハ帳簿書類其ノ他一切ノ記録ヲ整然且明瞭ニ記載シ会計検査院、経済安定本部及主務官庁ノ検査ヲ受ケ得ル如ク整備シ置クベシ
第三十条ノ四 経済安定本部総務長官又ハ農林大臣主要食糧ノ適正ナル配給ヲ確保スル為必要アリト認ムルトキハ食糧配給公団ニ対シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
経済安定本部総務長官又ハ農林大臣必要アリト認ムルトキハ食糧配給公団ヲシテ報告ヲ為サシメ又ハ当該官吏ヲシテ業務ノ状況、帳簿書類其ノ他必要ナル事項ヲ検査セシムルコトヲ得
第十三条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
前三項ノ規定ハ第二十八条第二項ノ規定ニ依リ権限ノ委任ヲ受ケタル都道府県知事ニ之ヲ準用ス但シ第二項中当該官吏トアルハ当該吏員トス
第三十条ノ五 食糧配給公団其ノ役員及職員ニ対シ特別ノ報酬ヲ与フル必要アルトキハ其ノ報酬規程ヲ定メ経済安定本部総務長官ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
経済安定本部総務長官前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ農林大臣及大蔵大臣ト協議スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ認可ノ最終責任ハ経済安定本部総務長官ニ在ルモノトス
第三十条ノ六 農林大臣ハ食糧配給公団ノ役員ガ法令、定款又ハ本法ニ基キテ為ス命令ニ違反シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
経済安定本部総務長官ハ食糧配給公団ノ役員ガ食糧配給公団ノ目的及業務ニ関シ其ノ任ニ適セズ又ハ其ノ職務ヲ適切ニ遂行セズト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十条ノ七 農林大臣食糧配給公団ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ地方食糧営団又ハ日本甘藷馬鈴薯株式会社若ハ日本澱粉株式会社ノ清算人ニ対シ当該営団又ハ会社ノ所有ニ属スル施設ノ全部又ハ一部ヲ食糧配給公団ニ貸与スベキコトヲ命ズルコトヲ得
農林大臣食糧配給公団ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ其ノ業務ニ必要ナル施設ノ所有者、占有者又ハ大蔵大臣ヲ含ム管理者ニ対シ当該施設ヲ食糧配給公団ニ貸与スベキコトヲ命ジ又ハ請求スルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依ル施設ノ使用料ハ経済安定本部総務長官予メ定ムル方針ニ基キ適正ニ之ヲ定ムルモノトス
農林大臣食糧配給公団ノ業務遂行上必要アリト認ムルトキハ地方食糧営団又ハ日本甘藷馬鈴薯株式会社若ハ日本澱粉株式会社ノ清算人ニ対シ当該営団又ハ会社ノ所有シ又ハ占有スル資材ノ全部又ハ一部ヲ食糧配給公団ニ譲渡シ又ハ引渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令アリタルトキハ食糧配給公団ハ同項ノ資材ノ譲渡又ハ引渡ノ日ヨリ一箇月以内ニ関係者ニ対シ正当ナル補償ヲ支払フコトヲ要ス
農林大臣ハ経済安定本部総務長官ノ承認ヲ受ケ前項ノ補償ニ関シ必要ナル規程ヲ定メタル後ニ非ザレバ第四項ノ規定ニ依ル命令ヲ為スコトヲ得ズ
農林大臣ハ食糧配給公団ノ賃借シタル施設ヲ管理シ又ハ必要アリト認ムルトキハ保険ヲ附スル等ノ措置ヲ食糧配給公団ヲシテ採ラシムルニ付監督ヲ怠ラザル責任ヲ負フモノトス
農林大臣ハ前各項ノ規定ノ実施ニ関シ食糧配給公団又ハ関係各省大臣ヲ含ム関係者ニ対シ必要ナル措置ヲ命ジ又ハ求ムルコトヲ得
第三十一条中「五万円」を「十万円」に改める。
第三十一条ノ二 第三十条ノ七第一項、第二項又ハ第四項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
第三十一条ノ三 左ノ場合ニ於テハ其ノ違反行為ヲ為シタル食糧配給公団ノ役員又ハ職員ハ五年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二十八条第一項ニ規定スル業務以外ノ業務ヲ行ヒタル場合
二 第三十条ノ四第一項(同条第四項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル場合
第三十二条中「一万円」を「三万円」に改める。
第三十三条 本法ノ規定ニ依ル報告ヲ怠リ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ本法ノ規定ニ依ル当該官吏若ハ吏員ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス
第三十三条ノ二 第十三条第一項ノ規定ニ依ル調査ノ事務ニ従事シ又ハ従事シタル者其ノ職務ニ関シ知得シタル人又ハ法人ノ秘密ヲ他ニ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ六箇月以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス虚偽ノ風説ヲ流布シ又ハ偽計若ハ威力ヲ用ヒテ同項ノ規定ニ依ル調査ヲ妨ゲタル者亦同ジ
第三十四条 第三十一条乃至第三十三条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第三十五条中「千円」を「一万円」に改め、第三号を削る。
第三十六条 削除
第三十七条中「第三十二条、第三十四条」を「第三十一条ノ二、第三十二条、第三十三条」に改める。
第三十八条乃至第四十一条 削除
第四十二条中「第十四条第三項」を「第二十一条」に、「食糧営団」を「食糧配給公団」に、「千円」を「一万円」に改める。
第四十三条 削除
附 則
第一条 この法律は、公布の日から、これを施行する。
第二条 この法律施行前(附則第六条第一項の規定により存続する地方食糧営団については、同条第二項の規定により効力を有する改正前の規定の失効前)にした行為に対する罰則の適用並びに食糧営団の解散及び清算に関しては、改正前の規定は、この法律施行後(附則第六条第一項の規定により存続する地方食糧営団については、同条第二項の規定により効力を有する改正前の規定の失効後)も、なおその効力を有する。
第三条 農林大臣は、設立委員を命じて、食糧配給公団の設立に関する事務を処理させる。
第四条 設立委員は、定款を作成して、農林大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときは、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第五条 基本金の払込があつたときは、設立委員は、遅滞なくその事務を食糧配給公団の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
食糧配給公団は、設立の登記をすることに因つて成立する。
第六条 この法律施行の際現に存する地方食糧営団は、この法律施行後も、なお会存続する。
前項の規定により存続する地方食糧営団について、改正前の第四条、第十四条、第二十五条乃至第二十八条、第二十九条において準用する第十五条第三項、第十七条、第十九条第三項、第二十条、第二十一条及び第二十三条並びに第三十条の規定は、この法律施行後も、なおその効力を有する。
第七条 食糧配給公団が成立したときは、前条第一項の規定により存続する地方食糧営団は、その成立の日に解散する。
地方食糧営団は、清算の目的の範囲内においては、その清算の結了するまでなお存続するものとみなす。
第八条 食糧配給公団が成立したときは、日本甘藷馬鈴薯株式会社及び日本澱粉株式会社は、その成立の日に解散する。
第九条 大蔵大臣及び農林大臣は、食糧配給公団の業務開始の日に、地方食糧営団、日本甘藷馬鈴薯株式会社及び日本澱粉株式会社を閉鎖機関令による閉鎖機関に指定しなければならない。
第十条 日本甘藷馬鈴薯株式会社は、政令の定めるところにより、その解散の際における剰余金を食糧配給公団に納付しなければならない。
前項の規定による納付金は、法人税法による所得の計算上これを益金に算入しない。
第十一条 食糧配給公団でない者でこの法律施行の際現に食糧配給公団又はこれに類似の名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第四十二条の規定を適用しない。
内閣総理大臣 片山哲
大蔵大臣 栗栖赳夫
農林大臣 波多野鼎