(船員保険法の一部を改正する法律)
法令番号: 法律第二百三十五号
公布年月日: 昭和22年12月24日
法令の形式: 法律
船員保險法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十四日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百三十五号
船員保險法の一部を次のように改正する。
第一條中「負傷、」の下に「失業、」を加える。
第五條中「傷病手当金、」の下に「失業保險金、」を加える。
第九條に次の二項を加える。
被保險者タリシ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ從前ノ船舶所有者ニ対シ失業保險金ノ支給ヲ受クルニ必要ナル證明書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得其ノ請求アリタルトキハ船舶所有者ハ其ノ請求ニ係ル證明書ヲ被保險者タリシ者ニ交付スベシ
行政廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保險者又ハ保險給付ヲ受クル者ヲシテ其ノ者ノ異動、報酬其ノ他必要ナル事項ニ關シ報告ヲ爲サシメ、文書ヲ提示セシメ又ハ出頭セシムルコトヲ得
第十條中「船舶借入人」の下に「、船舶所有者、船舶管理人及船舶借入人以外ノ者ガ船員ヲ使用スル場合ニ在リテハ其ノ者」を加える。
第二十二條第三項中「保險給付」を「失業保險金以外ノ保險給付」に改める。
第二十七條ノ三中「最終平均報酬月額」を「最終報酬月額」に、同條第二項中「前三月間(繼續シテ被保險者タリシ期間三月未満ナルトキハ其ノ期間)ノ平均報酬月額」を「ノ報酬月額」に、同條第五項中「最終平均報酬月額」を「最終報酬日額」に改める。
第三十三條の次に次のように加える。
第二節ノ二 失業保險金
第三十三條ノ二 被保險者ガ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リ勞働ノ意志及能力ヲ有スルニ拘ラズ職業ニ就クコトヲ得ザルトキハ失業保險金ヲ支給ス
第三十三條ノ三 被保險者タリシ者ガ失業保險金ノ支給ヲ受クルニハ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタル日以前一年間ニ於テ通算シテ六月以上被保險者タリシコトヲ要ス
前項ニ規定スル被保險者タリシ期間ニハ左ニ掲グル契約ニ基キ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレタル期間ハ之ヲ算入セズ但シ第一号又ハ第二号ノ契約ニ基キ使用セラルル者ガ所定ノ期間ヲ超エテ引續キ同一船舶所有者ニ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 二月以内ノ期間ヲ定メテ使用スル契約
二 季節的業務ニ四月以内ノ期間ヲ定メテ使用スル契約
第一項ノ規定ニ依リ失業保險金ノ支給ヲ受クベキ者ガ第三十三條ノ六第一項ニ規定スル一年ノ期間内ニ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレタル後使用セラレザルニ至リタル場合ニ於テハ第一項ノ規定ニ該当セザルトキト雖モ前ノ資格ニ基ク失業保險金ノ支給ヲ受クルコトヲ得
第三十三條ノ四 前條ノ規定ニ該当スル者ガ失業保險金ノ支給ヲ受クルニハ政令ノ定ムル所ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ出頭シ求職ノ申込ヲ爲シタル上失業ノ認定ヲ受クルコトヲ要ス
第三十三條ノ五 失業保險金ハ被保險者タリシ者ノ被保險者タリシ期間ノ最後ノ月及其ノ前月ニ於ケル報酬日額ヲ平均シタル額ニ基キ之ヲ算定ス但シ其ノ最後ノ月ノ報酬ガ法令又ハ勞働協約若ハ就業規則ニ基ク昇給其ノ他之ニ準ズル報酬ノ増加ニ因リ其ノ前月ノ報酬ニ比シ多額トナリタルトキハ最後ノ月ニ於ケル報酬日額ニ基キ之ヲ算定ス
失業保險金ノ額ハ一日ニ付前項ノ規定ニ依リ計算シタル報酬日額ノ平均額ニ其ノ額ニ應ジ別表第五ニ定ムル率ヲ乘ジテ得タル金額トス
被保險者タリシ者ハ第三十三條ノ四ノ規定ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ於テ認定ヲ受ケタル失業ノ期間内自己ノ勞働ニ依リ收入ヲ得ルニ至リタル場合ニ於テ其ノ收入ノ額ガ失業保險金算定ノ基礎トナリタル報酬日額ノ百分ノ八十ニ相当スル金額ニ達セザルトキハ失業保險金ノ支給ヲ受クルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル失業保險金算定ノ方法ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
被保險者タリシ者第三十條ノ規定ニ依リ傷病手当金ノ支給ヲ受クル場合ニ於テハ失業保險金ハ其ノ者ニ支給スベキ失業保險金ノ額ヨリ其ノ支給ヲ受クベキ傷病手当金ノ額ヲ控除シタル額トス
第三十三條ノ六 失業保險金ノ支給ヲ受クル期間ハ被保險者ガ第三十三條ノ三第一項ノ規定ニ該当スルニ至リタル後最初ニ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタル日ノ翌日ヨリ起算シ一年間ヲ限度トス
前項ニ規定スル期間内ニ同項ニ規定スル者再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレ新ニ第三十三條ノ三第一項ノ規定ニ該当スルニ至リタル後船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ前項ノ期間ハ其ノ使用セラレザルニ至リタル日ノ翌日ヨリ新ニ之ヲ起算ス
第三十三條ノ七 失業保險金ハ被保險者タリシ者ガ第三十三條ノ四ノ規定ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ求職ノ申込ヲ爲シタル日ヨリ起算シ失業ノ日數ヲ通算シ七日ニ満タザル間ハ之ヲ支給セズ但シ失業保險金ノ支給ヲ受ケタル者ガ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレ前條第一項ニ規定スル期間内ニ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ此ノ限リニ在ラズ
第三十三條ノ八 失業保險金ハ第三十三條ノ六第一項ニ規定スル期間内ニ於テ通算シテ百八十日分ヲ超エテ之ヲ支給セズ
失業保險金ノ支給ヲ受クベキ者ガ第三十三條ノ六第二項ノ規定ニ該当スルニ至リタルトキハ前ノ資格ニ基ク失業保險金ハ之ヲ支給セズ
第三十三條ノ九 失業保險金ハ船員職業紹介所、公共職業安定所又ハ都道府縣廳ニ於テ一週間ニ一囘其ノ日以前ノ七日分(失業ノ認定ヲ受ケザリシ日分ヲ除ク)ヲ支給ス但シ厚生大臣ハ必要アリト認ムルトキハ船員保險委員会ノ意見ヲ聽キ失業保險金ノ支給ニ付別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
船員職業紹介所、公共職業安定所又ハ都道府縣廳ハ被保險者タリシ者ニ付失業保險金ヲ支給スベキ日ヲ定メ之ヲ其ノ者ニ通知スベシ
第四十一條第一項、第三項、第四十一條ノ二、第四十二條第二項、第四十二條ノ二及び第四十二條ノ三第一項中「最終平均報酬月額」を「最終報酬月額」に改める。
第四十六條第二項中「被保險者タル者」の下に「又ハ失業保險金ノ支給ヲ受クル者」を加える。
第五十條ノ二第一項及び第五十條ノ三中「最終平均報酬日額」を「最終報酬日額」に改める。
第五十二條ノ二 被保險者タリシ者船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ紹介スル職業ニ就クコト又ハ其ノ指示シタル職業ノ補導ヲ受クルコトヲ拒ミタルトキハ其ノ拒ミタル日ヨリ起算シ一月間ハ失業保險金ヲ支給セズ但シ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 紹介セラレタル職業又ハ補導ヲ受クベキコトヲ指示セラレタル職業ガ其ノ者ノ能力ニ照シ不適当ト認メラルルトキ
二 就職スル爲現在ノ住所又ハ居所ヲ變更スルコトヲ要スル場合ニ於テ其ノ變更ガ困難ト認メラルルトキ
三 就職先ノ報酬ガ同種ノ業務及技能ニ付行ハルル一般ノ報酬水準ニ比シ不当ニ低額ナルトキ
四 職業安定法第二十條ノ規定ニ違反シ勞働爭議ノ發生中ノ事業所ニ紹介シタルトキ
五 其ノ他正当ノ理由アルトキ
船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ハ被保險者タリシ者ニ付前項各号ノ一ニ該当スルヤ否ヤヲ認定セントスルトキハ厚生大臣ガ船員保險委員会ノ意見ヲ聽キ定メタル基準ニ依ルベシ
第五十二條ノ三 被保險者自己ノ責ニ歸スベキ重大ナル事由ニ因リ又ハ已ムヲ得ザル事由ナキニ拘ラズ自己ノ都合ニ依リ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ第三十三條ノ七ニ規定スル期間満了後一月以上二月以内ノ間ニ於テ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ定ムル期間ハ失業保險金ヲ支給セズ
船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ハ被保險者タリシ者ガ前項ニ規定スル事由ニ因リ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルヤ否ヤヲ認定セントスルトキハ厚生大臣ガ船員保險委員会ノ意見ヲ聽キ定メタル基準ニ依ルベシ
第三章第八節中第五十七條ノ二の次に次の一條を加える。
第五十七條ノ三 被保險者タリシ者ガ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ紹介シタル職業ニ就ク爲其ノ住所又ハ居所ヲ變更スル場合ニ於テハ政府ハ被保險者タリシ者及其ノ者ニ依リ生計ヲ維持セラルル家族ノ移轉ニ要スル費用ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ費用ノ支給ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣船員保險委員会ノ意見ヲ聽キ之ヲ定ム
第五十八條第一項に次の但書を加える。
但シ失業保險金ノ支給ニ付テハ之ニ要スル費用ノ三分ノ一ヲ負擔ス
第五十九條第二項を削り、同條に次の三項を加える。
前項ノ保險料額ハ第二十二條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ計算シタル被保險者タリシ期間ノ各月ニ付被保險者ノ報酬月額ニ保險料率ヲ乘ジテ得タル額トス
第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ノ其ノ被保險者ト爲リタル月ノ保險料額ハ前項ノ例ニ依リ之ヲ算定ス
第一項ノ規定ニ依リ徴收スル保險料ノ保險料率ハ左ノ如シ
一 第十七條ノ規定ニ依ル被保險者ニシテ第二号ニ該当セザルモノニ付テハ其ノ報酬月額百圓ニ付十九圓二十錢ノ割合
二 第三十三條ノ三第二項ニ規定スル期間ノ被保險者ニ付テハ其ノ報酬月額百圓ニ付十七圓ノ割合
三 第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ニ付テハ其ノ報酬月額百圓ニ付十二圓二十錢ノ割合
第六十條 被保險者及被保險者ヲ使用スル船舶所有者ハ左ノ區分ニ從ヒ保險料額ヲ負擔ス
一 第十七條ノ規定ニ依ル被保險者ニシテ第二号ニ該当セザルモノニ付テハ被保險者ニ於テ保險料額ノ十九・二分ノ七・九、船舶所有者ニ於テ保險料額ノ十九・二分ノ十一・三
二 第三十三條ノ三第二項ニ規定スル期間ノ被保險者ニ付テハ被保險者ニ於テ保險料額ノ十七分ノ六・八、船舶所有者ニ於テ保險料額ノ十七分ノ十・二
第二十條ノ規定ニ依ル被保險者ハ前項ノ規定ニ拘ラズ保險料額ノ全額ヲ負擔ス
第六十二條に次の一項を加える。
船舶所有者ハ前項ノ規定ニ依リ保險料ヲ控除シタルトキハ之ニ關スル計算書ヲ作製シ其ノ控除額ヲ被保險者ニ通知スベシ
第六十九條中「指定シタル者」の下に「故ナク」を、同條に次の二号を加える。
三 第六十一條本文ノ規定ニ違反シ其ノ納付スベキ保險料ヲ納付セザルトキ
四 第九條第二項ノ規定ニ依ル證明ヲ拒ミタルトキ
第六十九條ノ二中「關係者」の下に「故ナク」を加える。
別表第四の次に次のように加える。
別表第五
等級
報酬日額ノ平均額
失業保險金
失業手当金
二十圓未満
八〇
七五
二十圓以上二十五圓未満
七七
七二
二十五圓以上三十圓未満
七五
七〇
三十圓以上三十五圓未満
七三
六八
三十五圓以上四十圓未満
七〇
六五
四十圓以上四十五圓未満
六七
六二
四十五圓以上五十圓未満
六五
六〇
五十圓以上五十五圓未満
六三
五八
五十五圓以上百圓未満
六〇
五五
一〇
百圓以上百十圓未満
五七
五二
一一
百十圓以上百二十圓未満
五五
五〇
一二
百二十圓以上百三十圓未満
五三
四八
一三
百三十圓以上百四十圓未満
五〇
四五
一四
百四十圓以上百五十圓未満
四七
四二
一五
百五十圓以上百六十圓未満
四五
四〇
一六
百六十圓以上百七十圓未満
四三
三八
一七
百七十圓以上
四〇
三五
備 考
一 本表ニ依リ算出シタル各級ノ支給日額ガ次級ノ最低日額ヲ超ユルトキハ其ノ次級ノ最低日額ヲ以テ支給日額トス
二 失業保險金ニ付テハ失業保險法第十七條第五項及第六項ノ規定ニ依リ失業保險金額表ガ改正セラレ其ノ効力ヲ生ジタル場合ニ於テハ第十四級及第十五級中「百五十圓」ヲ「百五十五圓」ニ、第十五級及第十六級中「百六十圓」ヲ「百七十圓」ニ、第十六級及第十七級中「百七十圓」ヲ「百九十圓」ニ變更シ本表ヲ適用スルモノトス
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを適用する。
第二條 改正後の第三十三條ノ三第一項に規定する被保險者であつた期間には、昭和二十二年十一月一日前における被保險者であつた期間は、これを算入しない。
第三條 政府は、被保險者が左に掲げる事項に該当するときは、昭和二十三年四月三十日までは、失業手当金を、同年五月一日以降は、失業保險金を支給する。
一 船員として船舶所有者に使用されなくなつた日まで六箇月以上、船舶所有者に使用されたこと。
二 前号に該当する者が昭和二十二年十一月一日から昭和二十三年四月三十日までの間において、船員として船舶所有者に使用されなくなつた場合において、第三十三條ノ三第一項の規定に該当しないこと。
前項の規定によつて失業手当金(同項に規定する失業保險金を含む。第十一條の場合を除いて以下同じ。)の支給を受けることができる者が、第五條に規定する期間内に再び船員として船舶所有者に使用された後使用されなくなつたときは、同項に該当しないときでも、前の資格に基く失業手当金を支給する。
被保險者が第一項の規定により失業手当金の支給を受けたときは、その支給について計算の基礎とされた期間は、改正後の第三十三條ノ三第一項に規定する被保險者であつた期間に、これを算入しない。
第四條 前條の規定に該当する者(以下受給資格者という。)が、失業手当金の支給を受けようとするときは、左の手續をしなければならない。
一 前條の規定に該当することを證明する文書その他必要な書類を船員職業紹介所又は公共職業安定所に提出すること。
二 船員として船舶所有者に使用されなくなつた後、政令の定めるところにより、船員職業紹介所又は公共職業安定所に出頭して求職の申込をした上、失業の認定を受けること。
第五條 失業手当金の支給を受ける期間は、受給資格者が最初に船員として船舶所有者に使用されなくなつた日の翌日から起算して、一年間とする。
第六條 失業手当金は、受給資格者が第四條の規定により船員職業紹介所又は公共職業安定所に求職の申込をした日から起算し失業の日數が通算して三十日に満たない間は、これを支給しない。但し、失業手当金の支給を受けた者が前條に規定する期間内に再び船員として船舶所有者に使用された後使用されなくなつたときは、この限りでない。
第七條 失業手当金は、第五條に規定する一年の期間内において、通算して百二十日分を超えてこれを支給しない。
第八條 受給資格者が改正後の第三十三條ノ三第一項の規定に該当するに至つたときは、失業手当金を支給しない。
第九條 受給資格者が、船員職業紹介所又は公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、失業手当金を支給しない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 紹介された職業又は補導を受けることを指示された職業が受給資格者の能力からみて不適当と認められるとき。
二 就職するために、現在の住所又は居所を變更することを要する場合において、その變更が困難であると認められるとき。
三 就職先の報酬が、同種の業務及び技能について行われる一般の報酬水準に比べて、不当に低いとき。
四 職業安定法第二十條の規定に違反して勞働爭議の發生している事務所に受給資格者を紹介したとき。
五 その他正当の理由のあるとき。
船員職業紹介所又は公共職業安定所は、受給資格者について、前項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするときは、厚生大臣が船員保險委員会の意見を聽いて定めた基準によらなければならない。
第十條 第三條第一項に該当する者が自己の責に歸すべき重大な事由に因り又はやむを得ない事由がないと認められるにもかかわらず自己の都合により船員として船舶所有者に使用されなくなつたときは、失業手当金を支給しない。
船舶職業紹介所又は公共職業安定所は、第三條第一項に該当する者が前項に規定する事由に因り船員として船舶所有者に使用されなくなつたかどうかを認定しようとするときは、厚生大臣が船員保險委員会の意見を聽いて定めた基準によらなければならない。
第十一條 失業手当金の支給に要する出費は、國庫において全額これを負擔し、第三條第一項の失業保險金の支給に要する費用については、その三分の一は國庫においてこれを負擔し、その三分の二は、船員保險法の規定による保險料を以て、これに充てるものとする。
第十二條 失業手当金の支給を受ける権利は、一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。
第十三條 失業手当金については、船員保險法第七條、第九條、第九條ノ二、第十條、第二十六條、第二十七條、第三十三條ノ五、第三十三條ノ九、第五十五條、第六十三條、第六十三條ノ二及び第六十七條の規定を準用する。但し、第三十三條ノ五中「百分ノ八十」とあるのは、「百分ノ七十五」と読み替えるものとする。
第十四條 船舶所有者、船員保險法第九條ノ二に規定する關係者又は受給資格者が故なく左の各号の一に該当するときは、これを一万圓以下の罰金に処する。
一 第十三條において準用する船員保險法第九條の規定による報告をせず、若しくは虚僞の報告をし、文書を提示せず、若しくは虚僞の記載をした文書を提示し、又は出頭しなかつたとき。
二 第十三條において準用する船員保險法第九條ノ二の規定による当該官吏の質問に対し陳述をせず、若しくは虚僞の陳述をし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三 第十三條において準用する船員保險法第九條第二項の規定による證明を拒んだとき。
第十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に關して、前條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、同條の罰金刑を科する。
内務大臣 木村小左衞門
大藏大臣 栗栖赳夫
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲
船員保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月二十四日
内閣総理大臣 片山哲
法律第二百三十五号
船員保険法の一部を次のように改正する。
第一条中「負傷、」の下に「失業、」を加える。
第五条中「傷病手当金、」の下に「失業保険金、」を加える。
第九条に次の二項を加える。
被保険者タリシ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ従前ノ船舶所有者ニ対シ失業保険金ノ支給ヲ受クルニ必要ナル証明書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得其ノ請求アリタルトキハ船舶所有者ハ其ノ請求ニ係ル証明書ヲ被保険者タリシ者ニ交付スベシ
行政庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被保険者又ハ保険給付ヲ受クル者ヲシテ其ノ者ノ異動、報酬其ノ他必要ナル事項ニ関シ報告ヲ為サシメ、文書ヲ提示セシメ又ハ出頭セシムルコトヲ得
第十条中「船舶借入人」の下に「、船舶所有者、船舶管理人及船舶借入人以外ノ者ガ船員ヲ使用スル場合ニ在リテハ其ノ者」を加える。
第二十二条第三項中「保険給付」を「失業保険金以外ノ保険給付」に改める。
第二十七条ノ三中「最終平均報酬月額」を「最終報酬月額」に、同条第二項中「前三月間(継続シテ被保険者タリシ期間三月未満ナルトキハ其ノ期間)ノ平均報酬月額」を「ノ報酬月額」に、同条第五項中「最終平均報酬月額」を「最終報酬日額」に改める。
第三十三条の次に次のように加える。
第二節ノ二 失業保険金
第三十三条ノ二 被保険者ガ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リ労働ノ意志及能力ヲ有スルニ拘ラズ職業ニ就クコトヲ得ザルトキハ失業保険金ヲ支給ス
第三十三条ノ三 被保険者タリシ者ガ失業保険金ノ支給ヲ受クルニハ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタル日以前一年間ニ於テ通算シテ六月以上被保険者タリシコトヲ要ス
前項ニ規定スル被保険者タリシ期間ニハ左ニ掲グル契約ニ基キ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレタル期間ハ之ヲ算入セズ但シ第一号又ハ第二号ノ契約ニ基キ使用セラルル者ガ所定ノ期間ヲ超エテ引続キ同一船舶所有者ニ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 二月以内ノ期間ヲ定メテ使用スル契約
二 季節的業務ニ四月以内ノ期間ヲ定メテ使用スル契約
第一項ノ規定ニ依リ失業保険金ノ支給ヲ受クベキ者ガ第三十三条ノ六第一項ニ規定スル一年ノ期間内ニ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレタル後使用セラレザルニ至リタル場合ニ於テハ第一項ノ規定ニ該当セザルトキト雖モ前ノ資格ニ基ク失業保険金ノ支給ヲ受クルコトヲ得
第三十三条ノ四 前条ノ規定ニ該当スル者ガ失業保険金ノ支給ヲ受クルニハ政令ノ定ムル所ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ出頭シ求職ノ申込ヲ為シタル上失業ノ認定ヲ受クルコトヲ要ス
第三十三条ノ五 失業保険金ハ被保険者タリシ者ノ被保険者タリシ期間ノ最後ノ月及其ノ前月ニ於ケル報酬日額ヲ平均シタル額ニ基キ之ヲ算定ス但シ其ノ最後ノ月ノ報酬ガ法令又ハ労働協約若ハ就業規則ニ基ク昇給其ノ他之ニ準ズル報酬ノ増加ニ因リ其ノ前月ノ報酬ニ比シ多額トナリタルトキハ最後ノ月ニ於ケル報酬日額ニ基キ之ヲ算定ス
失業保険金ノ額ハ一日ニ付前項ノ規定ニ依リ計算シタル報酬日額ノ平均額ニ其ノ額ニ応ジ別表第五ニ定ムル率ヲ乗ジテ得タル金額トス
被保険者タリシ者ハ第三十三条ノ四ノ規定ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ於テ認定ヲ受ケタル失業ノ期間内自己ノ労働ニ依リ収入ヲ得ルニ至リタル場合ニ於テ其ノ収入ノ額ガ失業保険金算定ノ基礎トナリタル報酬日額ノ百分ノ八十ニ相当スル金額ニ達セザルトキハ失業保険金ノ支給ヲ受クルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル失業保険金算定ノ方法ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
被保険者タリシ者第三十条ノ規定ニ依リ傷病手当金ノ支給ヲ受クル場合ニ於テハ失業保険金ハ其ノ者ニ支給スベキ失業保険金ノ額ヨリ其ノ支給ヲ受クベキ傷病手当金ノ額ヲ控除シタル額トス
第三十三条ノ六 失業保険金ノ支給ヲ受クル期間ハ被保険者ガ第三十三条ノ三第一項ノ規定ニ該当スルニ至リタル後最初ニ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタル日ノ翌日ヨリ起算シ一年間ヲ限度トス
前項ニ規定スル期間内ニ同項ニ規定スル者再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレ新ニ第三十三条ノ三第一項ノ規定ニ該当スルニ至リタル後船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ前項ノ期間ハ其ノ使用セラレザルニ至リタル日ノ翌日ヨリ新ニ之ヲ起算ス
第三十三条ノ七 失業保険金ハ被保険者タリシ者ガ第三十三条ノ四ノ規定ニ依リ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ニ求職ノ申込ヲ為シタル日ヨリ起算シ失業ノ日数ヲ通算シ七日ニ満タザル間ハ之ヲ支給セズ但シ失業保険金ノ支給ヲ受ケタル者ガ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレ前条第一項ニ規定スル期間内ニ再ビ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ此ノ限リニ在ラズ
第三十三条ノ八 失業保険金ハ第三十三条ノ六第一項ニ規定スル期間内ニ於テ通算シテ百八十日分ヲ超エテ之ヲ支給セズ
失業保険金ノ支給ヲ受クベキ者ガ第三十三条ノ六第二項ノ規定ニ該当スルニ至リタルトキハ前ノ資格ニ基ク失業保険金ハ之ヲ支給セズ
第三十三条ノ九 失業保険金ハ船員職業紹介所、公共職業安定所又ハ都道府県庁ニ於テ一週間ニ一回其ノ日以前ノ七日分(失業ノ認定ヲ受ケザリシ日分ヲ除ク)ヲ支給ス但シ厚生大臣ハ必要アリト認ムルトキハ船員保険委員会ノ意見ヲ聴キ失業保険金ノ支給ニ付別段ノ定ヲ為スコトヲ得
船員職業紹介所、公共職業安定所又ハ都道府県庁ハ被保険者タリシ者ニ付失業保険金ヲ支給スベキ日ヲ定メ之ヲ其ノ者ニ通知スベシ
第四十一条第一項、第三項、第四十一条ノ二、第四十二条第二項、第四十二条ノ二及び第四十二条ノ三第一項中「最終平均報酬月額」を「最終報酬月額」に改める。
第四十六条第二項中「被保険者タル者」の下に「又ハ失業保険金ノ支給ヲ受クル者」を加える。
第五十条ノ二第一項及び第五十条ノ三中「最終平均報酬日額」を「最終報酬日額」に改める。
第五十二条ノ二 被保険者タリシ者船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ紹介スル職業ニ就クコト又ハ其ノ指示シタル職業ノ補導ヲ受クルコトヲ拒ミタルトキハ其ノ拒ミタル日ヨリ起算シ一月間ハ失業保険金ヲ支給セズ但シ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 紹介セラレタル職業又ハ補導ヲ受クベキコトヲ指示セラレタル職業ガ其ノ者ノ能力ニ照シ不適当ト認メラルルトキ
二 就職スル為現在ノ住所又ハ居所ヲ変更スルコトヲ要スル場合ニ於テ其ノ変更ガ困難ト認メラルルトキ
三 就職先ノ報酬ガ同種ノ業務及技能ニ付行ハルル一般ノ報酬水準ニ比シ不当ニ低額ナルトキ
四 職業安定法第二十条ノ規定ニ違反シ労働争議ノ発生中ノ事業所ニ紹介シタルトキ
五 其ノ他正当ノ理由アルトキ
船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ハ被保険者タリシ者ニ付前項各号ノ一ニ該当スルヤ否ヤヲ認定セントスルトキハ厚生大臣ガ船員保険委員会ノ意見ヲ聴キ定メタル基準ニ依ルベシ
第五十二条ノ三 被保険者自己ノ責ニ帰スベキ重大ナル事由ニ因リ又ハ已ムヲ得ザル事由ナキニ拘ラズ自己ノ都合ニ依リ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルトキハ第三十三条ノ七ニ規定スル期間満了後一月以上二月以内ノ間ニ於テ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ定ムル期間ハ失業保険金ヲ支給セズ
船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ハ被保険者タリシ者ガ前項ニ規定スル事由ニ因リ船員トシテ船舶所有者ニ使用セラレザルニ至リタルヤ否ヤヲ認定セントスルトキハ厚生大臣ガ船員保険委員会ノ意見ヲ聴キ定メタル基準ニ依ルベシ
第三章第八節中第五十七条ノ二の次に次の一条を加える。
第五十七条ノ三 被保険者タリシ者ガ船員職業紹介所又ハ公共職業安定所ノ紹介シタル職業ニ就ク為其ノ住所又ハ居所ヲ変更スル場合ニ於テハ政府ハ被保険者タリシ者及其ノ者ニ依リ生計ヲ維持セラルル家族ノ移転ニ要スル費用ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ費用ノ支給ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣船員保険委員会ノ意見ヲ聴キ之ヲ定ム
第五十八条第一項に次の但書を加える。
但シ失業保険金ノ支給ニ付テハ之ニ要スル費用ノ三分ノ一ヲ負担ス
第五十九条第二項を削り、同条に次の三項を加える。
前項ノ保険料額ハ第二十二条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ計算シタル被保険者タリシ期間ノ各月ニ付被保険者ノ報酬月額ニ保険料率ヲ乗ジテ得タル額トス
第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ノ其ノ被保険者ト為リタル月ノ保険料額ハ前項ノ例ニ依リ之ヲ算定ス
第一項ノ規定ニ依リ徴収スル保険料ノ保険料率ハ左ノ如シ
一 第十七条ノ規定ニ依ル被保険者ニシテ第二号ニ該当セザルモノニ付テハ其ノ報酬月額百円ニ付十九円二十銭ノ割合
二 第三十三条ノ三第二項ニ規定スル期間ノ被保険者ニ付テハ其ノ報酬月額百円ニ付十七円ノ割合
三 第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ニ付テハ其ノ報酬月額百円ニ付十二円二十銭ノ割合
第六十条 被保険者及被保険者ヲ使用スル船舶所有者ハ左ノ区分ニ従ヒ保険料額ヲ負担ス
一 第十七条ノ規定ニ依ル被保険者ニシテ第二号ニ該当セザルモノニ付テハ被保険者ニ於テ保険料額ノ十九・二分ノ七・九、船舶所有者ニ於テ保険料額ノ十九・二分ノ十一・三
二 第三十三条ノ三第二項ニ規定スル期間ノ被保険者ニ付テハ被保険者ニ於テ保険料額ノ十七分ノ六・八、船舶所有者ニ於テ保険料額ノ十七分ノ十・二
第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ハ前項ノ規定ニ拘ラズ保険料額ノ全額ヲ負担ス
第六十二条に次の一項を加える。
船舶所有者ハ前項ノ規定ニ依リ保険料ヲ控除シタルトキハ之ニ関スル計算書ヲ作製シ其ノ控除額ヲ被保険者ニ通知スベシ
第六十九条中「指定シタル者」の下に「故ナク」を、同条に次の二号を加える。
三 第六十一条本文ノ規定ニ違反シ其ノ納付スベキ保険料ヲ納付セザルトキ
四 第九条第二項ノ規定ニ依ル証明ヲ拒ミタルトキ
第六十九条ノ二中「関係者」の下に「故ナク」を加える。
別表第四の次に次のように加える。
別表第五
等級
報酬日額ノ平均額
失業保険金
失業手当金
二十円未満
八〇
七五
二十円以上二十五円未満
七七
七二
二十五円以上三十円未満
七五
七〇
三十円以上三十五円未満
七三
六八
三十五円以上四十円未満
七〇
六五
四十円以上四十五円未満
六七
六二
四十五円以上五十円未満
六五
六〇
五十円以上五十五円未満
六三
五八
五十五円以上百円未満
六〇
五五
一〇
百円以上百十円未満
五七
五二
一一
百十円以上百二十円未満
五五
五〇
一二
百二十円以上百三十円未満
五三
四八
一三
百三十円以上百四十円未満
五〇
四五
一四
百四十円以上百五十円未満
四七
四二
一五
百五十円以上百六十円未満
四五
四〇
一六
百六十円以上百七十円未満
四三
三八
一七
百七十円以上
四〇
三五
備 考
一 本表ニ依リ算出シタル各級ノ支給日額ガ次級ノ最低日額ヲ超ユルトキハ其ノ次級ノ最低日額ヲ以テ支給日額トス
二 失業保険金ニ付テハ失業保険法第十七条第五項及第六項ノ規定ニ依リ失業保険金額表ガ改正セラレ其ノ効力ヲ生ジタル場合ニ於テハ第十四級及第十五級中「百五十円」ヲ「百五十五円」ニ、第十五級及第十六級中「百六十円」ヲ「百七十円」ニ、第十六級及第十七級中「百七十円」ヲ「百九十円」ニ変更シ本表ヲ適用スルモノトス
附 則
第一条 この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを適用する。
第二条 改正後の第三十三条ノ三第一項に規定する被保険者であつた期間には、昭和二十二年十一月一日前における被保険者であつた期間は、これを算入しない。
第三条 政府は、被保険者が左に掲げる事項に該当するときは、昭和二十三年四月三十日までは、失業手当金を、同年五月一日以降は、失業保険金を支給する。
一 船員として船舶所有者に使用されなくなつた日まで六箇月以上、船舶所有者に使用されたこと。
二 前号に該当する者が昭和二十二年十一月一日から昭和二十三年四月三十日までの間において、船員として船舶所有者に使用されなくなつた場合において、第三十三条ノ三第一項の規定に該当しないこと。
前項の規定によつて失業手当金(同項に規定する失業保険金を含む。第十一条の場合を除いて以下同じ。)の支給を受けることができる者が、第五条に規定する期間内に再び船員として船舶所有者に使用された後使用されなくなつたときは、同項に該当しないときでも、前の資格に基く失業手当金を支給する。
被保険者が第一項の規定により失業手当金の支給を受けたときは、その支給について計算の基礎とされた期間は、改正後の第三十三条ノ三第一項に規定する被保険者であつた期間に、これを算入しない。
第四条 前条の規定に該当する者(以下受給資格者という。)が、失業手当金の支給を受けようとするときは、左の手続をしなければならない。
一 前条の規定に該当することを証明する文書その他必要な書類を船員職業紹介所又は公共職業安定所に提出すること。
二 船員として船舶所有者に使用されなくなつた後、政令の定めるところにより、船員職業紹介所又は公共職業安定所に出頭して求職の申込をした上、失業の認定を受けること。
第五条 失業手当金の支給を受ける期間は、受給資格者が最初に船員として船舶所有者に使用されなくなつた日の翌日から起算して、一年間とする。
第六条 失業手当金は、受給資格者が第四条の規定により船員職業紹介所又は公共職業安定所に求職の申込をした日から起算し失業の日数が通算して三十日に満たない間は、これを支給しない。但し、失業手当金の支給を受けた者が前条に規定する期間内に再び船員として船舶所有者に使用された後使用されなくなつたときは、この限りでない。
第七条 失業手当金は、第五条に規定する一年の期間内において、通算して百二十日分を超えてこれを支給しない。
第八条 受給資格者が改正後の第三十三条ノ三第一項の規定に該当するに至つたときは、失業手当金を支給しない。
第九条 受給資格者が、船員職業紹介所又は公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、又はその指示した職業の補導を受けることを拒んだときは、失業手当金を支給しない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 紹介された職業又は補導を受けることを指示された職業が受給資格者の能力からみて不適当と認められるとき。
二 就職するために、現在の住所又は居所を変更することを要する場合において、その変更が困難であると認められるとき。
三 就職先の報酬が、同種の業務及び技能について行われる一般の報酬水準に比べて、不当に低いとき。
四 職業安定法第二十条の規定に違反して労働争議の発生している事務所に受給資格者を紹介したとき。
五 その他正当の理由のあるとき。
船員職業紹介所又は公共職業安定所は、受給資格者について、前項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするときは、厚生大臣が船員保険委員会の意見を聴いて定めた基準によらなければならない。
第十条 第三条第一項に該当する者が自己の責に帰すべき重大な事由に因り又はやむを得ない事由がないと認められるにもかかわらず自己の都合により船員として船舶所有者に使用されなくなつたときは、失業手当金を支給しない。
船舶職業紹介所又は公共職業安定所は、第三条第一項に該当する者が前項に規定する事由に因り船員として船舶所有者に使用されなくなつたかどうかを認定しようとするときは、厚生大臣が船員保険委員会の意見を聴いて定めた基準によらなければならない。
第十一条 失業手当金の支給に要する出費は、国庫において全額これを負担し、第三条第一項の失業保険金の支給に要する費用については、その三分の一は国庫においてこれを負担し、その三分の二は、船員保険法の規定による保険料を以て、これに充てるものとする。
第十二条 失業手当金の支給を受ける権利は、一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。
第十三条 失業手当金については、船員保険法第七条、第九条、第九条ノ二、第十条、第二十六条、第二十七条、第三十三条ノ五、第三十三条ノ九、第五十五条、第六十三条、第六十三条ノ二及び第六十七条の規定を準用する。但し、第三十三条ノ五中「百分ノ八十」とあるのは、「百分ノ七十五」と読み替えるものとする。
第十四条 船舶所有者、船員保険法第九条ノ二に規定する関係者又は受給資格者が故なく左の各号の一に該当するときは、これを一万円以下の罰金に処する。
一 第十三条において準用する船員保険法第九条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提示せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提示し、又は出頭しなかつたとき。
二 第十三条において準用する船員保険法第九条ノ二の規定による当該官吏の質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三 第十三条において準用する船員保険法第九条第二項の規定による証明を拒んだとき。
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
内務大臣 木村小左衛門
大蔵大臣 栗栖赳夫
厚生大臣 一松定吉
内閣総理大臣 片山哲