(日本国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関する法律)
法令番号: 法律第七十五号
公布年月日: 昭和22年4月19日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十八日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
法律第七十五号
第一條 この法律は、日本國憲法の施行に伴い、民事訴訟法について應急的措置を講ずることを目的とする。
第二條 民事訴訟法は、日本國憲法及び裁判所法の制定の趣旨に適合するようにこれを解釈しなければならない。
第三條 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第四條 上告は、高等裁判所がした第二審又は第一審の終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所がした第二審の終局判決に対しては高等裁判所にこれをすることができる。
第一審の終局判決について、上告をする権利を留保して、控訴をしない旨の合意をした場合には、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、直ちに上告をすることができる。
第五條 高等裁判所が上告裁判所である場合に、最高裁判所の定める事由があるときは、決定で事件を最高裁判所に移送しなければならない。
第六條 高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。
前項の上告は、判決の確定を妨げる効力を有しない。但し、最高裁判所は、同項の上告があつたときは、決定で強制執行の停止を命ずることができる。
第七條 民事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、その決定又は命令において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告の提起期間は、五日とする。
第八條 行政廳の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、他の法律(昭和二十二年三月一日前に制定されたものを除く。)に特別の定のあるものを除いて、当事者がその処分があつたことを知つた日から六箇月以内に、これを提起しなければならない。但し、処分の日から三年を経過したときは、訴を提起することができない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
東京高等裁判所が裁判所法施行法の規定に基いて審理及び裁判をすべきものとされた事件(同法施行の際東京控訴院に係属していたものを除く。)についてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に上告をすることができる。
前項の上告については、第六條第二項の規定を準用する。
朕は、帝国議会の協賛を経た日本国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十八日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
法律第七十五号
第一条 この法律は、日本国憲法の施行に伴い、民事訴訟法について応急的措置を講ずることを目的とする。
第二条 民事訴訟法は、日本国憲法及び裁判所法の制定の趣旨に適合するようにこれを解釈しなければならない。
第三条 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第四条 上告は、高等裁判所がした第二審又は第一審の終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所がした第二審の終局判決に対しては高等裁判所にこれをすることができる。
第一審の終局判決について、上告をする権利を留保して、控訴をしない旨の合意をした場合には、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、直ちに上告をすることができる。
第五条 高等裁判所が上告裁判所である場合に、最高裁判所の定める事由があるときは、決定で事件を最高裁判所に移送しなければならない。
第六条 高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。
前項の上告は、判決の確定を妨げる効力を有しない。但し、最高裁判所は、同項の上告があつたときは、決定で強制執行の停止を命ずることができる。
第七条 民事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、その決定又は命令において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告の提起期間は、五日とする。
第八条 行政庁の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、他の法律(昭和二十二年三月一日前に制定されたものを除く。)に特別の定のあるものを除いて、当事者がその処分があつたことを知つた日から六箇月以内に、これを提起しなければならない。但し、処分の日から三年を経過したときは、訴を提起することができない。
附 則
この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
東京高等裁判所が裁判所法施行法の規定に基いて審理及び裁判をすべきものとされた事件(同法施行の際東京控訴院に係属していたものを除く。)についてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に上告をすることができる。
前項の上告については、第六条第二項の規定を準用する。