会社経理特別措置令
法令番号: 勅令第六百二十一號
公布年月日: 昭和19年11月1日
法令の形式: 勅令
朕會社經理特別措置令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年十月三十一日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
大東亞大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
軍需大臣 藤原銀次郞
大藏大臣 石渡莊太郞
運輸通信大臣 前田米藏
司法大臣 松阪廣政
內務大臣 大達茂雄
農商大臣 島田俊雄
厚生大臣 廣瀨久忠
勅令第六百二十一號
會社經理特別措置令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十一條ノ規定ニ基ク會社ノ經理ニ關スル命令ノ中戰時災害(戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪行爲又ハ之ニ關聯アル事件ニ因ル災害ヲ謂フ以下同ジ)ニ因リ損失ヲ生ジタル場合等ニ於ケル特別措置ニ關スルモノニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 戰時災害ニ因リ損失ヲ生ジタル會社及主務大臣ノ指定スル會社ハ其ノ經理ニ付左ノ特別措置ヲ爲スコトヲ得法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ當該會社ノ營業ノ全部若ハ一部ヲ讓受ケ又ハ當該會社ヲ合併シタル會社亦同ジ
一 商法第二百八十五條ノ規定及其ノ準用規定ニ拘ラズ財產目錄ニ記載スル營業用ノ固定財產ニ付財產目錄調製ノ時ニ於ケル價格ヲ超エザル價額ヲ附スルコト
二 他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ準備金ノ割合ヲ引下ゲ、準備金ノ積立ヲ爲サズ又ハ準備金ヲ使用スルコト
三 戰時災害又ハ主務大臣ノ指定スル事由ニ因リ生ジタル損金ノ全部又ハ一部ヲ貸借對照表ノ資產ノ部ニ計上シ之ヲ一定ノ期間內ニ償却スルコト
第三條 會社前條ノ規定ニ依ル特別措置ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ閣令ノ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケズシテ前條ノ規定ニ依ル特別措置ヲ爲シタル會社ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ從ヒ其ノ旨主務大臣ニ報吿スベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ會社又ハ事項ヲ定メテ前二項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケ又ハ報吿ヲ爲ス業務ヲ免除スルコトヲ得
第四條 第二條ノ規定ニ依ル特別措置ヲ爲ス會社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ他ノ法令ノ規定ニ基ク固定資產ノ償却ヲ爲サザルコトヲ得
第五條 第二條ノ規定ニ依ル指定又ハ第三條ノ規定ニ依ル許可ニ關スル處分若ハ免除ニシテ事案ノ重要ナルモノハ會社經理審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第六條 本令中主務大臣トアルハ大藏大臣及當該會社ノ營ム主タル營業ノ所管大臣トス
第七條 本令ノ施行ニ關シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ南洋廳長官トス但シ朝鮮銀行、臺灣銀行及南洋拓殖株式會社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ總督府令、南洋群島ニ在リテハ廳令トス
第五條ノ規定ハ朝鮮、臺灣及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣及南洋群島ニ在リテハ昭和十九年十一月十五日ヨリ之ヲ施行ス
會社經理審査委員會官制第一條中「會社經理統制令第三十九條」ノ下ニ「及會社經理特別措置令第五條」ヲ加フ
朕会社経理特別措置令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年十月三十一日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
大東亜大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
軍需大臣 藤原銀次郎
大蔵大臣 石渡荘太郎
運輸通信大臣 前田米蔵
司法大臣 松阪広政
内務大臣 大達茂雄
農商大臣 島田俊雄
厚生大臣 広瀬久忠
勅令第六百二十一号
会社経理特別措置令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十一条ノ規定ニ基ク会社ノ経理ニ関スル命令ノ中戦時災害(戦争ノ際ニ於ケル戦闘行為又ハ之ニ関連アル事件ニ因ル災害ヲ謂フ以下同ジ)ニ因リ損失ヲ生ジタル場合等ニ於ケル特別措置ニ関スルモノニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 戦時災害ニ因リ損失ヲ生ジタル会社及主務大臣ノ指定スル会社ハ其ノ経理ニ付左ノ特別措置ヲ為スコトヲ得法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ当該会社ノ営業ノ全部若ハ一部ヲ譲受ケ又ハ当該会社ヲ合併シタル会社亦同ジ
一 商法第二百八十五条ノ規定及其ノ準用規定ニ拘ラズ財産目録ニ記載スル営業用ノ固定財産ニ付財産目録調製ノ時ニ於ケル価格ヲ超エザル価額ヲ附スルコト
二 他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ準備金ノ割合ヲ引下ゲ、準備金ノ積立ヲ為サズ又ハ準備金ヲ使用スルコト
三 戦時災害又ハ主務大臣ノ指定スル事由ニ因リ生ジタル損金ノ全部又ハ一部ヲ貸借対照表ノ資産ノ部ニ計上シ之ヲ一定ノ期間内ニ償却スルコト
第三条 会社前条ノ規定ニ依ル特別措置ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ閣令ノ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケズシテ前条ノ規定ニ依ル特別措置ヲ為シタル会社ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ閣令ノ定ムル所ニ従ヒ其ノ旨主務大臣ニ報告スベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ会社又ハ事項ヲ定メテ前二項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケ又ハ報告ヲ為ス業務ヲ免除スルコトヲ得
第四条 第二条ノ規定ニ依ル特別措置ヲ為ス会社ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ他ノ法令ノ規定ニ基ク固定資産ノ償却ヲ為サザルコトヲ得
第五条 第二条ノ規定ニ依ル指定又ハ第三条ノ規定ニ依ル許可ニ関スル処分若ハ免除ニシテ事案ノ重要ナルモノハ会社経理審査委員会ノ議ヲ経ベシ
第六条 本令中主務大臣トアルハ大蔵大臣及当該会社ノ営ム主タル営業ノ所管大臣トス
第七条 本令ノ施行ニ関シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 本令中主務大臣トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督又ハ南洋庁長官トス但シ朝鮮銀行、台湾銀行及南洋拓殖株式会社ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ総督府令、南洋群島ニ在リテハ庁令トス
第五条ノ規定ハ朝鮮、台湾及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾及南洋群島ニ在リテハ昭和十九年十一月十五日ヨリ之ヲ施行ス
会社経理審査委員会官制第一条中「会社経理統制令第三十九条」ノ下ニ「及会社経理特別措置令第五条」ヲ加フ