国民学校令等戦時特例
法令番号: 勅令第八十號
公布年月日: 昭和19年2月16日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ國民學校令等戰時特例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十五日
內閣總理大臣 東條英機
內務大臣 安藤紀三郞
大東亞大臣 靑木一男
文部大臣 子爵 岡部長景
勅令第八十號
國民學校令等戰時特例
第一條 本令ハ大東亞戰爭ニ際シ學校敎育ニ付時局ニ卽應スル措置ヲ講ズルヲ以テ目的トス終ハ國民學校令第八條ノ規定ニ拘ラズ當該兒童ノ滿十二歲ニ達シタル日ノ屬スル學年ノ終トス但シ滿十二歲ニ達シタル日ノ屬スル學年ノ終ニ至ルモ國民學校初等科ノ課程ヲ修了セザル兒童ニ付テハ其ノ者ガ滿十四歲ニ達スル日迄ニ其ノ課程ヲ修了シタルトキハ其ノ修了シタル日トシ滿十四歲ニ達スルモ其ノ課程ヲ修了セザルトキハ其ノ達シタル日トス
第二條 國民學校ニ兒童ヲ就學セシムベキ期間ノ
第三條 昭和十六年勅令第百五十五號中昭和十九年四月一日以後ニ於テ施行セラルベキ部分ハ之ガ施行ヲ延期ス
第四條 昭和十九年度ニ於テ中等學校令第二十條ノ規定ニ依ル中等學校ノ第三學年及第四學年ニ在學スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ同條ノ規定ニ拘ラズ同令第七條又ハ第九條ノ規定ニ依ル
昭和十九年度ニ於テ師範敎育令附則第九項ノ規定ニ依ル高等師範學校附屬中學校又ハ女子高等師範學校附屬高等女學校ノ第三學年及第四學年ニ在學スル生徒ニ付テハ其ノ修業年限ハ同項ノ規定ニ拘ラズ同令第十九條第一項ニ於テ準用スル中等學校令第七條ノ規定ニ依ル
第五條 師範敎育令附則第四項ノ規定ハ昭和十九年度ニ於テ師範學校女子部本科ニ在學スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テノミ之ヲ適用ス
師範敎育令附則第六項ノ規定ハ昭和十九年度ニ於テ師範學校豫科第三學年ニ在學スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テノミ之ヲ適用ス
第六條 修業年限五年ノ中學校若ハ高等女學校ノ第四學年ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者ハ師範敎育令第五條若ハ第十五條又ハ專門學校令第五條第一項本文ノ規定ニ拘ラズ師範學校本科、高等師範學校若ハ女子高等師範學校又ハ專門學校ニ入學スルコトヲ得
前項ノ規定ハ商船專門學校ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七條 監督官廳特ニ必要アリト認ムルトキハ公立又ハ私立ノ學校ニ付左ニ揭グル事項ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
一 學校ノ整理及統合
二 學部、學科又ハ課程ノ設置及廢止
三 學生生徒ノ定員變更及募集停止竝ニ授業ノ停止
四 授業ノ委託及受託
五 校地及校舍ノ變更
前項第一號又ハ第二號ノ規定ニ依リ公立又ハ私立ノ大學又ハ其ノ學部ノ設置又ハ廢止ニ係ル命令ヲ爲サントスルトキハ別ニ定ムル公私立大學戰時措置委員會ノ諮問ヲ經ベシ
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ文部大臣ニ於テ勅裁ヲ請フベシ
第二項ノ規定ニ依ル命令ヲ爲シタル場合ニ於テハ大學令第八條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ爲シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ政府ハ豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定施行ニ關シ必要ナル事項ハ文部大臣之ヲ定ム
第八條 本令(高等師範學校及女子高等師範學校ニ關スル部分ヲ除ク)中國民學校令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國民學校令、臺灣ニ在リテハ臺灣敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國民學校令トシ中等學校令第二十條トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等學校令第二十條、臺灣ニ在リテハ臺灣敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等學校令第二十條、關東州及滿洲國ニ在リテハ在關東州及滿洲國帝國臣民敎育令第十一條トシ文部大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、關東州及滿洲國ニ在リテハ滿洲國駐箚特命全權大使トシ同令第七條又ハ第九條トアルハ關東州及滿洲國ニ在リテハ在關東州及滿洲國帝國臣民敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等學校令第七條又ハ第九條トシ師範敎育令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範敎育令、臺灣ニ在リテハ臺灣敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範敎育令、關東州及滿洲國ニ在リテハ在關東州及滿洲國帝國臣民敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範敎育令トシ專門學校令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル專門學校令、臺灣ニ在リテハ臺灣敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル專門學校令、關東州及滿洲國ニ在リテハ在關東州及滿洲國帝國臣民敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル專門學校令トシ大學令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大學令、臺灣ニ在リテハ臺灣敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大學令、關東州及滿洲國ニ在リテハ在關東州及滿洲國帝國臣民敎育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大學令トス
附 則
本令中第一條及第八條ノ規定(第七條ノ規定ニ關聯スル部分ニ限ル)竝ニ第七條ノ規定ハ公布ノ日ヨリ、其ノ他ノ規定ハ昭和十九年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十六年勅令第九百二十四號中左ノ通改正ス
附則第二項中「昭和二十一年」ヲ「昭和十九年」ニ改ム
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ国民学校令等戦時特例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年二月十五日
内閣総理大臣 東条英機
内務大臣 安藤紀三郎
大東亜大臣 青木一男
文部大臣 子爵 岡部長景
勅令第八十号
国民学校令等戦時特例
第一条 本令ハ大東亜戦争ニ際シ学校教育ニ付時局ニ即応スル措置ヲ講ズルヲ以テ目的トス終ハ国民学校令第八条ノ規定ニ拘ラズ当該児童ノ満十二歳ニ達シタル日ノ属スル学年ノ終トス但シ満十二歳ニ達シタル日ノ属スル学年ノ終ニ至ルモ国民学校初等科ノ課程ヲ修了セザル児童ニ付テハ其ノ者ガ満十四歳ニ達スル日迄ニ其ノ課程ヲ修了シタルトキハ其ノ修了シタル日トシ満十四歳ニ達スルモ其ノ課程ヲ修了セザルトキハ其ノ達シタル日トス
第二条 国民学校ニ児童ヲ就学セシムベキ期間ノ
第三条 昭和十六年勅令第百五十五号中昭和十九年四月一日以後ニ於テ施行セラルベキ部分ハ之ガ施行ヲ延期ス
第四条 昭和十九年度ニ於テ中等学校令第二十条ノ規定ニ依ル中等学校ノ第三学年及第四学年ニ在学スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ同条ノ規定ニ拘ラズ同令第七条又ハ第九条ノ規定ニ依ル
昭和十九年度ニ於テ師範教育令附則第九項ノ規定ニ依ル高等師範学校附属中学校又ハ女子高等師範学校附属高等女学校ノ第三学年及第四学年ニ在学スル生徒ニ付テハ其ノ修業年限ハ同項ノ規定ニ拘ラズ同令第十九条第一項ニ於テ準用スル中等学校令第七条ノ規定ニ依ル
第五条 師範教育令附則第四項ノ規定ハ昭和十九年度ニ於テ師範学校女子部本科ニ在学スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テノミ之ヲ適用ス
師範教育令附則第六項ノ規定ハ昭和十九年度ニ於テ師範学校予科第三学年ニ在学スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テノミ之ヲ適用ス
第六条 修業年限五年ノ中学校若ハ高等女学校ノ第四学年ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者ハ師範教育令第五条若ハ第十五条又ハ専門学校令第五条第一項本文ノ規定ニ拘ラズ師範学校本科、高等師範学校若ハ女子高等師範学校又ハ専門学校ニ入学スルコトヲ得
前項ノ規定ハ商船専門学校ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七条 監督官庁特ニ必要アリト認ムルトキハ公立又ハ私立ノ学校ニ付左ニ掲グル事項ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
一 学校ノ整理及統合
二 学部、学科又ハ課程ノ設置及廃止
三 学生生徒ノ定員変更及募集停止並ニ授業ノ停止
四 授業ノ委託及受託
五 校地及校舎ノ変更
前項第一号又ハ第二号ノ規定ニ依リ公立又ハ私立ノ大学又ハ其ノ学部ノ設置又ハ廃止ニ係ル命令ヲ為サントスルトキハ別ニ定ムル公私立大学戦時措置委員会ノ諮問ヲ経ベシ
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ為サントスルトキハ文部大臣ニ於テ勅裁ヲ請フベシ
第二項ノ規定ニ依ル命令ヲ為シタル場合ニ於テハ大学令第八条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ為シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ政府ハ予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定施行ニ関シ必要ナル事項ハ文部大臣之ヲ定ム
第八条 本令(高等師範学校及女子高等師範学校ニ関スル部分ヲ除ク)中国民学校令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国民学校令、台湾ニ在リテハ台湾教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国民学校令トシ中等学校令第二十条トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等学校令第二十条、台湾ニ在リテハ台湾教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等学校令第二十条、関東州及満洲国ニ在リテハ在関東州及満洲国帝国臣民教育令第十一条トシ文部大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、関東州及満洲国ニ在リテハ満洲国駐箚特命全権大使トシ同令第七条又ハ第九条トアルハ関東州及満洲国ニ在リテハ在関東州及満洲国帝国臣民教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル中等学校令第七条又ハ第九条トシ師範教育令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範教育令、台湾ニ在リテハ台湾教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範教育令、関東州及満洲国ニ在リテハ在関東州及満洲国帝国臣民教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル師範教育令トシ専門学校令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル専門学校令、台湾ニ在リテハ台湾教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル専門学校令、関東州及満洲国ニ在リテハ在関東州及満洲国帝国臣民教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル専門学校令トシ大学令トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大学令、台湾ニ在リテハ台湾教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大学令、関東州及満洲国ニ在リテハ在関東州及満洲国帝国臣民教育令ニ於テ依ルコトヲ定メタル大学令トス
附 則
本令中第一条及第八条ノ規定(第七条ノ規定ニ関連スル部分ニ限ル)並ニ第七条ノ規定ハ公布ノ日ヨリ、其ノ他ノ規定ハ昭和十九年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十六年勅令第九百二十四号中左ノ通改正ス
附則第二項中「昭和二十一年」ヲ「昭和十九年」ニ改ム