海軍特別志願兵令
法令番号: 勅令第六百八號
公布年月日: 昭和18年7月28日
法令の形式: 勅令
朕海軍特別志願兵令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年七月二十七日
內閣總理大臣 東條英機
海軍大臣 嶋田繁太郞
勅令第六百八號
海軍特別志願兵令
第一章 總則
第一條 戶籍法ノ適用ヲ受ケザル帝國臣民タル男子ニシテ海軍ノ兵役ニ服スルコトヲ志願スルモノハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ銓衡ノ上之ヲ特別志願兵ニ採用シ海軍兵籍ニ編入ス
第二條 特別志願兵ノ服スベキ兵役ハ現役及豫備役又ハ第一補充兵役竝ニ第一國民兵役トス
第三條 特別志願兵ノ兵籍ハ之ヲ其ノ本籍地ノ海軍特別志願兵徵募區ヲ管轄スル警備府ニ置ク
第四條 特別志願兵ノ採否ノ決定、再現役ノ許否ノ決定、轉役及免役ノ處分ハ在籍警備府司令長官之ヲ行フ
第五條 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ハ服役スルコトヲ得ズ
第二章 服役
第六條 特別志願兵ノ現役ハ三年トシ現役兵トシテ採用セラレタル者之ニ服ス
豫備役ハ十二年トシ現役ヲ終リタル者ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ之ヲ豫備役ニ服セシム
第一補充兵役ハ十七年四月トシ第一補充兵トシテ採用セラレタル者之ニ服ス
豫備役又ハ第一補充兵役ヲ終リタル者ニシテ年齡四十年未滿ノ者ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ之ヲ第一國民兵役ニ服セシム
第七條 現役又ハ第一補充兵役ノ期間ハ現役兵又ハ第一補充兵トシテ兵籍ニ編入セラレタル月ノ一日ヨリ之ヲ起算ス
第八條 現役特別志願兵ハ第六條ニ規定スル現役期間滿ツルモ引續キ數次再現役ヲ志願スルコトヲ得
海軍特修兵令ニ依リ服役ノ義務ヲ有スル者ハ第六條ニ規定スル現役期間滿ツル日ノ翌日ヨリ其ノ義務ノ終ル日迄ヲ一期トシ再現役ニ入リタルモノト看做ス
第九條 海軍志願兵令第九條、第十條、第十一條第三項、第十二條、第十三條、第十六條乃至第十八條及第二十一條、兵役法第十九條、第二十條及第二十一條第一項竝ニ兵役法施行令第三十六條乃至第三十八條及第四十一條ノ規定ハ特別志願兵ノ服役ニ之ヲ準用ス但シ海軍志願兵令第十七條及第十七條ノ二中豫備役トアルハ豫備役及第一補充兵役トシ同令第二十一條竝ニ兵役法施行令第三十六條及第三十八條第三項中鎭守府司令長官トアルハ警備府司令長官トス
第三章 徵募
第十條 特別志願兵ノ徵募ハ年齡十六年以上二十一年未滿(昭和七年律令第二號ノ適用ヲ受クル者ニ在リテハ二十五年未滿)ノ者ニ就キ之ヲ行フ
前項ニ規定スル年齡ハ採用ノ年ノ十二月一日ニ於ケル年齡トス
第十一條 特別志願兵トシテ徵募スベキ海軍兵ノ兵種ハ左ノ各號ニ揭グル種別ニ從ヒ志願者ノ身材、技能、職業其ノ他ヲ參酌シ所管警備府司令長官之ヲ定ム
一 水兵
二 整備兵
三 機關兵
四 工作兵
五 衞生兵
六 主計兵
第十二條 左ニ揭グル者ハ特別志願兵ノ徵募ニ應ズルコトヲ得ズ
一 陸軍ノ豫備役及第一國民兵役ニ在ル者竝ニ軍隊ニ於テ敎育ヲ受ケタル第一補充兵
二 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者又ハ刑法第百八十五條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル者
三 刑事被吿人
第十三條 左ニ揭グル者ハ之ヲ特別志願兵ニ採用スルコトヲ得ズ
一 身體完全ナラザル者
二 志操確實ナラザル者
三 品行方正ナラザル者
四 略國民學校初等科修了程度以上ノ學力ナキ者
五 試驗檢査ニ合格セザル者
六 前各號ニ揭グル者ノ外海軍兵ニ適セズト認ムル者
第十四條 海軍大臣ハ海軍特別志願兵徵募區(以下之ヲ徵募區ト稱ス)ヲ定メ鎭海警備府又ハ高雄警備府ヲシテ之ヲ管セシム
第十五條 海軍大臣ハ各徵募區所管ノ警備府司令長官ヲシテ特別志願兵ノ徵募ヲ掌理セシム
第十六條 現役特別志願兵ハ採用ノ上ハ之ヲ所管警備府ノ海兵團ニ入團セシム
第十七條 海軍大臣ハ每年採用スベキ特別志願兵ニ付其ノ役種別、兵種別及入團期別ノ員數ヲ定メ之ヲ所管警備府司令長官ニ吿達ス
第十八條 現役特別志願兵ノ入團期日ハ四月一日及十月一日トス但シ海軍大臣ハ必要アル場合ニ於テハ之ヲ變更スルコトヲ得
第十九條 警備府司令長官ハ現役特別志願兵ニシテ入團ノ際現役ニ適セズト認ムルモノアルトキハ其ノ現役ヲ免ジ之ヲ第一補充兵役ニ服セシメ又ハ其ノ採用ヲ取消スコトヲ得
警備府司令長官ハ現役特別志願兵ニシテ入團ニ際シ疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ入團シ難キモノアルトキハ二十日以內其ノ入團ヲ延期スルコトヲ得
第四章 召集
第二十條 兵役法第五十四條、第五十五條、第五十六條第一項、第五十七條第一項、第五十八條第一項及第六十條乃至第六十三條竝ニ兵役法施行令第四章(第百二十條乃至第百二十一條ヲ除ク)及第百四十三條ノ規定ハ特別志願兵ノ召集又ハ簡閱點呼ニ之ヲ準用ス但シ同令第百二十二條中本籍所在ノ師管又ハ鎭守府管區トアルハ本籍所在ノ徵募區、他ノ師管又ハ鎭守府管區トアルハ他ノ徵募區(海軍志願兵ノ徵募區ヲ含ム)、當該師管又ハ鎭守府管區トアルハ當該徵募區、鎭守府司令長官トアルハ警備府司令長官若ハ鎭守府司令長官トシ其ノ他ノ規定(第百十八條第一項第二號ヲ除ク)中鎭守府司令長官トアルハ警備府司令長官トス
第五章 雜則
第二十一條 特別志願兵ニ對スル他ノ法令ノ適用ニ付テハ在籍鎭守府又ハ在籍鎭守府司令長官ニ關スル規定ハ在籍警備府又ハ在籍警備府司令長官ニ關スル規定トス
第二十二條 海軍大臣ハ朝鮮ニ在リテハ道知事、警察署長、府尹、區長及邑面長、臺灣ニ在リテハ州知事、廳長、郡守、警察署長及支廳長ヲシテ特別志願兵ノ徵募其ノ他本令施行ニ關スル事務ノ一部ヲ擔任セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕海軍特別志願兵令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年七月二十七日
内閣総理大臣 東条英機
海軍大臣 嶋田繁太郎
勅令第六百八号
海軍特別志願兵令
第一章 総則
第一条 戸籍法ノ適用ヲ受ケザル帝国臣民タル男子ニシテ海軍ノ兵役ニ服スルコトヲ志願スルモノハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ銓衡ノ上之ヲ特別志願兵ニ採用シ海軍兵籍ニ編入ス
第二条 特別志願兵ノ服スベキ兵役ハ現役及予備役又ハ第一補充兵役並ニ第一国民兵役トス
第三条 特別志願兵ノ兵籍ハ之ヲ其ノ本籍地ノ海軍特別志願兵徴募区ヲ管轄スル警備府ニ置ク
第四条 特別志願兵ノ採否ノ決定、再現役ノ許否ノ決定、転役及免役ノ処分ハ在籍警備府司令長官之ヲ行フ
第五条 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者ハ服役スルコトヲ得ズ
第二章 服役
第六条 特別志願兵ノ現役ハ三年トシ現役兵トシテ採用セラレタル者之ニ服ス
予備役ハ十二年トシ現役ヲ終リタル者ハ別ニ辞令ヲ用ヒズ之ヲ予備役ニ服セシム
第一補充兵役ハ十七年四月トシ第一補充兵トシテ採用セラレタル者之ニ服ス
予備役又ハ第一補充兵役ヲ終リタル者ニシテ年齢四十年未満ノ者ハ別ニ辞令ヲ用ヒズ之ヲ第一国民兵役ニ服セシム
第七条 現役又ハ第一補充兵役ノ期間ハ現役兵又ハ第一補充兵トシテ兵籍ニ編入セラレタル月ノ一日ヨリ之ヲ起算ス
第八条 現役特別志願兵ハ第六条ニ規定スル現役期間満ツルモ引続キ数次再現役ヲ志願スルコトヲ得
海軍特修兵令ニ依リ服役ノ義務ヲ有スル者ハ第六条ニ規定スル現役期間満ツル日ノ翌日ヨリ其ノ義務ノ終ル日迄ヲ一期トシ再現役ニ入リタルモノト看做ス
第九条 海軍志願兵令第九条、第十条、第十一条第三項、第十二条、第十三条、第十六条乃至第十八条及第二十一条、兵役法第十九条、第二十条及第二十一条第一項並ニ兵役法施行令第三十六条乃至第三十八条及第四十一条ノ規定ハ特別志願兵ノ服役ニ之ヲ準用ス但シ海軍志願兵令第十七条及第十七条ノ二中予備役トアルハ予備役及第一補充兵役トシ同令第二十一条並ニ兵役法施行令第三十六条及第三十八条第三項中鎮守府司令長官トアルハ警備府司令長官トス
第三章 徴募
第十条 特別志願兵ノ徴募ハ年齢十六年以上二十一年未満(昭和七年律令第二号ノ適用ヲ受クル者ニ在リテハ二十五年未満)ノ者ニ就キ之ヲ行フ
前項ニ規定スル年齢ハ採用ノ年ノ十二月一日ニ於ケル年齢トス
第十一条 特別志願兵トシテ徴募スベキ海軍兵ノ兵種ハ左ノ各号ニ掲グル種別ニ従ヒ志願者ノ身材、技能、職業其ノ他ヲ参酌シ所管警備府司令長官之ヲ定ム
一 水兵
二 整備兵
三 機関兵
四 工作兵
五 衛生兵
六 主計兵
第十二条 左ニ掲グル者ハ特別志願兵ノ徴募ニ応ズルコトヲ得ズ
一 陸軍ノ予備役及第一国民兵役ニ在ル者並ニ軍隊ニ於テ教育ヲ受ケタル第一補充兵
二 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者又ハ刑法第百八十五条ノ罪ヲ犯シ刑ニ処セラレタル者
三 刑事被告人
第十三条 左ニ掲グル者ハ之ヲ特別志願兵ニ採用スルコトヲ得ズ
一 身体完全ナラザル者
二 志操確実ナラザル者
三 品行方正ナラザル者
四 略国民学校初等科修了程度以上ノ学力ナキ者
五 試験検査ニ合格セザル者
六 前各号ニ掲グル者ノ外海軍兵ニ適セズト認ムル者
第十四条 海軍大臣ハ海軍特別志願兵徴募区(以下之ヲ徴募区ト称ス)ヲ定メ鎮海警備府又ハ高雄警備府ヲシテ之ヲ管セシム
第十五条 海軍大臣ハ各徴募区所管ノ警備府司令長官ヲシテ特別志願兵ノ徴募ヲ掌理セシム
第十六条 現役特別志願兵ハ採用ノ上ハ之ヲ所管警備府ノ海兵団ニ入団セシム
第十七条 海軍大臣ハ毎年採用スベキ特別志願兵ニ付其ノ役種別、兵種別及入団期別ノ員数ヲ定メ之ヲ所管警備府司令長官ニ告達ス
第十八条 現役特別志願兵ノ入団期日ハ四月一日及十月一日トス但シ海軍大臣ハ必要アル場合ニ於テハ之ヲ変更スルコトヲ得
第十九条 警備府司令長官ハ現役特別志願兵ニシテ入団ノ際現役ニ適セズト認ムルモノアルトキハ其ノ現役ヲ免ジ之ヲ第一補充兵役ニ服セシメ又ハ其ノ採用ヲ取消スコトヲ得
警備府司令長官ハ現役特別志願兵ニシテ入団ニ際シ疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ入団シ難キモノアルトキハ二十日以内其ノ入団ヲ延期スルコトヲ得
第四章 召集
第二十条 兵役法第五十四条、第五十五条、第五十六条第一項、第五十七条第一項、第五十八条第一項及第六十条乃至第六十三条並ニ兵役法施行令第四章(第百二十条乃至第百二十一条ヲ除ク)及第百四十三条ノ規定ハ特別志願兵ノ召集又ハ簡閲点呼ニ之ヲ準用ス但シ同令第百二十二条中本籍所在ノ師管又ハ鎮守府管区トアルハ本籍所在ノ徴募区、他ノ師管又ハ鎮守府管区トアルハ他ノ徴募区(海軍志願兵ノ徴募区ヲ含ム)、当該師管又ハ鎮守府管区トアルハ当該徴募区、鎮守府司令長官トアルハ警備府司令長官若ハ鎮守府司令長官トシ其ノ他ノ規定(第百十八条第一項第二号ヲ除ク)中鎮守府司令長官トアルハ警備府司令長官トス
第五章 雑則
第二十一条 特別志願兵ニ対スル他ノ法令ノ適用ニ付テハ在籍鎮守府又ハ在籍鎮守府司令長官ニ関スル規定ハ在籍警備府又ハ在籍警備府司令長官ニ関スル規定トス
第二十二条 海軍大臣ハ朝鮮ニ在リテハ道知事、警察署長、府尹、区長及邑面長、台湾ニ在リテハ州知事、庁長、郡守、警察署長及支庁長ヲシテ特別志願兵ノ徴募其ノ他本令施行ニ関スル事務ノ一部ヲ担任セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス