第二條 本令ニ於テ酒類トハ酒精及酒精分一度以上ノ飮料ヲ謂フ
本令ニ於テ酒精分トハ攝氏十五度ノ時ニ於テ原容量百分中ニ含有スル〇・七九四七ノ比重ヲ有スル酒精ノ容量ヲ謂フ
第三條 酒類ヲ分チテ淸酒、合成淸酒、黃酒、白酒、味淋、酒精、燒酎(燒酒ヲ含ム以下同ジ)、麥酒、果實酒及雜酒トス
第五條 本令ニ於テ合成淸酒トハ酒精、燒酎又ハ淸酒ト他ノ物品トヲ混和シテ製造シタル酒類ニシテ其ノ香味、色澤其ノ他ノ性狀ガ淸酒ニ類似スルモノヲ謂フ
第六條 本令ニ於テ黃酒トハ支那在來ノ方法ニ依リ黍及大使ノ定ムル物品ヲ原料トシテ醱酵セシメ之ヲ濾過シタルモノヲ謂フ
第九條 本令ニ於テ燒酎トハ左ニ揭グルモノヲ謂フ
一 淸酒粕、合成淸酒粕、味淋粕、淸酒、合成淸酒、白酒又ハ味淋ヲ蒸餾シタルモノ
二 大使ノ定ムル物品及水ヲ原料トシテ醱酵セシメタルモノヲ蒸餾シタルモノ
燒酎ヲ蒸餾シタルモノハ之ヲ燒酎ト看做ス大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ酒類製造ノ原料タル酒精ヲ水ニテ稀釋シタルモノ亦同ジ
第十一條 本令ニ於テ果實酒トハ左ニ揭グルモノヲ謂フ
二 果實ニ大使ノ定ムル所ニ依リ糖類ヲ加ヘテ醱酵セシメタルモノ
三 果實又ハ果實ニ大使ノ定ムル所ニ依リ糖類ヲ加ヘタルモノニ水又ハ大使ノ定ムル除酸劑ヲ加ヘテ醱酵セシメタルモノ
第十二條 本令ニ於テ雜酒トハ淸酒、合成淸酒、黃酒、白酒、味淋、酒精、燒酎、麥酒及果實酒以外ノ酒類ヲ謂フ
第十三條 酒類ヲ製造セントスル者ハ製造スベキ酒類ノ各種類ニ付製造場一個所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ
第十四條 每酒造年度ニ於テ淸酒及合成淸酒ハ各三百石、麥酒ハ五千石、其ノ他ノ酒類ハ各十石以上ヲ製造スル者ニ非ザレバ製造ノ免許ヲ與ヘズ
二種以上ノ酒類ヲ製造スル場合ニ於テ制限石數ノ多キモノヲ制限石數以上製造スルトキ又ハ制限石數ノ同一ナルモノニ付其ノ一種ヲ制限石數以上製造スルトキハ他ノ酒類ニ付テハ前項ノ制限ヲ適用セズ
每酒造年度ニ於テ淸酒及合成淸酒ヲ合計シテ三百石以上製造スル者ニハ第一項ノ規定ニ拘ラズ製造ノ免許ヲ與フルコトヲ得
試驗ノ爲ニ製造スル酒類ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ規定ニ拘ラズ製造ノ免許ヲ與フルコトヲ得
酒造年度トハ其ノ年九月一日ヨリ翌年八月三十一日迄ノ期間ヲ謂フ
第十五條 第十三條ノ規定ニ依ル免許ノ申請アリタル場合ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ハ其ノ免許ヲ與ヘザルコトヲ得
一 取締上不適當ト認ムル場所ニ製造場ヲ設ケントスルトキ
二 本令ニ違反シ處罰又ハ處分ヲ受ケタル者ガ免許ヲ申請シタルトキ
三 第五十九條第一項第四號ノ規定ニ依リ免許ヲ取消サレタル者ガ免許ヲ申請シタルトキ
四 資力不充分ト認メラルル者ガ免許ヲ申請シタルトキ
五 前各號ノ外取締上不適當ト認ムル者ガ免許ヲ申請シタルトキ
第十六條 政府ハ酒類製造ノ免許ヲ與フルニ當リ酒稅保全上必要アリト認ムルトキハ免許ノ期限、製造事業ノ範圍又ハ製造ヲ爲スニ當リ遵守スベキ條件ヲ指定スルコトヲ得
第十七條 酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ製造場ヲ移轉セントスルトキハ政府ノ許可ヲ受クベシ
第十八條 酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許ノ取消ヲ申請スベシ
第十九條 酒類製造業ヲ相續シタル者ハ其ノ製造ノ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
第二十條 酒稅ハ之ヲ酒類造石稅及酒類庫出稅ノ二種トス
第二十一條 酒類ニ課スベキ酒稅及其ノ稅率左ノ如シ
一 淸酒 造石稅 一石ニ付 二十圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
二 合成淸酒 造石稅 一石ニ付 二十五圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
四 白酒及味淋 造石稅 一石ニ付 二十圓 酒精分二十八度ヲ超ユルトキハ精酒分二十八度ヲ超ユル一度每ニ五圓ヲ加フ
庫出稅 一石ニ付 百二十圓
五 酒精 庫出稅 一石ニ付 酒精分一度每ニ二圓五十錢
六 燒酎 造石稅 一石ニ付 九十圓 酒精分五十度ヲ超ユルトキハ酒精分五十度ヲ超ユル一度每ニ二圓ヲ加フ
九 雜酒 造石稅 一石ニ付 二十五圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ八圓ヲ加フ
輸入ニ係ル酒類ニシテ左ニ揭グルモノニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ各左ノ稅率ニ依リ酒類庫出稅ヲ課ス
一 淸酒 一石ニ付 百三十圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
二 合成淸酒 一石ニ付 百三十五圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
四 白酒及味淋 一石ニ付 百四十圓 酒精分二十八度ヲ超ユルトキハ酒精分二十八度ヲ超ユル一度每ニ五圓ヲ加フ
五 燒酎 一石ニ付 九十圓 酒精分五十度ヲ超ユルトキハ酒精分五十度ヲ超ユル一度每ニ二圓ヲ加フ
六 雜酒 一石ニ付 百五十五圓 酒精分二十度ヲ超ユルトキハ酒精分二十度ヲ超ユル一度每ニ八圓ヲ加フ
第二十二條 酒類造石稅ハ酒類ノ製造石數ニ應ジ其ノ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ大使ノ定ムル所ニ依リ淸酒ニ付テハ製造石數ノ百分ノ七以內ノ滓引減量又ハ貯藏減量ヲ製造石數ヨリ控除スルコトヲ得
第四條第二項又ハ第八條第二項ノ酒類ニ付テハ粕漉ニ依リ增加シタル分ノミヲ以テ前項ノ製造石數ト看做ス但シ粕漉前ノ酒類ノ石數ヲ確知スルコト能ハザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十三條 酒類(酒精、麥酒及果實酒ヲ除ク)ノ製造石數及酒精分ハ大使ノ定ムル所ニ依リ製成ノ時之ヲ査定ス
犯則其ノ他ノ事由ニ因リ前項ノ規定ニ依リ難キ場合ニ於テハ現在ノ酒類又ハ證憑物件ニ就キ其ノ製造石數又ハ酒精分ヲ査定ス
酒精、麥酒及果實酒ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ製成ノ時其ノ製造石數及酒精分ヲ檢定ス
第二十五條 第五十九條第一項ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ取消シタル場合ニ於テハ未納ニ屬スル酒類造石稅ノ全部又ハ一部ヲ直ニ徵收スルコトヲ得第三十七條ノ規定ニ依リ擔保ノ提供ヲ命ゼラレタル場合ニ於テ其ノ提供ヲ爲サザルトキ亦同ジ
第二十六條 酒類ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ移出シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
二 腐敗其ノ他ノ事由ニ因リ飮用ニ供シ難キ場合ニ於テ政府ノ承認ヲ受ケ酒類トシテ飮用スルコト能ハザル處置ヲ施シ又ハ酒類製造ノ原料ニ供シタルトキ
第三十一條第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケテ製造場ヨリ移出シタル酒類ガ移出先ニ到達前又ハ移出先ニ於テ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除シ又ハ其ノ酒類造石稅額ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第二十七條 酒類庫出稅ハ製造場ヨリ移出シタル酒類ノ石數ニ應ジ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ル酒類ニ付テハ引取リタル石數ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
保稅地域トハ政府ニ於テ課稅物件ヲ藏置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第二十八條 酒類ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ酒類ヲ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノト看做ス
二 酒類製造ノ免許又ハ保稅地域ノ特許ヲ取消サレタル場合ニ於テ製造場又ハ保稅地域ニ現存スルトキ但シ大使ノ定ムル場合ヲ除ク
三 製造場又ハ保稅地域ニ現存スルモノ公賣若ハ競賣セラレタルトキ又ハ破產手續ニ於テ換價セラレタルトキ
第二十九條 酒類(黃酒及燒酎ヲ除ク)ノ製造者ハ每月製造場ヨリ移出シタル酒類ノ種類每ニ石數(大使ノ定ムル酒類ニ付テハ石數及酒精分)ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ直ニ其ノ移出シ又ハ移出シタルモノト看做サレタル酒類ニ付申吿書ヲ提出スベシ
一 酒類製造ノ免許ヲ取消サレタルトキ但シ大使ノ定ムル場合ヲ除ク
二 酒類ガ公賣若ハ競賣セラレタルトキ又ハ破產手續ニ於テ換價セラレタルトキ
酒類ヲ保稅地域ヨリ引取ル者ハ引取ノ際前項ニ準ズル申吿書ヲ政府ニ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ハ移出又ハ引取ノ石數(大使ノ定ムル酒類ニ付テハ石數及酒精分)ヲ決定ス
第三十條 酒類庫出稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第二十七條第一項但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
前條第一項但書ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス
第一項但書ノ場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類庫出稅ニ付其ノ稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ三月以內其ノ稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第三十一條 第二十七條第一項ノ規定ハ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル酒類ニ付テハ之ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ酒類ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類庫出稅ヲ免除スルコトヲ得
政府ハ第一項ノ酒類ニ付必要アリト認ムルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類庫出稅額ニ相當スル擔保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得
第三十二條 製造場ヨリ移出シタル酒類ヲ同一製造場ニ戾入シ又ハ酒類ヲ製造場外ヨリ移入シタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ酒類庫出稅ノ徵收ヲ爲サズ但シ前條第一項ニ規定スル政府ノ承認ヲ受ケテ移出先又ハ引取先ニ移入シタル酒類ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十三條 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ同一製造場ニ於テ酒類製造ノ原料ニ供スル爲製造シタル酒類ニハ酒類造石稅ヲ課セズ此ノ場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ製成ノ時其ノ製造石數及酒精分ヲ檢定ス
前項ノ原料用酒類ハ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタル場合ニ限リ其ノ用途ヲ變更スルコトヲ得
第三十四條 前條第一項ノ原料用酒類ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ檢定ノ內容ヲ以テ査定ノ內容ト看做シ直ニ其ノ酒類造石稅ヲ徵收ス
一 前條第二項ノ規定ニ依リ其ノ用途ヲ變更シタルトキ
二 酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル場合ニ於テ製造場ニ現存スルトキ
三 公賣若ハ競賣セラレタルトキ又ハ破產手續ニ於テ換價セラレタルトキ
第三十五條 政府ノ承認ヲ受ケ酒類ヲ工業用ニ供シ又ハ關東州外ニ輸出シタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除シ又ハ其ノ稅額ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第三十六條 政府ノ承認ヲ受ケ酒類ヲ工業用ニ供シ又ハ關東州外ニ輸出スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類庫出稅ヲ免除スルコトヲ得
第三十一條第三項ノ規定ハ前項ノ酒類ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ工業用ニ供シ又ハ關東州外ニ輸出セラレタルコトノ證明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第一項ノ承認ヲ受ケタル酒類ハ之ヲ關東州ニ於テ消費シ又ハ消費スル目的ヲ以テ讓渡スルコトヲ得ズ但シ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ承認ヲ受ケタル酒類ニ付テハ直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス
第三十一條第四項ノ規定ハ第一項ノ酒類庫出稅ニ付之ヲ準用ス
第三十七條 政府ハ酒類製造者ニ對シ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類造石稅ニ付擔保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得但シ酒類製造者政府ノ承認ヲ受ケ納稅ノ擔保トシテ酒類造石稅ニ相當スル價額ノ酒類ヲ保存スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十八條 本令ニ依リ擔保ヲ提供シ又ハ納稅ノ擔保トシテ酒類ヲ保存シタル場合ニ於テ納稅義務者期限內ニ稅金ヲ納付セザルトキハ其ノ擔保物タル金錢ヲ直ニ稅金ニ充テ、金錢以外ノ擔保物若ハ納稅ノ擔保トシテ保存スル酒類ヲ公賣ニ付シテ稅金及公賣ノ費用ニ充テ又ハ保證人ヲシテ稅金ヲ納付セシム
第三十九條 前條ノ場合ニ於テ擔保物又ハ納稅ノ擔保トシテ保存スル酒類ノ價額ガ徵收スベキ稅金及公賣ノ費用ニ充テ仍不足アリト認ムルトキハ納稅義務者ノ他ノ財產ニ就キ滯納處分ヲ行フ
納稅義務者ニ對シ滯納處分ヲ執行シタル場合ニ於テ其ノ財產ノ價額ガ徵收スベキ稅金、督促手數料、延滯金及滯納處分費ニ充テ仍不足アリト認ムルトキハ保證人ニ對シ滯納處分ヲ行フ
前項ノ保證人ハ明治四十年勅令第五十六號ニ於テ準用スル國稅徵收法(以下國稅徵收法ト稱ス)第三十二條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ滯納者ト看做ス
第四十條 第二十五條又ハ國稅徵收法第四條ノ一ノ規定ニ依リ酒稅ヲ徵收スル場合ニ於テハ其ノ擔保トシテ酒類ヲ差押フルコトヲ得
第四十一條 酒類製造者ハ第三十七條但書ノ規定ニ依リ納稅ノ擔保トシテ保存スル酒類ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出スルコトヲ得ズ
第四十二條 酒類製造者ハ製造石數ノ査定又ハ檢定前ニ於テ其ノ酒類ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出スルコトヲ得ズ但シ大使ノ定ムル酒類ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三條 酒類ニ種類ノ異ル酒類又ハ水以外ノ物品ヲ混和シタルトキハ新ニ酒類ヲ製造シタルモノト看做ス但シ左ニ揭グル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ淸酒ト合成淸酒トヲ混和スルトキ
三 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ酒類保存ノ爲酒類ニ燒酎若ハ酒精又ハ水以外ノ物品ヲ混和スルトキ
第四十四條 酒母、醪又ハ麴(麯子ヲ含ム以下同ジ)ヲ製造セントスル者ハ製造場一個所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ但シ酒類製造ノ免許ヲ受ケ酒類ノ製造場ニ於テ製造スル者及自己又ハ其ノ家族ノ用ニノミ供スル麴ヲ製造スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
麴ノ販賣ヲ爲サントスル者ハ營業場一個所每ニ政府ニ申吿スベシ
第四十五條 酒母又ハ醪ハ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタル場合ヲ除クノ外之ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出スルコトヲ得ズ但シ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類製造者ガ酒類製造ノ用ニ供スル場合又ハ酒母ヲ政府ノ交付シタル酒母讓受許可書ヲ有スル者ニ讓渡スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ醪ハ之ヲ雜酒ト看做シ製造者ヨリ直ニ其ノ酒類造石稅及酒類庫出稅ヲ徵收ス但シ政府ノ承認ヲ受ケ之ニ酒類トシテ飮用スルコト能ハザル處置ヲ施シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十六條 政府ハ酒稅保全上必要アリト認ムルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒類ノ販賣業者ニ對シ製造、貯藏、讓渡、讓受、移動又ハ設備ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第四十七條 酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒類若ハ麴ノ販賣業者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第四十八條 酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒類ノ販賣業者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第四十九條 酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ使用スル機械、器具及容器ノ檢定ヲ受クベシ
第五十條 酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事項ニ付政府ノ檢査又ハ承認ヲ受クベシ
第五十一條 稅務官吏ハ酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒類若ハ麴ノ販賣業者ニ對シテ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ取締上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
一 製造者ノ所持スル酒類、酒母、醪若ハ麴又ハ販賣業者ノ所持スル酒類若ハ麴
二 酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、容器、原料其ノ他ノ物件
稅務官吏ハ運搬中ノ酒類、酒母、醪又ハ麴ヲ檢査シ又ハ其ノ出所若ハ到達先ヲ質問スルコトヲ得
第五十二條 政府ハ大使ノ定ムル所ニ依リ酒類製造者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅上必要ナル施設ヲ爲シ若ハ徵收事務ノ補助ヲ爲シ又ハ酒稅保全上必要ナル措置ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ大使ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第五十三條 免許ヲ受ケズシテ酒類ヲ製造シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處シ其ノ製造ニ係ル酒類竝ニ其ノ機械、器具及容器ハ之ヲ沒收ス
前項ノ酒類ニ付テハ直ニ其ノ酒類造石稅及酒類庫出稅ヲ徵收ス
第五十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ酒類造石稅ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
一 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類造石稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者
二 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類造石稅ノ免除ヲ得又ハ得ントシタル者
三 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類造石稅ニ相當スル金額ノ交付ヲ受ケ又ハ受ケントシタル者
前項第一號及第二號ノ場合ニ於テハ直ニ其ノ酒類造石稅ヲ徵收ス
第五十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ酒類庫出稅ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
一 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類庫出稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者
二 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類庫出稅ノ免除ヲ得又ハ得ントシタル者
第五十六條 第五十四條ノ罰金ト前條ノ罰金トハ之ヲ併科ス
第五十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十六條(第六十一條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
二 第二十九條第一項又ハ第二項ニ規定スル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第三十一條第一項ノ規定ニ依リ承認ヲ受ケテ移出シ又ハ引取リタル酒類ヲ指定ノ場所ニ移入セザル者
四 第三十三條第二項ノ承認ヲ受ケズシテ同條第一項ノ原料用酒類ヲ他ノ用途ニ供シ又ハ之ヲ製造場ヨリ移出シタル者
五 第三十六條第三項ノ承認ヲ受ケズシテ同條第一項ノ承認ヲ受ケタル酒類ヲ關東州ニ於テ消費シ又ハ消費スル目的ヲ以テ讓渡シタル者
六 第四十一條又ハ第四十二條ノ規定ニ違反シ酒類ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出シタル者
七 第四十四條第一項ノ規定ニ違反シ免許ヲ受ケズシテ酒母、醪又ハ麴ヲ製造シタル者
八 第四十五條第一項ノ規定ニ違反シ酒母又ハ醪ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出シタル者
九 第四十六條ノ規定ニ依ル政府ノ命令ニ違反シタル者
前項第三號及第五號ノ酒類ニ付テハ直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス此ノ場合ニ於テハ第三十一條第三項(第三十六條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第一項第四號及第六號ノ酒類ニ付テハ直ニ其ノ酒類造石稅及酒類庫出稅ヲ徵收ス
第一項第七號ニ該當スル場合ニ於テハ製造ニ係ル酒母、醪又ハ麴竝ニ其ノ機械、器具及容器ハ之ヲ沒收ス
第一項第七號及第八號ノ酒母及醪ハ之ヲ雜酒ト看做シ製造者ヨリ直ニ其ノ酒類造石稅及酒類庫出稅ヲ徵收ス
第五十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第四十四條第二項又ハ第四十八條ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二 第四十七條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
三 第四十九條ノ規定ニ違反シ檢定ヲ受ケザル機械、器具又ハ容器ヲ使用シタル者
五 第五十一條ノ規定ニ依ル稅務官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第五十九條 酒類製造者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政府ハ酒類製造ノ免許ヲ取消スコトヲ得
三 三酒造年度以上引續キ其ノ製造石數ガ第十四條第一項又ハ第三項ノ制限石數ニ達セザリシトキ
四 第三十七條ノ規定ニ依リ擔保ノ提供ヲ命ゼラレタル場合ニ於テ其ノ提供ヲ爲サザルトキ
前項ノ規定ニ依リ免許ヲ取消シタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ製成其ノ他必要ナル行爲ヲ繼續セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ仍本令ヲ適用ス
第六十條 酒類製造者ニハ其ノ製造ノ免許ヲ取消サレタル場合ニ於テモ酒稅ヲ完納スルニ至ル迄ノ間仍本令ヲ適用ス
第六十一條 第十五條乃至第十九條竝ニ第五十九條第一項第一號第二號及第二項ノ規定ハ酒母、醪又ハ麴ノ製造者ニ付之ヲ準用ス
第六十二條 大正十一年勅令第二百號第一條ノ規定ハ第五十七條第一項及第五十八條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ之ヲ適用セズ
第六十三條 大正十一年勅令第二百號第二條ノ規定ハ酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒類若ハ麴ノ販賣業者ニ付之ヲ準用ス