関東州酒税令
法令番号: 勅令第百九十八號
公布年月日: 大正11年4月15日
法令の形式: 勅令
朕關東州酒稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十一年四月十四日
內閣總理大臣 子爵 高橋是淸
勅令第百九十八號
關東州酒稅令
第一條 本令ニ於テ酒類ト稱スルハ酒精及酒精ヲ含有スル飮料ヲ謂フ
本令ニ於テ支那酒ト稱スルハ支那在來ノ方法ニ依リ製成シタル淸酒、黃酒、濁酒及燒酒ヲ謂フ
第二條 酒類ヲ分チテ左ノ三類トス
一 釀造酒 淸酒、濁酒、黃酒、麥酒ト稱スル類ニシテ醪其ノ他ノ醱酵液ヨリ製成シタルモノ
二 蒸餾酒 燒酎、燒酒、酒精ト稱スル類ニシテ醪其ノ他ノ醱酵液、酒類、酒粕其ノ他ノ物ヨリ蒸餾シテ製成シタルモノ
三 再製酒 白酒、味淋ト稱スル類ニシテ釀造酒又ハ蒸餾酒ノ一種ト他ノ酒類其ノ他ノ物トヲ混和シテ製成シタルモノ
再製酒ノ一種ト他ノ酒類其ノ他ノ物トヲ混和シテ製成シタル飮料ハ之ヲ再製酒ト看做ス
第三條 酒類ニハ左ノ割合ニ依リ酒稅ヲ課ス
一 釀造酒
支那酒タル淸酒、黃酒、濁酒 一石ニ付 一圓
麥酒 一石ニ付 四圓
葡萄酒 一石ニ付 十二圓
前記以外ノ釀造酒 一石ニ付 十圓
二 蒸餾酒
原容量百分中純酒精ノ容量二十以下ノモノ 一石ニ付 一圓五十錢
原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超エ三十五以下ノモノ 一石ニ付 三圓
原容量百分中純酒精ノ容量三十五ヲ超ユルモノ 一石ニ付 原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超エ三十五以下ノモノニ課スル金額ニ原容量百分中純酒精ノ容量三十五ヲ超ユル一箇每ニ三十錢ヲ加ヘタル金額
三 再製酒 一石ニ付 原容量百分中純酒精ノ容量一箇每ニ三十錢但シ一石ニ付十二圓ニ滿タサルトキハ十二圓トス
前項ニ於テ純酒精ト稱スルハ攝氏檢溫器十五度ノ時ニ於テ〇、七九四七ノ比重ヲ有スル酒精ヲ謂フ
第四條 酒造年度ハ其ノ年九月一日ヨリ翌年八月三十一日迄トス
第五條 酒類ヲ製造セムトスル者ハ製造場一箇所每ニ當該官廳ノ免許ヲ受クヘシ
酒類製造者製造ヲ廢止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
酒類製造營業ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ相續人ニ於テ之ヲ承繼スルコトヲ得
第六條 一製造場ニ於テ一酒造年度間支那酒ニ非サル淸酒ハ百石以上、麥酒ハ五百石以上、支那酒ニ非サル濁酒ハ五十石以上、其ノ他ノ酒類ハ一種ニ付十石以上ヲ製造スル者ニ非サレハ酒類製造ノ免許ヲ與ヘス
二種以上ノ酒類ヲ製造スル場合ニ於テ制限石數ノ多キモノヲ制限石數以上製造スルトキ又ハ制限石數ノ同一ナルモノニ付其ノ一種ヲ制限石數以上製造スルトキハ他ノ酒類ニ付テハ前項ノ制限ヲ適用セス
試驗ノ爲製造スル酒類ニ付テハ相當ノ期間ヲ定メ第一項ノ規定ニ拘ラス製造ノ免許ヲ與フルコトヲ得
第七條 酒類製造者ニハ造石數ニ應シ酒稅ヲ課ス
酒類製造者前條ノ制限石數以上ノ製造ヲ爲ササリシトキハ變災其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因ルコトヲ證明スルニ非サレハ制限石數ニ相當スル酒稅ヲ課ス其ノ製造ヲ爲ササリシ石數ニ付テハ酒造年度末日ニ査定シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テ製造ヲ爲ササリシ石數ニ對スル酒稅ハ一石ニ付蒸餾酒ハ一圓五十錢、再製酒ハ十二圓ノ割合ニ依ル
第八條 酒稅ハ左ノ納期ニ依リ之ヲ徵收ス
支那酒ニ非サル淸酒、濁酒ノ酒稅
第一期 七月一日ヨリ同三十一日限
前年九月一日ヨリ其ノ年四月三十日迄ニ査定シタル石數ニ係ル稅額ノ三分ノ一
第二期 十一月一日ヨリ同三十日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ八月三十一日迄ニ査定シタル石數ニ係ル稅額ノ二分ノ一
第三期 翌年二月一日ヨリ同末日限
前納額ノ殘數
其ノ他ノ酒稅
第一期 四月一日ヨリ同三十日限
前年九月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ニ査定シタル石數ニ係ル稅額
第二期 十月一日ヨリ同三十一日限
其ノ年三月一日ヨリ八月三十一日迄ニ査定シタル石數ニ係ル稅額
第九條 酒類製造ノ免許消滅シタルトキ又ハ酒類製造者納稅擔保物ノ免除ヲ得スシテ擔保物ノ提供ヲ爲ササルトキハ前條ノ納期ニ拘ラス酒稅ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ又ハ國稅徵收法第四條ノ一ノ規定ニ準シ酒稅ヲ徵收スル場合ニ於テハ納稅ノ擔保トシテ酒類ヲ差押フルコトヲ得
第十條 同一製造場內ニ於テ酒類ヲ製造スル爲原料トシテ製造スル酒類ニハ製成ノトキ檢定ヲ受ケタル場合ニ限リ酒稅ヲ課セス
第十一條 酒類ノ造石數ハ製成ノトキ實測シテ之ヲ査定ス但シ支那酒ニ非サル淸酒ニ限リ査定石數百分ノ七以內ノ滓引減量及貯藏減量ヲ控除スルコトヲ得
酒類ノ造石數ヲ實測シテ査定スルコト能ハサル場合ニ於テハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ査定ス
第十二條 粕漉シタル淸酒ハ粕漉ニ依リ增加シタル分ノミニ付造石數ヲ査定ス
第十三條 第十條ノ檢定ヲ受ケタル酒類左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ檢定石數ヲ以テ査定石數ト看做シ酒稅ヲ課ス
一 他人ニ讓渡ストキ
二 質入スルトキ
三 公賣セラルルトキ
四 酒類製造用外ニ消費スルトキ
五 製造場外ニ搬出スルトキ
第十四條 酒類製造者ノ製造ニ係ル酒母、醪其ノ他ノ醱酵液前條各號ニ揭クル場合ノ一ニ該當スルトキハ支那酒タル釀造酒ノ酒母又ハ醪ハ支那酒タル濁酒、麥酒ノ醱酵液ハ麥酒、其ノ他ノ醱酵液ハ支那酒ニ非サル濁酒ヲ製成シタルモノト看做シ其ノ石數ヲ査定シ酒稅ヲ課ス
第十五條 酒類ヲ保稅地域又ハ郵便局ヨリ引取ルトキハ其ノ石數ニ應シ引取人ヨリ酒稅ヲ徵收ス
保稅地域ト稱スルハ保稅倉庫其ノ他當該官廳カ課稅物件ヲ藏置シ得ヘキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第十六條 前條第一項ノ場合ニ於テ引取人酒稅額ニ相當スル擔保物ヲ提供シタルトキハ三月以內酒稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
酒稅納付前又ハ擔保物提供前ニ於テハ酒類ヲ消費シ又ハ保稅地域若ハ郵便局ヨリ之ヲ引取ルコトヲ得ス
第一項ノ擔保物ニ關スル規定ハ關東長官之ヲ定ム
第十七條 酒類ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ酒稅ヲ納付セスシテ保稅地域ヨリ他ノ保稅地域ニ運送スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該酒類相當ノ期間內ニ運送先ニ到著セサルトキハ保稅地域ヨリ搬出シタルトキ引取リタルモノト看做シ運送申告者ヨリ酒稅ヲ徵收ス但シ災害ニ因リ滅失シ又ハ當該官吏ノ承認ヲ得テ廢棄シタル酒類ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十八條 左ノ酒類ハ酒稅ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ搬出シ又ハ保稅地域若ハ郵便局ヨリ引取リタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リタル酒類ニシテ廢棄ニ屬シタルモノ
二 腐敗シタル酒類ニシテ當該官吏ノ承認ヲ得飮用スヘカラサル處置ヲ施シタルモノ
三 腐敗シタル酒類又ハ災害ニ罹リ飮用スヘカラサルニ至リタル酒類ニシテ蒸餾酒ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷又ハ塞栓ノ自然ノ脫去ニ因リ亡失シタル酒類
第十九條 酒精ヲ酒類製造用若ハ工業用ニ供シ又ハ酒類ヲ關東州外ニ輸出スルトキハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ酒稅ヲ免除シ又ハ酒稅ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第二十條 酒類製造者ハ豫メ納稅ノ保證トシテ一酒造年度ニ於ケル見込造石數ノ酒稅額ノ二分ノ一以上ニ相當スル擔保物ヲ提供スヘシ但シ許可ヲ受ケ造石數ノ査定每ニ其ノ酒稅額ノ二分ノ一以上ニ相當スル擔保物ヲ提供スルコトヲ得
前項ノ擔保物ニ關スル規定ハ關東長官之ヲ定ム
第二十一條 左ノ場合ニ於テハ前條ニ規定スル擔保物ノ提供ヲ免除スルコトヲ得
一 相當ノ納稅保證人ヲ立テタルトキ
二 納稅ノ保證トシテ酒稅額ニ相當スル酒類ヲ保存スルトキ
三 酒稅ヲ前納シタルトキ
四 一酒造年度ニ於ケル見込造石數ノ酒稅額五十圓ニ滿タサルトキ
第二十二條 納稅保證人ハ酒類製造者カ酒稅ヲ完納スルコト能ハサル場合ニ於テ納稅者トシテ其ノ義務ヲ負擔ス
第二十三條 酒類製造者納稅ノ保證トシテ保存スル酒類ハ之ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス
第二十四條 酒類製造者又ハ引取人酒稅ヲ納付セサルニ因リ滯納處分ヲ執行スルトキハ先ツ擔保物又ハ納稅ノ保證トシテ保存スル酒類ヲ公賣シテ稅金ヲ徵收スヘシ但シ擔保物又ハ納稅ノ保證トシテ保存スル酒類ノ價格カ徵收スヘキ稅金及滯納處分費ニ對シ不足アリト認ムルトキハ同時ニ他ノ財產ニ付滯納處分ノ執行ヲ爲スコトヲ妨ケス
第二十五條 自家用ノ爲支那酒タル淸酒、黃酒又ハ濁酒ヲ製造セムトスル者ハ一酒造年度二石以下ノ製造石數ヲ定メ當該官廳ノ免許ヲ受クヘシ
二種以上ノ支那酒ヲ製造スル場合ニ於テハ前項ノ製造石數ハ各種ヲ通シテ之ヲ計算ス
第二十六條 自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ製造ヲ廢止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
第五條第三項ノ規定ハ自家用酒類ノ製造ニ之ヲ準用ス
第二十七條 自家用酒類製造者ニハ免許ニ係ル製造石數ニ依リ各種ニ付每酒造年度左ノ酒稅ヲ課ス
製造石數一石以下ノモノ 八十錢
製造石數一石ヲ超ユルモノ 一圓六十錢
第二十八條 前條ノ酒稅ノ納期ハ十月一日ヨリ同三十一日限トス但シ免許消滅シタルトキ又ハ納期後免許ヲ與ヘタルトキハ直ニ稅金ヲ徵收ス
第二十九條 酒類製造者ハ造石數査定前ニ於テ酒類ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、酒類製造用外ニ消費シ又ハ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス但シ關東長官ハ支那酒ニ付別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
自家用酒類製造者ハ其ノ製造ニ係ル酒類、酒母又ハ醪ヲ他人ニ讓渡スコトヲ得ス
第三十條 酒類製造者及酒類販賣者ハ帳簿ヲ調製シ酒類ノ製造出入ニ關スル事項ヲ記載スヘシ
前項ノ規定ハ自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者ニハ之ヲ適用セス
第三十一條 當該官吏ハ酒類製造者若ハ酒類販賣者ノ所持ニ係ル酒類、酒母醪其ノ他ノ醱酵液、酒粕、渣滓及酒類ノ製造出入ニ關スル帳簿書類竝酒類ノ製造若ハ販賣上必要ナル建築物、器具、機械、材料其ノ他ノ物件ヲ檢査シ又ハ監督上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第三十二條 當該官吏ハ運搬中ニ在ル酒類ヲ檢査シ其ノ出所及到著先ヲ尋問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ當該官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ又ハ貨物若ハ船車ニ封印シ其ノ他相當ノ措置ヲ爲スコトヲ得
第三十三條 當該官吏ハ必要ト認ムルトキハ酒類製造者又ハ酒類販賣者ノ所持ニ係ル酒類、酒母醪其ノ他ノ醱酵液ノ見本ヲ徵スルコトヲ得
第三十四條 酒類製造者ニ非サル者酒母若ハ醪ヲ製造シ又ハ販賣ノ爲麴若ハ麯子ヲ製造セムトスルトキハ製造場一箇所每ニ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ヲ受ケタル者ノ製造シタル酒母又ハ醪ハ之ヲ他人ニ讓渡シ、質入シ、飮料トシテ消費シ又ハ當該官吏ノ承認ヲ得スシテ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス
第五條第二項第三項、第三十條第一項及第三十一條ノ規定ハ第一項ノ免許ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
第三十五條 左ニ揭クル場合ニ於テハ第八條ノ納期ニ拘ラス直ニ酒稅ヲ徵收ス
一 免許ヲ受ケスシテ酒類ヲ製造シタルトキ
二 詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ因リ酒稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セムトシタルトキ
三 第十六條第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
四 酒類製造用又ハ工業用ニ供スル爲酒稅ヲ課セス又ハ免除セラレタル酒類ヲ其ノ以外ノ用ニ供シタルトキ
五 輸出スル爲酒稅ヲ免除セラレタル酒類ヲ關東州內ニ於テ消費シ又ハ關東州內ニ於テ消費スル目的ヲ以テ他人ニ讓渡シタルトキ
第三十六條 自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者製造石數ノ制限ヲ超過シ酒類ヲ製造シタルトキハ超過石數ニ對シ第三條第一項ノ割合ニ依リ酒稅ヲ課ス
前項ノ酒稅ハ直ニ之ヲ徵收ス
第三十七條 免許ヲ受ケスシテ酒母若ハ醪ヲ製造シタル場合ニ於テハ支那酒タル釀造酒ノ酒母醪ニ在リテハ支那酒タル濁酒、其ノ他ノ酒母醪ニ在リテハ支那酒ニ非サル濁酒ト看做シ直ニ酒稅ヲ徵收ス
第三十八條 第三十四條第二項ノ規定ニ違反シ酒母又ハ醪ヲ處分シタルトキハ前條ノ規定ニ準シ酒稅ヲ徵收ス
第三十九條 酒類製造者、自家用酒類製造者又ハ第三十四條第一項ノ免許ヲ受ケタル者本令又ハ本令ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ免許ヲ取消シタル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ一定ノ期間內製成其ノ他必要ナル行爲ヲ繼續セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本令ヲ適用ス
第四十條 酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル者及其ノ相續人ニ對シテハ酒稅完納前ニ在リテハ本令ヲ適用ス酒類製造者ノ相續人ニシテ酒類製造營業ヲ承繼セサル者ニ對シ亦同シ
第四十一條 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外酒稅ニ關シ必要ナル規定ハ關東長官之ヲ定ム
附 則
第四十二條 本令ハ大正十一年四月二十日ヨリ之ヲ施行ス
第四十三條 本令施行ノ際現ニ酒類、酒母、醪、麴又ハ麯子ヲ製造スル者ハ本令施行後三十日內ニ當該官廳ニ免許ヲ申請スヘシ其ノ申請ニ對シ許否ノ處分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
第四十四條 本令施行ノ際現ニ酒類ヲ所有シ又ハ所持スル者ハ本令施行後二十日內ニ其ノ酒類ノ種類、石數及所在ヲ申告スヘシ但シ支那酒、麥酒又ハ淸酒ニ在リテハ通シテ五斗以下、其ノ他ノ酒類ニ在リテハ通シテ一斗以下ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十五條 前條ノ規定ニ依リ申告スヘキ酒類ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ第三條第一項ノ割合ニ依リ酒稅ヲ課ス
第四十六條 本令施行ノ際現ニ酒類ヲ製造スル者ニシテ第四十三條ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者ニ付テハ本令施行ノ日ヲ含ム酒造年度及其ノ後ノ三酒造年度間第六條第一項ノ規定ヲ適用セス
朕関東州酒税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十一年四月十四日
内閣総理大臣 子爵 高橋是清
勅令第百九十八号
関東州酒税令
第一条 本令ニ於テ酒類ト称スルハ酒精及酒精ヲ含有スル飲料ヲ謂フ
本令ニ於テ支那酒ト称スルハ支那在来ノ方法ニ依リ製成シタル清酒、黄酒、濁酒及焼酒ヲ謂フ
第二条 酒類ヲ分チテ左ノ三類トス
一 醸造酒 清酒、濁酒、黄酒、麦酒ト称スル類ニシテ醪其ノ他ノ醗酵液ヨリ製成シタルモノ
二 蒸餾酒 焼酎、焼酒、酒精ト称スル類ニシテ醪其ノ他ノ醗酵液、酒類、酒粕其ノ他ノ物ヨリ蒸餾シテ製成シタルモノ
三 再製酒 白酒、味淋ト称スル類ニシテ醸造酒又ハ蒸餾酒ノ一種ト他ノ酒類其ノ他ノ物トヲ混和シテ製成シタルモノ
再製酒ノ一種ト他ノ酒類其ノ他ノ物トヲ混和シテ製成シタル飲料ハ之ヲ再製酒ト看做ス
第三条 酒類ニハ左ノ割合ニ依リ酒税ヲ課ス
一 醸造酒
支那酒タル清酒、黄酒、濁酒 一石ニ付 一円
麦酒 一石ニ付 四円
葡萄酒 一石ニ付 十二円
前記以外ノ醸造酒 一石ニ付 十円
二 蒸餾酒
原容量百分中純酒精ノ容量二十以下ノモノ 一石ニ付 一円五十銭
原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超エ三十五以下ノモノ 一石ニ付 三円
原容量百分中純酒精ノ容量三十五ヲ超ユルモノ 一石ニ付 原容量百分中純酒精ノ容量二十ヲ超エ三十五以下ノモノニ課スル金額ニ原容量百分中純酒精ノ容量三十五ヲ超ユル一箇毎ニ三十銭ヲ加ヘタル金額
三 再製酒 一石ニ付 原容量百分中純酒精ノ容量一箇毎ニ三十銭但シ一石ニ付十二円ニ満タサルトキハ十二円トス
前項ニ於テ純酒精ト称スルハ摂氏検温器十五度ノ時ニ於テ〇、七九四七ノ比重ヲ有スル酒精ヲ謂フ
第四条 酒造年度ハ其ノ年九月一日ヨリ翌年八月三十一日迄トス
第五条 酒類ヲ製造セムトスル者ハ製造場一箇所毎ニ当該官庁ノ免許ヲ受クヘシ
酒類製造者製造ヲ廃止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
酒類製造営業ハ関東長官ノ定ムル所ニ依リ相続人ニ於テ之ヲ承継スルコトヲ得
第六条 一製造場ニ於テ一酒造年度間支那酒ニ非サル清酒ハ百石以上、麦酒ハ五百石以上、支那酒ニ非サル濁酒ハ五十石以上、其ノ他ノ酒類ハ一種ニ付十石以上ヲ製造スル者ニ非サレハ酒類製造ノ免許ヲ与ヘス
二種以上ノ酒類ヲ製造スル場合ニ於テ制限石数ノ多キモノヲ制限石数以上製造スルトキ又ハ制限石数ノ同一ナルモノニ付其ノ一種ヲ制限石数以上製造スルトキハ他ノ酒類ニ付テハ前項ノ制限ヲ適用セス
試験ノ為製造スル酒類ニ付テハ相当ノ期間ヲ定メ第一項ノ規定ニ拘ラス製造ノ免許ヲ与フルコトヲ得
第七条 酒類製造者ニハ造石数ニ応シ酒税ヲ課ス
酒類製造者前条ノ制限石数以上ノ製造ヲ為ササリシトキハ変災其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因ルコトヲ証明スルニ非サレハ制限石数ニ相当スル酒税ヲ課ス其ノ製造ヲ為ササリシ石数ニ付テハ酒造年度末日ニ査定シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テ製造ヲ為ササリシ石数ニ対スル酒税ハ一石ニ付蒸餾酒ハ一円五十銭、再製酒ハ十二円ノ割合ニ依ル
第八条 酒税ハ左ノ納期ニ依リ之ヲ徴収ス
支那酒ニ非サル清酒、濁酒ノ酒税
第一期 七月一日ヨリ同三十一日限
前年九月一日ヨリ其ノ年四月三十日迄ニ査定シタル石数ニ係ル税額ノ三分ノ一
第二期 十一月一日ヨリ同三十日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ八月三十一日迄ニ査定シタル石数ニ係ル税額ノ二分ノ一
第三期 翌年二月一日ヨリ同末日限
前納額ノ残数
其ノ他ノ酒税
第一期 四月一日ヨリ同三十日限
前年九月一日ヨリ其ノ年二月末日迄ニ査定シタル石数ニ係ル税額
第二期 十月一日ヨリ同三十一日限
其ノ年三月一日ヨリ八月三十一日迄ニ査定シタル石数ニ係ル税額
第九条 酒類製造ノ免許消滅シタルトキ又ハ酒類製造者納税担保物ノ免除ヲ得スシテ担保物ノ提供ヲ為ササルトキハ前条ノ納期ニ拘ラス酒税ノ全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ又ハ国税徴収法第四条ノ一ノ規定ニ準シ酒税ヲ徴収スル場合ニ於テハ納税ノ担保トシテ酒類ヲ差押フルコトヲ得
第十条 同一製造場内ニ於テ酒類ヲ製造スル為原料トシテ製造スル酒類ニハ製成ノトキ検定ヲ受ケタル場合ニ限リ酒税ヲ課セス
第十一条 酒類ノ造石数ハ製成ノトキ実測シテ之ヲ査定ス但シ支那酒ニ非サル清酒ニ限リ査定石数百分ノ七以内ノ滓引減量及貯蔵減量ヲ控除スルコトヲ得
酒類ノ造石数ヲ実測シテ査定スルコト能ハサル場合ニ於テハ関東長官ノ定ムル所ニ依リ之ヲ査定ス
第十二条 粕漉シタル清酒ハ粕漉ニ依リ増加シタル分ノミニ付造石数ヲ査定ス
第十三条 第十条ノ検定ヲ受ケタル酒類左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ検定石数ヲ以テ査定石数ト看做シ酒税ヲ課ス
一 他人ニ譲渡ストキ
二 質入スルトキ
三 公売セラルルトキ
四 酒類製造用外ニ消費スルトキ
五 製造場外ニ搬出スルトキ
第十四条 酒類製造者ノ製造ニ係ル酒母、醪其ノ他ノ醗酵液前条各号ニ掲クル場合ノ一ニ該当スルトキハ支那酒タル醸造酒ノ酒母又ハ醪ハ支那酒タル濁酒、麦酒ノ醗酵液ハ麦酒、其ノ他ノ醗酵液ハ支那酒ニ非サル濁酒ヲ製成シタルモノト看做シ其ノ石数ヲ査定シ酒税ヲ課ス
第十五条 酒類ヲ保税地域又ハ郵便局ヨリ引取ルトキハ其ノ石数ニ応シ引取人ヨリ酒税ヲ徴収ス
保税地域ト称スルハ保税倉庫其ノ他当該官庁カ課税物件ヲ蔵置シ得ヘキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第十六条 前条第一項ノ場合ニ於テ引取人酒税額ニ相当スル担保物ヲ提供シタルトキハ三月以内酒税ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
酒税納付前又ハ担保物提供前ニ於テハ酒類ヲ消費シ又ハ保税地域若ハ郵便局ヨリ之ヲ引取ルコトヲ得ス
第一項ノ担保物ニ関スル規定ハ関東長官之ヲ定ム
第十七条 酒類ハ関東長官ノ定ムル所ニ依リ酒税ヲ納付セスシテ保税地域ヨリ他ノ保税地域ニ運送スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該酒類相当ノ期間内ニ運送先ニ到著セサルトキハ保税地域ヨリ搬出シタルトキ引取リタルモノト看做シ運送申告者ヨリ酒税ヲ徴収ス但シ災害ニ因リ滅失シ又ハ当該官吏ノ承認ヲ得テ廃棄シタル酒類ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十八条 左ノ酒類ハ酒税ヲ免除スルコトヲ得但シ製造場外ニ搬出シ又ハ保税地域若ハ郵便局ヨリ引取リタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一 災害ニ罹リタル酒類ニシテ廃棄ニ属シタルモノ
二 腐敗シタル酒類ニシテ当該官吏ノ承認ヲ得飲用スヘカラサル処置ヲ施シタルモノ
三 腐敗シタル酒類又ハ災害ニ罹リ飲用スヘカラサルニ至リタル酒類ニシテ蒸餾酒ノ製造ニ供スルモノ
四 容器ノ損傷又ハ塞栓ノ自然ノ脱去ニ因リ亡失シタル酒類
第十九条 酒精ヲ酒類製造用若ハ工業用ニ供シ又ハ酒類ヲ関東州外ニ輸出スルトキハ関東長官ノ定ムル所ニ依リ酒税ヲ免除シ又ハ酒税ニ相当スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第二十条 酒類製造者ハ予メ納税ノ保証トシテ一酒造年度ニ於ケル見込造石数ノ酒税額ノ二分ノ一以上ニ相当スル担保物ヲ提供スヘシ但シ許可ヲ受ケ造石数ノ査定毎ニ其ノ酒税額ノ二分ノ一以上ニ相当スル担保物ヲ提供スルコトヲ得
前項ノ担保物ニ関スル規定ハ関東長官之ヲ定ム
第二十一条 左ノ場合ニ於テハ前条ニ規定スル担保物ノ提供ヲ免除スルコトヲ得
一 相当ノ納税保証人ヲ立テタルトキ
二 納税ノ保証トシテ酒税額ニ相当スル酒類ヲ保存スルトキ
三 酒税ヲ前納シタルトキ
四 一酒造年度ニ於ケル見込造石数ノ酒税額五十円ニ満タサルトキ
第二十二条 納税保証人ハ酒類製造者カ酒税ヲ完納スルコト能ハサル場合ニ於テ納税者トシテ其ノ義務ヲ負担ス
第二十三条 酒類製造者納税ノ保証トシテ保存スル酒類ハ之ヲ他人ニ譲渡シ、質入シ、消費シ又ハ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス
第二十四条 酒類製造者又ハ引取人酒税ヲ納付セサルニ因リ滞納処分ヲ執行スルトキハ先ツ担保物又ハ納税ノ保証トシテ保存スル酒類ヲ公売シテ税金ヲ徴収スヘシ但シ担保物又ハ納税ノ保証トシテ保存スル酒類ノ価格カ徴収スヘキ税金及滞納処分費ニ対シ不足アリト認ムルトキハ同時ニ他ノ財産ニ付滞納処分ノ執行ヲ為スコトヲ妨ケス
第二十五条 自家用ノ為支那酒タル清酒、黄酒又ハ濁酒ヲ製造セムトスル者ハ一酒造年度二石以下ノ製造石数ヲ定メ当該官庁ノ免許ヲ受クヘシ
二種以上ノ支那酒ヲ製造スル場合ニ於テハ前項ノ製造石数ハ各種ヲ通シテ之ヲ計算ス
第二十六条 自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者其ノ製造ヲ廃止セムトスルトキハ免許ノ取消ヲ求ムヘシ
第五条第三項ノ規定ハ自家用酒類ノ製造ニ之ヲ準用ス
第二十七条 自家用酒類製造者ニハ免許ニ係ル製造石数ニ依リ各種ニ付毎酒造年度左ノ酒税ヲ課ス
製造石数一石以下ノモノ 八十銭
製造石数一石ヲ超ユルモノ 一円六十銭
第二十八条 前条ノ酒税ノ納期ハ十月一日ヨリ同三十一日限トス但シ免許消滅シタルトキ又ハ納期後免許ヲ与ヘタルトキハ直ニ税金ヲ徴収ス
第二十九条 酒類製造者ハ造石数査定前ニ於テ酒類ヲ他人ニ譲渡シ、質入シ、酒類製造用外ニ消費シ又ハ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス但シ関東長官ハ支那酒ニ付別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
自家用酒類製造者ハ其ノ製造ニ係ル酒類、酒母又ハ醪ヲ他人ニ譲渡スコトヲ得ス
第三十条 酒類製造者及酒類販売者ハ帳簿ヲ調製シ酒類ノ製造出入ニ関スル事項ヲ記載スヘシ
前項ノ規定ハ自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者ニハ之ヲ適用セス
第三十一条 当該官吏ハ酒類製造者若ハ酒類販売者ノ所持ニ係ル酒類、酒母醪其ノ他ノ醗酵液、酒粕、渣滓及酒類ノ製造出入ニ関スル帳簿書類並酒類ノ製造若ハ販売上必要ナル建築物、器具、機械、材料其ノ他ノ物件ヲ検査シ又ハ監督上必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第三十二条 当該官吏ハ運搬中ニ在ル酒類ヲ検査シ其ノ出所及到著先ヲ尋問スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ監督上必要ト認ムルトキハ当該官吏ハ其ノ運搬ヲ停止シ又ハ貨物若ハ船車ニ封印シ其ノ他相当ノ措置ヲ為スコトヲ得
第三十三条 当該官吏ハ必要ト認ムルトキハ酒類製造者又ハ酒類販売者ノ所持ニ係ル酒類、酒母醪其ノ他ノ醗酵液ノ見本ヲ徴スルコトヲ得
第三十四条 酒類製造者ニ非サル者酒母若ハ醪ヲ製造シ又ハ販売ノ為麹若ハ麯子ヲ製造セムトスルトキハ製造場一箇所毎ニ免許ヲ受クヘシ
前項ノ免許ヲ受ケタル者ノ製造シタル酒母又ハ醪ハ之ヲ他人ニ譲渡シ、質入シ、飲料トシテ消費シ又ハ当該官吏ノ承認ヲ得スシテ製造場外ニ搬出スルコトヲ得ス
第五条第二項第三項、第三十条第一項及第三十一条ノ規定ハ第一項ノ免許ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
第三十五条 左ニ掲クル場合ニ於テハ第八条ノ納期ニ拘ラス直ニ酒税ヲ徴収ス
一 免許ヲ受ケスシテ酒類ヲ製造シタルトキ
二 詐欺其ノ他不正ノ行為ニ因リ酒税ヲ逋脱シ又ハ逋脱セムトシタルトキ
三 第十六条第二項ノ規定ニ違反シタルトキ
四 酒類製造用又ハ工業用ニ供スル為酒税ヲ課セス又ハ免除セラレタル酒類ヲ其ノ以外ノ用ニ供シタルトキ
五 輸出スル為酒税ヲ免除セラレタル酒類ヲ関東州内ニ於テ消費シ又ハ関東州内ニ於テ消費スル目的ヲ以テ他人ニ譲渡シタルトキ
第三十六条 自家用酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者製造石数ノ制限ヲ超過シ酒類ヲ製造シタルトキハ超過石数ニ対シ第三条第一項ノ割合ニ依リ酒税ヲ課ス
前項ノ酒税ハ直ニ之ヲ徴収ス
第三十七条 免許ヲ受ケスシテ酒母若ハ醪ヲ製造シタル場合ニ於テハ支那酒タル醸造酒ノ酒母醪ニ在リテハ支那酒タル濁酒、其ノ他ノ酒母醪ニ在リテハ支那酒ニ非サル濁酒ト看做シ直ニ酒税ヲ徴収ス
第三十八条 第三十四条第二項ノ規定ニ違反シ酒母又ハ醪ヲ処分シタルトキハ前条ノ規定ニ準シ酒税ヲ徴収ス
第三十九条 酒類製造者、自家用酒類製造者又ハ第三十四条第一項ノ免許ヲ受ケタル者本令又ハ本令ニ基キテ発スル命令ニ違反シタルトキハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ免許ヲ取消シタル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ一定ノ期間内製成其ノ他必要ナル行為ヲ継続セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本令ヲ適用ス
第四十条 酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル者及其ノ相続人ニ対シテハ酒税完納前ニ在リテハ本令ヲ適用ス酒類製造者ノ相続人ニシテ酒類製造営業ヲ承継セサル者ニ対シ亦同シ
第四十一条 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外酒税ニ関シ必要ナル規定ハ関東長官之ヲ定ム
附 則
第四十二条 本令ハ大正十一年四月二十日ヨリ之ヲ施行ス
第四十三条 本令施行ノ際現ニ酒類、酒母、醪、麹又ハ麯子ヲ製造スル者ハ本令施行後三十日内ニ当該官庁ニ免許ヲ申請スヘシ其ノ申請ニ対シ許否ノ処分ヲ受クル迄ハ本令ニ依リ免許ヲ受ケタルモノト看做ス
第四十四条 本令施行ノ際現ニ酒類ヲ所有シ又ハ所持スル者ハ本令施行後二十日内ニ其ノ酒類ノ種類、石数及所在ヲ申告スヘシ但シ支那酒、麦酒又ハ清酒ニ在リテハ通シテ五斗以下、其ノ他ノ酒類ニ在リテハ通シテ一斗以下ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十五条 前条ノ規定ニ依リ申告スヘキ酒類ハ関東長官ノ定ムル所ニ依リ第三条第一項ノ割合ニ依リ酒税ヲ課ス
第四十六条 本令施行ノ際現ニ酒類ヲ製造スル者ニシテ第四十三条ノ規定ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者ニ付テハ本令施行ノ日ヲ含ム酒造年度及其ノ後ノ三酒造年度間第六条第一項ノ規定ヲ適用セス