中等学校令
法令番号: 勅令第三十六號
公布年月日: 昭和18年1月21日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ中等學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年一月二十日
內閣總理大臣 東條英機
文部大臣 橋田邦彦
勅令第三十六號
中等學校令
第一條 中等學校ハ皇國ノ道ニ則リテ高等普通敎育又ハ實業敎育ヲ施シ國民ノ鍊成ヲ爲スヲ以テ目的トス
第二條 中等學校ヲ分チテ中學校、高等女學校及實業學校トス
中學校ニ於テハ男子ニ、高等女學校ニ於テハ女子ニ高等普通敎育ヲ施シ實業學校ニ於テハ實業敎育ヲ施スモノトス
實業學校ノ種類ハ農業學校、工業學校、商業學校、商船學校、水產學校、拓殖學校其ノ他實業敎育ヲ施ス學校トス
第三條 北海道及府縣ハ中學校、高等女學校及實業學校ヲ設置スベシ
文部大臣ハ北海道及府縣ニ對シ中等學校ノ增設、擴張及整理ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ中等學校ノ經費ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第四條 市町村、市町村學校組合、町村學校組合及町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノハ土地ノ情況ニ依リ須要ニシテ其ノ區域內ノ義務敎育ノ施設上妨ナキ場合ニ限リ中等學校ヲ設置スルコトヲ得
第五條 私人ハ中等學校ヲ設置スルコトヲ得
商工會議所、農會其ノ他之ニ準ズベキ公共團體ハ實業學校ヲ設置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設置シタル實業學校ハ私立トス
第六條 公立及私立ノ中等學校ノ設置及廢止ハ文部大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ中等學校ノ設置及廢止ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七條 中等學校ノ修業年限ハ四年トス但シ土地ノ情況ニ依リ高等女學校ニ在リテハ二年、實業學校ニ在リテハ男子ニ付テハ三年、女子ニ付テハ二年ト爲スコトヲ得
第八條 中等學校ニ入學スルコトヲ得ル者ハ修業年限四年ノ課程ニ在リテハ國民學校初等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トシ修業年限二年又ハ三年ノ課程ニ在リテハ國民學校高等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ學力アリト認メラレタル者トス
第九條 中等學校ニハ特別ノ必要アルトキハ夜間ニ於テ授業ヲ行フ課程ヲ置キ又ハ之ノミヲ置クコトヲ得
前項ノ課程ニ付テハ前二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ修業年限ハ中學校及高等女學校ニ在リテハ三年、實業學校ニ在リテハ男子ニ付テハ四年、女子ニ付テハ三年トシ其ノ入學資格ハ國民學校高等科修了程度トス
第十條 商船學校ノ修業年限及入學資格ニ付テハ前三條ノ規定ニ拘ラズ文部大臣ニ於テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第十一條 中學校ニハ中學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ主トシテ實務ニ關スル敎育ヲ施ス爲實務科ヲ置クコトヲ得
高等女學校ニハ高等女學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ精深ナル程度ニ於テ女子ニ須要ナル高等普通敎育ヲ施ス爲高等科ヲ、特定ノ敎科ヲ專攻セシムル爲專攻科ヲ置クコトヲ得
實業學校ニハ實業學校ヲ卒業シタル者ノ爲ニ實業ニ關スル特定ノ事項ヲ專攻セシムル爲專攻科ヲ、國民學校高等科ヲ修了シタル者ノ爲ニ簡易ナル課程ニ依リ特定ノ學科ヲ履修セシムル爲專修科ヲ置クコトヲ得
實務科、高等科、專攻科及專修科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十二條 中等學校ニ於テハ文部省ニ於テ著作權ヲ有スル敎科用圖書ヲ使用スベシ但シ特別ノ必要アル場合ニ於テ文部大臣別段ノ定ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 中等學校ノ設備、編制、敎科、敎授訓練、生徒ノ入學、退學、轉學及懲戒等ニ關スル規程竝ニ實業學校ノ學科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十四條 中等學校ニ於テハ授業料其ノ他ノ費用ヲ徵收スルコトヲ得
授業料其ノ他ノ費用ノ徵收ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十五條 中學校ニ非ザル學校ハ中學校ノ名稱ヲ、高等女學校ニ非ザル學校ハ高等女學校ノ名稱ヲ、實業學校ニ非ザル學校ハ實業學校、農業學校、工業學校、商業學校、商船學校、水產學校又ハ拓殖學校ノ名稱ヲ用フルコトヲ得ズ但シ官立ノ學校ニ於テ此等ノ學校ノ課程ニ相當スル課程ヲ履修セシムル部分ニ關シテハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第十六條 本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十七條 中學校令、高等女學校令及實業學校令ハ之ヲ廢止ス
第十八條 本令施行ノ際現ニ存スル中學校ハ本令ニ依ル中學校トス
本令施行ノ際現ニ存スル高等女學校又ハ實業學校ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ夫々本令ニ依ル高等女學校又ハ實業學校トス
第十九條 本令施行ノ際現ニ存スル實業學校ノ課程ニシテ左ニ揭グルモノノ修業年限及入學資格ハ第七條乃至第九條ノ規定ニ拘ラズ當分ノ內仍從前ノ例ニ依ルコトヲ得
一 國民學校初等科修了程度ヲ以テ入學資格トスル修業年限四年夫滿ノモノ
二 國民學校高等科修了程度ヲ以テ入學資格トスル修業年限三年(女子ニ付テハ二年)未滿ノモノ(夜間ニ於テ授業ヲ行フモノヲ除ク)
三 國民學校高等科修了程度ヲ以テ入學資格トシ夜間ニ於テ授業ヲ行フ修業年限四年(女子ニ付テハ三年)未滿ノモノ
第二十條 本令施行ノ際現ニ中學校、高等女學校又ハ實業學校ニ在學スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第七條及第九條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
第二十一條 本令施行ノ際現ニ存スル高等女學校補習科ハ現ニ在學スル生徒ニ付其ノ修了スル迄之ヲ存置スルコトヲ得
第二十二條 中學校令ニ依ル中學校、高等女學校令ニ依ル高等女學校又ハ實業學校令ニ依ル實業學校ヲ卒業シタル者ハ夫々本令ニ依ル中學校、高等女學校又ハ實業學校ヲ卒業シタル者トス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ中等学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年一月二十日
内閣総理大臣 東条英機
文部大臣 橋田邦彦
勅令第三十六号
中等学校令
第一条 中等学校ハ皇国ノ道ニ則リテ高等普通教育又ハ実業教育ヲ施シ国民ノ錬成ヲ為スヲ以テ目的トス
第二条 中等学校ヲ分チテ中学校、高等女学校及実業学校トス
中学校ニ於テハ男子ニ、高等女学校ニ於テハ女子ニ高等普通教育ヲ施シ実業学校ニ於テハ実業教育ヲ施スモノトス
実業学校ノ種類ハ農業学校、工業学校、商業学校、商船学校、水産学校、拓殖学校其ノ他実業教育ヲ施ス学校トス
第三条 北海道及府県ハ中学校、高等女学校及実業学校ヲ設置スベシ
文部大臣ハ北海道及府県ニ対シ中等学校ノ増設、拡張及整理ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
前二項ノ中等学校ノ経費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス
第四条 市町村、市町村学校組合、町村学校組合及町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノハ土地ノ情況ニ依リ須要ニシテ其ノ区域内ノ義務教育ノ施設上妨ナキ場合ニ限リ中等学校ヲ設置スルコトヲ得
第五条 私人ハ中等学校ヲ設置スルコトヲ得
商工会議所、農会其ノ他之ニ準ズベキ公共団体ハ実業学校ヲ設置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設置シタル実業学校ハ私立トス
第六条 公立及私立ノ中等学校ノ設置及廃止ハ文部大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ中等学校ノ設置及廃止ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七条 中等学校ノ修業年限ハ四年トス但シ土地ノ情況ニ依リ高等女学校ニ在リテハ二年、実業学校ニ在リテハ男子ニ付テハ三年、女子ニ付テハ二年ト為スコトヲ得
第八条 中等学校ニ入学スルコトヲ得ル者ハ修業年限四年ノ課程ニ在リテハ国民学校初等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トシ修業年限二年又ハ三年ノ課程ニ在リテハ国民学校高等科ヲ修了シタル者又ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ之ト同等以上ノ学力アリト認メラレタル者トス
第九条 中等学校ニハ特別ノ必要アルトキハ夜間ニ於テ授業ヲ行フ課程ヲ置キ又ハ之ノミヲ置クコトヲ得
前項ノ課程ニ付テハ前二条ノ規定ニ拘ラズ其ノ修業年限ハ中学校及高等女学校ニ在リテハ三年、実業学校ニ在リテハ男子ニ付テハ四年、女子ニ付テハ三年トシ其ノ入学資格ハ国民学校高等科修了程度トス
第十条 商船学校ノ修業年限及入学資格ニ付テハ前三条ノ規定ニ拘ラズ文部大臣ニ於テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第十一条 中学校ニハ中学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ主トシテ実務ニ関スル教育ヲ施ス為実務科ヲ置クコトヲ得
高等女学校ニハ高等女学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ精深ナル程度ニ於テ女子ニ須要ナル高等普通教育ヲ施ス為高等科ヲ、特定ノ教科ヲ専攻セシムル為専攻科ヲ置クコトヲ得
実業学校ニハ実業学校ヲ卒業シタル者ノ為ニ実業ニ関スル特定ノ事項ヲ専攻セシムル為専攻科ヲ、国民学校高等科ヲ修了シタル者ノ為ニ簡易ナル課程ニ依リ特定ノ学科ヲ履修セシムル為専修科ヲ置クコトヲ得
実務科、高等科、専攻科及専修科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十二条 中等学校ニ於テハ文部省ニ於テ著作権ヲ有スル教科用図書ヲ使用スベシ但シ特別ノ必要アル場合ニ於テ文部大臣別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十三条 中等学校ノ設備、編制、教科、教授訓練、生徒ノ入学、退学、転学及懲戒等ニ関スル規程並ニ実業学校ノ学科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十四条 中等学校ニ於テハ授業料其ノ他ノ費用ヲ徴収スルコトヲ得
授業料其ノ他ノ費用ノ徴収ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十五条 中学校ニ非ザル学校ハ中学校ノ名称ヲ、高等女学校ニ非ザル学校ハ高等女学校ノ名称ヲ、実業学校ニ非ザル学校ハ実業学校、農業学校、工業学校、商業学校、商船学校、水産学校又ハ拓殖学校ノ名称ヲ用フルコトヲ得ズ但シ官立ノ学校ニ於テ此等ノ学校ノ課程ニ相当スル課程ヲ履修セシムル部分ニ関シテハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第十六条 本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十七条 中学校令、高等女学校令及実業学校令ハ之ヲ廃止ス
第十八条 本令施行ノ際現ニ存スル中学校ハ本令ニ依ル中学校トス
本令施行ノ際現ニ存スル高等女学校又ハ実業学校ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ夫々本令ニ依ル高等女学校又ハ実業学校トス
第十九条 本令施行ノ際現ニ存スル実業学校ノ課程ニシテ左ニ掲グルモノノ修業年限及入学資格ハ第七条乃至第九条ノ規定ニ拘ラズ当分ノ内仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得
一 国民学校初等科修了程度ヲ以テ入学資格トスル修業年限四年夫満ノモノ
二 国民学校高等科修了程度ヲ以テ入学資格トスル修業年限三年(女子ニ付テハ二年)未満ノモノ(夜間ニ於テ授業ヲ行フモノヲ除ク)
三 国民学校高等科修了程度ヲ以テ入学資格トシ夜間ニ於テ授業ヲ行フ修業年限四年(女子ニ付テハ三年)未満ノモノ
第二十条 本令施行ノ際現ニ中学校、高等女学校又ハ実業学校ニ在学スル生徒(文部大臣ノ定ムル者ヲ除ク)ニ付テハ其ノ修業年限ハ第七条及第九条ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル
第二十一条 本令施行ノ際現ニ存スル高等女学校補習科ハ現ニ在学スル生徒ニ付其ノ修了スル迄之ヲ存置スルコトヲ得
第二十二条 中学校令ニ依ル中学校、高等女学校令ニ依ル高等女学校又ハ実業学校令ニ依ル実業学校ヲ卒業シタル者ハ夫々本令ニ依ル中学校、高等女学校又ハ実業学校ヲ卒業シタル者トス