第二條 農林大臣ハ水產業ヲ營ム者ニ對シ帝國水產統制株式會社ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ於テハ水產業ニ屬スル設備又ハ權利ヲ出資スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル者ハ他ノ法令ニ拘ラズ當該設備又ハ權利ノ出資ヲ爲スコトヲ得
水產業ニ屬スル設備又ハ權利ニ關シ强制競賣手續、國稅徵收法ニ依ル强制徵收手續、土地收用法ニ依ル使用若ハ收用手續又ハ國家總動員法第十條若ハ第十三條ノ規定ニ基ク使用若ハ收用手續其ノ他此等ノ手續ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ當該設備又ハ權利ニ關シテハ第二項ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第三條 農林大臣前條ノ命令ヲ爲ス場合ニ於テハ當該事業者ニ對シ左ニ揭グル事項ヲ記載シタル命令書ヲ交付スベシ
一 前條第一項ノ命令ヲ受クベキ者ノ氏名又ハ名稱及住所
二 前條第二項ノ命令ヲ受クベキ者ノ氏名又ハ名稱及其ノ各自ノ出資スベキ設備又ハ權利ノ範圍
農林大臣前條ノ命令ヲ爲シタルトキハ前項第一號乃至第三號ニ揭グル事項ヲ公吿スベシ
第四條 第二條第一項ノ命令ヲ受ケタル者ハ設立委員ヲ選任シ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
設立委員ハ帝國水產統制株式會社ノ設立ニ關スル事務ヲ處理スベシ
農林大臣ハ前項ノ事務ノ處理ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五條 設立委員ハ定款ヲ作成シ第二條第一項ノ命令ヲ受ケタル者ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ定款ニハ商法ニ規定スル事項ノ外第二條第一項ノ命令ヲ受ケタル者ノ氏名又ハ名稱及住所ヲ記載スベシ
設立委員第一項ノ承認ヲ得タルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
農林大臣前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ商法第百六十八條第一項第五號ニ揭グル事項ニ付テハ水產事業評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第六條 前條第三項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ總株式ヨリ第二條第二項ノ命令ニ依リ出資ヲ爲ス者ニ割當ツベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第七條 株式申込證ニハ商法第百七十五條第二項第二號及第四號乃至第七號ニ揭グル事項ノ外第二條第一項ノ命令ヲ受ケタル者ノ氏名又ハ名稱及住所竝ニ定款認可ノ年月日ヲ記載スベシ
第八條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ農林大臣ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第九條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク第一囘ノ拂込及出資ノ目的タル財產ノ全部ノ給付ヲ爲サシムベシ
第十條 設立委員ハ前條ノ拂込及給付アリタルトキハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第十一條 創立總會ニ於テハ第二十一條ニ規定スル役員ヲ選任シ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十二條 設立委員ハ創立總會終結シタルトキハ其ノ事務ヲ帝國水產統制株式會社社長ニ引渡スベシ
第十三條 第二條第二項ノ命令ニ依リ帝國水產統制株式會社ニ出資セラルル設備ニ付當該命令ヲ受ケタル者ガ水面又ハ土地ノ占用又ハ使用ニ關シ行政官廳ノ許可、承認其ノ他ノ處分ニ基キ有スル權利義務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ帝國水產統制株式會社成立シタル時帝國水產統制株式會社之ヲ承繼ス
第十四條 第二條第二項ノ命令ヲ受ケタル者ハ出資ニ支障ヲ及ボス虞ナキ場合ヲ除クノ外農林大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ出資ノ目的タル設備又ハ權利ヲ讓渡シ、貸渡シ其ノ他當該設備又ハ權利ニ關シ新ナル處分ヲ爲スコトヲ得ズ
第十五條 水產業ニ屬スル設備ニ付第二條第二項ノ命令ヲ受ケタル者ハ當該設備ノ滅失、毀損其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ命令ニ應ズルコト能ハザルニ至ルベキトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ遲滯ナク之ヲ農林大臣ニ報吿スベシ
前項ノ規定ハ水產業ニ屬スル權利ニ付第二條第二項ノ命令ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
第十六條 商法第百六十七條、第百八十一條及第百八十五條ノ規定ハ帝國水產統制株式會社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第十七條 本令ニ規定スルモノノ外帝國水產統制株式會社ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 帝國水產統制株式會社ハ水產業ノ綜合的統制運營ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
第十九條 帝國水產統制株式會社ノ資本ハ五千萬圓トス但シ農林大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第二十條 帝國水產統制株式會社ハ左ニ揭グル事業ヲ營ムモノトス
七 前各號ニ揭グルモノノ外水產業ノ發達ヲ圖ル爲必要ナル施設其ノ他帝國水產統制株式會社ノ目的ヲ達成スル爲必要ナル事業
帝國水產統制株式會社前項第六號又ハ第七號ノ事業ヲ營マントスルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十一條 帝國水產統制株式會社ニ役員トシテ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第二十二條 社長ハ帝國水產統制株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ帝國水產統制株式會社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
第二十三條 役員ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ農林大臣ノ認可ヲ受クルモノトス
社長及副社長ノ任期ハ四年、理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第二十四條 帝國水產統制株式會社ノ社長、副社長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ農林大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十五條 農林大臣ハ帝國水產統制株式會社ノ業務ヲ監督ス
第二十六條 帝國水產統制株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每營業年度ノ事業計畫ヲ定メ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十七條 帝國水產統制株式會社社債ヲ募集セントスルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外借入金ヲ爲サントスルトキ亦同ジ
第二十八條 帝國水產統制株式會社ノ定款ノ變更、合併及解散ノ決議ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十九條 帝國水產統制株式會社ハ第二條第二項ノ命令ニ依ル出資ニ係ル設備又ハ權利ニ付讓渡其ノ他ノ處分ヲ爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ農林大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三十條 農林大臣ハ帝國水產統制株式會社ノ業務ニ關シ監督上又ハ公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 農林大臣ハ帝國水產統制株式會社ノ決議ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アルトキハ其ノ決議ヲ取消スコトヲ得
農林大臣ハ帝國水產統制株式會社ノ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分又ハ定款ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第三十二條 第二條第二項ノ命令ニ依ル出資ニ係ル設備又ハ權利ガ知レタル擔保權ノ目的タル場合ニ於テ當該擔保權ヲ消滅セシムルニ非ザレバ帝國水產統制株式會社ガ當該設備又ハ權利ヲ有效ニ利用スルコト困難ナルトキハ當事者ハ擔保權ノ處理ニ付擔保權者ニ協議スルコトヲ得
前項ノ協議ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第一項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ當事者又ハ擔保權者ハ當該事項ニ付農林大臣ノ裁定ヲ申請スルコトヲ得
農林大臣前項ノ裁定ヲ爲サントスルトキハ水產事業評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第三十三條 前條ノ規定ニ依リ擔保權ガ消滅スルトキハ當該擔保權者ハ出資ニ對シ割當テラレタル株式ノ上ニ質權ヲ有ス但シ同條ノ協議又ハ裁定ニ於テ別段ノ定ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十四條 漁業財團又ハ工場財團ニ屬スルモノハ第三十二條ノ規定ニ依リ擔保權ノ消滅シタル場合ヲ除クノ外第二條第二項ノ命令ニ依ル出資アリタル後ト雖モ仍原財團ニ屬スルモノトス
第三十五條 農林大臣ハ第二條第二項ノ命令ニ依リ設備又ハ權利ヲ出資シタル者ヲシテ第三十六條ノ規定ニ依リ債務ノ承繼アリタル場合ヲ除クノ外帝國水產統制株式會社ガ擔保權ノ實行ニ因リ受クルコトアルベキ損失ノ補償ニ充ツル爲命令ノ定ムル所ニ依リ相當ノ擔保ヲ供託セシムルコトヲ得
帝國水產統制株式會社ハ前項ノ規定ニ依リ供託セラレタルモノノ上ニ質權ヲ有ス
第三十六條 農林大臣ハ第二條第二項ノ命令ニ依リ設備又ハ權利ノ出資ヲ命ジタル場合ニ於テ出資者ヲシテ當該設備又ハ權利ヲ擔保トスル債務ヲ引續キ負擔セシメ置クコトヲ適當ナラズト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ帝國水產統制株式會社ヲシテ當該債務ノ全部又ハ一部ヲ承繼セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル承繼價格其ノ他承繼ニ關スル條件ハ當事者間ノ協議ニ依ル
第三十二條第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十七條 本令ニ規定スルモノノ外第三十二條ノ規定ニ依ル擔保ノ處理及裁定竝ニ前條ノ規定ニ依ル債務ノ承繼及裁定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十八條 帝國水產統制株式會社ハ水產業ノ經營ノ安定ヲ圖ル爲水產安定資金ヲ設定スベシ
帝國水產統制株式會社ハ每營業年度ノ收入ニ付農林大臣ノ定ムル所ニ從ヒ前項ノ水產安定資金ニ繰入ルベキ金額ヲ定メ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ認可アリタルトキハ帝國水產統制株式會社ハ其ノ金額ヲ水產安定資金ニ繰入ルベシ
前項ノ規定ニ依リ水產安定資金ニ繰入レタル金額ハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
帝國水產統制株式會社水產安定資金ヲ使用セントスルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
前各項ニ規定スルモノノ外水產安定資金ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム