配電統制令
法令番号: 勅令第八百三十二號
公布年月日: 昭和16年8月30日
法令の形式: 勅令
朕配電統制令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月二十九日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 田邉治通
遞信大臣 村田省藏
大藏大臣 小倉正恒
勅令第八百三十二號
配電統制令
第一條 國家總動員法第十六條ノ二ノ規定ニ基ク電氣供給事業設備ノ出資等ニ關スル命令、同法第十六條ノ三ノ規定ニ基ク電氣供給事業ノ讓渡又ハ電氣供給事業ヲ營ム會社ノ合併若ハ解散ニ關スル命令、同法第十八條ノ規定ニ基ク配電事業ノ統制ノ爲ニスル經營ヲ目的トスル株式會社(以下配電株式會社ト稱ス)ノ設立ニ關スル命令及配電株式會社ニ關スル事項、同法第十八條ノ二ノ規定ニ基ク電氣供給事業ヲ讓渡シ又ハ電氣供給事業設備ヲ出資シタル者ノ負擔スル債務ノ承繼及其ノ擔保ノ處理ニ關スル事項、同法第十八條ノ三ノ規定ニ基ク電氣供給事業ノ讓渡、電氣供給事業設備ノ出資又ハ配電株式會社ニ付テノ課稅標準ノ計算ニ關スル特例ノ設定又ハ租稅ノ減免竝ニ同法第十九條ノ規定ニ基ク配電株式會社ノ電氣料金ニ關スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 遞信大臣ハ電氣供給事業ヲ營ム者ニ對シ配電株式會社ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ於テハ配電株式會社ト爲ルベキコト又ハ電氣供給事業設備ヲ出資スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三條 遞信大臣前條ノ命令ヲ爲ス場合ニ於テハ當該事業者ニ對シ左ノ事項ヲ記載シタル命令書ヲ交付スベシ
一 設立スベキ配電株式會社ノ商號及配電區域
二 配電株式會社ト爲ルベキ株式會社ノ商號
三 電氣供給事業設備ヲ出資スベキ者ノ名稱
四 出資スベキ電氣供給事業設備ノ範圍
五 配電株式會社ヲ設立スベキ期限
六 其ノ他必要ト認ムル事項
遞信大臣前條ノ命令ヲ爲シタルトキハ前項第一號乃至第五號ニ揭グル事項ヲ公吿スベシ
第四條 第二條ノ命令ヲ受ケタル者(以下受命者ト稱ス)ニシテ配電株式會社ト爲ルベキコトヲ命ゼラレタル株式會社(以下指定會社ト稱ス)ハ本令ニ依リ配電株式會社ト爲ルコトヲ得
指定會社以外ノ受命者ハ配電株式會社設立ノ爲他ノ法令ニ拘ラズ當該事業ニ屬スル電氣供給事業設備ノ出資ヲ爲スコトヲ得
第五條 受命者ハ設立委員ヲ選任シ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
設立委員ハ配電株式會社ノ設立ニ關スル事務ヲ處理スベシ
遞信大臣ハ前項ノ事務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第六條 設立委員ハ左ノ事項ヲ記載シタル書面ヲ作リ受命者ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
一 配電株式會社ノ商號、資本ノ總額、一株ノ金額及本店ノ所在地
二 配電株式會社ト爲ルベキ株式會社ノ商號
三 配電株式會社ノ發行スベキ株式ノ種類、數及拂込金額竝ニ指定會社ノ株主ニ對スル株式ノ割當ニ關スル事項
四 指定會社ノ株主ニ支拂ヲ爲スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 第二條ノ命令ニ基キ出資ヲ爲ス者ノ名稱、出資ノ目的タル財產、其ノ價格及之ニ對シテ與フル株式ノ種類及數
六 配電株式會社ノ成立後ニ讓受クルコトヲ約シタル財產、其ノ價格及讓渡人ノ名稱
七 配電株式會社ヲ設立スベキ時期
八 各受命者ニ於テ承認ヲ爲スベキ期日
九 其ノ他必要ト認ムル事項
前項ノ承認ハ受命者ガ株式會社ナル場合ニ於テハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ前項ノ書面ノ要領ハ同法第二百三十二條ニ定ムル通知及公吿ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
設立委員第一項ノ承認ヲ得タルトキハ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
遞信大臣前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ第一項第三號乃至第五號ニ揭グル事項ニ付テハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
設立委員ハ第三項ノ認可アリタルトキハ遲滯ナク其ノ旨ヲ受命者ニ通知スベシ
第七條 商法第四百十六條第三項及第四項ノ規定ハ配電株式會社設立ノ場合ニ之ヲ準用ス但シ同條第三項ニ於テ準用スル同法第三百七十七條第一項但書及第三百七十八條第一項但書(同法第三百七十九條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)中三月トアルハ一月トス
第八條 設立委員ハ第六條第三項ノ認可アリタルトキハ定款ヲ作成シ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ定款ニハ商法ニ規定スル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スベシ
一 指定會社ノ株主ニ對スル株式ノ割當ニ關スル事項
二 指定會社ノ株主ニ支拂ヲ爲スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
三 指定會社ノ財產ノ槪況
第九條 前條第一項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ總株式ヨリ指定會社ノ株主及第二條ノ命令ニ基キ出資ヲ爲ス者ニ割當ツベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第十條 株式申込證ニハ商法第百七十五條第二項第二號及第四號乃至第七號ニ規定スル事項ノ外第八條第二項各號ニ揭グル事項及定款認可ノ年月日ヲ記載スベシ
第十一條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ遞信大臣ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第十二條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク第一囘ノ拂込及出資ノ目的タル財產ノ全部ノ給付ヲ爲サシムベシ
第十三條 第七條ニ規定スル手續ヲ終了シ前條ノ拂込及現物出資ノ給付アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
創立總會ノ決議ハ配電株式會社ノ株式ノ引受人及配電株式會社ノ株式ノ引受ヲ爲サザル指定會社ノ株主ノ合計ノ半數以上ニシテ資本ノ半額以上ニ當ル者出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス
第十四條 創立總會ニ於テハ第二十八條ニ規定スル役員ヲ選任シ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十五條 設立委員ハ創立總會終結シタルトキハ其ノ事務ヲ配電株式會社社長ニ引渡スベシ
第十六條 指定會社ハ配電株式會社ノ成立ニ因リ之ニ吸收セラルルモノトシ指定會社ノ權利義務(指定會社ガ其ノ電氣供給事業設備ニ付電氣事業法ニ依ル許可又ハ認可ニ基キ有スル權利義務及河川、湖若ハ沼ノ使用又ハ道路其ノ他土地ノ占用若ハ使用ニ關シ行政廳ノ許可、承認其ノ他ノ處分ニ基キ有スル權利義務ヲ含ム)ハ配電株式會社ニ於テ之ヲ承繼ス
第二條ノ命令ニ基キ配電株式會社ニ出資セラルル電氣供給事業設備ニ付當該受命者ガ電氣事業法ニ依ル許可又ハ認可ニ基キ有スル權利義務、河川、湖若ハ沼ノ使用又ハ道路其ノ他土地ノ占用若ハ使用ニ關シ有スル權利義務及電氣供給契約ニ基キ有スル權利義務ハ配電株式會社成立シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ配電株式會社之ヲ承繼ス
第十七條 第二條ノ命令ニ基キ設備ノ出資アリタル場合及前條ノ場合ニ於ケル登記ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 受命者第三條第一項ノ命令書ノ交付ヲ受ケタル後出資ノ目的タル事業設備若ハ指定會社ノ事業設備ノ現狀ヲ變更シ又ハ之ヲ讓渡シ若ハ所有權以外ノ權利ノ目的ト爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第十九條 第十六條第一項ノ場合ニ於ケル指定會社ヨリ配電株式會社ヘノ有價證券ノ移轉ニ付テハ有價證券移轉稅ヲ免除ス
第二十條 會社ガ第二條ノ命令ニ基キ配電株式會社ニ出資ヲ爲シタルトキハ其ノ出資ニ對シ與ヘラレタル株式ノ價額ニ關シ出資ヲ爲シタル營業年度ニ於ケル法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算ニ付命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第二十一條 商法第百六十七條、第百八十一條及第百八十五條ノ規定ハ配電株式會社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第二十二條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外配電株式會社ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三條 第二條ノ命令ニ基キ出資ヲ爲シタル爲解散シタル會社ノ淸算ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 配電株式會社ハ一定區域內ニ於ケル配電事業ノ統制ノ爲配電事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
配電株式會社ハ遞信大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ニ定ムルモノノ外附帶事業ヲ營ムコトヲ得
第二十五條 配電株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第二十六條 遞信大臣ハ電氣供給事業ヲ營ム者ニ對シ配電株式會社ヘノ合併、事業ノ讓渡又ハ電氣供給事業設備ノ出資ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テ遞信大臣ハ當該合併、讓渡又ハ出資ノ相手方タル配電株式會社ニ對シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル合併條件又ハ讓渡價格、出資價格其ノ他ノ事項ハ當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ遞信大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
遞信大臣前二項ノ裁定又ハ認可ヲ爲サントスルトキハ電力評價審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第四條第二項、第十六條第二項、第十七條、第十八條、第二十條及第二十三條ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
前五項ニ定ムルモノノ外裁定竝ニ之ニ依ル合併、讓渡及出資ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條 商法第三百五十三條及第三百五十五條第二項ノ規定ハ前條第一項後段ノ命令ニ基ク配電株式會社ノ資本增加ニハ之ヲ適用セズ
第二十八條 配電株式會社ニ役員トシテ社長、副社長、理事及監事ヲ置ク
第二十九條 社長ハ配電株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ配電株式會社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
監事ハ配電株式會社ノ業務ヲ監査ス
第三十條 配電株式會社ノ社長、副社長、理事及監事ハ第十四條ニ規定スル場合ヲ除クノ外株主總會ニ於テ之ヲ選任シ遞信大臣ノ認可ヲ受クルモノトス
社長及副社長ノ任期ハ四年、理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第三十一條 電氣事業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間配電株式會社ノ役員ト爲リ又ハ其ノ給與ヲ受クル事務ニ從事スルコトヲ得ズ但シ遞信大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二條 配電株式會社ノ社長、副社長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ遞信大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十三條 配電株式會社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 設立 金錢出資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
二 第二十六條第一項ノ規定ニ依ル出資ニ因ル資本ノ增加 增資拂込株金額ノ千分ノ一
三 第二條第二項、第六條第一項第六號又ハ第二十六條第一項ノ規定ニ依ル出資、讓受又ハ讓渡ニ基ク不動產ニ關スル權利ノ取得 不動產ノ價格ノ千分ノ三
配電株式會社ガ設立ノ登記ヲ受クルトキハ其ノ拂込株金額中指定會社ノ拂込株金額ニ相當スル部分ニ付テハ登錄稅ヲ免除ス
配電株式會社ガ第十六條第一項ノ規定ニ依リ指定會社ヨリ不動產ニ關スル權利ヲ承繼スル場合ニ於ケル其ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキ亦前項ニ同ジ
第三十四條 配電株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ成立ノ日ヨリ十年ヲ超エザル期間第二條第二項又ハ第二十六條第一項ノ規定ニ依ル出資又ハ讓渡ヲ爲シタル者ニ對シ一定金額ヲ支拂フベシ
配電株式會社ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ成立ノ日ヨリ十年ヲ超エザル期間其ノ所得ニ對スル法人稅ヲ輕減ス
第三十五條 配電株式會社ハ商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十六條 遞信大臣ハ配電株式會社ノ業務ヲ監督ス
第三十七條 遞信大臣ハ配電株式會社ノ電氣料金其ノ他電氣ノ供給ニ關スル重要事項ヲ決定ス
第三十八條 配電株式會社社債ヲ募集セントスルトキハ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十九條 配電株式會社ノ定款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十條 配電株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第四十一條 配電株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ事業設備ヲ讓渡シ又ハ所有權以外ノ權利ノ目的ト爲スコトヲ得ズ事業設備ノ取得ニ付亦同ジ
第四十二條 遞信大臣ハ配電株式會社ノ業務ニ關シ監督上又ハ公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第四十三條 遞信大臣ハ配電株式會社ノ決議ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アルトキハ其ノ決議ヲ取消スコトヲ得
遞信大臣ハ配電株式會社ノ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分又ハ定款ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他役員ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第四十四條 遞信大臣ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ配電株式會社ノ業務、第二條ノ規定ニ依ル設立若ハ出資又ハ第二十六條第一項ノ規定ニ依ル合併、讓渡若ハ出資ニ關シ必要ナル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第四十五條 工場財團、鐵道財團又ハ軌道財團ニ屬スルモノハ第二條第二項若ハ第二十六條第一項ノ規定ニ依ル出資若ハ讓渡又ハ第十六條第二項ノ規定ニ依ル承繼ニ因リ配電株式會社ニ移轉シタル後ト雖モ仍原財團ニ屬スルモノトス
前項ノ場合ニ於ケル登記又ハ登錄ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條 第二條又ハ第二十六條第一項ノ命令ニ基キ抵當權ノ目的タル設備ヲ出資シ又ハ其ノ設備ノ屬スル事業ヲ讓渡シタル者ハ第四十七條第一項ノ規定ニ依リ債務ノ承繼アリタル場合ヲ除クノ外配電株式會社ガ抵當權ノ實行ニ因リ受クルコトアルベキ損失ノ補償ニ充ツル爲命令ノ定ムル所ニ依リ相當ノ擔保ヲ供託スベシ
配電株式會社ハ前項ノ規定ニ依リ供託セラレタルモノノ上ニ質權ヲ有ス
第四十七條 遞信大臣ハ第二條又ハ第二十六條第一項ノ規定ニ依リ設備ノ出資又ハ事業ノ讓渡ヲ命ジタル場合ニ於テ當該出資者又ハ讓渡者ヲシテ其ノ現ニ負擔スル債務ヲ引續キ負擔セシメ置クコトヲ適當ナラズト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ配電株式會社ヲシテ當該債務ノ全部又ハ一部ヲ承繼セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル承繼價格其ノ他ノ承繼ニ關スル條件ハ配電株式會社及當該出資者又ハ讓渡者ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ遞信大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十六條第四項ノ規定ハ前二項ノ裁定又ハ認可ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
配電株式會社ガ其ノ成立又ハ增資ノ日ニ第一項ノ規定ニ依リ出資者ノ債務ヲ承繼スル場合ニ於テハ當該出資者ニ對シテ爲ス株式ノ割當ハ出資設備ノ價格ヨリ債務ノ承繼價格ヲ控除シタル金額ニ依ル
第四十八條 配電株式會社ハ命令ノ定ムルモノヲ除クノ外第二條又ハ第二十六條第一項ノ命令ニ基キ移轉シタル設備ヲ擔保トスル債務又ハ前條第一項ノ規定ニ依リ承繼シタル債務ニ關シ原契約上課セラレタル負擔及制限ヲ承繼ス
第四十九條 第二條又ハ第二十六條第一項ノ命令ニ基キ設備ヲ出資シ又ハ事業ヲ讓渡シタル者ハ本令ニ依ル資產ニ關シテノ變動ヲ理由トシテ其ノ負擔スル債務ノ期限前ノ元利支拂其ノ他ノ請求ヲ爲ス者アリタル場合ニ於テ之ニ應ズルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ配電株式會社ガ第四十七條第一項ノ規定ニ依リ債務ヲ承繼シタル場合ニ配電株式會社ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕配電統制令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月二十九日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 田邉治通
逓信大臣 村田省蔵
大蔵大臣 小倉正恒
勅令第八百三十二号
配電統制令
第一条 国家総動員法第十六条ノ二ノ規定ニ基ク電気供給事業設備ノ出資等ニ関スル命令、同法第十六条ノ三ノ規定ニ基ク電気供給事業ノ譲渡又ハ電気供給事業ヲ営ム会社ノ合併若ハ解散ニ関スル命令、同法第十八条ノ規定ニ基ク配電事業ノ統制ノ為ニスル経営ヲ目的トスル株式会社(以下配電株式会社ト称ス)ノ設立ニ関スル命令及配電株式会社ニ関スル事項、同法第十八条ノ二ノ規定ニ基ク電気供給事業ヲ譲渡シ又ハ電気供給事業設備ヲ出資シタル者ノ負担スル債務ノ承継及其ノ担保ノ処理ニ関スル事項、同法第十八条ノ三ノ規定ニ基ク電気供給事業ノ譲渡、電気供給事業設備ノ出資又ハ配電株式会社ニ付テノ課税標準ノ計算ニ関スル特例ノ設定又ハ租税ノ減免並ニ同法第十九条ノ規定ニ基ク配電株式会社ノ電気料金ニ関スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 逓信大臣ハ電気供給事業ヲ営ム者ニ対シ配電株式会社ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ於テハ配電株式会社ト為ルベキコト又ハ電気供給事業設備ヲ出資スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三条 逓信大臣前条ノ命令ヲ為ス場合ニ於テハ当該事業者ニ対シ左ノ事項ヲ記載シタル命令書ヲ交付スベシ
一 設立スベキ配電株式会社ノ商号及配電区域
二 配電株式会社ト為ルベキ株式会社ノ商号
三 電気供給事業設備ヲ出資スベキ者ノ名称
四 出資スベキ電気供給事業設備ノ範囲
五 配電株式会社ヲ設立スベキ期限
六 其ノ他必要ト認ムル事項
逓信大臣前条ノ命令ヲ為シタルトキハ前項第一号乃至第五号ニ掲グル事項ヲ公告スベシ
第四条 第二条ノ命令ヲ受ケタル者(以下受命者ト称ス)ニシテ配電株式会社ト為ルベキコトヲ命ゼラレタル株式会社(以下指定会社ト称ス)ハ本令ニ依リ配電株式会社ト為ルコトヲ得
指定会社以外ノ受命者ハ配電株式会社設立ノ為他ノ法令ニ拘ラズ当該事業ニ属スル電気供給事業設備ノ出資ヲ為スコトヲ得
第五条 受命者ハ設立委員ヲ選任シ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ
設立委員ハ配電株式会社ノ設立ニ関スル事務ヲ処理スベシ
逓信大臣ハ前項ノ事務ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第六条 設立委員ハ左ノ事項ヲ記載シタル書面ヲ作リ受命者ノ承認ヲ得ルコトヲ要ス
一 配電株式会社ノ商号、資本ノ総額、一株ノ金額及本店ノ所在地
二 配電株式会社ト為ルベキ株式会社ノ商号
三 配電株式会社ノ発行スベキ株式ノ種類、数及払込金額並ニ指定会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項
四 指定会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
五 第二条ノ命令ニ基キ出資ヲ為ス者ノ名称、出資ノ目的タル財産、其ノ価格及之ニ対シテ与フル株式ノ種類及数
六 配電株式会社ノ成立後ニ譲受クルコトヲ約シタル財産、其ノ価格及譲渡人ノ名称
七 配電株式会社ヲ設立スベキ時期
八 各受命者ニ於テ承認ヲ為スベキ期日
九 其ノ他必要ト認ムル事項
前項ノ承認ハ受命者ガ株式会社ナル場合ニ於テハ商法第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ前項ノ書面ノ要領ハ同法第二百三十二条ニ定ムル通知及公告ニ之ヲ記載スルコトヲ要ス
設立委員第一項ノ承認ヲ得タルトキハ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ
逓信大臣前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ第一項第三号乃至第五号ニ掲グル事項ニ付テハ電力評価審査委員会ノ議ヲ経ベシ
設立委員ハ第三項ノ認可アリタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ受命者ニ通知スベシ
第七条 商法第四百十六条第三項及第四項ノ規定ハ配電株式会社設立ノ場合ニ之ヲ準用ス但シ同条第三項ニ於テ準用スル同法第三百七十七条第一項但書及第三百七十八条第一項但書(同法第三百七十九条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)中三月トアルハ一月トス
第八条 設立委員ハ第六条第三項ノ認可アリタルトキハ定款ヲ作成シ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ定款ニハ商法ニ規定スル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スベシ
一 指定会社ノ株主ニ対スル株式ノ割当ニ関スル事項
二 指定会社ノ株主ニ支払ヲ為スベキ金額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
三 指定会社ノ財産ノ概況
第九条 前条第一項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ総株式ヨリ指定会社ノ株主及第二条ノ命令ニ基キ出資ヲ為ス者ニ割当ツベキ株式ヲ控除シタル残余ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第十条 株式申込証ニハ商法第百七十五条第二項第二号及第四号乃至第七号ニ規定スル事項ノ外第八条第二項各号ニ掲グル事項及定款認可ノ年月日ヲ記載スベシ
第十一条 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ逓信大臣ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
第十二条 設立委員ハ前条ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク第一回ノ払込及出資ノ目的タル財産ノ全部ノ給付ヲ為サシムベシ
第十三条 第七条ニ規定スル手続ヲ終了シ前条ノ払込及現物出資ノ給付アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
創立総会ノ決議ハ配電株式会社ノ株式ノ引受人及配電株式会社ノ株式ノ引受ヲ為サザル指定会社ノ株主ノ合計ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ニ当ル者出席シ其ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス
第十四条 創立総会ニ於テハ第二十八条ニ規定スル役員ヲ選任シ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十五条 設立委員ハ創立総会終結シタルトキハ其ノ事務ヲ配電株式会社社長ニ引渡スベシ
第十六条 指定会社ハ配電株式会社ノ成立ニ因リ之ニ吸収セラルルモノトシ指定会社ノ権利義務(指定会社ガ其ノ電気供給事業設備ニ付電気事業法ニ依ル許可又ハ認可ニ基キ有スル権利義務及河川、湖若ハ沼ノ使用又ハ道路其ノ他土地ノ占用若ハ使用ニ関シ行政庁ノ許可、承認其ノ他ノ処分ニ基キ有スル権利義務ヲ含ム)ハ配電株式会社ニ於テ之ヲ承継ス
第二条ノ命令ニ基キ配電株式会社ニ出資セラルル電気供給事業設備ニ付当該受命者ガ電気事業法ニ依ル許可又ハ認可ニ基キ有スル権利義務、河川、湖若ハ沼ノ使用又ハ道路其ノ他土地ノ占用若ハ使用ニ関シ有スル権利義務及電気供給契約ニ基キ有スル権利義務ハ配電株式会社成立シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ配電株式会社之ヲ承継ス
第十七条 第二条ノ命令ニ基キ設備ノ出資アリタル場合及前条ノ場合ニ於ケル登記ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 受命者第三条第一項ノ命令書ノ交付ヲ受ケタル後出資ノ目的タル事業設備若ハ指定会社ノ事業設備ノ現状ヲ変更シ又ハ之ヲ譲渡シ若ハ所有権以外ノ権利ノ目的ト為サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
第十九条 第十六条第一項ノ場合ニ於ケル指定会社ヨリ配電株式会社ヘノ有価証券ノ移転ニ付テハ有価証券移転税ヲ免除ス
第二十条 会社ガ第二条ノ命令ニ基キ配電株式会社ニ出資ヲ為シタルトキハ其ノ出資ニ対シ与ヘラレタル株式ノ価額ニ関シ出資ヲ為シタル営業年度ニ於ケル法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算ニ付命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第二十一条 商法第百六十七条、第百八十一条及第百八十五条ノ規定ハ配電株式会社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第二十二条 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外配電株式会社ノ設立ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十三条 第二条ノ命令ニ基キ出資ヲ為シタル為解散シタル会社ノ清算ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四条 配電株式会社ハ一定区域内ニ於ケル配電事業ノ統制ノ為配電事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス
配電株式会社ハ逓信大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ニ定ムルモノノ外附帯事業ヲ営ムコトヲ得
第二十五条 配電株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人若ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第二十六条 逓信大臣ハ電気供給事業ヲ営ム者ニ対シ配電株式会社ヘノ合併、事業ノ譲渡又ハ電気供給事業設備ノ出資ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テ逓信大臣ハ当該合併、譲渡又ハ出資ノ相手方タル配電株式会社ニ対シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル合併条件又ハ譲渡価格、出資価格其ノ他ノ事項ハ当事者間ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ逓信大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ逓信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
逓信大臣前二項ノ裁定又ハ認可ヲ為サントスルトキハ電力評価審査委員会ノ議ヲ経ベシ
第四条第二項、第十六条第二項、第十七条、第十八条、第二十条及第二十三条ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
前五項ニ定ムルモノノ外裁定並ニ之ニ依ル合併、譲渡及出資ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 商法第三百五十三条及第三百五十五条第二項ノ規定ハ前条第一項後段ノ命令ニ基ク配電株式会社ノ資本増加ニハ之ヲ適用セズ
第二十八条 配電株式会社ニ役員トシテ社長、副社長、理事及監事ヲ置ク
第二十九条 社長ハ配電株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ配電株式会社ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ参与ス
監事ハ配電株式会社ノ業務ヲ監査ス
第三十条 配電株式会社ノ社長、副社長、理事及監事ハ第十四条ニ規定スル場合ヲ除クノ外株主総会ニ於テ之ヲ選任シ逓信大臣ノ認可ヲ受クルモノトス
社長及副社長ノ任期ハ四年、理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第三十一条 電気事業ヲ監督スル官庁ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間配電株式会社ノ役員ト為リ又ハ其ノ給与ヲ受クル事務ニ従事スルコトヲ得ズ但シ逓信大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二条 配電株式会社ノ社長、副社長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ逓信大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十三条 配電株式会社左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登録税ノ額ハ左ノ額トス但シ登録税法ニ依リ算出シタル登録税ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 設立 金銭出資ニ依ル払込株金額ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル払込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
二 第二十六条第一項ノ規定ニ依ル出資ニ因ル資本ノ増加 増資払込株金額ノ千分ノ一
三 第二条第二項、第六条第一項第六号又ハ第二十六条第一項ノ規定ニ依ル出資、譲受又ハ譲渡ニ基ク不動産ニ関スル権利ノ取得 不動産ノ価格ノ千分ノ三
配電株式会社ガ設立ノ登記ヲ受クルトキハ其ノ払込株金額中指定会社ノ払込株金額ニ相当スル部分ニ付テハ登録税ヲ免除ス
配電株式会社ガ第十六条第一項ノ規定ニ依リ指定会社ヨリ不動産ニ関スル権利ヲ承継スル場合ニ於ケル其ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキ亦前項ニ同ジ
第三十四条 配電株式会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ成立ノ日ヨリ十年ヲ超エザル期間第二条第二項又ハ第二十六条第一項ノ規定ニ依ル出資又ハ譲渡ヲ為シタル者ニ対シ一定金額ヲ支払フベシ
配電株式会社ニ対シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ成立ノ日ヨリ十年ヲ超エザル期間其ノ所得ニ対スル法人税ヲ軽減ス
第三十五条 配電株式会社ハ商法ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十六条 逓信大臣ハ配電株式会社ノ業務ヲ監督ス
第三十七条 逓信大臣ハ配電株式会社ノ電気料金其ノ他電気ノ供給ニ関スル重要事項ヲ決定ス
第三十八条 配電株式会社社債ヲ募集セントスルトキハ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十九条 配電株式会社ノ定款ノ変更、利益金ノ処分、合併及解散ノ決議ハ逓信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第四十条 配電株式会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計画ヲ定メ逓信大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第四十一条 配電株式会社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ逓信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ事業設備ヲ譲渡シ又ハ所有権以外ノ権利ノ目的ト為スコトヲ得ズ事業設備ノ取得ニ付亦同ジ
第四十二条 逓信大臣ハ配電株式会社ノ業務ニ関シ監督上又ハ公益上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第四十三条 逓信大臣ハ配電株式会社ノ決議ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アルトキハ其ノ決議ヲ取消スコトヲ得
逓信大臣ハ配電株式会社ノ役員ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分又ハ定款ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他役員ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第四十四条 逓信大臣ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ配電株式会社ノ業務、第二条ノ規定ニ依ル設立若ハ出資又ハ第二十六条第一項ノ規定ニ依ル合併、譲渡若ハ出資ニ関シ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第四十五条 工場財団、鉄道財団又ハ軌道財団ニ属スルモノハ第二条第二項若ハ第二十六条第一項ノ規定ニ依ル出資若ハ譲渡又ハ第十六条第二項ノ規定ニ依ル承継ニ因リ配電株式会社ニ移転シタル後ト雖モ仍原財団ニ属スルモノトス
前項ノ場合ニ於ケル登記又ハ登録ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六条 第二条又ハ第二十六条第一項ノ命令ニ基キ抵当権ノ目的タル設備ヲ出資シ又ハ其ノ設備ノ属スル事業ヲ譲渡シタル者ハ第四十七条第一項ノ規定ニ依リ債務ノ承継アリタル場合ヲ除クノ外配電株式会社ガ抵当権ノ実行ニ因リ受クルコトアルベキ損失ノ補償ニ充ツル為命令ノ定ムル所ニ依リ相当ノ担保ヲ供託スベシ
配電株式会社ハ前項ノ規定ニ依リ供託セラレタルモノノ上ニ質権ヲ有ス
第四十七条 逓信大臣ハ第二条又ハ第二十六条第一項ノ規定ニ依リ設備ノ出資又ハ事業ノ譲渡ヲ命ジタル場合ニ於テ当該出資者又ハ譲渡者ヲシテ其ノ現ニ負担スル債務ヲ引続キ負担セシメ置クコトヲ適当ナラズト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ配電株式会社ヲシテ当該債務ノ全部又ハ一部ヲ承継セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル承継価格其ノ他ノ承継ニ関スル条件ハ配電株式会社及当該出資者又ハ譲渡者ノ協議ニ依ル協議調ハザルトキハ逓信大臣之ヲ裁定ス
前項ノ協議ハ逓信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十六条第四項ノ規定ハ前二項ノ裁定又ハ認可ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
配電株式会社ガ其ノ成立又ハ増資ノ日ニ第一項ノ規定ニ依リ出資者ノ債務ヲ承継スル場合ニ於テハ当該出資者ニ対シテ為ス株式ノ割当ハ出資設備ノ価格ヨリ債務ノ承継価格ヲ控除シタル金額ニ依ル
第四十八条 配電株式会社ハ命令ノ定ムルモノヲ除クノ外第二条又ハ第二十六条第一項ノ命令ニ基キ移転シタル設備ヲ担保トスル債務又ハ前条第一項ノ規定ニ依リ承継シタル債務ニ関シ原契約上課セラレタル負担及制限ヲ承継ス
第四十九条 第二条又ハ第二十六条第一項ノ命令ニ基キ設備ヲ出資シ又ハ事業ヲ譲渡シタル者ハ本令ニ依ル資産ニ関シテノ変動ヲ理由トシテ其ノ負担スル債務ノ期限前ノ元利支払其ノ他ノ請求ヲ為ス者アリタル場合ニ於テ之ニ応ズルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ配電株式会社ガ第四十七条第一項ノ規定ニ依リ債務ヲ承継シタル場合ニ配電株式会社ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス