第一條 關東州ニ主タル事務所ヲ有スル特別ノ法人ハ本令ニ依リ特別法人稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條 本令ニ於テ特別ノ法人トハ左ニ揭グル法人ヲ謂フ
第三條 特別法人稅ハ特別ノ法人ノ剩餘金ニ付之ヲ賦課ス
第四條 特別ノ法人ノ剩餘金ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル
特別ノ法人ガ取扱ヒタル物ノ數量、價額其ノ他事業ノ分量ニ對シテ配當スベキ金額ハ前項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
特別ノ法人ガ各事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ特別法人稅ハ第一項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
特別ノ法人ノ各事業年度開始前三年以內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムルモノハ第一項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前三項ニ規定スルモノノ外第一項ノ剩餘金ノ計算ニ關シテハ大使之ヲ定ム
第五條 前條ノ規定ニ依リ特別ノ法人ノ各事業年度ノ剩餘金ヲ計算スル場合ニ於テ特別ノ法人ガ國債ヲ所有スルトキハ國債ノ利子額中其ノ國債ヲ所有シタル期間分ノ利子額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額ヲ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ剩餘金ヨリ控除ス
第六條 特別ノ法人ノ前條ノ規定ニ依ル控除前ノ剩餘金額ガ其ノ拂込濟出資金額ニ對シ年百分ノ三ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超エザルトキハ特別法人稅ヲ課セズ
前項ノ拂込濟出資金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第七條 特別ノ法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第八條 合併後存續スル特別ノ法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ノ剩餘金ニ付特別法人稅ヲ納ムル義務アルモノトス
分割ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ハ分割ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ノ剩餘金又ハ分割後存續スル特別ノ法人ノ分割前ノ剩餘金ニ付分割ニ因リテ設立シタル他ノ特別ノ法人又ハ分割後存續スル特別ノ法人ト連帶シテ特別法人稅ヲ納ムル義務アルモノトス
前二項ノ規定ハ合併若ハ分割後存續スル法人又ハ合併若ハ分割ニ因リテ設立シタル法人ガ特別ノ法人ニ非ザル場合ニ付之ヲ準用ス
第十條 納稅義務アル特別ノ法人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ財產目錄、貸借對照表、損益計算書竝ニ第四條及第六條第二項ノ規定ニ依リ計算シタル剩餘金額及拂込濟出資金額ノ明細書ヲ添附シ其ノ剩餘金ヲ政府ニ申吿スベシ
前項ノ規定ハ特別ノ法人ニ特別法人稅ヲ課スベキ剩餘金ナキ場合ニ付之ヲ準用ス
第十一條 特別ノ法人ノ剩餘金額ハ前條ノ申吿ニ依リ申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十二條 稅務署長若ハ民政署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ特別ノ法人ニ質問ヲ爲シ又ハ其ノ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條 第十一條ノ規定ニ依リ特別ノ法人ノ剩餘金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ特別ノ法人ニ通知スベシ
第十四條 特別ノ法人前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル剩餘金額ニ對シ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第十五條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ關東州所得稅令ノ所得審査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
關東州所得稅令第四十五條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十七條 特別ノ法人解散シタル場合ニ於テ特別法人稅ヲ納付セズシテ殘餘財產ヲ分配シタルトキハ其ノ稅金ニ付淸算人連帶シテ納稅ノ義務アルモノトス
第十八條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ特別法人稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首シ又ハ稅務署長若ハ民政署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第十九條 第十二條ノ規定ニ依ル帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十條 特別ノ法人ノ剩餘金ノ調査又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル秘密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 大正十一年勅令第二百號第一條ノ規定ハ前二條ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十二條 市、會其ノ他ノ公共團體ハ特別法人稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ