関東州実業組合令
法令番号: 勅令第三百一號
公布年月日: 昭和20年5月17日
法令の形式: 勅令
朕關東州實業組合令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年五月十六日
內閣總理大臣 男爵 鈴木貫太郞
大東亞大臣 東鄕茂德
勅令第三百一號
關東州實業組合令
第一章 總則
第一條 實業組合ハ統制組合及施設組合ノ二種トス
第二條 實業組合ハ法人トス
第三條 統制組合又ハ施設組合ハ其ノ名稱中ニ統制組合又ハ施設組合ナル文字ヲ用フベシ但シ行政官廳ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
統制組合又ハ施設組合ニ非ザル者ハ其ノ名稱中ニ統制組合又ハ施設組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第四條 實業組合ハ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第五條 本令ニ規定スルモノノ外實業組合ノ設立、管理、組合員ノ權利義務及加入脫退、解散、合併、淸算其ノ他ニ關シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第二章 統制組合
第六條 統制組合ハ國民經濟ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲農業、工業、商業、水產業其ノ他物產ノ生產又ハ販賣ニ關スル事業ノ統制ヲ圖リ又ハ之ガ爲ニスル經營ヲ行ヒ且當該事業ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
前項ノ事業ノ範圍ハ大使之ヲ指定ス
第七條 統制組合ハ一定地區ニ於テ同種又ハ二種以上ノ事業別ニ之ヲ設立ス
第八條 統制組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ノ當該事業ニ關スル統制指導
二 組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ノ取扱品ノ仕入、販賣、保管其ノ他組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ノ當該事業ニ關スル統制ノ爲ニスル施設
三 當該事業ニ關スル調査及研究
四 組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ノ當該事業ニ關スル檢査
五 前各號ニ揭グルモノノ外統制組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
統制組合ハ前項ノ事業ノ外當該事業ノ統制ノ爲必要アルトキハ組合員ニ對スル事業資金ノ貸付、組合員ノ事業資金ノ寄託ノ引受又ハ組合員ノ爲ニスル其ノ事業上ノ債務ノ保證ヲ併セ行フコトヲ得
第五十四條乃至第五十七條ノ規定ハ保管事業ヲ行フ統制組合ニ之ヲ準用ス但シ施設組合倉庫證券トアルハ統制組合倉庫證券トス
第九條 統制組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グル者ニシテ定款ヲ以テ定ムルモノトス
一 當該地區內ニ於テ當該事業ヲ營ム者
二 當該地區內ニ於テ當該事業ヲ營ム者ヲ以テ組織スル團體
三 第一號ニ揭グル者ヲ除クノ外當該事業ヲ行フ者ニシテ當該事業ノ統制上特ニ加入セシムル必要アリト認メ行政官廳ノ指定シ又ハ統制組合(組合設立當時ニ於テハ發起人)ニ於テ行政官廳ノ認可ヲ受ケタルモノ
第十條 統制組合ヲ設立セントスルトキハ組合員タルベキ者發起人ト爲リ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ理事長及監事ヲ選任シ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ但シ大使事業ノ統制上特ニ必要アリト認メ指定シタル事業ニ係ル統制組合(以下指定業種統制組合ト稱ス)ニ在リテハ理事長ハ之ヲ選任スルコトヲ要セズ
第十一條 行政官廳當該事業ノ統制ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ地區及組合員タル資格ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ統制組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ統制組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ理事長及監事ヲ選任シ設立ノ認可ヲ申請スベシ指定業種統制組合ニ在リテハ理事長ハ之ヲ選任スルコトヲ要セズ
第一項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル者行政官廳ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請セザルトキハ行政官廳ハ定款ノ作成、理事長及監事ノ任命其ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十二條 統制組合ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ關スル規定
六 組合員ノ權利義務ニ關スル規定
七 事業及其ノ執行ニ關スル規定
八 役員ニ關スル規定
九 會議ニ關スル規定
十 會計ニ關スル規定
第三十四條第一項ノ規定ニ依リ組合員ヲシテ出資ヲ爲サシムル統制組合ノ定款ニハ前項各號ニ揭グル事項ノ外左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 出資ヲ爲スベキ組合員ノ範圍、出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
二 剩餘金ノ處分及損失補塡ニ關スル規定
三 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
第十三條 統制組合ハ大使ノ定ムル所ニ依リ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
前項ノ場合ニ於テハ統制組合ハ遲滯ナク其ノ成立ノ旨及定款ヲ公示スベシ
第十四條 統制組合成立シタルトキハ其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ統制組合ノ組合員トス
第十五條 統制組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
理事長 一人
理事 若干人
監事 若干人
統制組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ評議員若干人ヲ置クコトヲ得
指定業種統制組合ニハ前二項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副理事長一人ヲ置クコトヲ得
第十六條 理事長ハ統制組合ヲ代表シ組合事務ヲ總理ス
副理事長ハ理事長ヲ輔佐シ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ理事長及副理事長ヲ輔佐シ組合事務ヲ分掌シ豫メ理事長ノ定ムル順位ニ依リ理事長及副理事長共ニ事故アルトキハ理事長ノ職務ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ缺員ノトキハ理事長ノ職務ヲ行フ
監事ハ統制組合ノ業務及財產ノ狀況ヲ監査ス
評議員ハ理事長ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ理事長ニ對シ意見ヲ具申ス
第十七條 理事長ハ當該事業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ總會ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ理事長ハ當該事業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ創立總會ニ於テ之ヲ選任ス
指定業種統制組合ノ理事長ハ前項ノ規定ニ拘ラズ當該事業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ行政官廳之ヲ命ズ
副理事長、理事及評議員ハ當該事業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ理事長之ヲ命ズ
監事ハ組合員及組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ總會ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ監事ハ組合員タル資格ヲ有スル者及組合員タル資格ヲ有スル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ創立總會ニ於テ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ監事ハ前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ニ依ル理事長及監事ノ選任竝ニ第三項ノ規定ニ依ル副理事長及理事ノ任命ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十八條 統制組合ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
理事長 三年
副理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
理事長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副理事長及理事ヲ解任スルコトヲ得
監事ハ任期中ト雖モ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル理事ノ解任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十九條 統制組合ニ總會ヲ置ク但シ定款ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
總會ニ關スル規定ハ前項ノ總代會ニ之ヲ準用ス
第二十條 本令中別ニ規定スルモノノ外左ニ揭揭グル事項ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
一 定款ノ變更
二 第二十九條又ハ第三十條ノ規定ニ依ル賦課金ノ收支豫算及賦課徵收方法
三 其ノ他大使ノ定ムル事項
第二十一條 理事長ハ少クトモ每年一囘通常總會ヲ招集スルコトヲ要ス
理事長必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第二十二條 總會ノ議長ハ理事長、理事長事故アルトキ又ハ缺員ノトキハ副理事長、理事長及副理事長共ニ事故アルトキ又ハ缺員ノトキハ豫メ理事長ノ定ムル順位ニ依リ理事ヲ以テ之ニ充ツ
第二十三條 組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付十個ヲ超エザル範圍內ニ於テ二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第二十四條 總會ノ決議ハ議決權ヲ停止セラレザル組合員ノ半數以上出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十五條 理事長特別ノ事由アリト認ムル場合ニ於テ行政官廳ノ認可ヲ受ケタルトキハ第二十條各號ニ揭グル事項ニ付總會ノ決議ニ拘ラズ之ヲ執行スルコトヲ得總會成立セズ又ハ總會ニ付議シタル事項ヲ議決セザルトキ亦同ジ
第二十六條 理事長ハ大使ノ定ムル所ニ依リ財產目錄、貸借對照表、事業報吿書及剩餘金處分案ヲ通常總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
組合員及組合ノ債權者ハ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第二十七條 統制組合ハ當該事業ニ關スル事項ニ付行政官廳ニ建議スルコトヲ得
統制組合ハ行政官廳ノ諮問ニ對シ答申スベシ
第二十八條 統制組合ハ其ノ組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ當該事業ニ關スル事項ノ調査ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遲滯ナク之ヲ提出スベシ
第二十九條 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第三十條 統制組合ハ其ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ケ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ニ對シ前條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第三十一條 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル組合員ニ對シ過怠金ヲ課シ且必要アル場合ニ於テハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 原材料若ハ商品ノ割當又ハ配給ノ停止其ノ他必要ナル制裁
二 總會ニ於ケル議決權ノ停止
前項各號ノ處分ヲ爲サントスルトキハ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第三十二條 第二十九條若ハ第三十條ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ統制組合ノ請求アルトキハ市又ハ會ハ國稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ統制組合ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ五ヲ市又ハ會ニ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市又ハ會ノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
第三十三條 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ使用料及手數料ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ使用料及手數料ノ徵收ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十四條 第八條第一項第二號ニ揭グル事業ヲ行フ統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ヲシテ出資ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ニ規定スル統制組合同項ノ規定ニ依リ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ヲシテ出資ヲ爲サシムル場合ニ於テハ當該組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第三十五條 前條第一項ノ規定ニ依リ出資ヲ爲サシムル統制組合ハ出資ヲ引受ケタル組合員ヲシテ遲滯ナク第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
第三十六條 第三十四條第一項ノ規定ニ依リ出資ヲ爲ス組合員ノ責任ハ第二十九條及第三十條ノ規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第三十七條 統制組合ハ其ノ組合員又ハ組合員タル團體ヲ組織スル者ノ當該事業ニ關スル統制規程ヲ設定スベシ
第三十八條 定款ノ變更竝ニ統制規程ノ設定及變更ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
行政官廳前項ノ規定ニ依リ統制規程ノ設定又ハ變更ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
統制組合第一項ノ規定ニ依リ定款ノ變更ノ認可ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク其ノ旨ヲ公示スベシ
第三十九條 統制組合ノ組合員又ハ組合員タル團體ヲ組織スル者ハ當該統制組合ノ統制規程ニ依ルベシ
第四十條 統制組合統制規程ニ基キ製造、加工又ハ販賣ノ數量、販賣價格、加工料金其ノ他大使ノ定ムル事項ニ付決定ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク之ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項ノ決定ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第四十一條 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款ノ違反ニ係ル取扱品ニシテ違反者ノ所有スルモノニ付抑留其ノ他必要ナル處分ヲ爲シ特ニ必要アルトキハ之ヲ沒收スルコトヲ得
第四十二條 統制組合必要アリト認ムルトキハ統制組合ノ役員又ハ使用人ヲシテ組合員及組合員タル團體ヲ組織スル者ノ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
統制組合前項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第四十三條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ統制組合又ハ其ノ組合員若ハ組合員タル團體ヲ組織スル者ヨリ其ノ事業ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ事務所、營業所、工場、事業場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第一項ノ場合ニ於テ當該官吏第三十九條ノ規定ニ違反シタル者アリト認ムルトキハ被疑者若ハ參考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スベキ物件ヲ搜索シ若ハ之ガ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ關東州間接國稅犯則者處分令ヲ準用ス
第四十四條 行政官廳ハ統制組合ニ對シ當該事業ニ關スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第四十五條 行政官廳當該事業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ統制組合ニ對シ必要ナル事業ノ施行、定款若ハ統制規程ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ジ又ハ定款若ハ統制規程ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第四十六條 行政官廳ハ統制組合ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第四十七條 行政官廳ハ理事長ノ行爲ガ法令又ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他當該事業ノ統制運營上理事長ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
行政官廳ハ副理事長、理事、監事又ハ評議員ノ行爲ガ法令若ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第四十八條 指定業種統制組合以外ノ統制組合ノ理事長缺ケタル場合ニ於テ行政官廳當該事業ノ統制運營上特ニ必要アリト認ムルトキハ第十七條第一項ノ規定ニ拘ラズ當該事業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ理事長ヲ命ズルコトヲ得
第四十九條 統制組合ハ行政官廳ノ命令ニ因ルニ非ザレバ解散又ハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第五十條 統制組合ニハ所得稅ヲ課セズ
第三章 施設組合
第五十一條 施設組合ハ組合員ノ事業ノ改良發達ヲ圖ル爲共同ノ施設ヲ爲スヲ以テ目的トス
第五十二條 施設組合ハ第六條ニ規定スル事業ヲ營ム者ヲ以テ之ヲ設立ス
第五十三條 施設組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 組合員ノ取扱品ノ仕入、保管、運搬、加工若ハ販賣又ハ組合員ノ爲ノ註文ノ引受
二 組合員ノ事業ニ關スル共同設備ノ設置
三 前二號ニ揭グルモノノ外施設組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
施設組合ハ前項ノ事業ノ外組合員ニ對スル事業資金ノ貸付、組合員ノ爲ニスル其ノ事業上ノ債務ノ保證又ハ組合員ノ貯金ノ受入ヲ併セ行フコトヲ得
第一項第二號ニ揭グル組合ノ共同設備ハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非ザル者ヲシテ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第五十四條 保管事業ヲ行フ施設組合ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ組合員ノ寄託物ニ付倉荷證券ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ許可ヲ受ケタル施設組合ノ組合員タル寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ倉荷證券ヲ交付スルコトヲ要ス
關東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル商法(以下商法ト稱ス)第六百二十七條第二項及第六百二十八條ノ規定ハ第一項ノ倉荷證券ニ之ヲ準用ス
第五十五條 前條第一項ノ許可ヲ受ケタル施設組合ノ作成スル倉荷證券ニハ施設組合倉庫證券ナル文字ヲ記載スルコトヲ要ス
施設組合ニ非ザル者ノ作成スル預證券及質入證券又ハ倉荷證券ニハ施設組合倉庫證券ナル文字ヲ記載スルコトヲ得ズ
第五十六條 施設組合倉庫證券ノ發行アリタル寄託物ノ保管期間ハ寄託ノ日ヨリ六月以內トス
前項ノ寄託物ノ保管期間ハ六月ヲ限度トシ之ヲ更新スルコトヲ得但シ更新ノ際ニ於ケル證券ノ所持人組合員ニ非ザルトキハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限ル
第五十七條 商法第六百十六條乃至第六百十九條及第六百二十四條及至第六百二十六條ノ規定ハ施設組合ガ施設組合倉庫證券ヲ發行シタル場合ニ之ヲ準用ス
第五十八條 施設組合ヲ設立セントスルトキハ組合員タラントスル者全員設立者ト爲リ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第五十九條 施設組合ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 組合員タル資格ニ關スル規定
五 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
六 出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
七 剩餘金ノ處分及損失補塡ニ關スル規定
八 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
九 組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十 事業及其ノ執行ニ關スル規定
十一 役員ニ關スル規定
十二 會議ニ關スル規定
十三 會計ニ關スル規定
十四 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第六十條 施設組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ組合員及組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ總會ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ理事及監事ハ定款ヲ以テ之ヲ定ムベシ
特別ノ事由アルトキハ理事及監事ハ前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
理事又ハ監事ハ何時ニテモ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第六十一條 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第六十二條 組合員タル資格ヲ有スル者ハ組合員ノ四分ノ三以上ノ同意ヲ得テ施設組合ニ加入スルコトヲ得
第六十三條 組合員ハ大使ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ豫吿ヲ爲シ施設組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脫退スルコトヲ得
組合ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十四條 施設組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破產
五 第六十五條ノ規定ニ依ル解散ノ命令
總會ノ決議ニ因ル解散ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第六十五條 施設組合ノ事業若ハ財產ノ狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ施設組合ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ行政官廳ハ總會ノ決議ヲ取消シ、役員ヲ解任シ又ハ組合ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
第六十六條 第十三條第一項、第十八條第一項、第十九條第一項(但書ヲ除ク)、第二十條、第二十一條、第二十三條、第二十四條(後段ヲ除ク)、第二十六條、第二十九條、第三十一條、第三十三條、第三十五條、第三十六條、第三十八條第一項、第四十三條、第四十五條、第四十六條及第五十條ノ規定ハ施設組合ニ之ヲ準用ス
第四章 罰則
第六十七條 第三十九條ノ規定ニ違反シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第六十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二十八條第二項ノ規定ニ違反シタル者
二 正當ノ理由ナクシテ第四十二條第一項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第六十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 正當ノ理由ナクシテ第四十三條ノ規定(第六十六條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢査、尋問、搜索又ハ差押ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
二 第四十三條ノ規定(第六十六條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル報吿ヲ怠リ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
第七十條 統制組合ノ證票若ハ檢査證ヲ不正ニ使用シタル者、行使ノ目的ヲ以テ證票若ハ檢査證ヲ僞造若ハ變造シタル者又ハ僞造若ハ變造ノ證票若ハ檢査證ヲ使用シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十一條 統制組合ノ役員若ハ使用人又ハ其ノ職ニ在リタル者其ノ業務執行ニ關シ知得シタル法人又ハ人ノ業務上ノ祕密ヲ漏泄又ハ竊用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第七十二條 統制組合ノ役員、淸算人又ハ使用人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ三年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第七十三條 前條第一項ニ揭グル者ニ對シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第七十四條 第七十條ニ揭グル罪ハ關東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑法(以下刑法ト稱ス)第三條ノ例ニ、第七十二條ニ揭グル罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
第七十五條 實業組合本令若ハ本令ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス
第七十六條 第三條第二項ノ規定ニ違反シタル者又ハ第五十五條第二項ノ規定(第八條第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第七十七條 統制組合ノ組合員又ハ組合員タル團體ヲ組織スル者ハ其ノ代表者、代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第六十七條第一項、第六十八條第一號又ハ第六十九條第二號ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第七十八條 第六十七條第一項、第六十八條第一號又ハ第六十九條第二號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七十九條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處スルコトヲ得ズ
附 則
第八十條 本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
第八十一條 本令施行ノ際現ニ存スル從前ノ規定ニ依ル實業組合ハ本令施行後ト雖モ六月ヲ限リ仍存續スルモノトス
前項ノ實業組合ニ付テハ本令施行後ト雖モ仍從前ノ規定ニ依ル
本令施行前又ハ第一項ノ規定ニ依リ同項ノ實業組合ガ存續スル期間中ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ本令施行後ト雖モ仍從前ノ規定ニ依ル
第一項ノ實業組合ニシテ同項ノ期間滿了ノ際現ニ存スルモノ(淸算中ノモノヲ除ク)ハ當該期間滿了ノ際解散スルモノトス
前項ノ規定ニ依ル解散及淸算ニ關シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十二條 前條第一項ノ實業組合ハ定款其ノ他統制組合又ハ施設組合ト爲ルニ必要ナル事項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受ケタルトキハ統制組合又ハ施設組合ト爲ルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ同項ノ實業組合ノ權利義務ハ當該統制組合又ハ施設組合之ヲ承繼ス
第一項ノ規定ニ依リ同項ニ揭グル實業組合ガ統制組合又ハ施設組合ト爲リタルトキハ其ノ實業組合ノ組合員ノ出資ハ當該統制組合又ハ施設組合ニ對スル出資ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ第一項ノ實業組合ニ對スル出資ノ持分ノ上ニ存在スル質權ハ統制組合又ハ施設組合ニ對スル出資ノ持分ノ上ニ存在ス
前四項ニ揭グルモノノ外第一項ノ實業組合ガ同項ノ規定ニ依リ統制組合又ハ施設組合ト爲ルニ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十三條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ第八十一條第一項ノ實業組合ニ對シ統制組合ト爲ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル實業組合ハ定款其ノ他統制組合ト爲ルニ必要ナル事項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ實業組合行政官廳ノ指定スル期限迄ニ同項ノ認可ヲ申請セザルトキハ行政官廳ハ定款ノ作成其ノ他當該實業組合ガ統制組合ト爲ルニ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
前條第二項乃至第五項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十四條 第十三條ノ規定ハ前二條ノ規定ニ依ル統制組合又ハ施設組合ノ成立ニ之ヲ適用ス
第八十五條 行政官廳當該事業ノ統制上必要アリト認ムルトキハ第八十一條第一項ノ實業組合ニ對シ同條第二項ノ規定ニ拘ラズ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル實業組合ハ其ノ命令アリタル時解散スルモノトス此ノ場合ニ於テ心要アルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ當該實業組合ノ權利義務ハ行政官廳ノ指定スル統制組合之ヲ承繼スルモノト爲スコトヲ得
第八十一條第五項ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル解散ノ場合ニ、第八十二條第三項及第四項ノ規定ハ前項後段ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十六條 本令ニ定ムルモノノ外本令ノ施行ニ關シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十七條 第八十一條第一項ノ實業組合ガ第八十二條若ハ第八十三條ノ規定ニ依リ統制組合若ハ施設組合ト爲リ又ハ第八十五條第二項ノ規定ニ依リ解散シ同項ノ規定ニ依リ權利義務ノ承繼アリタルトキハ關東州特別法人稅令ノ適用ニ關シテハ其ノ實業組合ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ト看做シ統制組合又ハ施設組合ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ト看做ス
第八十八條 統制組合又ハ施設組合ガ第八十二條乃至第八十五條ノ規定ニ依リ承繼シタル財產ニ付テハ關東州特別法人稅令ニ依ル剩餘金ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第八十九條 本令施行ノ際現ニ第三條第一項ニ揭グル名稱ヲ其ノ名稱中ニ用フルモノハ本令施行後六月以內ニ其ノ名稱ヲ變更スルコトヲ要ス
第七十六條ノ規定ハ前項ノ期間內同項ニ揭グルモノニ之ヲ適用セズ
第九十條 關東州特別法人稅令中左ノ通改正ス
第二條第一號中「及實業組合聯合會」ヲ「(所屬ノ組合員ヲシテ出資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)」ニ改ム
朕関東州実業組合令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年五月十六日
内閣総理大臣 男爵 鈴木貫太郎
大東亜大臣 東郷茂徳
勅令第三百一号
関東州実業組合令
第一章 総則
第一条 実業組合ハ統制組合及施設組合ノ二種トス
第二条 実業組合ハ法人トス
第三条 統制組合又ハ施設組合ハ其ノ名称中ニ統制組合又ハ施設組合ナル文字ヲ用フベシ但シ行政官庁ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
統制組合又ハ施設組合ニ非ザル者ハ其ノ名称中ニ統制組合又ハ施設組合ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第四条 実業組合ハ満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第五条 本令ニ規定スルモノノ外実業組合ノ設立、管理、組合員ノ権利義務及加入脱退、解散、合併、清算其ノ他ニ関シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第二章 統制組合
第六条 統制組合ハ国民経済ノ総力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル為農業、工業、商業、水産業其ノ他物産ノ生産又ハ販売ニ関スル事業ノ統制ヲ図リ又ハ之ガ為ニスル経営ヲ行ヒ且当該事業ニ関スル国策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
前項ノ事業ノ範囲ハ大使之ヲ指定ス
第七条 統制組合ハ一定地区ニ於テ同種又ハ二種以上ノ事業別ニ之ヲ設立ス
第八条 統制組合ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ノ当該事業ニ関スル統制指導
二 組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ノ取扱品ノ仕入、販売、保管其ノ他組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ノ当該事業ニ関スル統制ノ為ニスル施設
三 当該事業ニ関スル調査及研究
四 組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ノ当該事業ニ関スル検査
五 前各号ニ掲グルモノノ外統制組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
統制組合ハ前項ノ事業ノ外当該事業ノ統制ノ為必要アルトキハ組合員ニ対スル事業資金ノ貸付、組合員ノ事業資金ノ寄託ノ引受又ハ組合員ノ為ニスル其ノ事業上ノ債務ノ保証ヲ併セ行フコトヲ得
第五十四条乃至第五十七条ノ規定ハ保管事業ヲ行フ統制組合ニ之ヲ準用ス但シ施設組合倉庫証券トアルハ統制組合倉庫証券トス
第九条 統制組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ掲グル者ニシテ定款ヲ以テ定ムルモノトス
一 当該地区内ニ於テ当該事業ヲ営ム者
二 当該地区内ニ於テ当該事業ヲ営ム者ヲ以テ組織スル団体
三 第一号ニ掲グル者ヲ除クノ外当該事業ヲ行フ者ニシテ当該事業ノ統制上特ニ加入セシムル必要アリト認メ行政官庁ノ指定シ又ハ統制組合(組合設立当時ニ於テハ発起人)ニ於テ行政官庁ノ認可ヲ受ケタルモノ
第十条 統制組合ヲ設立セントスルトキハ組合員タルベキ者発起人ト為リ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ理事長及監事ヲ選任シ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ但シ大使事業ノ統制上特ニ必要アリト認メ指定シタル事業ニ係ル統制組合(以下指定業種統制組合ト称ス)ニ在リテハ理事長ハ之ヲ選任スルコトヲ要セズ
第十一条 行政官庁当該事業ノ統制ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ地区及組合員タル資格ヲ定メ其ノ地区内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ統制組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ統制組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ理事長及監事ヲ選任シ設立ノ認可ヲ申請スベシ指定業種統制組合ニ在リテハ理事長ハ之ヲ選任スルコトヲ要セズ
第一項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル者行政官庁ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請セザルトキハ行政官庁ハ定款ノ作成、理事長及監事ノ任命其ノ他設立ニ関シ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十二条 統制組合ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員タル資格ニ関スル規定
六 組合員ノ権利義務ニ関スル規定
七 事業及其ノ執行ニ関スル規定
八 役員ニ関スル規定
九 会議ニ関スル規定
十 会計ニ関スル規定
第三十四条第一項ノ規定ニ依リ組合員ヲシテ出資ヲ為サシムル統制組合ノ定款ニハ前項各号ニ掲グル事項ノ外左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 出資ヲ為スベキ組合員ノ範囲、出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
二 剰余金ノ処分及損失補填ニ関スル規定
三 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
第十三条 統制組合ハ大使ノ定ムル所ニ依リ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
前項ノ場合ニ於テハ統制組合ハ遅滞ナク其ノ成立ノ旨及定款ヲ公示スベシ
第十四条 統制組合成立シタルトキハ其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ総テ其ノ統制組合ノ組合員トス
第十五条 統制組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
理事長 一人
理事 若干人
監事 若干人
統制組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ評議員若干人ヲ置クコトヲ得
指定業種統制組合ニハ前二項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副理事長一人ヲ置クコトヲ得
第十六条 理事長ハ統制組合ヲ代表シ組合事務ヲ総理ス
副理事長ハ理事長ヲ輔佐シ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ理事長及副理事長ヲ輔佐シ組合事務ヲ分掌シ予メ理事長ノ定ムル順位ニ依リ理事長及副理事長共ニ事故アルトキハ理事長ノ職務ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ欠員ノトキハ理事長ノ職務ヲ行フ
監事ハ統制組合ノ業務及財産ノ状況ヲ監査ス
評議員ハ理事長ノ諮問ニ対シ答申シ又ハ理事長ニ対シ意見ヲ具申ス
第十七条 理事長ハ当該事業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ総会ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立当時ノ理事長ハ当該事業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ創立総会ニ於テ之ヲ選任ス
指定業種統制組合ノ理事長ハ前項ノ規定ニ拘ラズ当該事業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ行政官庁之ヲ命ズ
副理事長、理事及評議員ハ当該事業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ理事長之ヲ命ズ
監事ハ組合員及組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ総会ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立当時ノ監事ハ組合員タル資格ヲ有スル者及組合員タル資格ヲ有スル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ創立総会ニ於テ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ監事ハ前項ニ該当セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ニ依ル理事長及監事ノ選任並ニ第三項ノ規定ニ依ル副理事長及理事ノ任命ハ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十八条 統制組合ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
理事長 三年
副理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
理事長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副理事長及理事ヲ解任スルコトヲ得
監事ハ任期中ト雖モ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二項ノ規定ニ依ル理事ノ解任ハ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十九条 統制組合ニ総会ヲ置ク但シ定款ノ定ムル所ニ依リ総会ニ代ルベキ総代会ヲ設クルコトヲ得
総会ニ関スル規定ハ前項ノ総代会ニ之ヲ準用ス
第二十条 本令中別ニ規定スルモノノ外左ニ掲掲グル事項ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
一 定款ノ変更
二 第二十九条又ハ第三十条ノ規定ニ依ル賦課金ノ収支予算及賦課徴収方法
三 其ノ他大使ノ定ムル事項
第二十一条 理事長ハ少クトモ毎年一回通常総会ヲ招集スルコトヲ要ス
理事長必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時総会ヲ招集スルコトヲ得
第二十二条 総会ノ議長ハ理事長、理事長事故アルトキ又ハ欠員ノトキハ副理事長、理事長及副理事長共ニ事故アルトキ又ハ欠員ノトキハ予メ理事長ノ定ムル順位ニ依リ理事ヲ以テ之ニ充ツ
第二十三条 組合員ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付十個ヲ超エザル範囲内ニ於テ二個以上ノ議決権ヲ有セシムルコトヲ得
第二十四条 総会ノ決議ハ議決権ヲ停止セラレザル組合員ノ半数以上出席シ其ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第二十五条 理事長特別ノ事由アリト認ムル場合ニ於テ行政官庁ノ認可ヲ受ケタルトキハ第二十条各号ニ掲グル事項ニ付総会ノ決議ニ拘ラズ之ヲ執行スルコトヲ得総会成立セズ又ハ総会ニ付議シタル事項ヲ議決セザルトキ亦同ジ
第二十六条 理事長ハ大使ノ定ムル所ニ依リ財産目録、貸借対照表、事業報告書及剰余金処分案ヲ通常総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムベシ
組合員及組合ノ債権者ハ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第二十七条 統制組合ハ当該事業ニ関スル事項ニ付行政官庁ニ建議スルコトヲ得
統制組合ハ行政官庁ノ諮問ニ対シ答申スベシ
第二十八条 統制組合ハ其ノ組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ニ対シ当該事業ニ関スル事項ノ調査ヲ為ス為必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遅滞ナク之ヲ提出スベシ
第二十九条 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ対シ経費ヲ賦課スルコトヲ得
第三十条 統制組合ハ其ノ事業ヲ行フ為特ニ必要アルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ行政官庁ノ認可ヲ受ケ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ニ対シ前条ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第三十一条 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル組合員ニ対シ過怠金ヲ課シ且必要アル場合ニ於テハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 原材料若ハ商品ノ割当又ハ配給ノ停止其ノ他必要ナル制裁
二 総会ニ於ケル議決権ノ停止
前項各号ノ処分ヲ為サントスルトキハ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
第三十二条 第二十九条若ハ第三十条ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ統制組合ノ請求アルトキハ市又ハ会ハ国税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テ統制組合ハ其ノ徴収金額ノ百分ノ五ヲ市又ハ会ニ交付スベシ
前項ノ規定ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市又ハ会ノ徴収金ニ次ギ其ノ時効ニ付テハ国税ノ例ニ依ル
第三十三条 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ使用料及手数料ヲ徴収スルコトヲ得
前項ノ使用料及手数料ノ徴収ニ関シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十四条 第八条第一項第二号ニ掲グル事業ヲ行フ統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ヲシテ出資ヲ為サシムルコトヲ得
前項ニ規定スル統制組合同項ノ規定ニ依リ其ノ組合員ノ全部又ハ一部ヲシテ出資ヲ為サシムル場合ニ於テハ当該組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第三十五条 前条第一項ノ規定ニ依リ出資ヲ為サシムル統制組合ハ出資ヲ引受ケタル組合員ヲシテ遅滞ナク第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
第三十六条 第三十四条第一項ノ規定ニ依リ出資ヲ為ス組合員ノ責任ハ第二十九条及第三十条ノ規定ニ依ル費用負担ノ外其ノ出資額ヲ限度トス
第三十七条 統制組合ハ其ノ組合員又ハ組合員タル団体ヲ組織スル者ノ当該事業ニ関スル統制規程ヲ設定スベシ
第三十八条 定款ノ変更並ニ統制規程ノ設定及変更ハ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
行政官庁前項ノ規定ニ依リ統制規程ノ設定又ハ変更ノ認可ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
統制組合第一項ノ規定ニ依リ定款ノ変更ノ認可ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ公示スベシ
第三十九条 統制組合ノ組合員又ハ組合員タル団体ヲ組織スル者ハ当該統制組合ノ統制規程ニ依ルベシ
第四十条 統制組合統制規程ニ基キ製造、加工又ハ販売ノ数量、販売価格、加工料金其ノ他大使ノ定ムル事項ニ付決定ヲ為シタルトキハ遅滞ナク之ヲ行政官庁ニ届出ヅベシ
行政官庁必要アリト認ムルトキハ前項ノ決定ノ変更又ハ取消ヲ為スコトヲ得
第四十一条 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款ノ違反ニ係ル取扱品ニシテ違反者ノ所有スルモノニ付抑留其ノ他必要ナル処分ヲ為シ特ニ必要アルトキハ之ヲ没収スルコトヲ得
第四十二条 統制組合必要アリト認ムルトキハ統制組合ノ役員又ハ使用人ヲシテ組合員及組合員タル団体ヲ組織スル者ノ業務若ハ財産ノ状況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
統制組合前項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第四十三条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ統制組合又ハ其ノ組合員若ハ組合員タル団体ヲ組織スル者ヨリ其ノ事業ニ関シ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ其ノ事務所、営業所、工場、事業場其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第一項ノ場合ニ於テ当該官吏第三十九条ノ規定ニ違反シタル者アリト認ムルトキハ被疑者若ハ参考人ヲ尋問シ又ハ犯罪ノ事実ヲ証明スベキ物件ヲ捜索シ若ハ之ガ差押ヲ為スコトヲ得
臨検、尋問、捜索及差押ニ関シテハ関東州間接国税犯則者処分令ヲ準用ス
第四十四条 行政官庁ハ統制組合ニ対シ当該事業ニ関スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第四十五条 行政官庁当該事業ノ統制運営上必要アリト認ムルトキハ統制組合ニ対シ必要ナル事業ノ施行、定款若ハ統制規程ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ジ又ハ定款若ハ統制規程ノ変更ヲ為スコトヲ得
第四十六条 行政官庁ハ統制組合ニ対シ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
行政官庁必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報告セシムルコトヲ得
第四十七条 行政官庁ハ理事長ノ行為ガ法令又ハ法令ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他当該事業ノ統制運営上理事長ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
行政官庁ハ副理事長、理事、監事又ハ評議員ノ行為ガ法令若ハ法令ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第四十八条 指定業種統制組合以外ノ統制組合ノ理事長欠ケタル場合ニ於テ行政官庁当該事業ノ統制運営上特ニ必要アリト認ムルトキハ第十七条第一項ノ規定ニ拘ラズ当該事業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ理事長ヲ命ズルコトヲ得
第四十九条 統制組合ハ行政官庁ノ命令ニ因ルニ非ザレバ解散又ハ合併ヲ為スコトヲ得ズ
第五十条 統制組合ニハ所得税ヲ課セズ
第三章 施設組合
第五十一条 施設組合ハ組合員ノ事業ノ改良発達ヲ図ル為共同ノ施設ヲ為スヲ以テ目的トス
第五十二条 施設組合ハ第六条ニ規定スル事業ヲ営ム者ヲ以テ之ヲ設立ス
第五十三条 施設組合ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 組合員ノ取扱品ノ仕入、保管、運搬、加工若ハ販売又ハ組合員ノ為ノ註文ノ引受
二 組合員ノ事業ニ関スル共同設備ノ設置
三 前二号ニ掲グルモノノ外施設組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
施設組合ハ前項ノ事業ノ外組合員ニ対スル事業資金ノ貸付、組合員ノ為ニスル其ノ事業上ノ債務ノ保証又ハ組合員ノ貯金ノ受入ヲ併セ行フコトヲ得
第一項第二号ニ掲グル組合ノ共同設備ハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限リ組合員ニ非ザル者ヲシテ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第五十四条 保管事業ヲ行フ施設組合ハ行政官庁ノ許可ヲ受ケ組合員ノ寄託物ニ付倉荷証券ヲ発行スルコトヲ得
前項ノ許可ヲ受ケタル施設組合ノ組合員タル寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ倉荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス
関東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル商法(以下商法ト称ス)第六百二十七条第二項及第六百二十八条ノ規定ハ第一項ノ倉荷証券ニ之ヲ準用ス
第五十五条 前条第一項ノ許可ヲ受ケタル施設組合ノ作成スル倉荷証券ニハ施設組合倉庫証券ナル文字ヲ記載スルコトヲ要ス
施設組合ニ非ザル者ノ作成スル預証券及質入証券又ハ倉荷証券ニハ施設組合倉庫証券ナル文字ヲ記載スルコトヲ得ズ
第五十六条 施設組合倉庫証券ノ発行アリタル寄託物ノ保管期間ハ寄託ノ日ヨリ六月以内トス
前項ノ寄託物ノ保管期間ハ六月ヲ限度トシ之ヲ更新スルコトヲ得但シ更新ノ際ニ於ケル証券ノ所持人組合員ニ非ザルトキハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合ニ限ル
第五十七条 商法第六百十六条乃至第六百十九条及第六百二十四条及至第六百二十六条ノ規定ハ施設組合ガ施設組合倉庫証券ヲ発行シタル場合ニ之ヲ準用ス
第五十八条 施設組合ヲ設立セントスルトキハ組合員タラントスル者全員設立者ト為リ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
第五十九条 施設組合ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 組合員タル資格ニ関スル規定
五 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
六 出資一口ノ金額及其ノ払込ノ方法
七 剰余金ノ処分及損失補填ニ関スル規定
八 準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
九 組合員ノ権利義務ニ関スル規定
十 事業及其ノ執行ニ関スル規定
十一 役員ニ関スル規定
十二 会議ニ関スル規定
十三 会計ニ関スル規定
十四 存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第六十条 施設組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ組合員及組合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ総会ニ於テ之ヲ選任ス但シ組合設立当時ノ理事及監事ハ定款ヲ以テ之ヲ定ムベシ
特別ノ事由アルトキハ理事及監事ハ前項ニ該当セザル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
理事又ハ監事ハ何時ニテモ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第六十一条 組合員ハ出資一口以上ヲ有スベシ
第六十二条 組合員タル資格ヲ有スル者ハ組合員ノ四分ノ三以上ノ同意ヲ得テ施設組合ニ加入スルコトヲ得
第六十三条 組合員ハ大使ノ定ムル所ニ依リ一定ノ期間前ニ予告ヲ為シ施設組合ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終ニ於テ脱退スルコトヲ得
組合ハ正当ノ理由ナクシテ前項ノ承諾ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六十四条 施設組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 組合ノ合併
四 組合ノ破産
五 第六十五条ノ規定ニ依ル解散ノ命令
総会ノ決議ニ因ル解散ハ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第六十五条 施設組合ノ事業若ハ財産ノ状況ニ依リ其ノ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ施設組合ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキハ行政官庁ハ総会ノ決議ヲ取消シ、役員ヲ解任シ又ハ組合ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
第六十六条 第十三条第一項、第十八条第一項、第十九条第一項(但書ヲ除ク)、第二十条、第二十一条、第二十三条、第二十四条(後段ヲ除ク)、第二十六条、第二十九条、第三十一条、第三十三条、第三十五条、第三十六条、第三十八条第一項、第四十三条、第四十五条、第四十六条及第五十条ノ規定ハ施設組合ニ之ヲ準用ス
第四章 罰則
第六十七条 第三十九条ノ規定ニ違反シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第六十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二十八条第二項ノ規定ニ違反シタル者
二 正当ノ理由ナクシテ第四十二条第一項ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第六十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 正当ノ理由ナクシテ第四十三条ノ規定(第六十六条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル当該官吏ノ臨検検査、尋問、捜索又ハ差押ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
二 第四十三条ノ規定(第六十六条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル報告ヲ怠リ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者
第七十条 統制組合ノ証票若ハ検査証ヲ不正ニ使用シタル者、行使ノ目的ヲ以テ証票若ハ検査証ヲ偽造若ハ変造シタル者又ハ偽造若ハ変造ノ証票若ハ検査証ヲ使用シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第七十一条 統制組合ノ役員若ハ使用人又ハ其ノ職ニ在リタル者其ノ業務執行ニ関シ知得シタル法人又ハ人ノ業務上ノ秘密ヲ漏泄又ハ窃用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第七十二条 統制組合ノ役員、清算人又ハ使用人其ノ職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ処ス因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為サザルトキハ三年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ収受シタル賄賂ハ之ヲ没収ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第七十三条 前条第一項ニ掲グル者ニ対シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ軽減又ハ免除スルコトヲ得
第七十四条 第七十条ニ掲グル罪ハ関東州裁判事務取扱令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑法(以下刑法ト称ス)第三条ノ例ニ、第七十二条ニ掲グル罪ハ刑法第四条ノ例ニ従フ
第七十五条 実業組合本令若ハ本令ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ五千円以下ノ過料ニ処ス
第七十六条 第三条第二項ノ規定ニ違反シタル者又ハ第五十五条第二項ノ規定(第八条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ違反シタル者ハ千円以下ノ過料ニ処ス
第七十七条 統制組合ノ組合員又ハ組合員タル団体ヲ組織スル者ハ其ノ代表者、代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ第六十七条第一項、第六十八条第一号又ハ第六十九条第二号ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第七十八条 第六十七条第一項、第六十八条第一号又ハ第六十九条第二号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七十九条 前二条ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ処スルコトヲ得ズ
附 則
第八十条 本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
第八十一条 本令施行ノ際現ニ存スル従前ノ規定ニ依ル実業組合ハ本令施行後ト雖モ六月ヲ限リ仍存続スルモノトス
前項ノ実業組合ニ付テハ本令施行後ト雖モ仍従前ノ規定ニ依ル
本令施行前又ハ第一項ノ規定ニ依リ同項ノ実業組合ガ存続スル期間中ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ本令施行後ト雖モ仍従前ノ規定ニ依ル
第一項ノ実業組合ニシテ同項ノ期間満了ノ際現ニ存スルモノ(清算中ノモノヲ除ク)ハ当該期間満了ノ際解散スルモノトス
前項ノ規定ニ依ル解散及清算ニ関シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十二条 前条第一項ノ実業組合ハ定款其ノ他統制組合又ハ施設組合ト為ルニ必要ナル事項ヲ定メ行政官庁ノ認可ヲ受ケタルトキハ統制組合又ハ施設組合ト為ルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ同項ノ実業組合ノ権利義務ハ当該統制組合又ハ施設組合之ヲ承継ス
第一項ノ規定ニ依リ同項ニ掲グル実業組合ガ統制組合又ハ施設組合ト為リタルトキハ其ノ実業組合ノ組合員ノ出資ハ当該統制組合又ハ施設組合ニ対スル出資ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ第一項ノ実業組合ニ対スル出資ノ持分ノ上ニ存在スル質権ハ統制組合又ハ施設組合ニ対スル出資ノ持分ノ上ニ存在ス
前四項ニ掲グルモノノ外第一項ノ実業組合ガ同項ノ規定ニ依リ統制組合又ハ施設組合ト為ルニ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十三条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ第八十一条第一項ノ実業組合ニ対シ統制組合ト為ルベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル実業組合ハ定款其ノ他統制組合ト為ルニ必要ナル事項ヲ定メ行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ実業組合行政官庁ノ指定スル期限迄ニ同項ノ認可ヲ申請セザルトキハ行政官庁ハ定款ノ作成其ノ他当該実業組合ガ統制組合ト為ルニ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
前条第二項乃至第五項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十四条 第十三条ノ規定ハ前二条ノ規定ニ依ル統制組合又ハ施設組合ノ成立ニ之ヲ適用ス
第八十五条 行政官庁当該事業ノ統制上必要アリト認ムルトキハ第八十一条第一項ノ実業組合ニ対シ同条第二項ノ規定ニ拘ラズ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル実業組合ハ其ノ命令アリタル時解散スルモノトス此ノ場合ニ於テ心要アルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ当該実業組合ノ権利義務ハ行政官庁ノ指定スル統制組合之ヲ承継スルモノト為スコトヲ得
第八十一条第五項ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル解散ノ場合ニ、第八十二条第三項及第四項ノ規定ハ前項後段ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八十六条 本令ニ定ムルモノノ外本令ノ施行ニ関シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第八十七条 第八十一条第一項ノ実業組合ガ第八十二条若ハ第八十三条ノ規定ニ依リ統制組合若ハ施設組合ト為リ又ハ第八十五条第二項ノ規定ニ依リ解散シ同項ノ規定ニ依リ権利義務ノ承継アリタルトキハ関東州特別法人税令ノ適用ニ関シテハ其ノ実業組合ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ト看做シ統制組合又ハ施設組合ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ト看做ス
第八十八条 統制組合又ハ施設組合ガ第八十二条乃至第八十五条ノ規定ニ依リ承継シタル財産ニ付テハ関東州特別法人税令ニ依ル剰余金ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第八十九条 本令施行ノ際現ニ第三条第一項ニ掲グル名称ヲ其ノ名称中ニ用フルモノハ本令施行後六月以内ニ其ノ名称ヲ変更スルコトヲ要ス
第七十六条ノ規定ハ前項ノ期間内同項ニ掲グルモノニ之ヲ適用セズ
第九十条 関東州特別法人税令中左ノ通改正ス
第二条第一号中「及実業組合連合会」ヲ「(所属ノ組合員ヲシテ出資ヲ為サシメザルモノヲ除ク)」ニ改ム