第一條 本法ニ於テ戰爭保險トハ戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪行爲ニ因ル火災又ハ損壤(消防又ハ避難ニ必要ナル處分ニ因ル損壤ヲ含ム)ノミヲ保險事故トスル損害保險ヲ謂フ
第二條 戰爭保險ノ目的タル物ニ付政府ノ指定スル保險會社ニ對シ保險料ヲ添ヘ戰爭保險契約ノ申込ヲ爲シタル者アルトキハ申込ノ時ニ於テ其ノ物ニ付申込者ト當該保險會社トノ間ニ戰爭保險契約成立シタルモノト看做ス
第三條 被保險者ハ其ノ負擔ニ於テ損害ノ防止ニ力ムルコトヲ要ス
第四條 政府ハ國民經濟上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ戰爭保險ノ保險金ノ支拂ヲ受クル者ニ對シ其ノ保險金ノ處分ニ關シ必要ナル指示ヲ爲シ又ハ保險會社ニ對シ戰爭保險ノ保險金ノ支拂ヲ延期スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ支拂ヲ延期シタル保險金ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ利息ヲ附スベシ
第五條 左ノ場合ニ於テハ保險會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ戰爭保險ノ保險金ノ全部又ハ一部ノ支拂ノ責ニ任ゼズ
一 被保險者ガ法令又ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ保險ノ目的ニ付損害ノ豫防又ハ防止ヲ怠リタルトキ
二 塡補スベキ損害ノ額ガ命令ヲ以テ定ムル額ニ滿タザルトキ
第六條 保險會社ノ塡補スベキ損害ノ額ガ保險金額ニ滿タザル場合ニ於テハ保險金額ヨリ其ノ損害ノ額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ殘存保險期間ノ保險金額トス但シ其ノ殘額ガ命令ヲ以テ定ムル額ニ滿タザルトキハ戰爭保險契約ハ其ノ效力ヲ失フ
第七條 本法ニ定ムルモノノ外保險ノ目的、保險金額、保險料、保險期間其ノ他戰爭保險ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 保險會社ガ塡補スベキ損害ノ額トシテ命令ヲ以テ定ムル額ヲ超ユル額ヲ認定セントスルトキハ損害ノ原因及額ニ關シ戰時損害保險審査會ノ審査ヲ經ルコトヲ要ス
第十條 政府ハ戰爭保險ニ關シ必要アリト認ムルトキハ保險會社、保險契約者又ハ被保險者ヲシテ必要ナル報吿ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ戰爭保險ニ關シ必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ戰爭保險ノ目的ノ所在ノ場所、保險會社ノ營業所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ當該物件又ハ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十一條 保險會社ノ戰爭保險關係ニ基ク支拂金額及其ノ支拂ノ爲ニ借入レタル金額ノ利息ノ合計額ガ保險會社ノ戰爭保險關係ニ基ク收入金額及其ノ利息竝ニ戰爭保險ノ保險事故發生シタル保險ノ目的ニ付損害保險契約アルトキハ其ノ保險料中命令ヲ以テ定ムル額ノ合計額ヲ超ユルトキハ政府ハ其ノ差額ニ相當スル金額ヲ保險會社ニ對シ補償ス
保險會社ノ戰爭保險關係ニ基ク支拂金額及其ノ支拂ノ爲ニ借入レタル金額ノ利息ノ合計額ガ保險會社ノ戰爭保險關係ニ基ク收入金額及其ノ利息竝ニ戰爭保險ノ保險事故發生シタル保險ノ目的ニ付損害保險契約アルトキハ其ノ保險料中命令ヲ以テ定ムル額ノ合計額ニ滿タザルトキハ保險會社ハ其ノ差額ニ相當スル金額ヲ政府ニ納付スベシ
第一項ノ規定ニ依ル補償金及前項ノ規定ニ依ル納付金ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保險會社ニ對シ戰爭保險ノ爲ニ支出シタル經費ノ一部ヲ補助スルコトヲ得
第十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十條第一項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 同條第二項ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ前項第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第一項第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ