住宅営団法
法令番号: 法律第四十六號
公布年月日: 昭和16年3月7日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル住宅營團法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 男爵 平沼騏一郞
厚生大臣 金光庸夫
大藏大臣 河田烈
法律第四十六號
住宅營團法
第一章 總則
第一條 住宅營團ハ勞務者其ノ他庶民ノ住宅ノ供給ヲ圖ルコトヲ目的トス
住宅營團ハ法人トス
第二條 住宅營團ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
住宅營團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三條 住宅營團ノ資本金ハ一億圓トス
第四條 政府ハ一億圓ヲ住宅營團ニ出資スベシ
政府ハ土地ヲ以テ出資ノ目的ト爲スコトヲ得
第五條 住宅營團ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 資本金額及資產ニ關スル事項
五 役員及會議ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 住宅債券ノ發行ニ關スル事項
八 會計ニ關スル事項
九 公吿ノ方法
十 定款變更ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第六條 住宅營團ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第七條 住宅營團ニハ所得稅、法人稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ住宅營團ノ事業、建物ノ建設若ハ取得又ハ土地ノ取得ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ住宅營團ノ事業ニ對シテハ特別ノ事情ニ基キ內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第八條 住宅營團ニ付解散ヲ必要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 住宅營團ニ非ザル者ハ住宅營團ナル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第十條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條、第五十五條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ住宅營團ニ之ヲ準用ス
第二章 役員
第十一條 住宅營團ニ理事長副理事長各一人、理事四人以上及監事二人以上ヲ置ク
理事長ハ住宅營團ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ住宅營團ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シテ住宅營團ノ業務ヲ掌理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ住宅營團ヲ代表シ理事長及副理事長ヲ輔佐シテ住宅營團ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ理事長及副理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ住宅營團ノ業務ヲ監査ス
第十二條 理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第十三條 理事長、副理事長及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十四條 理事長、副理事長及理事ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五條 住宅營團ニ評議員若干人ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事項ニ付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルトキハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年トス
第三章 業務
第十六條 住宅營團ハ左ノ業務ヲ行フ
一 住宅ノ建設及經營
二 住宅ノ建設及經營ノ受託
三 一團地ノ住宅ノ建設又ハ經營ノ場合ニ於ケル水道、乘合自動車、市場、食堂、浴場、保育所、授產場、集會所其ノ他ノ施設ノ建設及經營
四 住宅ノ建設ノ爲ニスル資金ノ貸付
五 住宅ノ賣買及貸借ノ仲介
六 前各號ノ業務ニ附帶スル事業
第十七條 住宅營團ハ其ノ住宅及前條第三號ノ施設ノ用ニ充ツル爲必要ナル土地又ハ土地ニ關スル所有權以外ノ權利ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シテハ土地收用法ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ依リ收用又ハ使用シタル土地又ハ土地ニ關スル所有權以外ノ權利ノ處分及管理ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ所有ニ屬スル土地ハ隨意契約ニ依リ住宅營團ニ之ヲ讓渡又ハ貸付スルコトヲ得
第四章 住宅債券
第十九條 住宅營團ハ拂込資本金額ノ十倍ヲ限リ住宅債券ヲ發行スルコトヲ得
第二十條 住宅債券ハ額面金額五十圓以上トシ無記名利札附トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコトヲ得
住宅債券ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行スルコトヲ得
第二十一條 住宅營團ハ住宅債券借換ノ爲一時第十九條ノ制限ニ依ラズ住宅債券ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ住宅債券ヲ發行シタルトキハ發行後一月以內ニ其ノ發行額面金額ニ相當スル舊住宅債券ヲ償還スベシ
第二十二條 政府ハ住宅債券ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ得
第二十三條 住宅債券ハ賣出ノ方法ヲ以テ之ヲ發行スルコトヲ得
第二十四條 住宅營團ニ於テ住宅債券ヲ發行セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十五條 住宅債券ノ消滅時効ハ元金ニ在リテハ十五年、利子ニ在リテハ五年ヲ以テ完成ス
第二十六條 住宅債券ノ所有者ハ住宅營團ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債券ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權ノ行使ヲ妨グルコトヲ得ズ
第二十七條 所得稅法及有價證券移轉稅法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ住宅債券ニ之ヲ準用ス
第二十八條 本章ニ規定スルモノヲ除クノ外住宅債券ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章 會計
第二十九條 住宅營團ノ事業年度ハ每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第三十條 住宅營團ハ每事業年度ニ於ケル剩餘金中ヨリ勅令ヲ以テ定ムル積立金ヲ控除シテ猶殘額アルトキハ剩餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ得但シ拂込ミタル出資額ニ對シ年三分五厘ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一條 住宅營團ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ得ズ
一 國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有價證券ノ取得ヲ爲スコト
二 大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又ハ郵便貯金ト爲スコト
第三十二條 住宅營團ハ設立ノ時及每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第六章 監督
第三十三條 住宅營團ハ主務大臣之ヲ監督ス
第三十四條 住宅營團ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十五條 住宅營團ハ每事業年度ノ初ニ於テ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第三十六條 主務大臣ハ住宅營團ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十七條 主務大臣ハ特ニ住宅營團監理官ヲ置キ住宅營團ノ業務ヲ監視セシム
住宅營團監理官ハ何時ニテモ住宅營團ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
住宅營團監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ住宅營團ニ命ジテ業務及財產ノ狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
住宅營團監理官ハ住宅營團ノ諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十八條 役員ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第三十九條 左ノ場合ニ於テハ住宅營團ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタルトキ
三 第十九條又ハ第二十一條第二項ノ規定ニ違反シ住宅債券ノ發行ヲ爲シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四 第三十一條ノ規定ニ違反シ業務上ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
五 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違反シタルトキ
六 第三十七條第二項又ハ第三項ノ規定ニ依ル住宅營團監理官ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ命ズル報吿ヲ爲サザルトキ
第四十條 左ノ場合ニ於テハ住宅營團ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二 第三十二條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第四十一條 第九條ノ規定ニ違反シ住宅營團ナル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
第四十二條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三條 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ住宅營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第四十四條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十五條 定款ニ付主務大臣ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資ノ第一囘ノ拂込ヲ稟請スベシ
第四十六條 出資ノ第一囘ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ住宅營團理事長ニ引繼グベシ
第四十七條 住宅營團ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第四十八條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「蠶絲共同施設組合」ノ上ニ「住宅營團、」ヲ、「蠶絲業法」ノ上ニ「住宅營團法、」ヲ加フ
同條第十八號中「庶民金庫」ノ下ニ「又ハ住宅營團」ヲ加ヘ「業務」ヲ「事務所」ニ改ム
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
十九 住宅營團カ住宅營團法第十六條第一號、第三號又ハ第四號ノ業務ノ爲ニスル建物又ハ土地ノ權利ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ登記
第四十九條 印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第七號ノ前ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ四 住宅營團ノ業務ニ關スル證書帳簿及住宅債券
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル住宅営団法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 男爵 平沼騏一郎
厚生大臣 金光庸夫
大蔵大臣 河田烈
法律第四十六号
住宅営団法
第一章 総則
第一条 住宅営団ハ労務者其ノ他庶民ノ住宅ノ供給ヲ図ルコトヲ目的トス
住宅営団ハ法人トス
第二条 住宅営団ハ主タル事務所ヲ東京市ニ置ク
住宅営団ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ノ地ニ従タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
第三条 住宅営団ノ資本金ハ一億円トス
第四条 政府ハ一億円ヲ住宅営団ニ出資スベシ
政府ハ土地ヲ以テ出資ノ目的ト為スコトヲ得
第五条 住宅営団ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 資本金額及資産ニ関スル事項
五 役員及会議ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 住宅債券ノ発行ニ関スル事項
八 会計ニ関スル事項
九 公告ノ方法
十 定款変更ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ変更スルコトヲ得
第六条 住宅営団ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第七条 住宅営団ニハ所得税、法人税及営業税ヲ課セズ
北海道、府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ住宅営団ノ事業、建物ノ建設若ハ取得又ハ土地ノ取得ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ住宅営団ノ事業ニ対シテハ特別ノ事情ニ基キ内務大臣及大蔵大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第八条 住宅営団ニ付解散ヲ必要トスル事由発生シタル場合ニ於テ其ノ処置ニ関シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 住宅営団ニ非ザル者ハ住宅営団ナル名称ヲ用フルコトヲ得ズ
第十条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条、第五十五条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ住宅営団ニ之ヲ準用ス
第二章 役員
第十一条 住宅営団ニ理事長副理事長各一人、理事四人以上及監事二人以上ヲ置ク
理事長ハ住宅営団ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ住宅営団ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シテ住宅営団ノ業務ヲ掌理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ住宅営団ヲ代表シ理事長及副理事長ヲ輔佐シテ住宅営団ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ理事長及副理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ住宅営団ノ業務ヲ監査ス
第十二条 理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任期ハ二年トス
第十三条 理事長、副理事長及理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十四条 理事長、副理事長及理事ハ他ノ職業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十五条 住宅営団ニ評議員若干人ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務経営ニ関スル重要ナル事項ニ付理事長ノ諮問ニ応ジ必要アルトキハ之ニ対シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名誉職トシ其ノ任期ハ二年トス
第三章 業務
第十六条 住宅営団ハ左ノ業務ヲ行フ
一 住宅ノ建設及経営
二 住宅ノ建設及経営ノ受託
三 一団地ノ住宅ノ建設又ハ経営ノ場合ニ於ケル水道、乗合自動車、市場、食堂、浴場、保育所、授産場、集会所其ノ他ノ施設ノ建設及経営
四 住宅ノ建設ノ為ニスル資金ノ貸付
五 住宅ノ売買及貸借ノ仲介
六 前各号ノ業務ニ附帯スル事業
第十七条 住宅営団ハ其ノ住宅及前条第三号ノ施設ノ用ニ充ツル為必要ナル土地又ハ土地ニ関スル所有権以外ノ権利ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル収用又ハ使用ニ関シテハ土地収用法ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ依リ収用又ハ使用シタル土地又ハ土地ニ関スル所有権以外ノ権利ノ処分及管理ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 北海道、府県、市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ所有ニ属スル土地ハ随意契約ニ依リ住宅営団ニ之ヲ譲渡又ハ貸付スルコトヲ得
第四章 住宅債券
第十九条 住宅営団ハ払込資本金額ノ十倍ヲ限リ住宅債券ヲ発行スルコトヲ得
第二十条 住宅債券ハ額面金額五十円以上トシ無記名利札附トス但シ応募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト為スコトヲ得
住宅債券ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ発行スルコトヲ得
第二十一条 住宅営団ハ住宅債券借換ノ為一時第十九条ノ制限ニ依ラズ住宅債券ヲ発行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ住宅債券ヲ発行シタルトキハ発行後一月以内ニ其ノ発行額面金額ニ相当スル旧住宅債券ヲ償還スベシ
第二十二条 政府ハ住宅債券ノ元本ノ償還及利息ノ支払ニ付保証スルコトヲ得
第二十三条 住宅債券ハ売出ノ方法ヲ以テ之ヲ発行スルコトヲ得
第二十四条 住宅営団ニ於テ住宅債券ヲ発行セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十五条 住宅債券ノ消滅時効ハ元金ニ在リテハ十五年、利子ニ在リテハ五年ヲ以テ完成ス
第二十六条 住宅債券ノ所有者ハ住宅営団ノ財産ニ付他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債券ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特権ノ行使ヲ妨グルコトヲ得ズ
第二十七条 所得税法及有価証券移転税法中国債以外ノ公債ニ関スル規定ハ住宅債券ニ之ヲ準用ス
第二十八条 本章ニ規定スルモノヲ除クノ外住宅債券ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章 会計
第二十九条 住宅営団ノ事業年度ハ毎年四月ヨリ翌年三月迄トス
第三十条 住宅営団ハ毎事業年度ニ於ケル剰余金中ヨリ勅令ヲ以テ定ムル積立金ヲ控除シテ猶残額アルトキハ剰余金ノ配当ヲ為スコトヲ得但シ払込ミタル出資額ニ対シ年三分五厘ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一条 住宅営団ハ左ノ方法ニ依ルノ外業務上ノ余裕金ヲ運用スルコトヲ得ズ
一 国債、地方債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル有価証券ノ取得ヲ為スコト
二 大蔵省預金部若ハ銀行ヘノ預金又ハ郵便貯金ト為スコト
第三十二条 住宅営団ハ設立ノ時及毎事業年度ノ初ニ於テ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債権者ハ業務時間内何時ニテモ前項ニ掲グル書類ノ閲覧ヲ求ムルコトヲ得
第六章 監督
第三十三条 住宅営団ハ主務大臣之ヲ監督ス
第三十四条 住宅営団ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ剰余金ノ処分ヲ為スコトヲ得ズ
第三十五条 住宅営団ハ毎事業年度ノ初ニ於テ事業計画ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第三十六条 主務大臣ハ住宅営団ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ、検査ヲ為シ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第三十七条 主務大臣ハ特ニ住宅営団監理官ヲ置キ住宅営団ノ業務ヲ監視セシム
住宅営団監理官ハ何時ニテモ住宅営団ノ業務及財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得
住宅営団監理官ハ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ住宅営団ニ命ジテ業務及財産ノ状況ヲ報告セシムルコトヲ得
住宅営団監理官ハ住宅営団ノ諸般ノ会議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十八条 役員ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第七章 罰則
第三十九条 左ノ場合ニ於テハ住宅営団ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 本法ニ規定セザル業務ヲ営ミタルトキ
三 第十九条又ハ第二十一条第二項ノ規定ニ違反シ住宅債券ノ発行ヲ為シ又ハ償還ヲ為サザルトキ
四 第三十一条ノ規定ニ違反シ業務上ノ余裕金ヲ運用シタルトキ
五 主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ処分ニ違反シタルトキ
六 第三十七条第二項又ハ第三項ノ規定ニ依ル住宅営団監理官ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ命ズル報告ヲ為サザルトキ
第四十条 左ノ場合ニ於テハ住宅営団ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 本法ニ基キテ発スル勅令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
二 第三十二条ノ規定ニ違反シ書類ヲ備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ又ハ正当ノ事由ナクシテ其ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
第四十一条 第九条ノ規定ニ違反シ住宅営団ナル名称ヲ用ヒタル者ハ五百円以下ノ過料ニ処ス
附 則
第四十二条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三条 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ住宅営団ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
第四十四条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十五条 定款ニ付主務大臣ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク出資ノ第一回ノ払込ヲ稟請スベシ
第四十六条 出資ノ第一回ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ住宅営団理事長ニ引継グベシ
第四十七条 住宅営団ハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第四十八条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「蚕糸共同施設組合」ノ上ニ「住宅営団、」ヲ、「蚕糸業法」ノ上ニ「住宅営団法、」ヲ加フ
同条第十八号中「庶民金庫」ノ下ニ「又ハ住宅営団」ヲ加ヘ「業務」ヲ「事務所」ニ改ム
同条ニ左ノ一号ヲ加フ
十九 住宅営団カ住宅営団法第十六条第一号、第三号又ハ第四号ノ業務ノ為ニスル建物又ハ土地ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
第四十九条 印紙税法中左ノ通改正ス
第五条第七号ノ前ニ左ノ一号ヲ加フ
六ノ四 住宅営団ノ業務ニ関スル証書帳簿及住宅債券