宅地建物等価格統制令
法令番号: 勅令第七百八十一號
公布年月日: 昭和15年11月21日
法令の形式: 勅令
朕宅地建物等價格統制令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十一月二十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 秋田淸
商工大臣 小林一三
勅令第七百八十一號
宅地建物等價格統制令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十九條ノ規定ニ基ク宅地、宅地ニ供セラルル爲讓渡セラルル宅地以外ノ土地及建物ノ價格竝ニ建物ノ所有ヲ目的トスル地上權及土地賃借權ノ價格ニ關スル統制ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 宅地又ハ建物ノ價格ハ左ノ各號ニ揭グル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支拂ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡人又ハ讓受人ニ於テ行政官廳ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 昭和十四年九月十八日以後有償行爲ニ依リ取得シタル宅地又ハ建物ニ付テハ其ノ對價ニ命令ヲ以テ定ムル額ヲ加算シタル額
二 前號ノ場合ヲ除クノ外昭和十四年九月十八日以後建築竣成シタル建物ニシテ建築竣成後使用又ハ收益ヲ爲シタルモノニ付テハ其ノ建築費ニ命令ヲ以テ定ムル額ヲ加算シタル額、建築竣成後使用及收益ヲ爲サザルモノニ付テハ前段ノ額ニ命令ヲ以テ定ムル利潤ヲ加算シタル額
第三條 前條ノ有償行爲、對價及建築費ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 第二條第一號ノ宅地若ハ建物又ハ同條第二號ノ建物ヲ讓渡スル場合ニ於テ其ノ宅地若ハ建物ノ價格ニ付取得若ハ建築ノ後減額スベキ事由生ジタルトキ又ハ其ノ價格ノ判定ヲ困難ナラシムル事由アルトキハ第五條ノ場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡人ニ於テ其ノ價格ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ場合ニ於テハ宅地又ハ建物ノ價格ハ第二條ノ規定ニ拘ラズ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支拂ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第一項ノ事由ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 宅地ノ分讓ヲ爲ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ分讓ヲ爲ス宅地ノ價格ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クベシ宅地以外ノ土地ヲ宅地ト爲ス目的ヲ以テ分讓ヲ爲ス場合亦同ジ
前項ノ場合ニ於テハ土地ノ價格ハ第二條ノ規定ニ拘ラズ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支拂ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第一項ノ認可ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ認可ヲ受ケタル價格其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項ヲ公示スベシ
第六條 宅地以外ノ土地ガ宅地ニ供セラルル爲讓渡セラルル場合ニ於テハ前條第一項ノ場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡人又ハ讓受人ニ於テ其ノ土地ノ價格ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クベシ讓渡ノ目的ヲ以テ宅地以外ノ土地ヲ宅地ニ變更シテ之ヲ讓渡スル場合亦同ジ
前項ノ場合ニ於テハ土地ノ價格ハ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支拂ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第七條 行政官廳ハ第二條但書ノ規定ニ依ル許可又ハ前三條ノ規定ニ依ル認可ニ關スル處分ニシテ事案ノ重要ナルモノハ宅地建物評價委員會ノ意見ヲ聽キ之ヲ爲スコトヲ要ス
宅地建物評價委員會ニ關スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第八條 何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ第二條又ハ第四條乃至第六條ノ規定ニ依ル禁止ヲ免ルル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第九條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ宅地、建物等ノ價格ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ宅地、建物其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十條 前八條ノ規定ハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上權又ハ土地賃借權ノ價格及土地又ハ建物ノ讓渡契約ニ附隨シテ定メラルル營業權、造作、附屬設備、附屬築造物其ノ他財產上ノ利益ノ價格ニ之ヲ準用ス
第十一條 本令ニ於テ宅地トハ建物所有ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
本令ニ於テ分讓トハ讓渡セントスル自己又ハ他人ノ土地ヲ分割シテ讓渡スベキ旨ヲ廣吿シ之ヲ讓渡スルコトヲ謂フ
第十二條 宅地建物評價委員會ニ關スル規定ハ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
附 則
第十三條 本令ハ昭和十五年十一月二十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十二月二十六日ヨリ之ヲ施行ス
第十四條 第十五條ノ場合ヲ除クノ外本令施行ノ際現ニ土地又ハ建物ニ付存スル讓渡契約ニシテ其ノ目的物ニ付讓受人ノ權利ニ關スル登記アリタルモノ又ハ其ノ目的物ノ引渡ヲ完了シタルモノニ付テハ第二條、第四條及第六條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前項ノ規定中土地ノ登記ニ關スル部分ハ南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
第十五條 本令施行ノ際現ニ行ハルル土地ノ分讓ニ關シテハ昭和十五年十二月三十一日(朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年一月三十一日)迄ハ第二條及第四條乃至第六條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テ昭和十五年十二月三十一日(朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年一月三十一日)迄ニ爲シタル土地分讓ノ契約ニシテ同日迄ニ其ノ目的物ニ付讓受人ノ權利ニ關スル登記アリタルモノ又ハ其ノ目的物ノ引渡ヲ完了シタルモノニ付テハ同日後ト雖モ第二條及第四條乃至第六條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六條 前二條ノ規定ハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上權又ハ土地賃借權ノ價格及土地又ハ建物ノ讓渡契約ニ附隨シテ定メラルル營業權、造作、附屬設備、附屬築造物其ノ他財產上ノ利益ノ價格ニ之ヲ準用ス
朕宅地建物等価格統制令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十一月二十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 秋田清
商工大臣 小林一三
勅令第七百八十一号
宅地建物等価格統制令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十九条ノ規定ニ基ク宅地、宅地ニ供セラルル為譲渡セラルル宅地以外ノ土地及建物ノ価格並ニ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及土地賃借権ノ価格ニ関スル統制ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 宅地又ハ建物ノ価格ハ左ノ各号ニ掲グル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所ニ依リ譲渡人又ハ譲受人ニ於テ行政官庁ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 昭和十四年九月十八日以後有償行為ニ依リ取得シタル宅地又ハ建物ニ付テハ其ノ対価ニ命令ヲ以テ定ムル額ヲ加算シタル額
二 前号ノ場合ヲ除クノ外昭和十四年九月十八日以後建築竣成シタル建物ニシテ建築竣成後使用又ハ収益ヲ為シタルモノニ付テハ其ノ建築費ニ命令ヲ以テ定ムル額ヲ加算シタル額、建築竣成後使用及収益ヲ為サザルモノニ付テハ前段ノ額ニ命令ヲ以テ定ムル利潤ヲ加算シタル額
第三条 前条ノ有償行為、対価及建築費ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 第二条第一号ノ宅地若ハ建物又ハ同条第二号ノ建物ヲ譲渡スル場合ニ於テ其ノ宅地若ハ建物ノ価格ニ付取得若ハ建築ノ後減額スベキ事由生ジタルトキ又ハ其ノ価格ノ判定ヲ困難ナラシムル事由アルトキハ第五条ノ場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所ニ依リ譲渡人ニ於テ其ノ価格ニ付行政官庁ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ場合ニ於テハ宅地又ハ建物ノ価格ハ第二条ノ規定ニ拘ラズ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第一項ノ事由ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 宅地ノ分譲ヲ為ス者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ分譲ヲ為ス宅地ノ価格ニ付行政官庁ノ認可ヲ受クベシ宅地以外ノ土地ヲ宅地ト為ス目的ヲ以テ分譲ヲ為ス場合亦同ジ
前項ノ場合ニ於テハ土地ノ価格ハ第二条ノ規定ニ拘ラズ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第一項ノ認可ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ認可ヲ受ケタル価格其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項ヲ公示スベシ
第六条 宅地以外ノ土地ガ宅地ニ供セラルル為譲渡セラルル場合ニ於テハ前条第一項ノ場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所ニ依リ譲渡人又ハ譲受人ニ於テ其ノ土地ノ価格ニ付行政官庁ノ認可ヲ受クベシ譲渡ノ目的ヲ以テ宅地以外ノ土地ヲ宅地ニ変更シテ之ヲ譲渡スル場合亦同ジ
前項ノ場合ニ於テハ土地ノ価格ハ前項ノ規定ニ依ル認可アリタル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
第七条 行政官庁ハ第二条但書ノ規定ニ依ル許可又ハ前三条ノ規定ニ依ル認可ニ関スル処分ニシテ事案ノ重要ナルモノハ宅地建物評価委員会ノ意見ヲ聴キ之ヲ為スコトヲ要ス
宅地建物評価委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第八条 何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ第二条又ハ第四条乃至第六条ノ規定ニ依ル禁止ヲ免ルル行為ヲ為スコトヲ得ズ
第九条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ宅地、建物等ノ価格ニ関シ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ宅地、建物其ノ他ノ場所ニ臨検シ其ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十条 前八条ノ規定ハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地賃借権ノ価格及土地又ハ建物ノ譲渡契約ニ附随シテ定メラルル営業権、造作、附属設備、附属築造物其ノ他財産上ノ利益ノ価格ニ之ヲ準用ス
第十一条 本令ニ於テ宅地トハ建物所有ノ目的ニ供セラルル土地ヲ謂フ
本令ニ於テ分譲トハ譲渡セントスル自己又ハ他人ノ土地ヲ分割シテ譲渡スベキ旨ヲ広告シ之ヲ譲渡スルコトヲ謂フ
第十二条 宅地建物評価委員会ニ関スル規定ハ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
附 則
第十三条 本令ハ昭和十五年十一月二十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十二月二十六日ヨリ之ヲ施行ス
第十四条 第十五条ノ場合ヲ除クノ外本令施行ノ際現ニ土地又ハ建物ニ付存スル譲渡契約ニシテ其ノ目的物ニ付譲受人ノ権利ニ関スル登記アリタルモノ又ハ其ノ目的物ノ引渡ヲ完了シタルモノニ付テハ第二条、第四条及第六条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前項ノ規定中土地ノ登記ニ関スル部分ハ南洋群島ニ在リテハ之ヲ適用セズ
第十五条 本令施行ノ際現ニ行ハルル土地ノ分譲ニ関シテハ昭和十五年十二月三十一日(朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年一月三十一日)迄ハ第二条及第四条乃至第六条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テ昭和十五年十二月三十一日(朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年一月三十一日)迄ニ為シタル土地分譲ノ契約ニシテ同日迄ニ其ノ目的物ニ付譲受人ノ権利ニ関スル登記アリタルモノ又ハ其ノ目的物ノ引渡ヲ完了シタルモノニ付テハ同日後ト雖モ第二条及第四条乃至第六条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
前条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六条 前二条ノ規定ハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地賃借権ノ価格及土地又ハ建物ノ譲渡契約ニ附随シテ定メラルル営業権、造作、附属設備、附属築造物其ノ他財産上ノ利益ノ価格ニ之ヲ準用ス