第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十九條ノ規定ニ基ク地代及家賃ニ關スル統制ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ借地トハ建物所有ノ目的ヲ以テ賃借セラレ又ハ地上權ヲ設定セラレタル土地ヲ謂ヒ借家トハ賃借セラレタル建物(建物ノ一部タル室ヲ含ム)ヲ謂フ
第三條 借地又ハ借家ノ貸主(以下單ニ貸主ト稱ス)ハ借地又ハ借家ニ付左ノ各號ニ規定スル地代又ハ家賃ヲ超エテ地代又ハ家賃ヲ定ムルコトヲ得ズ
一 昭和十三年八月四日以後本令施行前ニ地代又ハ家賃アリタルモノニ付テハ本令施行前ニ於ケル最後ノ地代又ハ家賃
二 前號ニ該當セザル場合ニ於テ本令施行後ニ地代又ハ家賃アルニ至リタルモノニ付テハ本令施行後ニ於ケル最初ノ地代又ハ家賃
前項第二號ニ規定スル地代又ハ家賃アルニ至リタルトキハ貸主ハ之ヲ地方長官ニ屆出ヅベシ
第四條 厚生大臣ノ定ムル事由アル場合ニ於テ地方長官ノ許可アリタルトキハ貸主ハ前條第一項各號ニ規定スル地代又ハ家賃ヲ超エテ地代又ハ家賃ヲ定ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ定メタル地代又ハ家賃ハ前條第一項及前項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ前條第一項各號ニ規定スル地代又ハ家賃ト看做ス
第五條 第三條第一項第二號ニ規定スル地代又ハ家賃ニ付テハ厚生大臣其ノ適正標準ヲ定ム
第六條 地方長官第三條第一項第一號ニ規定スル地代若ハ家賃ガ著シク不當ナリト認ムルトキ又ハ同項第二號ニ規定スル地代若ハ家賃ガ前條ノ適正標準ニ照シ不當ナリト認ムルトキハ貸主ニ對シ地代又ハ家賃ノ減額ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ依リ減額シタル地代又ハ家賃ハ第三條第一項及第四條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ第三條第一項各號ニ規定スル地代又ハ家賃ト看做ス
第七條 貸主地代又ハ家賃ノ定ニ付左ノ各號ノ一ニ該當スル變更ヲ爲サントスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クベシ
一 金納ヲ物納ニ改メ其ノ他確定金額ヲ以テ定ムルモノヲ確定金額以外ノ方法ヲ以テ定メントスルトキ
二 物納ヲ金納ニ改メ其ノ他確定金額以外ノ方法ヲ以テ定ムルモノヲ確定金額其ノ他別途ノ方法ヲ以テ定メントスルトキ
前項ノ許可ヲ受ケテ變更シタル地代又ハ家賃ハ第三條第一項及第四條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ第三條第一項各號ニ規定スル地代又ハ家賃ト看做ス
第八條 下宿屋、共同住宅其ノ他之ニ類スル借家ニ付貸主ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノ家賃ノ基準及其ノ借家ノ條件ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受ケタルトキハ第三條第一項及第四條第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ基準及條件ニ依リ定ムル家賃ヲ以テ第三條第一項各號ニ規定スル家賃ト看做ス
第九條 地方長官必要アリト認ムルトキハ第四條第一項若ハ第七條第一項ノ許可又ハ前條ノ認可ニ制限又ハ條件ヲ附スルコトヲ得
第十條 地方長官第四條第一項、第六條第一項、第七條第一項又ハ第八條ノ規定ニ依リ許可、認可又ハ命令ヲ爲サントスルトキハ地代家賃審査會ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
第十一條 地方長官必要アリト認ムルトキハ貸主ニ對シ地代若ハ家賃ニ關スル帳簿ノ作成ヲ命ジ又ハ下宿屋、共同住宅其ノ他之ニ類スル借家ニ付家賃其ノ他ノ條件ヲ借家ノ見易キ箇所ニ揭示スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十二條 地方長官必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ借地又ハ借家ニ關シ貸主、貸主ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノ若ハ借主ヨリ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ日出ヨリ日沒迄ノ間借地、借家其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其ノ狀況若ハ借地、借家ノ契約書、帳簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十三條 第三條、第四條、第六條、第九條及第十條ノ規定ハ敷金、修繕費ノ負擔其ノ他地代又ハ家賃以外ノ借地又ハ借家ノ條件ニシテ厚生大臣ノ指定スルモノニ付之ヲ準用ス
第十四條 貸主ハ何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ第三條第一項(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル禁止ヲ免ルル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第十五條 本令ハ國又ハ道府縣ガ貸主タル借地又ハ借家ニ付テハ之ヲ適用セズ
第十六條 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ道府縣トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州又ハ廳、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トシ昭和十三年八月四日トアルハ朝鮮ニ在リテハ昭和十三年十二月三十一日、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十四年九月十八日トス
朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ地代家賃審査會ニ關スル規定ハ之ヲ適用セズ