船員給与統制令
法令番号: 勅令第六百七十六號
公布年月日: 昭和15年10月19日
法令の形式: 勅令
朕船員給與統制令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 秋田淸
遞信大臣 村田省藏
農林大臣 石黑忠篤
勅令第六百七十六號
船員給與統制令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第六條ノ規定ニ基ク船員ノ給與ニ關スル命令及同法第十一條ノ規定ニ基ク會社ノ經理ニ關スル命令中船員ノ給與ニ關スルモノハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ給與ト稱スルハ給料、手當、賞與其ノ他名稱ノ如何ヲ問ハズ船員ガ職務ノ對償トシテ船舶所有者ヨリ受クル金錢、物其ノ他ノ利益ヲ謂フ
第三條 船舶所有者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ本令施行ノ際現ニ存スル給與ノ準則ヲ遞信大臣ニ報吿スベシ
遞信大臣前項ノ給與ノ準則ガ給與ノ統制上不適當ナリト認ムルトキハ其ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第四條 船舶所有者給與ノ準則ヲ定メ又ハ之ヲ變更若ハ廢止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第五條 船舶所有者給與ノ準則ニ依ラズシテ給與ヲ支給セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第六條 船舶所有者相互間ニ於テ又ハ船舶所有者ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノニ於テ給與ニ關シ協定ヲ爲シ遞信大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノノ構成員タル船舶所有者ニ對シテハ前條ノ規定ノ適用ニ付テハ協定ニ定メタル事項ニ關スル限リ其ノ協定ヲ以テ給與ノ準則ト看做ス
第七條 船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノ前條ノ協定ヲ變更又ハ廢止セントスルトキハ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八條 遞信大臣給與ノ協定ヲ許可シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ協定ニ加ハラザル船舶所有者ニ對シ其ノ協定ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第五條ノ規定ノ適用ニ付テハ協定ニ定メタル事項ニ關スル限リ其ノ協定ヲ以テ給與ノ準則ト看做ス
第九條 遞信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノニ對シ給與ノ協定ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ依リ協定ヲ爲シタルトキハ遞信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十條 遞信大臣必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ初任給、昇給、手當、賞與其ノ他給與ニ關シ定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ遞信大臣ノ定メタル事項ニ付テハ船舶所有者ハ給與ノ準則又ハ協定ニ依ラズ前項ノ定ニ依ルコトヲ要ス但シ遞信大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條 遞信大臣必要アリト認ムルトキハ給與ノ支給方法ニ付必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十二條 遞信大臣必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ給與ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十三條 本令ハ國又ハ道府縣ニハ之ヲ適用セズ
本令ハ國際條約又ハ之ニ基ク協定中給與ニ關スル定アルトキ其ノ制限ニ牴觸スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第十四條 本令及本令ニ基キテ發スル命令中船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第十五條 遞信大臣ハ本令ニ定ムル職權ノ一部ヲ遞信局長又ハ地方長官(東京府ニ於テハ警視總監)ニ委任スルコトヲ得
第十六條 本令中遞信大臣トアルハ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トシ遞信局長トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ各朝鮮總督府遞信局長又ハ臺灣總督府交通局總長トシ地方長官トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ各道知事又ハ州知事若ハ廳長トシ道府縣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ各道、州若ハ廳又ハ南洋群島地方費トス
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月五日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十四年勅令第七百五號賃金臨時措置令ハ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ船員ニ關スルモノニ限リ昭和十五年十一月四日迄其ノ效力ヲ有ス但シ同日以前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ同日後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
朕船員給与統制令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 秋田清
逓信大臣 村田省蔵
農林大臣 石黒忠篤
勅令第六百七十六号
船員給与統制令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第六条ノ規定ニ基ク船員ノ給与ニ関スル命令及同法第十一条ノ規定ニ基ク会社ノ経理ニ関スル命令中船員ノ給与ニ関スルモノハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ於テ給与ト称スルハ給料、手当、賞与其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ船員ガ職務ノ対償トシテ船舶所有者ヨリ受クル金銭、物其ノ他ノ利益ヲ謂フ
第三条 船舶所有者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ本令施行ノ際現ニ存スル給与ノ準則ヲ逓信大臣ニ報告スベシ
逓信大臣前項ノ給与ノ準則ガ給与ノ統制上不適当ナリト認ムルトキハ其ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第四条 船舶所有者給与ノ準則ヲ定メ又ハ之ヲ変更若ハ廃止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ逓信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第五条 船舶所有者給与ノ準則ニ依ラズシテ給与ヲ支給セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ逓信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第六条 船舶所有者相互間ニ於テ又ハ船舶所有者ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノニ於テ給与ニ関シ協定ヲ為シ逓信大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノノ構成員タル船舶所有者ニ対シテハ前条ノ規定ノ適用ニ付テハ協定ニ定メタル事項ニ関スル限リ其ノ協定ヲ以テ給与ノ準則ト看做ス
第七条 船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノ前条ノ協定ヲ変更又ハ廃止セントスルトキハ逓信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第八条 逓信大臣給与ノ協定ヲ許可シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ協定ニ加ハラザル船舶所有者ニ対シ其ノ協定ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第五条ノ規定ノ適用ニ付テハ協定ニ定メタル事項ニ関スル限リ其ノ協定ヲ以テ給与ノ準則ト看做ス
第九条 逓信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ其ノ組合其ノ他之ニ準ズルモノニ対シ給与ノ協定ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ依リ協定ヲ為シタルトキハ逓信大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十条 逓信大臣必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ初任給、昇給、手当、賞与其ノ他給与ニ関シ定ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ逓信大臣ノ定メタル事項ニ付テハ船舶所有者ハ給与ノ準則又ハ協定ニ依ラズ前項ノ定ニ依ルコトヲ要ス但シ逓信大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十一条 逓信大臣必要アリト認ムルトキハ給与ノ支給方法ニ付必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十二条 逓信大臣必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ給与ニ関シ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十三条 本令ハ国又ハ道府県ニハ之ヲ適用セズ
本令ハ国際条約又ハ之ニ基ク協定中給与ニ関スル定アルトキ其ノ制限ニ牴触スル場合ニ於テハ之ヲ適用セズ
第十四条 本令及本令ニ基キテ発スル命令中船舶所有者ニ関スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第十五条 逓信大臣ハ本令ニ定ムル職権ノ一部ヲ逓信局長又ハ地方長官(東京府ニ於テハ警視総監)ニ委任スルコトヲ得
第十六条 本令中逓信大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トシ逓信局長トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ各朝鮮総督府逓信局長又ハ台湾総督府交通局総長トシ地方長官トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ各道知事又ハ州知事若ハ庁長トシ道府県トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各道、州若ハ庁又ハ南洋群島地方費トス
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月五日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十四年勅令第七百五号賃金臨時措置令ハ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ船員ニ関スルモノニ限リ昭和十五年十一月四日迄其ノ効力ヲ有ス但シ同日以前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ同日後ト雖モ仍其ノ効力ヲ有ス