建築税法
法令番号: 法律第三十號
公布年月日: 昭和15年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル建築稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第三十號
建築稅法
第一條 本法施行地ニ於テ左ニ揭グル家屋ヲ建築(增築及改造ヲ含ム以下同ジ)シタル者ニハ本法ニ依リ建築稅ヲ課ス
一 居住ノ用ニ供スル家屋
二 料理店業、席貸業其ノ他之ニ類スル營業ノ用ニ供スル家屋ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
三 演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物(相撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ノ開催ノ用ニ供スル家屋
第二條 建築稅ハ家屋(附屬工作物ヲ含ム以下同ジ)一構每ニ其ノ建築價額ヲ標準トシテ之ヲ賦課ス
前項ノ建築價額ノ算定ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
一構ノ家屋ノ一部ガ前條ノ家屋ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ部分ヲ以テ一構ノ家屋ト看做ス
第三條 第一條ニ揭グル家屋ヲ新築シタル者新築竣成後一年以內ニ其ノ家屋ト一構ト爲ルベキ建築ヲ爲シタル場合ニ於テハ前後ノ建築ヲ通ジテ一建築ト看做シ本法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依リ建築稅ヲ課スベキ場合ニ於テ旣ニ建築稅ヲ課シタル部分アルトキハ其ノ建築稅ニ相當スル金額ヲ建築稅額ヨリ控除ス
第四條 建築稅ハ建築價額ヨリ五千圓ヲ控除シタル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第五條 左ニ揭グル家屋ヲ建築シタル場合ニ於テハ建築稅ヲ課セズ
一 建築價額一萬圓未滿ノ家屋
二 公用又ハ公共ノ用ニ供スル爲北海道、府縣、市町村其ノ他命令ヲ以テ指定スル公共團體ガ建築シタル家屋
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第六條 左ニ揭グル家屋ヲ建築シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ建築稅ヲ免除ス
一 災害ニ因リ滅失又ハ損壞シタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋
二 法令ニ依リ收用又ハ使用セラレタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋及法令ニ依ル敷地ノ收用又ハ使用ニ因リ取毀シタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第七條 建築稅ニ付納稅義務アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ建築價額ヲ政府ニ申吿スベシ
第八條 建築價額ハ前條ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
建築價額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第九條 建築稅ハ建築竣成ノ際之ヲ徵收ス
第十條 建築稅ハ家屋ノ所在地ヲ以テ納稅地トス
納稅義務者納稅地ニ現住セザルトキハ建築價額ノ申吿、納稅其ノ他建築稅ニ關スル事項ヲ處理セシムル爲其ノ地ニ於テ納稅管理人ヲ定メ政府ニ申吿スベシ
第十一條 本法ノ適用ニ付テハ被相續人ノ爲シタル家屋ノ建築ハ相續人ノ爲シタルモノト看做シ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ爲シタル家屋ノ建築ハ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ爲シタルモノト看做ス
第十二條 收稅官吏ハ家屋ヲ建築シタル者、建築工事請負人、建築工事管理者若ハ建築材料供給者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ家屋、建築ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ建築稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第十四條 第十二條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十五條 第十三條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三條第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ支那事變特別稅法ニ依リ課セラレタル建築稅ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル建築稅ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル建築税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第三十号
建築税法
第一条 本法施行地ニ於テ左ニ掲グル家屋ヲ建築(増築及改造ヲ含ム以下同ジ)シタル者ニハ本法ニ依リ建築税ヲ課ス
一 居住ノ用ニ供スル家屋
二 料理店業、席貸業其ノ他之ニ類スル営業ノ用ニ供スル家屋ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
三 演劇、活動写真、演芸又ハ観物(相撲、野球、拳闘其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ観覧ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ノ開催ノ用ニ供スル家屋
第二条 建築税ハ家屋(附属工作物ヲ含ム以下同ジ)一構毎ニ其ノ建築価額ヲ標準トシテ之ヲ賦課ス
前項ノ建築価額ノ算定ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
一構ノ家屋ノ一部ガ前条ノ家屋ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ部分ヲ以テ一構ノ家屋ト看做ス
第三条 第一条ニ掲グル家屋ヲ新築シタル者新築竣成後一年以内ニ其ノ家屋ト一構ト為ルベキ建築ヲ為シタル場合ニ於テハ前後ノ建築ヲ通ジテ一建築ト看做シ本法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依リ建築税ヲ課スベキ場合ニ於テ既ニ建築税ヲ課シタル部分アルトキハ其ノ建築税ニ相当スル金額ヲ建築税額ヨリ控除ス
第四条 建築税ハ建築価額ヨリ五千円ヲ控除シタル金額ノ百分ノ十ニ相当スル金額ヲ以テ其ノ税額トス
第五条 左ニ掲グル家屋ヲ建築シタル場合ニ於テハ建築税ヲ課セズ
一 建築価額一万円未満ノ家屋
二 公用又ハ公共ノ用ニ供スル為北海道、府県、市町村其ノ他命令ヲ以テ指定スル公共団体ガ建築シタル家屋
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第六条 左ニ掲グル家屋ヲ建築シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ建築税ヲ免除ス
一 災害ニ因リ滅失又ハ損壊シタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋
二 法令ニ依リ収用又ハ使用セラレタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋及法令ニ依ル敷地ノ収用又ハ使用ニ因リ取毀シタル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第七条 建築税ニ付納税義務アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ建築価額ヲ政府ニ申告スベシ
第八条 建築価額ハ前条ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
建築価額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第九条 建築税ハ建築竣成ノ際之ヲ徴収ス
第十条 建築税ハ家屋ノ所在地ヲ以テ納税地トス
納税義務者納税地ニ現住セザルトキハ建築価額ノ申告、納税其ノ他建築税ニ関スル事項ヲ処理セシムル為其ノ地ニ於テ納税管理人ヲ定メ政府ニ申告スベシ
第十一条 本法ノ適用ニ付テハ被相続人ノ為シタル家屋ノ建築ハ相続人ノ為シタルモノト看做シ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ為シタル家屋ノ建築ハ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ為シタルモノト看做ス
第十二条 収税官吏ハ家屋ヲ建築シタル者、建築工事請負人、建築工事管理者若ハ建築材料供給者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ家屋、建築ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
第十三条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ建築税ヲ逋脱シタル者ハ其ノ逋脱シタル税金ノ三倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処シ直ニ其ノ税金ヲ徴収ス但シ自首シ又ハ税務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第十四条 第十二条ノ規定ニ依ル収税官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第十五条 第十三条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八条第三項但書、第三十九条第二項、第四十条、第四十一条、第四十八条第二項、第六十三条及第六十六条ノ規定ヲ適用セズ
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三条第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ支那事変特別税法ニ依リ課セラレタル建築税ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル建築税ト看做ス