第一條 軍用保護馬ノ鍛鍊ハ特ニ軍用保護馬ノ負擔力、輓曳力及持久力ノ向上維持ヲ圖ルト共ニ集團馴致ヲ完全ナラシムルコトヲ本旨トシテ之ヲ實施スベシ
第二條 軍馬資源保護法第三條ノ手當ハ馬一頭ニ付三十五錢トシ同條ノ旅費ハ馬一頭ニ付往復路程ヲ通算シ一里ニ滿ツル每ニ五錢トス
第三條 軍馬資源保護法第七條第三項ノ補償金ハ普通鍛鍊ノ施行ニ因リ軍用保護馬死亡シ又ハ普通鍛鍊ノ施行ニ因ル傷害ノ爲軍用保護馬ノ指定ヲ取消サルルニ至リタル場合其ノ馬ノ所有者ニ對シ之ヲ交付ス
第四條 前條ノ補償金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ文書ニ依リ地方長官ヲ經由シ農林大臣ニ之ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル申請書ハ當該軍用保護馬死亡シタル日又ハ當該軍用保護馬ノ指定ノ取消アリタル日ヨリ三月以內ニ地方長官ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル申請書ノ提出アリタルトキハ地方長官ハ補償審査員ノ認定シタル其ノ馬ノ死亡又ハ傷害ノ原因、傷害ノ程度及價額竝ニ當該認定ニ對スル其ノ意見及其ノ評定シタル補償見積額ヲ具シ之ヲ農林大臣ニ申達スベシ
農林大臣ハ前項ノ規定ニ依ル補償審査員ノ認定竝ニ地方長官ノ意見及評定ヲ參酌シ補償金ノ額ヲ決定ス
第五條 前條ノ補償審査員ハ獸醫師一人、當該申請ニ係ル軍用保護馬ノ飼養場所ノ在ル市町村ノ市町村長又ハ吏員一人及普通鍛鍊ノ關係指導員一人トシ同條ノ規定ニ依ル申請アリタル都度地方長官之ヲ命ズ
補償審査員ニハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ手當ヲ給スルコトヲ得
第六條 馬ノ生產者又ハ飼育者ヲ以テ組織スル畜產組合(以下馬ニ關スル畜產組合ト稱ス)及其ノ組織スル畜產組合聯合會(以下馬ニ關スル畜產組合聯合會ト稱ス)ハ鍛鍊競技ニシテ優等馬ノ投票ニ關スル施設ヲ伴ハザルモノ(以下一般鍛鍊競技ト稱ス)ヲ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ每年一囘以上施行スベシ但シ地方長官ノ承認ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル一般鍛鍊競技ニハ第八條第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ當該畜產組合又ハ畜產組合聯合會ノ區域內ニ飼養場所ノ在ルモノニ限リ出場セシムルモノトス
第一項但書ノ規定ニ依リ馬ニ關スル畜產組合又ハ畜產組合聯合會ガ一般鍛鍊競技ヲ施行セザル場合ニ於テハ地方長官ハ第八條第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ當該畜產組合又ハ畜產組合聯合會ノ區域內ニ飼養場所ノ在ルモノニ付北海道、府縣其ノ他適當ナル團體ニ對シ一般鍛鍊競技ノ施行ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル場合ヲ除クノ外北海道、府縣其ノ他政府ノ指定スル團體ノ行フ一般鍛鍊競技ニ付テハ農林大臣ノ定ムル所ニ依ル
第七條 軍馬資源保護法第八條第二項ノ畜產組合聯合會又ハ畜產組合ハ馬ニ關スル畜產組合聯合會又ハ畜產組合ニ限ル
第八條 地方長官ハ軍用保護馬ニシテ左ノ各號ニ該當スルモノニ限リ鍛鍊競技出場馬ニ指定スルコトヲ得
二 當該地方長官ノ管轄スル區域(北海道ニ在リテハ農林大臣ノ指定スル區域)內ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ普通鍛鍊ヲ受ケ其ノ成績良好ナルコト
三 農林大臣ノ定ムル所ニ依リ行フ馬體檢査ニ於テ鍛鍊競技出場ヲ適當ト認メラレタルコト
前項ノ規定ニ依リ鍛鍊競技出場馬ニ指定セラレタル軍用保護馬ハ同項第二號ノ區域內ニ於ケル鍛鍊競技ニ限リ之ヲ出場セシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル指定ハ其ノ翌年其ノ馬ニ付行フ軍馬資源保護法第二十條第一項ノ檢査ノ日迄其ノ效力ヲ有ス
第九條 鍛鍊競技ニシテ優等馬ノ投票ニ關スル施設ヲ伴フモノ(以下鍛鍊馬競走ト稱ス)ノ施行者ハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ優等馬票ノ發行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ二十以內ノ金額ヲ收得スルコトヲ得但シ鍛鍊馬競走ノ施行者ガ當該鍛鍊馬場所在ノ北海道、府縣又ハ市町村ニ對シ寄附金ヲ納付スル場合ニ限リ農林大臣ノ認可ヲ受ケ百分ノ二十ヲ超ユル步合ノ金額ヲ收得スルコトヲ得
第十條 鍛鍊馬競走ノ施行者ハ優等馬票ノ發行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ十五以內ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額ヲ當該鍛鍊馬競走ノ終了後一月以內ニ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ納付スベシ
第十一條 農林大臣ハ設立委員ヲ命ジ軍用保護馬鍛鍊中央會ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第十二條 設立委員ハ定款ヲ作リ農林大臣ニ軍用保護馬鍛鍊中央會設立ノ認可ヲ申請スベシ
第十四條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ其ノ成立ノ日ヨリ三週間以內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
前項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ三週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス但シ同項第五號ニ揭グル事項ニ付テハ每會計年度末日ノ現在ニ依リ會計年度終了後一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ヲ爲スニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
本令ニ依リ登記シタル事項ハ裁判所遲滯ナク之ヲ公吿スベシ
第十五條 軍用保護馬鍛鍊中央會ノ淸算結了シタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スベシ
第十六條 民法第四十四條、第四十五條第二項第三項、第四十七條、第四十八條、第五十條、第五十四條、第五十五條、第五十七條、第六十八條第一項及第七十條乃至第八十三條竝ニ非訟事件手續法第三十五條、第三十六條、第三十七條ノ二、第百十七條、第百十九條乃至第百二十二條、第百三十六條乃至第百三十八條、第百四十二條乃至第百五十七條及第百七十五條乃至第百七十七條ノ規定ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ之ヲ準用ス
第十八條 會頭ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ヲ代表シ其ノ事務ヲ總理ス
副會頭ハ會頭事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ會頭缺員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副會頭及理事ハ會頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ軍用保護馬鍛鍊中央會ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ參與會ニ於テ其ノ候補者ヲ選擧シ農林大臣之ヲ命ズ
會頭、副會頭及理事ノ任期ハ五年、監事ノ任期ハ三年トス
前項ノ議決ハ參與ノ三分ノ二以上出席スルニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ得ズ
定款ノ變更ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十二條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ農林大臣之ヲ監督ス
第二十三條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ左ニ揭グル事項ニ付農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十四條 農林大臣ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ對シ定款又ハ收支豫算ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 本令ニ定ムルモノノ外軍用保護馬鍛鍊中央會ニ關シ必要ナル事項ハ農林大臣之ヲ定ム
第二十六條 第五條中市町村又ハ市町村長トアルハ市制第六條ノ市及市制第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ區又ハ區長トス
本令ニ於テ市町村又ハ市町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ町村又ハ町村長ニ準ズベキモノトス