軍馬資源保護法施行令
法令番号: 勅令第四百二十九號
公布年月日: 昭和14年7月1日
法令の形式: 勅令
朕軍馬資源保護法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年六月三十日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
司法大臣 鹽野季彥
內務大臣 侯爵 木戶幸一
陸軍大臣 板垣征四郞
農林大臣 櫻內幸雄
勅令第四百二十九號
軍馬資源保護法施行令
第一條 軍用保護馬ノ鍛鍊ハ特ニ軍用保護馬ノ負擔力、輓曳力及持久力ノ向上維持ヲ圖ルト共ニ集團馴致ヲ完全ナラシムルコトヲ本旨トシテ之ヲ實施スベシ
第二條 軍馬資源保護法第三條ノ手當ハ馬一頭ニ付三十五錢トシ同條ノ旅費ハ馬一頭ニ付往復路程ヲ通算シ一里ニ滿ツル每ニ五錢トス
第三條 軍馬資源保護法第七條第三項ノ補償金ハ普通鍛鍊ノ施行ニ因リ軍用保護馬死亡シ又ハ普通鍛鍊ノ施行ニ因ル傷害ノ爲軍用保護馬ノ指定ヲ取消サルルニ至リタル場合其ノ馬ノ所有者ニ對シ之ヲ交付ス
第四條 前條ノ補償金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ文書ニ依リ地方長官ヲ經由シ農林大臣ニ之ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル申請書ハ當該軍用保護馬死亡シタル日又ハ當該軍用保護馬ノ指定ノ取消アリタル日ヨリ三月以內ニ地方長官ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル申請書ノ提出アリタルトキハ地方長官ハ補償審査員ノ認定シタル其ノ馬ノ死亡又ハ傷害ノ原因、傷害ノ程度及價額竝ニ當該認定ニ對スル其ノ意見及其ノ評定シタル補償見積額ヲ具シ之ヲ農林大臣ニ申達スベシ
農林大臣ハ前項ノ規定ニ依ル補償審査員ノ認定竝ニ地方長官ノ意見及評定ヲ參酌シ補償金ノ額ヲ決定ス
補償金ノ最高金額ハ馬一頭ニ付七百圓トス
第五條 前條ノ補償審査員ハ獸醫師一人、當該申請ニ係ル軍用保護馬ノ飼養場所ノ在ル市町村ノ市町村長又ハ吏員一人及普通鍛鍊ノ關係指導員一人トシ同條ノ規定ニ依ル申請アリタル都度地方長官之ヲ命ズ
補償審査員ニハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ手當ヲ給スルコトヲ得
第六條 馬ノ生產者又ハ飼育者ヲ以テ組織スル畜產組合(以下馬ニ關スル畜產組合ト稱ス)及其ノ組織スル畜產組合聯合會(以下馬ニ關スル畜產組合聯合會ト稱ス)ハ鍛鍊競技ニシテ優等馬ノ投票ニ關スル施設ヲ伴ハザルモノ(以下一般鍛鍊競技ト稱ス)ヲ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ每年一囘以上施行スベシ但シ地方長官ノ承認ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル一般鍛鍊競技ニハ第八條第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ當該畜產組合又ハ畜產組合聯合會ノ區域內ニ飼養場所ノ在ルモノニ限リ出場セシムルモノトス
第一項但書ノ規定ニ依リ馬ニ關スル畜產組合又ハ畜產組合聯合會ガ一般鍛鍊競技ヲ施行セザル場合ニ於テハ地方長官ハ第八條第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ當該畜產組合又ハ畜產組合聯合會ノ區域內ニ飼養場所ノ在ルモノニ付北海道、府縣其ノ他適當ナル團體ニ對シ一般鍛鍊競技ノ施行ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル場合ヲ除クノ外北海道、府縣其ノ他政府ノ指定スル團體ノ行フ一般鍛鍊競技ニ付テハ農林大臣ノ定ムル所ニ依ル
第七條 軍馬資源保護法第八條第二項ノ畜產組合聯合會又ハ畜產組合ハ馬ニ關スル畜產組合聯合會又ハ畜產組合ニ限ル
第八條 地方長官ハ軍用保護馬ニシテ左ノ各號ニ該當スルモノニ限リ鍛鍊競技出場馬ニ指定スルコトヲ得
一 明ケ四歲以上ナルコト
二 當該地方長官ノ管轄スル區域(北海道ニ在リテハ農林大臣ノ指定スル區域)內ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ普通鍛鍊ヲ受ケ其ノ成績良好ナルコト
三 農林大臣ノ定ムル所ニ依リ行フ馬體檢査ニ於テ鍛鍊競技出場ヲ適當ト認メラレタルコト
前項ノ規定ニ依リ鍛鍊競技出場馬ニ指定セラレタル軍用保護馬ハ同項第二號ノ區域內ニ於ケル鍛鍊競技ニ限リ之ヲ出場セシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル指定ハ其ノ翌年其ノ馬ニ付行フ軍馬資源保護法第二十條第一項ノ檢査ノ日迄其ノ效力ヲ有ス
第九條 鍛鍊競技ニシテ優等馬ノ投票ニ關スル施設ヲ伴フモノ(以下鍛鍊馬競走ト稱ス)ノ施行者ハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ優等馬票ノ發行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ二十以內ノ金額ヲ收得スルコトヲ得但シ鍛鍊馬競走ノ施行者ガ當該鍛鍊馬場所在ノ北海道、府縣又ハ市町村ニ對シ寄附金ヲ納付スル場合ニ限リ農林大臣ノ認可ヲ受ケ百分ノ二十ヲ超ユル步合ノ金額ヲ收得スルコトヲ得
第十條 鍛鍊馬競走ノ施行者ハ優等馬票ノ發行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ十五以內ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額ヲ當該鍛鍊馬競走ノ終了後一月以內ニ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ納付スベシ
第十一條 農林大臣ハ設立委員ヲ命ジ軍用保護馬鍛鍊中央會ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
第十二條 設立委員ハ定款ヲ作リ農林大臣ニ軍用保護馬鍛鍊中央會設立ノ認可ヲ申請スベシ
軍用保護馬鍛鍊中央會ハ前項ノ認可アリタル時成立ス
第十三條 定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所
四 役員ニ關スル規定
五 參與會ニ關スル規定
六 事業及其ノ執行ニ關スル規定
七 資產及會計ニ關スル規定
八 定款ノ變更ニ關スル規定
第十四條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ其ノ成立ノ日ヨリ三週間以內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 目的
二 名稱
三 事務所
四 成立ノ年月日
五 資產ノ總額
六 會頭、副會頭、理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭グル事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ三週間以內ニ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス但シ同項第五號ニ揭グル事項ニ付テハ每會計年度末日ノ現在ニ依リ會計年度終了後一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ヲ爲スニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
本令ニ依リ登記シタル事項ハ裁判所遲滯ナク之ヲ公吿スベシ
第十五條 軍用保護馬鍛鍊中央會ノ淸算結了シタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スベシ
前項ノ登記ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第十六條 民法第四十四條、第四十五條第二項第三項、第四十七條、第四十八條、第五十條、第五十四條、第五十五條、第五十七條、第六十八條第一項及第七十條乃至第八十三條竝ニ非訟事件手續法第三十五條、第三十六條、第三十七條ノ二、第百十七條、第百十九條乃至第百二十二條、第百三十六條乃至第百三十八條、第百四十二條乃至第百五十七條及第百七十五條乃至第百七十七條ノ規定ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ之ヲ準用ス
第十七條 軍用保護馬鍛鍊中央會ニ左ノ役員ヲ置ク
會頭 一人
副會頭 二人以內
理事 若干人
監事 若干人
第十八條 會頭ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ヲ代表シ其ノ事務ヲ總理ス
副會頭ハ會頭事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ會頭缺員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副會頭及理事ハ會頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ軍用保護馬鍛鍊中央會ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ノ業務ヲ監査ス
第十九條 會頭、副會頭及理事ハ農林大臣之ヲ命ズ
監事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ參與會ニ於テ其ノ候補者ヲ選擧シ農林大臣之ヲ命ズ
會頭、副會頭及理事ノ任期ハ五年、監事ノ任期ハ三年トス
第二十條 軍用保護馬鍛鍊中央會ニ參與會ヲ置ク
參與ノ員數及任期ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
參與ハ定款ノ定ムル所ニ依リ會員之ヲ互選ス
第二十一條 定款ノ變更ハ參與會ノ議決ヲ經ベシ
前項ノ議決ハ參與ノ三分ノ二以上出席スルニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ得ズ
定款ノ變更ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十二條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ農林大臣之ヲ監督ス
第二十三條 軍用保護馬鍛鍊中央會ハ左ニ揭グル事項ニ付農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
一 收支豫算
二 借入金
三 債務ノ保證
四 不動產ノ取得又ハ處分
第二十四條 農林大臣ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ對シ定款又ハ收支豫算ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 本令ニ定ムルモノノ外軍用保護馬鍛鍊中央會ニ關シ必要ナル事項ハ農林大臣之ヲ定ム
第二十六條 第五條中市町村又ハ市町村長トアルハ市制第六條ノ市及市制第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ區又ハ區長トス
本令ニ於テ市町村又ハ市町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ町村又ハ町村長ニ準ズベキモノトス
附 則
第二十七條 本令ハ昭和十四年七月三日ヨリ之ヲ施行ス
第二十八條 軍馬資源保護法附則第二項ニ規定スル競馬場ノ設備ノ處分其ノ他ノ整理ヲ爲ス畜產組合聯合會又ハ畜產組合ガ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ對シ其ノ成立ノ日ヨリ一年以內ニ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ申出ヲ爲シタル場合ニ於テ軍用保護馬鍛鍊中央會必要アリト認ムルトキハ當該競馬場ニ付左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ニ關スル賃借契約ノ條件ノ緩和ニ關スル協定ノ斡旋又ハ其ノ解約ノ斡旋
二 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ賃借、買入又ハ建設ニ因リ負擔シタル私法上ノ金錢債務ノ條件ノ緩和ニ關スル協定ノ斡旋
三 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ賣却ノ斡旋
四 第一號及第二號ノ斡旋ニ關シ必要ナル債務ノ保證
五 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物若ハ備品ニ關スル賃借契約ノ解約ニ伴フ原狀囘復ノ義務其ノ他ノ債務又ハ第二號ノ債務ノ辨濟ニ要スル費用ニ對スル補給金ノ交付
六 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ買入又ハ借入
七 前各號ニ揭グルモノノ外整理ニ關シ必要ナル事業
軍用保護馬鍛鍊中央會前項第四號乃至第七號ニ揭グル事業ヲ行ハントスルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
農林大臣前項ノ認可ヲ爲サントスルトキハ地方競馬整理審査會ニ諮問スベシ
農林大臣ハ軍用保護馬鍛鍊中央會ニ對シ第一項ニ規定スル事業ノ實施ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十九條 地方競馬整理審査會ハ農林大臣ノ監督ニ屬シ其ノ諮問ニ應ジテ前條第三項ノ規定ニ依リ其ノ權限ニ屬セシメタル事項其ノ他軍用保護馬鍛鍊中央會ガ軍馬資源保護法附則第二項ノ規定ニ基キテ爲ス地方競馬場ノ整理ノ事業ニ關スル重要事項ヲ調査審議ス
第三十條 審査會ハ會長一人及委員十八人以內ヲ以テ之ヲ組織ス
第三十一條 會長ハ農林大臣ヲ以テ之ニ充ツ
委員ハ農林大臣ノ奏請ニ依リ左ニ揭グル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
一 關係各廳高等官
二 軍用保護馬鍛鍊中央會ノ役員
三 學識經驗アル者
第三十二條 會長ハ會務ヲ總理ス
會長事故アルトキハ農林大臣ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第三十三條 審査會ニ幹事ヲ置ク農林大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
幹事ハ會長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第三十四條 審査會ニ書記ヲ置ク農林大臣之ヲ命ズ
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第三十五條 軍用保護馬鍛鍊中央會成立當時ノ理事ノ任期ハ第十九條第三項ノ規定ニ拘ラズ五年以內ニ於テ定款ヲ以テ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
軍用保護馬鍛鍊中央會成立當時ノ監事ハ第十九條第二項ノ規定ニ拘ラズ農林大臣之ヲ命ズ
朕軍馬資源保護法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年六月三十日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
司法大臣 塩野季彦
内務大臣 侯爵 木戸幸一
陸軍大臣 板垣征四郎
農林大臣 桜内幸雄
勅令第四百二十九号
軍馬資源保護法施行令
第一条 軍用保護馬ノ鍛錬ハ特ニ軍用保護馬ノ負担力、輓曳力及持久力ノ向上維持ヲ図ルト共ニ集団馴致ヲ完全ナラシムルコトヲ本旨トシテ之ヲ実施スベシ
第二条 軍馬資源保護法第三条ノ手当ハ馬一頭ニ付三十五銭トシ同条ノ旅費ハ馬一頭ニ付往復路程ヲ通算シ一里ニ満ツル毎ニ五銭トス
第三条 軍馬資源保護法第七条第三項ノ補償金ハ普通鍛錬ノ施行ニ因リ軍用保護馬死亡シ又ハ普通鍛錬ノ施行ニ因ル傷害ノ為軍用保護馬ノ指定ヲ取消サルルニ至リタル場合其ノ馬ノ所有者ニ対シ之ヲ交付ス
第四条 前条ノ補償金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ文書ニ依リ地方長官ヲ経由シ農林大臣ニ之ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル申請書ハ当該軍用保護馬死亡シタル日又ハ当該軍用保護馬ノ指定ノ取消アリタル日ヨリ三月以内ニ地方長官ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル申請書ノ提出アリタルトキハ地方長官ハ補償審査員ノ認定シタル其ノ馬ノ死亡又ハ傷害ノ原因、傷害ノ程度及価額並ニ当該認定ニ対スル其ノ意見及其ノ評定シタル補償見積額ヲ具シ之ヲ農林大臣ニ申達スベシ
農林大臣ハ前項ノ規定ニ依ル補償審査員ノ認定並ニ地方長官ノ意見及評定ヲ参酌シ補償金ノ額ヲ決定ス
補償金ノ最高金額ハ馬一頭ニ付七百円トス
第五条 前条ノ補償審査員ハ獣医師一人、当該申請ニ係ル軍用保護馬ノ飼養場所ノ在ル市町村ノ市町村長又ハ吏員一人及普通鍛錬ノ関係指導員一人トシ同条ノ規定ニ依ル申請アリタル都度地方長官之ヲ命ズ
補償審査員ニハ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ手当ヲ給スルコトヲ得
第六条 馬ノ生産者又ハ飼育者ヲ以テ組織スル畜産組合(以下馬ニ関スル畜産組合ト称ス)及其ノ組織スル畜産組合連合会(以下馬ニ関スル畜産組合連合会ト称ス)ハ鍛錬競技ニシテ優等馬ノ投票ニ関スル施設ヲ伴ハザルモノ(以下一般鍛錬競技ト称ス)ヲ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ毎年一回以上施行スベシ但シ地方長官ノ承認ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル一般鍛錬競技ニハ第八条第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ当該畜産組合又ハ畜産組合連合会ノ区域内ニ飼養場所ノ在ルモノニ限リ出場セシムルモノトス
第一項但書ノ規定ニ依リ馬ニ関スル畜産組合又ハ畜産組合連合会ガ一般鍛錬競技ヲ施行セザル場合ニ於テハ地方長官ハ第八条第一項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル軍用保護馬ニシテ当該畜産組合又ハ畜産組合連合会ノ区域内ニ飼養場所ノ在ルモノニ付北海道、府県其ノ他適当ナル団体ニ対シ一般鍛錬競技ノ施行ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル場合ヲ除クノ外北海道、府県其ノ他政府ノ指定スル団体ノ行フ一般鍛錬競技ニ付テハ農林大臣ノ定ムル所ニ依ル
第七条 軍馬資源保護法第八条第二項ノ畜産組合連合会又ハ畜産組合ハ馬ニ関スル畜産組合連合会又ハ畜産組合ニ限ル
第八条 地方長官ハ軍用保護馬ニシテ左ノ各号ニ該当スルモノニ限リ鍛錬競技出場馬ニ指定スルコトヲ得
一 明ケ四歳以上ナルコト
二 当該地方長官ノ管轄スル区域(北海道ニ在リテハ農林大臣ノ指定スル区域)内ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ普通鍛錬ヲ受ケ其ノ成績良好ナルコト
三 農林大臣ノ定ムル所ニ依リ行フ馬体検査ニ於テ鍛錬競技出場ヲ適当ト認メラレタルコト
前項ノ規定ニ依リ鍛錬競技出場馬ニ指定セラレタル軍用保護馬ハ同項第二号ノ区域内ニ於ケル鍛錬競技ニ限リ之ヲ出場セシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル指定ハ其ノ翌年其ノ馬ニ付行フ軍馬資源保護法第二十条第一項ノ検査ノ日迄其ノ効力ヲ有ス
第九条 鍛錬競技ニシテ優等馬ノ投票ニ関スル施設ヲ伴フモノ(以下鍛錬馬競走ト称ス)ノ施行者ハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ優等馬票ノ発行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ二十以内ノ金額ヲ収得スルコトヲ得但シ鍛錬馬競走ノ施行者ガ当該鍛錬馬場所在ノ北海道、府県又ハ市町村ニ対シ寄附金ヲ納付スル場合ニ限リ農林大臣ノ認可ヲ受ケ百分ノ二十ヲ超ユル歩合ノ金額ヲ収得スルコトヲ得
第十条 鍛錬馬競走ノ施行者ハ優等馬票ノ発行ニ依リ得タル金額ノ百分ノ十五以内ニ於テ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ算出シタル金額ヲ当該鍛錬馬競走ノ終了後一月以内ニ軍用保護馬鍛錬中央会ニ納付スベシ
第十一条 農林大臣ハ設立委員ヲ命ジ軍用保護馬鍛錬中央会ノ設立ニ関スル一切ノ事務ヲ処理セシム
第十二条 設立委員ハ定款ヲ作リ農林大臣ニ軍用保護馬鍛錬中央会設立ノ認可ヲ申請スベシ
軍用保護馬鍛錬中央会ハ前項ノ認可アリタル時成立ス
第十三条 定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所
四 役員ニ関スル規定
五 参与会ニ関スル規定
六 事業及其ノ執行ニ関スル規定
七 資産及会計ニ関スル規定
八 定款ノ変更ニ関スル規定
第十四条 軍用保護馬鍛錬中央会ハ其ノ成立ノ日ヨリ三週間以内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一 目的
二 名称
三 事務所
四 成立ノ年月日
五 資産ノ総額
六 会頭、副会頭、理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ掲グル事項中ニ変更ヲ生ジタルトキハ三週間以内ニ其ノ登記ヲ為スコトヲ要ス但シ同項第五号ニ掲グル事項ニ付テハ毎会計年度末日ノ現在ニ依リ会計年度終了後一月以内ニ登記ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ヲ為スニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
本令ニ依リ登記シタル事項ハ裁判所遅滞ナク之ヲ公告スベシ
第十五条 軍用保護馬鍛錬中央会ノ清算結了シタルトキハ各事務所ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ為スベシ
前項ノ登記ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
第十六条 民法第四十四条、第四十五条第二項第三項、第四十七条、第四十八条、第五十条、第五十四条、第五十五条、第五十七条、第六十八条第一項及第七十条乃至第八十三条並ニ非訟事件手続法第三十五条、第三十六条、第三十七条ノ二、第百十七条、第百十九条乃至第百二十二条、第百三十六条乃至第百三十八条、第百四十二条乃至第百五十七条及第百七十五条乃至第百七十七条ノ規定ハ軍用保護馬鍛錬中央会ニ之ヲ準用ス
第十七条 軍用保護馬鍛錬中央会ニ左ノ役員ヲ置ク
会頭 一人
副会頭 二人以内
理事 若干人
監事 若干人
第十八条 会頭ハ軍用保護馬鍛錬中央会ヲ代表シ其ノ事務ヲ総理ス
副会頭ハ会頭事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ会頭欠員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副会頭及理事ハ会頭ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ軍用保護馬鍛錬中央会ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ軍用保護馬鍛錬中央会ノ業務ヲ監査ス
第十九条 会頭、副会頭及理事ハ農林大臣之ヲ命ズ
監事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ参与会ニ於テ其ノ候補者ヲ選挙シ農林大臣之ヲ命ズ
会頭、副会頭及理事ノ任期ハ五年、監事ノ任期ハ三年トス
第二十条 軍用保護馬鍛錬中央会ニ参与会ヲ置ク
参与ノ員数及任期ハ定款ヲ以テ之ヲ定ム
参与ハ定款ノ定ムル所ニ依リ会員之ヲ互選ス
第二十一条 定款ノ変更ハ参与会ノ議決ヲ経ベシ
前項ノ議決ハ参与ノ三分ノ二以上出席スルニ非ザレバ之ヲ行フコトヲ得ズ
定款ノ変更ハ農林大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十二条 軍用保護馬鍛錬中央会ハ農林大臣之ヲ監督ス
第二十三条 軍用保護馬鍛錬中央会ハ左ニ掲グル事項ニ付農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
一 収支予算
二 借入金
三 債務ノ保証
四 不動産ノ取得又ハ処分
第二十四条 農林大臣ハ軍用保護馬鍛錬中央会ニ対シ定款又ハ収支予算ノ変更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十五条 本令ニ定ムルモノノ外軍用保護馬鍛錬中央会ニ関シ必要ナル事項ハ農林大臣之ヲ定ム
第二十六条 第五条中市町村又ハ市町村長トアルハ市制第六条ノ市及市制第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ区又ハ区長トス
本令ニ於テ市町村又ハ市町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ町村又ハ町村長ニ準ズベキモノトス
附 則
第二十七条 本令ハ昭和十四年七月三日ヨリ之ヲ施行ス
第二十八条 軍馬資源保護法附則第二項ニ規定スル競馬場ノ設備ノ処分其ノ他ノ整理ヲ為ス畜産組合連合会又ハ畜産組合ガ軍用保護馬鍛錬中央会ニ対シ其ノ成立ノ日ヨリ一年以内ニ農林大臣ノ定ムル所ニ依リ申出ヲ為シタル場合ニ於テ軍用保護馬鍛錬中央会必要アリト認ムルトキハ当該競馬場ニ付左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ニ関スル賃借契約ノ条件ノ緩和ニ関スル協定ノ斡旋又ハ其ノ解約ノ斡旋
二 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ賃借、買入又ハ建設ニ因リ負担シタル私法上ノ金銭債務ノ条件ノ緩和ニ関スル協定ノ斡旋
三 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ売却ノ斡旋
四 第一号及第二号ノ斡旋ニ関シ必要ナル債務ノ保証
五 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物若ハ備品ニ関スル賃借契約ノ解約ニ伴フ原状回復ノ義務其ノ他ノ債務又ハ第二号ノ債務ノ弁済ニ要スル費用ニ対スル補給金ノ交付
六 競馬場ノ用地、馬場設備、建物、工作物又ハ備品ノ買入又ハ借入
七 前各号ニ掲グルモノノ外整理ニ関シ必要ナル事業
軍用保護馬鍛錬中央会前項第四号乃至第七号ニ掲グル事業ヲ行ハントスルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受クベシ
農林大臣前項ノ認可ヲ為サントスルトキハ地方競馬整理審査会ニ諮問スベシ
農林大臣ハ軍用保護馬鍛錬中央会ニ対シ第一項ニ規定スル事業ノ実施ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第二十九条 地方競馬整理審査会ハ農林大臣ノ監督ニ属シ其ノ諮問ニ応ジテ前条第三項ノ規定ニ依リ其ノ権限ニ属セシメタル事項其ノ他軍用保護馬鍛錬中央会ガ軍馬資源保護法附則第二項ノ規定ニ基キテ為ス地方競馬場ノ整理ノ事業ニ関スル重要事項ヲ調査審議ス
第三十条 審査会ハ会長一人及委員十八人以内ヲ以テ之ヲ組織ス
第三十一条 会長ハ農林大臣ヲ以テ之ニ充ツ
委員ハ農林大臣ノ奏請ニ依リ左ニ掲グル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
一 関係各庁高等官
二 軍用保護馬鍛錬中央会ノ役員
三 学識経験アル者
第三十二条 会長ハ会務ヲ総理ス
会長事故アルトキハ農林大臣ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第三十三条 審査会ニ幹事ヲ置ク農林大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
幹事ハ会長ノ指揮ヲ承ケ庶務ヲ整理ス
第三十四条 審査会ニ書記ヲ置ク農林大臣之ヲ命ズ
書記ハ上司ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第三十五条 軍用保護馬鍛錬中央会成立当時ノ理事ノ任期ハ第十九条第三項ノ規定ニ拘ラズ五年以内ニ於テ定款ヲ以テ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
軍用保護馬鍛錬中央会成立当時ノ監事ハ第十九条第二項ノ規定ニ拘ラズ農林大臣之ヲ命ズ