大日本航空株式会社法施行令
法令番号: 勅令第三百九號
公布年月日: 昭和14年5月10日
法令の形式: 勅令
朕大日本航空株式會社法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年五月九日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
海軍大臣 米內光政
陸軍大臣 板垣征四郞
大藏大臣 石渡莊太郞
拓務大臣 小磯國昭
遞信大臣 田邉治通
勅令第三百九號
大日本航空株式會社法施行令
第一條 大日本航空株式會社法第二條但書ノ規定ニ依リ大日本航空株式會社ニ非ザルモノノ營ムコトヲ得ル航空輸送事業ハ不定期航空輸送事業及航空線路ノ長サ三百キロメートルヲ超エザル定期航空輸送事業ニ限ル
第二條 大日本航空株式會社法第二十條第二項ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ通常生ズベキ損失ニ限ル
損失決定ノ基準ニ關シテハ遞信大臣大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
損失ノ補償ハ當該命令事項ノ履行ヲ終リタル後之ヲ請求スベシ但シ遞信大臣ノ定ムル場合ニ於テハ每營業年度ノ終リタル後又ハ損失ノ生ジタル都度之ヲ請求スルコトヲ得
前二項ニ於テ遞信大臣トアルハ軍事上必要ナル命令ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トシ其ノ他ノ命令ニ付テ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、關東州ニ在リテハ滿洲國駐箚特命全權大使、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トス
第三條 大日本航空株式會社法第二十條第二項ノ規定ニ依リ支拂フベキ補償金ハ國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第四條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太及南洋群島ニ於テハ大日本航空株式會社ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ大日本航空株式會社法施行ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ事業ニ付各當該地ノ法令ニ依ル所得稅、營業收益稅及營業稅ヲ免除ス
第五條 朝鮮ニ於ケル道、府邑面、臺灣ニ於ケル州廳、市街庄、關東州ニ於ケル地方費、市會、樺太ニ於ケル市町村及南洋群島ニ於ケル地方費ハ前條ノ規定ニ依リ所得稅、營業收益稅及營業稅ヲ免除セラレタル期間大日本航空株式會社ノ事業ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、關東州ニ在リテハ滿洲國駐箚特命全權大使、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六條 昭和十三年十二月一日航空法第三十六條ノ許可ヲ受ケタル大日本航空株式會社(以下許可會社ト稱ス)大日本航空株式會社法第三十八條第一項ノ決議ヲ爲シ之ニ付遞信大臣ノ認可アリタルトキハ遲滯ナク決議ノ日ニ於ケル資產勘定及債務勘定ヲ整理シ遞信大臣ノ承認ヲ受クベシ
第七條 大日本航空株式會社ノ設立委員ハ許可會社ノ株式ニ對シテハ之ト額面及拂込金額ヲ同ジクスル大日本航空株式會社ノ株式ヲ引當ツベシ
第八條 大日本航空株式會社法第四十條ノ定款ニハ商法ニ規定スル事項ノ外左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 前條ノ規定ニ依リ許可會社ノ株式ニ引當ツベキ株式ノ數及拂込金總額
二 許可會社ノ昭和十四年三月三十一日ニ於ケル財產槪況
第九條 大日本航空株式會社法第四十五條ノ創立總會ニ關シ商法第百二十六條ノ二及第百三十一條第三項ノ規定ヲ適用スルニ付テハ許可會社ノ株主ハ之ヲ株式引受人ト看做ス
第十條 大日本航空株式會社ノ設立登記ノ申請ヲ受理シタルトキハ登記官吏ハ職權ヲ以テ許可會社ノ登記用紙ニ其ノ事由ヲ記載シテ之ヲ閉鎖スベシ
第十一條 許可會社ノ最終ノ營業期ニ於ケル利益ノ配當ハ之ヲ爲サズ但シ大日本航空株式會社ノ初營業年度ニ於ケル利益ノ配當ヲ爲スニ當リテハ許可會社ノ株式ニ引當テタル株式ニ對シテハ許可會社ノ最終ノ營業期ノ初ヨリ大日本航空株式會社ニ其ノ株式存在シタルモノト看做シテ配當スベキ金額ヲ算定スベシ
前項ニ規定スル株式以外ノ株式ニ對スル利益ノ配當ハ會社成立ノ日以後ノ期間ニ付其ノ金額ヲ算定スベシ
附 則
本令ハ大日本航空株式會社法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕大日本航空株式会社法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年五月九日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 板垣征四郎
大蔵大臣 石渡荘太郎
拓務大臣 小磯国昭
逓信大臣 田邉治通
勅令第三百九号
大日本航空株式会社法施行令
第一条 大日本航空株式会社法第二条但書ノ規定ニ依リ大日本航空株式会社ニ非ザルモノノ営ムコトヲ得ル航空輸送事業ハ不定期航空輸送事業及航空線路ノ長サ三百キロメートルヲ超エザル定期航空輸送事業ニ限ル
第二条 大日本航空株式会社法第二十条第二項ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ通常生ズベキ損失ニ限ル
損失決定ノ基準ニ関シテハ逓信大臣大蔵大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
損失ノ補償ハ当該命令事項ノ履行ヲ終リタル後之ヲ請求スベシ但シ逓信大臣ノ定ムル場合ニ於テハ毎営業年度ノ終リタル後又ハ損失ノ生ジタル都度之ヲ請求スルコトヲ得
前二項ニ於テ逓信大臣トアルハ軍事上必要ナル命令ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トシ其ノ他ノ命令ニ付テ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、関東州ニ在リテハ満洲国駐箚特命全権大使、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
第三条 大日本航空株式会社法第二十条第二項ノ規定ニ依リ支払フベキ補償金ハ国債証券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
第四条 朝鮮、台湾、関東州、樺太及南洋群島ニ於テハ大日本航空株式会社ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ大日本航空株式会社法施行ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間其ノ事業ニ付各当該地ノ法令ニ依ル所得税、営業収益税及営業税ヲ免除ス
第五条 朝鮮ニ於ケル道、府邑面、台湾ニ於ケル州庁、市街庄、関東州ニ於ケル地方費、市会、樺太ニ於ケル市町村及南洋群島ニ於ケル地方費ハ前条ノ規定ニ依リ所得税、営業収益税及営業税ヲ免除セラレタル期間大日本航空株式会社ノ事業ニ対シテハ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、関東州ニ在リテハ満洲国駐箚特命全権大使、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六条 昭和十三年十二月一日航空法第三十六条ノ許可ヲ受ケタル大日本航空株式会社(以下許可会社ト称ス)大日本航空株式会社法第三十八条第一項ノ決議ヲ為シ之ニ付逓信大臣ノ認可アリタルトキハ遅滞ナク決議ノ日ニ於ケル資産勘定及債務勘定ヲ整理シ逓信大臣ノ承認ヲ受クベシ
第七条 大日本航空株式会社ノ設立委員ハ許可会社ノ株式ニ対シテハ之ト額面及払込金額ヲ同ジクスル大日本航空株式会社ノ株式ヲ引当ツベシ
第八条 大日本航空株式会社法第四十条ノ定款ニハ商法ニ規定スル事項ノ外左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 前条ノ規定ニ依リ許可会社ノ株式ニ引当ツベキ株式ノ数及払込金総額
二 許可会社ノ昭和十四年三月三十一日ニ於ケル財産概況
第九条 大日本航空株式会社法第四十五条ノ創立総会ニ関シ商法第百二十六条ノ二及第百三十一条第三項ノ規定ヲ適用スルニ付テハ許可会社ノ株主ハ之ヲ株式引受人ト看做ス
第十条 大日本航空株式会社ノ設立登記ノ申請ヲ受理シタルトキハ登記官吏ハ職権ヲ以テ許可会社ノ登記用紙ニ其ノ事由ヲ記載シテ之ヲ閉鎖スベシ
第十一条 許可会社ノ最終ノ営業期ニ於ケル利益ノ配当ハ之ヲ為サズ但シ大日本航空株式会社ノ初営業年度ニ於ケル利益ノ配当ヲ為スニ当リテハ許可会社ノ株式ニ引当テタル株式ニ対シテハ許可会社ノ最終ノ営業期ノ初ヨリ大日本航空株式会社ニ其ノ株式存在シタルモノト看做シテ配当スベキ金額ヲ算定スベシ
前項ニ規定スル株式以外ノ株式ニ対スル利益ノ配当ハ会社成立ノ日以後ノ期間ニ付其ノ金額ヲ算定スベシ
附 則
本令ハ大日本航空株式会社法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス