宗教団体法
法令番号: 法律第七十七號
公布年月日: 昭和14年4月8日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル宗敎團體法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月七日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
文部大臣 男爵 荒木貞夫
內務大臣 侯爵 木戶幸一
大藏大臣 石渡莊太郞
法律第七十七號
宗敎團體法
第一條 本法ニ於テ宗敎團體トハ神道敎派、佛敎宗派及基督敎其ノ他ノ宗敎ノ敎團(以下單ニ敎派、宗派、敎團ト稱ス)竝ニ寺院及敎會ヲ謂フ
第二條 敎派、宗派及敎團竝ニ敎會ハ之ヲ法人ト爲スコトヲ得
寺院ハ之ヲ法人トス
第三條 敎派、宗派又ハ敎團ヲ設立セントスルトキハ設立者ニ於テ敎規、宗制又ハ敎團規則ヲ具シ法人タラントスルモノニ在リテハ其ノ旨ヲ明ニシ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
敎規、宗制及敎團規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名稱
二 事務所ノ所在地
三 敎義ノ大要
四 敎義ノ宣布及儀式ノ執行ニ關スル事項
五 管長、敎團統理者其ノ他ノ機關ノ組織、任免及職務權限ニ關スル事項
六 寺院、敎會其ノ他ノ所屬團體ニ關スル事項
七 住職、敎會主管者、其ノ代務者及敎師ノ資格、名稱及任免其ノ他ノ進退竝ニ僧侶ニ關スル事項
八 檀徒、敎徒又ハ信徒ニ關スル事項
九 財產管理其ノ他ノ財務ニ關スル事項
十 公益事業ニ關スル事項
敎規、宗制若ハ敎團規則ヲ變更セントスルトキ又ハ法人ニ非ザル敎派、宗派若ハ敎團ガ法人タラントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第四條 敎派及宗派ニハ管長ヲ、敎團ニハ敎團統理者ヲ置クベシ
管長又ハ敎團統理者ハ敎派、宗派又ハ敎團ヲ統理シ之ヲ代表ス
管長又ハ敎團統理者缺ケタルトキ、未成年ナルトキ又ハ久シキニ亙リ職務ヲ行フコト能ハザルトキハ代務者ヲ置キ其ノ職務ヲ行ハシムベシ
管長、敎團統理者又ハ其ノ代務者就任セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第五條 敎派、宗派又ハ敎團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ合併又ハ解散ヲ爲スコトヲ得
敎派、宗派又ハ敎團ハ設立認可ノ取消ニ因リテ解散ス
第六條 寺院又ハ敎會ヲ設立セントスルトキハ設立者ニ於テ寺院規則又ハ敎會規則ヲ具シ第二項第五號ノ敎會ヲ除クノ外豫メ管長又ハ敎團統理者ノ承認ヲ經、法人タラントスル敎會ニ在リテハ其ノ旨ヲ明ニシ地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
寺院規則及敎會規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名稱
二 所在地
三 本尊、奉齋主神、安置佛等ノ稱號
四 所屬敎派、宗派又ハ敎團ノ名稱
五 敎派、宗派又ハ敎團ニ屬セザル敎會ニ在リテハ前號ニ規定スル事項ニ代ヘ其ノ奉ズル宗敎ノ名稱及敎義ノ大要竝ニ敎師ノ資格、名稱及任免其ノ他ノ進退ニ關スル事項
六 敎義ノ宣布及儀式ノ執行ニ關スル事項
七 住職、敎會主管者其ノ他ノ機關ニ關スル事項
八 檀徒、敎徒又ハ信徒及其ノ總代ニ關スル事項
九 本末寺及法類ニ關スル事項
十 財產管理其ノ他ノ財務ニ關スル事項
十一 公益事業ニ關スル事項
寺院規則若ハ敎會規則ヲ變更セントスルトキ又ハ法人ニ非ザル敎會ガ法人タラントスルトキハ檀徒、敎徒及信徒ノ總代ノ同意ヲ得前項第五號ノ敎會ヲ除クノ外豫メ管長又ハ敎團統理者ノ承認ヲ經、地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第七條 寺院ニハ住職ヲ、敎會ニハ敎會主管者ヲ置クベシ
住職又ハ敎會主管者ハ寺院又ハ敎會ヲ主管シ之ヲ代表ス
住職又ハ敎會主管者缺ケタルトキ、未成年ナルトキ又ハ久シキニ亙リ職務ヲ行フコト能ハザルトキハ代務者ヲ置キ其ノ職務ヲ行ハシムベシ
第八條 寺院及敎會ニハ檀徒、敎徒及信徒ノ總代(以下單ニ總代ト稱ス)三人以上ヲ置クベシ
總代ハ寺院又ハ敎會ノ經營ニ關シ住職又ハ敎會主管者ヲ扶ク
總代ノ選任及解任ハ住職又ハ敎會主管者ヨリ之ヲ市町村長(市制第六條及第八十二條第三項ノ市ニ在リテハ區長、町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキ者)ニ屆出ヅルコトヲ要ス
第九條 寺院又ハ法人タル敎會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ寶物其ノ他不動產以外ノ重要ナル財產ニ付地方長官ニ於テ保管スル寺院財產臺帳又ハ敎會財產臺帳ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
寺院財產臺帳又ハ敎會財產臺帳ヲ閱覽シ又ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ請求スルコトヲ得
第十條 寺院又ハ法人タル敎會左ニ揭グル行爲ヲ爲サントスルトキハ總代ノ同意ヲ得第六條第二項第五號ノ敎會ヲ除クノ外管長又ハ敎團統理者ノ意見書ヲ添ヘ、地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
一 不動產又ハ寺院財產臺帳若ハ敎會財產臺帳ニ登錄セラレタル財產ヲ處分シ又ハ擔保ニ供スルコト
二 借財又ハ保證ヲ爲スコト
前項ノ場合ニ於テ總代ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキハ住職又ハ敎會主管者ハ其ノ事由ヲ具シ地方長官ノ承認ヲ求ムルコトヲ得
第一項ニ規定スル事項ニ付地方長官ノ認可ヲ受ケズシテ爲シタル行爲ハ之ヲ無效トス
第一項ニ規定スル事項ニ付總代ノ同意ヲ得ズシテ爲シタル行爲ハ第二項ノ規定ニ依リ地方長官ノ承認ヲ得タル場合ヲ除クノ外之ヲ無效トス
前二項ノ場合ニ於テ相手方ガ善意無過失ナルトキハ其ノ行爲ヲ爲シタル住職又ハ敎會主管者ハ相手方ノ選擇ニ從ヒ之ニ對シテ履行又ハ損害賠償ノ責ニ任ズ
第十一條 寺院又ハ敎會ハ第六條第二項第五號ノ敎會ヲ除クノ外豫メ管長又ハ敎團統理者ノ承認ヲ經、地方長官ノ認可ヲ受ケテ合併又ハ解散ヲ爲スコトヲ得
寺院又ハ敎會左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ地方長官ハ其ノ設立ノ認可ヲ取消スコトヲ得
一 堂宇又ハ會堂ノ滅失後五年內ニ其ノ施設ヲ爲サザルトキ
二 住職又ハ敎會主管者及其ノ代務者ヲ缺クコト三年以上ニ及ブトキ
寺院又ハ敎會ハ設立認可ノ取消ニ因リテ解散ス
第十二條 寺院ノ境內地ノ管理、境內地ノ區域ノ變更及境內建物ノ管理竝ニ敎會ノ構內地ノ管理、構內地ノ區域ノ變更及構內建物ノ管理ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條 法人タル宗敎團體ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十四條 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外宗敎團體ノ合併及解散ノ場合ニ於ケル必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條 民法第四十三條、第四十四條、第五十條、第五十一條第一項、第五十四條、第五十七條及第七十三條乃至第八十三條竝ニ民法施行法第二十四條、第二十六條及第二十七條ノ規定ハ法人タル宗敎團體ニ、民法第四十一條及第四十二條ノ規定ハ寺院及法人タル敎會ニ付之ヲ準用ス但シ民法第五十七條ノ規定ノ準用ニ依ル特別代理人ノ選任ハ敎規、宗制、敎團規則、寺院規則又ハ敎會規則ノ定ムル所ニ依ル
第十六條 宗敎團體又ハ敎師ノ行フ宗敎ノ敎義ノ宣布若ハ儀式ノ執行又ハ宗敎上ノ行事ガ安寧秩序ヲ妨ゲ又ハ臣民タルノ義務ニ背クトキハ主務大臣ハ之ヲ制限シ若ハ禁止シ、敎師ノ業務ヲ停止シ又ハ宗敎團體ノ設立ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第十七條 宗敎團體又ハ其ノ機關ノ職ニ在ル者法令又ハ敎規、宗制、敎團規則、寺院規則若ハ敎會規則ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ取消シ、停止シ若ハ禁止シ又ハ機關ノ職ニ在ル者ノ改任ヲ命ズルコトヲ得
敎師法令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ其ノ業務ヲ停止スルコトヲ得
第十八條 主務大臣ハ宗敎團體ニ對シ監督上必要アル場合ニ於テハ報吿ヲ徵シ又ハ實況ヲ調査スルコトヲ得
第十九條 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ規定スル其ノ權限ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第二十條 第十一條第二項、第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル處分ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ爲スコトヲ得
第十一條第二項又ハ第十六條ニ規定スル設立認可ノ取消處分ヲ違法ニシテ之ニ依リ權利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ訴願ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十一條 宗敎團體ニ於テ公衆禮拜ノ用ニ供スル建物又ハ其ノ敷地ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ經タルモノハ不動產ノ先取特權、抵當權若ハ質權ノ實行ノ爲ニスル場合又ハ破產ノ場合ヲ除クノ外其ノ登記後ニ原因ヲ生ジタル私法上ノ金錢債權ノ爲ニ之ヲ差押フルコトヲ得ズ寺院財產臺帳又ハ敎會財產臺帳ニ登錄セラレタル寶物ニ付亦同ジ
第二十二條 宗敎團體ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅ヲ課セズ
寺院ノ境內地及敎會ノ構內地ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ地租ヲ免除ス但シ有料借地ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ宗敎團體ノ所得ニ對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十三條 宗敎團體ニ非ズシテ宗敎ノ敎義ノ宣布及儀式ノ執行ヲ爲ス結社(以下宗敎結社ト稱ス)ヲ組織シタルトキハ代表者ニ於テ規則ヲ定メ十四日內ニ地方長官ニ屆出ヅルコトヲ要ス屆出事項ニ變更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
宗敎結社ノ規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名稱
二 事務所ノ所在地
三 敎義、儀式及行事ニ關スル事項
四 奉齋主神、安置佛等ノ稱號
五 組織ニ關スル事項
六 財產管理其ノ他ノ財務ニ關スル事項
七 代表者及布敎者ノ資格及選定方法
第二十四條 宗敎結社ノ代表者ハ其ノ結社ニ屬スル布敎者ノ氏名及住所ヲ遲滯ナク地方長官ニ屆出ヅルコトヲ要ス其ノ屆出事項ニ變更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
第二十五條 第十六條乃至第十八條及第二十條第一項ノ規定ハ宗敎結社又ハ其ノ代表者若ハ布敎者ニ付之ヲ準用ス
第二十六條 敎師又ハ布敎者第十六條(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル制限、禁止若ハ業務ノ停止又ハ第十七條第二項(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル業務ノ停止ニ違反シタルトキハ六月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
宗敎團體又ハ宗敎結社ニ對シ第十六條(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル制限又ハ禁止アリタル場合ニ於テ當該宗敎團體又ハ宗敎結社ノ代表者其ノ他ノ機關ノ職ニ在ル者、敎師又ハ布敎者制限又ハ禁止アリタルコトヲ知リテ其ノ行爲ヲ爲シタルトキ亦前項ニ同ジ
第二十七條 宗敎結社ノ代表者第二十三條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十八條 法人タル宗敎團體ノ代表者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ二百圓以下ノ過料ニ處ス
一 第十三條第一項又ハ第十五條ニ於テ準用スル民法第七十七條ノ規定ニ依ル登記ヲ爲サザルトキ
二 第十五條ニ於テ準用スル民法第五十一條第一項ノ規定ニ違反シ又ハ財產目錄ニ虛僞ノ記載ヲ爲シタルトキ
三 第十五條ニ於テ準用スル民法第八十二條ノ規定ニ依ル裁判所ノ檢査ヲ妨ゲタルトキ
四 第十五條ニ於テ準用スル民法第八十一條ノ規定ニ依ル破產宣吿ノ請求ヲ爲サザルトキ
五 第十五條ニ於テ準用スル民法第七十九條又ハ第八十一條ノ規定ニ依ル公吿ヲ爲サズ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ
宗敎團體又ハ宗敎結社ノ代表者第十八條(第二十五條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ、虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ調査ヲ妨ゲタルトキ及宗敎結社ノ代表者第二十四條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキ亦前項ニ同ジ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
第二十九條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十條 明治六年太政官第二百四十九號布吿、明治十年太政官第四十三號布吿及明治十七年太政官第十九號布達ハ之ヲ廢止ス
第三十一條 本法施行ノ際現ニ存スル敎派又ハ宗派ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人ニ非ザル敎派又ハ宗派ト看做シ其ノ管長ハ之ヲ本法ニ依ル管長ト看做ス
前項ノ敎派又ハ宗派ハ本法施行後一年內ニ敎規又ハ宗制ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス其ノ認可アル迄從前ノ敎規又ハ宗制寺法ヲ以テ敎規又ハ宗制ニ代用ス
第三十二條 本法施行ノ際現ニ寺院明細帳ニ登錄セラルル寺院ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル寺院ト看做シ本法施行ノ際現ニ存スル祠宇ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人タル敎會ト看做ス
前項ノ寺院又ハ敎會ハ本法施行後二年內ニ寺院規則又ハ敎會規則ヲ定メ總代ノ同意ヲ得管長ノ承認ヲ經地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス其ノ寺院規則又ハ敎會規則ノ認可アル迄ノ寺院又ハ敎會ニ關シテハ命令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
地方長官前項ノ規定ニ依リ寺院規則又ハ敎會規則ヲ認可シタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記所ニ登記ノ囑託ヲ爲スベシ
第三十三條 本法施行前敎會所、堂宇、會堂、說敎所又ハ講義所ノ類トシテ設立ノ許可ヲ受ケタルモノニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人ニ非ザル敎會ト看做ス
前條第二項ノ規定ハ前項ノ敎會ニ付之ヲ準用ス
第三十四條 第三十二條第一項又ハ前條第一項ノ寺院又ハ敎會ヲ主管シ之ヲ代表スル者ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ルモノハ之ヲ本法ニ依ル住職又ハ敎會主管者ト看做シ其ノ檀徒總代又ハ信徒總代ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ルモノハ之ヲ本法ニ依ル總代ト看做ス
第三十五條 本法施行ノ際現ニ佛堂明細帳ニ登錄セラルル佛堂ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法施行後二年內ニ寺院ニ屬シ又ハ寺院若ハ敎會ト爲ルコトヲ得其ノ寺院ニ屬セズ又ハ寺院若ハ敎會ト爲ラザルモノノ處分ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ佛堂ニシテ寺院ニ屬セズ又ハ寺院若ハ敎會ト爲ラザルモノニ付テハ本法施行後二年ヲ限リ仍從前ノ例ニ依ル
第三十六條 本法施行ノ際現ニ存スル宗敎結社ニ付テハ代表者ニ於テ宗敎結社ノ規則ヲ定メ本法施行後十四日內ニ地方長官ニ屆出ヅルコトヲ要ス
前項ノ宗敎結社ノ代表者前項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條 
登錄稅法第二條及第三條ノ二中「寺院、祠宇、佛堂」ヲ「法人タル宗敎團體」ニ改ム
同法第十九條但書中「第八號乃至第九號ノ四」ヲ「第二號ノ二、第八號乃至第九號ノ四」ニ改メ同條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二 神社ノ敷地ニ關スル登記
二ノ二 寺院ノ境內地若ハ敎會ノ構內地又ハ寺院若ハ敎會ノ用ニ供スル建物ニ關スル登記
二ノ三 墳墓地ニ關スル登記
第三十五條第一項ノ佛堂ニシテ寺院ニ屬セズ又ハ寺院若ハ敎會ト爲ラザルモノノ不動產ニ關スル登記ニ付テハ前二項ノ改正規定ニ拘ラズ本法施行後二年ヲ限リ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル宗教団体法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月七日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
文部大臣 男爵 荒木貞夫
内務大臣 侯爵 木戸幸一
大蔵大臣 石渡荘太郎
法律第七十七号
宗教団体法
第一条 本法ニ於テ宗教団体トハ神道教派、仏教宗派及基督教其ノ他ノ宗教ノ教団(以下単ニ教派、宗派、教団ト称ス)並ニ寺院及教会ヲ謂フ
第二条 教派、宗派及教団並ニ教会ハ之ヲ法人ト為スコトヲ得
寺院ハ之ヲ法人トス
第三条 教派、宗派又ハ教団ヲ設立セントスルトキハ設立者ニ於テ教規、宗制又ハ教団規則ヲ具シ法人タラントスルモノニ在リテハ其ノ旨ヲ明ニシ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
教規、宗制及教団規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名称
二 事務所ノ所在地
三 教義ノ大要
四 教義ノ宣布及儀式ノ執行ニ関スル事項
五 管長、教団統理者其ノ他ノ機関ノ組織、任免及職務権限ニ関スル事項
六 寺院、教会其ノ他ノ所属団体ニ関スル事項
七 住職、教会主管者、其ノ代務者及教師ノ資格、名称及任免其ノ他ノ進退並ニ僧侶ニ関スル事項
八 檀徒、教徒又ハ信徒ニ関スル事項
九 財産管理其ノ他ノ財務ニ関スル事項
十 公益事業ニ関スル事項
教規、宗制若ハ教団規則ヲ変更セントスルトキ又ハ法人ニ非ザル教派、宗派若ハ教団ガ法人タラントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第四条 教派及宗派ニハ管長ヲ、教団ニハ教団統理者ヲ置クベシ
管長又ハ教団統理者ハ教派、宗派又ハ教団ヲ統理シ之ヲ代表ス
管長又ハ教団統理者欠ケタルトキ、未成年ナルトキ又ハ久シキニ亘リ職務ヲ行フコト能ハザルトキハ代務者ヲ置キ其ノ職務ヲ行ハシムベシ
管長、教団統理者又ハ其ノ代務者就任セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第五条 教派、宗派又ハ教団ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ合併又ハ解散ヲ為スコトヲ得
教派、宗派又ハ教団ハ設立認可ノ取消ニ因リテ解散ス
第六条 寺院又ハ教会ヲ設立セントスルトキハ設立者ニ於テ寺院規則又ハ教会規則ヲ具シ第二項第五号ノ教会ヲ除クノ外予メ管長又ハ教団統理者ノ承認ヲ経、法人タラントスル教会ニ在リテハ其ノ旨ヲ明ニシ地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
寺院規則及教会規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名称
二 所在地
三 本尊、奉斎主神、安置仏等ノ称号
四 所属教派、宗派又ハ教団ノ名称
五 教派、宗派又ハ教団ニ属セザル教会ニ在リテハ前号ニ規定スル事項ニ代ヘ其ノ奉ズル宗教ノ名称及教義ノ大要並ニ教師ノ資格、名称及任免其ノ他ノ進退ニ関スル事項
六 教義ノ宣布及儀式ノ執行ニ関スル事項
七 住職、教会主管者其ノ他ノ機関ニ関スル事項
八 檀徒、教徒又ハ信徒及其ノ総代ニ関スル事項
九 本末寺及法類ニ関スル事項
十 財産管理其ノ他ノ財務ニ関スル事項
十一 公益事業ニ関スル事項
寺院規則若ハ教会規則ヲ変更セントスルトキ又ハ法人ニ非ザル教会ガ法人タラントスルトキハ檀徒、教徒及信徒ノ総代ノ同意ヲ得前項第五号ノ教会ヲ除クノ外予メ管長又ハ教団統理者ノ承認ヲ経、地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第七条 寺院ニハ住職ヲ、教会ニハ教会主管者ヲ置クベシ
住職又ハ教会主管者ハ寺院又ハ教会ヲ主管シ之ヲ代表ス
住職又ハ教会主管者欠ケタルトキ、未成年ナルトキ又ハ久シキニ亘リ職務ヲ行フコト能ハザルトキハ代務者ヲ置キ其ノ職務ヲ行ハシムベシ
第八条 寺院及教会ニハ檀徒、教徒及信徒ノ総代(以下単ニ総代ト称ス)三人以上ヲ置クベシ
総代ハ寺院又ハ教会ノ経営ニ関シ住職又ハ教会主管者ヲ扶ク
総代ノ選任及解任ハ住職又ハ教会主管者ヨリ之ヲ市町村長(市制第六条及第八十二条第三項ノ市ニ在リテハ区長、町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキ者)ニ届出ヅルコトヲ要ス
第九条 寺院又ハ法人タル教会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ宝物其ノ他不動産以外ノ重要ナル財産ニ付地方長官ニ於テ保管スル寺院財産台帳又ハ教会財産台帳ニ登録ヲ受クルコトヲ要ス
寺院財産台帳又ハ教会財産台帳ヲ閲覧シ又ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ交付ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ請求スルコトヲ得
第十条 寺院又ハ法人タル教会左ニ掲グル行為ヲ為サントスルトキハ総代ノ同意ヲ得第六条第二項第五号ノ教会ヲ除クノ外管長又ハ教団統理者ノ意見書ヲ添ヘ、地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
一 不動産又ハ寺院財産台帳若ハ教会財産台帳ニ登録セラレタル財産ヲ処分シ又ハ担保ニ供スルコト
二 借財又ハ保証ヲ為スコト
前項ノ場合ニ於テ総代ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキハ住職又ハ教会主管者ハ其ノ事由ヲ具シ地方長官ノ承認ヲ求ムルコトヲ得
第一項ニ規定スル事項ニ付地方長官ノ認可ヲ受ケズシテ為シタル行為ハ之ヲ無効トス
第一項ニ規定スル事項ニ付総代ノ同意ヲ得ズシテ為シタル行為ハ第二項ノ規定ニ依リ地方長官ノ承認ヲ得タル場合ヲ除クノ外之ヲ無効トス
前二項ノ場合ニ於テ相手方ガ善意無過失ナルトキハ其ノ行為ヲ為シタル住職又ハ教会主管者ハ相手方ノ選択ニ従ヒ之ニ対シテ履行又ハ損害賠償ノ責ニ任ズ
第十一条 寺院又ハ教会ハ第六条第二項第五号ノ教会ヲ除クノ外予メ管長又ハ教団統理者ノ承認ヲ経、地方長官ノ認可ヲ受ケテ合併又ハ解散ヲ為スコトヲ得
寺院又ハ教会左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ地方長官ハ其ノ設立ノ認可ヲ取消スコトヲ得
一 堂宇又ハ会堂ノ滅失後五年内ニ其ノ施設ヲ為サザルトキ
二 住職又ハ教会主管者及其ノ代務者ヲ欠クコト三年以上ニ及ブトキ
寺院又ハ教会ハ設立認可ノ取消ニ因リテ解散ス
第十二条 寺院ノ境内地ノ管理、境内地ノ区域ノ変更及境内建物ノ管理並ニ教会ノ構内地ノ管理、構内地ノ区域ノ変更及構内建物ノ管理ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三条 法人タル宗教団体ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第十四条 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外宗教団体ノ合併及解散ノ場合ニ於ケル必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五条 民法第四十三条、第四十四条、第五十条、第五十一条第一項、第五十四条、第五十七条及第七十三条乃至第八十三条並ニ民法施行法第二十四条、第二十六条及第二十七条ノ規定ハ法人タル宗教団体ニ、民法第四十一条及第四十二条ノ規定ハ寺院及法人タル教会ニ付之ヲ準用ス但シ民法第五十七条ノ規定ノ準用ニ依ル特別代理人ノ選任ハ教規、宗制、教団規則、寺院規則又ハ教会規則ノ定ムル所ニ依ル
第十六条 宗教団体又ハ教師ノ行フ宗教ノ教義ノ宣布若ハ儀式ノ執行又ハ宗教上ノ行事ガ安寧秩序ヲ妨ゲ又ハ臣民タルノ義務ニ背クトキハ主務大臣ハ之ヲ制限シ若ハ禁止シ、教師ノ業務ヲ停止シ又ハ宗教団体ノ設立ノ認可ヲ取消スコトヲ得
第十七条 宗教団体又ハ其ノ機関ノ職ニ在ル者法令又ハ教規、宗制、教団規則、寺院規則若ハ教会規則ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ取消シ、停止シ若ハ禁止シ又ハ機関ノ職ニ在ル者ノ改任ヲ命ズルコトヲ得
教師法令ニ違反シ其ノ他公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ主務大臣ハ其ノ業務ヲ停止スルコトヲ得
第十八条 主務大臣ハ宗教団体ニ対シ監督上必要アル場合ニ於テハ報告ヲ徴シ又ハ実況ヲ調査スルコトヲ得
第十九条 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本法ニ規定スル其ノ権限ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第二十条 第十一条第二項、第十六条又ハ第十七条ノ規定ニ依ル処分ニ対シ不服アル者ハ訴願ヲ為スコトヲ得
第十一条第二項又ハ第十六条ニ規定スル設立認可ノ取消処分ヲ違法ニシテ之ニ依リ権利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ訴願ヲ為スコトヲ得ズ
第二十一条 宗教団体ニ於テ公衆礼拝ノ用ニ供スル建物又ハ其ノ敷地ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ経タルモノハ不動産ノ先取特権、抵当権若ハ質権ノ実行ノ為ニスル場合又ハ破産ノ場合ヲ除クノ外其ノ登記後ニ原因ヲ生ジタル私法上ノ金銭債権ノ為ニ之ヲ差押フルコトヲ得ズ寺院財産台帳又ハ教会財産台帳ニ登録セラレタル宝物ニ付亦同ジ
第二十二条 宗教団体ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得税ヲ課セズ
寺院ノ境内地及教会ノ構内地ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ地租ヲ免除ス但シ有料借地ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ宗教団体ノ所得ニ対シ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
第二十三条 宗教団体ニ非ズシテ宗教ノ教義ノ宣布及儀式ノ執行ヲ為ス結社(以下宗教結社ト称ス)ヲ組織シタルトキハ代表者ニ於テ規則ヲ定メ十四日内ニ地方長官ニ届出ヅルコトヲ要ス届出事項ニ変更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
宗教結社ノ規則ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 名称
二 事務所ノ所在地
三 教義、儀式及行事ニ関スル事項
四 奉斎主神、安置仏等ノ称号
五 組織ニ関スル事項
六 財産管理其ノ他ノ財務ニ関スル事項
七 代表者及布教者ノ資格及選定方法
第二十四条 宗教結社ノ代表者ハ其ノ結社ニ属スル布教者ノ氏名及住所ヲ遅滞ナク地方長官ニ届出ヅルコトヲ要ス其ノ届出事項ニ変更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
第二十五条 第十六条乃至第十八条及第二十条第一項ノ規定ハ宗教結社又ハ其ノ代表者若ハ布教者ニ付之ヲ準用ス
第二十六条 教師又ハ布教者第十六条(前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル制限、禁止若ハ業務ノ停止又ハ第十七条第二項(前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル業務ノ停止ニ違反シタルトキハ六月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
宗教団体又ハ宗教結社ニ対シ第十六条(前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル制限又ハ禁止アリタル場合ニ於テ当該宗教団体又ハ宗教結社ノ代表者其ノ他ノ機関ノ職ニ在ル者、教師又ハ布教者制限又ハ禁止アリタルコトヲ知リテ其ノ行為ヲ為シタルトキ亦前項ニ同ジ
第二十七条 宗教結社ノ代表者第二十三条ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十八条 法人タル宗教団体ノ代表者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ二百円以下ノ過料ニ処ス
一 第十三条第一項又ハ第十五条ニ於テ準用スル民法第七十七条ノ規定ニ依ル登記ヲ為サザルトキ
二 第十五条ニ於テ準用スル民法第五十一条第一項ノ規定ニ違反シ又ハ財産目録ニ虚偽ノ記載ヲ為シタルトキ
三 第十五条ニ於テ準用スル民法第八十二条ノ規定ニ依ル裁判所ノ検査ヲ妨ゲタルトキ
四 第十五条ニ於テ準用スル民法第八十一条ノ規定ニ依ル破産宣告ノ請求ヲ為サザルトキ
五 第十五条ニ於テ準用スル民法第七十九条又ハ第八十一条ノ規定ニ依ル公告ヲ為サズ又ハ不正ノ公告ヲ為シタルトキ
宗教団体又ハ宗教結社ノ代表者第十八条(第二十五条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ、虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ調査ヲ妨ゲタルトキ及宗教結社ノ代表者第二十四条ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキ亦前項ニ同ジ
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
第二十九条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十条 明治六年太政官第二百四十九号布告、明治十年太政官第四十三号布告及明治十七年太政官第十九号布達ハ之ヲ廃止ス
第三十一条 本法施行ノ際現ニ存スル教派又ハ宗派ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人ニ非ザル教派又ハ宗派ト看做シ其ノ管長ハ之ヲ本法ニ依ル管長ト看做ス
前項ノ教派又ハ宗派ハ本法施行後一年内ニ教規又ハ宗制ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス其ノ認可アル迄従前ノ教規又ハ宗制寺法ヲ以テ教規又ハ宗制ニ代用ス
第三十二条 本法施行ノ際現ニ寺院明細帳ニ登録セラルル寺院ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル寺院ト看做シ本法施行ノ際現ニ存スル祠宇ハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人タル教会ト看做ス
前項ノ寺院又ハ教会ハ本法施行後二年内ニ寺院規則又ハ教会規則ヲ定メ総代ノ同意ヲ得管長ノ承認ヲ経地方長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス其ノ寺院規則又ハ教会規則ノ認可アル迄ノ寺院又ハ教会ニ関シテハ命令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
地方長官前項ノ規定ニ依リ寺院規則又ハ教会規則ヲ認可シタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記所ニ登記ノ嘱託ヲ為スベシ
第三十三条 本法施行前教会所、堂宇、会堂、説教所又ハ講義所ノ類トシテ設立ノ許可ヲ受ケタルモノニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ之ヲ本法ニ依リ設立ヲ認可セラレタル法人ニ非ザル教会ト看做ス
前条第二項ノ規定ハ前項ノ教会ニ付之ヲ準用ス
第三十四条 第三十二条第一項又ハ前条第一項ノ寺院又ハ教会ヲ主管シ之ヲ代表スル者ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ルモノハ之ヲ本法ニ依ル住職又ハ教会主管者ト看做シ其ノ檀徒総代又ハ信徒総代ニシテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ルモノハ之ヲ本法ニ依ル総代ト看做ス
第三十五条 本法施行ノ際現ニ仏堂明細帳ニ登録セラルル仏堂ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法施行後二年内ニ寺院ニ属シ又ハ寺院若ハ教会ト為ルコトヲ得其ノ寺院ニ属セズ又ハ寺院若ハ教会ト為ラザルモノノ処分ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ仏堂ニシテ寺院ニ属セズ又ハ寺院若ハ教会ト為ラザルモノニ付テハ本法施行後二年ヲ限リ仍従前ノ例ニ依ル
第三十六条 本法施行ノ際現ニ存スル宗教結社ニ付テハ代表者ニ於テ宗教結社ノ規則ヲ定メ本法施行後十四日内ニ地方長官ニ届出ヅルコトヲ要ス
前項ノ宗教結社ノ代表者前項ノ規定ニ依ル届出ヲ為サズ又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタルトキハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十七条 
登録税法第二条及第三条ノ二中「寺院、祠宇、仏堂」ヲ「法人タル宗教団体」ニ改ム
同法第十九条但書中「第八号乃至第九号ノ四」ヲ「第二号ノ二、第八号乃至第九号ノ四」ニ改メ同条第二号ヲ左ノ如ク改ム
二 神社ノ敷地ニ関スル登記
二ノ二 寺院ノ境内地若ハ教会ノ構内地又ハ寺院若ハ教会ノ用ニ供スル建物ニ関スル登記
二ノ三 墳墓地ニ関スル登記
第三十五条第一項ノ仏堂ニシテ寺院ニ属セズ又ハ寺院若ハ教会ト為ラザルモノノ不動産ニ関スル登記ニ付テハ前二項ノ改正規定ニ拘ラズ本法施行後二年ヲ限リ仍従前ノ例ニ依ル