陸軍航空士官学校令
法令番号: 勅令第七百四十五號
公布年月日: 昭和13年12月10日
法令の形式: 勅令
朕陸軍航空士官學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年十二月九日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
陸軍大臣 板垣征四郞
勅令第七百四十五號
陸軍航空士官學校令
第一條 陸軍航空士官學校ハ航空兵科將校ト爲スベキ生徒及學生ヲ敎育スル所トス
第二條 生徒ハ陸軍豫科士官學校生徒ノ課程ヲ卒業シ航空兵科士官候補生ヲ命ゼラレタル者ヲ以テ之ニ充テ航空兵科將校ニ必要ナル敎育ヲ受ケシム通常每年一囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ二年四月トス
第三條 學生ハ航空兵科少尉候補者ヲ以テ之ニ充テ航空兵科將校ニ必要ナル敎育ヲ受ケシム通常每年一囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
第四條 生徒及學生ノ敎育ヲ分チテ訓育竝ニ學科及術科敎育トシ其ノ敎育綱領ハ陸軍航空總監之ヲ定ム
第五條 生徒及學生ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第六條 生徒及學生ノ學科敎育及之ニ關聯スル訓育ニ任ゼシムル爲陸軍航空士官學校ニ敎育部ヲ置ク
第七條 生徒及學生ノ訓育及術科敎育ヲ行フ爲陸軍航空士官學校ニ敎育隊ヲ置ク
第八條 兵器ノ修理竝ニ生徒及學生ノ實習ニ供スル爲陸軍航空士官學校ニ材料廠ヲ置ク
第九條 陸軍航空士官學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎官
敎育隊長
敎育隊副官
敎育隊中隊長
敎育隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十條 校長ハ陸軍航空總監ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十一條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育ノ統一ヲ圖ル
第十二條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十三條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十四條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ學科敎育及之ニ關聯スル訓育ヲ分擔ス
第十五條 敎育隊長ハ敎育隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育及術科敎育ヲ掌理ス
第十六條 敎育隊副官ハ敎育隊長ノ命ヲ承ケ敎育隊ノ庶務ヲ掌ル
第十七條 敎育隊中隊長ハ敎育隊長ノ命ヲ承ケ訓育及術科敎育ヲ擔任ス
第十八條 敎育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十九條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十一條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ術科敎育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ從事ス
第二十二條 生徒ハ校內ニ、學生ハ校外ニ居住セシム但シ敎育上必要アルトキハ學生ヲ校內ニ起居セシムルコトヲ得
生徒及學生ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十三條 生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
學生ノ願屆其ノ他業務ニ關スル諸件ハ校長ノ管理ニ屬ス
第二十四條 生徒及學生ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十五條 生徒及學生左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外將校タルニ適セズト認ムル者
第二十六條 生徒及學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ生徒若ハ學生ト爲スコトヲ得
前條第三號又ハ第四號ノ規定ニ依リ退校セシメラレタル生徒ニシテ尙望アリト認ムルモノハ退校後一囘ヲ限リ更ニ之ヲ入校セシムルコトヲ得
第二十七條 前二條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長ノ上申ニ依リ陸軍航空總監陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
第二十八條 校長ハ生徒及學生卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ生徒ニ在リテハ著隊時日ヲ指定シ所屬部隊ニ之ヲ入隊セシメ學生ニ在リテハ之ヲ歸隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空總監ハ生徒及學生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各生徒及學生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル生徒及學生修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第二十九條 校長ハ生徒ニ每年冬季二週間以內夏季四週間以內ノ休暇ヲ、學生ニ二十日以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第三十條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十一條 校長ハ生徒及學生ノ敎育上必要アルトキハ敎育總監、軍司令官、師團長又ハ飛行集團長ニ禀議シ其ノ學校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ陸軍士官學校ノ航空兵科將校ト爲スベキ生徒又ハ學生タル者ハ各本令ニ依ル陸軍航空士官學校ノ生徒又ハ學生ト爲リタルモノトス
朕陸軍航空士官学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年十二月九日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
陸軍大臣 板垣征四郎
勅令第七百四十五号
陸軍航空士官学校令
第一条 陸軍航空士官学校ハ航空兵科将校ト為スベキ生徒及学生ヲ教育スル所トス
第二条 生徒ハ陸軍予科士官学校生徒ノ課程ヲ卒業シ航空兵科士官候補生ヲ命ゼラレタル者ヲ以テ之ニ充テ航空兵科将校ニ必要ナル教育ヲ受ケシム通常毎年一回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ二年四月トス
第三条 学生ハ航空兵科少尉候補者ヲ以テ之ニ充テ航空兵科将校ニ必要ナル教育ヲ受ケシム通常毎年一回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
第四条 生徒及学生ノ教育ヲ分チテ訓育並ニ学科及術科教育トシ其ノ教育綱領ハ陸軍航空総監之ヲ定ム
第五条 生徒及学生ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第六条 生徒及学生ノ学科教育及之ニ関連スル訓育ニ任ゼシムル為陸軍航空士官学校ニ教育部ヲ置ク
第七条 生徒及学生ノ訓育及術科教育ヲ行フ為陸軍航空士官学校ニ教育隊ヲ置ク
第八条 兵器ノ修理並ニ生徒及学生ノ実習ニ供スル為陸軍航空士官学校ニ材料廠ヲ置ク
第九条 陸軍航空士官学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教官
教育隊長
教育隊副官
教育隊中隊長
教育隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十条 校長ハ陸軍航空総監ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十一条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育ノ統一ヲ図ル
第十二条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十三条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ担任ノ業務ヲ掌ル
第十四条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ学科教育及之ニ関連スル訓育ヲ分担ス
第十五条 教育隊長ハ教育隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育及術科教育ヲ掌理ス
第十六条 教育隊副官ハ教育隊長ノ命ヲ承ケ教育隊ノ庶務ヲ掌ル
第十七条 教育隊中隊長ハ教育隊長ノ命ヲ承ケ訓育及術科教育ヲ担任ス
第十八条 教育隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各其ノ担任ノ業務ヲ掌ル
第十九条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十一条 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ術科教育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ従事ス
第二十二条 生徒ハ校内ニ、学生ハ校外ニ居住セシム但シ教育上必要アルトキハ学生ヲ校内ニ起居セシムルコトヲ得
生徒及学生ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十三条 生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
学生ノ願届其ノ他業務ニ関スル諸件ハ校長ノ管理ニ属ス
第二十四条 生徒及学生ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十五条 生徒及学生左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外将校タルニ適セズト認ムル者
第二十六条 生徒及学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ生徒若ハ学生ト為スコトヲ得
前条第三号又ハ第四号ノ規定ニ依リ退校セシメラレタル生徒ニシテ尚望アリト認ムルモノハ退校後一回ヲ限リ更ニ之ヲ入校セシムルコトヲ得
第二十七条 前二条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長ノ上申ニ依リ陸軍航空総監陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
第二十八条 校長ハ生徒及学生卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ生徒ニ在リテハ著隊時日ヲ指定シ所属部隊ニ之ヲ入隊セシメ学生ニ在リテハ之ヲ帰隊セシム
前項ノ場合ニ於テ陸軍航空総監ハ生徒及学生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各生徒及学生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル生徒及学生修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第二十九条 校長ハ生徒ニ毎年冬季二週間以内夏季四週間以内ノ休暇ヲ、学生ニ二十日以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第三十条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第三十一条 校長ハ生徒及学生ノ教育上必要アルトキハ教育総監、軍司令官、師団長又ハ飛行集団長ニ禀議シ其ノ学校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ陸軍士官学校ノ航空兵科将校ト為スベキ生徒又ハ学生タル者ハ各本令ニ依ル陸軍航空士官学校ノ生徒又ハ学生ト為リタルモノトス