第一條 主務大臣特許法第十五條第一項又ハ第四十條第一項ニ規定スル處分ヲ必要トスルトキハ商工大臣ニ之ヲ請求スベシ
第二條 主務大臣前條ノ請求ヲ爲サントスルトキハ左ニ揭グル事項ヲ記載シタル請求書ヲ商工大臣ニ差出スベシ
前項ノ請求書ニハ補償金ノ見積金額及內譯ヲ記載シタル書面ヲ添附スベシ
第三條 第一條ノ請求アリタルトキハ商工大臣ハ其ノ要旨ヲ出願者又ハ特許權者及實施權者ニ通知シ且官報及特許公報ニ公吿シ期間ヲ指定シテ出願者、特許權者及實施權者ニ意見書提出ノ機會ヲ與フベシ
第四條 商工大臣ハ前條ノ期間ヲ經過シタル後第一條ノ處分ニ付決定ヲ爲スベシ
第五條 主務大臣處分ヲ必要トスル理由ガ軍事上祕密ヲ要スルモノトシテ第一條ノ請求ヲ爲シタルトキハ商工大臣ハ其ノ請求ニ係ル處分ヲ爲スコトヲ決定スベシ
第六條 商工大臣前二條ノ決定ヲ爲シタルトキハ決定書ノ謄本ヲ主務大臣竝ニ出願者又ハ特許權者及實施權者ニ送付シ且決定ノ要旨ヲ官報及特許公報ニ公吿スベシ
第七條 商工大臣第一條ノ處分ヲ爲スコトヲ決定シタルトキハ出願者又ハ特許權者及實施權者ニ第二條第二項ノ補償金ノ見積金額及內譯ヲ記載シタル書面ヲ決定書ノ謄本ト共ニ送付スベシ
第八條 第一條ノ請求ヲ爲シタル場合ニ於テ軍事上又ハ公益上急迫ノ必要アルトキハ主務官廳ハ第四條ノ決定前ト雖モ直ニ特許發明ヲ實施スルコトヲ得
主務官廳前項ノ規定ニ依リ特許發明ヲ實施シタルトキハ主務大臣ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ商工大臣ニ通知スベシ
前項ノ通知アリタルトキハ商工大臣ハ其ノ旨ヲ特許權者及實施權者ニ通知スベシ
第九條 商工大臣第一條ノ處分ヲ爲スコトヲ決定シタルトキハ遲滯ナク特許補償審査會ノ決定ヲ求ムベシ前條第二項ノ通知アリタルトキ亦同ジ
第十條 補償金額ニ關シ主務官廳ト出願者又ハ特許權者若ハ實施權者トノ間ニ協議調ヒタルトキハ主務官廳ハ出願者又ハ特許權者若ハ實施權者ノ同意書ヲ添ヘ其ノ旨ヲ特許補償審査會ニ屆出ヅベシ此ノ場合ニ於テハ特許補償審査會ハ其ノ補償金額ニ付決定ヲ爲サズ
第十一條 出願者又ハ特許權者及實施權者ハ第六條ノ規定ニ依リ官報ニ公吿シタル日ヨリ三週間以內ニ補償金額ニ關スル詳細ナル計算書ヲ特許補償審査會ニ差出スベシ
第十二條 特許補償審査會決定ヲ爲シタルトキハ其ノ決定書ノ謄本ヲ添ヘ商工大臣ニ報吿スベシ
商工大臣前項ノ報吿ヲ受ケタルトキハ決定書ノ謄本ヲ主務大臣竝ニ出願者又ハ特許權者及實施權者ニ送達スベシ
第十三條 第一條乃至前條ノ規定ハ實用新案法第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十五條及第四十條ノ規定ニ依ル處分及補償金ノ支給ニ關シ之ヲ準用ス
第十四條 特許補償審査會ハ商工大臣ノ監督ニ屬シ特許法第十五條第二項及第四十條第三項竝ニ實用新案法第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十五條第二項及第四十條第三項ノ規定ニ依ル補償金額ノ決定ヲ爲スモノトス
第十五條 特許補償審査會ハ會長一人及委員十五人以內ヲ以テ之ヲ組織ス
前項定員ノ外必要アル場合ニ於テハ臨時委員ヲ置クコトヲ得
委員及臨時委員ハ商工大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳高等官及學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
會長事故アルトキハ商工大臣ノ指名スル委員其ノ職務ヲ代理ス
第十七條 特許補償審査會ニ幹事ヲ置ク商工大臣ノ奏請ニ依リ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
第十八條 特許補償審査會ニ書記ヲ置ク商工大臣之ヲ命ズ
特許補償審査會ノ議事ハ委員及臨時委員ノ過半數ニ依リ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ會長之ヲ決ス
第二十條 特許補償審査會ハ必要ト認ムルトキハ鑑定人ヲ選ビ又ハ出願者、特許權者及實施權者ノ出席ヲ求メ其ノ意見ヲ聽クコトヲ得
特許補償審査會ハ事實參考ノ爲必要ト認ムルトキハ前項ニ揭グル者以外ノ者ノ出席ヲ求メ其ノ供述ヲ聽クコトヲ得
第二十一條 特許補償審査會ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ會長之ニ記名捺印スベシ
第二十二條 鑑定人及事實參考人ハ日當、止宿料及旅費ヲ特許補償審査會ニ請求スルコトヲ得
鑑定人ハ前項ノ費用ノ外鑑定料ヲ特許補償審査會ニ請求スルコトヲ得
民事訴訟費用法第十一條乃至第十三條ノ規定ハ前二項ノ費用ノ額ニ之ヲ準用ス
第二十三條 本令ニ規定スルモノノ外特許補償審査會ニ關シ必要ナル事項ハ商工大臣之ヲ定ム
第二十四條 本令ニ依リ商工大臣ニ差出スベキ書類ハ特許局長官ヲ經由スベシ
第二十五條 本令中主務大臣トアルハ特許出願ニ係ル發明若ハ特許發明又ハ登錄出願ニ係ル實用新案若ハ登錄實用新案ガ公益上必要ナルモノナルトキハ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ樺太廳長官トス