関東州防空令
法令番号: 勅令第七百二十八號
公布年月日: 昭和12年12月24日
法令の形式: 勅令
朕關東州防空令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年十二月二十三日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
海軍大臣 米內光政
陸軍大臣 杉山元
勅令第七百二十八號
關東州防空令
第一條 關東州ニ於ケル防空ニ關シテハ本令ニ規定スルモノノ外防空法ニ依ル但シ同法第七條、第十三條第二項、第十四條第二項、第十七條、第二十條及第二十二條ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
同法中第十六條ノ規定ヲ除クノ外勅令トアルハ關東局令トス
同法中主務大臣トアルハ滿洲國駐箚特命全權大使トス但シ同法第十一條中主務大臣トアルハ大使、關東軍司令官、旅順要港部司令官トス
同法中地方長官トアルハ關東州廳長官トシ防空委員會トアルハ關東州防空委員會トシ市町村長トアルハ市長トシ市町村トアルハ市トシ行政執行法トアルハ大正十四年勅令第三百十六號ニ於テ依ルコトヲ定メタル行政執行法トシ北海道又ハ府縣トアルハ關東州地方費トス
第二條 旅順要港部司令官又ハ旅順要塞司令官ハ監視網構成ノ槪要ニ付及陸海軍ノ行フ防衞ノ必要上使用ヲ禁止又ハ制限スルコトアルベキ土地建物ニ付防空計畫ノ設定上必要ナル事項ヲ防空計畫ノ設定者ニ通知スベシ
前項ノ通知アリタルトキハ之ニ準據シテ防空計畫ヲ設定スベシ
第三條 防空計畫ノ認可ヲ爲ス場合ニ於テハ陸海軍ノ行フ防衞ニ則應セシムル爲必要アル事項ニ關シテハ大使ハ關東軍司令官及旅順要港部司令官ニ、關東州廳長官ハ旅順要港部司令官及旅順要塞司令官ニ協議スベシ
第四條 左ニ揭グル事項ニ關シテハ大使又ハ關東州廳長官ハ關係陸海軍司令官及關係官廳ニ協議スベシ
一 防空計畫ノ認可ヲ爲ス場合ニ於テ當該計畫中國ニ於テ管理スル土地家屋物件ノ使用ニ關スル事項
二 防空計畫ノ認可ヲ爲ス場合ニ於テ設備又ハ資材ノ整備又ハ供用ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ關スル事項
三 防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル指定及同條第二項ノ規定ニ依ル認可
四 設備又ハ資材ノ整備又ハ供用ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ關スル防空法第五條ノ規定ニ依ル命令
五 防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ニ對スル同法第十條第一項ノ規定ニ依ル命令
第五條 防空ノ實施ノ開始及終止ハ大使之ヲ命ズ
前項ノ命令ハ關東州廳長官及防空法第三條第一項ノ防空計畫ノ設定者ニ對シテハ大使、關係アル市長ニ對シテハ大使ノ通知ニ依リ關東州廳長官之ヲ發ス
大使第一項ノ命令ヲ爲スニ付テハ其ノ時期及區域ニ關シテハ關東軍司令官又ハ旅順要港部司令官ノ通知ニ依ルベシ
第六條 前條ノ規定ニ依リ防空ノ實施ノ開始命令アリタルトキハ防空計畫ノ設定者ハ監視及之ニ伴フ通信ニ關シテハ直ニ之ヲ實施シ防空上必要ナル其ノ他ノ事項ニ關シテハ其ノ準備ヲ爲シ適宜之ヲ實施スベシ
監視及之ニ伴フ通信ハ前條ノ規定ニ依リ防空ノ實施ノ終止命令アル迄之ヲ繼續スベシ
第七條 防空ヲ實施スル場合ニ於テ航空機ノ來襲ニ關シテハ左ノ各號ノ區分ニ依リ防空警報ヲ發ス
一 警戒警報 航空機ノ來襲ノ虞アル場合
二 警戒警報解除 航空機ノ來襲ノ虞ナキニ至リタル場合
三 空襲警報 航空機ノ來襲ノ危險アル場合
四 空襲警報解除 航空機ノ來襲ノ危險ナキニ至リタル場合
關東軍司令官、旅順要港部司令官又ハ旅順要塞司令官ノ發スル防空警報ヲ以テ前項ノ防空警報トス
第八條 防空法第八條及第十條第三項ニ規定スル燈火管制ニ關スル命令ハ大使之ヲ定ム
大使前項ノ命令ヲ定ムルニ付テハ燈火ノ分類、管制ノ程度其ノ他軍事上必要ナル事項ニ關シテハ關東軍司令官又ハ旅順要港部司令官ノ通知ニ依ルベシ
第九條 防空法第十三條第一項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クベキ者補償ニ付不服アルトキハ其ノ金額ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ、供用、收用又ハ使用ノ後六月ヲ經過シテ補償金額ノ決定ノ通知ヲ受ケザルトキハ其ノ期間經過シタル日ヨリ六月以內ニ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ裁決ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ規定ハ防空法第十四條第一項ノ實費辨償ニ之ヲ準用ス
第十條 國庫ハ豫算ノ範圍內ニ於テ大使ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ對シ其ノ二分ノ一以內ヲ補助ス
一 防空法第十五條第一項ノ規定ニ依リ關東州地方費、市又ハ同法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者ノ負擔スル費用
二 防空法第十五條第二項ノ規定ニ依リ特殊施設ノ管理者又ハ所有者ノ負擔スル費用
三 關東州防空委員會ニ關シ關東州地方費又ハ市ノ負擔スル費用
第十一條 大使防空法第三條第一項、第五條、第六條、第十一條及第二十一條ノ規定ニ關スル事項ニ付規定ヲ設ケントスルトキハ關東軍司令官及旅順要港部司令官ニ協議スベシ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕関東州防空令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年十二月二十三日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 杉山元
勅令第七百二十八号
関東州防空令
第一条 関東州ニ於ケル防空ニ関シテハ本令ニ規定スルモノノ外防空法ニ依ル但シ同法第七条、第十三条第二項、第十四条第二項、第十七条、第二十条及第二十二条ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
同法中第十六条ノ規定ヲ除クノ外勅令トアルハ関東局令トス
同法中主務大臣トアルハ満洲国駐箚特命全権大使トス但シ同法第十一条中主務大臣トアルハ大使、関東軍司令官、旅順要港部司令官トス
同法中地方長官トアルハ関東州庁長官トシ防空委員会トアルハ関東州防空委員会トシ市町村長トアルハ市長トシ市町村トアルハ市トシ行政執行法トアルハ大正十四年勅令第三百十六号ニ於テ依ルコトヲ定メタル行政執行法トシ北海道又ハ府県トアルハ関東州地方費トス
第二条 旅順要港部司令官又ハ旅順要塞司令官ハ監視網構成ノ概要ニ付及陸海軍ノ行フ防衛ノ必要上使用ヲ禁止又ハ制限スルコトアルベキ土地建物ニ付防空計画ノ設定上必要ナル事項ヲ防空計画ノ設定者ニ通知スベシ
前項ノ通知アリタルトキハ之ニ準拠シテ防空計画ヲ設定スベシ
第三条 防空計画ノ認可ヲ為ス場合ニ於テハ陸海軍ノ行フ防衛ニ則応セシムル為必要アル事項ニ関シテハ大使ハ関東軍司令官及旅順要港部司令官ニ、関東州庁長官ハ旅順要港部司令官及旅順要塞司令官ニ協議スベシ
第四条 左ニ掲グル事項ニ関シテハ大使又ハ関東州庁長官ハ関係陸海軍司令官及関係官庁ニ協議スベシ
一 防空計画ノ認可ヲ為ス場合ニ於テ当該計画中国ニ於テ管理スル土地家屋物件ノ使用ニ関スル事項
二 防空計画ノ認可ヲ為ス場合ニ於テ設備又ハ資材ノ整備又ハ供用ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ関スル事項
三 防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル指定及同条第二項ノ規定ニ依ル認可
四 設備又ハ資材ノ整備又ハ供用ニシテ他ノ法令ニ依リ認可又ハ許可ヲ要スルモノニ関スル防空法第五条ノ規定ニ依ル命令
五 防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ニ対スル同法第十条第一項ノ規定ニ依ル命令
第五条 防空ノ実施ノ開始及終止ハ大使之ヲ命ズ
前項ノ命令ハ関東州庁長官及防空法第三条第一項ノ防空計画ノ設定者ニ対シテハ大使、関係アル市長ニ対シテハ大使ノ通知ニ依リ関東州庁長官之ヲ発ス
大使第一項ノ命令ヲ為スニ付テハ其ノ時期及区域ニ関シテハ関東軍司令官又ハ旅順要港部司令官ノ通知ニ依ルベシ
第六条 前条ノ規定ニ依リ防空ノ実施ノ開始命令アリタルトキハ防空計画ノ設定者ハ監視及之ニ伴フ通信ニ関シテハ直ニ之ヲ実施シ防空上必要ナル其ノ他ノ事項ニ関シテハ其ノ準備ヲ為シ適宜之ヲ実施スベシ
監視及之ニ伴フ通信ハ前条ノ規定ニ依リ防空ノ実施ノ終止命令アル迄之ヲ継続スベシ
第七条 防空ヲ実施スル場合ニ於テ航空機ノ来襲ニ関シテハ左ノ各号ノ区分ニ依リ防空警報ヲ発ス
一 警戒警報 航空機ノ来襲ノ虞アル場合
二 警戒警報解除 航空機ノ来襲ノ虞ナキニ至リタル場合
三 空襲警報 航空機ノ来襲ノ危険アル場合
四 空襲警報解除 航空機ノ来襲ノ危険ナキニ至リタル場合
関東軍司令官、旅順要港部司令官又ハ旅順要塞司令官ノ発スル防空警報ヲ以テ前項ノ防空警報トス
第八条 防空法第八条及第十条第三項ニ規定スル灯火管制ニ関スル命令ハ大使之ヲ定ム
大使前項ノ命令ヲ定ムルニ付テハ灯火ノ分類、管制ノ程度其ノ他軍事上必要ナル事項ニ関シテハ関東軍司令官又ハ旅順要港部司令官ノ通知ニ依ルベシ
第九条 防空法第十三条第一項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クベキ者補償ニ付不服アルトキハ其ノ金額ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ、供用、収用又ハ使用ノ後六月ヲ経過シテ補償金額ノ決定ノ通知ヲ受ケザルトキハ其ノ期間経過シタル日ヨリ六月以内ニ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ裁決ヲ申請スルコトヲ得
前項ノ規定ハ防空法第十四条第一項ノ実費弁償ニ之ヲ準用ス
第十条 国庫ハ予算ノ範囲内ニ於テ大使ノ定ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ対シ其ノ二分ノ一以内ヲ補助ス
一 防空法第十五条第一項ノ規定ニ依リ関東州地方費、市又ハ同法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者ノ負担スル費用
二 防空法第十五条第二項ノ規定ニ依リ特殊施設ノ管理者又ハ所有者ノ負担スル費用
三 関東州防空委員会ニ関シ関東州地方費又ハ市ノ負担スル費用
第十一条 大使防空法第三条第一項、第五条、第六条、第十一条及第二十一条ノ規定ニ関スル事項ニ付規定ヲ設ケントスルトキハ関東軍司令官及旅順要港部司令官ニ協議スベシ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス