(国有財産法ヲ樺太ニ施行スルノ件)
法令番号: 勅令第百號
公布年月日: 昭和12年4月1日
法令の形式: 勅令
朕國有財產法ヲ樺太ニ施行スルノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
內閣總理大臣 林銑十郞
大藏大臣兼拓務大臣 結城豊太郞
勅令第百號
第一條 國有財產法ハ第十三條及第二十四條ノ規定ヲ除クノ外之ヲ樺太ニ施行ス
第二條 樺太廳ニ屬スル國有財產ニ關スル事務ハ樺太廳長官ヲシテ之ヲ管理セシム
第三條 各省大臣公用財產ノ用途ヲ廢止セントスルトキハ豫メ之ヲ樺太廳長官及大藏大臣ニ通知シ特ニ樺太廳長官ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廢止後遲滯ナク之ヲ樺太廳長官ニ引繼グベシ但シ其ノ用途廢止ト同時ニ國有財產タルノ性質ヲ失フモノ及大學資金ニ關スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
樺太廳長官前項ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク之ヲ大藏大臣ニ通知スベシ
第四條 前條ノ規定ニ依リ引繼ヲ受ケタル財產又ハ之ト交換シタル財產ハ國有財產整理資金ノ爲樺太廳長官ヲシテ之ヲ管理セシム但シ樺太廳長官大藏大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五條 樺太廳長官各省大臣ノ管理ニ屬スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大藏大臣ニ協議スベシ
各省大臣樺太廳長官ノ管理スル國有財產ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ樺太廳長官及大藏大臣ニ協議スベシ
第六條 樺太廳長官國有財產整理資金ノ爲管理スル雜種財產ヲ公用財產若ハ營林財產ト爲サントスルトキ又ハ讓與、交換若ハ無償ニテ貸付セントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第七條 雜種財產ハ營利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト爲ルベキ事業ニ供スル爲必要アルトキハ國有財產法第五條ノ規定ニ拘ラズ之ヲ當該事業者ニ讓與スルコトヲ得
第八條 國有財產法第二十一條乃至第二十三條及國有財產法施行令第二十三條乃至第二十七條ノ規定ハ公共用財產タル國有水面ノ埋立又ハ干拓ヲ爲サントスル者アル場合ニ付之ヲ準用ス
第九條 國有財產ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ當該官廳必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ當該官廳ハ其ノ境界査定ヲ樺太廳支廳長ニ委囑スルコトヲ得
前項ニ規定スル委囑アリタルトキハ樺太廳支廳長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ此ノ場合ニ於テハ國有財產法施行令第十五條乃至第十八條中當該官廳トアルハ境界査定ヲ施行スベキ樺太廳支廳長トス
第十條 樺太廳長官ハ其ノ管理スル國有財產ニ付每會計年度間ニ於ケル國有財產增減報吿書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
樺太廳長官ハ其ノ管理スル國有財產ニ付每五年三月三十一日現在ニ於ケル國有財產現在額報吿書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
第十一條 國有財產法施行令第三十八條ニ規定スル事項ハ樺太廳長官ノ管理スル國有財產ニ付テハ樺太廳長官大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十二條 國有財產法施行令第二條、第四條及第五條ノ規定ハ樺太ニ於ケル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
國有財產法施行令第三條、第八條但書及第三十八條ノ規定ハ樺太廳長官ノ管理スル國有財產ニ付之ヲ適用セズ
第十三條 樺太廳長官ノ管理スル國有財產ニ付テハ國有財產法施行令第一條中所管大臣又ハ第三十五條中各省大臣トアルハ樺太廳長官、同令第十九條中官報トアルハ樺太廳公報、同令第三十條中所管ノ各省又ハ各省トアルハ樺太廳トス
附 則
第十四條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十五條 樺太官有財產管理規則ハ之ヲ廢止ス
第十六條 樺太官有財產管理規則ニ依リテ爲シタル處分又ハ契約ニシテ本令施行ノ際現ニ其ノ效力ヲ有スルモノニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第十七條 樺太國有未開地特別處分令、樺太國有森林原野產物特別處分令及大正四年勅令第八十六號ハ國有財產法、國有財產法施行令又ハ本令ニ拘ラズ當分ノ內仍其ノ效力ヲ有ス
第十八條 官有財產ノ增減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報吿ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第十九條 國有財產現在額報吿書ノ第一囘分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ
第二十條 國有財產法、國有財產法施行令及本令中國有財產ノ臺帳、計算書及報吿書ニ關スル規定ハ當分ノ內國有ノ未開地及林野ニ付之ヲ適用セズ但シ國有財產ノ臺帳記載事項ニ付調査ヲ爲シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條 本令施行ノ際國有財產ノ臺帳ニ登錄スベキ土地及立木ノ價格ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ算定シタル金額ニ依ル
朕国有財産法ヲ樺太ニ施行スルノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
内閣総理大臣 林銑十郎
大蔵大臣兼拓務大臣 結城豊太郎
勅令第百号
第一条 国有財産法ハ第十三条及第二十四条ノ規定ヲ除クノ外之ヲ樺太ニ施行ス
第二条 樺太庁ニ属スル国有財産ニ関スル事務ハ樺太庁長官ヲシテ之ヲ管理セシム
第三条 各省大臣公用財産ノ用途ヲ廃止セントスルトキハ予メ之ヲ樺太庁長官及大蔵大臣ニ通知シ特ニ樺太庁長官ト協定シタルモノヲ除クノ外用途廃止後遅滞ナク之ヲ樺太庁長官ニ引継グベシ但シ其ノ用途廃止ト同時ニ国有財産タルノ性質ヲ失フモノ及大学資金ニ関スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
樺太庁長官前項ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ大蔵大臣ニ通知スベシ
第四条 前条ノ規定ニ依リ引継ヲ受ケタル財産又ハ之ト交換シタル財産ハ国有財産整理資金ノ為樺太庁長官ヲシテ之ヲ管理セシム但シ樺太庁長官大蔵大臣ト協定シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五条 樺太庁長官各省大臣ノ管理ニ属スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ所管大臣及大蔵大臣ニ協議スベシ
各省大臣樺太庁長官ノ管理スル国有財産ノ管理換ヲ受ケントスルトキハ樺太庁長官及大蔵大臣ニ協議スベシ
第六条 樺太庁長官国有財産整理資金ノ為管理スル雑種財産ヲ公用財産若ハ営林財産ト為サントスルトキ又ハ譲与、交換若ハ無償ニテ貸付セントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第七条 雑種財産ハ営利ヲ目的トセザル公共ノ利益ト為ルベキ事業ニ供スル為必要アルトキハ国有財産法第五条ノ規定ニ拘ラズ之ヲ当該事業者ニ譲与スルコトヲ得
第八条 国有財産法第二十一条乃至第二十三条及国有財産法施行令第二十三条乃至第二十七条ノ規定ハ公共用財産タル国有水面ノ埋立又ハ干拓ヲ為サントスル者アル場合ニ付之ヲ準用ス
第九条 国有財産ニ付境界ノ分明ナラザルモノアル場合ニ於テ当該官庁必要ト認メタルトキ又ハ隣接地所有者ノ申請アリタルトキハ当該官庁ハ其ノ境界査定ヲ樺太庁支庁長ニ委嘱スルコトヲ得
前項ニ規定スル委嘱アリタルトキハ樺太庁支庁長ハ其ノ境界査定ヲ施行スベシ此ノ場合ニ於テハ国有財産法施行令第十五条乃至第十八条中当該官庁トアルハ境界査定ヲ施行スベキ樺太庁支庁長トス
第十条 樺太庁長官ハ其ノ管理スル国有財産ニ付毎会計年度間ニ於ケル国有財産増減報告書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
樺太庁長官ハ其ノ管理スル国有財産ニ付毎五年三月三十一日現在ニ於ケル国有財産現在額報告書ヲ調製シ其ノ年八月三十一日迄ニ之ヲ拓務大臣ニ送付スベシ
第十一条 国有財産法施行令第三十八条ニ規定スル事項ハ樺太庁長官ノ管理スル国有財産ニ付テハ樺太庁長官大蔵大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第十二条 国有財産法施行令第二条、第四条及第五条ノ規定ハ樺太ニ於ケル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
国有財産法施行令第三条、第八条但書及第三十八条ノ規定ハ樺太庁長官ノ管理スル国有財産ニ付之ヲ適用セズ
第十三条 樺太庁長官ノ管理スル国有財産ニ付テハ国有財産法施行令第一条中所管大臣又ハ第三十五条中各省大臣トアルハ樺太庁長官、同令第十九条中官報トアルハ樺太庁公報、同令第三十条中所管ノ各省又ハ各省トアルハ樺太庁トス
附 則
第十四条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十五条 樺太官有財産管理規則ハ之ヲ廃止ス
第十六条 樺太官有財産管理規則ニ依リテ為シタル処分又ハ契約ニシテ本令施行ノ際現ニ其ノ効力ヲ有スルモノニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第十七条 樺太国有未開地特別処分令、樺太国有森林原野産物特別処分令及大正四年勅令第八十六号ハ国有財産法、国有財産法施行令又ハ本令ニ拘ラズ当分ノ内仍其ノ効力ヲ有ス
第十八条 官有財産ノ増減異動ニシテ本令施行前ニ係ルモノノ報告ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第十九条 国有財産現在額報告書ノ第一回分ハ昭和十二年三月三十一日ノ現在ニ依リ之ヲ調製スベシ
第二十条 国有財産法、国有財産法施行令及本令中国有財産ノ台帳、計算書及報告書ニ関スル規定ハ当分ノ内国有ノ未開地及林野ニ付之ヲ適用セズ但シ国有財産ノ台帳記載事項ニ付調査ヲ為シタルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一条 本令施行ノ際国有財産ノ台帳ニ登録スベキ土地及立木ノ価格ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ算定シタル金額ニ依ル