朕樺太資本利子稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
內閣總理大臣 林銑十郞
拓務大臣 結城豊太郞
勅令第七十四號
樺太資本利子稅令
第一條 樺太ニ於テ資本利子ノ支拂ヲ受クル者ニハ本令ニ依リ資本利子稅ヲ課ス
第二條 資本利子稅ハ樺太ニ於テ支拂ヲ受クル左ノ資本利子ニ付之ヲ賦課ス
甲種 公債、社債又ハ銀行預金ノ利子
乙種 第三種ノ所得ニ付納稅義務ヲ有スル者ノ第三種ノ所得中營業ニ非ザル貸金又ハ預金ノ利子
第三條 甲種ノ資本利子ハ其ノ支拂ヲ受クベキ金額ニ依ル
公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非ザル者ガ利子ノ支拂ヲ受クルトキハ元本ノ所有者ガ支拂ヲ受クルモノト看做ス但シ利子ノ生ズル期間中ニ元本ノ所有者ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ以テ利子ノ支拂ヲ受クル者ト看做ス
第四條 乙種ノ資本利子ハ前年中ノ收入金額ニ依ル
被相續人ノ收入金額ハ之ヲ相續人ノ收入金額ト看做ス
第五條 甲種ノ資本利子ニシテ左ニ揭グルモノニハ資本利子稅ヲ課セズ
一 樺太所得稅令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレザル者ノ支拂ヲ受クル利子
二 復興貯蓄債券ノ利子
第六條 資本利子稅ノ稅率ハ資本利子金額百分ノ二トス但シ貯蓄銀行ノ所有スル國債ノ利子ニ對スル資本利子稅ノ稅率ハ資本利子金額百分ノ一トス
第七條 乙種ノ資本利子ニ付納稅義務アル者ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ其ノ資本利子金額ヲ政府ニ申吿スベシ
第八條 乙種ノ資本利子金額ハ前條ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
乙種ノ資本利子金額ノ調査ニ關スル事項ハ樺太所得稅令ノ所得調査委員會ニ之ヲ諮問ス
所得調査委員會閉會後乙種ノ資本利子ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキハ其ノ決定ヲ爲スベカリシ年ノ翌年以後ニ於ケル所得調査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後乙種ノ資本利子ニ付納稅義務アルコトヲ申出デ又ハ資本利子金額ノ增加アルコトヲ申出デタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定ス
第九條 樺太所得稅令第三十條ノ二及第三十六條ノ規定ハ資本利子金額ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第十條 前二條ノ規定ニ依リ乙種ノ資本利子金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第十一條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル資本利子金額ニ對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第十二條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ樺太所得稅令ノ所得審査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
樺太所得稅令第四十二條ノ三第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十三條 甲種ノ資本利子ニ付テハ其ノ金額支拂ノ際支拂者其ノ資本利子稅ヲ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
乙種ノ資本利子ニ付テハ資本利子稅ノ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第一期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第十四條 前條第一項ノ規定ニ依リ徵收スベキ資本利子稅ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ支拂者ヨリ徵收ス
第十五條 乙種ノ資本利子ニ付テハ第三種ノ所得ニ對スル所得稅ノ納稅地ヲ以テ資本利子稅ノ納稅地トス
第十六條 稅務官吏ハ調査上必要アルトキハ資本利子ノ支拂ヲ受ケ又ハ其ノ支拂ヲ爲スト認ムル者ニ質問ヲ爲シ又ハ其ノ帳簿物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十七條 町村ハ資本利子稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十八條 本令ニ定ムルモノノ外資本利子稅ニ關シ必要ナル規定ハ樺太廳長官之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
乙種ノ資本利子ニ付テハ昭和十二年分資本利子稅ヨリ本令ヲ適用ス
第七條ノ規定中三月十五日トアルハ昭和十二年ニ限リ四月二十日トス
朕樺太資本利子税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
内閣総理大臣 林銑十郎
拓務大臣 結城豊太郎
勅令第七十四号
樺太資本利子税令
第一条 樺太ニ於テ資本利子ノ支払ヲ受クル者ニハ本令ニ依リ資本利子税ヲ課ス
第二条 資本利子税ハ樺太ニ於テ支払ヲ受クル左ノ資本利子ニ付之ヲ賦課ス
甲種 公債、社債又ハ銀行預金ノ利子
乙種 第三種ノ所得ニ付納税義務ヲ有スル者ノ第三種ノ所得中営業ニ非ザル貸金又ハ預金ノ利子
第三条 甲種ノ資本利子ハ其ノ支払ヲ受クベキ金額ニ依ル
公債又ハ社債ニ付元本ノ所有者ニ非ザル者ガ利子ノ支払ヲ受クルトキハ元本ノ所有者ガ支払ヲ受クルモノト看做ス但シ利子ノ生ズル期間中ニ元本ノ所有者ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ以テ利子ノ支払ヲ受クル者ト看做ス
第四条 乙種ノ資本利子ハ前年中ノ収入金額ニ依ル
被相続人ノ収入金額ハ之ヲ相続人ノ収入金額ト看做ス
第五条 甲種ノ資本利子ニシテ左ニ掲グルモノニハ資本利子税ヲ課セズ
一 樺太所得税令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得税ヲ課セラレザル者ノ支払ヲ受クル利子
二 復興貯蓄債券ノ利子
第六条 資本利子税ノ税率ハ資本利子金額百分ノ二トス但シ貯蓄銀行ノ所有スル国債ノ利子ニ対スル資本利子税ノ税率ハ資本利子金額百分ノ一トス
第七条 乙種ノ資本利子ニ付納税義務アル者ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ毎年三月十五日迄ニ其ノ資本利子金額ヲ政府ニ申告スベシ
第八条 乙種ノ資本利子金額ハ前条ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
乙種ノ資本利子金額ノ調査ニ関スル事項ハ樺太所得税令ノ所得調査委員会ニ之ヲ諮問ス
所得調査委員会閉会後乙種ノ資本利子ノ決定ニ付脱漏アルコトヲ発見シタルトキハ其ノ決定ヲ為スベカリシ年ノ翌年以後ニ於ケル所得調査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員会閉会後乙種ノ資本利子ニ付納税義務アルコトヲ申出デ又ハ資本利子金額ノ増加アルコトヲ申出デタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定ス
第九条 樺太所得税令第三十条ノ二及第三十六条ノ規定ハ資本利子金額ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第十条 前二条ノ規定ニ依リ乙種ノ資本利子金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第十一条 納税義務者前条ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル資本利子金額ニ対シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第十二条 前条第一項ノ請求アリタルトキハ樺太所得税令ノ所得審査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
樺太所得税令第四十二条ノ三第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十三条 甲種ノ資本利子ニ付テハ其ノ金額支払ノ際支払者其ノ資本利子税ヲ徴収シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
乙種ノ資本利子ニ付テハ資本利子税ノ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徴収ス
第一期 其ノ年八月一日ヨリ三十一日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第十四条 前条第一項ノ規定ニ依リ徴収スベキ資本利子税ヲ徴収セザルトキ又ハ其ノ徴収シタル税金ヲ納付セザルトキハ国税徴収ノ例ニ依リ之ヲ支払者ヨリ徴収ス
第十五条 乙種ノ資本利子ニ付テハ第三種ノ所得ニ対スル所得税ノ納税地ヲ以テ資本利子税ノ納税地トス
第十六条 税務官吏ハ調査上必要アルトキハ資本利子ノ支払ヲ受ケ又ハ其ノ支払ヲ為スト認ムル者ニ質問ヲ為シ又ハ其ノ帳簿物件ヲ検査スルコトヲ得
第十七条 町村ハ資本利子税ノ附加税ヲ課スルコトヲ得ズ
第十八条 本令ニ定ムルモノノ外資本利子税ニ関シ必要ナル規定ハ樺太庁長官之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
乙種ノ資本利子ニ付テハ昭和十二年分資本利子税ヨリ本令ヲ適用ス
第七条ノ規定中三月十五日トアルハ昭和十二年ニ限リ四月二十日トス