糸価安定施設法施行令
法令番号: 勅令第五十二號
公布年月日: 昭和12年3月31日
法令の形式: 勅令
朕絲價安定施設法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
內閣總理大臣 林銑十郞
農林大臣 山崎達之輔
勅令第五十二號
絲價安定施設法施行令
第一條 絲價安定施設法第二條ノ規定ニ依リ絲價安定施設組合ヲ設立セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ農林大臣ノ認可ヲ申請スベシ
特別ノ事由ニ因リ前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ招集スルコトヲ得
第二條 絲價安定施設法第四條第一項ノ規定ニ依リ絲價安定施設組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ農林大臣ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
第三條 農林大臣絲價安定施設法第四條第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタルトキハ絲價安定施設組合ノ理事長、副理事長、理事及評議員ヲ命ズ
前項ノ規定ニ依リ役員ノ就任アリタルトキハ組合員ハ遲滯ナク總代ヲ選擧スベシ
前項ノ規定ニ依リ總代ノ選擧アリタルトキハ第一項ノ理事長ハ遲滯ナク總代會ヲ招集スベシ
前項ノ總代會ニ於テハ初年度ニ於ケル收支豫算及經費ノ分賦收入方法ヲ議決スベシ
第四條 絲價安定施設法第十條ノ規定ニ依リ絲價安定施設組合ガ賣渡又ハ買入ヲ爲ス生絲ノ種類及品位ハ農林大臣之ヲ定ム
絲價安定施設法第十一條ノ賣渡價格及買入價格ハ前項ノ生絲ニ付之ヲ定ム
第五條 農林大臣ハ每年一月翌生絲年度產ノ生絲ニシテ命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノモノニ付翌生絲年度ニ於ケル賣渡價格及買入價格(標準賣渡價格及標準買入價格)ヲ定ム
物價其ノ他ノ經濟事情又ハ生絲ノ需給狀況ニ著シキ變動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ於テ農林大臣特ニ必要アリト認ムルトキハ絲價安定委員會ニ諮問シテ標準賣渡價格又ハ標準買入價格決定ノ時期ニ關シ前項ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
第一項ノ生絲以外ノ生絲ノ賣渡價格及買入價格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定ノ格差ヲ標準賣渡價格及標準買入價格ニ加減シタルモノトス
第六條 標準賣渡價格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ農林大臣ノ指定スル競爭纖維ノ價格ノ一定倍數ニ相當スル價格ニ基キ爲替相場及生絲運送費等ヲ參酌シテ定ムル價格ト絲價指數ト物價指數トノ關係ヨリ算出シタル價格ニ基キ農林大臣ノ定ムル價格トノ範圍內ニ於テ之ヲ定ム
前項ノ一定倍數ハ絲價安定委員會ニ諮問シテ農林大臣之ヲ定ム
第一項ノ農林大臣ノ定ムル價格ハ絲價指數ト物價指數トノ關係ヨリ算出シタル價格ノ上値三割ニ相當スル價格ト上値四割ニ相當スル價格トノ範圍內ニ於テ經濟事情ヲ參酌シテ之ヲ定ム
第七條 標準買入價格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ繭生產費中ニ於ケル現金支出額ニ自給費ノ一定割合ニ相當スル金額ヲ加ヘタルモノ及生絲ノ製造販賣ニ要スル費用ニ基キ定ムル價格ト絲價指數ト物價指數トノ關係ヨリ算出シタル價格ニ基キ農林大臣ノ定ムル價格トノ範圍內ニ於テ之ヲ定ム
前項ノ一定割合ハ絲價安定委員會ニ諮問シテ農林大臣之ヲ定ム
第一項ノ農林大臣ノ定ムル價格ハ絲價指數ト物價指數トノ關係ヨリ算出シタル價格ノ下値三割ニ相當スル價格ト下値四割ニ相當スル價格トノ範圍內ニ於テ經濟事情ヲ參酌シテ之ヲ定ム
第八條 標準買入價格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ繭生產費及生絲ノ製造販賣ニ要スル費用ニ基キ定ムル價格ノ八割五分ニ相當スル金額又ハ絲價指數ト物價指數トノ關係ヨリ算出シタル價格ノ下値三割ニ相當スル價格ヲ超ユルコトヲ得ズ
第九條 絲價安定施設法第十一條ノ繭生產費中ニ於ケル現金支出額及自給費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年調査シタル各養蠶者ノ上繭一貫當生產費中ニ於ケル現金支出額及自給費(例外ト認ムルモノヲ除ク)ヲ夫々平均シテ之ヲ算出ス
前項ノ上繭一貫當生產費中ニ於ケル現金支出額及自給費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各號ニ揭グル費用ノ合計額ヨリ副收入ノ金額ヲ控除シ上繭收量ヲ以テ除シタルモノヲ當該費用ノ合計額中ニ於ケル現金支出額及自給費ノ割合ニ依リ按分シテ之ヲ算出ス
一 桑園土地資本利子
二 小作料
三 肥料代
四 勞賃
五 蠶室及農舍費
六 蠶具及農具費
七 桑園設置費
八 蠶種代
九 消耗品代
十 諸稅諸掛
十一 雜費
前項各號ニ揭グル事項、副收入及上繭收量ノ調査方法ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 絲價安定施設法第十一條ノ生絲ノ製造販賣ニ要スル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年調査シタル各製絲業者ノ生絲百斤當製造販賣費(例外ト認ムルモノヲ除ク)ヲ平均シテ之ヲ算出ス
前項ノ生絲百斤當製造販賣費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各號ニ揭グル費用ノ合計額ヨリ副收入ノ金額ヲ控除シタルモノヲ生絲製造數量ヲ以テ除シテ之ヲ算出ス
一 給料、賃金、手當又ハ之ニ準ズベキモノ及旅費
二 燃料、電力及電燈費
三 賄材料費
四 購繭、乾繭又ハ生絲販賣ニ關スル手數料
五 利子
六 保管料
七 保險料
八 通信運搬費
九 建物及設備費
十 諸稅諸掛
十一 雜費
前項各號ニ揭グル事項、副收入及生絲製造數量ノ調査方法ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 標準賣渡價格又ハ標準買入價格ハ物價其ノ他ノ經濟事情ノ變動著シキ場合又ハ生絲ノ需給狀況ニ著シキ變動ヲ生ジ若ハ生ズルノ虞アル場合ニ於テ農林大臣特ニ必要アリト認ムルトキハ第六條乃至第八條ノ規定ニ準ジテ之ヲ改定スルコトヲ得
第十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ絲價安定施設組合ハ絲價安定施設法第十條ノ規定ニ依ル買入又ハ賣渡ノ申込ニ應ゼザルコトヲ得
一 申込數量ガ命令ノ定ムル數量ニ達セザルトキ
二 買占其ノ他不當ノ利得ヲ圖ル目的ヲ以テ申込ヲ爲シタルモノト認メタルトキ
三 絲價安定施設組合ノ組合員ニ非ザル者ノ製造シタル生絲ニ付賣渡ノ申込アリタルトキ
四 當該生絲年度產以外ノ生絲ニ付賣渡ノ申込アリタルトキ
第十三條 賣渡價格ニ依ル買入ノ申込アリタル場合ニ於テ買入ノ申込アリタル種類及品位ノ生絲ヲ所有セザルトキハ絲價安定施設組合ハ買入申込者ニ於テ申込ノ際反對ノ意思ヲ表示シタル場合ヲ除クノ外他ノ種類及品位ノ生絲ヲ賣渡スコトヲ得
第十四條 絲價安定施設組合ガ生絲ノ共同保管ヲ開始スルコトヲ得ルハ第五條第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノ生絲ノ市價ガ命令ノ定ムル所ニ依リ標準買入價格ノ上値一割ニ相當スル價格以下ニ低落シタル場合ニ限ル
第十五條 絲價安定施設法第十五條第二項ノ規定ニ依リ絲價安定施設組合ニ交付スル生絲ノ數量ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保管期間一年ニ付組合ノ共同保管シタル生絲ノ數量ノ百分ノ五ヲ超ユルコトヲ得ズ
政府ガ絲價安定施設法第十五條第二項ノ規定ニ依リ其ノ所有生絲ヲ絲價安定施設組合ニ對シ交付スルニ付テハ寄託者ガ共同保管ニ依リ著シキ利益ヲ得タル場合ニ於テハ組合ハ交付ヲ受ケタル生絲ノ價額ニ相當スル金額ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ爲スベキコトノ條件ヲ附スベシ
絲價安定施設組合ガ共同保管ニ關シ絲價安定施設法若ハ同法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ政府ハ組合ニ對シ絲價安定施設法第十五條第二項ノ規定ニ依リ交付シタル生絲ノ價額ニ相當スル金額ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
第十六條 絲價安定施設組合ハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ所有生絲ノ買換及整理ノ爲ニスル賣渡ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テ賣渡又ハ買入ノ價格ハ時價ニ準據スルコトヲ要ス
第十七條 絲價安定施設法第二十三條第一項第三號、第七號及第八號ニ揭グル事項ハ總代會ニ於テ之ヲ組織スル者半數以上出席シ出席者ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
第十八條 理事長ハ絲價安定施設組合ヲ代表シ其ノ事務ヲ總理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ補佐シ定款ノ定ムル所ニ從ヒ絲價安定施設組合ノ業務ヲ掌理ス
評議員ハ理事長ノ諮問ニ應ジ竝ニ絲價安定施設組合ノ業務執行及財產ノ狀況ヲ監査ス
第十九條 理事長又ハ副理事長ハ組合ト利益相反スル事項ニ付テハ組合ヲ代表スルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ前條ノ規定ニ依リ組合ヲ代表スル者缺ケタルトキ又ハ事故アルトキハ理事組合ヲ代表ス
第二十條 蠶絲業組合法第三十四條、第三十五條、第三十七條及第四十條竝ニ蠶絲業組合法施行令第一條、第二條第三項、第三條第二項、第四條、第五條、第六條第二項及第七條乃至第十條ノ規定ハ絲價安定施設組合ニ之ヲ準用ス
第二十一條 政府必要アリト認ムルトキハ絲價安定施設組合ニ對シ組合ガ絲價安定施設法第十條ノ規定ニ依リ買入レタル生絲ヲ買入後命令ノ定ムル期間內ニ限リ其ノ買入價格ニ依リ政府ニ賣渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二條 政府絲價安定施設法第二十九條ノ規定ニ依リ新規ノ用途又ハ販路ニ向クル爲ニ其ノ所有生絲ノ處分ヲ爲サントスル場合ニ於テハ生絲需要增進調査會ニ諮問スルコトヲ要ス
第二十三條 農林大臣ハ生絲ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ爲政府ノ所有生絲ヲ利用セントスル者ニ對シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ限リ之ヲ讓與スルコトヲ得
一 利用者ガ加工シ又ハ加工セズシテ博覽會、展覽會等ヘノ出品ノ用ニ供セントスルトキ
二 利用者ガ加工シ又ハ加工セズシテ標本又ハ見本ノ用ニ供セントスルトキ
三 利用者ガ試驗硏究ノ用ニ供セントスルトキ
四 公共團體其ノ他農林大臣ノ適當ト認ムル團體ガ新規絹製品ノ普及ヲ圖ル爲利用セントスルトキ
農林大臣前項第一號乃至第三號ノ規定ニ依リ讓與ヲ爲スニ付テハ利用者其ノ讓與ヲ受ケタル生絲又ハ其ノ加工品ヲ其ノ用ニ供シタル後之ヲ處分シ又ハ他ノ用ニ供セントスル場合ハ農林大臣ノ認可ヲ受クベキコトノ條件ヲ附スベシ
農林大臣第一項第四號ノ規定ニ依リ讓與ヲ爲サントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ政府ハ生絲ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ爲所有生絲ヲ其ノ用ニ供スルコトヲ得
一 加工シ又ハ加工セズシテ博覽會、展覽會等ヘノ出品ノ用ニ供スルトキ
二 加工シ又ハ加工セズシテ標本又ハ見本ノ用ニ供スルトキ
三 試驗硏究ノ用ニ供スルトキ
四 前各號ノ外生絲ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ爲特ニ必要ト認ムル用ニ供スルトキ
第二十五條 政府ガ絲價安定施設法第三十條ノ規定ニ依リ生絲ノ買入ヲ爲スコトヲ得ルハ第五條第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノ生絲ノ市價ガ命令ノ定ムル所ニ依リ標準賣渡價格ノ八割ニ相當スル價格以下ナル場合ニ限ル
第二十六條 農林大臣ハ繭及生絲ノ生產費、生產高、現在高、消費高及價格ノ調查ノ爲道府縣、市町村及市町村長ニ對シ調査上必要ナル事務ヲ行フベキコトヲ命ジ竝ニ適當ト認ムル者ニ對シ記帳及報吿ヲ命ズルコトヲ得
第二十七條 農林大臣ノ指定シタル市場ノ開設者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ市場ニ於テ每日取引セラレタル生絲ノ相場及數量ヲ農林大臣ニ報吿スベシ
第二十八條 本令中生絲年度ト稱スルハ其ノ年ノ六月一日ヨリ翌年五月三十一日迄トス
附 則
本令ハ絲價安定施設法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
絲價安定施設法第十一條ノ賣渡價格及買入價格決定ノ時期ハ昭和十二年ニ限リ第五條ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
絲價安定施設法第十一條ノ繭生產費中ニ於ケル現金支出額及自給費竝ニ生絲ノ製造販賣ニ要スル費用ハ昭和十二年ニ限リ第九條及第十條ノ規定ニ拘ラズ農林大臣之ヲ定ムルコトヲ得
政府新規ノ用途又ハ販路ニ向クル爲ニ其ノ所有生絲ノ處分ヲ爲サントスル場合ニ於テ本令施行前旣ニ其ノ處分ニ付生絲需要增進調査會ノ議ニ附シタルモノハ本令ニ依リ生絲需要增進調査會ニ諮問シタルモノト看做ス
絲價安定施設法附則第二項ノ規定ニ依リ政府ガ生絲ノ賣渡又ハ買入ヲ爲ス場合ニ於テハ豫メ時期ヲ定メ之ヲ吿示ス
第十二條及第十三條ノ規定ハ絲價安定施設法附則第二項ノ規定ニ依リ政府ガ生絲ノ賣渡又ハ買入ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
昭和七年勅令第百六號ハ之ヲ廢止ス
朕糸価安定施設法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
内閣総理大臣 林銑十郎
農林大臣 山崎達之輔
勅令第五十二号
糸価安定施設法施行令
第一条 糸価安定施設法第二条ノ規定ニ依リ糸価安定施設組合ヲ設立セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ農林大臣ノ認可ヲ申請スベシ
特別ノ事由ニ因リ前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ創立総会ヲ招集スルコトヲ得
第二条 糸価安定施設法第四条第一項ノ規定ニ依リ糸価安定施設組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ農林大臣ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
第三条 農林大臣糸価安定施設法第四条第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタルトキハ糸価安定施設組合ノ理事長、副理事長、理事及評議員ヲ命ズ
前項ノ規定ニ依リ役員ノ就任アリタルトキハ組合員ハ遅滞ナク総代ヲ選挙スベシ
前項ノ規定ニ依リ総代ノ選挙アリタルトキハ第一項ノ理事長ハ遅滞ナク総代会ヲ招集スベシ
前項ノ総代会ニ於テハ初年度ニ於ケル収支予算及経費ノ分賦収入方法ヲ議決スベシ
第四条 糸価安定施設法第十条ノ規定ニ依リ糸価安定施設組合ガ売渡又ハ買入ヲ為ス生糸ノ種類及品位ハ農林大臣之ヲ定ム
糸価安定施設法第十一条ノ売渡価格及買入価格ハ前項ノ生糸ニ付之ヲ定ム
第五条 農林大臣ハ毎年一月翌生糸年度産ノ生糸ニシテ命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノモノニ付翌生糸年度ニ於ケル売渡価格及買入価格(標準売渡価格及標準買入価格)ヲ定ム
物価其ノ他ノ経済事情又ハ生糸ノ需給状況ニ著シキ変動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ於テ農林大臣特ニ必要アリト認ムルトキハ糸価安定委員会ニ諮問シテ標準売渡価格又ハ標準買入価格決定ノ時期ニ関シ前項ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
第一項ノ生糸以外ノ生糸ノ売渡価格及買入価格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定ノ格差ヲ標準売渡価格及標準買入価格ニ加減シタルモノトス
第六条 標準売渡価格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ農林大臣ノ指定スル競争繊維ノ価格ノ一定倍数ニ相当スル価格ニ基キ為替相場及生糸運送費等ヲ参酌シテ定ムル価格ト糸価指数ト物価指数トノ関係ヨリ算出シタル価格ニ基キ農林大臣ノ定ムル価格トノ範囲内ニ於テ之ヲ定ム
前項ノ一定倍数ハ糸価安定委員会ニ諮問シテ農林大臣之ヲ定ム
第一項ノ農林大臣ノ定ムル価格ハ糸価指数ト物価指数トノ関係ヨリ算出シタル価格ノ上値三割ニ相当スル価格ト上値四割ニ相当スル価格トノ範囲内ニ於テ経済事情ヲ参酌シテ之ヲ定ム
第七条 標準買入価格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ繭生産費中ニ於ケル現金支出額ニ自給費ノ一定割合ニ相当スル金額ヲ加ヘタルモノ及生糸ノ製造販売ニ要スル費用ニ基キ定ムル価格ト糸価指数ト物価指数トノ関係ヨリ算出シタル価格ニ基キ農林大臣ノ定ムル価格トノ範囲内ニ於テ之ヲ定ム
前項ノ一定割合ハ糸価安定委員会ニ諮問シテ農林大臣之ヲ定ム
第一項ノ農林大臣ノ定ムル価格ハ糸価指数ト物価指数トノ関係ヨリ算出シタル価格ノ下値三割ニ相当スル価格ト下値四割ニ相当スル価格トノ範囲内ニ於テ経済事情ヲ参酌シテ之ヲ定ム
第八条 標準買入価格ハ命令ノ定ムル所ニ依リ繭生産費及生糸ノ製造販売ニ要スル費用ニ基キ定ムル価格ノ八割五分ニ相当スル金額又ハ糸価指数ト物価指数トノ関係ヨリ算出シタル価格ノ下値三割ニ相当スル価格ヲ超ユルコトヲ得ズ
第九条 糸価安定施設法第十一条ノ繭生産費中ニ於ケル現金支出額及自給費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毎年調査シタル各養蚕者ノ上繭一貫当生産費中ニ於ケル現金支出額及自給費(例外ト認ムルモノヲ除ク)ヲ夫々平均シテ之ヲ算出ス
前項ノ上繭一貫当生産費中ニ於ケル現金支出額及自給費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各号ニ掲グル費用ノ合計額ヨリ副収入ノ金額ヲ控除シ上繭収量ヲ以テ除シタルモノヲ当該費用ノ合計額中ニ於ケル現金支出額及自給費ノ割合ニ依リ按分シテ之ヲ算出ス
一 桑園土地資本利子
二 小作料
三 肥料代
四 労賃
五 蚕室及農舎費
六 蚕具及農具費
七 桑園設置費
八 蚕種代
九 消耗品代
十 諸税諸掛
十一 雑費
前項各号ニ掲グル事項、副収入及上繭収量ノ調査方法ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 糸価安定施設法第十一条ノ生糸ノ製造販売ニ要スル費用ハ命令ノ定ムル所ニ依リ毎年調査シタル各製糸業者ノ生糸百斤当製造販売費(例外ト認ムルモノヲ除ク)ヲ平均シテ之ヲ算出ス
前項ノ生糸百斤当製造販売費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各号ニ掲グル費用ノ合計額ヨリ副収入ノ金額ヲ控除シタルモノヲ生糸製造数量ヲ以テ除シテ之ヲ算出ス
一 給料、賃金、手当又ハ之ニ準ズベキモノ及旅費
二 燃料、電力及電灯費
三 賄材料費
四 購繭、乾繭又ハ生糸販売ニ関スル手数料
五 利子
六 保管料
七 保険料
八 通信運搬費
九 建物及設備費
十 諸税諸掛
十一 雑費
前項各号ニ掲グル事項、副収入及生糸製造数量ノ調査方法ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 標準売渡価格又ハ標準買入価格ハ物価其ノ他ノ経済事情ノ変動著シキ場合又ハ生糸ノ需給状況ニ著シキ変動ヲ生ジ若ハ生ズルノ虞アル場合ニ於テ農林大臣特ニ必要アリト認ムルトキハ第六条乃至第八条ノ規定ニ準ジテ之ヲ改定スルコトヲ得
第十二条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ糸価安定施設組合ハ糸価安定施設法第十条ノ規定ニ依ル買入又ハ売渡ノ申込ニ応ゼザルコトヲ得
一 申込数量ガ命令ノ定ムル数量ニ達セザルトキ
二 買占其ノ他不当ノ利得ヲ図ル目的ヲ以テ申込ヲ為シタルモノト認メタルトキ
三 糸価安定施設組合ノ組合員ニ非ザル者ノ製造シタル生糸ニ付売渡ノ申込アリタルトキ
四 当該生糸年度産以外ノ生糸ニ付売渡ノ申込アリタルトキ
第十三条 売渡価格ニ依ル買入ノ申込アリタル場合ニ於テ買入ノ申込アリタル種類及品位ノ生糸ヲ所有セザルトキハ糸価安定施設組合ハ買入申込者ニ於テ申込ノ際反対ノ意思ヲ表示シタル場合ヲ除クノ外他ノ種類及品位ノ生糸ヲ売渡スコトヲ得
第十四条 糸価安定施設組合ガ生糸ノ共同保管ヲ開始スルコトヲ得ルハ第五条第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノ生糸ノ市価ガ命令ノ定ムル所ニ依リ標準買入価格ノ上値一割ニ相当スル価格以下ニ低落シタル場合ニ限ル
第十五条 糸価安定施設法第十五条第二項ノ規定ニ依リ糸価安定施設組合ニ交付スル生糸ノ数量ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保管期間一年ニ付組合ノ共同保管シタル生糸ノ数量ノ百分ノ五ヲ超ユルコトヲ得ズ
政府ガ糸価安定施設法第十五条第二項ノ規定ニ依リ其ノ所有生糸ヲ糸価安定施設組合ニ対シ交付スルニ付テハ寄託者ガ共同保管ニ依リ著シキ利益ヲ得タル場合ニ於テハ組合ハ交付ヲ受ケタル生糸ノ価額ニ相当スル金額ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ為スベキコトノ条件ヲ附スベシ
糸価安定施設組合ガ共同保管ニ関シ糸価安定施設法若ハ同法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ政府ハ組合ニ対シ糸価安定施設法第十五条第二項ノ規定ニ依リ交付シタル生糸ノ価額ニ相当スル金額ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
第十六条 糸価安定施設組合ハ農林大臣ノ認可ヲ受ケ所有生糸ノ買換及整理ノ為ニスル売渡ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テ売渡又ハ買入ノ価格ハ時価ニ準拠スルコトヲ要ス
第十七条 糸価安定施設法第二十三条第一項第三号、第七号及第八号ニ掲グル事項ハ総代会ニ於テ之ヲ組織スル者半数以上出席シ出席者ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
第十八条 理事長ハ糸価安定施設組合ヲ代表シ其ノ事務ヲ総理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ理事長欠員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ補佐シ定款ノ定ムル所ニ従ヒ糸価安定施設組合ノ業務ヲ掌理ス
評議員ハ理事長ノ諮問ニ応ジ並ニ糸価安定施設組合ノ業務執行及財産ノ状況ヲ監査ス
第十九条 理事長又ハ副理事長ハ組合ト利益相反スル事項ニ付テハ組合ヲ代表スルコトヲ得ズ此ノ場合ニ於テ前条ノ規定ニ依リ組合ヲ代表スル者欠ケタルトキ又ハ事故アルトキハ理事組合ヲ代表ス
第二十条 蚕糸業組合法第三十四条、第三十五条、第三十七条及第四十条並ニ蚕糸業組合法施行令第一条、第二条第三項、第三条第二項、第四条、第五条、第六条第二項及第七条乃至第十条ノ規定ハ糸価安定施設組合ニ之ヲ準用ス
第二十一条 政府必要アリト認ムルトキハ糸価安定施設組合ニ対シ組合ガ糸価安定施設法第十条ノ規定ニ依リ買入レタル生糸ヲ買入後命令ノ定ムル期間内ニ限リ其ノ買入価格ニ依リ政府ニ売渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二条 政府糸価安定施設法第二十九条ノ規定ニ依リ新規ノ用途又ハ販路ニ向クル為ニ其ノ所有生糸ノ処分ヲ為サントスル場合ニ於テハ生糸需要増進調査会ニ諮問スルコトヲ要ス
第二十三条 農林大臣ハ生糸ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ為政府ノ所有生糸ヲ利用セントスル者ニ対シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ限リ之ヲ譲与スルコトヲ得
一 利用者ガ加工シ又ハ加工セズシテ博覧会、展覧会等ヘノ出品ノ用ニ供セントスルトキ
二 利用者ガ加工シ又ハ加工セズシテ標本又ハ見本ノ用ニ供セントスルトキ
三 利用者ガ試験研究ノ用ニ供セントスルトキ
四 公共団体其ノ他農林大臣ノ適当ト認ムル団体ガ新規絹製品ノ普及ヲ図ル為利用セントスルトキ
農林大臣前項第一号乃至第三号ノ規定ニ依リ譲与ヲ為スニ付テハ利用者其ノ譲与ヲ受ケタル生糸又ハ其ノ加工品ヲ其ノ用ニ供シタル後之ヲ処分シ又ハ他ノ用ニ供セントスル場合ハ農林大臣ノ認可ヲ受クベキコトノ条件ヲ附スベシ
農林大臣第一項第四号ノ規定ニ依リ譲与ヲ為サントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第二十四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ政府ハ生糸ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ為所有生糸ヲ其ノ用ニ供スルコトヲ得
一 加工シ又ハ加工セズシテ博覧会、展覧会等ヘノ出品ノ用ニ供スルトキ
二 加工シ又ハ加工セズシテ標本又ハ見本ノ用ニ供スルトキ
三 試験研究ノ用ニ供スルトキ
四 前各号ノ外生糸ノ新規ノ用途又ハ販路ノ開拓ノ為特ニ必要ト認ムル用ニ供スルトキ
第二十五条 政府ガ糸価安定施設法第三十条ノ規定ニ依リ生糸ノ買入ヲ為スコトヲ得ルハ第五条第一項ノ規定ニ基ク命令ヲ以テ定ムル種類及品位ノ生糸ノ市価ガ命令ノ定ムル所ニ依リ標準売渡価格ノ八割ニ相当スル価格以下ナル場合ニ限ル
第二十六条 農林大臣ハ繭及生糸ノ生産費、生産高、現在高、消費高及価格ノ調査ノ為道府県、市町村及市町村長ニ対シ調査上必要ナル事務ヲ行フベキコトヲ命ジ並ニ適当ト認ムル者ニ対シ記帳及報告ヲ命ズルコトヲ得
第二十七条 農林大臣ノ指定シタル市場ノ開設者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ市場ニ於テ毎日取引セラレタル生糸ノ相場及数量ヲ農林大臣ニ報告スベシ
第二十八条 本令中生糸年度ト称スルハ其ノ年ノ六月一日ヨリ翌年五月三十一日迄トス
附 則
本令ハ糸価安定施設法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
糸価安定施設法第十一条ノ売渡価格及買入価格決定ノ時期ハ昭和十二年ニ限リ第五条ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
糸価安定施設法第十一条ノ繭生産費中ニ於ケル現金支出額及自給費並ニ生糸ノ製造販売ニ要スル費用ハ昭和十二年ニ限リ第九条及第十条ノ規定ニ拘ラズ農林大臣之ヲ定ムルコトヲ得
政府新規ノ用途又ハ販路ニ向クル為ニ其ノ所有生糸ノ処分ヲ為サントスル場合ニ於テ本令施行前既ニ其ノ処分ニ付生糸需要増進調査会ノ議ニ附シタルモノハ本令ニ依リ生糸需要増進調査会ニ諮問シタルモノト看做ス
糸価安定施設法附則第二項ノ規定ニ依リ政府ガ生糸ノ売渡又ハ買入ヲ為ス場合ニ於テハ予メ時期ヲ定メ之ヲ告示ス
第十二条及第十三条ノ規定ハ糸価安定施設法附則第二項ノ規定ニ依リ政府ガ生糸ノ売渡又ハ買入ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
昭和七年勅令第百六号ハ之ヲ廃止ス