倉庫業法
法令番号: 法律第四十一號
公布年月日: 昭和10年4月6日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル倉庫業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年四月五日
內閣總理大臣 岡田啓介
商工大臣 町田忠治
法律第四十一號
倉庫業法
第一條 倉庫營業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ預證券及質人證券又ハ倉荷證券ヲ發行スルコトヲ得ズ但シ勅令ヲ以テ指定シタル倉庫營業者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二條 前條ノ許可ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計畫、營業規則及保管料率表ヲ具シ主務大臣ニ之ヲ申請スベシ
第三條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者事業計畫、營業規則又ハ保管料率表ヲ變更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ニ屆出ヲ爲スベシ
第四條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ第一條ノ許可ヲ爲スニ當リ之ニ制限又ハ條件ヲ附スルコトヲ得
第五條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者ハ正當ノ事由アルニ非ザレバ寄託ノ引受ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者預證券及質入證券又ハ倉荷證券ヲ發行スル場合ニ於テハ寄託者ノ爲ニ受寄物ヲ火災保險ニ付スベシ但シ寄託者ガ反對ノ意思ヲ表示シタル場合又ハ命令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務報吿書ヲ作成シテ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第八條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ第一條ノ許可ヲ受ケタル者ニ對シ其ノ業務ニ關スル報吿ヲ命ジ又ハ當該官吏ヲシテ第一條ノ許可ヲ受ケタル者ノ業務及設備ノ狀況ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ臨檢ヲ爲ス場合ニ於テハ當該官吏ハ其ノ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
第九條 主務大臣ハ第一條ノ許可ヲ受ケタル者ノ業務又ハ設備ノ狀況ニ依リ必要アリト認ムルトキハ事業計畫、營業規則又ハ保管料率表ノ變更ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十條 主務大臣ハ第一條ノ許可ヲ受ケタル者本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ第四條ノ規定ニ依リ許可ニ附シタル制限若ハ條件ニ違反シタルトキハ預證券及質入證券若ハ倉荷證券ノ發行ノ停止ヲ命ジ又ハ第一條ノ許可ノ取消ヲ爲スコトヲ得主務大臣第一條ノ許可ヲ受ケタル者ノ行爲ガ著シク寄託者又ハ預證券、質入證券若ハ倉荷證券ノ所持人ノ利益ヲ害シ又ハ害スルノ虞アリト認ムルトキ亦同ジ
第十一條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者死亡シタル場合ニ於テ其ノ倉庫營業ヲ相續ニ因リテ承繼シタル者ハ之ヲ第一條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第十二條 本法中主務大臣ノ職權ハ命令ヲ以テ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第十三條 第一條ノ規定ニ違反シ主務大臣ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第十條ノ規定ニ依ル發行停止ノ命令ニ違反シテ預證券及質入證券又ハ倉荷證券ヲ發行シタル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條 第一條ノ許可ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ違反シ主務大臣ニ屆出ヲ爲サズシテ事業計畫、營業規則又ハ保管料率表ヲ變更シタルトキ
二 第七條若ハ第八條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ第八條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキ
三 第九條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第十五條 倉庫營業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十六條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ倉庫營業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ倉庫營業ヲ行フ者又ハ其ノ承繼人ハ本法施行ノ日ヨリ二年ヲ限リ第一條ノ規定ニ拘ラズ預證券及質入證券又ハ倉荷證券ヲ發行スルコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第一條ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
倉庫營業者前二項ノ規定ニ依リ預證券及質入證券又ハ倉荷證券ヲ發行シタルトキハ其ノ發行ノ日ヨリ前二項ノ期間內第七條乃至第十條、第十三條、第十四條第二號及第三號、第十五條竝ニ第十六條ノ規定ノ適用ニ付之ヲ第一條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル倉庫業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年四月五日
内閣総理大臣 岡田啓介
商工大臣 町田忠治
法律第四十一号
倉庫業法
第一条 倉庫営業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ預証券及質人証券又ハ倉荷証券ヲ発行スルコトヲ得ズ但シ勅令ヲ以テ指定シタル倉庫営業者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二条 前条ノ許可ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ事業計画、営業規則及保管料率表ヲ具シ主務大臣ニ之ヲ申請スベシ
第三条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者事業計画、営業規則又ハ保管料率表ヲ変更セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ニ届出ヲ為スベシ
第四条 主務大臣必要アリト認ムルトキハ第一条ノ許可ヲ為スニ当リ之ニ制限又ハ条件ヲ附スルコトヲ得
第五条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者ハ正当ノ事由アルニ非ザレバ寄託ノ引受ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者預証券及質入証券又ハ倉荷証券ヲ発行スル場合ニ於テハ寄託者ノ為ニ受寄物ヲ火災保険ニ付スベシ但シ寄託者ガ反対ノ意思ヲ表示シタル場合又ハ命令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務報告書ヲ作成シテ之ヲ主務大臣ニ提出スベシ
第八条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ第一条ノ許可ヲ受ケタル者ニ対シ其ノ業務ニ関スル報告ヲ命ジ又ハ当該官吏ヲシテ第一条ノ許可ヲ受ケタル者ノ業務及設備ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ臨検ヲ為ス場合ニ於テハ当該官吏ハ其ノ身分ヲ証明スベキ証票ヲ携帯スベシ
第九条 主務大臣ハ第一条ノ許可ヲ受ケタル者ノ業務又ハ設備ノ状況ニ依リ必要アリト認ムルトキハ事業計画、営業規則又ハ保管料率表ノ変更ヲ命ジ其ノ他必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第十条 主務大臣ハ第一条ノ許可ヲ受ケタル者本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シ又ハ第四条ノ規定ニ依リ許可ニ附シタル制限若ハ条件ニ違反シタルトキハ預証券及質入証券若ハ倉荷証券ノ発行ノ停止ヲ命ジ又ハ第一条ノ許可ノ取消ヲ為スコトヲ得主務大臣第一条ノ許可ヲ受ケタル者ノ行為ガ著シク寄託者又ハ預証券、質入証券若ハ倉荷証券ノ所持人ノ利益ヲ害シ又ハ害スルノ虞アリト認ムルトキ亦同ジ
第十一条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者死亡シタル場合ニ於テ其ノ倉庫営業ヲ相続ニ因リテ承継シタル者ハ之ヲ第一条ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第十二条 本法中主務大臣ノ職権ハ命令ヲ以テ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第十三条 第一条ノ規定ニ違反シ主務大臣ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第十条ノ規定ニ依ル発行停止ノ命令ニ違反シテ預証券及質入証券又ハ倉荷証券ヲ発行シタル者ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第十四条 第一条ノ許可ヲ受ケタル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ違反シ主務大臣ニ届出ヲ為サズシテ事業計画、営業規則又ハ保管料率表ヲ変更シタルトキ
二 第七条若ハ第八条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ第八条ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキ
三 第九条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第十五条 倉庫営業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ其ノ業務ニ関シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十六条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ倉庫営業者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ倉庫営業ヲ行フ者又ハ其ノ承継人ハ本法施行ノ日ヨリ二年ヲ限リ第一条ノ規定ニ拘ラズ預証券及質入証券又ハ倉荷証券ヲ発行スルコトヲ得
前項ニ掲グル者前項ノ期間内ニ第一条ノ許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ対スル許可又ハ不許可ノ処分ノ日迄亦前項ニ同ジ
倉庫営業者前二項ノ規定ニ依リ預証券及質入証券又ハ倉荷証券ヲ発行シタルトキハ其ノ発行ノ日ヨリ前二項ノ期間内第七条乃至第十条、第十三条、第十四条第二号及第三号、第十五条並ニ第十六条ノ規定ノ適用ニ付之ヲ第一条ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス