公立図書館職員令
法令番号: 勅令第百七十六號
公布年月日: 昭和8年7月1日
法令の形式: 勅令
朕公立圖書館職員令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和八年六月三十日
內閣總理大臣 子爵 齋藤實
文部大臣 鳩山一郞
勅令第百七十六號
公立圖書館職員令
第一條 公立圖書館ニ左ノ職員ヲ置ク
館長
司書
書記
第二條 館長ハ奏任官又ハ判任官ノ待遇トス地方長官ノ監督ヲ承ケ館務ヲ掌理シ所屬職員ヲ監督ス
中央圖書館ノ館長ハ兼ネテ其ノ道府縣內ニ於ケル圖書館ノ事務ヲ視察ス
第三條 司書ハ奏任官又ハ判任官ノ待遇トス館長ノ指揮ヲ承ケ圖書記錄ノ類ノ整理、保存及閱覽ニ關スル事務ヲ掌ル
第四條 書記ハ判任官ノ待遇トス館長ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第五條 奏任官待遇ノ館長及司書ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第五條第一項ノ規定ニ依リ高等文官ト爲ルノ資格ヲ有スル者
二 學位ヲ有スル者、大學令ニ依ル大學ニ於テ試驗ニ合格シ學士ト稱スルコトヲ得ル者又ハ帝國大學分科大學ヲ卒業シタル者
三 司書檢定試驗ニ合格シタル者、高等學校高等科大學令ニ依ル大學豫科若ハ高等學校大學豫科ヲ卒業シタル者又ハ專門學校入學資格ヲ以テ入學資格トスル修業年限三年以上ノ學校ヲ卒業シタル者ニシテ二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ圖書又ハ社會敎育ニ關スル事務ニ從事シタルモノ
四 五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ圖書又ハ社會敎育ニ關スル事務ニ從事シ月額八十五圓以上ノ俸給ヲ受ケタル者
五 圖書又ハ社會敎育ニ關シ特別ノ學識經驗アル者ニシテ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
前項各號ノ外奏任官待遇ノ館長ハ奏任官待遇以上ノ職ニ在リテ敎育ニ關スル事務ニ從事シタル者ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第六條 判任官待遇ノ館長、司書及書記ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第六條ノ規定ニ依リ判任文官ト爲ルノ資格ヲ有スル者
二 前條第一項第一號、第二號又ハ第五號ニ該當スル者
三 司書檢定試驗ニ合格シタル者
四 三年以上圖書又ハ社會敎育ニ關スル公務ニ從事シタル者
五 圖書又ハ社會敎育ニ關シ學識經驗アル者ニシテ普通試驗委員ノ銓衡ヲ經タルモノ
前項各號ノ外判任官待遇ノ館長ハ判任官待遇以上ノ職ニ在リテ敎育ニ關スル事務ニ從事シタル者ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第七條 司書檢定試驗ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第八條 奏任官待遇職員ノ任免ノ奏薦宣行ハ奏任官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ノ任免ハ判任官ノ例ニ依ル
第九條 奏任官待遇職員ノ待遇相當官等ハ館長ニ在リテハ高等官四等以下トシ司書ニ在リテハ高等官五等以下トス
判任官待遇職員ノ待遇相當等級ハ判任官一等乃至四等トス
第十條 公立圖書館ノ館長ニシテ高等官四等ノ待遇ヲ受ケ在職三年以上ニ至リ功績アル者ハ特ニ高等官三等ノ待遇ト爲スコトヲ得但シ町村立圖書館ノ館長ニ付テハ文部大臣ノ指定シタル町村立圖書館ニ置キタル者ニ限ル
第十一條 高等官官等俸給令第四條及第五條第一項ノ規定ハ奏任官待遇ノ公立圖書館職員ニ之ヲ準用ス
他ノ官職ニ在リタル者ニシテ奏任官待遇職員タルモノニ付テハ他ノ官職ニ付受ケタル待遇ハ之ヲ本令ニ依リ受ケタル待遇ト看做ス
第十二條 公立圖書館職員ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ他ノ官職ニ在ルトキハ別表ニ揭グル最低額以下ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
第十三條 公立學校職員俸給令第六條、第十條乃至第十五條及第十六條乃至第十八條ノ規定ハ公立圖書館職員ニ之ヲ準用ス
第十四條 公立圖書館職員ノ分限ニ關シテハ公立學校職員ノ例ニ依ル
第十五條 本令中町村立圖書館ノ職員ニ關スル規定ハ町村學校組合竝ニ町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル町村ニ準ズベキ公共團體及其ノ組合ノ設置スル圖書館ノ職員ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際公立圖書館ノ館長、司書又ハ書記ニシテ別ニ辭令ヲ發セラレザル者ハ現ニ受クル俸給額(加俸ヲ含ム)ニ相當スル級俸ヲ受クルモノトス但シ本令ニ規定スル各級ノ俸給額ニ相當セザル俸給(加俸ヲ含ム)ヲ受クル者ハ當分ノ內現在ノ儘支給スルコトヲ得其ノ者ノ取扱ニ關シテハ其ノ俸給ニ直近スル上級ノ俸給ヲ受クルモノト看做ス
從前ノ規定ニ依ル俸給ノ各級ニ於テ經過シタル在職年數ハ之ヲ本令ニ依リ受クル俸給ノ相當級ニ於テ經過シタル在職年數ト看做ス但シ本令ニ規定スル各級ノ俸給額ニ相當セザル俸給ヲ受クル者ハ之ニ直近スル上級ニ於テ經過シタル在職年數ト看做ス
(別表)
【表】
朕公立図書館職員令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和八年六月三十日
内閣総理大臣 子爵 斎藤実
文部大臣 鳩山一郎
勅令第百七十六号
公立図書館職員令
第一条 公立図書館ニ左ノ職員ヲ置ク
館長
司書
書記
第二条 館長ハ奏任官又ハ判任官ノ待遇トス地方長官ノ監督ヲ承ケ館務ヲ掌理シ所属職員ヲ監督ス
中央図書館ノ館長ハ兼ネテ其ノ道府県内ニ於ケル図書館ノ事務ヲ視察ス
第三条 司書ハ奏任官又ハ判任官ノ待遇トス館長ノ指揮ヲ承ケ図書記録ノ類ノ整理、保存及閲覧ニ関スル事務ヲ掌ル
第四条 書記ハ判任官ノ待遇トス館長ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第五条 奏任官待遇ノ館長及司書ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第五条第一項ノ規定ニ依リ高等文官ト為ルノ資格ヲ有スル者
二 学位ヲ有スル者、大学令ニ依ル大学ニ於テ試験ニ合格シ学士ト称スルコトヲ得ル者又ハ帝国大学分科大学ヲ卒業シタル者
三 司書検定試験ニ合格シタル者、高等学校高等科大学令ニ依ル大学予科若ハ高等学校大学予科ヲ卒業シタル者又ハ専門学校入学資格ヲ以テ入学資格トスル修業年限三年以上ノ学校ヲ卒業シタル者ニシテ二年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ図書又ハ社会教育ニ関スル事務ニ従事シタルモノ
四 五年以上判任官待遇以上ノ職ニ在リテ図書又ハ社会教育ニ関スル事務ニ従事シ月額八十五円以上ノ俸給ヲ受ケタル者
五 図書又ハ社会教育ニ関シ特別ノ学識経験アル者ニシテ高等試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
前項各号ノ外奏任官待遇ノ館長ハ奏任官待遇以上ノ職ニ在リテ教育ニ関スル事務ニ従事シタル者ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第六条 判任官待遇ノ館長、司書及書記ハ左ノ資格ノ一ヲ有スル者ヨリ之ヲ任用ス
一 文官任用令第六条ノ規定ニ依リ判任文官ト為ルノ資格ヲ有スル者
二 前条第一項第一号、第二号又ハ第五号ニ該当スル者
三 司書検定試験ニ合格シタル者
四 三年以上図書又ハ社会教育ニ関スル公務ニ従事シタル者
五 図書又ハ社会教育ニ関シ学識経験アル者ニシテ普通試験委員ノ銓衡ヲ経タルモノ
前項各号ノ外判任官待遇ノ館長ハ判任官待遇以上ノ職ニ在リテ教育ニ関スル事務ニ従事シタル者ヨリ之ヲ任用スルコトヲ得
第七条 司書検定試験ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第八条 奏任官待遇職員ノ任免ノ奏薦宣行ハ奏任官ノ例ニ依リ判任官待遇職員ノ任免ハ判任官ノ例ニ依ル
第九条 奏任官待遇職員ノ待遇相当官等ハ館長ニ在リテハ高等官四等以下トシ司書ニ在リテハ高等官五等以下トス
判任官待遇職員ノ待遇相当等級ハ判任官一等乃至四等トス
第十条 公立図書館ノ館長ニシテ高等官四等ノ待遇ヲ受ケ在職三年以上ニ至リ功績アル者ハ特ニ高等官三等ノ待遇ト為スコトヲ得但シ町村立図書館ノ館長ニ付テハ文部大臣ノ指定シタル町村立図書館ニ置キタル者ニ限ル
第十一条 高等官官等俸給令第四条及第五条第一項ノ規定ハ奏任官待遇ノ公立図書館職員ニ之ヲ準用ス
他ノ官職ニ在リタル者ニシテ奏任官待遇職員タルモノニ付テハ他ノ官職ニ付受ケタル待遇ハ之ヲ本令ニ依リ受ケタル待遇ト看做ス
第十二条 公立図書館職員ノ俸給ハ別表ニ依ル但シ他ノ官職ニ在ルトキハ別表ニ掲グル最低額以下ノ俸給ヲ給スルコトヲ得
第十三条 公立学校職員俸給令第六条、第十条乃至第十五条及第十六条乃至第十八条ノ規定ハ公立図書館職員ニ之ヲ準用ス
第十四条 公立図書館職員ノ分限ニ関シテハ公立学校職員ノ例ニ依ル
第十五条 本令中町村立図書館ノ職員ニ関スル規定ハ町村学校組合並ニ町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル町村ニ準ズベキ公共団体及其ノ組合ノ設置スル図書館ノ職員ニ之ヲ準用ス
附 則
本令ハ昭和八年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際公立図書館ノ館長、司書又ハ書記ニシテ別ニ辞令ヲ発セラレザル者ハ現ニ受クル俸給額(加俸ヲ含ム)ニ相当スル級俸ヲ受クルモノトス但シ本令ニ規定スル各級ノ俸給額ニ相当セザル俸給(加俸ヲ含ム)ヲ受クル者ハ当分ノ内現在ノ儘支給スルコトヲ得其ノ者ノ取扱ニ関シテハ其ノ俸給ニ直近スル上級ノ俸給ヲ受クルモノト看做ス
従前ノ規定ニ依ル俸給ノ各級ニ於テ経過シタル在職年数ハ之ヲ本令ニ依リ受クル俸給ノ相当級ニ於テ経過シタル在職年数ト看做ス但シ本令ニ規定スル各級ノ俸給額ニ相当セザル俸給ヲ受クル者ハ之ニ直近スル上級ニ於テ経過シタル在職年数ト看做ス
(別表)
【表】