第一條 政府ハ本法ニ依リ勞働者災害扶助責任保險ヲ管掌ス
第二條 勞働者災害扶助責任保險ニ於テハ勞働者災害扶助法、工場法又ハ鑛業法ニ基ク扶助責任ヲ保險スルモノトス
扶助責任ノ保險ヲ付スベキ事業ノ種類、保險スベキ扶助責任ノ範圍及保險料率、保險料納付期日其ノ他保險料ニ關スル事項ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 勞働者災害扶助法第一條第一項第二號(ハ)ノ工事ノ事業主及勅令ノ定ムル事業主ハ政府ト保險契約ヲ締結スベシ但シ同法第三條第二項ノ場合ニ於テハ元請負人ニ於テ保險契約ヲ締結スベシ
第四條 保險契約者ヲ以テ保險金受取人トス但シ前條但書ノ規定ニ依リ元請負人ガ保險契約ヲ締結シタル場合ニ於テハ扶助ヲ引受ケタル下請負人ヲ以テ保險金受取人トス
政府ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ扶助ヲ受クベキ者ニ保險金ヲ支拂フコトヲ得
第五條 保險契約者ガ惡意又ハ重大ナル過失ニ依リ保險料算定ノ基礎タル重要ナル事實ヲ吿知セズ又ハ其ノ事實ニ付不實ノ吿知ヲ爲シタルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保險金ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第六條 保險契約者保險料ノ拂込ニ付遲滯シタルトキハ其ノ遲滯期間ニ於テ生ジタル事故ニ對スル保險金ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第七條 保險契約者又ハ保險金受取人ガ故意若ハ重大ナル過失ニ依リ又ハ勞働者災害扶助法、工場法若ハ鑛業法ニ基ク危害豫防若ハ衞生ニ關スル命令ニ違反シタルニ依リ扶助責任ノ原因タル事故ヲ生ゼシメタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ保險金ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第八條 保險金支拂ノ義務及保險料返還ノ義務ハ二年、保險料支拂ノ義務ハ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ依リテ消滅ス
第九條 保險契約者又ハ保險金受取人ガ勞働者災害扶助責任保險ニ關スル事項ニ付政府ニ對シ民事訴訟ヲ提起スルニハ勞働者災害扶助責任保險審查會ノ審查ヲ經ルコトヲ要ス
前項ノ審查ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテハ裁判上ノ請求ト看做ス
第十條 勞働者災害扶助責任保險審查會ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 本法ニ依ル保險ニ關スル書類ニハ印紙稅ヲ課セズ
第十二條 行政官廳ハ必要アリト認ムルトキハ當該官吏又ハ吏員ヲシテ本法ニ依リ扶助責任ノ保險ヲ付シ又ハ付スベキ事業ノ行ハルル場所ニ臨檢セシムルコトヲ得
第十三條 第三條ノ事業主保險契約ヲ締結セザルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
前項ノ過料ニ付テハ非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ヲ準用ス
第十四條 正當ノ事由ナクシテ當該官吏又ハ吏員ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス