労働者災害扶助責任保険法
法令番号: 法律第五十五號
公布年月日: 昭和6年4月2日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル勞働者災害扶助責任保險法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年四月一日
內閣總理大臣 濱口雄幸
大藏大臣 井上準之助
內務大臣 安達謙藏
法律第五十五號
勞働者災害扶助責任保險法
第一條 政府ハ本法ニ依リ勞働者災害扶助責任保險ヲ管掌ス
第二條 勞働者災害扶助責任保險ニ於テハ勞働者災害扶助法、工場法又ハ鑛業法ニ基ク扶助責任ヲ保險スルモノトス
扶助責任ノ保險ヲ付スベキ事業ノ種類、保險スベキ扶助責任ノ範圍及保險料率、保險料納付期日其ノ他保險料ニ關スル事項ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 勞働者災害扶助法第一條第一項第二號(ハ)ノ工事ノ事業主及勅令ノ定ムル事業主ハ政府ト保險契約ヲ締結スベシ但シ同法第三條第二項ノ場合ニ於テハ元請負人ニ於テ保險契約ヲ締結スベシ
第四條 保險契約者ヲ以テ保險金受取人トス但シ前條但書ノ規定ニ依リ元請負人ガ保險契約ヲ締結シタル場合ニ於テハ扶助ヲ引受ケタル下請負人ヲ以テ保險金受取人トス
政府ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ扶助ヲ受クベキ者ニ保險金ヲ支拂フコトヲ得
第五條 保險契約者ガ惡意又ハ重大ナル過失ニ依リ保險料算定ノ基礎タル重要ナル事實ヲ吿知セズ又ハ其ノ事實ニ付不實ノ吿知ヲ爲シタルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保險金ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第六條 保險契約者保險料ノ拂込ニ付遲滯シタルトキハ其ノ遲滯期間ニ於テ生ジタル事故ニ對スル保險金ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第七條 保險契約者又ハ保險金受取人ガ故意若ハ重大ナル過失ニ依リ又ハ勞働者災害扶助法、工場法若ハ鑛業法ニ基ク危害豫防若ハ衞生ニ關スル命令ニ違反シタルニ依リ扶助責任ノ原因タル事故ヲ生ゼシメタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ保險金ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハザルコトヲ得
第八條 保險金支拂ノ義務及保險料返還ノ義務ハ二年、保險料支拂ノ義務ハ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ依リテ消滅ス
第九條 保險契約者又ハ保險金受取人ガ勞働者災害扶助責任保險ニ關スル事項ニ付政府ニ對シ民事訴訟ヲ提起スルニハ勞働者災害扶助責任保險審查會ノ審查ヲ經ルコトヲ要ス
前項ノ審查ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテハ裁判上ノ請求ト看做ス
第十條 勞働者災害扶助責任保險審查會ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 本法ニ依ル保險ニ關スル書類ニハ印紙稅ヲ課セズ
第十二條 行政官廳ハ必要アリト認ムルトキハ當該官吏又ハ吏員ヲシテ本法ニ依リ扶助責任ノ保險ヲ付シ又ハ付スベキ事業ノ行ハルル場所ニ臨檢セシムルコトヲ得
第十三條 第三條ノ事業主保險契約ヲ締結セザルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
前項ノ過料ニ付テハ非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ヲ準用ス
第十四條 正當ノ事由ナクシテ當該官吏又ハ吏員ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法ハ昭和七年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
勞働者災害扶助法第一條第一項第二號(ハ)ノ工事ニシテ本法施行前ニ著手(請負ニ依ルモノニ付テハ請負契約ノ締結)セラレタルモノニ付テハ第三條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル労働者災害扶助責任保険法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年四月一日
内閣総理大臣 浜口雄幸
大蔵大臣 井上準之助
内務大臣 安達謙蔵
法律第五十五号
労働者災害扶助責任保険法
第一条 政府ハ本法ニ依リ労働者災害扶助責任保険ヲ管掌ス
第二条 労働者災害扶助責任保険ニ於テハ労働者災害扶助法、工場法又ハ鉱業法ニ基ク扶助責任ヲ保険スルモノトス
扶助責任ノ保険ヲ付スベキ事業ノ種類、保険スベキ扶助責任ノ範囲及保険料率、保険料納付期日其ノ他保険料ニ関スル事項ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三条 労働者災害扶助法第一条第一項第二号(ハ)ノ工事ノ事業主及勅令ノ定ムル事業主ハ政府ト保険契約ヲ締結スベシ但シ同法第三条第二項ノ場合ニ於テハ元請負人ニ於テ保険契約ヲ締結スベシ
第四条 保険契約者ヲ以テ保険金受取人トス但シ前条但書ノ規定ニ依リ元請負人ガ保険契約ヲ締結シタル場合ニ於テハ扶助ヲ引受ケタル下請負人ヲ以テ保険金受取人トス
政府ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ扶助ヲ受クベキ者ニ保険金ヲ支払フコトヲ得
第五条 保険契約者ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ依リ保険料算定ノ基礎タル重要ナル事実ヲ告知セズ又ハ其ノ事実ニ付不実ノ告知ヲ為シタルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保険金ノ全部又ハ一部ヲ支払ハザルコトヲ得
第六条 保険契約者保険料ノ払込ニ付遅滞シタルトキハ其ノ遅滞期間ニ於テ生ジタル事故ニ対スル保険金ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ支払ハザルコトヲ得
第七条 保険契約者又ハ保険金受取人ガ故意若ハ重大ナル過失ニ依リ又ハ労働者災害扶助法、工場法若ハ鉱業法ニ基ク危害予防若ハ衛生ニ関スル命令ニ違反シタルニ依リ扶助責任ノ原因タル事故ヲ生ゼシメタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ保険金ノ全部又ハ一部ヲ支払ハザルコトヲ得
第八条 保険金支払ノ義務及保険料返還ノ義務ハ二年、保険料支払ノ義務ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ依リテ消滅ス
第九条 保険契約者又ハ保険金受取人ガ労働者災害扶助責任保険ニ関スル事項ニ付政府ニ対シ民事訴訟ヲ提起スルニハ労働者災害扶助責任保険審査会ノ審査ヲ経ルコトヲ要ス
前項ノ審査ノ請求ハ時効ノ中断ニ関シテハ裁判上ノ請求ト看做ス
第十条 労働者災害扶助責任保険審査会ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 本法ニ依ル保険ニ関スル書類ニハ印紙税ヲ課セズ
第十二条 行政官庁ハ必要アリト認ムルトキハ当該官吏又ハ吏員ヲシテ本法ニ依リ扶助責任ノ保険ヲ付シ又ハ付スベキ事業ノ行ハルル場所ニ臨検セシムルコトヲ得
第十三条 第三条ノ事業主保険契約ヲ締結セザルトキハ千円以下ノ過料ニ処ス
前項ノ過料ニ付テハ非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ヲ準用ス
第十四条 正当ノ事由ナクシテ当該官吏又ハ吏員ノ臨検ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法ハ昭和七年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
労働者災害扶助法第一条第一項第二号(ハ)ノ工事ニシテ本法施行前ニ著手(請負ニ依ルモノニ付テハ請負契約ノ締結)セラレタルモノニ付テハ第三条ノ規定ハ之ヲ適用セズ