輸出補償法
法令番号: 法律第六號
公布年月日: 昭和5年5月17日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル輸出補償法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和五年五月十六日
內閣總理大臣 濱口雄幸
大藏大臣 井上準之助
商工大臣 俵孫一
法律第六號
輸出補償法
第一條 政府ハ本法施行地內ニ住所又ハ營業所ヲ有スル者ガ內地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ於テ生產、製造又ハ加工セラレタル商品ヲ本法施行地ヨリ主務大臣ノ指定スル地域ニ輸出スル爲振出シタル荷爲替手形ヲ銀行ガ買取リ之ニ因リテ損失ヲ受ケタル場合ニ於テ當該銀行ニ對シ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ノ範圍內ニ於テ其ノ損失ノ百分ノ七十ヲ限度トシ之ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
第二條 前條ノ契約ヲ爲シタル銀行ガ其ノ契約ニ基キ荷爲替手形ヲ買取リタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ補償料ヲ政府ニ納付スベシ
第三條 第一條ノ損失ハ銀行ガ荷爲替手形ノ滿期日ニ支拂ヲ受クルコト能ハザリシ金額ヨリ左ノ各號ニ揭グル金額ヲ控除シタルモノトス
一 荷爲替手形ニ付擔保アルトキハ其ノ處分ニ依リテ得タル金額(第五條ノ場合ニ於テハ其ノ手形ノ附屬荷物ノミノ處分ニ依リテ得タル金額)ヨリ其ノ處分ノ爲支出シタル費用ヲ控除シタル殘額
二 滿期日ニ支拂ヲ受クルコト能ハザリシ金額ニ付補償前ニ全部又ハ一部ノ償還又ハ支拂ヲ受ケタルトキハ其ノ金額
第四條 銀行ハ補償ヲ受ケタルトキハ其ノ手形ニ付遲滯ナク償還請求權其ノ他ノ手形上ノ權利ヲ行使スベシ但シ其ノ權利ノ行使ニ要スル費用ガ其ノ行使ニ依リテ得ベキ金額ヲ超ユルモノト認メラルルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ權利ノ全部又ハ一部ヲ行使セザルコトヲ得
銀行ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ權利ノ行使ニ依リテ得タル金額ヨリ滿期日以後ノ利息及銀行ガ其ノ權利ノ行使ノ爲支出シタル費用ヲ控除シタル殘額ヲ政府ニ納付スベシ
第五條 第一條ノ契約ニ於テ左ノ各號ニ該當スル定ヲ爲シタルトキハ前條ノ規定ハ之ヲ適用セズ但シ償還請求權以外ノ手形上ノ權利ノ行使及其ノ行使ニ依リテ得タル金額ノ處分ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 荷爲替手形ノ振出人及支拂人ガ命令ヲ以テ定ムル資格ヲ有シ其ノ手形ガ注文ニ依リ商品ヲ輸出スル爲振出サレタル場合ニ限リ損失補償ヲ爲スコト
二 損失補償ノ割合ガ百分ノ六十ヲ超エザルコト
三 銀行ガ損失補償金ニ相當スル金額ニ付償還ノ請求ヲ爲サザルコト
第六條 第一條ノ契約ヲ爲シタル銀行ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ契約ニ違反シタルトキハ政府ハ契約ヲ解除シ、損失ノ全部若ハ一部ニ付補償ヲ爲サズ又ハ損失補償金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
第七條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ政府ハ商品ヲ輸出シタル爲受取リタル約束手形ヲ銀行ガ買取リ之ニ因リテ損失ヲ受ケタル場合ニ於テ當該銀行ニ對シ之ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第一條乃至前條ノ規定ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル輸出補償法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和五年五月十六日
内閣総理大臣 浜口雄幸
大蔵大臣 井上準之助
商工大臣 俵孫一
法律第六号
輸出補償法
第一条 政府ハ本法施行地内ニ住所又ハ営業所ヲ有スル者ガ内地、朝鮮、台湾又ハ樺太ニ於テ生産、製造又ハ加工セラレタル商品ヲ本法施行地ヨリ主務大臣ノ指定スル地域ニ輸出スル為振出シタル荷為替手形ヲ銀行ガ買取リ之ニ因リテ損失ヲ受ケタル場合ニ於テ当該銀行ニ対シ帝国議会ノ協賛ヲ経タル金額ノ範囲内ニ於テ其ノ損失ノ百分ノ七十ヲ限度トシ之ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
第二条 前条ノ契約ヲ為シタル銀行ガ其ノ契約ニ基キ荷為替手形ヲ買取リタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ補償料ヲ政府ニ納付スベシ
第三条 第一条ノ損失ハ銀行ガ荷為替手形ノ満期日ニ支払ヲ受クルコト能ハザリシ金額ヨリ左ノ各号ニ掲グル金額ヲ控除シタルモノトス
一 荷為替手形ニ付担保アルトキハ其ノ処分ニ依リテ得タル金額(第五条ノ場合ニ於テハ其ノ手形ノ附属荷物ノミノ処分ニ依リテ得タル金額)ヨリ其ノ処分ノ為支出シタル費用ヲ控除シタル残額
二 満期日ニ支払ヲ受クルコト能ハザリシ金額ニ付補償前ニ全部又ハ一部ノ償還又ハ支払ヲ受ケタルトキハ其ノ金額
第四条 銀行ハ補償ヲ受ケタルトキハ其ノ手形ニ付遅滞ナク償還請求権其ノ他ノ手形上ノ権利ヲ行使スベシ但シ其ノ権利ノ行使ニ要スル費用ガ其ノ行使ニ依リテ得ベキ金額ヲ超ユルモノト認メラルルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ権利ノ全部又ハ一部ヲ行使セザルコトヲ得
銀行ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ権利ノ行使ニ依リテ得タル金額ヨリ満期日以後ノ利息及銀行ガ其ノ権利ノ行使ノ為支出シタル費用ヲ控除シタル残額ヲ政府ニ納付スベシ
第五条 第一条ノ契約ニ於テ左ノ各号ニ該当スル定ヲ為シタルトキハ前条ノ規定ハ之ヲ適用セズ但シ償還請求権以外ノ手形上ノ権利ノ行使及其ノ行使ニ依リテ得タル金額ノ処分ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 荷為替手形ノ振出人及支払人ガ命令ヲ以テ定ムル資格ヲ有シ其ノ手形ガ注文ニ依リ商品ヲ輸出スル為振出サレタル場合ニ限リ損失補償ヲ為スコト
二 損失補償ノ割合ガ百分ノ六十ヲ超エザルコト
三 銀行ガ損失補償金ニ相当スル金額ニ付償還ノ請求ヲ為サザルコト
第六条 第一条ノ契約ヲ為シタル銀行ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ契約ニ違反シタルトキハ政府ハ契約ヲ解除シ、損失ノ全部若ハ一部ニ付補償ヲ為サズ又ハ損失補償金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトヲ得
第七条 主務大臣必要アリト認ムルトキハ政府ハ商品ヲ輸出シタル為受取リタル約束手形ヲ銀行ガ買取リ之ニ因リテ損失ヲ受ケタル場合ニ於テ当該銀行ニ対シ之ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ第一条乃至前条ノ規定ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム