製鉄所特別会計規則
法令番号: 勅令第三百五十一號
公布年月日: 大正15年12月14日
法令の形式: 勅令
朕製鐵所特別會計規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十五年十二月十三日
內閣總理大臣 若槻禮次郞
大藏大臣 片岡直溫
商工大臣 藤澤幾之輔
勅令第三百五十一號
製鐵所特別會計規則
第一章 豫算決算
第一條 本會計ニ於ケル歲入歲出豫算ハ之ヲ資本、用品及作業ノ三勘定ニ分チ各勘定中ニ於テ之ヲ款項ニ區分スヘシ
第二條 所管大臣ハ每年度歲入歲出ノ豫定計算書ヲ調製シ前年度九月三十日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
前項ノ豫定計算書ニハ當該年度豫定損益計算表竝前々年度損益計算表、同貸借對照表、同財產目錄、同固定財產價格增減表及前々年度以前旣往五箇年間資本增減表ヲ添附スヘシ
第三條 會計規則第十九條、第二十條及第二十四條ノ規定ハ製鐵所特別會計法第八條ノ豫備費ノ支出ニ付之ヲ準用ス
第四條 所管大臣ハ每年度歲入歲出ノ決定計算書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第二章 收入支出
第五條 歲入歲出ノ豫算ハ決定ノ後豫備費ヲ除キ所管大臣製鐵所長官ニ命シテ之ヲ執行セシムヘシ但シ製鐵所ノ部局長ヲシテ其ノ一部ヲ執行セシムルコトヲ得
第六條 本會計ニ於テハ本會計ニ屬スル前年度ヨリノ現金ノ持越高、當該年度ノ收入濟歲入額竝製鐵所特別會計法第十三條ニ規定スル一時借入金及融通證券ニ依ル資金ノ現在額ヲ支拂元受高トシ歲出ヲ支出スルハ此ノ支拂元受高ヲ超過スルコトヲ得ス
第七條 每年度ニ屬スル歲入金歲出金ノ出納ヲ爲スハ當該年度三月三十一日限トス但シ會計法第十九條ノ規定ニ依リ歲出金ニ繰替使用シタル現金補塡ノ爲支出スル場合ハ翌年度四月三十日、用品勘定又ハ作業勘定ノ益金ヲ資本勘定ニ繰入ルル場合ハ翌年度五月三十一日迄之カ出納ヲ爲スコトヲ得
第八條 每年度ニ屬スル定額戾入ヲ爲スハ當該年度三月三十一日限トス
第九條 隨時ノ收入ニシテ納入告知書ヲ發スルモノハ其ノ納入告知書ニ指定シタル納期末日ノ屬スル年度ノ歲入トス
第十條 本會計ニ於テ每年度內ニ支拂ヲ爲スヘキ義務ヲ生シ當該年度三月三十一日迄ニ支出濟トナラサル歲出ニシテ時效完成ニ至ラサルモノハ支出未濟トシテ遞次翌年度ニ繰越スヘシ但シ支出濟額ト合シテ豫算定額ヲ超過スルコトヲ得ス
第十一條 歲入徵收官ハ每月徵收報告書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ之ヲ製鐵所長官ニ送付スヘシ
第十二條 製鐵所長官ハ徵收報告書ニ依リ每月徵收總報告書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ所管大臣ヲ經由シテ其ノ翌月中ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第十三條 支出官ハ每月支出濟額報告書ヲ調製シ之ヲ製鐵所長官ニ送付スヘシ
第十四條 製鐵所長官ハ支出濟額報告書ニ依リ每月支出總報告書ヲ調製シ支出濟額報告書ヲ添ヘ所管大臣ヲ經由シテ其ノ翌月中ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第三章 資本及財產
第十五條 本會計ノ資本ヲ分チテ固有資本及借入資本ノ二種トス
本會計ノ負擔ニ屬スル公債又ハ借入金ニ相當スル金額ヲ借入資本トシ其ノ他ノモノヲ固有資本トス
第十六條 製鐵所益金ハ之ヲ固有資本ニ組入レ製鐵所損金ハ之ヲ固有資本ヨリ減額スヘシ
第十七條 財產ハ價格ヲ附シテ之ヲ計算スヘシ
第十八條 本會計ニ於テハ土地、建物、工作物、船舶、機械、重要ナル器具備品竝鑛業權及工業所有權ヲ以テ固定財產トス
第四章 計算
第十九條 財產ヲ受入レタル場合ニ於テハ左ノ各號ニ依リテ之カ價格ヲ定ムヘシ
一 土地ハ購入費、埋立費又ハ交換當時ニ於ケル評定價格
二 建物、工作物、船舶、機械、器具、備品、鑛業權又ハ工業所有權ハ建造費、製作費又ハ購入費
三 用品ハ購入費、採掘費又ハ製作費
四 生產品ハ生產費
五 前各號ニ依リ價格ヲ定ムル能ハサルトキハ三人以上ノ評價人ヲ定メ前各號ニ準シ之ヲ評定セシメタル價格ノ平均額
据付費、運搬費、地上物件移轉費、地均費其ノ他之ニ準スヘキ經費ヲ要シタルトキハ之ヲ前項ノ價格ニ加算スヘシ
每年度末ニ於ケル未成工事又ハ仕掛品ノ價格ハ之ニ要シタル經費ヲ以テ當該物件ノ價格トス
第二十條 固定財產ノ價格ハ受入ノ翌年度ヨリ每年度末ニ於テ左ノ各號ニ規定スル價格ニ之ヲ改定スヘシ但シ土石採取ヲ目的トセサル土地ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
一 鑛業權ニ付テハ總有效採取量及採掘ノ難易ヲ斟酌シテ鑛區ヲ區分シ各區分ニ付其ノ價格減耗割合ヲ定メ當該年度採取量ノ總有效採取量ニ對スル割合及當該年度採掘場所ノ價格減耗割合ニ應シテ價格ヲ遞減シタル殘額
二 土石採取ヲ目的トスル土地ニ付テハ殘骸價格ヲ定メ前號ニ準シテ價格ヲ遞減シタル殘額
三 工業所有權ニ付テハ存續年限ニ應シテ價格ヲ遞減シタル殘額
四 其ノ他ノ固定財產ニ付テハ耐用年限及殘骸價格ヲ定メ之ニ應シテ價格ヲ遞減シタル殘額
第二十一條 固定財產ニ擴張、改良又ハ補充ノ爲工事ヲ施シタル場合ニ於テハ其ノ費額及除却シタル部分ノ價格ヲ斟酌シテ其ノ價格ヲ改定スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ其ノ耐用年限及殘骸價格ヲ改定スヘシ
災害復舊ノ爲固定財產ニ修理ヲ施シタル場合ニ於テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
第二十二條 前二條ニ規定スル耐用年限ハ當該固定財產ノ目的トスル用法ニ從ヒ通常必要ナル維持修理ヲ施スモノトシテ其ノ年限ヲ決定シ其ノ受入又ハ前條ノ價格改定ノ翌年度ヨリ起算スルモノトス
第二十三條 用品及生產品ノ價格ハ每年度末ニ於テ賣買契約濟ノモノニ付テハ其ノ賣渡代價、其ノ他ノモノニ付テハ其ノ市價カ第十九條ノ規定ニ依リテ定マリタル價格以下ニ低落シタル場合ニ限リ市價ニ依リ之ヲ改定スヘシ
第二十四條 財產毀損變質其ノ他ノ原因ニ因リ減損シタル場合ニ於テハ其ノ割合ニ應シ其ノ價格ヲ改定スヘシ
第二十五條 用品勘定ヨリ他勘定ヘノ用品ノ引渡價格ハ第十九條、第二十三條又ハ前條ノ規定ニ依リ定マリタル價格ニ取扱諸費及損減步合ヲ豫定シ之ヲ割掛タルモノトス
第二十六條 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ使用スル固定財產ノ減價償却金ハ第二十條ノ規定ニ依リ當該年度ニ於テ減少スル價格ニ相當スル金額トス但シ固定財產補充ノ爲工事ヲ施シタル場合ニ於テ當該固定財產ノ價格ノ增加額カ工事ノ爲要シタル經費ニ達セサルトキハ其ノ差額ヲ減價償却金ニ加算スヘシ
第二十七條 資本勘定ノ利益及損失ニ屬スルモノ左ノ如シ
利益ニ屬スルモノ
一 歲入收入濟(他勘定ヨリノ益金繰入金ヲ除ク)
二 借入資本減少
三 固定財產及物品受入
四 他勘定計算
五 未決濟計算
六 雜益
七 他勘定ヨリ利益繰入
損失ニ屬スルモノ
一 歲出支出濟
二 借入資本增加
三 他勘定計算
四 未決濟計算
五 固定財產ノ減
六 雜損
七 他勘定ヨリ損失繰入
第二十八條 用品勘定又ハ作業勘定ノ利益及損失ニ屬スルモノ左ノ如シ
利益ニ屬スルモノ
一 歲入收入濟
二 物品受入
三 他勘定計算
四 未決濟計算
損失ニ屬スルモノ
一 歲出支出濟
二 物品拂出
三 他勘定計算
四 未決濟計算
五 雜損
第二十九條 第二條第二項ノ規定ニ依リ豫定計算書ニ添附スヘキ書類ノ樣式ハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 帳簿
第三十條 製鐵所ハ勘定每ニ日記簿、原簿及補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ關スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第三十一條 製鐵所ハ勘定每ニ歲入簿ヲ備ヘ歲入ノ豫算額、調定濟額、收入濟額、不納缺損額及收入未濟額ヲ登記スヘシ
第三十二條 支出官ハ支出簿ノ外支拂元受高差引簿ヲ備ヘ支拂元受高、支出濟額及殘額ヲ登記スヘシ
第三十三條 製鐵所ハ勘定每ニ歲出簿ヲ備ヘ歲出ノ豫算額、豫算決定後增加額、支出濟額、翌年度繰越額及殘額ヲ登記スヘシ
製鐵所ハ支拂元受高差引簿ヲ備ヘ支拂元受高、支出濟額及殘額ヲ登記スヘシ
第六章 雜則
第三十四條 本令ニ規定セサルモノニ付テハ會計規則ノ定ムル所ニ依ル
附 則
第三十五條 本令ハ大正十六年度ヨリ之ヲ施行ス
第三十六條 
作業會計規則第三十四條中「製鐵所、」及同規則第三十五條中「製鐵所長官、」ヲ削ル
第三十七條 大正十六年度及大正十七年度歲入歲出ノ豫定計算書ニハ當該年度豫定損益計算表及製鐵所特別會計(作業會計法ニ依ルモノ)ノ其ノ年三月三十一日ニ終リタル會計年度ノ受拂勘定表及固定資本價格增減表ヲ添附スヘシ
第三十八條 本令施行前ニ於ケル製鐵所特別會計(作業會計法ニ依ルモノ)ニ屬スル財產ハ之ヲ本會計ニ歸屬セシム
前項ノ規定ニ依リ本會計ニ歸屬スル財產ハ從前ノ規定ニ依ル大正十五年度末ノ價格ヲ以テ其ノ受入價格トス但シ必要アルトキハ第十九條ノ規定ニ準シ之カ受入價格ヲ定ムルコトヲ得
第一項ニ規定スル財產カ第二十條ノ規定ニ依リ每年價格ヲ遞減スヘキモノナルトキハ其ノ耐用年限ハ大正十六年度ヨリ之ヲ起算シ價格ノ改定ハ大正十六年度以降之ヲ爲スヘシ
第三十九條 一般會計歲出豫算ニ於ケル製鐵所擴張費及製鐵所設備補足費支辨ニ屬スル物件ハ之ヲ本會計ニ歸屬セシム
前項ノ規定ニ依リ本會計ニ歸屬スル物件ノ受入價格ニ付テハ第十九條第三項ノ規定ヲ準用ス
朕製鉄所特別会計規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十五年十二月十三日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
大蔵大臣 片岡直温
商工大臣 藤沢幾之輔
勅令第三百五十一号
製鉄所特別会計規則
第一章 予算決算
第一条 本会計ニ於ケル歳入歳出予算ハ之ヲ資本、用品及作業ノ三勘定ニ分チ各勘定中ニ於テ之ヲ款項ニ区分スヘシ
第二条 所管大臣ハ毎年度歳入歳出ノ予定計算書ヲ調製シ前年度九月三十日迄ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
前項ノ予定計算書ニハ当該年度予定損益計算表並前々年度損益計算表、同貸借対照表、同財産目録、同固定財産価格増減表及前々年度以前既往五箇年間資本増減表ヲ添附スヘシ
第三条 会計規則第十九条、第二十条及第二十四条ノ規定ハ製鉄所特別会計法第八条ノ予備費ノ支出ニ付之ヲ準用ス
第四条 所管大臣ハ毎年度歳入歳出ノ決定計算書ヲ調製シ翌年度七月三十一日迄ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第二章 収入支出
第五条 歳入歳出ノ予算ハ決定ノ後予備費ヲ除キ所管大臣製鉄所長官ニ命シテ之ヲ執行セシムヘシ但シ製鉄所ノ部局長ヲシテ其ノ一部ヲ執行セシムルコトヲ得
第六条 本会計ニ於テハ本会計ニ属スル前年度ヨリノ現金ノ持越高、当該年度ノ収入済歳入額並製鉄所特別会計法第十三条ニ規定スル一時借入金及融通証券ニ依ル資金ノ現在額ヲ支払元受高トシ歳出ヲ支出スルハ此ノ支払元受高ヲ超過スルコトヲ得ス
第七条 毎年度ニ属スル歳入金歳出金ノ出納ヲ為スハ当該年度三月三十一日限トス但シ会計法第十九条ノ規定ニ依リ歳出金ニ繰替使用シタル現金補填ノ為支出スル場合ハ翌年度四月三十日、用品勘定又ハ作業勘定ノ益金ヲ資本勘定ニ繰入ルル場合ハ翌年度五月三十一日迄之カ出納ヲ為スコトヲ得
第八条 毎年度ニ属スル定額戻入ヲ為スハ当該年度三月三十一日限トス
第九条 随時ノ収入ニシテ納入告知書ヲ発スルモノハ其ノ納入告知書ニ指定シタル納期末日ノ属スル年度ノ歳入トス
第十条 本会計ニ於テ毎年度内ニ支払ヲ為スヘキ義務ヲ生シ当該年度三月三十一日迄ニ支出済トナラサル歳出ニシテ時効完成ニ至ラサルモノハ支出未済トシテ逓次翌年度ニ繰越スヘシ但シ支出済額ト合シテ予算定額ヲ超過スルコトヲ得ス
第十一条 歳入徴収官ハ毎月徴収報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ之ヲ製鉄所長官ニ送付スヘシ
第十二条 製鉄所長官ハ徴収報告書ニ依リ毎月徴収総報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ所管大臣ヲ経由シテ其ノ翌月中ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第十三条 支出官ハ毎月支出済額報告書ヲ調製シ之ヲ製鉄所長官ニ送付スヘシ
第十四条 製鉄所長官ハ支出済額報告書ニ依リ毎月支出総報告書ヲ調製シ支出済額報告書ヲ添ヘ所管大臣ヲ経由シテ其ノ翌月中ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第三章 資本及財産
第十五条 本会計ノ資本ヲ分チテ固有資本及借入資本ノ二種トス
本会計ノ負担ニ属スル公債又ハ借入金ニ相当スル金額ヲ借入資本トシ其ノ他ノモノヲ固有資本トス
第十六条 製鉄所益金ハ之ヲ固有資本ニ組入レ製鉄所損金ハ之ヲ固有資本ヨリ減額スヘシ
第十七条 財産ハ価格ヲ附シテ之ヲ計算スヘシ
第十八条 本会計ニ於テハ土地、建物、工作物、船舶、機械、重要ナル器具備品並鉱業権及工業所有権ヲ以テ固定財産トス
第四章 計算
第十九条 財産ヲ受入レタル場合ニ於テハ左ノ各号ニ依リテ之カ価格ヲ定ムヘシ
一 土地ハ購入費、埋立費又ハ交換当時ニ於ケル評定価格
二 建物、工作物、船舶、機械、器具、備品、鉱業権又ハ工業所有権ハ建造費、製作費又ハ購入費
三 用品ハ購入費、採掘費又ハ製作費
四 生産品ハ生産費
五 前各号ニ依リ価格ヲ定ムル能ハサルトキハ三人以上ノ評価人ヲ定メ前各号ニ準シ之ヲ評定セシメタル価格ノ平均額
据付費、運搬費、地上物件移転費、地均費其ノ他之ニ準スヘキ経費ヲ要シタルトキハ之ヲ前項ノ価格ニ加算スヘシ
毎年度末ニ於ケル未成工事又ハ仕掛品ノ価格ハ之ニ要シタル経費ヲ以テ当該物件ノ価格トス
第二十条 固定財産ノ価格ハ受入ノ翌年度ヨリ毎年度末ニ於テ左ノ各号ニ規定スル価格ニ之ヲ改定スヘシ但シ土石採取ヲ目的トセサル土地ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
一 鉱業権ニ付テハ総有効採取量及採掘ノ難易ヲ斟酌シテ鉱区ヲ区分シ各区分ニ付其ノ価格減耗割合ヲ定メ当該年度採取量ノ総有効採取量ニ対スル割合及当該年度採掘場所ノ価格減耗割合ニ応シテ価格ヲ逓減シタル残額
二 土石採取ヲ目的トスル土地ニ付テハ残骸価格ヲ定メ前号ニ準シテ価格ヲ逓減シタル残額
三 工業所有権ニ付テハ存続年限ニ応シテ価格ヲ逓減シタル残額
四 其ノ他ノ固定財産ニ付テハ耐用年限及残骸価格ヲ定メ之ニ応シテ価格ヲ逓減シタル残額
第二十一条 固定財産ニ拡張、改良又ハ補充ノ為工事ヲ施シタル場合ニ於テハ其ノ費額及除却シタル部分ノ価格ヲ斟酌シテ其ノ価格ヲ改定スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ其ノ耐用年限及残骸価格ヲ改定スヘシ
災害復旧ノ為固定財産ニ修理ヲ施シタル場合ニ於テハ前二項ノ規定ヲ準用ス
第二十二条 前二条ニ規定スル耐用年限ハ当該固定財産ノ目的トスル用法ニ従ヒ通常必要ナル維持修理ヲ施スモノトシテ其ノ年限ヲ決定シ其ノ受入又ハ前条ノ価格改定ノ翌年度ヨリ起算スルモノトス
第二十三条 用品及生産品ノ価格ハ毎年度末ニ於テ売買契約済ノモノニ付テハ其ノ売渡代価、其ノ他ノモノニ付テハ其ノ市価カ第十九条ノ規定ニ依リテ定マリタル価格以下ニ低落シタル場合ニ限リ市価ニ依リ之ヲ改定スヘシ
第二十四条 財産毀損変質其ノ他ノ原因ニ因リ減損シタル場合ニ於テハ其ノ割合ニ応シ其ノ価格ヲ改定スヘシ
第二十五条 用品勘定ヨリ他勘定ヘノ用品ノ引渡価格ハ第十九条、第二十三条又ハ前条ノ規定ニ依リ定マリタル価格ニ取扱諸費及損減歩合ヲ予定シ之ヲ割掛タルモノトス
第二十六条 用品勘定又ハ作業勘定ニ於テ使用スル固定財産ノ減価償却金ハ第二十条ノ規定ニ依リ当該年度ニ於テ減少スル価格ニ相当スル金額トス但シ固定財産補充ノ為工事ヲ施シタル場合ニ於テ当該固定財産ノ価格ノ増加額カ工事ノ為要シタル経費ニ達セサルトキハ其ノ差額ヲ減価償却金ニ加算スヘシ
第二十七条 資本勘定ノ利益及損失ニ属スルモノ左ノ如シ
利益ニ属スルモノ
一 歳入収入済(他勘定ヨリノ益金繰入金ヲ除ク)
二 借入資本減少
三 固定財産及物品受入
四 他勘定計算
五 未決済計算
六 雑益
七 他勘定ヨリ利益繰入
損失ニ属スルモノ
一 歳出支出済
二 借入資本増加
三 他勘定計算
四 未決済計算
五 固定財産ノ減
六 雑損
七 他勘定ヨリ損失繰入
第二十八条 用品勘定又ハ作業勘定ノ利益及損失ニ属スルモノ左ノ如シ
利益ニ属スルモノ
一 歳入収入済
二 物品受入
三 他勘定計算
四 未決済計算
損失ニ属スルモノ
一 歳出支出済
二 物品払出
三 他勘定計算
四 未決済計算
五 雑損
第二十九条 第二条第二項ノ規定ニ依リ予定計算書ニ添附スヘキ書類ノ様式ハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第五章 帳簿
第三十条 製鉄所ハ勘定毎ニ日記簿、原簿及補助簿ヲ備ヘ其ノ事業ニ関スル一切ノ計算ヲ登記スヘシ
第三十一条 製鉄所ハ勘定毎ニ歳入簿ヲ備ヘ歳入ノ予算額、調定済額、収入済額、不納欠損額及収入未済額ヲ登記スヘシ
第三十二条 支出官ハ支出簿ノ外支払元受高差引簿ヲ備ヘ支払元受高、支出済額及残額ヲ登記スヘシ
第三十三条 製鉄所ハ勘定毎ニ歳出簿ヲ備ヘ歳出ノ予算額、予算決定後増加額、支出済額、翌年度繰越額及残額ヲ登記スヘシ
製鉄所ハ支払元受高差引簿ヲ備ヘ支払元受高、支出済額及残額ヲ登記スヘシ
第六章 雑則
第三十四条 本令ニ規定セサルモノニ付テハ会計規則ノ定ムル所ニ依ル
附 則
第三十五条 本令ハ大正十六年度ヨリ之ヲ施行ス
第三十六条 
作業会計規則第三十四条中「製鉄所、」及同規則第三十五条中「製鉄所長官、」ヲ削ル
第三十七条 大正十六年度及大正十七年度歳入歳出ノ予定計算書ニハ当該年度予定損益計算表及製鉄所特別会計(作業会計法ニ依ルモノ)ノ其ノ年三月三十一日ニ終リタル会計年度ノ受払勘定表及固定資本価格増減表ヲ添附スヘシ
第三十八条 本令施行前ニ於ケル製鉄所特別会計(作業会計法ニ依ルモノ)ニ属スル財産ハ之ヲ本会計ニ帰属セシム
前項ノ規定ニ依リ本会計ニ帰属スル財産ハ従前ノ規定ニ依ル大正十五年度末ノ価格ヲ以テ其ノ受入価格トス但シ必要アルトキハ第十九条ノ規定ニ準シ之カ受入価格ヲ定ムルコトヲ得
第一項ニ規定スル財産カ第二十条ノ規定ニ依リ毎年価格ヲ逓減スヘキモノナルトキハ其ノ耐用年限ハ大正十六年度ヨリ之ヲ起算シ価格ノ改定ハ大正十六年度以降之ヲ為スヘシ
第三十九条 一般会計歳出予算ニ於ケル製鉄所拡張費及製鉄所設備補足費支弁ニ属スル物件ハ之ヲ本会計ニ帰属セシム
前項ノ規定ニ依リ本会計ニ帰属スル物件ノ受入価格ニ付テハ第十九条第三項ノ規定ヲ準用ス