第一條 本法施行地ニ於テ資本利子ノ支拂ヲ受クル者ニハ本法ニ依リ資本利子稅ヲ課ス
第二條 資本利子稅ハ本法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル左ノ資本利子ニ付之ヲ賦課ス
甲種 公債、社債、產業債券若ハ銀行預金ノ利子又ハ貸付信託ノ利益
乙種 第三種ノ所得ニ付納稅義務ヲ有スル者ノ第三種ノ所得中營業ニ非サル貸金又ハ預金ノ利子
本法ニ於テ貸付信託ト稱スルハ所得稅法第三條ノ三ニ規定スル貸付信託ヲ謂フ
第三條 甲種ノ資本利子ハ其ノ支拂ヲ受クヘキ金額ニ依ル
第五條 甲種ノ資本利子ニシテ左ニ揭クルモノニハ資本利子稅ヲ課セス
一 所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレサル者ノ支拂ヲ受クル利子
第六條 資本利子稅ノ稅率ハ資本利子金額百分ノ二トス
信託會社カ其ノ引受ケタル貸付信託ノ信託財產ニ付納付シタル資本利子稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該貸付信託ノ利益ニ對スル資本利子稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スヘキ資本利子稅ハ其ノ貸付信託ノ利益ニ之ヲ加算ス
第七條 乙種ノ資本利子ニ付納稅義務アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ其ノ資本利子金額ヲ政府ニ申告スヘシ
第八條 乙種ノ資本利子金額ハ所得稅法ノ所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後乙種ノ資本利子ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキハ其ノ決定ヲ爲スヘカリシ年ノ翌年ニ於ケル所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後乙種ノ資本利子ニ付納稅義務アルコトヲ申出テ又ハ資本利子金額ノ增加アルコトヲ申出テタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ其ノ資本利子金額ヲ決定ス
第九條 稅務署長ハ每年乙種ノ資本利子ニ付納稅義務アリト認ムル者ノ資本利子金額ヲ調査シ其ノ調査書ヲ所得調査委員會ニ送付スヘシ
第十條 所得稅法第五十條乃至第五十二條ノ規定ハ資本利子金額ノ決議及決定ニ付之ヲ準用ス
第十一條 第八條又ハ前條ノ規定ニ依リ乙種ノ資本利子金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スヘシ
第十二條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル資本利子金額ニ對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セス
第十三條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第五十二條及第六十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十四條 納稅義務者前條ノ決定ニ對シ不服アルトキハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第十五條 甲種ノ資本利子ニ付テハ其ノ金額支拂ノ際支拂者其ノ資本利子稅ヲ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムヘシ
乙種ノ資本利子ニ付テハ資本利子稅ノ年額ヲ二分シ左ノ二期ニ於テ之ヲ徵收ス
第十六條 前條第一項ノ規定ニ依リ徵收スヘキ資本利子稅ヲ徵收セサルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セサルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ支拂者ヨリ徵收ス
第十七條 乙種ノ資本利子ニ付テハ第三種ノ所得ニ對スル所得稅ノ納稅地ヲ以テ資本利子稅ノ納稅地トス
第十八條 收稅官吏ハ調査上必要アルトキハ資本利子ノ支拂ヲ受ケ又ハ其ノ支拂ヲ爲スト認ムル者ニ質問スルコトヲ得
第十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ因リ資本利子稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出テタル者ハ其ノ罪ヲ問ハス
前項ノ場合ニ於テ乙種ノ資本利子ニ付貸本利子稅ヲ逋脫シタル者ノ資本利子金額ハ第八條第二項ノ規定ニ拘ラス政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
第二十條 資本利子ノ調査又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 本法ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ例ヲ用ヒス但シ前條ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十二條 府縣市町村其ノ他ノ公共團體ハ資本利子稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ス