外国人土地法
法令番号: 法律第四十二號
公布年月日: 大正14年4月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル外國人土地法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十四年三月三十一日
內閣總理大臣 子爵 加藤高明
外務大臣 男爵 幣原喜重郞
內務大臣 若槻禮次郞
司法大臣 小川平吉
法律第四十二號
外國人土地法
第一條 帝國臣民又ハ帝國法人ニ對シ土地ニ關スル權利ノ享有ニ付禁止ヲ爲シ又ハ條件若ハ制限ヲ附スル國ニ屬スル外國人又ハ外國法人ニ對シテハ勅令ヲ以テ帝國ニ於ケル土地ニ關スル權利ノ享有ニ付同一若ハ類似ノ禁止ヲ爲シ又ハ同一若ハ類似ノ條件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
第二條 帝國法人又ハ外國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數カ前條ノ外國人又ハ外國法人ニ屬スルモノニ對シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ其ノ外國人又ハ外國法人ト同一ノ國ニ屬スルモノト看做シ前條ノ規定ヲ適用ス
前項ノ資本ノ額又ハ議決權ノ數ノ計算ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第三條 外國ノ一部ニシテ土地ニ關シ特別ノ立法權ヲ有スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ國ト看做ス
第四條 國防上必要ナル地區ニ於テハ勅令ヲ以テ外國人又ハ外國法人ノ土地ニ關スル權利ノ取得ニ付禁止ヲ爲シ又ハ條件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
前項ノ地區ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第五條 帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數カ外國人又ハ外國法人ニ屬スルモノニ對シテハ前條ノ規定ヲ適用ス
前項ノ資本ノ額又ハ議決權ノ數ノ計算ニ付テハ第二條第二項ノ規定ヲ準用ス
第六條 土地ニ關スル權利ヲ有スル者カ本法ニ依リ其ノ權利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ一年內ニ之ヲ讓渡スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル權利ノ讓渡ナカリシ場合ニ於テ其ノ權利ノ處分ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前二項ノ規定ハ土地ニ關スル權利ヲ有スル者ノ相續人其ノ他ノ包括承繼人カ本法ニ依リ其ノ權利ヲ取得スルコトヲ得サル場合ニ之ヲ準用ス但シ第一項ニ規定スル期間ハ之ヲ三年トス
第一項及前項ニ規定スル期間ハ通シテ三年ヲ超ユルコトヲ得ス
附 則
第七條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 本法ノ施行ニ伴フ不動產登記法ニ關スル特例ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 明治六年第十八號布告及明治四十三年法律第五十一號ハ之ヲ廢止ス
第十條 
明治三十二年法律第六十七號中「土地ノ抵當權者ナル外國人カ」ヲ「抵當權者カ抵當權ノ目的タル權利ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ」ニ、「抵當不動產」ヲ「抵當權ノ目的タル權利」ニ改ム
第十一條 
民法第九百九十條中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル權利ヲ有スル場合」ヲ「國籍ノ喪失ニ因リテ其有スル權利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ「日本人ニ」ヲ削ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル外国人土地法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十四年三月三十一日
内閣総理大臣 子爵 加藤高明
外務大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 若槻礼次郎
司法大臣 小川平吉
法律第四十二号
外国人土地法
第一条 帝国臣民又ハ帝国法人ニ対シ土地ニ関スル権利ノ享有ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スル国ニ属スル外国人又ハ外国法人ニ対シテハ勅令ヲ以テ帝国ニ於ケル土地ニ関スル権利ノ享有ニ付同一若ハ類似ノ禁止ヲ為シ又ハ同一若ハ類似ノ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
第二条 帝国法人又ハ外国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数カ前条ノ外国人又ハ外国法人ニ属スルモノニ対シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ其ノ外国人又ハ外国法人ト同一ノ国ニ属スルモノト看做シ前条ノ規定ヲ適用ス
前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第三条 外国ノ一部ニシテ土地ニ関シ特別ノ立法権ヲ有スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ国ト看做ス
第四条 国防上必要ナル地区ニ於テハ勅令ヲ以テ外国人又ハ外国法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得
前項ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第五条 帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数カ外国人又ハ外国法人ニ属スルモノニ対シテハ前条ノ規定ヲ適用ス
前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ニ付テハ第二条第二項ノ規定ヲ準用ス
第六条 土地ニ関スル権利ヲ有スル者カ本法ニ依リ其ノ権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ一年内ニ之ヲ譲渡スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依ル権利ノ譲渡ナカリシ場合ニ於テ其ノ権利ノ処分ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前二項ノ規定ハ土地ニ関スル権利ヲ有スル者ノ相続人其ノ他ノ包括承継人カ本法ニ依リ其ノ権利ヲ取得スルコトヲ得サル場合ニ之ヲ準用ス但シ第一項ニ規定スル期間ハ之ヲ三年トス
第一項及前項ニ規定スル期間ハ通シテ三年ヲ超ユルコトヲ得ス
附 則
第七条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八条 本法ノ施行ニ伴フ不動産登記法ニ関スル特例ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 明治六年第十八号布告及明治四十三年法律第五十一号ハ之ヲ廃止ス
第十条 
明治三十二年法律第六十七号中「土地ノ抵当権者ナル外国人カ」ヲ「抵当権者カ抵当権ノ目的タル権利ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ」ニ、「抵当不動産」ヲ「抵当権ノ目的タル権利」ニ改ム
第十一条 
民法第九百九十条中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル権利ヲ有スル場合」ヲ「国籍ノ喪失ニ因リテ其有スル権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ「日本人ニ」ヲ削ル