(外国人ノ土地所有権ニ関スル法律)
法令番号: 法律第五十一號
公布年月日: 明治43年4月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル外國人ノ土地所有權ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年四月十二日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
外務大臣 伯爵 小村壽太郞
內務大臣 法學博士 男爵 平田東助
司法大臣 子爵 岡部長職
法律第五十一號
第一條 日本ニ住所若ハ居所ヲ有スル外國人又ハ日本ニ於テ登記ヲ受ケタル外國法人ハ其ノ本國ニ於テ帝國ノ臣民又ハ法人カ土地ノ所有權ヲ享有スル場合ニ限リ土地ノ所有權ヲ享有ス但シ外國法人カ土地ノ所有權ヲ取得セムトスルトキハ內務大臣ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ勅令ヲ以テ指定シタル國ニ屬スル外國人及外國法人ニノミ之ヲ適用ス
第二條 外國人又ハ外國法人ハ左ノ地域ニ於テ土地ノ所有權ヲ享有スルコトヲ得ス
一 北海道
二 臺灣
三 樺太
四 國防上必要ナル地域
前項第四號ノ地域ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第三條 土地ヲ所有スル外國人又ハ外國法人カ土地ノ所有權ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テ一年內ニ之ヲ讓渡ササルトキハ其ノ所有權ハ國庫ニ歸屬ス
外國人カ日本ニ住所若ハ居所ヲ有セス又ハ外國法人カ日本ニ營業所若ハ事務所ヲ有セサル爲土地ノ所有權ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ前項ノ期間ハ之ヲ五年トス
外國人又ハ外國法人ノ所有スル土地カ前條第二項ノ規定ニ依リ國防上必要ナル地域ニ指定セラレタル爲所有權國庫ニ歸屬スル場合ニ於テハ其ノ損失ヲ補償ス
前項ノ補償金額ニ付協議調ハサルトキハ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
第四條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條 明治六年第十八號布吿ハ之ヲ廢止ス
第六條 本法施行ノ際臺灣ニ於テ外國人又ハ外國法人カ現ニ所有スル土地ニ付テハ本法ヲ適用セス但シ其ノ土地ノ所有權カ帝國ノ臣民又ハ法人ニ歸屬シタル後ハ此ノ限ニ在ラス
第七條 
明治三十二年法律第六十七號中「土地ノ抵當權者ナル外國人カ」ノ下ニ「土地ノ所有權ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ該外國人カ」ヲ加フ
第八條 
民法第九百九十條及明治三十二年法律第九十四號中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル權利ヲ有スル場合」ヲ「國籍ノ喪失ニ因リテ其有スル權利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ「日本人ニ」ヲ削ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル外国人ノ土地所有権ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年四月十二日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
外務大臣 伯爵 小村寿太郎
内務大臣 法学博士 男爵 平田東助
司法大臣 子爵 岡部長職
法律第五十一号
第一条 日本ニ住所若ハ居所ヲ有スル外国人又ハ日本ニ於テ登記ヲ受ケタル外国法人ハ其ノ本国ニ於テ帝国ノ臣民又ハ法人カ土地ノ所有権ヲ享有スル場合ニ限リ土地ノ所有権ヲ享有ス但シ外国法人カ土地ノ所有権ヲ取得セムトスルトキハ内務大臣ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ勅令ヲ以テ指定シタル国ニ属スル外国人及外国法人ニノミ之ヲ適用ス
第二条 外国人又ハ外国法人ハ左ノ地域ニ於テ土地ノ所有権ヲ享有スルコトヲ得ス
一 北海道
二 台湾
三 樺太
四 国防上必要ナル地域
前項第四号ノ地域ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス
第三条 土地ヲ所有スル外国人又ハ外国法人カ土地ノ所有権ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テ一年内ニ之ヲ譲渡ササルトキハ其ノ所有権ハ国庫ニ帰属ス
外国人カ日本ニ住所若ハ居所ヲ有セス又ハ外国法人カ日本ニ営業所若ハ事務所ヲ有セサル為土地ノ所有権ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ前項ノ期間ハ之ヲ五年トス
外国人又ハ外国法人ノ所有スル土地カ前条第二項ノ規定ニ依リ国防上必要ナル地域ニ指定セラレタル為所有権国庫ニ帰属スル場合ニ於テハ其ノ損失ヲ補償ス
前項ノ補償金額ニ付協議調ハサルトキハ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
第四条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五条 明治六年第十八号布告ハ之ヲ廃止ス
第六条 本法施行ノ際台湾ニ於テ外国人又ハ外国法人カ現ニ所有スル土地ニ付テハ本法ヲ適用セス但シ其ノ土地ノ所有権カ帝国ノ臣民又ハ法人ニ帰属シタル後ハ此ノ限ニ在ラス
第七条 
明治三十二年法律第六十七号中「土地ノ抵当権者ナル外国人カ」ノ下ニ「土地ノ所有権ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ該外国人カ」ヲ加フ
第八条 
民法第九百九十条及明治三十二年法律第九十四号中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル権利ヲ有スル場合」ヲ「国籍ノ喪失ニ因リテ其有スル権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ「日本人ニ」ヲ削ル