第一條 市ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務及法律勅令ニ依リ市ニ屬スル事務ヲ處理ス
第二條 市ノ廢置、名稱及區域ニ關シテハ關東長官之ヲ定ム但シ市ノ廢止又ハ市ノ名稱若ハ境界ノ變更ノ場合ニ於テハ其ノ市ノ意見ヲ徵スルコトヲ要ス
市住民ハ本令ニ依リ市ノ財產及營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ市ノ負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
第四條 市住民ニシテ左ノ要件ヲ具備スルモノハ市ノ選擧ニ參與シ市ノ名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有シ市ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ但シ貧困ノ爲公費ノ救助ヲ受ケタル後二年ヲ經サル者、禁治產者、準禁治產者及六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
家督相續ニ依リ財產ヲ取得シタル者ニ付テハ其ノ財產ニ付被相續人ノ爲シタル納稅ヲ以テ其ノ者ノ爲シタル納稅ト看做ス
第五條 前條第一項ニ規定スル市住民其ノ要件ノ一ヲ闕キ又ハ同項但書ノ規定ニ該當スルニ至リタルトキハ同項ノ權利義務ヲ失フ
前條第一項ニ規定スル市住民市稅滯納處分ヲ受ケタルトキハ其ノ處分中同項ノ權利義務ヲ停止ス家資分散又ハ破產ノ宣吿ヲ受ケタルトキハ其ノ確定シタル時ヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄、六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ時ヨリ其ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄亦同シ
陸海軍ノ現役ニ服スル者ハ市ノ公務ニ參與スルコトヲ得ス其ノ他ノ兵役ニ在ル者ニシテ戰時又ハ事變ニ際シ召集セラレタルトキ亦同シ
第六條 市ハ市住民ノ權利義務又ハ市ノ事務ニ關シ市規則ヲ設クルコトヲ得
第七條 市會ハ關東長官ノ定ムル所ニ依リ選擧シタル市會議員及選任シタル市會議員ヲ以テ之ヲ組織ス
選任ニ依ル市會議員ノ定數ハ選擧ニ依ル市會議員ノ定數ノ四分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
市會議員ノ定數ハ通シテ十六人以上四十四人以下ノ範圍內ニ於テ選擧ニ依ル者及選任ニ依ル者ニ付關東長官之ヲ定ム
第八條 第四條第一項ニ規定スル市住民ハ市會議員ノ選擧權ヲ有ス但シ第五條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス
第九條 選擧權ヲ有スル者ハ被選擧權ヲ有ス但シ左ノ各號ニ該當スル者及之ニ該當セサルニ至リタル後一月ヲ經過セサル者ハ此ノ限ニ在ラス
市長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ市會議員ノ職ニ在ルコトヲ得ス
市ニ對シ請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員及支配人ハ被選擧權ヲ有セス
前項ノ役員トハ取締役、監查役及之ニ準スヘキ者竝淸算人ヲ謂フ
第十條 市會ハ市ニ關スル事項及法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事項ヲ議決ス
市會ノ議決スヘキ事項ノ槪目左ノ如シ
四 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、市稅又ハ夫役現品ノ賦課徵收ニ關スルコト
六 基本財產及積立金等ノ設置、管理及處分ニ關スルコト
七 歲入歲出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト
八 財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムルコト但シ法令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第十一條 市會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ市參事會ニ委任スルコトヲ得
市會ハ市ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ市長ノ報告ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢查スルコトヲ得
市會ハ市ノ公益ニ關スル事項ニ付意見書ヲ市長又ハ監督官廳ニ提出スルコトヲ得
市會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スヘキ場合ニ於テ市會成立セス、招集ニ應セス若ハ意見ヲ提出セス又ハ市會ヲ招集スルコト能ハサルトキハ當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タスシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第十二條 市會ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選擧スヘシ
第十三條 市會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
會議規則ニハ本令及會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ市會ノ議決ニ依リ三日以內出席ヲ停止シ又ハ五圓以下ノ過怠金ヲ課スル規定ヲ設クルコトヲ得
第十四條 市ニ市參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
名譽職參事會員ハ六人トシ市會ニ於テ市會議員中ヨリ之ヲ選擧スヘシ
名譽職參事會員ノ任期ハ市會議員ノ任期ニ依ル但シ市會議員ノ任期滿了ノ場合ニ於テハ後任名譽職參事會員選擧ノ日迄在任ス
市參事會ハ市長ヲ以テ議長トシ市長故障アルトキハ市長代理者之ヲ代理ス
第十五條 市參事會ノ職務權限左ノ如シ
一 市會ノ權限ニ屬スル事項ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スルコト
二 市長ヨリ市會ニ提出スル議案ニ付市長ニ對シ意見ヲ述フルコト
第十一條第三項乃至第五項ノ規定ハ市參事會ニ之ヲ準用ス
市長及助役ハ名譽職トス但シ市ハ市規則ヲ以テ之ヲ有給ト爲スコトヲ得
第十七條市長ハ市會ノ選擧推薦シタル市長候補者三人中ニ就キ關東長官之ヲ選任ス
助役及收入役ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定メ市長職ニ在ラサルトキハ市會ニ於テ之ヲ選擧シ關東長官ノ認可ヲ受クヘシ
助役ハ市長ノ事務ヲ補助シ市長故障アルトキ之ヲ代理ス
第十九條 前數條ニ定ムル者ヲ除クノ外市ニ必要ナル吏員ヲ置クコトヲ得
第二十條 市長ハ吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責及二十五圓以下ノ過怠金トス
第二十一條 市會又ハ市參事會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則ニ違反スト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムヘシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スヘシ
市會又ハ市參事會ノ議決公益ヲ害シ又ハ市ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキ亦前項ニ同シ
監督官廳ハ前二項ノ議決又ハ第一項ノ選擧ヲ取消スコトヲ得
第二十二條 名譽職市長、名譽職助役、市會議員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
名譽職市長及名譽職助役ニハ費用辨償ノ外勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
有給吏員ニハ市規則ノ定ムル所ニ依リ退職給與金及死亡給與金ヲ給スルコトヲ得
第二十三條 收益ノ爲ニスル市ノ財產ハ基本財產トシテ之ヲ維持スヘシ
市ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ積立金ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 市ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
市ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第二十五條 市ハ其ノ公益上必要アルトキハ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 市ハ其ノ必要ナル費用及法律勅令ニ依リ市ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
市ハ其ノ財產ヨリ生スル收入、使用料、手數料、過怠金其ノ他法令ニ依リ市ニ屬スル收入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ市稅及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第二十七條 市稅、使用料及手數料ニ關スル事項ニ付テハ法令ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外市規則ヲ以テ之ヲ規定スヘシ
第二十八條 市稅其ノ他市ニ屬スル徵收金ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ徵收金ハ關東廳ノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ追徵、還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
第二十九條 市ハ永久ノ利益ト爲ルヘキ事業、舊債償還又ハ天災事變ノ爲必要アル場合ニ限リ市債ヲ起スコトヲ得
市長ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲市參事會ノ議決ヲ經テ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ償還スヘキ一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
第三十一條 市ノ支拂金ノ時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第三十二條 市ハ第一次ニ於テ民政署長、第二次ニ於テ關東長官之ヲ監督ス
監督官廳ハ市ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ市ノ監督ニ關シテ發シタル命令又ハ爲シタル處分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
市會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧及選任スヘシ
第三十四條 市ニ於テ法律勅令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命スル費用ヲ豫算ニ載セサルトキ又ハ豫算中不適當ト認ムル費用アルトキハ民政署長ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加ヘ又ハ削減スルコトヲ得
市長其ノ他ノ吏員其ノ執行スヘキ事項ヲ執行セサルトキハ民政署長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ市ノ負擔トス
第三十五條 市長、助役又ハ收入役ニ故障アルトキハ監督官廳ハ吏員中ヨリ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ市費ヲ以テ之ヲ辨償セシムヘシ
第三十六條 民政署長ハ市長、助役、收入役其ノ他ノ吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、五十圓以下ノ過怠金及解職トス但シ市長ニ對スル懲戒及其ノ他ノ吏員ニ對スル解職ニ付テハ關東長官ノ認可ヲ受クヘシ
民政署長ハ吏員ノ解職ヲ行ハムトスル前其ノ吏員ノ停職ヲ命スルコトヲ得其ノ停職期間手當又ハ給料ノ全部又ハ一部ヲ給セサルコトヲ得
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市ノ公職ニ選擧セラレ又ハ任命セラルルコトヲ得ス
第三十七條 市ハ左ノ各號ノ事項ニ付テハ關東長官ノ認可ヲ受クヘシ
三 市債ヲ起シ竝起債ノ方法、利率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ變更スルコト
第三十八條 市ハ左ノ各號ノ事項ニ付テハ民政署長ノ認可ヲ受クヘシ
二 基本財產及積立金等ノ設置、管理及處分ニ關スルコト
三 使用料若ハ手數料ヲ徵シ又ハ其ノ額若ハ率ヲ變更スルコト
五 第二十九條第二項ノ借入金ヲ爲シ竝借入ノ方法及利率ヲ定メ又ハ變更スルコト
第三十九條 監督官廳ノ認可ヲ要スル事項ニ付テハ監督官廳ハ認可申請ノ趣旨ニ反セスト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ認可ヲ與フルコトヲ得
第四十條 本令ニ定ムルモノヲ除クノ外必要ナル事項ハ關東長官之ヲ定ム