矯正院法
法令番号: 法律第四十三號
公布年月日: 大正11年4月17日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル矯正院法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十一年四月十五日
內閣總理大臣 子爵 高橋是淸
內務大臣 床次竹二郞
文部大臣 中橋德五郞
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第四十三號
矯正院法
第一條 矯正院ハ少年審判所ヨリ送致シタル者及民法第八百八十二條ノ規定ニ依リ入院ノ許可アリタル者ヲ收容スル所トス
第二條 矯正院ニ收容シタル者ノ在院ハ二十三歲ヲ超ユルコトヲ得ス
第三條 矯正院ニハ特ニ區劃シタル場所ヲ設ケ少年審判所、裁判所又ハ豫審判事ヨリ假ニ委託シタル者ヲ置ク
第四條 矯正院ハ收容スヘキ者ノ男女ノ別ニ從ヒ之ヲ設ク
第五條 十六歲ニ滿タサル者ト十六歲以上ノ者トハ分界ヲ設ケタル場所ニ各別ニ之ヲ收容ス
第六條 矯正院ハ之ヲ國立トス
第七條 矯正院ハ司法大臣ノ管理ニ屬ス
第八條 司法大臣ハ少クトモ六月每ニ一囘官吏ヲシテ矯正院ヲ巡察セシムヘシ
少年審判官ハ隨時矯正院ヲ巡視スヘシ
第九條 在院者ニハ其ノ性格ヲ矯正スル爲嚴格ナル紀律ノ下ニ敎養ヲ施シ其ノ生活ニ必要ナル實業ヲ練習セシム
第十條 矯正院ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ在院者ヲ懲戒スルコトヲ得
第十一條 矯正院ノ長ハ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ於テハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ未成年ノ在院者及假退院者ノ爲親權者又ハ後見人ノ職務ニ屬スル行爲ヲ爲スコトヲ得
第十二條 矯正院ノ長少年審判所ヨリ送致シタル在院者ニ對シ執行ノ目的ヲ達シタリト認ムルトキハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ之ヲシテ退院セシムヘシ
第十三條 矯正院ノ長ハ少年審判所ヨリ送致シタル在院者ニシテ收容後六月ヲ經過シタルモノニ對シ少年審判所ノ許可ヲ受ケ條件ヲ指定シテ假ニ退院ヲ許スコトヲ得
假退院ヲ許サレタル者ハ假退院ノ期間內少年保護司ノ觀察ニ付ス
第十四條 假退院者指定ノ條件ニ違背シタルトキハ矯正院ノ長ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ假退院ヲ取消スコトヲ得
第十五條 在院者又ハ假退院者逃走シタルトキハ少年審判所及矯正院ノ職員ハ之ヲ逮捕スルコトヲ得
少年法第二十五條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六條 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外在院者ノ處遇ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
矯正院ノ長ハ司法大臣ノ認可ヲ受ケ在院者ノ處遇ニ關スル細則ヲ定ムヘシ
第十七條 前二條ノ規定ハ少年審判所、裁判所又ハ豫審判事ヨリ假ニ委託シタル者ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル矯正院法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十一年四月十五日
内閣総理大臣 子爵 高橋是清
内務大臣 床次竹二郎
文部大臣 中橋徳五郎
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第四十三号
矯正院法
第一条 矯正院ハ少年審判所ヨリ送致シタル者及民法第八百八十二条ノ規定ニ依リ入院ノ許可アリタル者ヲ収容スル所トス
第二条 矯正院ニ収容シタル者ノ在院ハ二十三歳ヲ超ユルコトヲ得ス
第三条 矯正院ニハ特ニ区画シタル場所ヲ設ケ少年審判所、裁判所又ハ予審判事ヨリ仮ニ委託シタル者ヲ置ク
第四条 矯正院ハ収容スヘキ者ノ男女ノ別ニ従ヒ之ヲ設ク
第五条 十六歳ニ満タサル者ト十六歳以上ノ者トハ分界ヲ設ケタル場所ニ各別ニ之ヲ収容ス
第六条 矯正院ハ之ヲ国立トス
第七条 矯正院ハ司法大臣ノ管理ニ属ス
第八条 司法大臣ハ少クトモ六月毎ニ一回官吏ヲシテ矯正院ヲ巡察セシムヘシ
少年審判官ハ随時矯正院ヲ巡視スヘシ
第九条 在院者ニハ其ノ性格ヲ矯正スル為厳格ナル紀律ノ下ニ教養ヲ施シ其ノ生活ニ必要ナル実業ヲ練習セシム
第十条 矯正院ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ在院者ヲ懲戒スルコトヲ得
第十一条 矯正院ノ長ハ已ムコトヲ得サル事由アル場合ニ於テハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ未成年ノ在院者及仮退院者ノ為親権者又ハ後見人ノ職務ニ属スル行為ヲ為スコトヲ得
第十二条 矯正院ノ長少年審判所ヨリ送致シタル在院者ニ対シ執行ノ目的ヲ達シタリト認ムルトキハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ之ヲシテ退院セシムヘシ
第十三条 矯正院ノ長ハ少年審判所ヨリ送致シタル在院者ニシテ収容後六月ヲ経過シタルモノニ対シ少年審判所ノ許可ヲ受ケ条件ヲ指定シテ仮ニ退院ヲ許スコトヲ得
仮退院ヲ許サレタル者ハ仮退院ノ期間内少年保護司ノ観察ニ付ス
第十四条 仮退院者指定ノ条件ニ違背シタルトキハ矯正院ノ長ハ少年審判所ノ許可ヲ受ケ仮退院ヲ取消スコトヲ得
第十五条 在院者又ハ仮退院者逃走シタルトキハ少年審判所及矯正院ノ職員ハ之ヲ逮捕スルコトヲ得
少年法第二十五条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六条 本法ニ規定スルモノヲ除クノ外在院者ノ処遇ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
矯正院ノ長ハ司法大臣ノ認可ヲ受ケ在院者ノ処遇ニ関スル細則ヲ定ムヘシ
第十七条 前二条ノ規定ハ少年審判所、裁判所又ハ予審判事ヨリ仮ニ委託シタル者ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム