水産会法
法令番号: 法律第六十號
公布年月日: 大正10年4月11日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル水產會法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月九日
內閣總理大臣 原敬
農商務大臣 男爵 山本達雄
法律第六十號
水產會法
第一條 水產會ハ水產業ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條 水產會ハ法人トス
第三條 水產會ハ營利事業ヲ爲スコトヲ得ス
第四條 政府ハ其ノ定ムル條件ヲ具備スル水產會ニ豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第五條 水產會ハ水產業ニ關スル事項ニ付行政廳ニ建議スルコトヲ得
水產會ハ行政廳ノ諮問ニ對シ答申スヘシ
第六條 行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ水產會ニ對シ水產業ニ關スル報告書ノ提出及水產業ニ關スル事項ノ調查ヲ命スルコトヲ得
第七條 水產會ハ郡市水產會、道府縣水產會及帝國水產會トス
第八條 水產會ノ地區ハ郡市水產會ニ在リテハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外郡市、道府縣水產會ニ在リテハ道府縣、帝國水產會ニ在リテハ內地ノ區域ニ依ル
第九條 水產會ノ名稱ニハ郡若ハ市水產會、道、府若ハ縣水產會又ハ帝國水產會ナル文字ヲ用井ルヘシ但シ郡市水產會ノ地區カ郡市ノ區域ニ依ラサルトキハ其ノ名稱中ニ郡又ハ市ノ文字ヲ用井サルコトヲ得
本法ニ依リ設立シタル水產會ニ非サレハ其ノ名稱中ニ前項ニ揭クル文字ヲ用井ルコトヲ得ス
第十條 水產會ハ郡市水產會ニ在リテハ命令ヲ以テ規定シタル者ヲ除クノ外其ノ地區內ニ於テ漁業又ハ水產物ノ製造、取引若ハ保管ノ業ヲ營ム者及其ノ地區內ニ於ケル漁業權又ハ入漁權ヲ有スル者、道府縣水產會ニ在リテハ其ノ地區內ノ郡市水產會、帝國水產會ニ在リテハ道府縣水產會ヲ以テ之ヲ組織ス
第十一條 水產會ヲ設立セムトスルトキハ其ノ地區內ノ會員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立總會ヲ開キ會則ヲ議定シ行政官廳ノ認可ヲ申請スヘシ
郡市水產會ノ設立ニ關シ前項ニ規定スル會員タル資格ヲ有スル者ノ員數ノ計算ニ付テハ漁業權又ハ入漁權ノ共有ノ場合ニ於テハ其ノ漁業權者又ハ入漁權者ハ之ヲ一人ト看做シ、一人ニシテ前條ニ揭クル二以上ノ資格ヲ有スル者ハ之ヲ一人トス
第十二條 水產會ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時成立ス
第十三條 水產會成立シタルトキハ其ノ地區內ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ之ニ加入シタルモノト看做ス但シ特別ノ事由ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ケタル者ハ此ノ限ニ在ラス
第十四條 郡市水產會ニ總代會、其ノ他ノ水產會ニ總會ヲ置ク
總代會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ會員ノ選任シタル議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
總會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員タル水產會ノ選任シタル議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
第十五條 水產會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ議員定數ノ五分ノ一ヲ超エサル特別議員ヲ置クコトヲ得
行政官廳ハ水產會ノ特別議員ヲ命スルコトヲ得但シ其ノ員數ハ議員定數ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十六條 左ニ揭クル事項ハ總代會又ハ總會ノ議決ヲ經ヘシ
一 收支豫算
二 經費ノ分賦收入方法
三 事業報告及收支決算ノ承認
四 豫算ヲ以テ定メタルモノヲ除クノ外新ニ義務ヲ負ヒ又ハ權利ヲ失フヘキ行爲
五 基金ノ造成、管理及處分
六 不動產ニ關スル權利ノ得喪及變更
七 會則ノ變更
八 役員及特別議員ノ選任及解任
九 訴願、訴訟及和解
前項第一號、第二號、第四號、第七號及第八號ニ揭クル事項ノ決議ハ行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第十七條 總代會又ハ總會ハ會長之ヲ招集ス但シ第一囘ノ總代會又ハ總會ハ水產會成立シタルトキ遲滯ナク設立申請者之ヲ招集スヘシ
議員又ハ特別議員ハ議員及特別議員ノ總數ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得テ會議ノ目的タル事項及招集ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ提出シ總代會又ハ總會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
會長正當ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル後十四日以內ニ總代會又ハ總會ヲ招集セサルトキハ請求者ハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スルコトヲ得
第十八條 議員及特別議員ハ總代會又ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス
第十九條 總代會及總會ノ議事ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第二十條 會則ノ變更ハ總代會又ハ總會ニ於テ之ヲ組織スル者半數以上出席シ出席者ノ議決權ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
郡市水產會ノ會則ノ變更カ地區ノ增減ニ關スルトキハ前項ノ規定ニ依ル議決ノ外新ニ編入又ハ削除セラルヘキ區域內ノ會員タル資格ヲ有スル者又ハ會員ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
前項ニ規定スル會員タル資格ヲ有スル者又ハ會員ノ員數ノ計算ニ付テハ第十一條第二項ノ規定ヲ準用ス
第二十一條 水產會ニ左ノ役員ヲ置ク
會長
副會長 一人又ハ二人
評議員 數人
役員ハ郡市水產會ニ在リテハ總代會ニ於テ其ノ會員中ヨリ、其ノ他ノ水產會ニ在リテハ總會ニ於テ其ノ議員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ會員又ハ議員ニ非サル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
第二十二條 會長ハ水產會ヲ代表シ會務ヲ總理ス
副會長ハ會長ヲ補佐シ會長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
副會長ハ會則ノ定ムル所ニ依リ會長ノ職務ノ一部ヲ分掌スルコトヲ得
評議員ハ會長ノ諮問ニ應シ竝會務ノ執行及財產ノ狀況ヲ監查ス
第二十三條 總代會又ハ總會ノ議決ヲ經ヘキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ總代會又ハ總會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ會長ハ會則ノ定ムル所ニ依リ專決處分スルコトヲ得但シ第十六條第二項ノ事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ場合ニ於テハ會長ハ次ノ總代會又ハ總會ニ於テ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第二十四條 水產會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ委員會ヲ置クコトヲ得
左ニ揭クル者ヲ以テ委員トス
一 會長
二 副會長
三 會則ニ定メタル方法ニ依リ選任シタル者
第二十五條 委員會ハ仲裁判斷其ノ他會則ニ定ムル事項ニ關シ審議決定ス
第二十六條 水產會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
郡市水產會ノ經費又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ其ノ會長ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ水產會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スヘシ
前項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノノ徵收金ニ次クモノトス
經費ノ分賦又ハ過怠金ノ徵收ニ關シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ爲スコトヲ得
第二十七條 帝國水產會ハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ朝鮮、臺灣、樺太、關東州又ハ外國ニ於テ設立シタル水產會ニ準スル法人其ノ他ノ團體ヲ會員ト爲スコトヲ得
第二十八條 行政官廳ハ水產會ニ對シ事實ニ關スル報告ヲ爲サシメ業務ノ執行又ハ財產ノ狀況ヲ檢查シ會則、收支豫算又ハ經費ノ分賦及收入ノ方法ノ變更ヲ命シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十九條 行政官廳ハ水產會ノ總代會、總會若ハ委員會ノ決議又ハ役員若ハ委員ノ行爲ニシテ法令若ハ會則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員若ハ委員ヲ解任シ、議員ノ改選ヲ命シ水產會ノ事業ヲ停止シ又ハ水產會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第三十條 水產會解散又ハ合併若ハ分割ヲ爲サムトスルトキハ會員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ其ノ事由ヲ具シ尙分割ノ場合ニ於テハ分割ノ各水產會ノ會員又ハ會員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得且水產會ノ權利義務ノ限度ヲ定メ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ニ規定スル會員又ハ會員タル資格ヲ有スル者ノ員數ノ計算ニ付テハ第十一條第二項ノ規定ヲ準用ス
第三十一條 水產會ハ債權者ノ同意ヲ得又ハ異議アル債權者ニ對シ辨濟ヲ爲シ若ハ相當ノ擔保ヲ供スルニ非サレハ水產會ノ解散、合併若ハ分割ヲ爲シ又ハ地區ノ增減ニ關スル會則ノ變更ヲ爲スコトヲ得ス
第三十二條 合併後存續スル水產會又ハ合併ニ因リテ設立シタル水產會ハ合併ニ因リテ消滅シタル水產會ノ權利義務ヲ承繼ス
分割ニ因リテ設立シタル水產會ハ第三十條ノ規定ニ依リテ定リタル限度ニ於テ從前ノ水產會ノ權利義務ヲ承繼ス
第三十三條 水產會ハ解散ノ後ト雖淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ尙存續スルモノト看做ス
第三十四條 水產會解散シタルトキハ會長及副會長ヲ以テ其ノ淸算人トス但シ會則ニ別段ノ定アルトキ又ハ總代會若ハ總會ニ於テ選任シタル者アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ淸算人タル者ナキトキハ行政官廳淸算人ヲ選任ス淸算人闕ケタルトキ亦同シ
第三十五條 淸算人ハ水產會ヲ代表シ淸算ヲ爲スニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
淸算ノ方法及財產處分ニ付テハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ
第三十六條 行政官廳ニ於テ必要ト認ムルトキハ淸算ノ方法及財產處分ノ變更ヲ命シ又ハ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第三十七條 本法ニ於テ郡市町村トアルハ郡制市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ之ニ準スヘキモノトス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ存スル水產組合及水產組合聯合會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ本法ニ依ル水產會ト爲スコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル水産会法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月九日
内閣総理大臣 原敬
農商務大臣 男爵 山本達雄
法律第六十号
水産会法
第一条 水産会ハ水産業ノ改良発達ヲ図ルヲ以テ目的トス
第二条 水産会ハ法人トス
第三条 水産会ハ営利事業ヲ為スコトヲ得ス
第四条 政府ハ其ノ定ムル条件ヲ具備スル水産会ニ予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第五条 水産会ハ水産業ニ関スル事項ニ付行政庁ニ建議スルコトヲ得
水産会ハ行政庁ノ諮問ニ対シ答申スヘシ
第六条 行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ水産会ニ対シ水産業ニ関スル報告書ノ提出及水産業ニ関スル事項ノ調査ヲ命スルコトヲ得
第七条 水産会ハ郡市水産会、道府県水産会及帝国水産会トス
第八条 水産会ノ地区ハ郡市水産会ニ在リテハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外郡市、道府県水産会ニ在リテハ道府県、帝国水産会ニ在リテハ内地ノ区域ニ依ル
第九条 水産会ノ名称ニハ郡若ハ市水産会、道、府若ハ県水産会又ハ帝国水産会ナル文字ヲ用井ルヘシ但シ郡市水産会ノ地区カ郡市ノ区域ニ依ラサルトキハ其ノ名称中ニ郡又ハ市ノ文字ヲ用井サルコトヲ得
本法ニ依リ設立シタル水産会ニ非サレハ其ノ名称中ニ前項ニ掲クル文字ヲ用井ルコトヲ得ス
第十条 水産会ハ郡市水産会ニ在リテハ命令ヲ以テ規定シタル者ヲ除クノ外其ノ地区内ニ於テ漁業又ハ水産物ノ製造、取引若ハ保管ノ業ヲ営ム者及其ノ地区内ニ於ケル漁業権又ハ入漁権ヲ有スル者、道府県水産会ニ在リテハ其ノ地区内ノ郡市水産会、帝国水産会ニ在リテハ道府県水産会ヲ以テ之ヲ組織ス
第十一条 水産会ヲ設立セムトスルトキハ其ノ地区内ノ会員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ創立総会ヲ開キ会則ヲ議定シ行政官庁ノ認可ヲ申請スヘシ
郡市水産会ノ設立ニ関シ前項ニ規定スル会員タル資格ヲ有スル者ノ員数ノ計算ニ付テハ漁業権又ハ入漁権ノ共有ノ場合ニ於テハ其ノ漁業権者又ハ入漁権者ハ之ヲ一人ト看做シ、一人ニシテ前条ニ掲クル二以上ノ資格ヲ有スル者ハ之ヲ一人トス
第十二条 水産会ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時成立ス
第十三条 水産会成立シタルトキハ其ノ地区内ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ総テ之ニ加入シタルモノト看做ス但シ特別ノ事由ニ依リ行政官庁ノ認可ヲ受ケタル者ハ此ノ限ニ在ラス
第十四条 郡市水産会ニ総代会、其ノ他ノ水産会ニ総会ヲ置ク
総代会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ会員ノ選任シタル議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
総会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員タル水産会ノ選任シタル議員及特別議員ヲ以テ之ヲ組織ス
第十五条 水産会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ議員定数ノ五分ノ一ヲ超エサル特別議員ヲ置クコトヲ得
行政官庁ハ水産会ノ特別議員ヲ命スルコトヲ得但シ其ノ員数ハ議員定数ノ五分ノ一ヲ超ユルコトヲ得ス
第十六条 左ニ掲クル事項ハ総代会又ハ総会ノ議決ヲ経ヘシ
一 収支予算
二 経費ノ分賦収入方法
三 事業報告及収支決算ノ承認
四 予算ヲ以テ定メタルモノヲ除クノ外新ニ義務ヲ負ヒ又ハ権利ヲ失フヘキ行為
五 基金ノ造成、管理及処分
六 不動産ニ関スル権利ノ得喪及変更
七 会則ノ変更
八 役員及特別議員ノ選任及解任
九 訴願、訴訟及和解
前項第一号、第二号、第四号、第七号及第八号ニ掲クル事項ノ決議ハ行政官庁ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
第十七条 総代会又ハ総会ハ会長之ヲ招集ス但シ第一回ノ総代会又ハ総会ハ水産会成立シタルトキ遅滞ナク設立申請者之ヲ招集スヘシ
議員又ハ特別議員ハ議員及特別議員ノ総数ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得テ会議ノ目的タル事項及招集ノ事由ヲ記載シタル書面ヲ提出シ総代会又ハ総会ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
会長正当ノ事由ナクシテ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル後十四日以内ニ総代会又ハ総会ヲ招集セサルトキハ請求者ハ行政官庁ノ認可ヲ受ケ之ヲ招集スルコトヲ得
第十八条 議員及特別議員ハ総代会又ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス
第十九条 総代会及総会ノ議事ハ本法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出席者ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス
第二十条 会則ノ変更ハ総代会又ハ総会ニ於テ之ヲ組織スル者半数以上出席シ出席者ノ議決権ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ議決ス
郡市水産会ノ会則ノ変更カ地区ノ増減ニ関スルトキハ前項ノ規定ニ依ル議決ノ外新ニ編入又ハ削除セラルヘキ区域内ノ会員タル資格ヲ有スル者又ハ会員ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
前項ニ規定スル会員タル資格ヲ有スル者又ハ会員ノ員数ノ計算ニ付テハ第十一条第二項ノ規定ヲ準用ス
第二十一条 水産会ニ左ノ役員ヲ置ク
会長
副会長 一人又ハ二人
評議員 数人
役員ハ郡市水産会ニ在リテハ総代会ニ於テ其ノ会員中ヨリ、其ノ他ノ水産会ニ在リテハ総会ニ於テ其ノ議員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ会員又ハ議員ニ非サル者ヨリ之ヲ選任スルコトヲ得
第二十二条 会長ハ水産会ヲ代表シ会務ヲ総理ス
副会長ハ会長ヲ補佐シ会長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
副会長ハ会則ノ定ムル所ニ依リ会長ノ職務ノ一部ヲ分掌スルコトヲ得
評議員ハ会長ノ諮問ニ応シ並会務ノ執行及財産ノ状況ヲ監査ス
第二十三条 総代会又ハ総会ノ議決ヲ経ヘキ事項ニシテ臨時急施ヲ要シ総代会又ハ総会ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ会長ハ会則ノ定ムル所ニ依リ専決処分スルコトヲ得但シ第十六条第二項ノ事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ場合ニ於テハ会長ハ次ノ総代会又ハ総会ニ於テ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第二十四条 水産会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ委員会ヲ置クコトヲ得
左ニ掲クル者ヲ以テ委員トス
一 会長
二 副会長
三 会則ニ定メタル方法ニ依リ選任シタル者
第二十五条 委員会ハ仲裁判断其ノ他会則ニ定ムル事項ニ関シ審議決定ス
第二十六条 水産会ハ会則ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ経費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徴収スルコトヲ得
郡市水産会ノ経費又ハ過怠金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ其ノ会長ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テ水産会ハ其ノ徴収金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スヘシ
前項ニ規定スル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準スヘキモノノ徴収金ニ次クモノトス
経費ノ分賦又ハ過怠金ノ徴収ニ関シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ異議ノ申立、訴願及行政訴訟ヲ為スコトヲ得
第二十七条 帝国水産会ハ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ朝鮮、台湾、樺太、関東州又ハ外国ニ於テ設立シタル水産会ニ準スル法人其ノ他ノ団体ヲ会員ト為スコトヲ得
第二十八条 行政官庁ハ水産会ニ対シ事実ニ関スル報告ヲ為サシメ業務ノ執行又ハ財産ノ状況ヲ検査シ会則、収支予算又ハ経費ノ分賦及収入ノ方法ノ変更ヲ命シ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十九条 行政官庁ハ水産会ノ総代会、総会若ハ委員会ノ決議又ハ役員若ハ委員ノ行為ニシテ法令若ハ会則ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員若ハ委員ヲ解任シ、議員ノ改選ヲ命シ水産会ノ事業ヲ停止シ又ハ水産会ノ解散ヲ命スルコトヲ得
第三十条 水産会解散又ハ合併若ハ分割ヲ為サムトスルトキハ会員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ其ノ事由ヲ具シ尚分割ノ場合ニ於テハ分割ノ各水産会ノ会員又ハ会員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得且水産会ノ権利義務ノ限度ヲ定メ農商務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
前項ニ規定スル会員又ハ会員タル資格ヲ有スル者ノ員数ノ計算ニ付テハ第十一条第二項ノ規定ヲ準用ス
第三十一条 水産会ハ債権者ノ同意ヲ得又ハ異議アル債権者ニ対シ弁済ヲ為シ若ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非サレハ水産会ノ解散、合併若ハ分割ヲ為シ又ハ地区ノ増減ニ関スル会則ノ変更ヲ為スコトヲ得ス
第三十二条 合併後存続スル水産会又ハ合併ニ因リテ設立シタル水産会ハ合併ニ因リテ消滅シタル水産会ノ権利義務ヲ承継ス
分割ニ因リテ設立シタル水産会ハ第三十条ノ規定ニ依リテ定リタル限度ニ於テ従前ノ水産会ノ権利義務ヲ承継ス
第三十三条 水産会ハ解散ノ後ト雖清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ尚存続スルモノト看做ス
第三十四条 水産会解散シタルトキハ会長及副会長ヲ以テ其ノ清算人トス但シ会則ニ別段ノ定アルトキ又ハ総代会若ハ総会ニ於テ選任シタル者アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ清算人タル者ナキトキハ行政官庁清算人ヲ選任ス清算人闕ケタルトキ亦同シ
第三十五条 清算人ハ水産会ヲ代表シ清算ヲ為スニ必要ナル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
清算ノ方法及財産処分ニ付テハ行政官庁ノ認可ヲ受クヘシ
第三十六条 行政官庁ニ於テ必要ト認ムルトキハ清算ノ方法及財産処分ノ変更ヲ命シ又ハ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第三十七条 本法ニ於テ郡市町村トアルハ郡制市制町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ之ニ準スヘキモノトス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ存スル水産組合及水産組合連合会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ農商務大臣ノ認可ヲ受ケ本法ニ依ル水産会ト為スコトヲ得