(恩給扶助料等ノ増額ニ関スル法律)
法令番号: 法律第十號
公布年月日: 大正9年7月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル恩給扶助料等ノ增額ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年七月三十一日
內閣總理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郞
外務大臣 子爵 內田康哉
大藏大臣 男爵 高橋是淸
陸軍大臣 田中義一
內務大臣 床次竹二郞
文部大臣 中橋德五郞
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第十號
第一條 大正九年七月三十一日現在ニ於テ國庫ヨリ軍人恩給以外ノ恩給、退隱料又ハ扶助料ヲ受ケ又ハ受クヘキ者ノ恩給、退隱料又ハ扶助料ノ年額ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ年額ニ其ノ十割以內ニ相當スル金額ヲ加ヘタルモノトス但シ七千五百圓以上ノ年俸ニ基ク恩給又ハ扶助料ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
本法施行ノ際休職、非職、待命中ノ者又ハ其ノ遺族本法施行前ノ俸給ニ基キ國庫ヨリ軍人恩給以外ノ恩給、退隱料又ハ扶助料ヲ受クヘキ場合ニ於テハ其ノ金額算出ノ基礎タル俸給年額又ハ月俸額ハ其ノ額ニ勅令ノ定ムル金額ヲ加ヘタル額トス
第二條 大正九年七月三十一日現在ニ於テ軍人恩給(給助金及賑恤金ヲ除ク)ヲ受ケ若ハ受クヘキ者又ハ本法施行後軍人恩給ヲ受クヘキ事由ノ生シタル者ノ恩給金額ハ軍人恩給法第一號表乃至第四號表ノ金額ニ左ノ割合ヲ以テ計算シタル金額ヲ加ヘタルモノトス
官等
將官及相當官
佐尉官及相當官
准士官
下士及卒
高等官
判任官一等
判任官二等以下
一等
二等
三等
四等
五等
六等
七等
八等
加給割合
二、割
三、割
四、七割
五、三割
五、七割
六、四割
七、割
七、割
七、割
一〇、割
第三條 前二條ノ規定ハ恩給、軍人恩給、退隱料又ハ扶助料ニ準スヘキモノニ之ヲ準用ス
第四條 第一條ノ規定ハ大正二年法律第七號ニ依リ休職ヲ命セラレタル判事及檢事竝大正二年法律第十二號ニ依リ休職ヲ命セラレタル會計檢查院及行政裁判所ノ高等官ノ休職給ニ付之ヲ準用ス
第五條 第一條及第三條ノ規定ハ大正九年七月三十一日現在ニ於テ市町村立小學校敎員退隱料及遺族扶助料法、明治二十九年法律第十三號、巡查看守給助例、巡查看守退隱料及遺族扶助料法又ハ明治四十三年法律第三十號ニ依リ北海道地方費又ハ府縣ヨリ退隱料、扶助料又ハ之ニ準スヘキモノヲ受ケ又ハ受クヘキ者ニ付之ヲ準用ス
第六條 本法ニ依ル加給金額圓位未滿ハ之ヲ圓位ニ滿タシム
附 則
本法ハ大正九年八月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ大正九年七月三十一日現在ニ於テ恩給、軍人恩給、退隱料、扶助料又ハ之ニ準スヘキモノヲ受ケ又ハ受クヘキ者ニ付テハ大正九年七月一日以後ノ分ヨリ之ヲ適用ス
名譽進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人又ハ其ノ遺族ニシテ大正九年七月三十一日現在ニ於テ進級前ノ階等ニ應スル恩給(給助金及賑恤金ヲ除ク)又ハ之ニ基ク扶助料ヲ受ケ又ハ受クヘキ者ハ大正九年七月一日ヨリ名譽進級ニ因ル階等ニ應スル恩給又ハ之ニ基ク扶助料ヲ受クルノ權ヲ有スルモノトス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル恩給扶助料等ノ増額ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正九年七月三十一日
内閣総理大臣 原敬
海軍大臣 加藤友三郎
外務大臣 子爵 内田康哉
大蔵大臣 男爵 高橋是清
陸軍大臣 田中義一
内務大臣 床次竹二郎
文部大臣 中橋徳五郎
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第十号
第一条 大正九年七月三十一日現在ニ於テ国庫ヨリ軍人恩給以外ノ恩給、退隠料又ハ扶助料ヲ受ケ又ハ受クヘキ者ノ恩給、退隠料又ハ扶助料ノ年額ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ年額ニ其ノ十割以内ニ相当スル金額ヲ加ヘタルモノトス但シ七千五百円以上ノ年俸ニ基ク恩給又ハ扶助料ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
本法施行ノ際休職、非職、待命中ノ者又ハ其ノ遺族本法施行前ノ俸給ニ基キ国庫ヨリ軍人恩給以外ノ恩給、退隠料又ハ扶助料ヲ受クヘキ場合ニ於テハ其ノ金額算出ノ基礎タル俸給年額又ハ月俸額ハ其ノ額ニ勅令ノ定ムル金額ヲ加ヘタル額トス
第二条 大正九年七月三十一日現在ニ於テ軍人恩給(給助金及賑恤金ヲ除ク)ヲ受ケ若ハ受クヘキ者又ハ本法施行後軍人恩給ヲ受クヘキ事由ノ生シタル者ノ恩給金額ハ軍人恩給法第一号表乃至第四号表ノ金額ニ左ノ割合ヲ以テ計算シタル金額ヲ加ヘタルモノトス
官等
将官及相当官
佐尉官及相当官
准士官
下士及卒
高等官
判任官一等
判任官二等以下
一等
二等
三等
四等
五等
六等
七等
八等
加給割合
二、割
三、割
四、七割
五、三割
五、七割
六、四割
七、割
七、割
七、割
一〇、割
第三条 前二条ノ規定ハ恩給、軍人恩給、退隠料又ハ扶助料ニ準スヘキモノニ之ヲ準用ス
第四条 第一条ノ規定ハ大正二年法律第七号ニ依リ休職ヲ命セラレタル判事及検事並大正二年法律第十二号ニ依リ休職ヲ命セラレタル会計検査院及行政裁判所ノ高等官ノ休職給ニ付之ヲ準用ス
第五条 第一条及第三条ノ規定ハ大正九年七月三十一日現在ニ於テ市町村立小学校教員退隠料及遺族扶助料法、明治二十九年法律第十三号、巡査看守給助例、巡査看守退隠料及遺族扶助料法又ハ明治四十三年法律第三十号ニ依リ北海道地方費又ハ府県ヨリ退隠料、扶助料又ハ之ニ準スヘキモノヲ受ケ又ハ受クヘキ者ニ付之ヲ準用ス
第六条 本法ニ依ル加給金額円位未満ハ之ヲ円位ニ満タシム
附 則
本法ハ大正九年八月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ大正九年七月三十一日現在ニ於テ恩給、軍人恩給、退隠料、扶助料又ハ之ニ準スヘキモノヲ受ケ又ハ受クヘキ者ニ付テハ大正九年七月一日以後ノ分ヨリ之ヲ適用ス
名誉進級ニ因リ階等ヲ進メラレタル軍人又ハ其ノ遺族ニシテ大正九年七月三十一日現在ニ於テ進級前ノ階等ニ応スル恩給(給助金及賑恤金ヲ除ク)又ハ之ニ基ク扶助料ヲ受ケ又ハ受クヘキ者ハ大正九年七月一日ヨリ名誉進級ニ因ル階等ニ応スル恩給又ハ之ニ基ク扶助料ヲ受クルノ権ヲ有スルモノトス