陸軍技術本部令
法令番号: 勅令第百六號
公布年月日: 大正8年4月14日
法令の形式: 勅令
朕陸軍技術本部令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月十二日
內閣總理大臣 原敬
陸軍大臣 田中義一
勅令第百六號
陸軍技術本部令
第一條 陸軍技術本部ハ兵器及兵器材料ノ審査、制式統一及檢査ヲ爲シ、陸軍技術ノ調査硏究及試驗ヲ爲シ且其ノ改良進步ヲ圖リ竝之ニ關シ陸軍大臣ニ意見ヲ具申ス
第二條 陸軍技術本部ニ總務部、第一部、第二部及第三部ヲ置ク
第三條 總務部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 陸軍技術將校及兵器技術ヲ掌ル陸軍技師ノ人事ニ關スル事項
二 科學硏究所ニ關スル事項
三 陸軍技術會議ニ關スル事項
四 庶務及經理ニ關スル事項
五 他ノ部ノ主管ニ屬セサル事項
第四條 第一部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 兵器第二部ノ主管ニ屬スルモノヲ除クノ調査硏究、審査及試驗ニ關スル事項
二 陸軍技術第二部ノ主管ニ屬スルモノヲ除クニ關スル事項
三 射表編纂ニ關スル事項
第五條 第二部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 工兵器材及交通器材ノ調査硏究、審査及試驗ニ關スル事項
二 工兵及交通ノ技術ニ關スル事項
第六條 第三部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 兵器制式ノ統一及兵器制式圖ノ調製整理ニ關スル事項
二 部隊供用兵器ノ檢査ニ關スル事項
三 製作シ、修理シ又ハ購買シタル兵器及兵器材料ノ檢査ニ關スル事項
第七條 陸軍技術本部ニ左ノ職員ヲ置ク
本部長
部長
部員
副官
主計
准士官、下士及判任文官
第八條 前條職員ノ外陸軍技術本部ニ參與ヲ置クコトヲ得
第九條 本部長ハ陸軍大臣ニ隸シ部務ヲ總理シ陸軍技術將校及兵器技術ヲ掌ル陸軍技師ヲ管轄シ陸軍科學硏究所ヲ統轄ス
本部長ハ兵器技術及其ノ設計ニ關シテハ砲兵工廠提理ニ對シ、築城技術ニ關シテハ築城部本部長ニ對シ區處ヲ爲スコトヲ得
第十條 本部長ハ陸軍砲工學校員外學生ノ敎育及補充等ニ關シ意見ヲ敎育總監ニ、陸軍砲兵工科學校學生及生徒ノ敎育ニ關シ意見ヲ砲兵工廠提理ニ開陳ス
第十一條 本部長ハ軍隊、官衙及學校ニ於ケル兵器ノ檢査ヲ行ヒ其ノ成績ヲ陸軍大臣ニ報吿シ所管長官ニ通報ス
前項ノ檢査ハ部長ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第十二條 本部長ハ兵器ノ檢査ニ付必要アルトキハ當該長官又ハ主任者ヲシテ兵器ニ關スル簿表又ハ報吿ヲ提出セシメ其ノ說明ヲ求ムルコトヲ得
第十三條 部長ハ本部長ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理ス
第十四條 部員、副官及主計ハ上官ノ命ヲ承ケ擔任ノ事務ヲ掌ル
第十五條 准士官、下士及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ニ服ス
第十六條 參與ハ他ニ本職ヲ有スル海軍ノ將校、機關將校若ハ將校相當官又ハ高等文官ニシテ技術上ノ學識技能卓越ナル者ノ中ヨリ陸軍大臣之ヲ命ス
參與ハ部務ニ參與ス
第十七條 陸軍技術本部ニ於テ試驗ノ爲必要ト認ムルトキハ本部長ハ陸軍大臣ニ申請シ又ハ敎育總監若ハ師團長ニ禀議シ學校又ハ軍隊ヲシテ之ヲ實施セシメ又ハ之ニ必要ナル人馬材料ヲ供用セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年四月十五日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍技術審査部條例ハ之ヲ廢止ス
朕陸軍技術本部令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月十二日
内閣総理大臣 原敬
陸軍大臣 田中義一
勅令第百六号
陸軍技術本部令
第一条 陸軍技術本部ハ兵器及兵器材料ノ審査、制式統一及検査ヲ為シ、陸軍技術ノ調査研究及試験ヲ為シ且其ノ改良進歩ヲ図リ並之ニ関シ陸軍大臣ニ意見ヲ具申ス
第二条 陸軍技術本部ニ総務部、第一部、第二部及第三部ヲ置ク
第三条 総務部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 陸軍技術将校及兵器技術ヲ掌ル陸軍技師ノ人事ニ関スル事項
二 科学研究所ニ関スル事項
三 陸軍技術会議ニ関スル事項
四 庶務及経理ニ関スル事項
五 他ノ部ノ主管ニ属セサル事項
第四条 第一部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 兵器第二部ノ主管ニ属スルモノヲ除クノ調査研究、審査及試験ニ関スル事項
二 陸軍技術第二部ノ主管ニ属スルモノヲ除クニ関スル事項
三 射表編纂ニ関スル事項
第五条 第二部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 工兵器材及交通器材ノ調査研究、審査及試験ニ関スル事項
二 工兵及交通ノ技術ニ関スル事項
第六条 第三部ニ於テハ左ノ事項ヲ管掌ス
一 兵器制式ノ統一及兵器制式図ノ調製整理ニ関スル事項
二 部隊供用兵器ノ検査ニ関スル事項
三 製作シ、修理シ又ハ購買シタル兵器及兵器材料ノ検査ニ関スル事項
第七条 陸軍技術本部ニ左ノ職員ヲ置ク
本部長
部長
部員
副官
主計
准士官、下士及判任文官
第八条 前条職員ノ外陸軍技術本部ニ参与ヲ置クコトヲ得
第九条 本部長ハ陸軍大臣ニ隷シ部務ヲ総理シ陸軍技術将校及兵器技術ヲ掌ル陸軍技師ヲ管轄シ陸軍科学研究所ヲ統轄ス
本部長ハ兵器技術及其ノ設計ニ関シテハ砲兵工廠提理ニ対シ、築城技術ニ関シテハ築城部本部長ニ対シ区処ヲ為スコトヲ得
第十条 本部長ハ陸軍砲工学校員外学生ノ教育及補充等ニ関シ意見ヲ教育総監ニ、陸軍砲兵工科学校学生及生徒ノ教育ニ関シ意見ヲ砲兵工廠提理ニ開陳ス
第十一条 本部長ハ軍隊、官衙及学校ニ於ケル兵器ノ検査ヲ行ヒ其ノ成績ヲ陸軍大臣ニ報告シ所管長官ニ通報ス
前項ノ検査ハ部長ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第十二条 本部長ハ兵器ノ検査ニ付必要アルトキハ当該長官又ハ主任者ヲシテ兵器ニ関スル簿表又ハ報告ヲ提出セシメ其ノ説明ヲ求ムルコトヲ得
第十三条 部長ハ本部長ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理ス
第十四条 部員、副官及主計ハ上官ノ命ヲ承ケ担任ノ事務ヲ掌ル
第十五条 准士官、下士及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ニ服ス
第十六条 参与ハ他ニ本職ヲ有スル海軍ノ将校、機関将校若ハ将校相当官又ハ高等文官ニシテ技術上ノ学識技能卓越ナル者ノ中ヨリ陸軍大臣之ヲ命ス
参与ハ部務ニ参与ス
第十七条 陸軍技術本部ニ於テ試験ノ為必要ト認ムルトキハ本部長ハ陸軍大臣ニ申請シ又ハ教育総監若ハ師団長ニ禀議シ学校又ハ軍隊ヲシテ之ヲ実施セシメ又ハ之ニ必要ナル人馬材料ヲ供用セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ大正八年四月十五日ヨリ之ヲ施行ス
陸軍技術審査部条例ハ之ヲ廃止ス