第一條 本法ニ於テ賣藥營業者ト稱スルハ賣藥ヲ調製又ハ輸入若ハ移入シテ販賣スル者ヲ謂フ
原料品ニ加工セスシテ賣藥ト爲スモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ賣藥ノ調製ト看做ス
第二條 賣藥營業者賣藥ヲ發賣セムトスルトキハ方名、原料品名及其ノ分量、調製ノ方法、用法、用量竝効能ヲ記載シ主タル營業所所在地ノ地方長官ノ免許ヲ受クヘシ之ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ日本藥局方ニ記載セサル原料品ヲ使用セムトスル者ハ其ノ見本品ヲ提出スヘシ
第三條 賣藥營業者二箇所以上ノ營業所ヲ設ケタルトキハ營業所每ニ所在地ノ地方長官ニ屆出ツヘシ
第四條 賣藥ニハ毒藥、劇藥及其ノ性狀又ハ配伍ノ結果ニ由リ危害ヲ生スルノ虞アル藥品ヲ使用スルコトヲ得ス但シ毒藥、劇藥ハ其ノ用法、用量ニ依リ行政官廳ニ於テ危害ヲ生スルノ虞ナシト認メタルモノハ此ノ限ニ在ラス
第五條 賣藥ノ原料品ハ日本藥局方ニ記載スルモノハ其ノ所定ノ性狀品質、之ニ記載セサルモノハ第二條第二項ノ見本品ト同樣ノ性狀品質ヲ具備スルヲ要ス
第六條 藥劑師、藥劑師ヲ使用スル者又ハ醫師ニ非サレハ賣藥ヲ調製シテ販賣スルコトヲ得ス
第七條 賣藥免許ハ前條ニ揭クル者ニ限リ之ヲ讓受ケ又ハ相續スルコトヲ得
第八條 賣藥ノ効能ニ關シテハ文書、言語其ノ他何等ノ方法ヲ以テスルヲ問ハス免許ヲ得タル事項ヲ說明スルノ外之ヲ誇張シテ公示スルコトヲ得ス
第九條 賣藥ニ關スル廣吿、賣藥ノ容器若ハ被包又ハ賣藥ニ添附シ若ハ添附セスシテ頒布スル文書ニハ左記ノ事項ヲ記載スルコトヲ得ス
三 虛僞誇大ノ證明若ハ醫師其ノ他ノ者カ効能ヲ保證シタルモノト世人ヲシテ誤解セシムルノ虞アル記事
四 醫治ノ無効ヲ暗示シ或ハ暗ニ醫師ヲ誹謗スルカ如キ記事
第十條 地方長官ハ衞生上危害ヲ生スルノ虞アリト認ムルトキハ賣藥營業者ニ對シ其ノ免許ヲ得タル事項ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第十一條 賣藥營業者ニシテ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シ又ハ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル處分ニ違反シタル者ニ付地方長官ハ其ノ免許ヲ取消スコトヲ得
第十二條 行政官廳ハ當該官吏ヲシテ賣藥ヲ調製シ若ハ販賣スル場所ニ臨檢セシメ又ハ賣藥ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十三條 行政官廳ハ試驗ノ用ニ供スル爲必要ナル分量ニ限リ當該官吏ヲシテ賣藥又ハ其ノ原料品ヲ無償ニテ收去セシムルコトヲ得
第十四條 第二條第一項若ハ第五條ノ規定又ハ第十條ノ處分ニ違反スル賣藥ハ地方長官其ノ所有者ヲシテ之ヲ廢棄セシメ又ハ直接ニ廢棄シ其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得但シ所有者又ハ所持者ニ於テ衞生上危害ヲ生スル虞ナキ方法ニ依リ處置セムコトヲ請フトキハ之ヲ許可スルコトヲ得
第十五條 第二條第一項、第五條若ハ第六條ノ規定又ハ第十條ノ處分ニ違反シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條 第八條若ハ第九條ノ規定ニ違反シタル者又ハ當該官吏ノ臨檢若ハ檢査ヲ拒ミタル者ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條 第三條又ハ第二十條第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ處ス
第十八條 賣藥營業者又ハ賣藥請賣營業者未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ其ノ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
賣藥營業者又ハ賣藥請賣營業者ハ其ノ代理人戶主家族同居者雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ處罰ヲ免カルルコトヲ得ス
第十九條 明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
第二十條 輸出又ハ移出スル賣藥ニ付テハ第二條乃至第十一條、第十四條及第十五條ノ規定ヲ適用セス其ノ取締上必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ賣藥ヲ調製セムトスル者ハ營業所每ニ之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ