第一條 明治四十五年法律第二十三號ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 競爭入札ニ加入セムトスル者ハ鑛業法ニ依リ鑛業權者ト爲ルコトヲ得ル者ニシテ直接國稅年額千圓以上ヲ納メ且一年五萬噸以上ノ石炭ヲ產出スル鑛區ヲ二年以上經營シタル者ニ限ル
前項ノ外樺太廳長官ハ必要ト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ特ニ競爭入札加入者ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
第三條 樺太廳長官ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スト認メタル者ハ爾後二年間競爭入札ニ加入スルコトヲ得ス
一 競爭ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ爲シタル者
二 競爭ノ加入ヲ妨害シ又ハ落札者ノ義務履行ヲ妨害シタル者
三 自己ノ責ニ歸スヘキ事由ニ因リ鑛業權取消ノ處分ヲ受ケタル者
第四條 競爭入札ハ指名競爭ノ場合ヲ除クノ外其ノ入札期日ヨリ少クトモ四月前ニ官報及新聞紙ニ公吿シテ之ヲ行フヘシ
第六條 競爭入札ニ加入セムトスル者ハ現金又ハ有價證券ヲ以テ入札保證金ヲ納付スヘシ
前項有價證券ノ種類及其ノ擔保價格ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第七條 入札人ハ一旦提出シタル入札書ノ引換變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得ス
第八條 入札人競爭ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ爲シタリト認ムルトキハ當該官吏ハ入札ヲ中止スヘシ旣ニ入札後ナルトキハ其ノ入札全部ヲ無效トス
第九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ノ入札ハ之ヲ無效トス
三 代理人ニ依リ入札スル場合ニ於テ其ノ代理權ヲ證明セサル者
五 自己ノ爲ニスルト他人ノ爲ニスルトヲ問ハス一人ニテ二以上ノ入札ヲ爲シタル者
第十條 開札ハ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ入札人出席セサルトキハ入札ニ關係ナキ官吏ヲシテ之ニ立會ハシムヘシ
第十一條 樺太廳長官ノ豫定シタル金額以上ノ最高額ノ入札ヲ爲シタル者ハ之ヲ落札者トス但シ同額ノ入札ヲ爲シタル者二人以上アルトキハ直ニ抽籤ヲ以テ落札者ヲ定メ抽籤スヘキ者出席セサルトキハ立會官吏ヲシテ抽籤セシムヘシ
第十二條 開札ノ結果落札者ナキトキハ直ニ出席入札人ヲシテ再度入札セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ再度入札ニ付スルモ尙落札者ナキトキハ指名競爭ニ付スルコトヲ得但シ之カ爲當初定メタル採掘區域、入札豫定金額及條件ヲ變更スルコトヲ得ス
第十三條 落札者決定シタルトキハ樺太廳長官ハ期間ヲ指定シ石炭採掘ノ出願ヲ命スヘシ
前項ノ規定ニ依リ提出シタル願書又ハ圖面法令ノ規定ニ適合セス又ハ不備ナリト認ムルトキハ樺太廳長官ハ期間ヲ指定シ其ノ修正又ハ補充ヲ命スヘシ
第十四條 樺太廳長官ハ前條ノ出願ヲ許可スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ保證金ヲ徵スルコトヲ得
第十五條 落札者第十三條ノ命令ニ從ハサルトキハ其ノ落札ハ之ヲ無效トス此ノ場合ニ於テハ入札保證金ハ政府之ヲ取得ス
第十六條 落札無效ト爲リタル爲更ニ競爭入札ヲ行フ場合ニ於テハ第四條ノ公吿期間ヲ四十日迄ニ短縮スルコトヲ得
第十二條ノ場合ニ於テ再度入札又ハ指名競爭ニ付セス更ニ競爭入札ヲ行フトキ亦前項ニ同シ
第十七條 入札保證金ハ政府ニ於テ之ヲ取得スル場合ヲ除クノ外開札終了後直ニ之ヲ還付ス但シ落札者ノ入札保證金ハ石炭ノ採掘ヲ許可シタル後之ヲ還付ス