(樺太ニ於ケル石炭ノ採掘ニ関スル法律(明四五法二三)ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ関スル件)
法令番号: 勅令第百三十七號
公布年月日: 明治45年6月22日
法令の形式: 勅令
朕明治四十五年法律第二十三號ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年六月二十一日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
勅令第百三十七號
第一條 明治四十五年法律第二十三號ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ關シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 競爭入札ニ加入セムトスル者ハ鑛業法ニ依リ鑛業權者ト爲ルコトヲ得ル者ニシテ直接國稅年額千圓以上ヲ納メ且一年五萬噸以上ノ石炭ヲ產出スル鑛區ヲ二年以上經營シタル者ニ限ル
前項ノ外樺太廳長官ハ必要ト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ特ニ競爭入札加入者ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
第一項ノ直接國稅ノ種類ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第三條 樺太廳長官ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スト認メタル者ハ爾後二年間競爭入札ニ加入スルコトヲ得ス
一 競爭ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ爲シタル者
二 競爭ノ加入ヲ妨害シ又ハ落札者ノ義務履行ヲ妨害シタル者
三 自己ノ責ニ歸スヘキ事由ニ因リ鑛業權取消ノ處分ヲ受ケタル者
第四條 競爭入札ハ指名競爭ノ場合ヲ除クノ外其ノ入札期日ヨリ少クトモ四月前ニ官報及新聞紙ニ公吿シテ之ヲ行フヘシ
第五條 前條ノ公吿ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
一 採掘ヲ許可スヘキ區域及坪數
二 許可ニ條件ヲ付スルトキハ其ノ條件又ハ之ヲ示スヘキ方法
三 入札及開札ノ場所日時
四 入札保證金額
第六條 競爭入札ニ加入セムトスル者ハ現金又ハ有價證券ヲ以テ入札保證金ヲ納付スヘシ
前項有價證券ノ種類及其ノ擔保價格ハ樺太廳長官之ヲ定ム
第七條 入札人ハ一旦提出シタル入札書ノ引換變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得ス
第八條 入札人競爭ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ爲シタリト認ムルトキハ當該官吏ハ入札ヲ中止スヘシ旣ニ入札後ナルトキハ其ノ入札全部ヲ無效トス
第九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ノ入札ハ之ヲ無效トス
一 競爭入札ニ加入スルノ資格ナキ者
二 入札ニ關シ不正ノ所爲アリタル者
三 代理人ニ依リ入札スル場合ニ於テ其ノ代理權ヲ證明セサル者
四 入札保證金ヲ納付セサル者
五 自己ノ爲ニスルト他人ノ爲ニスルトヲ問ハス一人ニテ二以上ノ入札ヲ爲シタル者
六 入札書中必要ナル事項ヲ明確ニ記載セサル者
第十條 開札ハ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ入札人出席セサルトキハ入札ニ關係ナキ官吏ヲシテ之ニ立會ハシムヘシ
第十一條 樺太廳長官ノ豫定シタル金額以上ノ最高額ノ入札ヲ爲シタル者ハ之ヲ落札者トス但シ同額ノ入札ヲ爲シタル者二人以上アルトキハ直ニ抽籤ヲ以テ落札者ヲ定メ抽籤スヘキ者出席セサルトキハ立會官吏ヲシテ抽籤セシムヘシ
第十二條 開札ノ結果落札者ナキトキハ直ニ出席入札人ヲシテ再度入札セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ再度入札ニ付スルモ尙落札者ナキトキハ指名競爭ニ付スルコトヲ得但シ之カ爲當初定メタル採掘區域、入札豫定金額及條件ヲ變更スルコトヲ得ス
第十三條 落札者決定シタルトキハ樺太廳長官ハ期間ヲ指定シ石炭採掘ノ出願ヲ命スヘシ
前項ノ規定ニ依リ提出シタル願書又ハ圖面法令ノ規定ニ適合セス又ハ不備ナリト認ムルトキハ樺太廳長官ハ期間ヲ指定シ其ノ修正又ハ補充ヲ命スヘシ
第十四條 樺太廳長官ハ前條ノ出願ヲ許可スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ保證金ヲ徵スルコトヲ得
第六條ノ規定ハ前項ノ保證金ニ之ヲ準用ス
第十五條 落札者第十三條ノ命令ニ從ハサルトキハ其ノ落札ハ之ヲ無效トス此ノ場合ニ於テハ入札保證金ハ政府之ヲ取得ス
第十六條 落札無效ト爲リタル爲更ニ競爭入札ヲ行フ場合ニ於テハ第四條ノ公吿期間ヲ四十日迄ニ短縮スルコトヲ得
第十二條ノ場合ニ於テ再度入札又ハ指名競爭ニ付セス更ニ競爭入札ヲ行フトキ亦前項ニ同シ
第十七條 入札保證金ハ政府ニ於テ之ヲ取得スル場合ヲ除クノ外開札終了後直ニ之ヲ還付ス但シ落札者ノ入札保證金ハ石炭ノ採掘ヲ許可シタル後之ヲ還付ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕明治四十五年法律第二十三号ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年六月二十一日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
勅令第百三十七号
第一条 明治四十五年法律第二十三号ニ依ル石炭採掘ノ許可ニ関シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 競争入札ニ加入セムトスル者ハ鉱業法ニ依リ鉱業権者ト為ルコトヲ得ル者ニシテ直接国税年額千円以上ヲ納メ且一年五万噸以上ノ石炭ヲ産出スル鉱区ヲ二年以上経営シタル者ニ限ル
前項ノ外樺太庁長官ハ必要ト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ特ニ競争入札加入者ノ資格ヲ定ムルコトヲ得
第一項ノ直接国税ノ種類ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第三条 樺太庁長官ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スト認メタル者ハ爾後二年間競争入札ニ加入スルコトヲ得ス
一 競争ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ為シタル者
二 競争ノ加入ヲ妨害シ又ハ落札者ノ義務履行ヲ妨害シタル者
三 自己ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リ鉱業権取消ノ処分ヲ受ケタル者
第四条 競争入札ハ指名競争ノ場合ヲ除クノ外其ノ入札期日ヨリ少クトモ四月前ニ官報及新聞紙ニ公告シテ之ヲ行フヘシ
第五条 前条ノ公告ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
一 採掘ヲ許可スヘキ区域及坪数
二 許可ニ条件ヲ付スルトキハ其ノ条件又ハ之ヲ示スヘキ方法
三 入札及開札ノ場所日時
四 入札保証金額
第六条 競争入札ニ加入セムトスル者ハ現金又ハ有価証券ヲ以テ入札保証金ヲ納付スヘシ
前項有価証券ノ種類及其ノ担保価格ハ樺太庁長官之ヲ定ム
第七条 入札人ハ一旦提出シタル入札書ノ引換変更又ハ取消ヲ為スコトヲ得ス
第八条 入札人競争ニ際シ入札金額ヲ低落スルノ目的ヲ以テ連合ヲ為シタリト認ムルトキハ当該官吏ハ入札ヲ中止スヘシ既ニ入札後ナルトキハ其ノ入札全部ヲ無効トス
第九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ノ入札ハ之ヲ無効トス
一 競争入札ニ加入スルノ資格ナキ者
二 入札ニ関シ不正ノ所為アリタル者
三 代理人ニ依リ入札スル場合ニ於テ其ノ代理権ヲ証明セサル者
四 入札保証金ヲ納付セサル者
五 自己ノ為ニスルト他人ノ為ニスルトヲ問ハス一人ニテ二以上ノ入札ヲ為シタル者
六 入札書中必要ナル事項ヲ明確ニ記載セサル者
第十条 開札ハ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ入札人出席セサルトキハ入札ニ関係ナキ官吏ヲシテ之ニ立会ハシムヘシ
第十一条 樺太庁長官ノ予定シタル金額以上ノ最高額ノ入札ヲ為シタル者ハ之ヲ落札者トス但シ同額ノ入札ヲ為シタル者二人以上アルトキハ直ニ抽籤ヲ以テ落札者ヲ定メ抽籤スヘキ者出席セサルトキハ立会官吏ヲシテ抽籤セシムヘシ
第十二条 開札ノ結果落札者ナキトキハ直ニ出席入札人ヲシテ再度入札セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ再度入札ニ付スルモ尚落札者ナキトキハ指名競争ニ付スルコトヲ得但シ之カ為当初定メタル採掘区域、入札予定金額及条件ヲ変更スルコトヲ得ス
第十三条 落札者決定シタルトキハ樺太庁長官ハ期間ヲ指定シ石炭採掘ノ出願ヲ命スヘシ
前項ノ規定ニ依リ提出シタル願書又ハ図面法令ノ規定ニ適合セス又ハ不備ナリト認ムルトキハ樺太庁長官ハ期間ヲ指定シ其ノ修正又ハ補充ヲ命スヘシ
第十四条 樺太庁長官ハ前条ノ出願ヲ許可スル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ保証金ヲ徴スルコトヲ得
第六条ノ規定ハ前項ノ保証金ニ之ヲ準用ス
第十五条 落札者第十三条ノ命令ニ従ハサルトキハ其ノ落札ハ之ヲ無効トス此ノ場合ニ於テハ入札保証金ハ政府之ヲ取得ス
第十六条 落札無効ト為リタル為更ニ競争入札ヲ行フ場合ニ於テハ第四条ノ公告期間ヲ四十日迄ニ短縮スルコトヲ得
第十二条ノ場合ニ於テ再度入札又ハ指名競争ニ付セス更ニ競争入札ヲ行フトキ亦前項ニ同シ
第十七条 入札保証金ハ政府ニ於テ之ヲ取得スル場合ヲ除クノ外開札終了後直ニ之ヲ還付ス但シ落札者ノ入札保証金ハ石炭ノ採掘ヲ許可シタル後之ヲ還付ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス