漁業組合令
法令番号: 勅令第四百二十九號
公布年月日: 明治43年11月12日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ漁業組合令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年十一月十一日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
農商務大臣 男爵 大浦兼武
司法大臣 子爵 岡部長職
勅令第四百二十九號
漁業組合令
第一章 總則
第一條 本令ニ於テ組合ト稱スルハ漁業法第四十二條ノ規定ニ依リ設立スル漁業組合ヲ謂ヒ聯合會ト稱スルハ同法第四十四條ノ規定ニ依リ設立スル漁業組合聯合會ヲ謂フ
第二條 組合ハ其ノ名稱中ニ漁業組合ナル文字ヲ用ウヘシ
聯合會ハ其ノ名稱中ニ漁業組合聯合會ナル文字ヲ用ウヘシ
組合又ハ聯合會ニ非スシテ其ノ名稱中ニ漁業組合ナル文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第三條 組合又ハ聯合會ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第四條 本令ニ依リ地方長官ニ屬スル職權ハ郡長、島司、市長、北海道廳支廳長又ハ北海道若ハ沖繩縣ノ區長ニ之ヲ委任スルコトヲ得但シ組合又ハ聯合會設立ノ許可、第二十條第一項第六號、第九號及第十二號ノ事項ニ關スル認可竝第五十條ノ裁決ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第五條 本令ニ依リ登記スヘキ事項ニシテ官廳ノ許可又ハ認可ヲ要スルモノハ其ノ許可書又ハ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第二章 設立
第六條 組合ノ設立ニハ組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者五人以上ノ發起人アルコトヲ要ス
第七條 發起人ハ左ノ事項ヲ組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者ニ通知シ組合設立ノ同意ヲ求ムヘシ
一 地區タルヘキ區域
二 目的及事業ノ槪要
三 同意表示ノ方法及期間
第八條 組合ノ地區ハ重複スルコトヲ得ス
第九條 發起人ハ組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上ノ同意ヲ得タルトキハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スヘシ但シ組合ノ地區タルヘキ區域カ二部落以上ニ亙ルトキハ各部落每ニ其ノ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
特別ノ事由ニ因リ前項ノ同意ヲ得ルコト能ハサルトキハ地方長官ノ認可ヲ得テ創立總會ヲ招集スルコトヲ得
第十條 發起人ハ規約、初年度ニ於ケル經費ノ收支豫算及分賦收入方法ノ議案ヲ作リ之ヲ創立總會ニ提出スヘシ
組合ノ設立費用及其ノ償却ノ方法ハ創立總會ノ承認ヲ經ヘシ
第十一條 發起人創立總會ヲ招集スルニハ少クトモ五日前ニ會議ノ目的、日時及場所竝規約案備附ノ場所及閱覽ノ時間ヲ組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル各漁業者ニ通知スヘシ
第十二條 規約ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所
五 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
六 役員ニ關スル規定
七 會議ニ關スル規定
八 會計及財產ノ管理ニ關スル規定
九 組合ノ取得シ又ハ貸付ヲ受ケタル專用漁業權又ハ入漁權ノ行使ニ關スル規定
十 前號ノ權利ノ行使ニ關シ特別ノ利益ヲ受クル組合員ヨリ料金ヲ納メシムルトキハ之ニ關スル規定
十一 共同施設事業ノ執行ニ關スル規定
十二 存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第十三條 創立總會ノ決議ハ組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上出席シ其ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第十四條 組合ノ地區タルヘキ區域內ニ住所ヲ有スル漁業者ハ創立總會ニ出席スル他ノ漁業者ニ委任シテ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ漁業者ハ之ヲ出席者ト看做ス
前項ノ受任者ハ委任狀ヲ發起人ニ差出スヘシ
第十五條 創立總會終了シタルトキハ發起人ハ組合設立ノ許可申請書ヲ地方長官ニ差出スヘシ
前項ノ申請書ニハ規約、初年度ニ於ケル經費ノ收支豫算及分賦收入方法、第九條ノ同意ヲ證スル書面竝創立總會ノ決議錄ヲ添附スヘシ尙漁業法第四十二條第二項但書ニ該當スル場合ニ在リテハ其ノ理由書ヲ添附スヘシ
第十六條 組合設立ノ登記ハ其ノ設立ノ日ヨリ二週間內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ之ヲ爲スヘシ
登記スヘキ事項左ノ如シ
一 第十二條第一號乃至第四號及第十二號ニ揭ケタル事項
二 設立許可ノ年月日
三 理事及監事ノ氏名、住所
前項ニ揭ケタル事項中ニ變更ヲ生シタルトキハ二週間內ニ其ノ登記ヲ爲スヘシ
第十七條 組合設立ノ後新ニ事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ事務所ノ所在地ニ於テハ二週間內ニ前條第二項ニ揭ケタル事項ノ登記ヲ爲シ他ノ事務所ノ所在地ニ於テハ同期間內ニ新ニ事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スヘシ
組合カ其ノ事務所ヲ移轉シタルトキハ舊所在地ニ於テハ二週間內ニ移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ同期間內ニ前條第二項ニ揭ケタル事項ノ登記ヲ爲スヘシ
同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ事務所ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉ノミノ登記ヲ爲スヘシ
第十八條 行政區劃、大字又ハ字ノ名稱ニ變更アリタルトキハ登記簿ニ記載シタル行政區劃、大字又ハ字ノ名稱ハ當然之ヲ變更シタルモノト看做ス
行政區劃、大字又ハ字ノ變更アリタルトキ亦前項ニ同シ但シ組合ノ地區ニ關シテハ此ノ限ニ在ラス
第十九條 前條ノ規定ハ地區及事務所所在地ニ關スル規約ノ規定ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ組合ハ規約ノ記載ヲ訂正シ且遲滯ナク其ノ旨ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第三章 會議
第二十條 本令中別ニ規定アルモノノ外左ニ揭クル事項ハ組合員總會ノ決議ヲ經ヘシ但シ第八號ニ揭クル事項ニ付テハ規約ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
一 經費ノ收支豫算
二 經費ノ分賦收入方法
三 漁業權又ハ不動產ニ關スル物權ノ得喪、變更
四 基金ノ支出又ハ其ノ利用方法
五 豫算外ノ支出
六 負債ヲ起スコト
七 組合員ノ除名
八 組合員ニ非サル者ニ對スル漁業權ノ貸付又ハ入漁權ノ設定、得喪若ハ變更
九 規約ノ變更
十 訴願、訴訟又ハ和解
十一 聯合會ニ加入シ又ハ之ヨリ脫退スルコト
十二 組合ノ解散、合併又ハ分割
前項第三號、第六號、第七號、第九號乃至第十二號ニ揭ケタル事項及第三十條第三項但書ノ決議ハ總組合員三分ノ二以上出席シ其ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十一條 組合ノ地區ヲ擴張又ハ縮小スル爲規約ヲ變更セムトスルトキハ其ノ擴張又ハ縮小セムトスル區域內ニ住所ヲ有スル漁業者又ハ組合員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第九條第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二條 第二十條第一項第二號、第六號、第九號及第十二號ニ揭ケタル事項ノ決議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
前項ノ認可ノ申請書ニハ總會ノ決議錄及左ノ書類ヲ添附スヘシ
一 地區ノ擴張又ハ縮小ニ關スル規約ノ變更ニ付テハ前條ノ同意ヲ證スル書面
二 合併又ハ分割ニ付テハ合併若ハ分割後存續スル組合又ハ合併若ハ分割ニ因リテ設立スル組合ノ規約及第五十一條第二項、第五十二條ノ規定ニ依リ手續ヲ爲シタルコトヲ證スル書面
第二十三條 第二十條第一項第四號、第五號、第八號及第十號ニ揭ケタル事項ニ關シ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事ハ專決處分シ次ノ總會ニ於テ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第二十四條 總會ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外理事之ヲ招集ス
第二十五條 通常總會ハ每年少クトモ一囘之ヲ開クヘシ
理事ハ經費ノ收支決算書、剩餘金ノ處分書、財產目錄及事業報吿書ヲ通常總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムヘシ
監事ハ豫メ前項ノ書類ニ付之ヲ調査シ其ノ意見ヲ通常總會ニ報吿スヘシ
第二項ノ承認ヲ得タルトキハ組合ハ遲滯ナク之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第二十六條 臨時總會ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ招集ス
一 理事カ必要アリト認ムルトキ
二 總組合員ノ五分ノ一以上ヨリ會議ノ目的及事由ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ總會ノ招集ヲ請求シタルトキ
三 第三十六條第三項ノ規定ニ依リ監事カ報吿ヲ爲スノ必要アルトキ
前項第二號ノ場合ニハ組合ハ其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ二週間內ニ之ヲ招集スヘシ
第二十七條 總會ヲ招集スルニハ少クトモ三日前ニ會議ノ目的タル事項、日時及場所ヲ各組合員ニ通知スヘシ
總會ニ於テハ前項ノ規定ニ依リテ豫メ通知ヲ爲シタル事項ニ付テノミ決議ヲ爲スコトヲ得但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十八條 組合員ハ各一個ノ議決權ヲ有ス
第二十九條 總會ノ決議ハ本令又ハ規約ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席シタル組合員ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
組合員ハ他ノ組合員ニ委任シテ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ組合員ハ之ヲ出席者ト看做ス
前項ノ受任者ハ委任狀ヲ組合ニ差出スヘシ
第三十條 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルヘキ總代會ヲ設クルコトヲ得
總會ニ關スル規定ハ總代會ニ之ヲ準用ス
第二十條第一項第三號、第六號、第七號、第九號及第十二號ニ揭ケタル事項又ハ第七十二條第二項ノ決議ハ總代會ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ起債又ハ規約ノ變更ニ付總會ノ委任アリタル事項ハ此ノ限ニ在ラス
第三十一條 總代會ヲ組織スル總代ノ員數、選任、任期及解任ニ關スル規定ハ之ヲ規約中ニ設クヘシ
組合員ニ非サル者ハ總代ト爲ルコトヲ得ス
第四章 組合ノ管理
第三十二條 組合ニハ理事及監事ヲ置ク
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ設立當時ノ理事及監事ハ創立總會ニ於テ組合員タルヘキ者ノ中ヨリ之ヲ選任スヘシ
特別ノ事由アルトキハ組合員ニ非サル者ヨリ理事又ハ監事ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第三十三條 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ一年トス但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十四條 理事及監事ハ何時ニテモ總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二十條第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第三十五條 民法第五十二條第二項、第五十三條及第五十四條ノ規定ハ組合ノ理事ニ之ヲ準用ス
第三十六條 監事ハ組合ノ財產及事務執行ノ狀況ヲ監査ス
監事組合財產ノ狀況又ハ事務ノ執行ニ付不整ノ廉アルコトヲ發見シタルトキハ之ヲ總會及地方長官ニ報吿スヘシ
監事ハ前項ノ報吿ヲ爲スノ必要アルトキハ總會ヲ招集スルコトヲ得
第三十七條 監事ハ理事又ハ事務員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第三十八條 組合ト理事トノ利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事缺ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ス
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ地方長官ハ假理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第三十九條 組合ハ理事其ノ他ノ代理人カ其ノ職務ヲ行フニ付他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スルノ責ニ任ス
第四十條 組合ハ規約及總會ノ決議錄ヲ各事務所ニ備置キ且組合員名簿、經費ノ收支豫算書、經費ノ收支決算書、財產目錄及事業報吿書ヲ主タル事務所ニ備置クヘシ
組合ハ組合員又ハ利害關係人ヨリ前項ノ書類ノ閱覽ヲ求メタルトキハ正當ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十一條 組合ハ理事又ハ監事ニ關スル登記ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク登記シタル事項及其ノ登記ノ年月日ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第五章 組合ノ會計
第四十二條 組合ノ事業年度ハ一年トシ曆年ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ曆年ニ依ラサルコトヲ得
第四十三條 組合ハ經費ノ收支豫算ヲ議決シタルトキハ遲滯ナク之ヲ地方長官ニ報吿スヘシ
第四十四條 組合ハ每事業年度ノ剩餘金ノ十分ノ一以上ヲ基金トシテ積立ツヘシ
基金ハ天災其ノ他已ムコトヲ得サル事由アル場合又ハ著シク組合員共同ノ利益ヲ增進スル爲必要ナル場合ヲ除クノ外之ヲ支出スルコトヲ得ス
第六章 組合員ノ加入及脫退
第四十五條 組合ノ地區內ニ住所ヲ有スル漁業者組合ニ加入セムトスルトキハ組合ハ正當ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル條件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十六條 組合ハ漁業ニ關シ功勞、學識又ハ經驗アル者ヲ名譽組合員ト爲スコトヲ得
名譽組合員ハ議決權ヲ有セス
第四十七條 組合員ノ死亡ニ因リ家督相續開始シタルトキハ家督相續人ハ相續ノ日ヨリ被相續人ニ代リ組合員ト爲ル但シ相續ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ三月內ニ之ニ異リタル意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十八條 組合員ハ事業年度ノ終ニ於テ脫退スルコトヲ得
第四十九條 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脫退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡
三 除名
第五十條 正當ノ理由ナクシテ組合ノ加入ニ困難ナル條件ヲ附セラレ若ハ加入ヲ拒マレタル漁業者又ハ不當ニ除名セラレタル者ハ六十日內ニ地方長官ニ裁決ヲ申請スルコトヲ得
第七章 組合ノ分合
第五十一條 組合カ合併又ハ分割ノ決議ヲ爲シタルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ二週間內ニ財產目錄及貸借對照表ヲ作ルヘシ分割ヲ爲ス場合ニ於テハ尙分割後設立スル組合カ承繼スヘキ權利義務ノ限度ヲ記載シタル書面ヲ作ルヘシ
組合ハ前項ノ期間內ニ其ノ債權者ニ對シ異議アラハ一定ノ期間內ニ之ヲ述フヘキ旨ヲ催吿スヘシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ス
第五十二條 債權者カ前條第二項ノ期間內ニ合併又ハ分割ニ對シテ異議ヲ述ヘサリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス
債權者カ異議ヲ述ヘタルトキハ組合ハ之ニ辨濟ヲ爲シ又ハ相當ノ擔保ヲ供スルニ非サレハ合併又ハ分割ヲ爲スコトヲ得ス
第五十三條 組合カ合併又ハ分割ヲ爲シタルトキハ二週間內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ合併又ハ分割後存續スル組合ニ付テハ變更ノ登記ヲ爲シ、合併又ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合ニ付テハ解散ノ登記ヲ爲シ、合併又ハ分割ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ設立ノ登記ヲ爲スヘシ
第五十四條 合併後存續スル組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼ス
分割ニ因リテ設立シタル組合ハ第五十一條ノ規定ニ依リテ定メタル限度ニ於テ從前ノ組合ノ權利義務ヲ承繼ス
第八章 組合ノ解散及淸算
第五十五條 組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 規約ニ定メタル事由ノ發生
二 組合員カ五人未滿ニ減シタルトキ
三 總會ノ決議
四 組合ノ合併
五 組合ノ分割
六 組合ノ破產
七 行政官廳ノ處分
第五十六條 組合カ其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタルトキハ裁判所ハ組合若ハ債權者ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ破產ノ宣吿ヲ爲スヘシ
前項ノ場合ニ於テ組合ハ直ニ破產宣吿ノ請求ヲ爲スヘシ
第五十七條 組合ノ淸算ハ組合ノ主タル事務所所在地ノ區裁判所ノ監督ニ屬ス
裁判所ハ何時ニテモ職權ヲ以テ前項ノ監督ニ必要ナル檢査ヲ爲シ又ハ特ニ選任シタル者ヲシテ監督ニ必要ナル檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第五十八條 組合ハ合併、分割及破產ノ場合ヲ除クノ外解散後二週間內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ淸算人ノ氏名、住所及解散ノ原因、年月日ノ登記ヲ爲シ且合併及分割ノ場合ヲ除クノ外之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ但シ行政官廳ノ處分ニ因リテ解散シタルトキハ解散ノ原因及其ノ年月日ノ屆出竝登記ノ申請ヲ爲スルコトヲ要ス
淸算中ニ就職シタル淸算人アルトキハ組合ハ就職後二週間內ニ淸算人ノ氏名、住所ノ登記ヲ爲シ且之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
前二項ノ規定ニ依リ登記シタル事項中ニ變更ヲ生シタルトキハ組合ハ二週間內ニ其ノ登記ヲ爲シ且之ヲ地方長官ニ屆出ツヘシ
第五十九條 組合ノ解散ヲ命シタルトキハ行政官廳ハ解散ヲ命シタルコト及其ノ年月日ノ登記ヲ囑託スヘシ
登記所ハ前項ノ囑託ニ因リテ其ノ登記ヲ爲スヘシ
第六十條 組合カ解散シタルトキハ合併、分割及破產ノ場合ヲ除クノ外理事其ノ淸算人ト爲ル但シ規約ニ別段ノ規定アルトキ又ハ總會ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
淸算人ハ其ノ職務ノ範圍內ニ於テ理事ト同一ノ權利義務ヲ有ス
第六十一條 淸算人ハ就職後遲滯ナク組合財產ノ現況ヲ調査シ財產目錄及貸借對照表ヲ作リ殘餘財產ノ處分方法ヲ定メ之ヲ總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第六十二條 淸算中ノ組合ハ組合ノ債務ヲ辨濟シ又ハ辨濟ニ必要ナル金額ヲ供託スルニ非サレハ殘餘財產ノ處分ヲ爲スコトヲ得ス
第六十三條 淸算中ノ組合ハ淸算人就職ノ日ヨリ二月內ニ少クトモ三囘ノ公吿ヲ以テ債權者ニ對シ一定ノ期間內ニ其ノ請求ノ申出ヲ爲スヘキ旨ヲ催吿スヘシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ス
前項ノ公吿ニハ債權者カ期間內ニ申出ヲ爲ササルトキハ其ノ債權ハ淸算ヨリ除斥セラルヘキ旨ヲ附記スヘシ但シ組合ハ知レタル債權者ヲ除斥スルコトヲ得ス
組合ハ知レタル債權者ニハ各別ニ其ノ申出ヲ催吿スヘシ
第六十四條 淸算中ノ組合ノ財產カ其ノ債務ヲ完濟スルニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ組合ハ直ニ破產宣吿ノ請求ヲ爲シ且其ノ旨ヲ公吿スヘシ
淸算人ハ破產管財人ニ其ノ事務ヲ引渡シタルトキハ其ノ任ヲ終リタルモノトス
本條ノ場合ニ於テ旣ニ債權者ニ支拂ヒ又ハ歸屬權利者ニ引渡シタルモノアルトキハ破產管財人ハ之ヲ取戾スコトヲ得
第六十五條 前二條ノ公吿ハ裁判所カ爲スヘキ登記事項ノ公吿ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第六十六條 民法第七十三條、第七十五條、第七十六條、第七十八條、第八十條、第八十三條、民法施工法第二條及非訟事件手續法第百三十六條乃至第百三十八條ノ規定ハ組合ノ解散又ハ淸算ニ之ヲ準用ス
第九章 聯合會
第六十七條 聯合會ヲ設立セムトスルトキハ各組合ハ創立委員二名ヲ選任スヘシ但シ其ノ一名ハ理事タルコトヲ要ス
第六十八條 創立委員會ニ於テハ規約、初年度ニ於ケル經費ノ收支豫算及分賦收入方法其ノ他創立ニ關シ必要ナル事項ヲ議決スヘシ
第六十九條 創立委員會終了シタルトキハ聯合會ヲ組織スル組合ハ聯合會設立ノ許可申請書ヲ地方長官ニ差出スヘシ
前項ノ申請書ニハ規約、初年度ニ於ケル經費ノ收支豫算書及分賦收入方法其ノ他創立委員會ニ於テ議決シタル事項竝其ノ決議錄ヲ添附スヘシ
第七十條 聯合會ノ總會ハ加入各組合ニ於テ其ノ組合員中ヨリ選任シタル委員ヲ以テ之ヲ組織ス但シ各組合ノ委員中一名ハ理事タルコトヲ要ス
委員ノ員數及任期ニ關スル規定ハ聯合會ノ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第七十一條 聯合會ニハ理事及監事ヲ置ク
聯合會ノ理事及監事ハ總會ニ於テ加入組合ノ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ設立當時ノ理事及監事ハ創立委員會ニ於テ之ヲ選任スヘシ
第七十二條 聯合會カ負債ヲ起サムトスルトキハ加入各組合ノ負擔ヲ定メ其ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ同意ハ加入各組合其ノ總會ノ決議ヲ經テ之ヲ爲スヘシ
第二十條第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第七十三條 加入各組合ハ聯合會ノ債務ニ付前條ノ負擔ヲ限度トシテ保證ノ責ニ任ス
組合ハ脫退ニ因リテ前項ノ義務ヲ免ルルコトヲ得ス
第七十四條 聯合會ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 規約ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 聯合會ノ破產
四 行政官廳ノ處分
第七十五條 第十二條、第十六條乃至第二十條、第二十二條乃至第二十八條、第二十九條第一項、第三十三條乃至第四十四條及第五十六條乃至第六十六條ノ規定ハ聯合會ニ之ヲ準用ス但シ第十二條及第十六條ノ地區ハ加入各組合ノ名稱、第二十條第一項第八號ノ組合員ハ加入各組合及其ノ組合員、第二十條第二項及第二十六條乃至第二十九條ノ組合員ハ委員トス
第十章 登記手續
第七十六條 組合又ハ聯合會ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ノ區裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
第七十七條 各登記所ニ漁業組合登記簿及漁業組合聯合會登記簿ヲ備フ
第七十八條 組合又ハ聯合會設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ規約、創立總會、總會又ハ創立委員會ノ決議錄、設立許可書又ハ合併若ハ分割ノ認可書竝理事及監事ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スヘシ
設立許可書又ハ合併若ハ分割ノ認可書ハ地方長官ノ認證アル謄本ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第七十九條 事務所ノ新設、移轉其ノ他登記事項ノ變更ノ登記ハ理事、其ノ職務ヲ行フ監事若ハ假理事又ハ淸算人ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス但シ組合ノ合併又ハ分割ニ因ル變更ノ登記ハ理事及監事ノ全員ヨリ之ヲ爲スヘシ
申請書ニハ申請人ノ資格ヲ證スル書面及登記事項ノ變更ヲ證スル書面ヲ添附シ且地方長官ノ認可ヲ要スルモノニ付テハ認可書又ハ其ノ認證アル謄本ヲ添附スヘシ但シ前ニ登記ノ申請ヲ爲シタル申請人カ同一登記所ニ前項ノ申請ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ資格ヲ證スル書面ヲ添附スルコトヲ要セス
第八十條 合併又ハ分割ニ因ル解散ノ登記ハ解散シタルトキノ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ總會ノ決議錄、第五十一條第二項及第五十二條ノ手續ヲ爲シタルコトヲ證スル書面竝合併若ハ分割ノ認可書又ハ地方長官ノ認證アル謄本ヲ添附スヘシ
第八十一條 本令ニ依リ登記シタル事項ハ裁判所遲滯ナク之ヲ公吿スヘシ
第八十二條 非訟事件手續法第百二十二條、第百四十一條乃至第百五十一條、第百五十四條乃至第百五十七條及第百七十五條乃至第百七十七條ノ規定ハ組合又ハ聯合會ノ登記ニ之ヲ準用ス
第十一章 罰則
第八十三條 組合又ハ聯合會ノ行爲ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當シタルトキハ其ノ理事、監事、假理事又ハ淸算人ヲ三百圓以下ノ過料ニ處ス
一 本令ニ依ル登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二 官廳ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
三 官廳ノ徵スル報吿ヲ差出サス又ハ其ノ檢査ヲ拒ミタルトキ
四 本令ニ依ル屆出又ハ報吿ヲ怠リタルトキ
五 本令ニ依ル總會ノ招集ヲ怠リタルトキ
六 本令ニ依リ事務所ニ備置クヘキ書類ヲ備ヘサルトキ、其ノ書類ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
七 本令ニ依ル基金ノ積立ヲ爲サス又ハ之ヲ不當ニ支出シタルトキ
八 本令ニ違反シテ破產ノ宣吿ヲ請求セサルトキ
九 本令ニ違反シテ殘餘財產ヲ處分シタルトキ
十 第六十三條ノ場合ニ於テ一部ノ債權者ヲ利スルノ目的ヲ以テ期間內ニ辨濟ヲ爲シタルトキ
十一 本令ニ依ル催吿若ハ公吿ヲ怠リ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ
附 則
第八十四條 本令ハ明治四十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第八十五條 舊漁業法ニ依リ設ケタル漁業組合ハ本令ニ依リ設立シタルモノト看做ス
第八十六條 前條ノ漁業組合ハ本令施行後一年內ニ各事務所ノ所在地ニ於テ第十六條第二項ニ揭ケタル事項ヲ登記スヘシ
前項ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ規約、設置認可書竝理事及監事ノ選任認可書ヲ添附スヘシ但シ地方長官ノ證明書又ハ認證アル謄本ヲ以テ認可書ニ代フルコトヲ得
選任認可書ニ依リ理事及監事ノ氏名ヲ明ニスルコト能ハサルトキハ官廳ノ證明書ヲ以テ其ノ氏名ヲ證スヘシ
第八十七條 舊漁業法ニ依リ設ケタル漁業組合ニシテ淸算中ノモノニ付テハ其ノ淸算ノ結了ニ至ル迄仍從前ノ規定ニ依ル
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ漁業組合令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年十一月十一日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
農商務大臣 男爵 大浦兼武
司法大臣 子爵 岡部長職
勅令第四百二十九号
漁業組合令
第一章 総則
第一条 本令ニ於テ組合ト称スルハ漁業法第四十二条ノ規定ニ依リ設立スル漁業組合ヲ謂ヒ連合会ト称スルハ同法第四十四条ノ規定ニ依リ設立スル漁業組合連合会ヲ謂フ
第二条 組合ハ其ノ名称中ニ漁業組合ナル文字ヲ用ウヘシ
連合会ハ其ノ名称中ニ漁業組合連合会ナル文字ヲ用ウヘシ
組合又ハ連合会ニ非スシテ其ノ名称中ニ漁業組合ナル文字ヲ用ウルコトヲ得ス
第三条 組合又ハ連合会ノ住所ハ其ノ主タル事務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第四条 本令ニ依リ地方長官ニ属スル職権ハ郡長、島司、市長、北海道庁支庁長又ハ北海道若ハ沖縄県ノ区長ニ之ヲ委任スルコトヲ得但シ組合又ハ連合会設立ノ許可、第二十条第一項第六号、第九号及第十二号ノ事項ニ関スル認可並第五十条ノ裁決ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第五条 本令ニ依リ登記スヘキ事項ニシテ官庁ノ許可又ハ認可ヲ要スルモノハ其ノ許可書又ハ認可書ノ到達シタル時ヨリ登記ノ期間ヲ起算ス
第二章 設立
第六条 組合ノ設立ニハ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者五人以上ノ発起人アルコトヲ要ス
第七条 発起人ハ左ノ事項ヲ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者ニ通知シ組合設立ノ同意ヲ求ムヘシ
一 地区タルヘキ区域
二 目的及事業ノ概要
三 同意表示ノ方法及期間
第八条 組合ノ地区ハ重複スルコトヲ得ス
第九条 発起人ハ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上ノ同意ヲ得タルトキハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スヘシ但シ組合ノ地区タルヘキ区域カ二部落以上ニ亘ルトキハ各部落毎ニ其ノ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
特別ノ事由ニ因リ前項ノ同意ヲ得ルコト能ハサルトキハ地方長官ノ認可ヲ得テ創立総会ヲ招集スルコトヲ得
第十条 発起人ハ規約、初年度ニ於ケル経費ノ収支予算及分賦収入方法ノ議案ヲ作リ之ヲ創立総会ニ提出スヘシ
組合ノ設立費用及其ノ償却ノ方法ハ創立総会ノ承認ヲ経ヘシ
第十一条 発起人創立総会ヲ招集スルニハ少クトモ五日前ニ会議ノ目的、日時及場所並規約案備附ノ場所及閲覧ノ時間ヲ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル各漁業者ニ通知スヘシ
第十二条 規約ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所
五 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
六 役員ニ関スル規定
七 会議ニ関スル規定
八 会計及財産ノ管理ニ関スル規定
九 組合ノ取得シ又ハ貸付ヲ受ケタル専用漁業権又ハ入漁権ノ行使ニ関スル規定
十 前号ノ権利ノ行使ニ関シ特別ノ利益ヲ受クル組合員ヨリ料金ヲ納メシムルトキハ之ニ関スル規定
十一 共同施設事業ノ執行ニ関スル規定
十二 存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第十三条 創立総会ノ決議ハ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上出席シ其ノ三分ノ二以上ノ同意アルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス
第十四条 組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者ハ創立総会ニ出席スル他ノ漁業者ニ委任シテ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ漁業者ハ之ヲ出席者ト看做ス
前項ノ受任者ハ委任状ヲ発起人ニ差出スヘシ
第十五条 創立総会終了シタルトキハ発起人ハ組合設立ノ許可申請書ヲ地方長官ニ差出スヘシ
前項ノ申請書ニハ規約、初年度ニ於ケル経費ノ収支予算及分賦収入方法、第九条ノ同意ヲ証スル書面並創立総会ノ決議録ヲ添附スヘシ尚漁業法第四十二条第二項但書ニ該当スル場合ニ在リテハ其ノ理由書ヲ添附スヘシ
第十六条 組合設立ノ登記ハ其ノ設立ノ日ヨリ二週間内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ之ヲ為スヘシ
登記スヘキ事項左ノ如シ
一 第十二条第一号乃至第四号及第十二号ニ掲ケタル事項
二 設立許可ノ年月日
三 理事及監事ノ氏名、住所
前項ニ掲ケタル事項中ニ変更ヲ生シタルトキハ二週間内ニ其ノ登記ヲ為スヘシ
第十七条 組合設立ノ後新ニ事務所ヲ設ケタルトキハ其ノ事務所ノ所在地ニ於テハ二週間内ニ前条第二項ニ掲ケタル事項ノ登記ヲ為シ他ノ事務所ノ所在地ニ於テハ同期間内ニ新ニ事務所ヲ設ケタルコトヲ登記スヘシ
組合カ其ノ事務所ヲ移転シタルトキハ旧所在地ニ於テハ二週間内ニ移転ノ登記ヲ為シ新所在地ニ於テハ同期間内ニ前条第二項ニ掲ケタル事項ノ登記ヲ為スヘシ
同一ノ登記所ノ管轄区域内ニ於テ事務所ヲ移転シタルトキハ其ノ移転ノミノ登記ヲ為スヘシ
第十八条 行政区画、大字又ハ字ノ名称ニ変更アリタルトキハ登記簿ニ記載シタル行政区画、大字又ハ字ノ名称ハ当然之ヲ変更シタルモノト看做ス
行政区画、大字又ハ字ノ変更アリタルトキ亦前項ニ同シ但シ組合ノ地区ニ関シテハ此ノ限ニ在ラス
第十九条 前条ノ規定ハ地区及事務所所在地ニ関スル規約ノ規定ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ組合ハ規約ノ記載ヲ訂正シ且遅滞ナク其ノ旨ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第三章 会議
第二十条 本令中別ニ規定アルモノノ外左ニ掲クル事項ハ組合員総会ノ決議ヲ経ヘシ但シ第八号ニ掲クル事項ニ付テハ規約ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
一 経費ノ収支予算
二 経費ノ分賦収入方法
三 漁業権又ハ不動産ニ関スル物権ノ得喪、変更
四 基金ノ支出又ハ其ノ利用方法
五 予算外ノ支出
六 負債ヲ起スコト
七 組合員ノ除名
八 組合員ニ非サル者ニ対スル漁業権ノ貸付又ハ入漁権ノ設定、得喪若ハ変更
九 規約ノ変更
十 訴願、訴訟又ハ和解
十一 連合会ニ加入シ又ハ之ヨリ脱退スルコト
十二 組合ノ解散、合併又ハ分割
前項第三号、第六号、第七号、第九号乃至第十二号ニ掲ケタル事項及第三十条第三項但書ノ決議ハ総組合員三分ノ二以上出席シ其ノ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十一条 組合ノ地区ヲ拡張又ハ縮小スル為規約ヲ変更セムトスルトキハ其ノ拡張又ハ縮小セムトスル区域内ニ住所ヲ有スル漁業者又ハ組合員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第九条第一項但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十二条 第二十条第一項第二号、第六号、第九号及第十二号ニ掲ケタル事項ノ決議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス
前項ノ認可ノ申請書ニハ総会ノ決議録及左ノ書類ヲ添附スヘシ
一 地区ノ拡張又ハ縮小ニ関スル規約ノ変更ニ付テハ前条ノ同意ヲ証スル書面
二 合併又ハ分割ニ付テハ合併若ハ分割後存続スル組合又ハ合併若ハ分割ニ因リテ設立スル組合ノ規約及第五十一条第二項、第五十二条ノ規定ニ依リ手続ヲ為シタルコトヲ証スル書面
第二十三条 第二十条第一項第四号、第五号、第八号及第十号ニ掲ケタル事項ニ関シ臨時急施ヲ要シ総会ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事ハ専決処分シ次ノ総会ニ於テ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第二十四条 総会ハ本令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外理事之ヲ招集ス
第二十五条 通常総会ハ毎年少クトモ一回之ヲ開クヘシ
理事ハ経費ノ収支決算書、剰余金ノ処分書、財産目録及事業報告書ヲ通常総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムヘシ
監事ハ予メ前項ノ書類ニ付之ヲ調査シ其ノ意見ヲ通常総会ニ報告スヘシ
第二項ノ承認ヲ得タルトキハ組合ハ遅滞ナク之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第二十六条 臨時総会ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ招集ス
一 理事カ必要アリト認ムルトキ
二 総組合員ノ五分ノ一以上ヨリ会議ノ目的及事由ヲ記載シタル書面ヲ提出シテ総会ノ招集ヲ請求シタルトキ
三 第三十六条第三項ノ規定ニ依リ監事カ報告ヲ為スノ必要アルトキ
前項第二号ノ場合ニハ組合ハ其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ二週間内ニ之ヲ招集スヘシ
第二十七条 総会ヲ招集スルニハ少クトモ三日前ニ会議ノ目的タル事項、日時及場所ヲ各組合員ニ通知スヘシ
総会ニ於テハ前項ノ規定ニ依リテ予メ通知ヲ為シタル事項ニ付テノミ決議ヲ為スコトヲ得但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十八条 組合員ハ各一個ノ議決権ヲ有ス
第二十九条 総会ノ決議ハ本令又ハ規約ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外出席シタル組合員ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為スヘシ
組合員ハ他ノ組合員ニ委任シテ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ組合員ハ之ヲ出席者ト看做ス
前項ノ受任者ハ委任状ヲ組合ニ差出スヘシ
第三十条 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ総会ニ代ルヘキ総代会ヲ設クルコトヲ得
総会ニ関スル規定ハ総代会ニ之ヲ準用ス
第二十条第一項第三号、第六号、第七号、第九号及第十二号ニ掲ケタル事項又ハ第七十二条第二項ノ決議ハ総代会ニ於テ之ヲ為スコトヲ得ス但シ起債又ハ規約ノ変更ニ付総会ノ委任アリタル事項ハ此ノ限ニ在ラス
第三十一条 総代会ヲ組織スル総代ノ員数、選任、任期及解任ニ関スル規定ハ之ヲ規約中ニ設クヘシ
組合員ニ非サル者ハ総代ト為ルコトヲ得ス
第四章 組合ノ管理
第三十二条 組合ニハ理事及監事ヲ置ク
理事及監事ハ総会ニ於テ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ設立当時ノ理事及監事ハ創立総会ニ於テ組合員タルヘキ者ノ中ヨリ之ヲ選任スヘシ
特別ノ事由アルトキハ組合員ニ非サル者ヨリ理事又ハ監事ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
第三十三条 理事ノ任期ハ三年トシ監事ノ任期ハ一年トス但シ規約ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三十四条 理事及監事ハ何時ニテモ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
第二十条第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第三十五条 民法第五十二条第二項、第五十三条及第五十四条ノ規定ハ組合ノ理事ニ之ヲ準用ス
第三十六条 監事ハ組合ノ財産及事務執行ノ状況ヲ監査ス
監事組合財産ノ状況又ハ事務ノ執行ニ付不整ノ廉アルコトヲ発見シタルトキハ之ヲ総会及地方長官ニ報告スヘシ
監事ハ前項ノ報告ヲ為スノ必要アルトキハ総会ヲ招集スルコトヲ得
第三十七条 監事ハ理事又ハ事務員ト相兼ヌルコトヲ得ス
第三十八条 組合ト理事トノ利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事欠ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ス
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ地方長官ハ仮理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第三十九条 組合ハ理事其ノ他ノ代理人カ其ノ職務ヲ行フニ付他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スルノ責ニ任ス
第四十条 組合ハ規約及総会ノ決議録ヲ各事務所ニ備置キ且組合員名簿、経費ノ収支予算書、経費ノ収支決算書、財産目録及事業報告書ヲ主タル事務所ニ備置クヘシ
組合ハ組合員又ハ利害関係人ヨリ前項ノ書類ノ閲覧ヲ求メタルトキハ正当ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十一条 組合ハ理事又ハ監事ニ関スル登記ヲ為シタルトキハ遅滞ナク登記シタル事項及其ノ登記ノ年月日ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第五章 組合ノ会計
第四十二条 組合ノ事業年度ハ一年トシ暦年ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ暦年ニ依ラサルコトヲ得
第四十三条 組合ハ経費ノ収支予算ヲ議決シタルトキハ遅滞ナク之ヲ地方長官ニ報告スヘシ
第四十四条 組合ハ毎事業年度ノ剰余金ノ十分ノ一以上ヲ基金トシテ積立ツヘシ
基金ハ天災其ノ他已ムコトヲ得サル事由アル場合又ハ著シク組合員共同ノ利益ヲ増進スル為必要ナル場合ヲ除クノ外之ヲ支出スルコトヲ得ス
第六章 組合員ノ加入及脱退
第四十五条 組合ノ地区内ニ住所ヲ有スル漁業者組合ニ加入セムトスルトキハ組合ハ正当ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル条件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ス
第四十六条 組合ハ漁業ニ関シ功労、学識又ハ経験アル者ヲ名誉組合員ト為スコトヲ得
名誉組合員ハ議決権ヲ有セス
第四十七条 組合員ノ死亡ニ因リ家督相続開始シタルトキハ家督相続人ハ相続ノ日ヨリ被相続人ニ代リ組合員ト為ル但シ相続ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ三月内ニ之ニ異リタル意思ヲ表示シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第四十八条 組合員ハ事業年度ノ終ニ於テ脱退スルコトヲ得
第四十九条 組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脱退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡
三 除名
第五十条 正当ノ理由ナクシテ組合ノ加入ニ困難ナル条件ヲ附セラレ若ハ加入ヲ拒マレタル漁業者又ハ不当ニ除名セラレタル者ハ六十日内ニ地方長官ニ裁決ヲ申請スルコトヲ得
第七章 組合ノ分合
第五十一条 組合カ合併又ハ分割ノ決議ヲ為シタルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ二週間内ニ財産目録及貸借対照表ヲ作ルヘシ分割ヲ為ス場合ニ於テハ尚分割後設立スル組合カ承継スヘキ権利義務ノ限度ヲ記載シタル書面ヲ作ルヘシ
組合ハ前項ノ期間内ニ其ノ債権者ニ対シ異議アラハ一定ノ期間内ニ之ヲ述フヘキ旨ヲ催告スヘシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ス
第五十二条 債権者カ前条第二項ノ期間内ニ合併又ハ分割ニ対シテ異議ヲ述ヘサリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看做ス
債権者カ異議ヲ述ヘタルトキハ組合ハ之ニ弁済ヲ為シ又ハ相当ノ担保ヲ供スルニ非サレハ合併又ハ分割ヲ為スコトヲ得ス
第五十三条 組合カ合併又ハ分割ヲ為シタルトキハ二週間内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ合併又ハ分割後存続スル組合ニ付テハ変更ノ登記ヲ為シ、合併又ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合ニ付テハ解散ノ登記ヲ為シ、合併又ハ分割ニ因リテ設立シタル組合ニ付テハ設立ノ登記ヲ為スヘシ
第五十四条 合併後存続スル組合又ハ合併ニ因リテ設立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ権利義務ヲ承継ス
分割ニ因リテ設立シタル組合ハ第五十一条ノ規定ニ依リテ定メタル限度ニ於テ従前ノ組合ノ権利義務ヲ承継ス
第八章 組合ノ解散及清算
第五十五条 組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 規約ニ定メタル事由ノ発生
二 組合員カ五人未満ニ減シタルトキ
三 総会ノ決議
四 組合ノ合併
五 組合ノ分割
六 組合ノ破産
七 行政官庁ノ処分
第五十六条 組合カ其ノ債務ヲ完済スルコト能ハサルニ至リタルトキハ裁判所ハ組合若ハ債権者ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ破産ノ宣告ヲ為スヘシ
前項ノ場合ニ於テ組合ハ直ニ破産宣告ノ請求ヲ為スヘシ
第五十七条 組合ノ清算ハ組合ノ主タル事務所所在地ノ区裁判所ノ監督ニ属ス
裁判所ハ何時ニテモ職権ヲ以テ前項ノ監督ニ必要ナル検査ヲ為シ又ハ特ニ選任シタル者ヲシテ監督ニ必要ナル検査ヲ為サシムルコトヲ得
第五十八条 組合ハ合併、分割及破産ノ場合ヲ除クノ外解散後二週間内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ清算人ノ氏名、住所及解散ノ原因、年月日ノ登記ヲ為シ且合併及分割ノ場合ヲ除クノ外之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ但シ行政官庁ノ処分ニ因リテ解散シタルトキハ解散ノ原因及其ノ年月日ノ届出並登記ノ申請ヲ為スルコトヲ要ス
清算中ニ就職シタル清算人アルトキハ組合ハ就職後二週間内ニ清算人ノ氏名、住所ノ登記ヲ為シ且之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
前二項ノ規定ニ依リ登記シタル事項中ニ変更ヲ生シタルトキハ組合ハ二週間内ニ其ノ登記ヲ為シ且之ヲ地方長官ニ届出ツヘシ
第五十九条 組合ノ解散ヲ命シタルトキハ行政官庁ハ解散ヲ命シタルコト及其ノ年月日ノ登記ヲ嘱託スヘシ
登記所ハ前項ノ嘱託ニ因リテ其ノ登記ヲ為スヘシ
第六十条 組合カ解散シタルトキハ合併、分割及破産ノ場合ヲ除クノ外理事其ノ清算人ト為ル但シ規約ニ別段ノ規定アルトキ又ハ総会ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
清算人ハ其ノ職務ノ範囲内ニ於テ理事ト同一ノ権利義務ヲ有ス
第六十一条 清算人ハ就職後遅滞ナク組合財産ノ現況ヲ調査シ財産目録及貸借対照表ヲ作リ残余財産ノ処分方法ヲ定メ之ヲ総会ニ提出シテ其ノ承認ヲ求ムヘシ
第六十二条 清算中ノ組合ハ組合ノ債務ヲ弁済シ又ハ弁済ニ必要ナル金額ヲ供託スルニ非サレハ残余財産ノ処分ヲ為スコトヲ得ス
第六十三条 清算中ノ組合ハ清算人就職ノ日ヨリ二月内ニ少クトモ三回ノ公告ヲ以テ債権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其ノ請求ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ催告スヘシ但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ス
前項ノ公告ニハ債権者カ期間内ニ申出ヲ為ササルトキハ其ノ債権ハ清算ヨリ除斥セラルヘキ旨ヲ附記スヘシ但シ組合ハ知レタル債権者ヲ除斥スルコトヲ得ス
組合ハ知レタル債権者ニハ各別ニ其ノ申出ヲ催告スヘシ
第六十四条 清算中ノ組合ノ財産カ其ノ債務ヲ完済スルニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ組合ハ直ニ破産宣告ノ請求ヲ為シ且其ノ旨ヲ公告スヘシ
清算人ハ破産管財人ニ其ノ事務ヲ引渡シタルトキハ其ノ任ヲ終リタルモノトス
本条ノ場合ニ於テ既ニ債権者ニ支払ヒ又ハ帰属権利者ニ引渡シタルモノアルトキハ破産管財人ハ之ヲ取戻スコトヲ得
第六十五条 前二条ノ公告ハ裁判所カ為スヘキ登記事項ノ公告ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第六十六条 民法第七十三条、第七十五条、第七十六条、第七十八条、第八十条、第八十三条、民法施工法第二条及非訟事件手続法第百三十六条乃至第百三十八条ノ規定ハ組合ノ解散又ハ清算ニ之ヲ準用ス
第九章 連合会
第六十七条 連合会ヲ設立セムトスルトキハ各組合ハ創立委員二名ヲ選任スヘシ但シ其ノ一名ハ理事タルコトヲ要ス
第六十八条 創立委員会ニ於テハ規約、初年度ニ於ケル経費ノ収支予算及分賦収入方法其ノ他創立ニ関シ必要ナル事項ヲ議決スヘシ
第六十九条 創立委員会終了シタルトキハ連合会ヲ組織スル組合ハ連合会設立ノ許可申請書ヲ地方長官ニ差出スヘシ
前項ノ申請書ニハ規約、初年度ニ於ケル経費ノ収支予算書及分賦収入方法其ノ他創立委員会ニ於テ議決シタル事項並其ノ決議録ヲ添附スヘシ
第七十条 連合会ノ総会ハ加入各組合ニ於テ其ノ組合員中ヨリ選任シタル委員ヲ以テ之ヲ組織ス但シ各組合ノ委員中一名ハ理事タルコトヲ要ス
委員ノ員数及任期ニ関スル規定ハ連合会ノ規約ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第七十一条 連合会ニハ理事及監事ヲ置ク
連合会ノ理事及監事ハ総会ニ於テ加入組合ノ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ設立当時ノ理事及監事ハ創立委員会ニ於テ之ヲ選任スヘシ
第七十二条 連合会カ負債ヲ起サムトスルトキハ加入各組合ノ負担ヲ定メ其ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ同意ハ加入各組合其ノ総会ノ決議ヲ経テ之ヲ為スヘシ
第二十条第二項ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ準用ス
第七十三条 加入各組合ハ連合会ノ債務ニ付前条ノ負担ヲ限度トシテ保証ノ責ニ任ス
組合ハ脱退ニ因リテ前項ノ義務ヲ免ルルコトヲ得ス
第七十四条 連合会ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 規約ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 連合会ノ破産
四 行政官庁ノ処分
第七十五条 第十二条、第十六条乃至第二十条、第二十二条乃至第二十八条、第二十九条第一項、第三十三条乃至第四十四条及第五十六条乃至第六十六条ノ規定ハ連合会ニ之ヲ準用ス但シ第十二条及第十六条ノ地区ハ加入各組合ノ名称、第二十条第一項第八号ノ組合員ハ加入各組合及其ノ組合員、第二十条第二項及第二十六条乃至第二十九条ノ組合員ハ委員トス
第十章 登記手続
第七十六条 組合又ハ連合会ノ登記ニ付テハ其ノ事務所所在地ノ区裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
第七十七条 各登記所ニ漁業組合登記簿及漁業組合連合会登記簿ヲ備フ
第七十八条 組合又ハ連合会設立ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
申請書ニハ規約、創立総会、総会又ハ創立委員会ノ決議録、設立許可書又ハ合併若ハ分割ノ認可書並理事及監事ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スヘシ
設立許可書又ハ合併若ハ分割ノ認可書ハ地方長官ノ認証アル謄本ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第七十九条 事務所ノ新設、移転其ノ他登記事項ノ変更ノ登記ハ理事、其ノ職務ヲ行フ監事若ハ仮理事又ハ清算人ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス但シ組合ノ合併又ハ分割ニ因ル変更ノ登記ハ理事及監事ノ全員ヨリ之ヲ為スヘシ
申請書ニハ申請人ノ資格ヲ証スル書面及登記事項ノ変更ヲ証スル書面ヲ添附シ且地方長官ノ認可ヲ要スルモノニ付テハ認可書又ハ其ノ認証アル謄本ヲ添附スヘシ但シ前ニ登記ノ申請ヲ為シタル申請人カ同一登記所ニ前項ノ申請ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ資格ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要セス
第八十条 合併又ハ分割ニ因ル解散ノ登記ハ解散シタルトキノ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
申請書ニハ総会ノ決議録、第五十一条第二項及第五十二条ノ手続ヲ為シタルコトヲ証スル書面並合併若ハ分割ノ認可書又ハ地方長官ノ認証アル謄本ヲ添附スヘシ
第八十一条 本令ニ依リ登記シタル事項ハ裁判所遅滞ナク之ヲ公告スヘシ
第八十二条 非訟事件手続法第百二十二条、第百四十一条乃至第百五十一条、第百五十四条乃至第百五十七条及第百七十五条乃至第百七十七条ノ規定ハ組合又ハ連合会ノ登記ニ之ヲ準用ス
第十一章 罰則
第八十三条 組合又ハ連合会ノ行為ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当シタルトキハ其ノ理事、監事、仮理事又ハ清算人ヲ三百円以下ノ過料ニ処ス
一 本令ニ依ル登記ヲ為スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ
二 官庁ニ対シ不実ノ申立ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
三 官庁ノ徴スル報告ヲ差出サス又ハ其ノ検査ヲ拒ミタルトキ
四 本令ニ依ル届出又ハ報告ヲ怠リタルトキ
五 本令ニ依ル総会ノ招集ヲ怠リタルトキ
六 本令ニ依リ事務所ニ備置クヘキ書類ヲ備ヘサルトキ、其ノ書類ニ記載スヘキ事項ヲ記載セス若ハ不正ノ記載ヲ為シタルトキ又ハ正当ノ理由ナクシテ其ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
七 本令ニ依ル基金ノ積立ヲ為サス又ハ之ヲ不当ニ支出シタルトキ
八 本令ニ違反シテ破産ノ宣告ヲ請求セサルトキ
九 本令ニ違反シテ残余財産ヲ処分シタルトキ
十 第六十三条ノ場合ニ於テ一部ノ債権者ヲ利スルノ目的ヲ以テ期間内ニ弁済ヲ為シタルトキ
十一 本令ニ依ル催告若ハ公告ヲ怠リ又ハ不正ノ公告ヲ為シタルトキ
附 則
第八十四条 本令ハ明治四十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第八十五条 旧漁業法ニ依リ設ケタル漁業組合ハ本令ニ依リ設立シタルモノト看做ス
第八十六条 前条ノ漁業組合ハ本令施行後一年内ニ各事務所ノ所在地ニ於テ第十六条第二項ニ掲ケタル事項ヲ登記スヘシ
前項ノ登記ハ理事及監事ノ全員ノ申請ニ因リテ之ヲ為ス
申請書ニハ規約、設置認可書並理事及監事ノ選任認可書ヲ添附スヘシ但シ地方長官ノ証明書又ハ認証アル謄本ヲ以テ認可書ニ代フルコトヲ得
選任認可書ニ依リ理事及監事ノ氏名ヲ明ニスルコト能ハサルトキハ官庁ノ証明書ヲ以テ其ノ氏名ヲ証スヘシ
第八十七条 旧漁業法ニ依リ設ケタル漁業組合ニシテ清算中ノモノニ付テハ其ノ清算ノ結了ニ至ル迄仍従前ノ規定ニ依ル