第一條 自己ノ生產、製造、加工、選擇、證明、取扱又ハ販賣ノ營業ニ係ル商品ナルコトヲ表彰スル爲商標ヲ專用セムトスル者ハ本法ニ依リ商標ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
登錄ヲ受クルコトヲ得ヘキ商標ハ文字、圖形、記號又ハ其ノ結合ニシテ特別顯著ナルモノナルコトヲ要ス
商標ハ之ニ施スヘキ色ヲ限定シテ登錄ヲ受クルコトヲ得
第三條 同一商品ニ使用スヘキ同一又ハ類似ノ商標ニ付各別ニ登錄ヲ受クルノ權利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限リ登錄ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ之ヲ登錄セス
明治三十二年七月一日前ヨリ同一商品ニ付同一若ハ類似ノ商標ヲ善意ニ使用シタル者其ノ商標ニ付登錄ヲ出願シタル場合ニ於テハ前條第五號及前項ノ規定ニ拘ラス其ノ商標ヲ登錄スルコトヲ得
同一商品ニ使用スヘキ自己ノ商標ニシテ互ニ相類似スルモノハ聯合商標トシテ出願シタル場合ニ限リ之ヲ登錄ス
第四條 商標ノ登錄出願ヨリ生シタル權利ハ其ノ營業ト共ニスル場合ニ限リ之ヲ移轉スルコトヲ得
前項ノ權利ノ承繼ハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
商標權者ハ登錄出願ノ際指定シタル商品ニ付其ノ商標ヲ專用スルノ權利ヲ有ス
第六條 商標權ノ效力ハ普通ニ使用セラルル方法ヲ以テ自己ノ氏名、商號、法人若ハ組合ノ名稱ヲ表示シ又ハ其ノ商品ノ普通名稱、產地、品位、品質、效能、用途、製法、時期、數量、形狀若ハ價格ヲ表示スルモノニ及ハス但シ商標登錄後惡意ヲ以テ同一ノ氏名、商號、法人若ハ組合ノ名稱ヲ使用シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
外國ノ登錄商標トシテ登錄ヲ受ケタルモノハ其ノ本國ニ於ケル商標權ト共ニ消滅ス但シ其ノ存續期間ハ二十年ヲ超ユルコトヲ得ス
第八條 商標權ハ其ノ營業ト共ニスル場合ニ限リ之ヲ移轉スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ商標權ハ其ノ商標ヲ使用スル商品ニ依リ分割シテ之ヲ移轉スルコトヲ得
第九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ特許局長ハ職權ヲ以テ又ハ利害關係人ノ請求ニ依リ商標ノ登錄ヲ取消スコトヲ得
一 商標權者其ノ登錄商標ニ世人ヲ欺瞞スヘキ附記又ハ變更ヲ爲シテ之ヲ使用シタルトキ
二 商標權者正當ノ事故ナクシテ帝國內ニ於テ登錄後其ノ商標ヲ使用セスシテ一年ヲ經過シ又ハ其ノ使用ヲ中止シテ三年ヲ經過シタルトキ但シ聯合商標ニ付テハ其ノ一ヲ使用シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
三 商標權ノ移轉アリタル場合ニ於テ其ノ相續ニ依ルモノヲ除クノ外一年以內ニ商標權移轉ノ登錄ヲ請求セサルトキ
外國ノ登錄商標トシテ登錄ヲ受ケタルモノニ付テハ前項第二號ノ規定ヲ適用セス
第一項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第十條 商標權者其ノ營業ヲ廢止シタルトキハ商標權ハ消滅スルモノトス
第十一條 商標又ハ商標權存續期間更新ノ登錄カ第一條乃至第三條、第四條第二項又ハ第二十二條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
第十二條 登錄スヘシトノ査定又ハ審決アリタルトキハ之ヲ商標原簿ニ登錄シ商標登錄證ヲ下付ス
第十三條 特許局ハ商標公報ヲ發行シ登錄商標及之ニ關スル必要ナル事項ヲ記載スヘシ
第十四條 商標又ハ商標權存續期間更新ノ登錄ヲ受クル者ハ其ノ登錄ヲ受クル際每件商標料金二十圓ヲ、聯合商標ニ在リテハ每件金十圓ヲ納付スヘシ
第十五條 商標ノ登錄ヲ出願スル者ハ各商標ニ付命令ノ定ムル類別內ニ於テ其ノ商標ヲ使用スヘキ商品ヲ指定スヘシ
第十六條 商標又ハ商標權存續期間更新ノ登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシム
第十七條 登錄スヘカラストノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ更ニ審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査定セシム
第十八條 審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官ハ前項第二號ノ審判及第二條第八號若ハ第九號、第三條又ハ第四條第二項ノ規定ニ反ストノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
登錄商標カ第二條第八號若ハ第九號、第三條又ハ第四條第二項ノ規定ニ反シタル場合ニ於テ商標公報ニ揭載シタル日ヨリ三年ヲ經過シタルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第十九條 審判ノ審決又ハ再審査ノ査定ニ不服アル者ハ審決又ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ抗吿審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十條 營利ヲ目的トセサル業務ニ係ル商品ニ使用スル標章ヲ專用セムトスルトキハ本法ニ依リ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二十一條 特許法第八條、第十二條乃至第十五條、第十六條第一項、第十七條乃至第二十五條、第三十三條、第四十九條第二項、第五十條、第五十三條、第六十條、第六十六條乃至第六十八條、第七十條乃至第七十九條、第八十二條、第八十三條第一項第二項、第八十四條、第八十五條及第八十七條乃至第九十一條ノ規定ハ商標ニ關シ之ヲ準用ス
第二十二條 外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外商標權又ハ之ニ關スル權利ヲ享有スルコトヲ得ス
商標ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定ニ從フ
第二十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 他人ノ登錄商標若ハ之ヲ付シタル容器、包裝等ヲ同一商品ニ使用シタル者又ハ其ノ商品ヲ交付、販賣シ若ハ交付、販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
二 他人ノ登錄商標若ハ之ヲ付シタル容器、包裝等ヲ同一商品ニ使用セシムルノ目的ヲ以テ交付、販賣シ又ハ交付、販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
三 同一商品ニ使用シ又ハ使用セシムルノ目的ヲ以テ他人ノ登錄商標ヲ僞造又ハ模造シタル者
四 同一商品ニ使用セシムルノ目的ヲ以テ僞造若ハ模造ノ商標ヲ交付、販賣シ又ハ之ヲ同一商品ニ使用シタル者
五 僞造若ハ模造ノ商標ヲ使用シタル同一商品ヲ交付、販賣シ又ハ交付若ハ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
六 他人ノ登錄商標ト同一若ハ類似ノ商標ヲ使用シタル商品ヲ交付若ハ販賣ノ目的ヲ以テ輸入シタル者又ハ其ノ商品ヲ交付、販賣シ若ハ交付、販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
七 他人ノ登錄商標ヲ僞造又ハ模造スル爲其ノ用具ヲ製作、交付、販賣若ハ所持スル者
八 同一商品ニ關シ他人ノ登錄商標ト同一又ハ類似ノモノヲ營業ニ用井ル廣吿、看板、引札、物價表又ハ其ノ他ノ取引書類ニ使用シタル者
第二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
二 登錄ヲ受ケサル商標ニ登錄標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シ之ヲ商品ニ使用シタル者又ハ其ノ商品ヲ交付若ハ販賣シ又ハ交付若ハ販賣ノ目的ヲ以テ之ヲ所持スル者
三 登錄ヲ受ケスシテ登錄標記又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル商標ヲ廣吿、看板、引札等ニ使用シタル者
第二十五條 第二十三條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十六條 法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第二十七條 證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十八條 特許辨理士ニ非スシテ商標ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス