関東州罰金及笞刑処分令
法令番号: 勅令第二百三十六號
公布年月日: 明治41年9月28日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ關東州罰金及笞刑處分令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年九月二十六日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
外務大臣 伯爵 小村壽太郞
勅令第二百三十六號
關東州罰金及笞刑處分令
第一條 三月以下ノ懲役ノ刑ニ處スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ其ノ情狀ニ依リ罰金又ハ笞刑ニ處スルコトヲ得
第二條 百圓以下ノ罰金ノ刑ニ處スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ被吿人左ノ各號ノ一ニ該ルトキハ其ノ情狀ニ依リ笞刑ニ處スルコトヲ得
一 關東州內ニ一定ノ住所ヲ有セサルトキ
二 無資產ナリト認メタルトキ
第三條 拘留又ハ科料ノ刑ニ處スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ其ノ情狀ニ依リ笞刑ニ處スルコトヲ得
第四條 百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處セラレタル支那人ニシテ之ヲ完納セサル者ハ其ノ情狀ニ依リ笞刑ニ換フルコトヲ得但シ笞刑執行中未タ執行セサル笞數ニ相當スル罰金又ハ科料ヲ納メタルトキハ笞刑ヲ免ス
第五條 本令ニ依リ罰金若ハ笞刑ニ處シ又ハ罰金若ハ科料ヲ笞刑ニ換フル場合ニ於テハ一日ヲ一圓ニ、一日若ハ一圓ヲ笞一ニ折算ス其ノ一圓ニ滿タサルモノト雖猶笞一ニ計算ス但シ笞ハ五ヲ下ルコトヲ得ス
第六條 笞刑ハ臀ニ鞭ス
第七條 笞刑ハ十六歲以上六十歲以下ノ男子ニ非サレハ之ヲ科スルコトヲ得ス
第八條 笞刑ハ笞三十以下ニ在リテハ之ヲ一囘ニ執行シ笞數三十迄ヲ增ス每ニ一囘ヲ加フ
笞刑ハ一日一囘ヲ超ユルコトヲ得ス
第九條 笞刑ノ言渡確定シタル者ハ其ノ執行ヲ終ル迄之ヲ監獄、民政署又ハ民政支署ニ拘置ス
執行ノ猶豫ヲ得タル者ニ付テハ前項ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
第十條 笞刑ノ言渡確定シタルトキハ速ニ之ヲ執行スヘシ但シ笞刑ニ處セラレタル者身體ノ健康之ヲ受クルニ堪ヘ難キモノト認ムルトキハ三月以內猶豫スルコトヲ得其ノ猶豫三月ヲ超エ猶執行ニ堪ヘ難キモノト認ムルトキハ笞刑ヲ免ス
第十一條 笞刑ハ監獄、民政署又ハ民政支署內ニ於テ祕密ニ之ヲ執行ス
第十二條 本令ニ規定スルモノノ外必要ナル規定ハ關東都督之ヲ定ム
附 則
本令ハ明治四十一年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ関東州罰金及笞刑処分令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十一年九月二十六日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
外務大臣 伯爵 小村寿太郎
勅令第二百三十六号
関東州罰金及笞刑処分令
第一条 三月以下ノ懲役ノ刑ニ処スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ其ノ情状ニ依リ罰金又ハ笞刑ニ処スルコトヲ得
第二条 百円以下ノ罰金ノ刑ニ処スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ被告人左ノ各号ノ一ニ該ルトキハ其ノ情状ニ依リ笞刑ニ処スルコトヲ得
一 関東州内ニ一定ノ住所ヲ有セサルトキ
二 無資産ナリト認メタルトキ
第三条 拘留又ハ科料ノ刑ニ処スヘキ支那人ノ犯罪ニ付テハ其ノ情状ニ依リ笞刑ニ処スルコトヲ得
第四条 百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処セラレタル支那人ニシテ之ヲ完納セサル者ハ其ノ情状ニ依リ笞刑ニ換フルコトヲ得但シ笞刑執行中未タ執行セサル笞数ニ相当スル罰金又ハ科料ヲ納メタルトキハ笞刑ヲ免ス
第五条 本令ニ依リ罰金若ハ笞刑ニ処シ又ハ罰金若ハ科料ヲ笞刑ニ換フル場合ニ於テハ一日ヲ一円ニ、一日若ハ一円ヲ笞一ニ折算ス其ノ一円ニ満タサルモノト雖猶笞一ニ計算ス但シ笞ハ五ヲ下ルコトヲ得ス
第六条 笞刑ハ臀ニ鞭ス
第七条 笞刑ハ十六歳以上六十歳以下ノ男子ニ非サレハ之ヲ科スルコトヲ得ス
第八条 笞刑ハ笞三十以下ニ在リテハ之ヲ一回ニ執行シ笞数三十迄ヲ増ス毎ニ一回ヲ加フ
笞刑ハ一日一回ヲ超ユルコトヲ得ス
第九条 笞刑ノ言渡確定シタル者ハ其ノ執行ヲ終ル迄之ヲ監獄、民政署又ハ民政支署ニ拘置ス
執行ノ猶予ヲ得タル者ニ付テハ前項ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
第十条 笞刑ノ言渡確定シタルトキハ速ニ之ヲ執行スヘシ但シ笞刑ニ処セラレタル者身体ノ健康之ヲ受クルニ堪ヘ難キモノト認ムルトキハ三月以内猶予スルコトヲ得其ノ猶予三月ヲ超エ猶執行ニ堪ヘ難キモノト認ムルトキハ笞刑ヲ免ス
第十一条 笞刑ハ監獄、民政署又ハ民政支署内ニ於テ秘密ニ之ヲ執行ス
第十二条 本令ニ規定スルモノノ外必要ナル規定ハ関東都督之ヲ定ム
附 則
本令ハ明治四十一年十月一日ヨリ之ヲ施行ス