朕警視廳官制改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年四月十七日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
內務大臣 原敬
勅令第七十九號
警視廳官制
第一條 警視廳ニ左ノ職員ヲ置ク
警視總監
警視
警察醫長
技師
警部
警視屬
技手
消防士
警察醫
消防機關士
通譯
第二條 警視總監ハ勅任トス
第三條 警視ハ二十七人警察醫長ハ一人奏任トス
第四條 警部、警視屬、消防士、警察醫、消防機關士及通譯ハ判任トス
警部、警視屬、消防士、警察醫及消防機關士ノ定員ハ通シテ二百四十四人トシ其ノ各官ノ定員ハ內務大臣ノ認可ヲ經テ警視總監之ヲ定ム
第五條 技師、技手及通譯ハ俸給豫算定額內ニ於テ之ヲ置クコトヲ得
第六條 警視總監ハ內務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ東京府下ノ警察消防及特ニ內務大臣ノ指定スル衞生事務ヲ管理シ各省ノ主務ニ關スル警察事務ニ付テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ク
第七條 警視總監ハ部內ノ行政事務ニ付其ノ職權又ハ特別ノ委任ニ依リ管內一般又ハ其ノ一部ニ廳令ヲ發スルコトヲ得
第八條 警視總監ハ其ノ主務ニ付テハ東京府下ノ郡長、島司、市長、區長及町村長ヲ指揮監督ス
第九條 警視總監ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ハ內務大臣ニ具狀シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ專行ス
第十條 警視總監ハ廳中處務ノ細則ヲ設クルコトヲ得
第十一條 警視總監事故アルトキハ上席警視其ノ職務ヲ代理ス
警視總監ハ其ノ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十二條 警視總監ハ其ノ職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ警察署長、警察分署長又ハ島司ニ委任スルコトヲ得
第十三條 警視總監ハ警察署長、警察分署長又ハ島司ノ處分又ハ命令ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ處分又ハ命令ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第十四條 警視廳ニ總監官房ヲ置キ左ノ事務ヲ掌ラシム
一 官吏ノ進退及身分ニ關スル事項
二 文書ノ往復及記錄編纂ニ關スル事項
三 官印廳印ノ管守ニ關スル事項
四 各部所成案ノ審査及制規ニ關スル事項
五 高等警察ニ關スル事項
六 會計ニ關スル事項
七 他ノ主掌ニ屬セサル事項
第十五條 警視廳ニ部ヲ置キ事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
第一部
一 警務ニ關スル事項
二 刑事ニ關スル事項
第二部
一 建築警察、風俗警察及危險物取締等ニ關スル事項
二 營業警察及交通警察等ニ關スル事項
第三部
一 衞生警察及衞生ニ關スル事項
消防本部
一 水火消防ニ關スル事項
第十六條 總監官房ニ主事一人ヲ置キ警視ヲ以テ之ニ充ツ
主事ハ警視總監ノ命ヲ承ケ官房ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十七條 第一部長第二部長及消防本部長ハ警視、第三部長ハ警察醫長ヲ以テ之ニ充ツ
部長ハ警視總監ノ命ヲ承ケ所部ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第一部長ハ警察事務ノ執行ニ關シ警視總監ノ命ヲ承ケ警察署長以下ヲ指揮監督ス
消防本部長ハ消防事務ノ執行ニ關シ警視總監ノ命ヲ承ケ消防署長以下ヲ指揮監督ス
第十八條 主事又ハ部長事故アルトキハ警視總監ニ於テ其ノ廳ノ官吏ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第十九條 第一部ニ巡視官二人ヲ置キ警視ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ事務ヲ分掌シ警察事務ノ實況ヲ監察ス
第二十條 總監官房及各部ニ分課ヲ設クルコトヲ要スルトキハ警視總監之ヲ定メ內務大臣ニ報吿スヘシ
第二十一條 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察事務及衞生事務ヲ分掌シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十二條 警視屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ從事ス
第二十三條 消防士ハ上官ノ指揮ヲ承ケ消防組ヲ指揮監督ス
消防機關士ハ上官ノ指揮ヲ承ケ消防機關ノ運用ヲ掌ル
第二十四條 警察醫ハ上官ノ指揮ヲ承ケ衞生警察及衞生事務ヲ掌ル
第二十五條 通譯ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻譯通辯ニ從事ス
第二十六條 東京府下ニ二十四警察署ヲ置ク其ノ管轄區域ハ內務大臣之ヲ定ム
警視總監必要アリト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
第二十七條 警察署長ハ警視又ハ警部、警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
警察署長及警察分署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第二十八條 東京府下ニ六消防署ヲ置ク
第二十九條 消防署長ハ消防士ヲ以テ之ニ充ツ
消防署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
警察署長ハ水火災ニ際シ消防本部長現場ニ在ラサルトキハ消防署長以下ヲ指揮スルコトヲ得
第三十條 警視廳ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ關スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第三十一條 警視廳ニ警察消防練習所ヲ置ク
警察消防練習所ハ警察及消防ニ從事スル職員ノ敎習及訓練ニ關スル事項ヲ掌ル
第三十二條 警察消防練習所長ハ巡視官タル警視ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
朕警視庁官制改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十九年四月十七日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
内務大臣 原敬
勅令第七十九号
警視庁官制
第一条 警視庁ニ左ノ職員ヲ置ク
警視総監
警視
警察医長
技師
警部
警視属
技手
消防士
警察医
消防機関士
通訳
第二条 警視総監ハ勅任トス
第三条 警視ハ二十七人警察医長ハ一人奏任トス
第四条 警部、警視属、消防士、警察医、消防機関士及通訳ハ判任トス
警部、警視属、消防士、警察医及消防機関士ノ定員ハ通シテ二百四十四人トシ其ノ各官ノ定員ハ内務大臣ノ認可ヲ経テ警視総監之ヲ定ム
第五条 技師、技手及通訳ハ俸給予算定額内ニ於テ之ヲ置クコトヲ得
第六条 警視総監ハ内務大臣ノ指揮監督ヲ承ケ東京府下ノ警察消防及特ニ内務大臣ノ指定スル衛生事務ヲ管理シ各省ノ主務ニ関スル警察事務ニ付テハ各省大臣ノ指揮監督ヲ承ク
第七条 警視総監ハ部内ノ行政事務ニ付其ノ職権又ハ特別ノ委任ニ依リ管内一般又ハ其ノ一部ニ庁令ヲ発スルコトヲ得
第八条 警視総監ハ其ノ主務ニ付テハ東京府下ノ郡長、島司、市長、区長及町村長ヲ指揮監督ス
第九条 警視総監ハ所部ノ官吏ヲ指揮監督シ奏任官ノ功過ハ内務大臣ニ具状シ判任官以下ノ進退ハ之ヲ専行ス
第十条 警視総監ハ庁中処務ノ細則ヲ設クルコトヲ得
第十一条 警視総監事故アルトキハ上席警視其ノ職務ヲ代理ス
警視総監ハ其ノ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第十二条 警視総監ハ其ノ職権ニ属スル事務ノ一部ヲ警察署長、警察分署長又ハ島司ニ委任スルコトヲ得
第十三条 警視総監ハ警察署長、警察分署長又ハ島司ノ処分又ハ命令ニシテ成規ニ違ヒ公益ヲ害シ又ハ権限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ其ノ処分又ハ命令ヲ取消シ又ハ停止スルコトヲ得
第十四条 警視庁ニ総監官房ヲ置キ左ノ事務ヲ掌ラシム
一 官吏ノ進退及身分ニ関スル事項
二 文書ノ往復及記録編纂ニ関スル事項
三 官印庁印ノ管守ニ関スル事項
四 各部所成案ノ審査及制規ニ関スル事項
五 高等警察ニ関スル事項
六 会計ニ関スル事項
七 他ノ主掌ニ属セサル事項
第十五条 警視庁ニ部ヲ置キ事務ヲ分掌セシムルコト左ノ如シ
第一部
一 警務ニ関スル事項
二 刑事ニ関スル事項
第二部
一 建築警察、風俗警察及危険物取締等ニ関スル事項
二 営業警察及交通警察等ニ関スル事項
第三部
一 衛生警察及衛生ニ関スル事項
消防本部
一 水火消防ニ関スル事項
第十六条 総監官房ニ主事一人ヲ置キ警視ヲ以テ之ニ充ツ
主事ハ警視総監ノ命ヲ承ケ官房ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第十七条 第一部長第二部長及消防本部長ハ警視、第三部長ハ警察医長ヲ以テ之ニ充ツ
部長ハ警視総監ノ命ヲ承ケ所部ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第一部長ハ警察事務ノ執行ニ関シ警視総監ノ命ヲ承ケ警察署長以下ヲ指揮監督ス
消防本部長ハ消防事務ノ執行ニ関シ警視総監ノ命ヲ承ケ消防署長以下ヲ指揮監督ス
第十八条 主事又ハ部長事故アルトキハ警視総監ニ於テ其ノ庁ノ官吏ヲシテ其ノ事務ヲ代理セシム
第十九条 第一部ニ巡視官二人ヲ置キ警視ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ事務ヲ分掌シ警察事務ノ実況ヲ監察ス
第二十条 総監官房及各部ニ分課ヲ設クルコトヲ要スルトキハ警視総監之ヲ定メ内務大臣ニ報告スヘシ
第二十一条 警部ハ上官ノ指揮ヲ承ケ警察事務及衛生事務ヲ分掌シ部下ノ巡査ヲ指揮監督ス
第二十二条 警視属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第二十三条 消防士ハ上官ノ指揮ヲ承ケ消防組ヲ指揮監督ス
消防機関士ハ上官ノ指揮ヲ承ケ消防機関ノ運用ヲ掌ル
第二十四条 警察医ハ上官ノ指揮ヲ承ケ衛生警察及衛生事務ヲ掌ル
第二十五条 通訳ハ上官ノ指揮ヲ承ケ翻訳通弁ニ従事ス
第二十六条 東京府下ニ二十四警察署ヲ置ク其ノ管轄区域ハ内務大臣之ヲ定ム
警視総監必要アリト認ムルトキハ警察署ノ下ニ警察分署ヲ置クコトヲ得
第二十七条 警察署長ハ警視又ハ警部、警察分署長ハ警部ヲ以テ之ニ充ツ
警察署長及警察分署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
第二十八条 東京府下ニ六消防署ヲ置ク
第二十九条 消防署長ハ消防士ヲ以テ之ニ充ツ
消防署長ハ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス
警察署長ハ水火災ニ際シ消防本部長現場ニ在ラサルトキハ消防署長以下ヲ指揮スルコトヲ得
第三十条 警視庁ニ巡査ヲ置ク判任官ノ待遇トス
巡査ニ関スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第三十一条 警視庁ニ警察消防練習所ヲ置ク
警察消防練習所ハ警察及消防ニ従事スル職員ノ教習及訓練ニ関スル事項ヲ掌ル
第三十二条 警察消防練習所長ハ巡視官タル警視ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ指揮ヲ承ケ其ノ主管ノ事務ヲ掌理シ部下ノ官吏ヲ指揮監督ス