第一條 農會ハ市町村農會、郡農會、北海道農會及府縣農會トス
本令ニ依リ設立シタル農會ニ非サレハ前項ニ揭ケタル名稱ヲ附スルコトヲ得ス
第三條 市町村農會ノ區域ハ市町村ノ區域ニ依リ郡農會ノ區域ハ郡ノ區域ニ依リ北海道農會又ハ府縣農會ノ區域ハ北海道又ハ府縣ノ區域ニ依ル但シ東京府農會ニ在リテハ小笠原島及伊豆七島ヲ除ク
特別ノ事由アルトキハ市町村農會ノ區域ハ前項ノ區域ニ依ラサルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市農會ニ在リテハ地方長官、町村農會ニ在リテハ郡長ノ許可ヲ經テ其ノ區域ヲ定ムヘシ但シ市ノ區域ノ一部ヲ加ヘテ町村農會ノ區域ト爲サムトスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
市ト郡トノ區域ニ涉リテ市町村農會ノ區域ノ設定アリタルトキハ第一項郡農會ノ區域モ亦自ラ之ニ伴ヒ變更アリタルモノトス
北海道ニ於テハ數郡ヲ以テ一郡農會ノ區域ト爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ北海道廳長官ノ許可ヲ經テ其ノ區域ヲ定ムヘシ
第四條 市町村農會ハ其ノ區域內ニ於テ國及公共團體ヲ除クノ外耕地、牧場又ハ原野ヲ所有スル者及農業ヲ營ム者ヲ以テ之ヲ組織シ郡農會ハ其ノ區域內ノ町村農會ヲ以テ之ヲ組織シ北海道農會又ハ府縣農會ハ其ノ區域內ノ郡農會及市農會ヲ以テ之ヲ組織ス
第五條 市町村農會ヲ設立スルニハ左ノ條件ヲ具備スルコトヲ要ス
一 設立者ノ數第四條ノ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ナルコト
二 其ノ區域內ニ於テ設立者ノ占有又ハ所有スル耕地及牧場ノ面積カ私用ニ供スル耕地及牧場ノ總面積ノ三分ノ二以上ナルコト
北海道、沖繩縣、小笠原島及伊豆七島ニ於テハ前項第二號ノ條件ヲ要セス
第六條 郡農會ヲ設立スルニハ之ヲ組織スル農會ノ數其ノ區域內ノ町村總數ノ三分ノ二以上タルコトヲ要ス
府縣農會ヲ設立スルニハ之ヲ組織スル農會ノ數其ノ區域內ノ郡市總數ノ三分ノ二以上タルコトヲ要ス
北海道ニ於ケル郡農會及北海道農會ヲ組織スヘキ農會ノ數ハ農商務大臣之ヲ定ム
第七條 農會成立シタルトキハ第四條ニ依リ當該農會ヲ組織スヘキ者ハ總テ其ノ農會ニ加入シタルモノト看做ス
第八條 農會ノ設立者ハ會則ヲ定メ市町村農會ニ在リテハ五名以上ノ委員、其ノ他ノ農會ニ在リテハ之ヲ組織スル農會ノ會長ヨリ之ヲ行政廳ニ差出シ農會設立ノ許可ヲ受クヘシ
第九條 會則ニハ左ノ事項ヲ記載スヘシ
一 名稱竝北海道農會、府縣農會及郡農會ニ在リテハ之ヲ組織スル農會ノ名稱
會則ノ變更ハ行政廳ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第十條 總會ハ市町村農會ニ在リテハ其ノ會員、北海道農會、府縣農會及郡農會ニ在リテハ其ノ農會ヲ組織スル農會ノ代表者ヲ以テ之ヲ組織ス
農會ニハ會則ノ定ムル所ニ依リ副代表者一名ヲ置クコトヲ得副代表者ハ代表者事故アルトキ之ヲ代理ス
第十一條 代表者及副代表者ハ總會ニ於テ役員中ヨリ之ヲ選擧ス但シ役員中ヨリ選擧スルコト能ハサル場合ニ於テハ市町村農會ニ在リテハ其ノ會員中、其ノ他ノ農會ニ在リテハ其ノ總會ヲ組織スル代表者中ヨリ之ヲ選擧スヘシ
名譽會員中ヨリ選擧セラレタル役員ハ前項ノ代表者及副代表者タルコトヲ得ス
代表者及副代表者ノ任期ハ事業年度ニ從ヒ三箇年トス但シ補闕ノ爲選擧セラレタル者ノ任期ハ前任者ノ殘任期間トス
第十二條 代表者及副代表者ハ其ノ任期滿了ノ場合ト雖後任者ノ就任スル迄其ノ職務ヲ行フモノトス
第十三條 總會ノ決議カ法令若ハ會則ニ違背シ、公益ヲ害シ又ハ事業ノ執行上不適當ナリト認ムルトキハ會長ハ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スルコトヲ得
第十四條 總會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニシテ臨時急施ヲ要シ總會ヲ招集スル暇ナシト認ムルトキハ會長ハ專決處分スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ次ノ總會ノ承認ヲ求ムヘシ
第十五條 總會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニシテ重要ノ事項ニ非サルモノハ會則ノ定ムル所ニ從ヒ會長ニ於テ書面ニ依リ會員又ハ代表者ノ意見ヲ徵シ總會ノ招集ニ代フルコトヲ得
第十六條 農會ハ農事ニ功勞アル者又ハ農事ニ關シ學識經驗アル者ヲ名譽會員ト爲スコトヲ得
評議員及幹事ノ員數ハ會則ニ於テ之ヲ定ムヘシ但シ評議員ハ市町村農會ニ在リテハ七名、北海道農會、府縣農會及郡農會ニ在リテハ五名、幹事ハ二名ヲ超ユルコトヲ得ス
第十八條 會長、副會長及評議員ハ市町村農會ニ在リテハ其ノ會員中、其ノ他ノ農會ニ在リテハ代表者中ヨリ總會ニ於テ之ヲ選擧スヘシ但シ會長及副會長ハ名譽會員中ヨリ之ヲ選擧スルコトヲ妨ケス
幹事ハ市町村農會ニ在リテハ會員中、其ノ他ノ農會ニ在リテハ代表者中ヨリ會長之ヲ選任ス但シ名譽會員中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ妨ケス
副會長ハ會長ノ事務ヲ補佐シ會長事故アルトキハ之ヲ代理ス
副會長ハ會則ノ定ムル所ニ依リ會長ノ擔任スル事務ノ一部ヲ分掌スルコトヲ得
評議員ハ會長ノ諮問ニ應シ及會務執行ノ狀況ヲ監査スルモノトス
第二十條 農會ノ經費ハ市町村農會ニ在リテハ其ノ會員ノ負擔トシ其ノ他ノ農會ニ在リテハ之ヲ組織スル農會ノ負擔トス
市町村農會ハ會則ノ定ムル所ニ依リ物件ヲ以テ經費ノ負擔ヲ爲サシムルコトヲ得
市町村ハ必要ト認ムルトキハ監督官廳ノ許可ヲ得テ市町村農會ニ補助ヲ爲スコトヲ得
第二十一條 農會ノ事業年度ハ四月一日ヨリ翌年三月三十一日迄トス
第二十二條 農會ハ每年總會ニ於テ經費ノ豫算及分賦收入ノ方法ヲ議決シ二月末日迄ニ行政廳ノ認可ヲ受クヘシ
經費ノ豫算及分賦收入ノ方法ヲ變更セムトスルトキハ總會ノ議決ヲ經テ行政廳ノ認可ヲ受クヘシ
第二十三條 農會ハ每年六月三十日迄ニ前年度ノ經費ノ決算、財產目錄及會務ノ狀況ヲ會員又ハ農會ニ公示シ且之ヲ行政廳ニ報吿スヘシ
第二十四條 農會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ農事ニ關スル報吿書ヲ作リ之ヲ地方長官ニ差出スヘシ
第二十五條 農會ハ農事ノ改良發達ニ關スル事項ニ付行政廳ニ建議スルコトヲ得
第二十六條 行政廳ニ於テ必要ト認ムルトキハ農會ノ狀況若ハ書類ヲ檢査シ又ハ農會ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ若ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十七條 農會ノ決議又ハ其ノ役員ノ行爲カ法令若ハ會則ニ違背スルトキ又ハ公益ヲ害スルノ虞アリト認ムルトキハ北海道農會及府縣農會ニ在リテハ農商務大臣、其ノ他ノ農會二在リテハ地方長官ニ於テ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十八條 農會ニ於テ解散ヲ議決シタルトキハ其ノ事由ヲ具シ行政廳ノ許可ヲ受クヘシ
第二十九條 行政區劃ノ變更アリタルトキハ農會ノ區域モ亦自ラ變更アリタルモノトス
農會ノ屬スル地方區域他ニ合併又ハ分割セラレタルトキハ其ノ農會ハ解散ス
第三十條 前條ノ場合ニ於テ新地方區域內ニ旣設ノ農會存立セサルトキ舊農會ノ會員タリシ者竝其ノ占有若ハ所有スル耕地及牧場ノ面積又ハ舊農會ヲ組織セシ農會ノ數第五條若ハ第六條ノ條件ニ該當スルトキハ直ニ新地方區域ニ依ル農會ヲ設立シタルモノト看做ス
前項ノ場合ニ於テハ行政廳ニ於テ假ニ會則ヲ定メ假役員及假代表者ヲ選任シテ役員及代表者ノ選任アル迄會務ヲ處理セシムヘシ
第一項ニ依リ設立シタル農會ハ會則ヲ議決シ設立ノ時ヨリ二箇月以內ニ行政廳ノ認可ヲ申請スヘシ
第三十一條 第三條第二項ノ場合ニ於テ郡長又ハ地方長官ノ許可ヲ經テ設立シタル農會ニシテ特別ノ事由消滅シタルトキハ郡長又ハ地方長官ハ其ノ許可ヲ取消スヘシ
農會ハ前項ノ取消ニ因リテ解散ス此ノ場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第三十二條 農會ハ解散ノ後ト雖淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ尙存續スルモノト看做ス
第三十三條 農會解散シタルトキハ會長及副會長其ノ淸算人ト爲ル但シ會則ニ別段ノ定アルトキ又ハ總會ノ決議ヲ以テ他人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ淸算人タル者ナキトキハ行政廳淸算人ヲ選任ス淸算人闕ケタルトキ亦同シ
第三十四條 淸算人ハ淸算及財產處分ノ方法ヲ定メテ行政廳ノ認可ヲ受クヘシ
淸算人ハ農會ヲ代表シ淸算ヲ爲スニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第三十五條 行政廳ニ於テ必要ト認ムルトキハ淸算及財產處分方法ノ變更又ハ淸算人ノ解職ヲ命スルコトヲ得
第三十六條 淸算カ結了シタルトキハ淸算人ハ農會ニ屬スル帳簿其ノ他ノ書類及淸算ニ關スル一切ノ書類ヲ添ヘ其ノ旨ヲ行政廳ニ屆出ツヘシ
第三十七條 第八條、第九條第二項、第二十二條、第二十三條、第二十八條、第三十條第二項及第三項、第三十三條第二項、第三十四條第一項、第三十五條及第三十六條ノ行政廳ハ町村農會ニ在リテハ郡長、市農會及郡農會ニ在リテハ地方長官、北海道農會及府縣農會ニ在リテハ農商務大臣トス